JP5604963B2 - 信号制御装置及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
サイクル長:信号灯色の表示が一巡することを1サイクルといい、1サイクルの所要時間をサイクル長という。
スプリット:交差点の各流入路に対して与えられる通行権を現示といい、1サイクルに占める各現示の時間比率をスプリットという。
オフセット:幹線道路に沿って設置された幾つかの交通信号制御機を信号制御の単位として扱い、互いに一定の時間関係をもたせて制御する方式を系統制御といい、この系統制御において、各交通信号制御機の1サイクルの開始時点にもたせるずれをオフセットという。
(1)パラメータの設計に多大な労力を要する。
(2)交通状況の経年変化で状況が大きく変化した時の再設計が必要となる。
(3)評価指標(交通量と占有率の加重和)が経験的かつ曖昧である。
(4)余裕を持たせるためにサイクル長が長くなる傾向にあり、無駄な青時間が発生したり、歩行者待ち時間が大きくなったりし易い。
図16に従来の信号制御装置における現示構成の例を示す。
現示1(歩車)では、左右方向の流入路の車両と左右方向の横断歩道の歩行者に対して通行権が与えられる。
現示1(車両)では、左右方向の流入路の車両に対して通行権が与えられる。
現示2(歩車)では、上下方向の流入路の車両と上下方向の横断歩道の歩行者に対して通行権が与えられる。
現示2(車両)では、上下方向の流入路の車両に対して通行権が与えられる。
信号制御装置はこれらの4つの現示構成を毎サイクル使用しており、これらの4つの現示に与えるスプリットなどの信号制御パラメータを毎サイクルの交通状況に応じて変えている。
サイクル長:信号灯色の表示が一巡することを1サイクルといい、1サイクルの所要時間をサイクル長という。
スプリット:交差点の各流入路に対して与えられる通行権を現示といい、1サイクルに占める各現示の時間比率をスプリットという。
オフセット:幹線道路に沿って設置された幾つかの交通信号制御機を信号制御の単位として扱い、互いに一定の時間関係をもたせて制御する方式を系統制御といい、この系統制御において、各交通信号制御機の1サイクルの開始時点にもたせるずれをオフセットという。
前記時差現示判定手段が第1時差現示を用いると判定した場合には、前記第1の流入路の少なくとも直進方向と前記第2の流入路の少なくとも直進方向との双方に通行権を与える現示である相互現示と、前記第1時差現示とを含む複数の現示を設定し、前記時差現示判定手段が第2時差現示を用いると判定した場合には、前記相互現示と、前記第2時差現示とを含む複数の現示を設定しても良い。
また、時差現示においては、第1飽和度と第2飽和度の大きい方から相互現示飽和度を減じた時差現示飽和度を用いて、スプリットなどの信号制御パラメータを算出する。この場合、第1の流入路と第2の流入路のうち、時差現示において通行権を与えられている流入路については、相互現示において捌くことができなかった交通量を捌くために通行権が与えられるので、無駄な青時間はほぼ生じないし、時差現示において通行権を与えられていない流入路については、そもそも青時間がないので、無駄な青時間は生じない。
このように、無駄な青時間を少なくして、効率良く交通流を制御することができる。
一方、第1の流入路と第2の流入路のうち、時差現示において通行権を与えられていない流入路については、時差現示において右折方向の交通量は全く捌けていないので、その次の右折現示においては、右折方向の交通量の全てを捌くことができれば良い。そのため、この流入路については、右折現示において右折方向の交通量を捌くための飽和度は、右折方向の交通量をこの流入路の所定の飽和交通流率で除して求めた時差現示第2候補飽和度となる。
従って、最終的に右折現示において第1の流入路及び第2の流入路の右折方向の交通量を捌くための右折現示飽和度を、第1の流入路と第2の流入路のうち、時差現示において通行権を与えられている流入路における右折現示第1候補飽和度と、時差現時において通行権を与えられていない流入路における右折現示第2候補飽和度の大きい方とすれば、第1の流入路及び第2の流入路における右折方向の交通量を適切に捌くことができる。
