(第1の実施の形態)
以下、運転評価装置及び運転評価方法、並びに運転支援システムを具体化した第1の実施の形態について図1〜図5を参照して説明する。
図1に示すように、本実施の形態の運転モデルの作成装置及び運転モデルの作成方法、並びに運転評価装置及び運転評価方法、並びに運転支援システムが適用される車両100には、同車両100の状態量を検出する車両状態検出部110が設けられている。
車両状態検出部110は、車速センサ111、加速度センサ112、ジャイロセンサ113、アクセルセンサ114、ブレーキセンサ115、操舵角センサ116等によって構成されている。これら各種センサ111〜116は、例えばCAN(Control Area Network)などの車載ネットワークを介して、様々なセンサ等の検出結果を集約する操作情報記録部120に電気的に接続されている。なお、本実施の形態では、この車両状態検出部110によって上記状態量検出部及び上記評価要素検出部が構成される。
車速センサ111は、車輪回転速度を検出し、この検出した回転速度に応じた信号を、操作情報記録部120に出力する。加速度センサ112は、車両100の加速度を検出し、この検出した加速度に応じた信号を、操作情報記録部120に出力する。ジャイロセンサ113は、車両100の進行する角度や角速度を検出し、この検出した角度や角速度に応じた信号を操作情報記録部120に出力する。アクセルセンサ114は、ドライバによるアクセルペダル操作によって変化するアクセル開度を検出し、この検出したアクセルの開度に応じた信号を、操作情報記録部120に出力する。ブレーキセンサ115は、ドライバによるブレーキペダル操作の有無を検出し、この検出した操作の有無に応じた信号を、操作情報記録部120に出力する。操舵角センサ116は、ステアリング操舵角変化量を検出する。そして、操舵角センサ116は、この検出したステアリング操舵角変化量に基づいて操舵角を算出し、この算出した操舵角に応じた信号を、操作情報記録部120に出力する。
操作情報記録部120には、各センサ111〜116から入力された信号が、車両100の状態量を示すデータとして経時的に記録される。これにより、操作情報記録部120には、車両100のドライバによる運転に応じて変化する車速や加速度、減速度等の推移を示す車両挙動データや、アクセルペダル、ブレーキペダル、ステアリングの操作態様を示す車両操作データ等が蓄積される。
また、本実施の形態の車両100には、操作情報記録部120に蓄積されたデータの中から、運転モデルの作成対象とする対象行動抽出部130が搭載されている。対象行動抽出部130は、例えば、ドライバによる減速操作を示すデータ、加速操作を示すデータ、ステアリング操作を示すデータ等の特定の運転操作を示すデータを、操作情報記録部120に所定の条件のもとに蓄積されたデータの中から抽出する。対象行動抽出部130は、抽出したデータを、同データに基づいて運転モデルを作成する運転モデル作成装置140に出力する。
運転モデル作成装置140は、特定の運転操作が行われたときの車両100の走行距離を操作情報記録部120から入力されたデータに基づいて算出する走行距離算出部141を備えている。また、運転モデル作成装置140は、特定の運転操作が行われた局面において指標とすべき単純な運転モデルである単純モデルを作成するモデル作成部142と、該モデル作成部142が作成した単純モデルをドライバが実際に行う運転操作に近づける除変処理を実行する除変処理部143とを備えている。
走行距離算出部141は、対象行動抽出部130から入力されるデータのうち、例えば、車速センサ111の検出結果を示すデータをもとに所定の演算を行うことにより、車両100の走行距離を算出する。なお、本実施の形態の走行距離算出部141は、走行距離一つの交通要素に対して行われた一つの減速操作や加速操作、ブレーキ操作等といった特定の運転操作を単位として走行距離を算出する。これにより、本実施の形態では、特定の運転操作が行われる都度、同運転操作が行われた期間における車両100の走行距離が算出されることとなる。
