以下、図示実施例により本発明を実施するための形態について説明する。
まず、本発明の特徴である現像装置の詳細を説明するにあたり、本発明が対象とする画像形成装置について説明すると次の通りである。
なお、図1は、本発明による現像装置を備えたプロセスカートリッジが適用される画像形成装置の一例を示す図であり、図2は、図1に示された画像形成装置の現像装置を抽出して示す現像装置の断面図である。図3は、図2中のIII−III線に沿う断面図である。図4は、図1に示された現像装置の現像スリーブの斜視図である。図5は、図4に示された現像スリーブの外表面の展開図である。
画像形成装置101は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像すなわちカラー画像を、一枚の転写材としての記録紙107(図1に示す)に形成する。なお、イエロー、マゼンダ、シアン、黒の各色に対応するユニットなどを、以下、符号の末尾に各々Y,M,C,Kを付けて示す。
画像形成装置101は、図1に示すように、装置本体102と、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、転写ユニット104と、定着ユニット105と、複数のレーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kと、複数のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kとを少なくとも備えている。
装置本体102は、例えば、箱状に形成され、フロア上などに設置される。装置本体102は、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、転写ユニット104と、定着ユニット105と、複数のレーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kと、複数のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを収容している。
給紙ユニット103は、装置本体102の下部に複数設けられている。給紙ユニット103は、前述した記録紙107を重ねて収容するとともに装置本体102に出し入れ自在な給紙カセット123と、給紙ローラ124とを備えている。給紙ローラ124は、給紙カセット123内の一番上の記録紙107に押し当てられている。給紙ローラ124は、前述した一番上の記録紙107を、転写ユニット104の後述する搬送ベルト129と、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの後述する現像装置113の感光体ドラム108との間に送り出す。
レジストローラ対110は、給紙ユニット103から転写ユニット104に搬送される記録紙107の搬送経路に設けられており、一対のローラ110a,110bを備えている。レジストローラ対110は、一対のローラ110a,110b間に記録紙107を挟み込み、該挟み込んだ記録紙107をトナー像に重ね合わせ得るタイミングで、転写ユニット104とプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kとの間に送り出す。
転写ユニット104は、給紙ユニット103の上方に設けられている。転写ユニット104は、駆動ローラ127と、従動ローラ128と、搬送ベルト129と、転写ローラ130Y,130M,130C,130Kとを備えている。駆動ローラ127は、記録紙107の搬送方向の下流側に配置されており、駆動源としてのモータなどによって回転駆動される。従動ローラ128は、装置本体102に回転自在に支持されており、記録紙107の搬送方向の上流側に配置されている。搬送ベルト129は、無端環状に形成されており、前述した駆動ローラ127と従動ローラ128との双方に掛け渡されている。搬送ベルト129は、駆動ローラ127が回転駆動されることで、前述した駆動ローラ127と従動ローラ128との回りを図中半時計回りに循環(無端走行)する。
転写ローラ130Y,130M,130C,130Kは、それぞれ、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108との間に搬送ベルト129と該搬送ベルト129上の記録紙107とを挟む。転写ユニット104は、転写ローラ130Y,130M,130C,130Kが、給紙ユニット103から送り出された記録紙107を各プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108の外表面に押し付けて、感光体ドラム108上のトナー像を記録紙107に転写する。転写ユニット104は、トナー像を転写した記録紙107を定着ユニット105に向けて送り出す。
定着ユニット105は、転写ユニット104の記録紙107の搬送方向の下流に設けられ、互いの間に記録紙107を挟む一対のローラ105a,105bを備えている。定着ユニット105は、一対のローラ105a,105b間に転写ユニット104から送り出されてきた記録紙107を押圧加熱することで、感光体ドラム108から記録紙107上に転写されたトナー像を、該記録紙107に定着させる。
レーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kは、それぞれ、装置本体102の上部に取り付けられている。レーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kは、それぞれ、一つのプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kに対応している。レーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kは、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの後述の帯電ローラ109により一様に帯電された感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、静電潜像を形成する。
プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、それぞれ、転写ユニット104と、レーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kとの間に設けられている。プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、装置本体102に着脱自在である。プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、記録紙107の搬送方向に沿って、互いに並設されている。
プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、図2に示すように、カートリッジケース111と、帯電装置としての帯電ローラ109と、感光体ドラム(像担持体ともいう)108と、クリーニング装置としてのクリーニングブレード112と、現像装置113と、を備えている。このため、画像形成装置101は、帯電ローラ109と、感光体ドラム108と、クリーニングブレード112と、現像装置113と、を少なくとも備えている。
カートリッジケース111は、装置本体102に着脱自在で、かつ帯電ローラ109と、感光体ドラム108と、クリーニングブレード112と、現像装置113と、を収容している。帯電ローラ109は、感光体ドラム108の外表面を一様に帯電する。感光体ドラム108は、現像装置113の後述する現像ローラ115と間隔をあけて配されている。感光体ドラム108は、軸芯を中心として回転自在な円柱状又は円筒状に形成されている。感光体ドラム108は、対応するレーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kにより、外表面上に静電潜像が形成される。感光体ドラム108は、外表面上に形成されかつ担持する静電潜像にトナーが吸着して現像し、こうして得られたトナー像を搬送ベルト129との間に位置付けられた記録紙107に転写する。クリーニングブレード112は、記録紙107にトナー像を転写した後に、感光体ドラム108の外表面に残留した転写残トナーを除去する。
現像装置113は、図2に示すように、現像剤供給部114と、ケース125と、現像剤担持体としての現像ローラ115と、規制部材としてのドクタブレード116とを少なくとも備えている。
現像剤供給部114は、収容槽117と、攪拌部材としての一対の攪拌スクリュー118と、を備えている。収容槽117は、感光体ドラム108と長さが略等しい箱状に形成されている。また、収容槽117内には、該収容槽117の長手方向に沿って延びた仕切壁119が設けられている。仕切壁119は、収容槽117内を第1空間120と、第2空間121とに区画している。また、第1空間120と第2空間121とは、両端部が互いに連通している。
収容槽117は、第1空間120と第2空間121との双方に現像剤126を収容する。現像剤126は、トナーと、磁性キャリア(磁性粉ともいう)とを含んでいる。
トナーは、第1空間120と、第2空間121とのうち現像ローラ115から離れた側の第1空間120の一端部に、適宜供給される。トナーは、乳化重合法又は懸濁重合法により製造された球状の微粒子である。なお、トナーは、種々の染料又は顔料を混入・分散した合成樹脂で構成される塊を粉砕して得られても良い。トナーの平均粒径は、3μm以上でかつ7μm以下である。また、トナーは、粉砕加工などにより形成されても良い。
現像装置に用いられるトナーとしては、次の条件を備えたものが用いられる。
まず、体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が、1.00〜1.40の範囲に設定されている。
また、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲に設定されている。
図22は、トナーの形状を模式的に表した図であり、図22(a)は形状係数SF−1、図22(b)は形状係数SF−2を説明するための図である。
形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4)・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100/4π)・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナー又は感光体との接触が点接触になるために、トナー同士の吸着力が弱くなり、その結果流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力が弱くなって、転写率が高くなり、また、逆帯電トナーを回収しやすくなる。
トナーの形状係数SF−1とSF−2は100以上がよい。また、SF−1とSF−2が大きくなると逆帯電トナーT1が多くなり、また、トナーの帯電量分布が広くなり、回収部に対する負荷が大きくなる。このために、SF−1は180を越えない方が好ましく、SF−2は180を越えない方が好ましい。
磁性キャリアは、第1空間120と第2空間121との双方に収容されている。磁性キャリアの平均粒径は、20μm以上でかつ50μm以下である。
攪拌スクリュー118は、第1空間120と第2空間121それぞれに収容されている。攪拌スクリュー118の長手方向は、収容槽117、現像ローラ115及び感光体ドラム108の長手方向と平行である。攪拌スクリュー118は、軸芯周りに回転自在に設けられており、軸芯周りに回転することで、トナーと磁性キャリアとを攪拌するとともに、該軸芯に沿って現像剤126を搬送する。
図示例では、第1空間120内の攪拌スクリュー118は、現像剤126を前述した一端部から他端部に向けて搬送する。第2空間121内の攪拌スクリュー118は、現像剤126を他端部から一端部に向けて搬送する。
前述した構成によれば、現像剤供給部114は、第1空間120の一端部に供給されたトナーを、磁性キャリアと攪拌しながら、他端部に搬送し、この他端部から第2空間121の他端部に搬送する。そして、現像剤供給部114は、第2空間121内でトナーと磁性キャリアとを攪拌し、軸芯方向に搬送しながら、現像ローラ115の外表面に供給する。
ケース125は、箱状に形成され、前述した現像剤供給部114の収容槽117に取り付けられて、該収容槽117とともに、現像ローラ115などを覆う。また、ケース125の感光体ドラム108と相対する部分には、開口部125aが設けられている。
現像ローラ115は、円柱状に形成され、第2空間121と、感光体ドラム108との間でかつ前述した開口部125aの近傍に設けられている。現像ローラ115は、感光体ドラム108と収容槽117との双方と平行である。現像ローラ115は、感光体ドラム108と間隔をあけて配されている。現像ローラ115と感光体ドラム108との間の空間は、現像剤126のトナーを感光体ドラム108に吸着させて、静電潜像を現像してトナー像を得る現像領域131をなしている。現像領域131では、現像ローラ115と感光体ドラム108とが相対する。