交通状態が閑散状態であるか否かの判定は、例えば、次のように行う。まず、第1交通量を第1の流入路の所定の飽和交通流率で除して、当該第1交通量を捌くのに必要な時間である第1交通量通行時間を求める。そして、歩行者が横断歩道を渡るのに最低限必要な青信号の時間である歩行者最小保証青時間と、歩行者に対する青点滅信号の時間である歩行者点滅時間と、歩行者と車両のうちの歩行者のみに対する赤信号の時間である歩行者赤時間との合計を求め、この合計と第1交通量通行時間を比較する。この合計は、通行権を与えられた流入路の車両における最低限の青時間であるため、第1交通量がこの合計より小さい場合には、第1交通量は最低限の青時間で十分に捌けるだけの交通量に過ぎず、第1の流入路は閑散であると判定することができる。また、第2交通量を第2の流入路の所定の飽和交通流率で除して、当該第2交通量を捌くのに必要な時間である第2交通量通行時間を求める。第1の流入路と同様に、歩行者最小保証青時間と歩行者点滅時間と歩行者赤時間との合計を求め、この合計と第2交通量通行時間とを比較する。第2交通量通行時間がこの合計より小さい場合には、第2交通量は最低限の青時間で十分に捌けるだけの交通量に過ぎず、第2の流入路は閑散であると判定することができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る信号制御装置を含む交通信号制御システムの概要を示す模式図である。交通信号制御システムは、信号制御装置1、交通信号制御機2、信号灯器3、車両感知器4、非接触タグ5、車両6などを含むものである。信号制御装置1は、交通管制センター内に設置されており、複数の交差点ISのそれぞれに設置された交通信号制御機2と電話回線などの通信回線を介して接続されている。なお、信号制御装置1は、交通管制センター内に設置されず、道路上に設置されていても良い。信号灯器3は、交差点ISにおける複数の流出路RO1、流出路RO2、流出路RO3、流出路RO4(以下、これらの流出路をまとめて「流出路ROi(i=1〜4)」と表現する。)のそれぞれの上流端(交差点IS側の端)付近に設置され、交通信号制御機2と電力線などで接続されている。信号灯器3には、車両灯器と歩行者灯器が含まれている。車両感知器4は、交差点ISにおける複数の流入路RI1、流入路RI2、流入路RI3、流入路RI4(以下、これらの流入路をまとめて「流入路RIi(i=1〜4)」と表現する。)のそれぞれにおける停止線ST1、停止線ST2、停止線ST3、停止線ST4((以下、これらの停止線をまとめて「停止線STi(i=1〜4)」と表現する。)付近、これらの流入路RIi(i=1〜4)のそれぞれの上流端、流出路ROi(i=1〜4)のそれぞれの上流端に設置されており、信号制御装置1と電話回線などの通信回線を介して接続されている。また、横断歩道CR1が流入路RI1と流出路RO1にまたがって設置され、同様に、横断歩道CR2が流入路RI2と流出路RO2に、横断歩道CR3が流入路RI3と流出路RO3に、横断歩道CR4が流入路RI4と流出路RO4に、それぞれまたがって設置されている。車両6には非接触タグ5が搭載されている。なお、流入路や流出路の数など交差点ISの構成は一例であって、これに限定されるものではない。
受信部103は、車両感知器4から感知器情報を受信する。
送信部104は、信号制御指令を交通信号制御機2に送信する。
記憶部102は、演算部101が演算した結果や受信部103が受信した情報などを記録する。
また、記憶部102には、各流入路RIi(i=1〜4)の下流端の各車線j(j=1〜2)と、各流入路RIi(i=1〜4)において交差点を通過する時に同一に通行権を提供できる車線群である基本車線群BDik(i=1〜4、k=1〜2)とが対応付けられて記憶されている。
流入路RI1には、直進方向と左折方向とから構成される基本車線群BD11と、右折方向から構成される基本車線群BD12があり、流入路RI1の車線1は基本車線群BD11に、流入路RI1の車線2は基本車線群BD12に対応付けられている。
流入路RI2には、直進方向と左折方向とから構成される基本車線群BD21と、右折方向から構成される基本車線群BD22があり、流入路RI2の車線1は基本車線群BD21に、流入路RI2の車線2は基本車線群BD22に対応付けられている。
流入路RI3には、直進方向と左折方向とから構成される基本車線群BD31と、右折方向から構成される基本車線群BD32があり、流入路RI3の車線1は基本車線群BD31に、流入路RI3の車線2は基本車線群BD32に対応付けられている。
流入路RI4には、直進方向と左折方向とから構成される基本車線群BD41と、右折方向から構成される基本車線群BD42があり、流入路RI4の車線1は基本車線群BD41に、流入路RI4の車線2は基本車線群BD42に対応付けられている。