本実施の形態のモデル作成部142は、対象行動抽出部130により抽出されたデータのうち、車両100の走行速度や加速度、進行角度といった車両100の挙動を示す車両挙動データと、アクセルペダルやブレーキペダル、ステアリングといった車両100の操作態様を示す車両操作データとを用いて運転モデルを作成する。また、本実施の形態のモデル作成部142は、運転モデルの作成に際し、この車両操作データが示す特定の車両操作が行われたときの車両100の走行距離を走行距離算出部141の算出結果から取得し、この取得した走行距離を用いる。なお、本実施の形態では、例えば、走行距離算出部141が算出した走行距離、換言すれば、車両100の移動量が与えられているときに、この移動量の範囲内で例えば走行状態にある車両100の状態を停止状態にさせるための車速や減速度等の車両挙動の推移を示すモデルが運転モデルとして作成される。また、本実施の形態では、運転モデルが、ドライバによる減速操作、加速操作、及びステアリング操作等といった上記対象行動抽出部130により抽出される特定の運転操作毎に作成される。また、同じ減速操作であっても、所定の走行速度で走行している車両100が停止状態に遷移するまでの移動量が異なるときには、この車両100の車両挙動データと車両操作データとに基づき作成される運転モデルは異なるものとなる。すなわち、本実施の形態では、停止位置までの距離が短く急ブレーキを要する状況下、換言すれば、移動量が小さい局面において減速操作が行われたときは、走行状態にある車両100を小さい移動量の中で停止状態に遷移させるための運転モデルが作成される。逆に、停止位置までの距離が十分確保されており緩やかな減速が可能な状況下、換言すれば、移動量が十分に大きい局面において減速操作が行われたときは、走行状態にある車両100を十分に大きい移動量の中で停止状態に遷移させるための運転モデルが作成される。そして、こうした運転モデルは、各局面において指標となる運転モデルとして生成されることとなる。すなわち、急ブレーキを含む運転モデルであっても、その局面を加味すれば急ブレーキを行うことが必要な状況下であれば、当該運転モデルは同局面においては模範とすべき運転モデルとなる。
一方、本実施の形態の除変処理部143は、モデル作成部142が作成した運転モデルに対し、この運転モデルが示す車両挙動の変化の度合いを低減させる処理を行う。これにより、例えば、運転モデルが示す車速や減速度等の車両挙動の推移が滑らかなものとなり、ドライバによる再現性の高い運転モデルが変更される。
運転モデル作成装置140は、モデル作成部142が作成し、除変処理部143により除変処理が施された運転モデルを、同運転モデルをもとに各種運転支援を行う運転支援システム150に出力する。
運転支援システム150は、運転モデル作成装置140が作成した運転モデルを用いて車両100のドライバの運転技量を評価する運転評価部151と、同運転モデルを用いてドライバに対する運転支援を行う運転支援部152とを備えている。なお、本実施の形態では、車両状態検出部110及び運転評価部151により上記運転評価装置が構成される。
このうち、運転評価部151は、評価対象とする特定の運転操作を示すデータを対象行動抽出部130から取得する。これにより、例えば、減速操作、加速操作、及びステアリング操作といった特定の操作が行われたときの車両挙動データや車両操作データが対象行動抽出部130から取得される。また、運転評価部151は、評価対象とする運転操作に対応して作成された運転モデルを運転モデル作成装置140から取得する。次いで、運転評価部151は、運転モデル作成装置140から取得した運転モデルと上記抽出した特定の操作を示すデータとを比較し、それらの差分を求める。運転評価部151は、この差分に基づいて例えばドライバの運転技量を「レベル高」、「レベル中」、及び「レベル小」の三段階に評価する。そして、運転評価部151は、差分を示す情報と運転技量を示す情報とを、各情報に基づく運転支援を実行する運転支援部152に出力する。
運転支援部152は、運転評価部151から差分を示す情報と運転技量を示す情報とが入力されると、ドライバによる運転操作を運転モデルが示す運転操作に誘導するための誘導データを生成する。なお、運転支援部152には、ドライバによる音声案内を行う音声装置153、車室内に設けられた液晶ディスプレイ等からなる表示装置154が電気的に接続されている。
このように構成される本実施の形態の運転支援部152は、誘導データとして、例えば、ドライバが実際に行った運転操作の推移と上記作成された運転モデルとを対比可能な画像データを作成する。そして、運転支援部152は、この作成した画像データを例えば表示装置154に可視表示する。また、運転支援部152は、例えば「レベル高」、「レベル中」、及び「レベル小」といったドライバの運転技量を案内する音声データや画像データを作成する。そして、運転支援部152は、この作成した音声データ及び画像データをそれぞれ音声装置153及び表示装置154に出力する。音声装置153及び表示装置154は、入力された音声データ及び画像データに基づき、ドライバによる運転操作の評価結果を音声や画像によって同ドライバに案内する。また、運転操作の推移と上記作成された運転モデルとを対比した画像データが表示装置154に表示されることにより、ドライバによる運転操作を運転モデルに誘導することが可能となる。
