JP5605195B2 - 耐傷性に優れるコーティング樹脂組成物 - Google Patents

耐傷性に優れるコーティング樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、硬化塗膜が柔軟性と靭性とを兼備することで耐傷性及び基材密着性に優れるコーティング樹脂組成物に関する。
携帯電話筐体、パソコン筐体、オーディオ機器等のプラスチック製品、タッチパネル、液晶画面等の電子材料部品、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機等の家電製品、家具等の木工製品、ゴルフクラブ、テニスラケット等のスポーツ用品、床、シンク、ドアノブ等の建築内装、自動車の内外装等々、表面の耐傷性が求められる製品は数多い。
これらの製品の表面に耐傷性を付与する方法として、UV硬化型塗料、EB硬化型塗料等からなる高硬度な塗膜を表面に形成し耐傷性を持たせる技術が知られている。しかしながら、この方法では、高硬度にするための硬質モノマーの使用や、架橋密度を高めることによる硬化収縮時の歪みの増大により、素材への密着性が低下する、塗膜に剥げやクラックが発生し易いという問題があった。また、これらの高硬度塗膜をプラスチックフィルム又はシート等の表面に形成した場合には、塗膜が硬く脆すぎるため、2次加工が非常に困難であった。
これに対し、二液硬化型ポリウレタン系塗料を用いて自己修復性能を有する塗膜とし、耐傷性を付与する方法が知られている。具体的には、1分子あたり平均2.5〜3.5個の水酸基を有し、かつ数平均分子量が500〜1500であるポリエステルポリオールと、ポリイソシアネート及び錫系ウレタン化触媒を必須成分とする塗料組成物を用い、塗膜の耐傷性を向上させた技術が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、このような塗料用組成物から得られる塗膜は柔軟性には優れるものの、比較的低分子量で1分子当たりの平均官能基数の少ないポリエステルポリオールを用いている為、架橋密度が低く十分な靭性を示すものとはならず、耐傷性は十分なものではなかった。
特開昭63−86762号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、柔軟性と靭性とを兼備し、塗膜表面に傷がついても自己修復することで塗膜の傷付きが防止される、所謂耐傷性に優れるコーティング樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、脂肪族ジイソシアネートモノマーとポリオールとを反応させて得られるアダクト型ポリイソシアネート化合物、及び脂肪族ジイソシアネートモノマーをヌレート化させて得られるヌレート型ポリイソシアネート化合物からなる群から選択されるポリイソシアネート化合物であって、イソシアネート基当量が290〜500g/eqの範囲であるポリイソシアネート化合物と、平均Tgが−9〜40℃の範囲であり、1分子あたりの水酸基の平均官能基数が4〜20の範囲であり、かつ、数平均分子量(Mn)が1000〜3000の範囲であるポリエステルポリオールとを必須成分として含有する樹脂組成物を用いることにより、柔軟性と靭性とを兼備し、耐傷性及び基材密着性に優れる塗膜が形成され、上述の課題を解決し得ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は脂肪族ジイソシアネートモノマーとポリオールとを反応させて得られるアダクト型ポリイソシアネート化合物(a1)、及び脂肪族ジイソシアネートモノマーをヌレート化させて得られるヌレート型ポリイソシアネート化合物(a2)からなる群から選択されるポリイソシアネート化合物であって、イソシアネート基当量が290〜500g/eqの範囲であるポリイソシアネート化合物(A)と、平均Tgが−9〜40℃であり、1分子あたりの水酸基の平均官能基数が4〜20であり、かつ、数平均分子量(Mn)が1000〜3000の範囲であるポリエステルポリオール(B)とを、両者の比率[ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル数]/[ポリエステルポリオール(B)中の水酸基のモル数]が0.75〜1.5の範囲となるような割合で含有することを特徴とするコーティング樹脂組成物に関する。
本発明は更に前記コーティング樹脂組成物を硬化させて得られる塗膜に関する。
本発明によれば、従来のコーティング樹脂組成物と比較して、柔軟性と靭性とを兼備し、基材密着性に優れると共に、塗膜表面に傷がついても自己修復することで塗膜の傷付きが防止される、所謂耐傷性に優れるコーティング樹脂組成物とその硬化塗膜とを提供することができる。
本発明で用いるポリイソシアネート化合物(A)は、そのイソシアネート基当量が290〜500g/eqの範囲にあることを特徴としている。イソシアネート基当量が290g/eq未満の場合には、硬く脆い塗膜となり外力が吸収できず耐傷性が低下する。イソシアネート基当量が500g/eqを超える場合には、硬化塗膜が柔らかくなりすぎ塗膜の十分な靭性が得られない。これらの中でも、塗膜の耐傷性がより一層向上する点で、イソシアネート基当量が300〜450g/eqの範囲であることがより好ましい。