図4は基本現示群の例である。基本現示群BG1は流入路RI2と流入路RI4に関連する基本車線群BD21、基本車線群BD41、基本車線群BD22、基本車線群BD42から構成されており、基本現示群BG2は流入路RI1と流入路RI3に関連する基本車線群BD11、基本車線群BD31、基本車線群BD12、基本車線群BD32から構成されている。
図5は各基本現示群の通常現示と閑散現示の組み合わせの例である。
基本現示群BG1の通常現示は1パターンの基本現示(現示GJ1_1)、3パターンの付加現示(現示GJ1_2A、現示GJ1_2B、現示GJ1_2C)、1パターンの右折現示(現示GJ1_3)から構成されている。基本現示(現示GJ1_1)では、流入路RI2と流入路RI4の双方の直進方向と左折方向の車両と横断歩道CR1、横断歩道CR3の歩行者に対して通行権が与えられる。付加現示については、図5の上から順に、流入路RI2の全方向(直進方向、左折方向、右折方向)の車両に通行権が与えられ、流入路RI4の車両には通行権が与えられないパターン(現示GJ1_2A)、流入路RI2と流入路RI4の双方の直進方向と左折方向の車両に通行権が与えられるパターン(現示GJ1_2B)、流入路RI2の車両に通行権が与えられず、流入路RI4の全方向(直進方向、左折方向、右折方向)の車両に通行権が与えられるパターン(現示GJ1_2C)の3つがあり、流入路RI2と流入路RI4の交通状況に応じて、後述する信号制御パラメータ算出処理にてそのうちの1つが選択される。右折現示(現示GJ1_3)では、流入路RI2と流入路RI4の右折方向の車両に対して通行権が与えられる。
=流入路RIiの車線jの普通車の交通量×普通車の換算係数CO1
+流入路RIiの車線jの大型貨物車の交通量×大型貨物車の換算係数CO2
+流入路RIiの車線jの乗用バスの交通量×乗用バスの換算係数CO3
+流入路RIiの車線jの二輪車の交通量×二輪車の換算係数CO4
・・・式(1)
この場合、流入路RI1の車線1における車線別車種換算交通量TV11は式(1)により、10[台]×1.0+0[台]×1.2+0[台]×10.0+0[台]×0.5=10[台]と求めることができる。
また、流入路RI2の車線1における車線別車種換算交通量TV21は式(1)により、7[台]×1.0+3[台]×1.2+0[台]×10.0+0[台]×0.5=10.6[台]と求めることができる。
同様に、他の車線別車種換算交通量TVij(i=1〜4、j=1〜2)を式(1)により求めると、図8に示すような結果となる。
=車線別車種換算交通量TVij/車線別飽和交通流率PVij
×飽和度係数CO5
・・・式(2)
この場合、流入路RI1の車線1における車線別飽和度PI11は式(2)により、10[台]/1800[台/青1時間]×1.0=0.00556と求めることができる。
また、流入路RI2の車線1における車線別飽和度PI21は式(2)により、10.6[台]/1800[台/青1時間]×1.0=0.00589と求めることができる。
同様に、他の車線別車種換算交通量TVij(i=1〜4、j=1〜2)を式(2)により求めると、図9に示すような結果となる。
流入路RI2については、基本車線群BD21に対応する車線は車線1のみなので、基本車線群BD21における基本車線交通量BTV21は車線別車種換算交通量TV21の10.6[台]となる。また、基本車線群BD22に対応する車線は車線2のみなので、基本車線群BD22における基本車線交通量BTV22は車線別車種変換交通量TV22の2[台]となる。
流入路RI3については、基本車線群BD31に対応する車線は車線1のみなので、基本車線群BD31における基本車線交通量BTV31は車線別車種換算交通量TV31の15[台]となる。また、基本車線群BD32に対応する車線は車線2のみなので、基本車線群BD32における基本車線交通量BTV32は車線別車種変換交通量TV32の4[台]となる。
流入路RI4については、基本車線群BD41に対応する車線は車線1のみなので、基本車線群BD41における基本車線交通量BTV41は車線別車種換算交通量TV41の10[台]となる。また、基本車線群BD42に対応する車線は車線2のみなので、基本車線群BD42における基本車線交通量BTV42は車線別車種変換交通量TV42の2[台]となる。
これらをまとめると図10のようになる。