現像ローラ115は、図2及び図3に示すように、芯金134と、円筒状のマグネットローラ(磁石体ともいう)133と、前述した円筒状の現像スリーブ132とを備えている。芯金134は、長手方向が感光体ドラム108の長手方向と平行に配され、前述したケース125に回転することなく固定されている。
マグネットローラ133は、磁性材料で構成され、かつ円筒状に形成されているとともに、図示しない複数の固定磁極が取り付けられている。マグネットローラ133は、芯金134の外周に軸芯回りに回転することなく固定されている。
固定磁極は、長尺で棒状の磁石であり、マグネットローラ133に取り付けられている。固定磁極は、マグネットローラ133即ち現像ローラ115の長手方向に沿って延びており、該マグネットローラ133の全長に亘って設けられている。前述した構成のマグネットローラ133は、現像スリーブ132内に収容されている(内包されている)。
一つの固定磁極は、前述した攪拌スクリュー118と相対している。該一つの固定磁極は、汲み上げ磁極をなしており、現像スリーブ132即ち現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、収容槽117の第2空間121内の現像剤126を現像スリーブ132の外表面に吸着する。
他の一つの固定磁極は、前述した感光体ドラム108と相対している。この固定磁極は、現像磁極をなしており、現像スリーブ132即ち現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、現像スリーブ132と感光体ドラム108との間に磁界を形成する。この固定磁極は、該磁界によって磁気ブラシを形成することで、現像スリーブ132の外表面に吸着された現像剤126のトナーを感光体ドラム108に受け渡すようになっている。
前述した汲み上げ磁極と現像磁極との間には、少なくとも一つの固定磁極が設けられている。この少なくとも一つの固定磁極は、現像スリーブ132即ち現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、現像前の現像剤126を感光体ドラム108に向けて搬送するとともに、現像済みの現像剤126を感光体ドラム108から収容槽117内まで搬送する。
前述した固定磁極は、現像スリーブ132の外表面に現像剤126を吸着すると、現像剤126の磁性キャリアが該固定磁極が生じる磁力線に沿って複数重ねさせて、該現像スリーブ132の外表面上に立設(穂立ち)させる。このように、磁性キャリアが磁力線に沿って複数重なって現像スリーブ132の外表面上に立設する状態を、磁性キャリアが現像スリーブ132の外表面上に穂立ちするという。すると、この穂立ちした磁性キャリアに前述したトナーが吸着する。則ち、現像スリーブ132は、マグネットローラ133の磁力により外表面に現像剤126を吸着する。
現像スリーブ132は、図4に示すように、円筒状に形成されている。現像スリーブ132は、マグネットローラ133を内包し(収容し)て、軸芯回りに回転自在に設けられている。現像スリーブ132は、その内周面が固定磁極に順に相対するように回転される。現像スリーブ132は、アルミニウム合金、真鍮、ステンレス鋼(SUS)、導電性の樹脂などの非磁性材料で構成されている。現像スリーブ132は、表面処理装置1(図6に示す)によって外表面に粗面化処理が施されている。
アルミニウム合金は、加工性、軽さの面で優れている。アルミニウム合金を用いる場合には、A6063、A5056及びA3003を用いるのが好ましい。SUSを用いる場合には、SUS303、SUS304及びSUS316を用いるのが好ましい。なお、図示例では、現像スリーブ132は、アルミニウム合金で構成されている。
現像スリーブ132の外径は、17mm〜18mm程度であるのが望ましい。現像スリーブ132の軸(軸芯)方向の長さは、300mm〜350mm程度であるのが望ましい。
また、現像スリーブ132の外表面には、図4、図5、図6(a)及び図7に示すように、平面視が楕円形状の凹み139が多数設けられている。凹み139は、勿論、現像スリーブ132の外表面に凹に形成され、当該現像スリーブ132の外表面に互いに重ならないように規則的に多数(複数)配置されている。なお、本発明では、現像スリーブ132の周方向及び長手方向に互いに隣り合う凹み139間の間隔が一定となるように配置されていることを、凹み139が規則的に配置されているという。即ち、現像スリーブ132の周方向及び長手方向に互いに隣り合う凹み139間の間隔は、一定となっている。また、本発明では、現像スリーブ132の周方向及び長手方向に互いに隣り合う凹み139間の間隔が一定でないことを、凹み139が不規則に配置されているという。
規則的に配置されている例として、例えば、図5に示すように、凹み139が一列の螺旋状で周方向に同ピッチ(同間隔)で配置されている場合、図25に示すように、凹み139が二列の螺旋状で、1列目と2列目とがそれぞれ円周方向に同ピッチ且つ長手方向に整列して配置されている場合、図26に示すように、凹み139が二列の螺旋状で、1列目と2列目とがそれぞれ円周方向に同ピッチ且つ各列が長手方向に整列しないように円周方向にずれて配置されている場合、などがある。また、上記において凹み139の配置が三列またはそれ以上の螺旋状の場合も同様である。
不規則的に配置されている例として、例えば、図22、図23に示すように、凹み139の間隔が、所定の方向(例えば、現像スリーブ132の長手方向中央部から両端部への方向)に向かって徐々に狭くなるように配置されている場合、図27に示すように、凹み139が二列の螺旋状であり、1列目と2列目との円周方向のピッチがそれぞれ異なり且つ各列毎に長手方向に整列して配置されている場合、図28に示すように、凹み139が二列の螺旋状であり、1列目と2列目との円周方向のピッチがそれぞれ異なり(例えば、1列目ピッチP1>2列目ピッチP2)且つ各列毎に長手方向に整列しないように円周方向にずれて配置されている場合、などがある。また、上記において凹み139の配置が三列またはそれ以上の螺旋状の場合も同様である。
また、凹み139は、その長手方向が現像スリーブ132の長手方向に沿った状態で配置されている。即ち、凹み139は、その長手方向が現像スリーブ132の長手方向と平行又は略平行に配置されている。なお、図示例では、凹み139の長手方向は、現像スリーブ132の長手方向に対して若干傾いて、略平行に配置されている。このように、本発明では、凹み139の長手方向が現像スリーブ132の長手方向と平行又は略平行に配置されていることを、凹み139の長手方向が現像スリーブ132の長手方向と平行に配置されているという。