前記ポリイソシアネート化合物(A)の1分子あたりのイソシアネート基の平均官能基数は、塗膜の架橋密度が好適な状態となり、靭性と柔軟性とのバランスに優れる点で、1.5〜5の範囲であることが好ましく、2〜4の範囲であることがより好ましい。
また、前記ポリイソシアネート化合物(A)の数平均分子量(Mn)は、塗膜の靭性と柔軟性とのバランスが良好となる点で500〜2000の範囲が好ましく、600〜1500の範囲であることがより好ましい。
尚、本発明において、前記ポリイソシアネート化合物(A)の数平均分子量(Mn)は、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC−8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL−H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC−8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4重量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
前記ポリイソシアネート化合物(A)は、脂肪族ジイソシアネートモノマーとポリオールとを反応させて得られるアダクト型ポリイソシアネート化合物(a1)、及び脂肪族ジイソシアネートモノマーをヌレート化させて得られるヌレート型ポリイソシアネート化合物(a2)からなる群から選択されるポリイソシアネート化合物である。ポリイソシアネート化合物(A)の原料として脂肪族のジイソシアネートを用いることで、塗膜が硬脆くなく、柔軟性に優れる塗膜が得られる。
アダクト型ポリイソシアネート化合物(a1)、及びヌレート型ポリイソシアネート化合物(a2)の製造で用いる前記ジイソシアネートモノマーは、例えば、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良い。
上記脂肪族ジイソシアネートモノマーの中でも、柔軟性と靭性とのバランスがより優れる塗膜となる点で、ブタン−1,4ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の直鎖型脂肪族ジイソシアネートモノマーが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートが特に好ましい。
前記アダクト型ポリイソシアネート化合物(a1)は、脂肪族ジイソシアネートモノマーとポリオールとを反応させて得られる。該反応は20〜120℃の温度範囲内で、無溶剤条件下、又はトルエンやキシレン等、イソシアネート基や水酸基に対して非反応性の各種有機溶剤中で行うことができる。また、必要に応じて種々のウレタン化触媒を用いることができる。
前記アダクト型ポリイソシアネート(a1)の製造で用いるポリオールは、分子中に2つ以上の水酸基を有する化合物である。具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2,2−トリメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−3−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−3−ベンジル−1,3−プロパンジオール、2,2− ジメチル− 3−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2,3,3−テトラメチル−1,4−ブタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール;
ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のエーテル結合を含むジオール;
1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA等の脂環式ジオール;
ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート等のエステル基を有するジオール;
ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレングリコール等のポリエーテルグリコール;
前記各種ジオールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の種々の環状エーテル結合含有化合物との開環重合によって得られる変性ポリエーテルジオール;
前記各種ジオールと、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸や亜麻仁油、大豆油、キリ油、トール油、ヤシ油、サフラワー油、ヒマシ油等の油脂との共縮合によって得られるポリエステルジオール;
前記各種ジオールと、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、3−メチル−δ−バレロラクトン等の種々のラクトンとの重縮合反応によって得られるラクトン系ポリエステルジオール;
前記各種ジオールと、前記ジカルボン酸と、前記ラクトンとの重縮合反応によって得られるラクトン変性ポリエステルジオール;
前記ラクトン系ポリエステルジオール、ラクトン変性ポリエステルジオール等のポリエステルジオールの合成時に、ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、モノアルコールやジオールのグリシジルエーテル、あるいは、モノカルボン酸やジカルボン酸のグリシジルエステル等、種々のエポキシ化合物を併用して得られるエポキシ変性ポリエステルジオール;