流入路RI2については、基本車線群BD21における基本車線飽和度BPI21は、車線別車種換算交通量TV21に対応する車線別飽和度PI21の0.00589となる。また、基本車線群BD22における基本車線飽和度BPI22は、車線別車種変換交通量TV22に対応する車線別飽和度PI22の0.00111となる。
流入路RI3については、基本車線群BD31における基本車線飽和度BPI31は、車線別車種換算交通量TV31に対応する車線別飽和度PI11の0.00833となる。また、基本車線群BD32における基本車線飽和度BPI32は、車線別車種変換交通量TV32に対応する車線別飽和度PI32の0.00222となる。
流入路RI4については、基本車線群BD41における基本車線飽和度BPI41は、車線別車種換算交通量TV41に対応する車線別飽和度PI41の0.00556となる。また、基本車線群BD42における基本車線飽和度BPI42は、車線別車種変換交通量TV42に対応する車線別飽和度PI42の0.00111となる。
これらをまとめると図11のようになる。
×3600[秒/1時間]+係数CO6)
> (歩行者最小保証青時間PLi[秒]+歩行者点滅時間PFi[秒]
+歩行者赤時間VGi[秒])
・・・式(3)
×3600[秒/1時間]+係数CO7)
> (黄時間Yi[秒]+赤時間Ri[秒])
・・・式(4)
×3600[秒/1時間]+係数CO6)
> (歩行者最小保証青時間PL2[秒]+歩行者点滅時間PF2[秒]
+歩行者赤時間VG2[秒])
・・・式(3a)
基本車線交通量BTV21=10.6[台]、車線別飽和交通流率PV21=1800[台/青1時間]であるため、上記の不等式(3a)の左辺は、(10.6[台]/1800[台/青1時間]×3600[秒/1時間]+0.0)=21.2[秒]となり、上記の不等式(3a)の右辺は、(10[秒]+5[秒]+2[秒])=17秒となり、上記の不等式(3a)を満たす。従って、基本車線群BD21は通常状態と決定する。
×3600[秒/1時間]+係数CO7)
> (黄時間Y2[秒]+赤時間R2[秒])
・・・式(4a)
基本車線交通量BTV22=2[台]、車線別飽和交通流率PV22=1800[台/青1時間]であるため、上記の不等式(4a)の左辺は、(2[台]/1800[台/青1時間]×3600[秒/1時間]+0.0)=4[秒]となり、上記の不等式(4a)の右辺は、(3[秒]+3[秒])=6秒となり、上記の不等式(4a)を満たさない。従って、基本車線群BD22は閑散状態と決定する。
また、基本現示群BG1に含まれる基本車線群BD42について、上記不等式(4)の左辺を算出すると4[秒]となり、不等式(4)の右辺を算出すると6[秒]となるので、不等式(4)を満たさず、基本車線群BD42は閑散状態と決定する。
よって、基本現示群BG1に含まれる4つの基本車線群BD21、BD22、BD41、BD42のうち2つが通常状態となっており、全てが閑散状態となっていないので、基本現示群BG1は通常状態と決定する。
また、基本現示群BG2に含まれる基本車線群BD12について、上記の不等式(4)の左辺を算出すると2[秒]となり、不等式(4)の右辺を算出すると6[秒]となるので、不等式(4)を満たさず、基本車線群BD12は閑散状態と決定する。
基本現示群BG2に含まれる基本車線群BD31について、上記の不等式(3)の左辺を算出すると30[秒]となり、不等式(3)の右辺を算出すると17[秒]となるので、不等式(3)を満たし、基本車線群BD31は通常状態と決定する。
また、基本現示群BG2に含まれる基本車線群BD32について、上記の不等式(4)の左辺を算出すると8[秒]となり、不等式(4)の右辺を算出すると6[秒]となるので、不等式(4)を満たし、基本車線群BD32は通常状態と決定する。
よって、基本現示群BG2に含まれる4つの基本車線群BD11、BD12、BD31、BD32のうち3つが通常状態となっており、全てが閑散状態となっていないので、基本現示群BG2は通常状態と決定する。
これらをまとめると図13のようになる。
×3600[秒/1時間]+係数CO8)
> (黄時間Yi[秒]+赤時間Ri[秒]+時差最小保証青時間[秒])
・・・式(5)
上記の不等式(5)の左辺は、(0.6[台]/1800[台/青1時間]×3600[秒/1時間]+0.0)=1.2[秒]となり、不等式(5)の右辺は(3[秒]+3[秒]+1[秒])=7[秒]となり、不等式(5)を満たさない。したがって、基本現示群BG1については、時差現示は不要であると決定する。