さらに、凹み139は、図5、図6(a)及び図7に示すように、現像スリーブ132の長手方向に沿って複数並べられて配置されているとともに、現像スリーブ132の周方向に互いに隣り合うもの同士は、当該凹み139の長さの約半分程度位置ずれして配置されている。さらに、凹み139は、図8(a)に示す表面処理装置1により現像スリーブ132の外表面に形成されるため、当該現像スリーブ132の外表面上に図5中の一点鎖線で示す螺旋上に並べられて配置されている。
また、凹み139は、図6(b)に示すように、その幅方向(即ち、現像スリーブ132の周方向)の断面形状がV字状に形成され、図6(c)に示すように、その長手方向(即ち、現像スリーブ132の長手方向)の断面形状が円弧状の曲面に形成されている。さらに、凹み139は、図8(a)に示す表面処理装置1により現像スリーブ132の外表面に形成されるため、図7に示すように、その長手方向が若干弓状に湾曲している。なお、本発明では、その長さが幅よりも長く、外縁が曲線で形成されていれば、その長手方向や直線であっても若干湾曲していても、総称して楕円形状とする。
さらに、凹み139の長手方向の長さ(長径)は、1.0mm以上でかつ2.3mm以下となっており、幅方向の幅(短径)は、0.3mm以上でかつ0.7mm以下となっているとともに、その深さは、0.05mm以上でかつ0.15mm以下となっている。さらに、凹み139は、現像スリーブ132の外表面100mm2当たり50〜250個程度設けられている。即ち、複数(多数)の凹み139の総容量が、現像スリーブ132の外表面100mm2当たり0.5mm3以上でかつ7.0mm3以下となっている。さらに、凹み139は、現像スリーブ132とともに回転する感光体ドラム108の周方向に1mm当たり1.0個以上でかつ3.0個以下設けられている。なお、図5、図6(a)及び図7では、図中の左右方向が現像スリーブ132の長手方向となっている。
一般に凹み139が深いほど現像剤126の搬送性能は向上するが溝を外表面に設けた従来の現像スリーブと同様に周期的なピッチムラが発生しやすくなる。一方、凹み139が浅いほどピッチムラは発生しにくくなるが現像剤126の搬送性能が低下する。特に近年では、小粒径のトナーや磁性キャリアの画像形成技術の進歩及び近接現像の画像形成技術の進歩等により画像再現性が向上しているため、ピッチムラが発生しやすくなっている。そこで、前述した現像スリーブ132では、凹み139の深さを浅めに設定し、当該凹み139の分布密度を増やすことで現像剤搬送性能とピッチムラ防止の両立を図っている。
ドクタブレード116は、現像装置113の感光体ドラム108寄りの端部に設けられている。ドクタブレード116は、現像スリーブ132の外表面と間隔をあけた状態で、前述したケース125に取り付けられている。ドクタブレード116は、所望の厚さを越える現像スリーブ132の外表面上の現像剤126を収容槽117内にそぎ落として、現像領域131に搬送される現像スリーブ132の外表面上の現像剤126を所望の厚さにする。
前述した構成の現像装置113は、現像剤供給部114でトナーと磁性キャリアとを十分に攪拌し、この攪拌した現像剤126を固定磁極により現像スリーブ132の外表面に吸着する。そして、現像装置113は、現像スリーブ132が回転して、複数の固定磁極により吸着した現像剤126を現像領域131に向かって搬送する。現像装置113は、ドクタブレード116で所望の厚さになった現像剤126を感光体ドラム108に吸着させる。こうして、現像装置113は、現像剤126を現像ローラ115に担持し、現像領域131に搬送して、感光体ドラム108上の静電潜像を現像して、トナー像を形成する。
そして、現像装置113は、現像済みの現像剤126を、収容槽117に向かって離脱させる。さらに、そして、収容槽117内に収容された現像済みの現像剤126は、再度、第2空間121内で他の現像剤126と十分に攪拌されて、感光体ドラム108の静電潜像の現像に用いられる。なお、現像装置113は、現像剤供給部114が例えば感光体ドラム108に供給されるトナーの濃度が低下したことを後述するトナー濃度センサが検知すると、撹拌スクリュー118の回転駆動によりトナーを現像ローラ115に向けて繰り出すようになっている。
前述した構成の画像形成装置101は、以下に示すように、記録紙107に画像を形成する。まず、画像形成装置101は、感光体ドラム108を回転して、この感光体ドラム108の外表面を一様に帯電ローラ109により−700Vに帯電する。感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、感光体ドラム108を露光して、画像部分を−150Vに減衰させて、該感光体ドラム108の外表面に静電潜像を形成する。そして、静電潜像が現像領域131に位置付けられると、この静電潜像に−550Vの現像バイアス電圧を印加して、現像装置113の現像スリーブ132の外表面に吸着した現像剤126が感光体ドラム108の外表面に吸着して、静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム108の外表面に形成する。
そして、画像形成装置101は、給紙ユニット103の給紙ローラ124などにより搬送されてきた記録紙107が、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108と転写ユニット104の搬送ベルト129との間に位置して、感光体ドラム108の外表面上に形成されたトナー像を記録紙107に転写する。画像形成装置101は、定着ユニット105で、記録紙107にトナー像を定着する。こうして、画像形成装置101は、記録紙107にカラー画像を形成する。
一方、転写されずに感光体ドラム108上に残ったトナーはクリーニングブレード112によって回収される。残留トナーを除去された感光体ドラム108は図示しない除電ランプで初期化され、次回の画像形成プロセスに供される。