ポリエステルポリアミドジオール、ポリカーボネートジオール、ポリブタジエンジオール、ポリペンタジエンジオール、分子構造内にフッ素原子やシリコン部位を有するジオール;
グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール;
前記各種ジオールを含むポリオールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の種々の環状エーテル結合含有化合物との開環重合によって得られる変性ポリエーテルポリオール;
前記各種ジオールを含むポリオールと、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサトリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸等の多価カルボン酸、及び亜麻仁油、大豆油、キリ油、トール油、ヤシ油、サフラワー油、ヒマシ油等の油脂との共縮合によって得られるポリエステルポリオール;
前記各種ジオールを含むポリオールと、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、3−メチル−δ−バレロラクトン等の種々のラクトンとの重縮合反応によって得られるラクトン系ポリエステルジポリオール;
前記各種ジオールを含むポリオールと、前記ジカルボン酸と、前記ラクトンとの重縮合反応によって得られるラクトン変性ポリエステルポリオール;
前記ラクトン系ポリエステルポリオール、ラクトン変性ポリエステルポリオール等のポリエステルジオールの合成時に、ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、モノアルコールやジオールのグリシジルエーテル、あるいは、モノカルボン酸やジカルボン酸のグリシジルエステル等、種々のエポキシ化合物を併用して得られるエポキシ変性ポリエステルポリオール;
ポリエステルポリアミドポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリペンタジエンポリオール、分子構造内にフッ素原子やシリコン部位を有するポリオール等が挙げられる。これらポリオールはそれぞれ単独で使用しても良いし、二種類以上を併用しても良い。
上記ポリオールの中でも、得られるアダクト型ポリイソシアネート化合物(a1)のイソシアネート当量を290〜500g/eqに調整することが容易である点で、ジオールを含むポリオールと多価カルボン酸との共重合によって得られるポリエステルポリオールが好ましい。中でも、該ポリオールは1,3−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等の脂肪族ポリオールが好ましく、該多価カルボン酸はコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
前記アダクト型ポリイソシアネート(a1)の製造で用いるウレタン化触媒は、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、塩化第一錫、塩化第二錫、テトラ−n−ブチル錫、トリ−n−ブチル錫アセテート、n−ブチル錫トリクロライド、トリメチル錫ハイドロオキサイド、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫アセテート、ジブチル錫ジラウレート、オクテン酸錫等が挙げられる。これらの触媒を使用する場合には、原料の総質量に対し10〜500ppmとなる範囲で使用するのが好ましい。
次に、前記ヌレート型ポリイソシアネート化合物(a2)は、脂肪族ジイソシアネートモノマーをヌレート化させて得られるものである。ここで、ヌレート化の方法としては、具体的には、次の2つの方法が挙げられる。
方法1−1:脂肪族ジイソシアネートモノマーをヌレート化反応させてイソシアヌレート環構造を有するポリイソシアネート化合物を得る方法。
方法1−2:脂肪族ジイソシアネートモノマーとポリオールとをウレタン化反応させて得たポリイソシアネート化合物をヌレート化反応させてイソシアヌレート環構造を有するポリイソシアネート化合物を得る方法。
前記方法1−1又は1−2のイソシアヌレート化反応は、20〜120℃の温度範囲内で行うことができる。該反応は、無溶剤下において実施されるが、トルエンやキシレン等、イソシアネート基や水酸基に対して非反応性の各種有機溶剤を使用しても良い。また、必要に応じて各種ヌレート化触媒を用いても良い。
前記方法1−2でポリイソシアネートを得る際に用いるポリオールは、前記各種のポリオールが挙げられる。これらの中でも、得られるヌレート型ポリイソシアネート化合物(a2)のイソシアネート基当量を290〜500g/eqの範囲に調整することが容易となる点で、ジオール化合物が好ましく、中でも脂肪族ジオールが好ましい。