具体的には、ステップS04において閑散状態であると判定した基本現示群BGm(m=1〜2)については、閑散現示ma又は閑散現示mb(m=1〜2)を選定する。予めいずれを選定するかを決めておき、記憶部102に記憶しておいても良いし、交通状況を考慮していずれかを選定するように設定しても良い。
この場合、閑散現示ma(m=1〜2)を構成する基本現示と右折現示の飽和度、あるいは閑散現示mb(m=1〜2)の基本現示の飽和度は、従来の方法により求める。
=MAX(基本現示GJm_1に対応する基本車線群BDikにおける基本車線飽和度BPIik)
・・・式(6)
=MAX(右折現示GJm_3に対応する基本車線群BDikにおける基本車線飽和度BPIik)
・・・式(7)
=MIN(基本現示群BGmに含まれる基本車線群BDikのうち基本現示GJm_1に対応する基本車線群BDikにおける基本車線飽和度BPIik)
・・・式(8)
=MAX(基本現示群BGmに含まれる基本車線群BDikのうち基本現示GJm_1に対応する基本車線群BDikにおける基本車線飽和度BPIik)−基本現示飽和度BPIGJm_1+係数CO9
・・・式(9)
=MAX(MAX(0,((基本現示群BGmに含まれる基本車線群BDikのうち、右折現示GJm_3に対応する基本現示群であり、かつ、付加現示GJm_2A又は付加現示GJm_2Cで通行権を与えられた基本車線群における基本車線飽和度BPIik)−基本現示飽和度BPIGJm_2)),基本現示群BGmに含まれる基本車線群BDikのうち、右折現示GJm_3に対応する基本現示群であり、かつ、付加現示GJm_2A又は付加現示GJm_2Cで通行権を与えられなかった基本車線群における基本車線飽和度BPIik)
・・・式(10)
基本現示GJ1_1と付加現示GJ1_2Bはいずれも流入路RI2及び流入路RI4の直進方向と左折方向の車両に通行権を与えるものであり、基本現示GJ1_1に対応する基本車線群は基本車線群BD21と基本車線群BD41である。よって、基本現示GJ1_1と付加現示GJ1_2Bに共通する基本現示飽和度BPIGJ1_1は、上記の式(6)を具体化した以下の式(6a)により算出する。
=MAX(基本車線群BD21における基本車線飽和度BPI21,基本車線群BD41における基本車線飽和度BPI41)
=MAX(0.00589,0.00556)
=0.00589
・・・式(6a)
=MAX(基本車線群BD22における基本車線飽和度BPI22,基本車線群BD42における基本車線飽和度BPI42)
=MAX(0.00111,0.00111)
=0.00111
・・・式(7a)
=MIN(基本車線群BD11における基本車線飽和度BPI11,基本車線群BD31における基本車線飽和度BPI31)
=MIN(0.00556,0.00833)
=0.00556
・・・式(8a)
=MAX(基本車線群BD11における基本車線飽和度BPI11,基本車線群BD31における基本車線飽和度BPI31)−基本現示飽和度BPIGJ1_1+係数CO9
=MAX(0.00556,0.00833)−0.00556+0.0
=0.00277
・・・式(9a)
=MAX(MAX(0,基本車線飽和度BPI32−基本現示飽和度BPIGJ2_2),基本車線飽和度BPI12)
=MAX(MAX(0,0.00222−0.00277),0.00056)
=0.00056
・・・式(10a)
これらをまとめると図15のようになる。
ここで、比較例となる従来の固定式信号制御方式における信号制御パラメータ算出処理の手順について説明する。
固定式信号制御方式における現示構成の例を図16に示す。
現示1(歩車)では、流入路RI2と流入路RI4の全方向(直進方向、左折方向、右折方向)の車両と横断歩道CR1、横断歩道CR3の歩行者に対して通行権が与えられる。
現示1(車両)では、流入路RI2と流入路RI4の全方向(直進方向、左折方向、右折方向)の車両に対して通行権が与えられる。
現示2(歩車)では、流入路RI1と流入路RI3の全方向(直進方向、左折方向、右折方向)の車両と横断歩道CR2、横断歩道CR4の歩行者に対して通行権が与えられる。
現示2(車両)では、流入路RI1と流入路RI3の全方向(直進方向、左折方向、右折方向)の車両に対して通行権が与えられる。
