以下、本発明を画像形成装置としての電子写真複写機(以下、複写機500という)に適用した実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る複写機500を示す概略構成図である。複写機500は、複写装置本体(以下、プリンタ部100という)、給紙テーブル(以下、給紙部200という)及びプリンタ部100上に取り付けるスキャナ(以下、スキャナ部300という)から構成される。
プリンタ部100は、プロセスユニットとしての4つのプロセスカートリッジ1(Y,M,C,K)、複数の張架ローラに張架されて図1中の矢印A方向に移動する中間転写体としての中間転写ベルト7、露光手段としての露光装置6、定着手段としての定着装置12等を備えている。
4つのプロセスカートリッジ1における1という符号の後に付されたY,M,C,Kという添字は、イエロー,マゼンタ,シアン,黒用の仕様であることを示している。4つのプロセスカートリッジ1(Y,M,C,K)は、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、以下、K,Y,M,Cという添字を省略して説明する。
プロセスカートリッジ1は、潜像担持体である感光体2、帯電手段である帯電部材3、現像手段である現像装置4、及び、クリーニング手段である感光体クリーニング装置5を一体的に支持してユニット状とした構成となっている。各プロセスカートリッジ1は、それぞれの不図示のストッパーを解除することにより、複写機500本体に対して着脱可能となっている。
感光体2は、図中の矢印で示されるように、図中の時計周り方向に回転する。帯電部材3は、ローラ状の帯電ローラであり、感光体2の表面に圧接されており、感光体2の回転により従動回転する。作像時には、帯電部材3には図示しない高圧電源により所定のバイアスが印加され、感光体2の表面を帯電する。実施形態に係るプロセスカートリッジ1は、帯電手段として、感光体2の表面に接触するローラ状の帯電部材3を用いているが、帯電手段としてはこれに限るものではなく、コロナ帯電などの非接触帯電方式を用いてもよい。
露光装置6は、スキャナ部300で読み込んだ原稿画像の画像情報またはパーソナルコンピュータ等の外部装置から入力される画像情報に基づいて、感光体2の表面に対して露光し、感光体2の表面に静電潜像を形成する。プリンタ部100が備える露光装置6は、レーザーダイオードを用いたレーザービームスキャナ方式を用いているが、露光手段としてはLEDアレイを用いるものなど他の構成でも良い。
感光体クリーニング装置5は、中間転写ベルト7と対向する位置を通過した感光体2の表面上に残留する転写残トナーのクリーニングを行う。
4つのプロセスカートリッジ1は、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色ごとのトナー像を感光体2上に形成する。そして、中間転写ベルト7の表面移動方向に並列に配設され、それぞれの感光体2上に形成されたトナー像を中間転写ベルト7に順に重ね合わせるように転写し、中間転写ベルト7上に可視像を形成する。
図1において、各感光体2に対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置には、一次転写手段としての一次転写ローラ8が配置されている。一次転写ローラ8には不図示の高圧電源により一次転写バイアスが印加され、感光体2との間で一次転写電界を形成する。感光体2と一次転写ローラ8との間で一次転写電界が形成されることにより、感光体2の表面上に形成されたトナー像が中間転写ベルト7の表面に転写される。中間転写ベルト7を張架する複数の張架ローラのうちの一つが不図示の駆動モータによって回転することによって中間転写ベルト7が図中の矢印A方向に表面移動する。表面移動する中間転写ベルト7の表面上に各色のトナー像が順次重ねて転写されることによって、中間転写ベルト7の表面上にフルカラー画像が形成される。
4つのプロセスカートリッジ1が中間転写ベルト7と対向する位置に対して、中間転写ベルト7の表面移動方向下流側には、張架ローラの一つである二次転写対向ローラ9aに対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置に二次転写ローラ9が配置され、中間転写ベルト7との間で二次転写ニップを形成する。二次転写ローラ9と二次転写対向ローラ9aとの間に所定の電圧を印加して二次転写電界を形成する。給紙部200から給紙され、図1中の矢印S方向に搬送される記録紙Pが二次転写ニップを通過する際に、中間転写ベルト7の表面上に形成されたフルカラー画像が、二次転写ローラ9と二次転写対向ローラ9aとの間に形成された二次転写電界によって記録紙Pに転写される。
二次転写ニップに対して記録紙Pの搬送方向下流側に、定着装置12が配置されている。二次転写ニップを通過した記録紙Pは定着装置12に到達し、定着装置12における加熱及び加圧によって記録紙P上に転写されたフルカラー画像が定着され、画像が定着された記録紙Pは複写機500から機外へと排出される。
一方、二次転写ニップで記録紙Pに転写されず中間転写ベルト7の表面上に残留したトナーは、転写ベルトクリーニング装置11によって回収される。
図1に示されるように、中間転写ベルト7の上方には、各色トナーを収容するトナーボトル400(Y,M,C,K)が複写機500本体に対して着脱可能に配置されている。各色トナーボトル400に収容されたトナーは、各色に対応する不図示のトナー補給装置によって、各色の現像装置4に供給される。
従来から一般的に知られている現像方式は、二成分現像方式と一成分現像方式とに大別される。二成分現像方式は、高速現像に適しており、現在の中速や高速出力機の多くで採用されている方式である。二成分現像方式において、高画質を実現するためには、感光体の静電潜像に対して二成分現像剤を密に接触させる必要がある。そのために、トナーと磁性キャリアとを含有する二成分現像剤の磁性キャリア粒子の小径化が進んでおり、商用レベルでは30[μm]程度の粒径の磁性キャリアも使用され始めている。しかし、高画質化に対する要求は益々高まっており、必要とされる画素のドットサイズが現状のキャリア粒子径と同等もしくはそれよりも小さい、といったケースもある。孤立ドットを良好に再現するためには、磁性キャリア粒子の粒径を更に小さくすることが求められる。磁性キャリア粒子の粒径を小さくしていくと、キャリア粒子1つあたりの透磁率を低下させることから、現像剤担持体としての現像スリーブ表面からのキャリア離脱を引き起こし易くなる。現像スリーブ表面から離脱した磁性キャリア粒子が感光体に付着すると、画像中に磁性キャリア粒子を存在させることによる画質劣化だけでなく、感光体の傷付きなどといった様々な不具合が発生する。このキャリア離脱の発生を抑えるために、磁性キャリア粒子の透磁率を向上させるキャリア材料の開発や、現像スリーブ内に配設するマグネットの磁力を強くする試みがなされているが、低コスト化と高画質化とを両立させるキャリア材料やマグネットが現像では存在しない。また、装置小型化が進められる近年においては、現像スリーブの小径化が進められていることから、キャリア離脱を有効に抑え得る磁場の形成が困難になってきている。
また、二成分現像方式では、磁気ブラシと呼ばれる二成分現像剤の穂を感光体の静電潜像に擦り付けながら二成分現像剤中のトナーを静電潜像に転移させることから、穂が均一に形成されないと、孤立ドットの濃度にムラが生じ易い。現像スリーブと感光体との間に交番電界を形成して静電潜像と穂との間でトナーを往復移動させることで、濃度ムラをある程度までは抑制することは可能であるが、穂の不均一による現像濃度ムラを解消することはできない。
また、感光体から転写体へのトナー像の転写効率や、感光体からの転写残トナーのクリーニング効率を上げる狙いから、感光体とトナーとの非静電的付着力を極力下げることが望ましい。その方法として、感光体の表面層として、できるだけ摩擦係数の小さい材料からなるものを用いることが従来から行われているが、この方法では、二成分現像剤の穂を滑らかに感光体に擦り付けることから、現像効率やドット再現性が非常に悪くなってしまう。
一方、一成分現像方式は、機構が小型軽量になることから、現在の低速出力機で多く採用されている方式である。実施形態に係る複写機では、一成分現像方式を採用している。