また、前述した画像形成装置101では、環境変動や経時変動による画質の変動を抑えるために、プロセスコントロールを行なっている。具体的には、まず現像装置113における現像能力を検出する。例えば、あるトナーパターンの画像を、現像バイアス電圧を一定にした条件下で感光体ドラム108上に形成し、その画像濃度を図示しない光センサで検出し、濃度変化から現像能力を把握する。そして、この現像能力が所定の目標現像能力になるように、トナー濃度の目標値を変更することで、画質を一定に保つことができる。例えば、光センサで検出したトナーパターンの画像濃度が、目標現像濃度よりも薄い場合には、トナー濃度を高くするように、図示しない制御手段としてのCPUが撹拌スクリュー118を回転駆動するモータの駆動回路を制御する。一方、光センサで検出したトナーパターンの画像濃度が、目標現像濃度よりも薄い場合には、トナー濃度を低くするように、CPUが前述したモータの駆動回路を制御する。ここで、上記トナー濃度は図示しないトナー濃度センサで検知される。なお、感光体ドラム108上に形成されるトナーパターンの画像濃度は、現像スリーブ132による画像濃度周期ムラの影響で多少変動することがある。
前述した現像スリーブ132は、図8(a)に示す表面処理装置1によって外表面に凹み139が形成される。
表面処理装置1は、図8(a)に示すように、ベース3と、保持部4と、回転駆動部としてのモータ2と、移動手段としての工具移動部5と、工具6と、制御手段としての図示しない制御装置とを備えている。
ベース3は、平板状に形成されて、工場のフロアやテーブル上等に設置される。ベース3の上面は、水平方向と平行に保たれる。ベース3の平面形状は、矩形状に形成されている。
保持部4は、固定保持部7と、スライド保持部8とを備えている。固定保持部7は、ベース3の長手方向の一端部から立設した固定柱9と、この固定柱9の上端部に設けられた回転チャック10とを備えている。回転チャック10は、厚手の円板状に形成され、固定柱9の上端部にその中心を中心として回転自在に支持されている。回転チャック10の回転中心は、ベース3の表面と平行に配置されており、回転チャック10の中心部には円柱状のチャックピン11が立設している。勿論、チャックピン11は、回転チャック10と同軸に配置されている。
スライド保持部8は、スライダ12と、スライド柱13と、この固定柱9の上端部に設けられた回転チャック14とを備えている。スライダ12は、ベース3の表面即ち回転チャック10のチャックピン11の軸芯に沿ってスライド自在に設けられている。また、スライダ12は、回転チャック10のチャックピン11の軸芯方向の位置が適宜固定される構成となっている。
スライド柱13は、スライダ12から立設している。回転チャック14は、厚手の円板状に形成され、スライド柱13の上端部に取り付けられたモータ2の出力軸に取り付けられている。回転チャック14の回転中心は、固定保持部7の回転チャック10のチャックピン11と同軸に配置されている。回転チャック14の中心部には円柱状のチャックピン15が立設している。勿論、チャックピン15は、回転チャック14と同軸に配置されている。
前述した保持部4は、スライド保持部8が固定保持部7から離れた状態で、チャックピン11,15間に凹み139が形成される前の現像スリーブ132が位置付けられて、そして、保持部4は、スライド保持部8が固定保持部7に近づけられて、チャックピン11,15の先端が現像スリーブ132の端部内に侵入して、当該チャックピン11,15間に現像スリーブ132を挟んだ状態で、スライダ12が固定される。こうして、保持部4は、チャックピン11,15間に現像スリーブ132を挟んで、当該現像スリーブ132を保持する。
モータ2は、スライド保持部8のスライド柱13の上端部に取り付けられている。モータ2は、回転チャック14をその中心回りに回転駆動する。モータ2は、回転チャック14を回転駆動することで、チャックピン11,15間に挟まれた現像スリーブ132をその軸芯回りに回転させる。
工具移動部5は、リニアガイド16と、図示しない移動用アクチュエータと、を備えている。リニアガイド16は、レール17と、スライダ18とを備えている。レール17は、ベース3上に設置されている。レール17は、直線状に形成されているとともに、その長手方向がベース3の長手方向、チャックピン11,15即ちチャックピン11,15間に挟まれた現像スリーブ132の軸芯と平行に配されている。スライダ18は、レール17に該レール17の長手方向に沿って移動自在に支持されている。
移動用アクチュエータは、ベース3に取り付けられているとともに、前述したスライダ18をベース3の長手方向、チャックピン11,15即ちチャックピン11,15間に挟まれた現像スリーブ132の軸芯に沿って、スライド移動させる。
工具6は、工具本体19と、工具回転部としての工具回転用モータ20と、回転工具としてのエンドミル21と、を備えている。工具本体19は、スライダ18から立設した柱状に形成されている。
工具回転用モータ20は、工具本体19の上端部に取り付けられている。工具回転用モータ20は、図8(b)に示すように、その出力軸22が工具本体19の上端部からチャックピン11,15間に挟まれた現像スリーブ132に向かって突出した状態に配置されている。工具回転用モータ20の出力軸22は、その軸芯がベース3の表面と平行でかつチャックピン11,15間に挟まれた現像スリーブ132の軸芯と交差(図示例では直交)する状態で配置されている。
エンドミル21は、全体として円柱状に形成され、工具回転用モータ20の出力軸22の先端部に取り付けられている。このため、エンドミル21は、その軸芯がベース3の表面と平行でかつチャックピン11,15間に挟まれた現像スリーブ132の軸芯と交差(図示例では直交)する状態で配置されている。また、エンドミル21は、工具本体19の上端部からチャックピン11,15間に挟まれた現像スリーブ132に向かって突出した状態に配置されている。
エンドミル21は、図8(c)に示すように、円柱状の本体部23と、二つの切削刃24とを備えている。本体部23は、工具本体19に取り付けられる。切削刃24は、本体部23の現像スリーブ132寄りの先端部に周方向に間隔をあけて設けられている。切削刃24は、図8(d)に示すように、本体部23の先端部の外縁よりも当該本体部23即ちエンドミル21の外周方向に突出して設けられ、螺旋状に延在して形成されている。また、本実施形態では、エンドミル21の切削刃24の先端の外縁25の断面は、図8(c)に示すように、鋭角をなすように形成されている。
前述した工具6は、工具回転用モータ20がエンドミル21をその軸芯回りに回転することで、現像スリーブ132の外表面に凹み139を形成する。
制御装置は、周知のRAM、ROM、CPUなどを備えたコンピュータである。制御装置は、回転駆動部としてのモータ2と、工具移動部5の移動用アクチュエータと、工具6の工具回転用モータ20などと接続しており、これらを制御して、表面処理装置1全体の制御を司る。