前記方法1−1及び1−2では、ヌレート化する際に必要に応じてモノアルコール及びジオールを添加し、イソシアネート基を部分的にウレタン化反応させても良い。ここで用いるモノアルコール及びジオールは、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノール、n−トリデカノール、n−テトラデカノール、n−ペンタデカノール、n−ヘプタデカノール、n−オクタデカノール、n−ノナデカノール、エイコサノール、5−エチル−2−ノナノール、トリメチルノニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、3,9−ジエチル−6−トリデカノール、2−イソヘプチルイソウンデカノール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラデカノール等のモノアルコール;上記各種ジオールが挙げられる。これらのモノアルコール及びジオールはそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
これらの中でも、得られるヌレート型ポリイソシアネート化合物(a2)のイソシアネート基当量を上記した好ましい値に調整することが容易となる点で、ジオール化合物が好ましく、中でも脂肪族ジオールが好ましく、特に1,3−ブタンジオール、及び2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール等炭素原子数が2〜10の範囲である脂肪族ジオールと、炭素原子数が20〜40の範囲である脂肪族ジオールとを併用することが好ましい。
前記方法1−1又は1−1で用いられるヌレート化触媒は、4級アンモニウム化合物等が挙げられ、具体的には、2−ヒドロキシエチル・トリメチルアンモニウム・2,2−ジメチルプロピオネート、2−ヒドロキシエチル・トリn−ブチルアンモニウム・2,2−ジメチルブタノエート、2−ヒドロキシプロピル・トリn−ブチルアンモニウム・2,2−ジメチルプロピオネート、2−ヒドロキシプロピル・トリn−ブチルアンモニウム・2,2−ジメチルブタノエート、2−ヒドロキシプロピル・トリn−ブチルアンモニウム・2,2−ジメチルペンタノエート、2−ヒドロキシプロピル・トリn−ブチルアンモニウム・2−エチル−2−メチルプロピオネート、2−ヒドロキシプロピル・トリn−ブチルアンモニウム・2−エチル−2−メチルブタノエート、2−ヒドロキシプロピル・トリn−ブチルアンモニウム・2−エチル−2−メチルペンタノエート、2−ヒドロキシプロピル・トリn−オクチルアンモニウム・2,2−ジメチルプロピオネート等が挙げられる。これらの触媒を使用する場合には、原料の総質量に対し10〜500ppmとなる範囲で使用するのが好ましい。
前記ポリイソシアネート化合物(A)は、柔軟性と靭性とのバランスがより優れる塗膜となる点でアダクト型ポリイソシアネート化合物(a1)がより好ましく、特に1,6−ジイソシアナトへキサンと、ポリオール及び多価カルボン酸との共重合によって得られるポリエステルポリオールとを反応させて得られるアダクト型ポリイソシアネート化合物(a1)が好ましい。
本発明で用いる前記ポリエステルポリオール(B)は、平均Tgが−9℃〜40℃の範囲のものである。平均Tgが−9℃未満の場合には、得られる塗膜が柔らかすぎるため耐傷性が低下する。また、平均Tgが40℃を超える場合には、得られる塗膜が硬すぎるため外力が吸収できず、耐傷性が低下する。中でも、塗膜が靭性と柔軟性とのバランスに優れる点で、−8℃〜35℃の範囲がより好ましく、−8℃〜−20℃の範囲が更に好ましい。
前記ポリエステルポリオール(B)の1分子あたりの水酸基の平均官能基数は4〜20の範囲である。水酸基の平均官能基数が4未満の場合には、硬化塗膜の架橋密度が低くなるため、十分な靭性を発現することができない。また、水酸基の平均官能基数が20を超える場合には、硬化塗膜の架橋密度が高過ぎるため、硬く脆い塗膜となり外力が吸収できず、耐傷性が低下する。なかでも、塗膜が耐傷性に優れる点で、5〜15の範囲がより好ましく、5〜10の範囲が更に好ましい。
前記ポリエステルポリオール(B)の数平均分子量(Mn)は、1000〜3000の範囲である。数平均分子量(Mn)が1000未満の場合は、塗膜が硬く脆いものとなり、十分な靭性が発現しない。また、数平均分子量(Mn)が3000を超える場合は、塗膜が柔らかすぎて十分な耐傷性を発現しない。これらの中でも、塗膜の柔軟性と靭性とのバランスがよく、耐傷性に優れる点で、1500〜2700の範囲が好ましい。
尚、本発明において、前記ポリエステルポリオール(B)の数平均分子量(Mn)は、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC−8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL−H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC−8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4重量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
前記ポリエステルポリオール(B)の平均水酸基価の好ましい値は50〜350の範囲であり、より好ましくは100〜300の範囲である。平均水酸基価が上記範囲内であることで、硬化塗膜の架橋密度が好適な値となり、塗膜の靭性と耐傷性とが兼備される。
前記ポリエステルポリオール(B)は、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸とを含む原料を反応させて得られる。該原料は、多価アルコール及び多価カルボン酸の他に、油脂や脂肪酸等を含んでいても良い。