図2は、実施形態に係る複写機の現像装置4を示す概略構成図であり、図1におけるの紙面奥側からの眺めを示している。また、図3、図4はそれぞれ、現像装置4を示す斜視図であり、互いに異なる方向からの眺めを示している。これらの図において、現像装置4の外形を形成する現像ケーシング41は、上ケース411、中ケース412及び下ケース413が組み合わさることで形成される。中ケース412はトナー収容部43を形成し、上ケース411にはトナー収容部43と外部とを連通する現像剤補給部であるトナー補給口55が形成されている。また、上ケース411には、現像ローラ42と上ケース411との隙間をシールする入口シール47が設けられている。
図5は、現像装置4を図2と同じ方向から示す断面図である。また、図6は、現像装置4の長手方向の一端部を示す斜視図である。これらの図において、中ケース412には、現像ローラ42、供給ローラ44、ドクタブレード45、パドル46、供給スクリュー48及びトナー残量センサ49等が設けられている。
現像装置4には、内部と外部とを連通する開口部56が長手方向(図中Y軸方向)に沿って設けられている。この開口部56は、現像ローラ42の周面の一部を現像装置4の外部に露出させて、感光体2に直接対向させるためのものである。感光体2と現像ローラ42とが微小ギャップを介して対向している位置が、現像位置αである。
図7は、現像装置4の長手方向の一端部(図1中の奥側端部)を示す分解斜視図である。図7に示される現像装置4は、下ケース(413)が取り外されている。また、図8は、現像ローラを取り外した状態の現像装置4における長手方向の一端部を示す分解斜視図である。また、図9は、下ケースを取り外した状態の現像装置4における長手方向の他端部(図1中の手前側端部)を示す分解斜視図である。また、図10は、現像ローラを取り外した状態の現像装置4における長手方向の他端部を示す分解斜視図である。
これらの図において、現像装置4では、供給ローラ44が図2中の矢印C方向(図2中の時計回り方向)に回転して表面移動することにより、トナー収容部43内のトナーTを現像ローラ42に対向する領域である供給ニップβに搬送し、現像ローラ42の表面にトナーを供給する。現像ローラ42は、供給されたトナーを表面上に担持して、図2中の矢印B方向(図2中の時計回り方向)に回転して表面移動することにより、現像ローラ42上のトナーを所定量に規制するドクタブレード45との対向部までトナーを搬送する。ドクタブレード45は現像ローラ42との対向部で、現像ローラ42の表面移動方向に対してカウンター方向(ドクタブレード45の先端がドクタブレード45の基部よりも現像ローラ42の回転方向上流側になるように)に当接し、ドクタブレード45との対向部で所定量に規制されたトナーは、現像ローラ42の回転に伴って感光体2に対して微小ギャップを介して対向する現像位置αに到達する。
供給ニップβでは、供給ローラ44の表面は下方から上方に向かって移動し、現像ローラ42の表面は上方から下方に向かって移動する。なお、供給ローラ44と現像ローラ42とは、供給ニップβにおいて互いに接触している。
現像位置αでは、現像バイアス電源142から現像ローラ42に印加された現像バイアスと感光体2表面上の潜像との電位差によって形成される現像電界に応じて、現像ローラ42の表面上のトナーTが感光体2の表面に移動し、感光体2の表面上の静電潜像部分にトナーが付着し、現像が行われる。感光体2は、現像ローラ42に対して非接触で、図2中の矢印D方向に回転する。このため、現像位置αにおいて、現像ローラ42の表面移動方向と感光体2の表面移動方向とは同方向となる。
現像バイアス電源142は、現像位置αに搬送されたトナーによる潜像の現像のために、現像ローラ42から感光体2へトナーを向かわせるための第一電圧と、感光体2から現像ローラ42へトナーを向かわせるための第二電圧とを備えた交番電圧を現像ローラ42に印加する電圧印加部である。
詳細は後述するが、現像ローラ42の表面には非凹部としての平面部42aの高さや凹部42bの深さが実質的に一定の規則的な凹凸形状を外周面の全周に渡って有している。現像位置αで現像に寄与せず、現像位置αを通過した現像ローラ42の表面上のトナーTは、供給ニップβにおける現像ローラ42の回転方向上流側の部分で供給ローラ44によって回収され、現像ローラ42表面のリセットがなされる。つまり、供給ローラ44は、回収ローラとしての役割も有している。なお、非凹部は、具体的には、凹部の天端と同じレベルに存在していて規制部材に接触する面、及び前記レベルよりも上に存在していて規制部材に接触する面である。凸部と称することもできる。
現像ローラ42の表面上に規則的に形成された凹部42bに担持されたトナーTは回収され難い。そして、現像位置αを通過したトナーTが供給ニップβを通過し、現像ローラ42に担持されたままとなると、トナーTが現像ローラ42に固着してトナーフィルミングが発生する。トナーフィルミングが発生すると、現像ローラ42上のトナーTの単位重量当たりの帯電量や現像ローラ42の単位面積当たりのトナー量が不安定になり、現像時の濃度ムラの発生原因となる。
現像ローラ42と供給ローラ44とが対向する供給ニップβでは、現像ローラ42の表面移動方向と供給ローラ44の表面移動方向とが逆方向となっている。これにより、供給ニップβにおける現像ローラ42の表面と供給ローラ44の表面との線速差が大きくなり、供給ニップβでの供給ローラ44による回収性能の向上を図ることが出来る。よって、トナーが現像ローラ42に担持されたままとなることを抑制し、現像ローラ42の表面にトナーが固着することを抑制でき、現像ローラ42の表面に一成分現像剤のトナーが固着することに起因する現像時の濃度ムラの発生を抑制することが出来る。
現像ローラ42と供給ローラ44との線速比は、現像ローラ42の表面移動速度:供給ローラ44の表面移動速度=1:0.85となっているが、線速比としてはこの値に限るものではない。
図2に示されるように、供給ローラ44は、トナー収容部43の上部に配設され、その少なくとも一部がパドル46の回転を停止した状態のトナー収容部43内のトナーTの剤面よりも上方に位置している。そして、供給ニップβに対して供給ローラ44の表面移動方向下流側の領域(以下、供給ニップ下流側領域と呼ぶ。)がトナーTの剤面よりも上方に位置している。特許文献1の図4に記載の構成のように、供給ニップ下流側領域にトナーが充填されていると、供給ニップ下流側領域に充填された状態のトナーが新たなトナーが供給ニップ下流側領域に入ってくることを阻害し、供給ニップβにおける現像ローラ42からのトナーの回収効率を低下させるおそれがある。これに対し、実施形態に係る現像装置4は、図2に示されるように、供給ニップ下流側領域がトナーTの剤面よりも上方に位置しているため、供給ニップ下流側領域にはトナーが充填されておらず、供給ニップ下流側領域に存在するトナーによって、供給ニップβにおける現像ローラ42からのトナーの回収を阻害されることがない。このため、効率的にトナーの回収を行うことができ、トナーのリセット性を向上させることができる。
次に、現像ローラ42について説明する。図11は、現像ローラ42を示す斜視図である。また、図12は、現像ローラ42を示す正面図である。また、図13は、現像ローラ42の表面形状を説明するための図である。詳しくは、図13(a)は、現像ローラ42の全体を示す全体模式図である。また、図13(b)は、現像ローラ42の表面の一部を拡大して示す拡大模式図である。また、図13(c)は、現像ローラ42を図13(b)中のL11又はL13の位置で破断した断面図である。また、図13(d)は、図13(b)中のL12又はL14の位置で破断した断面図である。
これらの図において、現像ローラ42は、現像ローラ軸421に表面にトナーを担持する現像ローラ円筒部420を設けた構成であり、現像ローラ円筒部420に対して軸方向外側である軸方向両端部近傍の現像ローラ軸421には、スペーサー422が設けられている。現像ローラ42は、現像ローラ軸421を中心に回転可能に設けられており、現像ローラ軸421の軸方向が現像装置4の長手方向(図中Y軸方向)と平行になるように配置されている。現像ローラ42の現像ローラ軸421の軸方向両端は中ケース412の側壁部412sに対して回転可能に取り付けられている。現像ローラ42の表面の一部は開口部56から現像装置4の外部に露出し、この露出した表面が下方から上方に表面移動してトナーを搬送するように、現像ローラ42は図2中の矢印B方向に回転する。