実施形態1と同様に、それぞれの流入路RIi(i=1〜4)の下流端の各車線j(j=1〜2)における交通量が図7に示すような内容であったとすると、流入路RI1の交通量V1、流入路RI2の交通量V2、流入路RI3の交通流V3、流入路RI4の交通量V4は以下の式(11−1)〜式(11−4)のように算出される。
V2=10[台]+2[台]=12[台]・・・式(11−2)
V3=15[台]+4[台]=19[台]・・・式(11−3)
V4=10[台]+2[台]=12[台]・・・式(11−4)
上記の具体例では、飽和交通流率PVi(i=1〜4)がいずれも1800[台/青1時間]であるとすると、流入路RI1の飽和度PI1、流入路RI2の飽和度PI2、流入路RI3の飽和度PI3、流入路RI4の飽和度PI4は以下の式(12−1)〜式(12−2)のように算出される。
・・・式(12−1)
PI2=V2/PV2=12[台]/1800[台/青1時間]=0.0067
・・・式(12−2)
PI3=V3/PV3=19[台]/1800[台/青1時間]=0.0106
・・・式(12−3)
PI4=V4/PV4=12[台]/1800[台/青1時間]=0.0067
・・・式(12−4)
上記の具体例では、現示1において通行権を与えられている流入路は流入路RI2と流入路RI4であるので、対応する飽和度PI2と飽和度PI4の最大値を求め、それを現示1における現示飽和度PGJ1とする。飽和度PI2は0.0067、飽和度PI4は0.0067であるため、飽和度PGJ1はこれらのうちの最大値である0.0067となる。一方、現示2において通行権を与えられている流入路は流入路RI1と流入路RI3であるので、対応する飽和度PI1と飽和度PI3の最大値を求め、それを現示2における現示飽和度PGJ2とする。飽和度PI1は0.0061、飽和度PI3は0.0106であるので、飽和度PGJ2はこれらのうちの最大値である0.0106となる。
上記の具体例では、交差点飽和度は現示飽和度PGJ1と現示飽和度PGJ2の合計値となるため、0.0067+0.0106=0.0173となる。現示1のスプリットSP1、現示2のスプリットSP2は、以下の式(13−1)〜式(13−2)のように算出される。
・・・式(13−1)
SP2=PGJ2/交差点飽和度=0.0106/0.0173=61%
・・・式(13−2)
比較例では、流入路RI1と流入路RI3には、交通量の多い流入路RI3の飽和度PI3を考慮して、61%という大きいスプリットが与えられている。流入路RI3においては車両が19[台]と多いので、これらの車両を捌くためにはこのくらい大きいスプリットが与えられるのが望ましいが、流入路RI1においては直進方向と左折方向の車両は11[台]と流入路RI3に比べて少ないので、このように大きいスプリットが与えられても、そのうちの半分程度は無駄になっている。すなわち、流入路RI1においては、車両を捌くのに必要となるスプリットよりも大きいスプリットが与えられているため、車両が捌けているのに青信号が無駄に提示されるという状態になっている。その一方で、流入路RI2と流入路RI4には、スプリットは39%しか与えられておらず、流入路RI1における無駄な青信号のしわ寄せが流入路RI2と流入路RI4に来ている。
また、時差現示においては、第1飽和度と第2飽和度の大きい方から相互現示飽和度を減じた時差現示飽和度を用いて、スプリットなどの信号制御パラメータを算出する。第1の流入路と第2の流入路のうち、時差現示において通行権を与えられている流入路については、相互現示において捌くことができなかった交通量を捌くために通行権が与えられるので、無駄な青時間を生じないようにすることができ、時差現示において通行権を与えられていない流入路については、そもそも青時間がないので、無駄な青時間を生じないようにすることができる。
このように、無駄な青時間を少なくして、効率良く交通流を制御することができる。
一方、第1の流入路と第2の流入路のうち、時差現示において通行権を与えられていない流入路については、時差現示において右折方向の基本車線群における基本車線交通量は全く捌けていないので、その次の右折現示においては、この右折方向の交通量の全てを捌くことができれば良い。そのため、この流入路については、右折現示において右折方向の基本車線群における基本車線交通量を捌くための飽和度は、右折方向の基本車線群における基本車線飽和度(時差現示第2候補飽和度)となる。