制御装置は、現像スリーブ132の外表面に凹み139を多数形成する際には、回転駆動部としてのモータ2で現像スリーブ132をその軸芯回りに回転させて、工具回転用モータ20でエンドミル21をその軸芯回りに回転させながら、移動用アクチュエータにより工具を現像スリーブ132の軸芯(長手方向)に沿って移動させる。そして、制御装置は、切削刃24がエンドミル21の回転に伴い断続的に現像スリーブ132の外表面に切削加工を施して、凹み139を多数形成する。
このとき、切削刃24の外縁の曲率半径により現像スリーブ132の長手方向の凹み139の円弧の曲率半径を定め、切削刃24の切り込み量により凹み139の深さを定め、工具6の移動速度により凹み139の現像スリーブ132の長手方向の間隔を定める。また、現像スリーブ132の外表面に周方向に設ける凹み139の数をnとし、回転駆動部としてのモータ2の回転数即ち現像スリーブ132の回転数をN1とし、エンドミル21の切削刃24の数をmとし、エンドミル21の回転数をN2とすると、制御装置は、以下の式1を満たすように、回転駆動部としてのモータ2と、工具移動部5の移動用アクチュエータと、工具6の工具回転用モータ20を制御する。
N2=N1×〔m/[(n/2)−0.5]〕・・・式1
制御装置は、これらの各要件を適宜変更することで、凹み139の大きさや密度を任意に変更して、現像スリーブ132の外表面を加工することができる。
さらに、制御装置には、キーボードなどの各種の入力装置や、ディスプレイなどの各種の表示装置が接続している。
次に、前述した構成の表面処理装置1を用いて現像スリーブ132の外表面に切削加工を施して、現像スリーブ132を製造する工程を、以下説明する。
まず、制御装置に入力装置から現像スリーブ132の品番などを入力する。そして、制御装置が、工具6の回転工具としてのエンドミル21を加工開始位置即ち現像スリーブ132の一方の端部に位置付けた後、凹み139が形成される前の現像スリーブ132を保持部4に保持する。このとき、現像スリーブ132とチャックピン11,15などが同軸
になる。
そして、入力装置から作業開始命令を入力すると、前述した式1に基づいて、制御装置が、回転駆動部としてのモータ2と、工具移動部5の移動用アクチュエータと、工具6の工具回転用モータ20を駆動する。すると、軸芯回りに回転するエンドミル21の切削刃24が、断続的に現像スリーブ132の外表面に切削加工を施すことで、凹み139が形成される。即ち、凹み139は、軸芯回りに回転される回転工具6によって、現像スリーブ132の外表面に切削加工が施されて形成される。
また、回転駆動部としてのモータ2と、工具移動部5の移動用アクチュエータと、工具6の工具回転用モータ20が同時に駆動するので、凹み139が軸芯回りに回転される回転工具6によって現像スリーブ132の外表面に切削加工が施されて形成される際に、エンドミル21と交差(図示例では直交)する状態に配置された現像スリーブ132がその軸芯回りに回転されながら、エンドミル21と現像スリーブ132とが当該現像スリーブ132の長手方向に相対的に移動されて、凹み139が、形成される。
エンドミル21が、現像スリーブ132の加工終了位置即ち現像スリーブ132の他方の端部に位置付けられて、前述した現像スリーブ132の外表面の切削加工が終了すると、回転駆動部としてのモータ2と、工具移動部5の移動用アクチュエータと、工具6の工具回転用モータ20を停止する。そして、スライド保持部8を固定保持部7から離して、保持部7,8のチャックピン11,15間から外表面に凹み139が多数形成された現像スリーブ132を取り出して、新たな現像スリーブ132を保持部4に保持させる。こうして、現像スリーブ132の外表面に切削加工を施して、外表面に凹み139を多数形成して、前述した現像スリーブ132(図4に示す)が得られる。
本実施形態によれば、外表面に従来のサンドブラスト加工により形成されるような凸部が無く、凹み139はより大きな凹み139に形成されているので、経年変化によっても、凹み139が摩耗しにくくなり、よって、経年変化による現像剤126の搬送量の低下を抑制できる。
また、現像スリーブ132は、外表面に形成された凹み139が重ならないように規則的に配置されているので、現像剤126が凹み139内に溜まるので、該現像剤126の溜まる箇所が外表面に規則的に配置されることとなり、よって、画像のムラが生じることを防止できる。更に、今後の高速機での高画質維持の為に更に汲み上げ量を増加させることに対応できる。
さらに、凹み139を規則的に配置するので、最適な現像剤126のくみ上げ量を確保しながら長寿命化を図ることができる加工条件を設定することが容易で、かつ、設定された条件で確実に凹み139を形成でき、加工性に優れるという効果を奏でる。
さらに、現像スリーブ132の外表面に長手方向に長い複数個の凹み139が規則的に配置され、この凹み139の総容積を該現像スリーブ132の外表面の面積100mm2当たり0.5mm3以上にしているので、現像剤126の十分な搬送力が得られる。
また、凹み139を同形状同寸法で規則的に配置することで搬送性のムラによる画像ムラを防止し、且つ、感光体ドラム108の外表面の周方向1mm当たりに現像スリーブ132の凹み139が1.0以上存在するので、現像領域131内に常に複数の凹み139を存在させることができ、現像剤126のスリップによる画像ムラを防止することができる。
凹み139の長手方向が現像スリーブ132の長手方向と平行に配置されているので、汲み上げられる現像剤126を当該現像スリーブ132の長手方向に沿って並設させることとなり、そのために、現像スリーブ132が回転しても、汲み上げた現像剤126が該現像スリーブ132の外表面から脱落しにくくなり、よって、楕円形状の凹み139が従来から用いられてきた溝と同様の作用効果を奏でて、現像剤126の汲み上げ量を確保することができる。
凹み139の現像スリーブ132の長手方向の断面が円弧状に形成されているので、凹み139内に収容できる現像剤126の量を多くすることができる、十分な量の現像剤を搬送することができる。
現像スリーブ132の周方向に互いに隣り合う凹み139同士が現像スリーブ132の長手方向に位置ずれしているので、現像スリーブ132の外表面に凹み139が形成されていない箇所や凹み139が多く形成されている箇所などが生じることを防止できる。したがって、現像スリーブ132の外表面に吸着する現像剤126にムラが生じること即ち現像スリーブ132の外表面に一様に現像剤を吸着することができる。したがって、画像のムラが生じることを防止できる。