また、現像ローラ42は、軸方向両端部近傍に設けられたスペーサー422が感光体2の表面に接触することにより、現像位置αにおける現像ローラ円筒部420の表面と感光体2の表面との距離(現像ギャップ)を一定に保っている。現像ローラ42の基材42gは、5056アルミニウム合金や6063アルミニウム合金等のアルミニウム系やSTKM等の鉄系等の金属材料スリーブからなる。この基材42gの外周面には、表面層42fが形成されている(図31参照)。現像ローラ42は、基材42gである金属材料スリーブの表面に凹凸加工を施し、凹凸加工を施した金属材料スリーブに対して、ニッケル鍍金を施することで、現像ローラ42の腐食の防止や、トナーの帯電性補助を行う表面層42fを形成している。
現像ローラ42の現像ローラ円筒部420は、図13(a)に示されるように、その表面の構造の相違に基づき、主として、2つの部分(溝形成部420a、非溝形成部420b)に分けられる。溝形成部420aは、現像ローラ42の軸方向において中央部を含む部分であり、トナーを適切に担持させるために凹凸加工がその表面に施されている。凹凸加工としては、いわゆる転造加工が採用されており、平面部42aは互いに巻き方向の異なる螺旋状の第一溝L1および第二溝L2に囲まれて形成されている。巻き方向の異なる螺旋状の溝を形成することで、現像ローラ42の表面には網目上の凹凸が形成される。転造加工としては、従来公知の加工方法を採用することができる。また、第一溝L1および第二溝L2は、それぞれ現像ローラ42の軸方向に対して所定角度(実施形態では、L1およびL2ともに45[°]であるが、これに限定されるものではない)で傾斜している。
第一溝L1および第二溝L2は、いずれもそれらの傾斜方向に所定の周期幅で周期的に形成されることで、平面部42aが軸方向のピッチ幅W1で形成される。また、第一溝L1および第二溝L2は、の各傾斜角および周期幅は、いずれも互いに異ならせることもできる。また、平面部42aの頂面42tの軸方向長さW2はピッチ幅W1の1/2以上の大きさとなるように形成する。
現像ローラ42における平面部42aの軸方向のピッチ幅W1は80[μm]であり、平面部42aの頂面42tの軸方向長さW2は40[μm]である。また、凹部42bから平面部42aの頂面42tまでの高さである凹部深さW3は10[μm]である。ピッチ幅W1、頂面42tの軸方向長さW2及び凹部深さW3の値は一例であり、この値に限られるものではない。
現像ローラ42の表面層42fの材料は、トナーを正規帯電させる材料であることことが望ましい。フィルミングによって低帯電トナーが生まれた場合においても、ジャンピングしたトナーTによってたたき出された低帯電トナーが、平面部42aや凹部42bのフィルミングがおきていない部分で帯電できるため、低帯電トナーを減少させることができ、画像濃度が安定化する。実施形態の現像ローラ42では、ニッケル鍍金を施すことにより、その表面層42fがトナーを正規帯電させる材料となっている。
また、現像ローラ42の表面層42fの材料は、ドクタブレード45(ブレード部材450)よりも硬いものであることが望ましい。これにより、現像ローラ42の表面の平面部42aがドクタブレード45によって削れ難くなるため、平面部42aとドクタブレード45で囲まれる凹部42bの体積が変わりにくくなり、M/A値(現像ローラ表面上の単位面積当りのトナーの担持量)が安定する。
現像ローラ42の平面部42aの高さについては、使用するトナーTの重量平均粒径よりも大きくすることが望ましい。平均的な大きさのトナーTが凹部42b内に収まるため、粒径の選択が起こりにくくなり、経時でのM/A値(現像ローラ表面上の単位面積当りのトナーの担持量)が安定する。
次に、供給ローラ44について説明する。図14は、供給ローラ44を示す斜視図である。また、図15は、供給ローラ44を示す側面図である。これらの図において、現像装置4の内部では、トナー収容部43の上方の現像ローラ42側に、円筒状の供給ローラ44が設けられている。供給ローラ44は、その軸部である供給ローラ軸441を中心に円筒状の発泡材による発泡弾性層が巻きついた構成であり、この円筒状の発泡材が表面にトナーを担持する供給ローラ円筒部440となる。
供給ローラ44は、供給ローラ軸441を中心に回転可能に構成され、中ケース412の側壁部412sに対して回転可能に取り付けられている。供給ローラ44は、供給ローラ円筒部440の外周面の一部が、現像ローラ42の現像ローラ円筒部420の外周面と供給ニップβで接触するように配置されており、図2及び図5に示されるように、供給ローラ軸441は、現像ローラ軸421よりも上方に配置されている。
供給ローラ44は、現像ローラ42と対向する箇所である供給ニップβで現像ローラ42の表面移動方向に対して逆方向に表面が移動するように回転する。また、現像装置4は、図2に示されるように、供給ニップβの位置が、現像ローラ42に対するドクタブレード45の当接位置に対して、上方に位置する配置となっている。
供給ローラ44の供給ローラ円筒部440は、発泡材料からなる。そして、供給ローラ円筒部440において、現像ローラ42に接触する表面層は、表面に多数の微小孔が分散しているスポンジ層となっている。供給ローラ44の表面層をスポンジ状にすることで、凹部42bの底まで供給ローラ44が届きやすくなるため、現像ローラ42上トナーのリセット性が向上する。
供給ローラ44の現像ローラ42に対する食い込み量(「現像ローラ42の半径」+「供給ローラ44の半径」−「現像ローラ42と供給ローラ44との軸間距離」)は、現像ローラ42の平面部42aの高さよりも大きくなっている。平面部42aの高さよりも供給ローラ44の食い込み量を大きくすることで、凹部42bにおけるトナーのリセット性を向上できる。なお、供給ローラ44の現像ローラ42に対する食い込み量が平面部42aの高さに対して大きすぎると、トナーが凹部42bに押し込まれてしまい、凝集の原因となるため、食い込み量が大きくなりすぎないように設定する必要がある。
供給ローラ44の供給ローラ円筒部440に用いる発泡材料は、電気抵抗が103〜1014[Ω]の範囲に調整されている。供給ローラ44には、回収バイアス電源52によって回収バイアスが印加されるが、この回収バイアスについては後に詳述する。現像ローラ42と供給ローラ44とが当接する供給ニップβでは、供給ローラ44の発泡セル内に保持されているトナーが現像ローラ42の表面に供給されるとともに、現像ローラ42の凹部内に残留している残留トナーが供給ローラ44の発泡セル内に回収される。
現像ローラ42に印加される交番電圧からなる現像バイアスは、その中心値(単位時間あたりの平均値)が、トナーの正規帯電極性と同極性になっている(本例ではマイナス極性)。供給ローラ44は、表面に存在している複数の空泡の中に保持したトナーを、供給ニップβにおいて、現像ローラ42に供給する。供給ニップβでは、現像ローラ42の表面と、供給ローラ44の方面とが互いにカウンター方向に移動する。供給ニップβにおいて、供給ローラ44の表面の空泡内から現像ローラ42の凹部42bに移動したトナーが両ローラの摺擦によってすり切られる。そして、供給ニップβの出口において、凹部42b内のトナーがそのまま現像ローラ42の表面移動に追従して現像ローラ42とともに移動する。
次に、ドクタブレード45について説明する。図5〜図10に示されるように、現像ローラ42の下方で下ケース413の内側となる中ケース412には、ドクタブレード45が設けられている。図16は、ドクタブレード45を示す斜視図である。また、図17は、ドクタブレード45を示す正面図である。これらの図において、ドクタブレード45は、規制部材を構成する薄い板状の金属部材であるブレード部材450と、ブレード部材450の一端が固定されている金属製の台座部452とを有する。そして、ブレード部材450の他端側が現像ローラ42に接触するように構成されている。ブレード部材450の現像ローラ42に対する接触状態は、先端が接触する先端当て状態(後述するエッジ当て)、及び、先端よりも根元側の面部が接触する腹当て状態、の何れでもよい。しかし、先端当て状態の方が、平面部42aの頂面42tに存在するトナーをすり切ることができ、凹部42bに存在するトナーのみを現像位置αに搬送することで、現像位置αに搬送するトナー量が安定するため、より好ましい。
エッジ当てとは、図33に示されるように、ドクタブレード45において、現像ローラ42の対向面と、ブレード先端面との間の稜線を形成している先端エッジを、現像ローラ42の表面に接触させる状態である。稜線を形成している先端エッジにおいて、稜線は丸みを帯びていても良いし、面取りされていてもよい。ドクタブレード45における現像ローラ42との対向面をブレード先端に向けて延長した仮想線と、ブレード先端面を現像ローラ42に向けて延長した仮想線との交点や、その近傍に一するブレード箇所が、先端エッジである。より詳しくは、平板状のドクタブレード45の自由端側の先端における現像ローラ42側の角部(丸みがあってもよいし、面取りされていてもよい)が、現像ローラ42の非凹部たる平面部(42a)に接触する箇所である。