従って、最終的に右折現示において第1の流入路及び第2の流入路の右折方向の基本車線群における基本車線交通量を捌くための右折現示飽和度を、第1の流入路と第2の流入路のうち、時差現示において通行権を与えられている流入路における右折現示第1候補飽和度と、時差現時において通行権を与えられていない流入路における右折現示第2候補飽和度の大きい方とすれば、第1の流入路及び第2の流入路における右折方向の交通量を適切に捌くことができる。
2 交通信号制御機、3 信号灯器
4 車両感知器、4a 読取装置、4b 制御装置
5 非接触タグ、6 車両、IS 交差点
CR1、CR2、CR3、CR4 横断歩道
RI1、RI2、RI3、RI4 流入路
RO1、RO2、RO3、RO4 流出路
ST1、ST2、ST3、ST4 停止線
Claims (6)
- 複数の流入路を有する交差点に設置された信号灯器を制御する信号制御装置であって、
前記複数の流入路のうちの第1の流入路について、少なくとも直進方向を含む1又は複数の車線の交通量である第1交通量を算出する第1交通量算出手段と、
前記複数の流入路のうちの前記第1の流入路に対向する第2の流入路について、少なくとも直進方向を含む1又は複数の車線の交通量である第2交通量を算出する第2交通量算出手段と、
前記第1交通量と前記第2交通量の差分である阻害交通量を算出する阻害交通量算出手段と、
前記第1交通量が前記第2交通量よりも大きい場合には、前記阻害交通量が所定の条件を満たすか否かに基づいて、前記第1の流入路に対して通行権を与え、かつ、前記第2の流入路に対して通行権を与えない現示である第1時差現示を用いるか否かを判定し、前記第1交通量が前記第2交通量よりも小さい場合には、前記阻害交通量が所定の条件を満たすか否かに基づいて、前記第2の流入路に対して通行権を与え、かつ、前記第1の流入路に対して通行権を与えない現示である第2時差現示を用いるか否かを判定する時差現示判定手段と、
前記時差現示判定手段が前記第1時差現示を用いると判定した場合には、前記第1の流入路の少なくとも直進方向と前記第2の流入路の少なくとも直進方向との双方に通行権を与える現示である相互現示と、前記第1時差現示とを含む複数の現示を設定し、前記時差現示判定手段が前記第2時差現示を用いると判定した場合には、前記相互現示と、前記第2時差現示とを含む複数の現示を設定する現示設定手段と、
前記現示設定手段が設定した複数の現示について、前記信号灯器を制御するための信号制御パラメータを算出する信号制御パラメータ算出手段と
を備える信号制御装置。 - 前記第1交通量を前記第1の流入路における所定の飽和交通流率で除して第1飽和度を算出する第1飽和度算出手段と、
前記第2交通量を前記第2の流入路における所定の飽和交通流率で除した第2飽和度を算出する第2飽和度算出手段と、
前記第1飽和度と前記第2飽和度の小さい方を、前記相互現示の飽和度である相互現示飽和度として算出する相互現示飽和度算出手段と、
前記第1飽和度と前記第2飽和度の大きい方から、前記相互現示飽和度を減じて、前記第1時差現示又は前記第2時差現示の飽和度である時差現示飽和度を算出する時差現示飽和度算出手段と
を備え、
前記信号制御パラメータ算出手段は、前記時差現示判定手段が前記第1時差現示又は前記第2時差現示を用いると判定した場合には、前記相互現示飽和度と前記時差現示飽和度とに基づいて前記信号制御パラメータを算出する、
請求項1に記載の信号制御装置。 - 前記第1交通量は、前記第1の流入路の右折方向の交通量を含まないものであり、
前記第2交通量は、前記第2の流入路の右折方向の交通量を含まないものであり、
前記現示設定手段は、前記第1の流入路の右折方向と前記第2の流入路の右折方向との双方に通行権を与える右折現示をさらに含む複数の現示を設定し、
前記第1交通量が前記第2交通量よりも大きい場合には、前記第1の流入路の右折方向の交通量を、前記第1の流入路における所定の飽和交通流率で除して、前記第1交通量が前記第2交通量よりも小さい場合には、前記第2の流入路の右折方向の交通量を、前記第2の流入路における所定の飽和交通流率で除して、前記第1時差現示又は前記第2時差現示における右折方向の飽和度である時差現示右折方向飽和度を算出する時差現示右折方向飽和度算出手段と、
前記時差現示右折方向飽和度から前記時差現示飽和度を減じて、前記右折現示における飽和度の候補である右折現示第1候補飽和度を算出する右折現示第1候補飽和度算出手段と、