前記ポリエステルポリオール(B)の原料として用いる多価アルコールは、前記方法1の説明で列記したポリオール等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で使用しても良いし、二種類以上を併用しても良い。中でも、得られるポリエステルポリオール(B)の各種性状値を上記した好ましい値に設計することが容易である点で、脂肪族ポリオールが好ましく、エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール及びグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3〜6官能のポリオールがより好ましい。
前記ポリエステルポリオール(B)の原料として用いる多価カルボン酸とは、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸;1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、トリメリット酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸等の各種トリカルボン酸;等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で使用しても良いし、二種類以上を併用しても良い。これらの中でも、得られるポリエステルポリオール(B)の各種特性値を上記した好ましい値に設計することが容易である点で、脂肪族カルボン酸と芳香族カルボン酸とを併用することが好ましく、脂肪族カルボン酸はアジピン酸及びセバシン酸が、芳香族カルボン酸はフタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸イソフタル酸、およびトリメリット酸がより好ましい。
前記ポリエステルポリオール(B)の原料として用いる油脂は、例えば、亜麻仁油、大豆油、キリ油、トール油、やし油、サフラワー油、ひまし油等が挙げられる。これらの中でも、得られるポリエステルポリオール(B)の各種特性値を上記した好ましい値に設計することが容易である点で、やし油又はひまし油が好ましい。
前記ポリエステルポリオール(B)の原料として用いる脂肪酸は、例えば、へキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、オクテン酸、ノナン酸、ノネン酸、イソノナン酸、デカン酸、ドデカン酸等の単体脂肪酸;トール脂肪酸、大豆脂肪酸、米糠脂肪酸、アマニ脂肪酸、ヒマシ脂肪酸等の混合脂肪酸等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。これらの中でも、得られるポリエステルポリオール(B)の各種特性値を上記した好ましい値に設計することが容易である点で、混合脂肪酸が好ましく、米糠脂肪酸がより好ましい。
前記ポリエステルポリオール(B)は、例えば、上記各種の原料成分を共縮合反応させる方法や、上記各種の原料成分を恐縮号して得られるポリエステルポリオールを更に各種のポリイソシアネートやポリエポキシ化合物等で変性させる方法などで得ることが出来る。上記共縮合反応は150〜250℃の温度範囲内で、生成する水を逐次除去しながら行う。必要に応じて各種エステル化触媒を用いても良い。
前記各種原料を用いて、前記平均Tgが−9〜40℃の範囲であり、1分子あたりの水酸基の平均官能基数が4〜20の範囲であるポリエステルポリオール(B)を得るには、3〜6官能の脂肪族ポリオールとジカルボン酸とを含む原料を用いることが好ましい。更に、反応原料の総質量に対する3〜6官能の脂肪族ポリオール成分の割合が15〜50質量%となる範囲で用いることが好ましい。前記ポリエステルポリオール(B)は一種類を単独で用いてもよいし、異なる組成で合成した複数種を併用してもよい。
前記方法3−1及び3−2で用いるエステル化触媒は、ジブチル錫オキサイド、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸カルシウム、酢酸鉛、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等が挙げられる。これらの触媒を使用する場合には、原料の総質量に対し10〜500ppmとなる範囲で使用するのが好ましい。
本発明のコーティング樹脂組成物中のポリイソシアネート(A)とポリエステルポリオール(B)との配合比[ポリイソシアネート中のイソシアネート基のモル数]/[ポリエステルポリオール(B)中の水酸基のモル数]が0.75〜1.5の範囲となるような範囲である。この範囲となる比率で配合することで、塗膜の硬化がより短時間で進行する。
本発明のコーティング樹脂組成物には、必要に応じて硬化促進剤を添加しても良い。硬化促進剤は、前記方法1で挙げた有機スズ系化合物等のウレタン化触媒を用いることができる。
また、本発明のコーティング樹脂組成部には、本発明の効果を損なわない範囲で滑剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤等を適宜添加してもよい。