エッジ当て方向としては、カウンター方向と順方向とのうち、カウンター方向を採用している。カウンター方向は、図33に示されるように、片持ち支持されているドクタブレード45における固定端側の固定部分を、ドクタブレード45における現像ローラ42との接触部分よりも、現像ローラ42の回転方向の下流側に位置させるブレードの向きである。この向きでは、回転に伴ってドクタブレード45との当接位置に進入する直前の現像ローラ42の表面が、ドクタブレード45の自由端側の先端エッジに向けて移動し、且つ、ドクタブレード45の全域のうち、自由端側の先端エッジに対して始めに接触することになる。
一方、順方向は、図34に示されるように、片持ち支持されているドクタブレード45における固定端側の固定部分を、ドクタブレード45における現像ローラ42との接触部分よりも、現像ローラ42の回転方向の上流側に位置させるブレードの向きである。この向きでは、回転に伴ってドクタブレード45との当接位置に進入する直前の現像ローラ42の表面が、ドクタブレード45の全域のうち、自由端側の先端エッジよりも固定端側の箇所(ブレードの腹の部分)に始めに接触することになる。
ドクタブレード45のブレード部材450は台座部452に対して複数のリベット451によって固定されている。台座部452はブレード部材450よりも厚い金属で構成されており、ブレード部材450を現像装置4の本体(中ケース412の側面部)に固定するための基板として機能している。台座部452の長手方向端部にはピン穴454が設けられており、一方は真円形状の主基準穴454aであり、もう一方は主基準穴454a方向に長径を有する楕円形状の従基準穴454bである。主基準穴454aに不図示のピンが入ることで台座部452の現像装置4本体に対する位置が決定し、従基準穴454bで支えられる。ブレード部材450が固定された台座部452が、現像装置4本体(中ケース412)にドクタ固定ネジ455で固定されることによってブレード部材450が現像装置4に固定されることになる。
ドクタブレード45のブレード部材450は、SUS304CSPやSUS301CSP、またはリン青銅等の金属板バネ材料からなるものである。ブレード部材450は、自由端側を、現像ローラ42表面に対して10〜100[N/m]の押圧力で当接させており、その押圧力下を通過したトナーを所定量に規制すると共に摩擦帯電によって電荷を付与する。ブレード部材450には、規制バイアス電源145から出力される規制バイアスが印加されている。
次に、パドル46について説明する。現像装置4内には、トナーが収容される空間としてトナー収容部43が設けられており、このトナー収容部43内にはパドル46が現像ケーシング41に対して回転可能に取り付けられている。図18は、パドル46を示す斜視図である。また、図19は、パドル46を示す正面図である。これらの図において、パドル46は、その軸部であるパドル軸461と、マイラー等の弾性シート材からなる薄い羽部材としてのパドル羽460とを備える。パドル軸461は、向かい合う二つの平面部を有し、この二つの平面部にパドル羽460がそれぞれ取り付けられている。二枚のパドル羽460は、パドル軸461を中心に互いに反対方向に突出するように、パドル軸461の平面部に固定されている。
パドル羽460の付け根部分には、複数の穴がパドル軸461の軸方向に平行になるように並べて設けられている。パドル軸461の周面には、パドル軸461に対してパドル羽460を固定するための複数のヘラ部が突設せしめられている。一方、パドル羽460には、それらヘラ部を貫通させるための複数の穴が設けられている。ヘラ部がその穴に貫通した状態で熱曲げ処理されることで、パドル軸461に対してパドル羽460が固定されている。
パドル46は、パドル軸461の軸方向が現像装置4の長手方向(図中Y軸方向)と平行になるように配置されている。パドル軸461の軸方向両端は中ケース412の側壁部412sに対して回転可能に取り付けられている。
パドル46は、パドル軸461から伸びるパドル羽460の先端がトナー収容部43の内壁面に接触する程度の長さになるように、パドル羽460の突出量が設定されている。図2及び図5等に示されるように、トナー収容部43の底面部43bはパドル46の回転方向に沿った円弧状であり、パドル46の回転に伴う摺擦動作でパドル羽460がトナー収容部43の底面部43bに引っかからないようになっている。
トナー収容部43の現像ローラ42側には底面部43bから垂直に立ち上がる側壁面部43sが形成されており、この側壁面部43sはパドル軸461の中心と同等若しくは若干低い程度のところでX軸に平行なローラに向かう方向に水平になり、段部50を形成している。
側壁面部43sとパドル軸461との距離は、底面部43bとパドル軸461との距離よりも短く設定されている。そのため、底面部43bを摺擦してきたパドル羽460は側壁面部43sに突き当たり、より大きくたわむことになる。その後、段部50にパドル羽460の先端部が差し掛かるとパドル羽460を押さえるものが無くなり、パドル羽460の先端部は開放されることで上方に跳ね上がる。このようなパドル羽460の動きによってトナーは上方へと跳ね上げられ攪拌、搬送、供給される。
段部50は、X−Y平面に平行な水平面で、現像装置4の長手方向(図中Y軸方向)に延在するように形成されている。実施形態の現像装置4では、段部50が幅方向の全域に設けられているが、パドル羽460が跳ね上がるようになっていれば、現像装置4内の一部分に設けられていても良い。
供給スクリュー48は、供給スクリュー軸481と、この供給スクリュー軸481に固定された螺旋状の羽部である供給スクリュー羽部480となるスクリュー部材である。供給スクリュー軸481を中心に回転可能に設けられており、供給スクリュー軸481の軸方向が現像装置4の長手方向(図中Y軸方向)と平行になるように配置されている。供給スクリュー軸481の軸方向両端は中ケース412の側壁部412sに対して回転可能に取り付けられている。
供給スクリュー48の軸方向端部は、現像装置4の長手方向端部に形成されたトナー補給口55の下方に位置している。そして、供給スクリュー48が回転することによって螺旋状の供給スクリュー羽部480がトナー補給口55から補給されたトナーを長手方向における現像装置4の中央部方向に搬送する。
上ケース411の開口部56を形成する縁部分には、マイラー等のシート部材からなる入口シール47が長手方向に沿って貼着されている。入口シール47は略矩形のシートであってその短手の一端が上ケース411の縁部分に貼着され、他端は自由端とされている。入口シール47の自由端側は現像装置4の内部方向に突出されており、さらに、現像ローラ42に接触するように設けられている。入口シール47は、現像ローラ42の回転方向上流側が上ケース411に固定されており、現像ローラ42の回転方向下流側が自由端とされ、現像ローラ42に対して、入口シール47の面部分が接触するように配置している。また、上ケース411の現像装置4の内部側は供給ローラ44の上部形状に沿うように湾曲形状をしており、上ケース411の湾曲形状の表面と供給ローラ44の表面との隙間は、1.0[mm]である。
図7〜図10に示されるように、現像装置4の開口部56の長手方向両端部にあたる中ケース412の一部にはサイドシール59が貼着されている。サイドシール59は、現像ローラ42の軸方向両端近傍に設けられたスペーサー422よりも軸方向における内側で、且つ、現像ローラ42にドクタブレード45が接触する軸方向の端部が重なる領域に設けられている。このようなサイドシール59によって現像ケーシング41における開口部56の長手方向端部からトナーが漏れ出ることを防止している。なお、中ケース412に設けられたトナー残量センサ49は、トナー収容部43内のトナーの量を検知するものである。
次に、現像装置4内でのトナーの動きについて説明する。トナー補給口55から現像装置4内に補給されたトナーは、供給スクリュー48によってトナー収容部43に供給され、パドル46によって攪拌される。また、パドル46の跳ね上げによって現像ローラ42及び供給ローラ44の方向に跳ね上げ、搬送される。供給ローラ44に供給されたトナーは、供給ローラ44が現像ローラ42と接触する供給ニップβで現像ローラ42の表面に受け渡される。現像ローラ42の表面に受け渡されたトナーのうち現像位置αに搬送する所定量を超えた分のトナーは、ドクタブレード45によって現像ローラ42の表面から掻き落とされる。