凹み139が現像スリーブ132の外表面に螺旋上に配置されているので、現像スリーブ132の外表面に吸着する現像剤126にムラが生じること即ち現像スリーブ132の外表面に一様に現像剤126を吸着することができる。したがって、画像のムラが生じることを防止できる。
エンドミル21によって現像スリーブ132の外表面に凹み139を形成するので、凹み139を確実に規則的に現像スリーブ132の外表面に形成することができる。したがって、画像のムラが生じることを防止できる。
現像スリーブ132をその軸芯回りに回転させかつエンドミル21を移動させながら凹み139を形成するので、凹み139を確実に規則的に現像スリーブ132の外表面に形成することができる。したがって、画像のムラが生じることを防止できる。
現像装置113、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106K及び画像形成装置101は、前述した現像ローラ115を備えているので、経年変化による現像剤の搬送量の低下を抑制できるとともに、画像のムラが生じることを防止できる。
前述した実施形態では、凹み139の現像スリーブ132の周方向の断面をV字状に形成しているが、本発明では、図9(a)乃至図9(c)に示すように、凹み139の現像スリーブ132の周方向の断面を円弧状に形成しても良い。図示例では、凹み139の現像スリーブ132の周方向と長手方向の双方の断面を円弧状に形成している。この場合、図11に示すように、エンドミル21の切削刃24の外縁25を円弧状に形成することで、凹み139の現像スリーブ132の周方向の断面を円弧状に形成している。また、この場合に限らず、現像スリーブ132の周方向の断面における凹み139の内面と現像スリーブ132の外表面とのなす角度θ(図10に示す)は、前述した現像磁極の影響で発生する現像濃度差を避けるために60度以下であるのが好ましい。なお、これらの図9乃至図11において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明する。
これらの図9乃至図11に示す場合によれば、凹み139の現像スリーブ132の長手方向と周方向の双方の断面が円弧状に形成されているので、凹み139内に収容できる現像剤126の量を多くすることができる、十分な量の現像剤を搬送することができる。
また、前述した実施形態では、凹み139の現像スリーブ132の周方向の断面をV字状に形成しているが、本発明では、切削刃24の外縁25の形状を適宜変更することで、図12及び図13に示すように、凹み139の現像スリーブ132の周方向の断面形状を適宜変更しても良い。図12は、V字状の凹み139の底が平坦に形成された場合を示し、図13は、V字状の凹み139の底が円弧状に形成された場合を示している。なお、図12及び図13において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
また、前述した実施形態では、モータ2,20やアクチュエータを同時に連続して動作させて、凹み139を現像スリーブ132の外表面に螺旋上に配置し、かつ各々の凹み139を若干弓状に湾曲して形成しているが、本発明では、図14及び図15に示すように、モータ2,20やアクチュエータを適宜完結的に動作させて、凹み139を現像スリーブ132の長手方向に沿って直線状に形成しても良いとともに、複数の凹み139を現像スリーブ132の周方向に沿って直線上に配置しても良い。
さらに、前述した実施形態などでは、凹み139を楕円形状に形成しているが、本発明では、前述した実施形態よりも外径D1の小さいエンドミル21(図16(b)に示す)を用いて、凹み139を、図16(a)に示すように、平面視を円形に形成しても良い。
また、前述した実施形態では、現像スリーブ132の周方向に互いに隣り合う凹み139を、当該凹み139の長さの約半分位置をずらして配置している。しかしながら、本発明では、現像スリーブ132の周方向に互いに隣り合う凹み139同士を、当該凹み139の長さの1/3、1/4などの任意の長さ位置をずらして配置しても良い。
さらに、前述した実施形態では、エンドミル21を現像スリーブ132の長手方向に沿って移動させることで、これらエンドミル21と現像スリーブ132とを相対的に移動させているが、勿論、本発明では、エンドミル21と現像スリーブ132とのうち少なくとも一方を現像スリーブ132の長手方向に沿って移動して、これらを相対的に移動させても良い。
前述した画像形成装置101では、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kはカートリッジケース111と帯電ローラ109と感光体ドラム108とクリーニングブレード112と現像装置113とを備えている。しかしながら、本発明ではプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは少なくとも現像装置113を備えていれば良く、カートリッジケース111と帯電ローラ109と感光体ドラム108とクリーニングブレード112を必ずしも備えていなくても良い。また、前述した実施形態では画像形成装置101は装置本体102に着脱自在なプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを備えている。しかしながら本発明では画像形成装置101は現像装置113を備えていれば良く、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを必ずしも備えていなくても良い。
以上のような構成の画像形成装置は、本出願人の出願である特開2009−80447号公報に詳細が開示されている。
以上のような構成を備えたプロセスカートリッジを用いる画像形成装置を対象として本発明の特徴を説明すると次の通りである。
本発明の特徴は、補給部から導入された新規トナーが現像剤表層で上滑りするのを防止する構成として磁界発生手段を用いて磁力による現像剤カーテン、つまり、移動してくる上滑り状態のトナーを堰き止めて現像剤中に潜り込ませるようにし、現像剤中への新規トナーの分散性を維持するようにした構成を対象とし、そしてこの構成において、堰き止められることが原因する新規トナーの堆積による補給部からの漏洩を防止するようにした点にある。
図17は、本発明による現像装置200の外観を示す斜視図である。