以上説明した本発明のコ−ティング樹脂組成物からなる塗膜は、柔軟性と靭性とを兼備していることから、塗膜が外力を吸収するため傷がつき難く、また、傷がついても自己修復するため、耐傷性に優れる。更に、各種素材への密着性、被塗布物の二次加工性、塗膜外観も優れている。そのため、本発明のコーティング樹脂組成物は、携帯電話筐体、パソコン筐体、オーディオ機器等のプラスチック製品、タッチパネル、液晶画面等の電子材料部品、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機等の家電製品、家具等の木工製品、ゴルフクラブ、テニスラケット等のスポーツ用品、床、シンク、ドアノブ等の建築内装、自動車の内外装等々、表面の耐傷性が求められるあらゆる用途に好適に用いることが出来る。また、本発明のコーティング樹脂組成物は、プラスチックフィルム/シート状に塗布し、耐傷性を有する積層フィルム/シートとして用いることも出来る。
本発明のコーティング樹脂組成物を各種基材上に塗布した際の塗膜の厚さは、用途に応じて適宜調節が可能であるが、より高い耐傷性を発現する点で1μm〜100μmが好ましく、5μm〜50μmがより好ましい。
以下に本発明を具体的な合成例、実施例を挙げてより詳細に説明する。
ポリイソシアネート化合物(A)の合成
[イソシアネート基含有率の測定]
JIS K7301に従って測定した。
[数平均分子量Mnの測定]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下の条件により求めた。
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC−8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL−H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC−8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4重量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
[1分子あたりの平均官能基数の算出]
上記方法で測定したイソシアネート含有率と数平均分子量の値から、以下の計算式を用いて算出した。
[1分子当たりの平均官能基数]=[数平均分子量(Mn)]×[イソシアネート含有率]/4200
合成例1:ポリイソシアネート(A−1)の合成
攪拌機、温度計、精留塔、窒素導入管を装備した、4つ口のフラスコに1,3-ブタンジオール460質量部、並びにアジピン酸659質量部、さらにトリメチロールプロパン(以下、TMPと略称する)43質量部を仕込み、窒素気流下で2時間かけ200℃に昇温する。さらに同温度で酸価が5以下となるまで反応を継続し、水酸基価;125、数平均分子量:1000のポリエステル樹脂(MA−1)を得た。
攪拌機、温度計、精留塔、窒素導入管を装備した、4つ口のフラスコにヘキサメチレンジイソシアネート1000質量部、ついでポリエステル樹脂(MA−1)400質量部を仕込み、窒素気流下に攪拌を開始した。次いで、120℃まで昇温し、同温度で6時間反応後、140℃に昇温し、同温度で未反応のヘキサメチレンジイソシアネートを減圧留去した。ヘキサメチレンジイソシアネートの含有量がフラスコ内の反応物の総質量に対し0.5%未満となるまで同温度での減圧蒸留を継続した後、NCO%:10.5、ガードナー粘度(25℃):Z6、数平均分子量(Mn):1500(GPC測定)、平均官能基数:3.5、イソシアネート基当量:429g/eqであるHDI系アダクト型ポリイソシアネート化合物(A−1)を得た。
合成例2:ポリイソシアネート(A−2)の合成
攪拌機、温度計、精留塔、窒素導入管を装備した、4つ口のフラスコにヘキサメチレンジイソシアネート1000質量部を仕込み、窒素気流下に攪拌を開始した。次いで、ソバモール908(Cognis社製高純度ダイマーアルコール、C3672、Mw:536、水酸基価:190〜220mgKOH/g)116質量部、並びに1,3−ブタンジオール11質量部を投入し、75℃に昇温した。同温度で1時間反応させ、屈折率を測定した(初期屈折率)。次いでヌレート化触媒(東ソー株式会社製「TOYOCAT TRX」)0.1質量部を投入し、15分間反応させた後、再度屈折率を測定した。屈折率が初期屈折率プラス0.008となるまでヌレート化触媒を0.1質量部ずつ投入した。その後、反応停止剤としてリン酸をヌレート化触媒の総投入量の1/2となる0.4質量部投入し30分間攪拌した。内温を140℃に昇温し、同温度で未反応のヘキサメチレンジイソシアネートを減圧留去した。ヘキサメチレンジイソシアネートの含有量がフラスコ内の反応物の総質量に対し0.5質量%未満となるまで同温度での減圧蒸留を継続し、NCO%:14.0、ガードナー粘度(25℃):Z、数平均分子量(Mn):610(GPC測定)、1分子当たりの平均官能基数:2.0、イソシアネート基当量:305g/eqであるHDI系ヌレート型ポリイソシアネート化合物(A−2)を得た。
比較合成例1:ポリイソシアネート化合物(A−3)の合成