ドクタブレード45との対向部を通過した現像ローラ42の表面に残ったトナーは、そのまま現像ローラ42の回転による表面移動方によって搬送され、感光体2と対向する現像位置αに到達する。現像に用いられることなく現像位置αを通過したトナーは、入口シール47が接触する位置を通過し、供給ローラ44との対向位置である供給ニップβにまで搬送される。現像ローラ42によって供給ニップβに到達したトナーは、供給ローラ44によって現像ローラ42の表面から掻き取られ、供給ローラ44によって搬送される。
トナー収容室101に収容されるトナーは、重合法で製造されたものであって、その平均粒径は6.5[μm]程度である。また、円形度は0.98程度であり、安息角は33[°]程度である。外添剤としてチタン酸ストロンチュームを含有している。本発明に係る現像装置に用いられるトナーは、これに限るものではない。
現像装置4の現像ローラ42の表面上には、凸部の高さや凹部の深さ(W3)が一定で規則的な凹部パターンが形成されている。従来の一成分現像装置としては、現像ローラの表面にサウンドブラスト処理等の粗面処理を施して表面に凹凸形状を形成したものがある。現像ローラの表面に粗面化処理を施すことにより、現像ローラのトナー担持性能やトナー搬送性能を向上させていた。しかしながら、粗面化処理によって現像ローラの表面上に形成される微小凹凸は、凸部の高さ、凹部の深さ及び凹凸のパターンが不規則となる。凹凸のパターンや深さが不規則であると、現像ローラ表面上のトナー担持量が安定せず、感光体上の潜像を現像したときに濃度ムラとなることがあった。一方、実施形態の現像装置4では、凹部の深さ(W3)が一定で、その形成パターンが規則的であるため、現像ローラ42表面上のトナー担持量が安定し、現像時の濃度ムラの発生を抑制することができる。
図1及び図20に示されるように、実施形態に係る現像装置では、図中矢印B方向に回転する現像ローラ42がドクタ部において上方から下方に移動する。このような場合には、トナーTに働く自重によってトナーには下方向の力(Fg)が加わるため、ドクタブレード45の応力(Fb)によるトナーに対する圧縮力を減少させることができる。よって、現像ローラ42の凸部42aにおける現像ローラ42の表面移動方向下流側の部分(図20中の42cの部分)にトナーが凝集することを抑制できる。これにより、フィルミングの発生を抑制することができ、現像ローラ42上でのQ/M値やM/A値の変動を抑制することができる。
また、現像装置4に用いられる一成分現像剤であるトナーとして、加速凝集度が40[%]以下となるトナーを用いることで、現像ローラ42の凸部42aにおける現像ローラ42の表面移動方向下流側の部分(図20中の42cの部分)でのトナーの凝集をより緩和することが可能となる。なお、図20で示すドクタ部では、ドクタブレード45が現像ローラ42の表面に対して腹当て状態となっている。ドクタブレード45の現像ローラ42の表面に対する当接状態としては、図21に示されるように、先端当て状態である方が、凸部42aの頂面42tに存在するトナーTをすり切ることができ、より好ましい。
現像ローラ42に対しては、現像バイアス電源142により、現像バイアスとして、次のような交番電圧が印加されている。即ち、ピークツウピーク電圧Vpp=1.7[kV]、プラス側ピーク=+8.5[kV]、マイナス側ピーク=−8.5[kV]の矩形波からなる交番電圧に対して、−300[V]の直流電圧を重畳した交番電圧である。矩形波の周波数は500[Hz]である。また、矩形波のデューティは50[%]である。よって、この交番電圧の単位時間あたりの平均値は−300[V]である。また、この交番電圧の中心値(ピークとピークとの中心)も−300[V]である。
一方、回収バイアス電源52は、回収バイアスとして、次のような交番電圧を出力する。即ち、ピークツウピーク電圧Vpp=1.7[kV]、プラス側ピーク=+8.5[kV]、マイナス側ピーク=−8.5[kV]の矩形波からなる交番電圧に対して、−200[V]の直流電圧を重畳した交番電圧である。矩形波の周波数は500[Hz]である。また、矩形波のデューティは50[%]である。この交番電圧の単位時間あたりの平均値や中心値は何れも−200[V]である。このような交番電圧が、供給ローラ44に対して印加される。
トナーの正規帯電極性はマイナスなので、回収バイアスの単位時間たりの平均値(−200V)は、現像バイアスの単位時間あたりの平均値(−300V)よりもトナーの帯電極性とは逆極性であるプラス側にシフトした値である。このような電位の関係により、現像ローラ42と供給ローラ44とが当接する供給ニップβには、現像ローラ42の凹部内に残留しているマイナス帯電性の残留トナーに対して、現像ローラ42側から供給ローラ44側に静電移動させる電界が形成される。供給ニップβにおいて、現像ローラ42の凹部内に食い込んでいる供給ローラ44の導電性発泡弾性層によって凹部内から掻き出された残留トナーは、その電界によって供給ローラ44の導電性発泡弾性層に静電吸着する。これにより、現像ローラ42の凹部内から供給ローラ44に残留トナーを積極的に転移させて回収することで、連続プリント時における凹部内での残留トナーの経時的な増加を抑えて、画像濃度不足の発生を抑えることができる。
従来の一成分現像装置においては、供給部材に印加する供給バイアスとして、単位時間ありの平均値が、現像バイアスの単位時間あたりの平均値よりもトナーの帯電極性と同極性側にシフトした値であるものを出力するように構成されていた。このような供給バイアスにより、供給部材と現像ローラとの間にトナーを供給部材側から現像ローラ側に静電移動させる電界を形成して、供給部材から現像ローラへのトナーの転移を助長するためである。
これに対し、実施形態に係る複写機では、供給部材たる供給ローラ44に対し、供給バイアスを印加する代わりに、上述した回収バイアスを印加している。そして、この回収バイアスは、供給バイアスとは逆に、供給ローラ44と現像ローラ42との間に、マイナス帯電性のトナーを現像ローラ42側から供給ローラ44側に静電移動させる電界を形成する。にもかかわらず、供給ローラ44から現像ローラ42に対してトナーが供給されるのは、以下に説明する理由からである。
実施形態に係る複写機では、現像ローラ42の凹部として、粗面化処理による微小凹凸よりもかなり大きな段差を形成する深さの大きなものを形成している。そして、現像ローラ42表面の非凹部にはトナーを殆ど担持させず(すり切り)、凹部内に充填したトナーを現像に寄与させている。供給ローラ44は、導電性発泡層の発泡セル内に、比較的多くの量のトナーを保持している。そして、現像ローラ42との当接部である供給ニップβにおいて、その多量のトナーを現像ローラ42の凹部に供給する。供給ニップβでは、トナーを現像ローラ42側から供給ローラ44側に静電移動させる電界が形成されているものの、この電界によって凹部内のトナーの殆どが供給ローラ44の発泡セル内に逆戻りすることはない。もともと供給ローラ44の発泡セル内に保持されていたトナー量が比較的多く、且つ、現像ローラの凹部内にもある程度の残留トナーが残っているため、凹部から空泡に戻るトナーの量はそれほど多くないのである。そして、殆どのトナーは、現像ローラ42の凹部内に充填された状態で、供給ニップβの出口において、現像ローラ42の表面とは逆方向に移動する供給ローラ44の表面によってすり切られる。このため、上述のような電界を形成していても、トナーを供給ローラ44から現像ローラ42に供給することができる。
また、現像ローラ42と供給ローラ44との間には、交番電界が形成されるため、現像ローラ42の凹部と供給ローラ44の発泡セルとの間では、トナーが全体的に両者間を往復移動する。この際、供給ニップβに進入する前に現像ローラ42の凹部内に残留していた残留トナーが、供給ローラ44の発泡セル内に存在していた新しいトナーと混ざり合う。このとき、帯電量が多いトナーが優先的に、上述した電界によって現像ローラ42の凹部から供給ローラ44の発泡セル内に転移する。このため、供給ニップβでは、現像ローラ42の凹部内の残留トナーが供給トナー44の発泡セル内に良好に回収される。