同図において現像装置200は、図18に内部構造が示されているように、マグネットローラを内蔵した現像スリーブ201,一対の攪拌・搬送スクリュー202,203を収容可能な空間を備えた現像槽、いわゆる、現像ケーシング200Aで構成されており、現像ケーシング200Aにおける長手方向、つまり現像スリーブ201,攪拌・搬送スクリュー202,203の軸方向一端側には、新規トナーの導入部となる補給口200A1が設けられている。なお、図18において符号201Aは、現像スリーブ201上での剤厚を規定するドクタブレードを示している。
図18は、現像装置200の内部構成を説明するための断面図であり、同図において現像ケーシング200A内には、現像スリーブ201,一対の攪拌・搬送スクリュー203,203をそれぞれ収容可能な空間が形成されている。
図18において攪拌・搬送スクリュー202,203は、回転方向が相反する方向に設定され、両方の攪拌・搬送スクリュー間で現像剤を循環させる構成となっている。
攪拌・搬送スクリューのうちで、現像スリーブ201に近い側のスクリュー202は、現像スリーブ201に対して現像剤を汲み上げる機能を有し、現像スリーブ201から遠い位置のスクリュー203は、補給口から導入された新規トナーを現像剤と共に攪拌しながら移送して現像スリーブ201に近い側のスクリューに供給する供給機能を有している。
補給口200A1から新規トナーを導入される攪拌・搬送スクリュー203が配置されている空間には、図17に示すように補給口200A1の近傍で現像剤の移動方向下流側の位置には、磁界発生手段204が設けられている。
磁界発生手段204は、補給口200A1から導入されて攪拌・搬送スクリューの回転により移送される新規トナーを堰き止めて現像剤中に潜り込ませる穂立ち部を形成する部材であり、フェライト製マグネットなどが用いられる。
磁界発生手段204は、図19に示すように、現像ケーシング200Aにおける攪拌・搬送スクリュー203の収容空間に対向して配置されている。
本発明においては、図19に示すように、磁界発生手段204の配置位置を基準として、矢印で示す新規トナーT0の移動方向上流側での攪拌・搬送スクリュー203の収容空間が、磁界発生手段204の配置位置を基準とした新規トナーの移動方向下流側での収容空間よりも大きな空間で構成されたトナー貯留空間205が設けられている。なお、図19において二点鎖線で示す範囲は現像剤が充填されて搬送される部分を示している。
トナーの貯留空間205は、補給口から移動してくる新規トナーT0、詳しくは、現像剤表層を上滑り状態で移動してくる新規トナーT0のバッファー部として機能する部分であり、磁界発生手段204の配置位置を境にして、新規トナーT0の移動方向上流側での攪拌・搬送スクリュー203の外周面と現像ケーシング200Aの内面との間の距離が新規トナーの移動方向下流側でのその距離よりも大きくすることにより構成されている。
本実施例は以上のような構成であるから、補給口から導入されて現像剤表層を上滑り状態で移動する新規トナーT0は、図19(B)に示すように、磁界発生手段204の作用によって堰き止められると、貯留空間205内に向けて膨出して一時的に溜まる。これにより、後続の新規トナーT0が搬送を継続されても磁界発生手段204近傍で新規トナーが堆積してしまうことがない。
トナー貯留空間205内にて一時的に溜まった新規トナーT0は、攪拌・搬送スクリュー203の搬送力によって磁界発生手段204により形成されている穂立ち部分、いわゆる、現像剤カーテンT1中に向けて移送され、現像剤中に分散されることになる。
本実施例に対して、図20に示すように、貯留空間205を設けていない場合と比較すると、貯留空間205がない場合には、現像剤表層を移動してきた新規トナーT0は、磁界発生手段204によって堰き止められると、その部分に堆積してしまい、後続の新規トナーの進行が妨げられることによって補給口から漏出してしまうことになるが、本実施例の構成では、磁界発生手段204により堰き止められた新規トナーが現像剤表層で堆積するのを抑止されることで補給口200A1から溢れて漏出してしまうのが防止されることになる。
次に、本発明による現像装置の別実施例について説明する。
本実施例の特徴は、上述したトナー貯留空間205を設けた構成に加えて、磁界発生手段の配置位置を基準として、トナーの移動方向上流側での攪拌・搬送スクリューの螺旋羽根形成ピッチを上記移動方向下流側の螺旋羽根形成ピッチよりも大きい部分を設けたことにある。
図20は、上記特徴を説明するための図であり、同図において攪拌・搬送スクリュー203は、回転軸に一体の螺旋羽根203Aを有し、その羽根の形成ピッチにおいて、磁界発生手段204の配置位置を基準として、矢印で示す新規トナーT0の移動方向上流側での羽根間のピッチ(P1)がトナーの移動方向下流側での羽根間のピッチ(P2)よりも大きくされた(P1>P2)領域を設定されている。なお、図20に示す構成では、上述したピッチ(P1)を設定された螺旋羽根を挟んで現像剤の移動方向上流側での螺旋羽根の形成ピッチが現像剤の移動方向下流側での形成ピッチ(P2)と同様に設定されている場合が示されている。
本実施例は以上のような構成であるから、補給口から導入されて現像剤表層を上滑り状態で移動する新規トナーT0は、磁界発生手段204の配置位置近傍に達すると、螺旋羽根の形成ピッチが大きくなる部分において螺旋形成ピッチの小さい部分で螺旋羽根間に充填されていた現像剤の嵩が低くなる。つまり、螺旋羽根の形成ピッチを大きくすると、螺旋羽根間の空間容積が広がることになり、小さい形成ピッチの螺旋羽根間に充填されていた現像剤は、広い充填空間に至ると、その充填空間内に入り込むことで嵩が低くなる。
現像剤の嵩が低くなると、現像剤表層を移動して磁界発生手段204により堰き止められた新規トナーT0が、その嵩が低くなっている部分に入り込み、その部分で一時的に溜まることになる。現像剤の嵩が低くなっている部分に一時的に溜まっている新規トナーT0は、上述した実施例と同様に、攪拌・搬送スクリュー203によって磁界発生手段20−4により形成されている穂立ち部分、つまり現像剤カーテン部に突入する状態で搬送され、現像剤中に分散されやすくなる。
以上のような実施例においては、磁界発生手段204によって堰き止められる新規トナーを一時的に溜めることができる構成を備え、一時的に溜められた新規トナーが攪拌・搬送スクリュー204により搬送される過程で磁界発生手段204により形成される現像剤カーテン内に突入する状態で搬送され、現像剤中に分散されることになる。従って、現像剤表層から現像剤中へと強制的に搬送されることにより、現像剤中での分散が促進されることで攪拌による帯電特性の向上が得られ、不完全な摩擦帯電が原因する地肌汚れの発生や異常画像の発生、さらには周辺部への飛散を確実に防止されることになる。