前記第1交通量が前記第2交通量よりも大きい場合には、前記第2の流入路の右折方向の交通量を、前記第2の流入路における所定の飽和交通流率で除して、前記第1交通量が前記第2交通量よりも小さい場合には、前記第1の流入路の右折方向の交通量を、前記第1の流入路における所定の飽和交通流率で除して、前記右折現示における飽和度の候補である右折現示第2飽和度を算出する右折現示第2候補飽和度算出手段と、
前記右折現示第1候補飽和度と前記右折現示第2候補飽和度の大きい方を、前記右折現示の飽和度である右折現示飽和度として算出する右折現示飽和度算出手段と
を備え、
前記信号制御パラメータ算出手段は、前記時差現示判定手段が前記第1時差現示又は前記第2時差現示を用いると判定した場合には、さらに前記右折現示飽和度に基づいて前記信号制御パラメータを算出する、
請求項2に記載の信号制御装置。 - 前記第1交通量が前記第2交通量よりも大きい場合には、前記阻害交通量を前記第1の流入路における所定の飽和交通流率で除して、前記第1交通量が前記第2交通量よりも小さい場合には、前記阻害交通量を前記第2の流入路における所定の飽和交通流率で除して、前記阻害交通量が捌けるのに必要となる阻害交通量通行時間を算出する阻害交通量通行時間算出手段を備え、
前記時差現示判定手段は、前記第1交通量が前記第2交通量よりも大きい場合には、前記第1時差現示における前記第1の流入路の黄時間と前記第1時差現示における前記第1の流入路の赤時間と前記第1時差現示における前記第1の流入路の最小の青時間である時差最小保証青時間との合計と、前記阻害交通量通行時間とに基づいて、前記第1時差現示を用いるか否かを判定し、前記第1交通量が前記第2交通量よりも小さい場合には、前記第2時差現示における前記第2の流入路の黄時間と前記第2時差現示における前記第2流入路の赤時間と前記第2時差現示における前記第2の流入路の時差最小保証青時間との合計と、前記阻害交通量通行時間とに基づいて、前記第2時差現示を用いるか否かを判定する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の信号制御装置。 - 前記第1交通量と前記第2交通量とに基づいて、交通状態が閑散状態であるか否かを判定する交通状態判定手段を備え、
前記時差現示判定手段は、さらに、前記交通状態判定手段が否と判定した場合に、前記第1時差現示を用いるか否か、あるいは、前記第2時差現示を用いるか否かを判定する、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の信号制御装置。 - コンピュータを、複数の流入路を有する交差点に設置された信号灯器を制御する信号制御装置として機能させるためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータを、
前記複数の流入路のうちの第1の流入路について、少なくとも直進方向を含む1又は複数の車線の交通量である第1交通量を算出する第1交通量算出手段、
前記複数の流入路のうちの前記第1の流入路に対向する第2の流入路について、少なくとも直進方向を含む1又は複数の車線の交通量である第2交通量を算出する第2交通量算出手段、
前記第1交通量と前記第2交通量の差分である阻害交通量を算出する阻害交通量算出手段、
前記第1交通量が前記第2交通量よりも大きい場合には、前記阻害交通量が所定の条件を満たすか否かに基づいて、前記第1の流入路に対して通行権を与え、かつ、前記第2の流入路に対して通行権を与えない現示である第1時差現示を用いるか否かを判定し、前記第1交通量が前記第2交通量よりも小さい場合には、前記阻害交通量が所定の条件を満たすか否かに基づいて、前記第2の流入路に対して通行権を与え、かつ、前記第1の流入路に対して通行権を与えない現示である第2時差現示を用いるか否かを判定する時差現示判定手段、
前記時差現示判定手段が前記第1時差現示を用いると判定した場合には、前記第1の流入路の少なくとも直進方向と前記第2の流入路の少なくとも直進方向との双方に通行権を与える現示である相互現示と、前記第1時差現示とを含む複数の現示を設定し、前記時差現示判定手段が前記第2時差現示を用いると判定した場合には、前記相互現示と、前記第2時差現示とを含む複数の現示を設定する現示設定手段、
前記現示設定手段が設定した複数の現示について、前記信号灯器を制御するための信号制御パラメータを算出する信号制御パラメータ算出手段、
として機能させるためのコンピュータプログラム。
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