本発明者らが、上述したバイアスの条件で実際に実験を行ったところ、供給ローラ44から現像ローラ42に対して必要量のトナーを良好に供給しつつ、現像ローラ42の凹部内の残留トナーを供給ローラ44に良好に回収して、連続プリント時における画像濃度不足の発生を有効に抑えることができた。
図2において、現像ローラ42には、現像バイアス出力手段たる現像バイアス電源142によって現像バイアスが印加されている。また、ドクタブレード45には、規制バイアス出力手段としての規制バイアス電源145によって規制バイアスが印加されている。
図22は、現像ローラ42に印加される交番電圧からなる現像バイアスの波形を示す波形図である。この現像バイアスは、直流電圧に対して、矩形パルス状の交流電圧を重畳したものである。同図において、直流成分電位Vdcは、それらのうち、直流電圧の値を示している。矩形パルス波は、直流成分電位Vdcを中心にして、プラス側、マイナス側にそれぞれ等しい高さで振れる。ピークツウピーク電圧Vppは、交流電圧のピークツウピーク値である。
また、同図において、潜像電位VIは、感光体に担持されている静電潜像の電位である。また、地肌部電位Vdは、感光体における地肌部の電位である。現像バイアスの交流電圧のデューティは50[%]であるので、現像バイアスの単位時間あたりの平均値は、直流成分電位Vdcと同じ値になる。図示のように、この直流成分電位Vdcは、潜像電位VIと地肌部電位Vdとの間の値になっている。このような電位条件により、トナーは、現像位置αにて現像ローラ42の表面と感光体2との間で往復移動しながら、感光体2の全域のうち、静電潜像だけに転移する。
現像バイアス電源142は、現像バイアスとして、ピークツウピーク電圧Vpp=1.7[kV]の交流電圧に、−300[V]の直流成分電位Vdcを重畳したものを出力する。よって、現像バイアスの単位時間あたりの平均値は、−300[V]である。一方、規制バイアス電源145は、規制バイアスとして、ピークツウピーク電圧Vpp=1.7[kV]の交流電圧に、−500[V]の直流成分電位Vdcを重畳したものを出力する。よって、現像バイアスの単位時間あたりの平均値は、−500[V]である。つまり、規制バイアス電源145は、規制バイアスとして、その単位時間あたりの平均値(−500V)がトナーの正規帯電極性と同極性(マイナス)であって、且つ平均値の絶対値(500V)が現像バイアスの単位時間あたりにおける平均値の絶対値(300V)よりも大きなものを出力する。なお、現像バイアスとして、トナーの正規帯電極性と同極性の直流電圧を印加する場合には、規制バイアスとして、トナーの正規帯電極性と同極性であって、且つ絶対値が現像バイアスの絶対値よりも大きなもの、を出力させればよい。
図23は、従来の現像装置における現像ローラを部分的に示す拡大横断面図である。現像ローラ42は、アルミ合金や鉄合金などの金属からなる導電性基材401に、非凹部としての平面部42aや、凹部42bが形成されたものである。同図における矢印B方向は、現像ローラ42の回転に伴う表面移動方向を示している。
図24は、従来の現像装置における現像ローラ42とドクタブレード45との当接部を示す拡大横断面図である。同図において、黒塗りの丸点は、良好に帯電したトナー粒子を示している。また、白塗りの丸は、弱帯電トナー粒子を示している。現像ローラ42の凹部(42b)内にトナーが充填されると、図示のように、良好に帯電したトナー粒子がその電荷によって凹部(42b)の底面に強く引かれて、底面に直接接触する。このため、凹部の底面には、良好したトナー粒子が集まる。これに対し、弱帯電トナー粒子は、凹部表面との静電気力が比較的弱いため、凹部の入口付近に集まる。
現像ローラ42とドクタブレード45との当接部では、ドクタブレード45によって現像ローラ42の凹部に蓋がされる。そして、凹部内の弱帯電トナー粒子がドクタブレード45に直接接触する。そして、ドクタブレード45と現像ローラ42との電位差によって弱帯電トナー粒子に対して正規帯電極性(本例ではマイナス)の電荷が注入される。これにより、地汚れの発生が抑えられる。
しかしながら、ドクタブレード45が、現像ローラ42の平面部(42a)に付着していたトナー粒子を平面部から掻き取ることで、平面部に対して直接接触する。そして、その接触部において、ドクタブレード45から現像ローラ45に電流がリークして、現像ローラ42の電位を不安定にしてしまう。すると、現像ローラ42の不安定な電位により、画像濃度ムラを引き起こしてしまう。
次に、実施形態に係る複写機の特徴的な構成について説明する。
図25は、実施形態に係る複写機の現像装置(4)における現像ローラ42を部分的に示す拡大横断面図である。実施形態に係る複写機において、現像ローラ42の導電性基材401は、アルミ合金や鉄合金などの金属からなる部材である。凹部42bの幅(上端の短手方向長さ)は80[μm]程度である。また、凹部42bの深さは10[μm]程度である。
導電性基材401における平面部42aの領域の無垢表面上には、絶縁性材料からなる絶縁性表面層402が被覆されている。この絶縁性表面層402は、導電性基材401における平面部42aの領域に、酸化処理の後に絶縁性の酸化被膜を成膜する方法、あるいは、絶縁性の樹脂のスプレーコートやディッピングによって絶縁性被膜を形成する方法などによって形成されたものである。
図26は、実施形態に係る複写機の現像装置における現像ローラ42とドクタブレード45との当接部を示す拡大横断面図である。図示のように、ドクタブレード45と現像ローラ42との当接部では、現像ローラ42の導電性基材401における平面部(42a)の領域と、ドクタブレード45との間に、絶縁性表面層402が介在する。これにより、ドクタブレード45から、現像ローラ42の導電性基材401における平面部の領域への電流のリークを回避することで、電流のリークに起因する現像ローラ42の電位の不安定化を抑えることができる。なお、絶縁性表面層402の材料としては、樹脂等の有機化合物や金属酸化物等の無機化合物を例示することができる。
図25において、導電性基材401における凹部42bの領域では、導電性基材401の無垢の表面をそのまま露出させている。これにより、現像位置αにて凹部の内壁に発生する逆電荷(本例ではプラスの電荷)を導電性基材401に逃がして、現像ローラ42のチャージアップを回避する。よって、チャージアップに起因する異常画像の発生を回避することができる。
凹部42bの内壁を導電性基材401の無垢の表面にする方法としては、次のようなものを例示することができる。即ち、平面部42aと凹部42bとの両方に絶縁性表面層を形成した後、平面部42aだけにレジスト剤などによるマスキングをして、凹部の絶縁性表面層をエッチングや研磨によって除去する方法である。また、転造加工によって凹部42bを形成した後、凹部42bだけにレジスト剤などによるマスキングを施した状態で、平面部42aだけに絶縁性表面層を形成する方法でもよい。
図27は、比較例に係る複写機の現像ローラの表面を部分的に示す拡大平面図である。この図において、矢印Bは、現像ローラの表面移動方向を示している。また、図中の点線は、図示しないドクタブレードが現像ローラに対して当接している領域を示している。また、凹部幅Laは、凹部42bのローラ表面移動方向の長さを示している。この比較例では、ドクタブレードと現像ローラとの当接部におけるローラ表面移動方向の長さが、凹部幅Laよりも長くなっている。かかる構成では、ドクタブレードのエッジが凹部42b内に食い込んで、凹部42b内のトナーを凹部42b内から掻き出してしまう。
図28は、実施形態に係る複写機の現像ローラの表面を部分的に示す拡大平面図である。実施形態に係る複写機では、現像ローラ42とドクタブレード45との当接部におけるローラ表面移動方向の長さを、凹部幅Laよりも大きく設定している。かかる構成では、ローラ表面移動方向において、ドクタブレード45が凹部42bの両端に架け渡しされることから、ドクタブレード45のエッジを凹部42b内に進入させることがない。このため、ドクタブレード45のエッジによる凹部42b内からのトナーの掻き出しを防止して、凹部42b内に1層以上のトナー層を保持させることができる。
図2において、供給ローラ44の発泡弾性層としては、導電性材料からなるものが用いられている。これにより、供給ローラ44の発泡セル内に保持されているトナー粒子のうち、正規極性とは逆極性に帯電してしまった逆帯電トナー粒子に対し、正規極性の電荷を注入して、トナーの帯電量を安定化させることができる。