攪拌機、温度計、精留塔、窒素導入管を装備した、4つ口のフラスコにヘキサメチレンジイソシアネート1000質量部を仕込み、窒素気流下に攪拌を開始した。次いで、トリメチルペンタンジオール20質量部、並びに1,3−ブタンジオール6質量部を投入し、65℃に昇温した。同温度で1時間反応させ、次いでヌレート化触媒(東ソー株式会社製「TOYOCAT TRX」)0.1質量部を投入し、15分間反応させた後、屈折率を測定した。屈折率が1.4665となるまでヌレート化触媒を0.1質量部ずつ投入し、屈折率が1.4665となったことを確認後、反応停止剤としてリン酸をヌレート化触媒の総投入量の1/2となる0.3質量部投入し30分間攪拌した。内温を140℃に昇温し、同温度で未反応のヘキサメチレンジイソシアネートを減圧留去した。ヘキサメチレンジイソシアネートの含有量がフラスコ内の反応物の総質量に対し0.5質量%未満となるまで同温度での減圧蒸留を継続し、NCO%:21.3、ガードナー粘度(25℃):Y−Z、数平均分子量(Mn):720(GPC測定)、1分子当たりの平均官能基数:3.7、イソシアネート基当量:200g/eqであるHDI系ヌレート型ポリイソシアネート化合物(A−3)を得た。
比較合成例2:ポリイソシアネート化合物(A−4)の合成
攪拌機、温度計、精留塔、窒素導入管を装備した、4つ口のフラスコにヘキサメチレンジイソシアネート1000質量部を仕込み、窒素気流下に攪拌を開始した。次いで、90℃まで昇温し、トリメチロールプロパン90質量部、並びに1,3−ブタンジオール16質量部を発熱に注意しながら1時間かけて分割投入した。さらに、同温度で2時間反応後、140℃に昇温し、同温度で未反応のヘキサメチレンジイソシアネートを減圧留去した。ヘキサメチレンジイソシアネートの含有量がフラスコ内の反応物の総質量に対し0.5%未満となるまで同温度での減圧蒸留を継続した後、不揮発分の値が75質量%となるように酢酸エチルを添加し、希釈後のNCO%:12.5、ガードナー粘度(25℃):K−L、数平均分子量(Mn):930(GPC測定)、平均官能基数:3.7、イソシアネート基当量:251g/eqであるHDI系アダクト型ポリイソシアネート化合物(A−4)を得た。
ポリエステルポリオール(B)の合成
[Tg(ガラス転移温度)の測定]
ポリエステルポリオール(B)の固形分100%の試験サンプルを作成し、示差走査熱量計(メトラー社製「TOLEDO DSC822e」)を用いて測定した。
[水酸基価の測定]
JIS K 1557に従って測定した。
[数平均分子量(Mn)の測定]
ポリイソシアネート(A)の場合と同様にして求めた。
[1分子当たりの平均官能基数の算出]
上記方法で測定した水酸基価と数平均分子量から、次の計算式を用いて算出した。
[1分子当たりの平均官能基数]=[数平均分子量(Mn)]×[水酸基価]/56100
合成例3:ポリエステルポリオール(B−1)の合成
攪拌機、温度計、冷却管、窒素導入管を装備した、4つ口のフラスコにネオペンチルグリコールを99質量部、及びトリメチロールプロパンを288質量部仕込み、窒素気流下で、攪拌を開始した。フラスコ内の状態を確認しながら回転数をコントロールしつつ、140℃まで昇温しフラスコ内が均一であることを確認後に、フマル酸を137質量部、及び無水フタル酸を176質量部仕込み、2時間かけて230℃に昇温し、同温度で酸価が6以下となるまで反応させた。ついで内温を140℃まで降温し、さらにキシレン/メチルエチルケトン:1/1(重量比)からなる混合溶剤で不揮発分を60%に希釈し、ポリエステルポリオール(B−1)の溶液を得た。
合成例4:ポリエステル系ポリオール(B−2)の合成
攪拌機、温度計、冷却管、窒素導入管を装備した、4つ口のフラスコにやし油を229質量部、グリセリン64質量部、ペンタエリスリトールを71質量部、およびエチレングリコール34質量部を仕込み、窒素気流下で、攪拌を開始し、2時間かけて230℃に昇温しさらに同温度で2時間反応後、140℃まで降温する。ついで、無水フタル酸を298質量部仕込み、2時間かけて230℃に昇温し、同温度で酸価が6以下となるまで反応させた後、140℃まで降温し、さらにキシレン/メチルエチルケトン:1/1(重量比)からなる混合溶剤で不揮発分を60%に希釈し、ポリエステルポリオール(B−2)の溶液を得た。
合成例5:ポリエステルポリオール(B−3)の合成
上記合成例4の各原料に代えて表1に示した原料を使用する以外は、合成例4と同様にして重合を行い、ポリエステルポリオール(B−3)の溶液を得た。
合成例6:ポリエステルポリオール(B−4)の合成
上記合成例3の各原料に代えて表1に示した原料を使用する以外は、合成例3と同様にして重合を行い、ポリエステルポリオール(B−4)の溶液を得た。
比較合成例3、4:ポリエステルポリオール(B−5)、(B−6)の合成
上記合成例3の各原料に代えて表2に示した原料を使用する以外は、合成例3と同様にして重合をすすめ、酸価の代わりに、粘度でX−Yとなるまで反応を継続し、ポリエステルポリオール(B−5)、(B−6)の溶液を得た。
比較合成例5:ポリエステルポリオール(B−7)の合成
攪拌機、温度計、精留塔、窒素導入管を装備した、4つ口のフラスコに1,6−へキサンジオール281質量部、グリセリン45質量部、ジエチレングリコール56質量部を仕込み、窒素気流下に140℃に昇温した後、系内が均一であることを確認し、アジピン酸400質量部、無水フタル酸18質量部からなる混合物を投入した。3時間を要して230℃まで昇温し、さらに同温度で酸価が5以下となるまで反応を継続する。ついで、140℃まで冷却後、キシレンとメチルイソブチルケトンとを質量比1/1で含有する混合溶剤で不揮発分が80%となるまで希釈し、ポリエステルポリオール(B−7)の溶液を得た。
試験塗膜作成方法