また、現像ローラ42の複数の凹部42bは、何れもその底面と平面部42aとの段差が互いに同じになっている。かかる構成では、複数の凹部42bにおいて、凹部42b内に形成される電界強度を互いに同じにして、凹部42b内から感光体2の静電潜像へのトナー転移性を均一にする。これにより、現像濃度ムラの発生を抑えることができる。
また、凹部42bの底面と平面部42aとの段差である凹部深さについては、トナーの体積平均粒径の2倍以下の値にしている。かかる構成では、現像ローラ42とドクタブレード45との当接部において、凹部42b内のトナー粒子を、凹部42bの底面、あるいはドクタブレード45の表面の何れか一方に接触させて、トナーの帯電量を安定化させることができる。
次に、実施形態に係る複写機の一部の構成を他の構成に置き換えた変形例に係る複写機について説明する。なお、以下に特筆しない限り、変形例に係る複写機の構成は、実施形態と同様である。
図29は、変形例に係る複写機のプリンタ部600の要部を示す要部構成図である。プリンタ部600は、4つのプロセスユニットとしてのプロセスカートリッジ1、複数の張架ローラに張架されながら図中反時計回り方向に無端移動せしめられる中間転写体としての中間転写ベルト7、露光手段としての露光装置6、定着手段としての定着装置12等を備えている。
4つのプロセスカートリッジ1はそれぞれ、潜像担持体としてのドラム状の感光体2と、帯電手段としての帯電部材3と、現像剤としてのトナーTを用いて感光体2上の潜像を現像する現像装置4と、感光体クリーニング装置5とを一体的に支持してユニット状とした構成になっている。プロセスカートリッジ1は、図示しないストッパーを解除することにより、プリンタ部600本体に対して着脱可能となっている。
感光体2は、図中矢印で示されるように、図中の時計周り方向に回転する。帯電部材3は、ローラ状の帯電ローラであり、感光体2の表面に圧接されており、感光体2の回転により従動回転する。作像時には、帯電部材3には図示しない高圧電源により所定のバイアスが印加され、感光体2の表面を帯電する。変形例のプロセスカートリッジ1は、帯電手段として、感光体2の表面に接触するローラ状の帯電部材3を用いているが、帯電手段としてはこれに限るものではなく、コロナ帯電などの非接触帯電方式を用いてもよい。
露光装置6は、感光体2の表面に対して画像情報に基づいて露光し、感光体2の表面に静電潜像を形成する。プリンタ600部の露光装置6は、レーザーダイオードを用いたレーザービームスキャナ方式のものであるが、露光手段としてはLEDアレイを用いるものなど他の構成でも良い。
感光体クリーニング装置5は、中間転写ベルト7と対向する位置を通過した感光体2の表面上に残留する転写残トナーのクリーニングを行う。
4つのプロセスカートリッジ1は、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色ごとのトナー像を感光体2上に形成する。また、中間転写ベルト7の表面移動方向に並列に配設され、それぞれの感光体2上に形成されたトナー像を中間転写ベルト7に順に重ね合わせるように転写し、中間転写ベルト7上に可視像を形成する。
4つの感光体2に対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置には一次転写手段としての一次転写ローラ8が配置されており、一次転写ローラ8には不図示の高圧電源により一次転写バイアスが印加され、感光体2との間で一次転写電界を形成する。感光体2と一次転写ローラ8との間で一次転写電界が形成されることにより、感光体2の表面上に形成されたトナー像が中間転写ベルト7の表面に転写される。中間転写ベルト7を張架する複数の張架ローラのうちの一つが不図示の駆動モータによって回転することによって中間転写ベルト7が図中の矢印A方向に表面移動する。表面移動する中間転写ベルト7の表面上に各色のトナー像が順次重ねて転写されることによって、中間転写ベルト7の表面上にフルカラー画像が形成される。
4つのプロセスカートリッジ1が中間転写ベルト7と対向する位置に対して、中間転写ベルト7の表面移動方向下流側には、張架ローラの一つである二次転写対向ローラ9aに対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置に二次転写ローラ9が配置され、中間転写ベルト7との間で二次転写ニップを形成する。二次転写ローラ9と二次転写対向ローラ9aとの間に所定の電圧を印加して二次転写電界を形成することにより、図29中の矢印B方向に搬送される転写材である記録紙Pが二次転写ニップを通過する際に、中間転写ベルト7の表面上に形成されたフルカラー画像が記録紙Pに転写される。
二次転写ニップに対して記録紙Pの搬送方向下流側に、定着装置12が配置されている。二次転写ニップを通過した記録紙Pは定着装置12に到達し、定着装置12における加熱及び加圧によって記録紙P上に転写されたフルカラー画像が定着され、画像が定着された記録紙Pはプリンタ部600の機外に出力される。
一方、二次転写ニップで記録紙Pに転写されず中間転写ベルト7の表面上に残留したトナーTは、転写ベルトクリーニング装置11によって回収される。
次に、図30、図31、図32を用いて、プロセスカートリッジ1について説明する。図30は、4つのプロセスカートリッジ1のうち、1つを、現像ローラ42の軸方向中央部近傍で破断して示す横断面図である。また、図31は、4つのプロセスカートリッジ1のうち、1つを、軸方向端部近傍のサイドシール59の位置で破断して示す横断面図である。また、図32は、プロセスカートリッジの現像装置のトナー搬送部を示す縦断面図である。
現像装置4は、一成分現像剤であるトナーTを収容するトナー収容室101と、トナー収容室101の下方に設けられたトナー供給室102とを具備しており、トナー収容室101とトナー供給室102とを仕切るように仕切り部材110が設けられている。仕切り部材110には、図32に示されるように、それら供給室を互いに連通させる複数の開口部が設けられている。この仕切り部材110の複数の開口部として、トナー収容室101内のトナーTをトナー供給室102へ供給する供給口111と、トナー供給室102内のトナーTをトナー収容室101に戻す返送口107とが設けられている。
トナー供給室102の下部には、現像剤担持体である現像ローラ42が設けられている。また、トナー供給室102には、現像ローラ42の表面にトナーTを供給する現像剤供給部材である供給ローラ44が現像ローラ42の表面に当接するように設けられている。さらに、トナー供給室102には、供給ローラ44によって現像ローラ42の表面上に供給され、感光体2と現像ローラ42との対向部に向かうトナーTの量(層厚)を規制する規制部材としてのドクタブレード45が現像ローラ42の表面に当接している。
現像ローラ42は、感光体2に対して非接触で配置されており、図示しない高圧電源から所定のバイアスが印加される。
トナー収容室101内にはトナー収容室101内のトナーTを感光体2の回転軸に平行な方向(図31中の紙面に直交する方向)に搬送するトナー搬送部材106が設けられている。
トナー収容室101に収容するトナーTは、重合法で製造されたものである。このトナーTは、例えば、平均粒径が6.5[μm]で、円形度が0.98、安息角33[°]、外添剤としてチタン酸ストロンチュームを含有しているトナーTである。なお、トナーTは、これに限られるものではない。
トナー収容室101内に設けられたトナー搬送部材106は、図32に示されるように搬送スクリュー形状部106aと搬送板形状部106bとを組み合わせた回転軸を有した部材である。トナー搬送部材106は、搬送スクリュー形状部106aの回転動作によりトナー収容室101内のトナーTをトナー搬送部材106の回転軸に平行な略水平方向(図32中の矢印H方向)に搬送できる構成となっている。現像装置4では、トナー搬送部材106の回転軸に平行な方向にトナーTを搬送する搬送スクリュー形状部106aを備えた構成であるが、現像剤搬送部材としてはこれに限ったものでなく、搬送ベルトやコイル状の回転体等の搬送機能を有するものを用いることができる。さらにこれらの搬送機能を有するものと、羽根のような板部材や針金を曲げて構成したパドルのようなもの等のほぐし機能を有するものを組み合わせたものでも良い。
現像装置4は、トナー収容室101から供給ローラ44に向けて、トナーTをトナー搬送部材106の回転軸に直交し、且つ、略鉛直下方にトナーTを搬送する構成になっている。トナーTの搬送方向としては、トナー搬送部材106の回転軸に直交し、且つ、略水平方向に搬送する構成としてもよい。
仕切り部材110の鉛直下方のトナー供給室102内にはトナー撹拌部材108が配置されている。トナー撹拌部材108は、図示のように撹拌スクリュー形状部108aと撹拌板形状部108bとを組み合わせた回転軸を有した部材である。トナー撹拌部材108は、撹拌スクリュー形状部108aの回転動作によりトナー供給室102内のトナーTをトナー撹拌部材108の回転軸に平行な略水平方向(図32中の矢印IまたはJ方向)に搬送できる構成となっている。
トナー撹拌部材108の撹拌スクリュー形状部108aは、軸方向について供給口111を挟んで外側に向かう方向(図32中の矢印I方向)にトナーTを搬送するように螺旋状の羽部が設けられている。また、トナー撹拌部材108の撹拌スクリュー形状部108aは、軸方向について二つの返送口107よりも外側と内側とは螺旋状の羽部が逆巻きになっている。このため、供給口111からトナー供給室102に供給されたトナーTはトナー撹拌部材108の撹拌スクリュー形状部108aの回転によって軸方向外側(矢印I方向)に搬送され、返送口107よりも外側に到達したトナーTは羽部が逆巻きの撹拌スクリュー形状部108aによって返送口107に向かって(矢印J方向に)搬送される。返送口107を挟んで軸方向の外側と内側とでは、撹拌スクリュー形状部108aによるトナーTの搬送方向が逆であり、返送口107に向かうようにトナーTに搬送力を付与するため、返送口107の下方ではトナーTが軸方向両側から集められ、山状に押し上げられる。これにより、トナー収容室101から供給口111または返送口107を通過してトナー供給室102に供給されたトナーTが過剰である場合は、返送口107で山状に押し上げられたトナーTがトナー供給室102から返送口107を通ってトナー収容室101に戻される。また、トナー撹拌部材108は、トナー供給室102にあるトナーTを攪拌し、さらに下部にある供給ローラ44や現像ローラ42にトナーTを供給する役割を持つ。
供給ローラ44の表面には空孔(セル)を有した構造の発泡材料が被覆されており、トナー供給室102内に供給されたトナーTを効率よく付着させて取り込むと共に、現像ローラ42との当接部での圧力集中によるトナーTの劣化を防止している。なお、この発泡材料は103〜1014[Ω]の電気抵抗値に設定される。供給ローラ44には、供給バイアスが印加され、現像ローラ42との当接部ある供給ニップβで予備帯電されたトナーTを現像ローラ42に押し付ける作用を補助する。供給ローラ44は図32中の矢印で示されるように図32中の反時計回りの方向に回転し、表面に付着させたトナーTを現像ローラ42の表面に塗布するように供給する。
供給ニップβに対して現像ローラ42の表面移動方向下流側の現像ローラ42の表面に接触するように、規制部材であるドクタブレード45が配置されている。供給ローラ44から現像ローラ42の表面に供給されたトナーTは、現像ローラ42の回転によってドクタブレード45が接触する位置に搬送される。
ドクタブレード45としては、SUS304CSPやSUS301CSPまたはリン青銅等の金属板バネ材料を用いることができ、その自由端側を現像ローラ42の表面に10〜100[N/m]の押圧力で当接させたもので、現像ローラ42上のトナーTに対してその押圧力下を通過させることで、トナー層を薄層化すると共に、摩擦帯電によってトナーTに電荷を付与する。また、ドクタブレード45には、トナーTの摩擦帯電を補助するために、図示しないバイアス電源によりバイアスが印加される。
感光体2は現像ローラ42と非接触であり、図30中の時計回りの方向に回転している。このため、現像ローラ42と感光体2とが対向する現像位置αにおいては、現像ローラ42の表面移動方向と感光体2の表面移動方向とが同方向となる。
現像ローラ42上の薄層化されたトナー層は、現像ローラ42の回転に伴って現像位置αに搬送され、現像ローラ42に印加されたバイアスと感光体2上の静電潜像によって形成される潜像電界に応じて、感光体2の表面に移動して感光体2の表面上の静電潜像が現像される。
現像位置αで現像に用いられず、現像ローラ42上に残されたトナーTが再びトナー供給室102内へと戻る箇所には、入口シール47が配設されている。この入口シール47は、現像ローラ42の周面を外部に向けて部分的に露出させるための開口を有する現像装置筺体に片持ち支持された状態で、自らの自由端側を現像ローラ42に当接させることで、現像ローラ42と開口内壁との隙間を塞いでいる。樹脂材料にカーボンブラックなどの導電性材料が分散せしめられた導電性樹脂からなり、非常に薄厚に成型されていることで、柔軟に撓むことができる。その撓み易さ故に、現像ローラ42の表面との当接部において、現像ローラ42の表面に対して大きな圧力を付与しない。
現像ローラ42は、実施形態に係る複写機と同様の構成のものであり、導電性基材401における平面部42bの領域に、絶縁性表面層402が被覆されている。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
〔態様A〕
態様Aは、トナーを主成分とし且つ磁性キャリアを含まない現像剤を、所定の凹部パターンが形成された自らの無端移動する表面に担持する現像剤担持体(例えば現像ローラ42)と、前記現像剤担持体の表面に現像剤を供給する現像剤供給手段(例えば供給ローラ44)と、前記現像剤担持体の無端移動する表面における全域のうち、前記現像剤供給手段に対向する供給位置を通過した後、画像形成装置の潜像担持体に対向する現像位置に進入する前の領域に当接しながら、前記現像剤担持体の表面における非凹部に付着している現像剤を前記非凹部から掻き取ることで、前記現像位置に搬送される現像剤の量を規制する規制部材(例えばドクタブレード45)と、前記現像剤担持体に印加するための現像バイアスを出力する現像バイアス出力手段(例えば現像バイアス電源142)と、前記規制部材に印加するためのバイアスであり、且つ前記凹部内に保持されている現像剤のトナー粒子のうち、前記規制部材の表面に直接接触するトナー粒子に対してその正規帯電極性と同極性の電荷を注入する値のバイアスである規制バイアスを出力する規制バイアス出力手段(例えば規制バイアス電源145)とを有し、前記現像位置にて、前記現像剤担持体の表面の凹部(例えば凹部42b)内に保持されている現像剤を前記潜像担持体(例えば感光体2)の潜像に付着させて潜像を現像する現像装置において、前記凹部及び非凹部(例えば平面部42a)を具備する導電性基材(例えば導電性基材401)における前記非凹部の領域に絶縁性表面層(例えば絶縁性表面層402)を設けたことを特徴とするものである。
[態様B]
態様Bは、態様Aにおいて、前記導電性基材における前記凹部の領域にて、前記導電性基材の無垢の表面をそのまま露出させたことを特徴とするものである。かかる構成では、既に説明したように、現像剤担持体のチャージアップに起因する異常画像の発生を回避することができる。
[態様C]
態様Cは、態様A又はBにおいて、前記現像剤担持体と前記規制部材との当接部における現像剤担持体表面移動方向の長さを、前記凹部の現像剤担持体表面移動方向の長さよりも大きくしたことを特徴とするものである。かかる構成では、既に説明したように、規制部材のエッジによる凹部内からの現像剤の掻き出しを防止して、凹部内に1層以上のトナー層を保持させることができる。
[態様D]
態様Dは、態様A〜Cの何れかにおいて、前記凹部パターンの複数の凹部について、前記凹部の底面と、その周囲の非凹部との段差を互いに同じにしたことを特徴とするものである。かかる構成では、既に説明したように、複数の凹部内から潜像担持体の潜像へのトナー転移性を均一にして、現像濃度ムラの発生を抑えることができる。
[態様E]
態様Eは、態様A〜Dの何れかにおいて、前記凹部の深さを、現像剤におけるトナーの体積平均粒径の2倍以下にしたことを特徴とするものである。かかる構成では、既に説明したように、現像剤担持体と規制部材との当接部において、凹部内のトナー粒子を、凹部の底面、あるいは規制部材の表面の何れか一方に接触させて、トナーの帯電量を安定化させることができる。
[態様F]
態様Fは、態様A〜Eの何れかにおいて、前記現像剤担持体に印加するための交番電圧からなる現像バイアスを出力する現像バイアス出力手段(例えば現像バイアス電源142)を設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、現像剤担持体と潜像担持体との間で現像剤のトナーを繰り返し往復移動させながら、最終的に潜像担持体の全域のうち、潜像だけにトナーを付着させることで、現像濃度ムラのない高品質の画像を得ることができる。