ポリイソシアネート(A)とポリエステルポリオール(B)とを、両者の比率[ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル数]/[ポリエステルポリオール(B)の水酸基のモル数]が1となるように配合した。次いで、触媒(ジブチル錫アセテートをおよそ50ppm)を上記配合物に混合し、溶剤(酢酸エチル)で粘度調整し、3milのアプリケータで各種基材上に塗装した。15分常温でセッティング後、80℃で1時間乾燥し、さらに25℃湿度:50%で1週間養生した。
評価方法
[鉛筆硬度試験]
ガラス板上に塗装した硬化塗膜をJIS K 5400に従い、荷重500gの鉛筆引っ掻き試験によって評価した。1つの硬度につき5回試験を行い、5回中1回でも塗膜の破壊が生じた硬度、又は70℃の温風で加熱しても鉛筆痕が戻らない硬度の一つ下位の硬度を塗膜の硬度とした。
[鉛筆痕復元時間]
上記鉛筆硬度試験で塗膜の硬度とした硬度の鉛筆痕が復元するまでの時間を測定し、次のように評価した。
O:鉛筆痕が付かない
A:鉛筆痕が付いてから30分未満で復元する。
B:鉛筆痕が付いてから30分以上24時間以内で復元する。
C:鉛筆痕が付いてから24時間以内では完全に復元せず、70℃の温風で加熱すると復元する。
[付着性試験]
ABS板上に作成した塗膜にカッターナイフで1mm×1mmの100個の碁盤目を作成し、ニチバン(株)製「セロテープ」を貼り付けた後、剥離を行った。このときに塗膜が剥離せずに密着している碁盤目の数を評価した。
[光沢]
ABS板上に作成した塗膜の60度鏡面反射率[%]なる光沢値をJIS K 5400に準拠し測定した。
[耐摩耗性]
スチールウール(日本スチールウール株式会社製「ボンスター#0000」)0.5gで直径2.4センチメートルの円盤状の圧子を包み、荷重500g重で10往復磨耗した。あらかじめ測定しておいた磨耗前のガラス板上の塗膜のヘーズ値と磨耗試験後の硬化塗膜のヘーズ値とを自動ヘーズコンピューター(スガ試験機株式会社製「HZ−2」)を用いて測定し、それらの差の値で耐摩耗性を評価した。差の値が小さいほど、耐磨耗性が良好であると判断した。
実施例1
ポリイソシアネート化合物(A−1)とポリエステルポリオール(B−1)とを、[(A−1)中のイソシアネート基のモル数]/[(B−1)中の水酸基のモル数]=1/1となるように、ポリイソシアネート化合物(A−1)84質量部、ポリエステルポリオール(B−1)200質量部、酢酸エチル30質量部、ジブチル錫アセテート0.02質量部を攪拌混合し、乾燥膜厚が40μmとなるようにアプリケータを用いてガラス板および黒色のアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合樹脂板(以下「ABS」板と略記する)上に塗布後、温度80℃で1時間乾燥し、さらに25℃、湿度60%RHの条件で1週間乾燥させ、硬化塗膜を作成した。得られた硬化塗膜について、鉛筆硬度、付着性、光沢、及び耐摩耗性を評価した。評価結果を表3に示した。
実施例2〜4
ポリイソシアネート(A)とポリオール(B)との種類と配合比を表3に示したように変えた以外は実施例1と同様にしてガラス板、およびABS板に硬化塗膜を作成、評価した。評価結果を表3に示した。
比較例1〜5
ポリイソシアネート(A)とポリオール(B)の種類と配合比を表4に示したように変えた以外は実施例1と同様にして配合し、ガラス板、およびABS板に硬化塗膜を作成、評価した。評価結果を表4に示した。
Figure 0005605195
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Claims (5)

  1. 脂肪族ジイソシアネートモノマーとポリオールとを反応させて得られるアダクト型ポリイソシアネート化合物(a1)、及び脂肪族ジイソシアネートモノマーをヌレート化させて得られるヌレート型ポリイソシアネート化合物(a2)からなる群から選択されるポリイソシアネート化合物であって、イソシアネート基当量が290〜500g/eqの範囲であるポリイソシアネート化合物(A)と、平均Tgが−9〜40℃であり、1分子あたりの水酸基の平均官能基数が4〜20であり、かつ、数平均分子量(Mn)が1000〜3000の範囲であるポリエステルポリオール(B)とを、両者の比率[ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル数]/[ポリエステルポリオール(B)中の水酸基のモル数]が0.75〜1.5の範囲となるような割合で含有することを特徴とするコーティング樹脂組成物。
  2. 前記ジイソシアネートモノマーが1,6−ジイソシアナトへキサンである請求項1記載のコーティング樹脂組成物。
  3. 前記ポリエステルポリオール(B)が、3〜6官能の脂肪族ポリオールとジカルボン酸とを含む原料を反応させて得られるものである請求項1記載のコーティング樹脂組成物。
  4. 前記ポリエステルポリオール(B)の原料中に前記3〜6官能の脂肪族ポリオールを15〜50質量%の割合で含有する請求項3記載のコーティング樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載のコーティング樹脂組成物を硬化させて得られる塗膜。
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