以下、本発明の運転モデルの作成装置及び運転モデルの作成方法による運転モデルの作成原理を図2を参照して詳述する。
図2(a)に示すように、車両100のドライバが例えば青現示となっている信号機が設けられた信号交差点SCに向かって進行している。また、車両100の走行速度は、地点P0を通過するタイミングt0において、減速操作の開始を推定するための走行速度の閾値「Va」以上になる。そして、信号交差点SCに設けられた信号機の現示が青現示から黄現示、赤現示へと順に変化すると、例えば、車両100が地点P1を通過するタイミングt1において、車両100のドライバがブレーキペダルを踏み込むことにより減速操作が開始される。この結果、地点P1から距離L12離れた地点P2に車両100が到達するタイミングt2において同車両100が停止することにより、減速操作が終了される。その後、信号交差点SCの現示が赤現示から青現示へと変化すると、車両100のドライバによりアクセルペダルが踏み込まれ、車両100が発進する。そして、このように信号交差点SCの走行時における車両100の挙動やドライバによる減速操作を示す車両挙動データ及び車両操作データが上記操作情報記録部120に記録される。
ここで、図2(b)に示すように、本実施の形態の対象行動抽出部130は、評価対象となる減速操作を示すデータの抽出に際し、車両100の走行速度が「Va」以上となったのちに車両100の走行速度が「0m/s」になっている車両挙動データ及び車両操作データとその取得時間を特定する。そして、対象行動抽出部130は、車両100の走行速度が「Va」以上となってから「0m/s」になるまでの車両100の走行速度を示すデータ、すなわち図2(b)に領域Rαにて示すデータを抽出する。次いで、この抽出された領域Rα、すなわち、タイミングt1からタイミングt2までに車両100が走行した移動量である距離L12が走行距離算出部141により求められる。
また、図2(c)に推移Ia1として示すように、領域Rαの車両100の減速度は、タイミングt1以降、徐々に増大し、車両100が地点P3に到達するタイミングt3で最大値amとなる。その後、車両100の走行速度が「0m/s」に近くづくにつれて車両100の減速度が急激に低下する。このように、車両100のドライバの運転操作に基づく減速度の推移は不安定なものとなり、これに伴い車両100の走行も不安定な走行、すなわち、運転レベルの低い走行となる。
これに対し、本実施の形態の運転モデル作成装置140により作成される減速度についての運転モデルは、同図2(c)に推移Ia2として示すように、タイミングt1からタイミングt4までの間に、一定の変化率のもとに増大する推移をなす。そして、タイミングt4からタイミングt5にかけて減速度asで一定となり、タイミングt5からタイミングt2までの間は、再び、一定の変化率のもとに減速度が小さくなる。
なお、本実施の形態では、運転モデルが示す減速度の度合いが低減された実際のドライバに操作可能なモデルをドライバに提示すべく、除変処理部143による除変処理が運転モデルに施されている。これにより、運転モデルは、変化の度合いが低減された、いわゆる時定数が加味されたものとなっている。すなわち、運転モデルが示す領域Rαの減速度は、「0」から減速度「as」、減速度「as」から「0」へと変化するが、こうした加速度は、減速開始直後の期間T04、減速終了直前の期間T52の間で所定の変化率のもとに滑らかに推移する。なお、期間T45では減速度は一定となっている。このように、本実施の形態では、減速度の変化の度合いが低減されることによって、実現性の高い運転モデルが作成されることとなる。
なお、本実施の形態では、運転モデルの推移Ia2と車両100のドライバの運転操作に基づく減速度の推移Ia1との差分Oabが小さいほどドライバの運転技量が高く、同差分Oabが大きいほどドライバの運転技量が低いものとして評価される。
次に、本実施の形態の運転モデルの元のモデルとなる単純モデルの生成態様及び生成した単純モデルに対する除変処理について図3及び図4を参照して詳述する。なお、図3(a)及び(b)は、先の図2(b)の領域Rαにおける車両100の走行速度及び減速度を示している。また、図3(a)において、実線で示す推移Sv1は、車両100のドライバによる運転操作に基づく実際の走行速度の推移を示しており、破線で示す推移Sv2は、モデル作成部142により作成された走行速度の単純モデルを示しており、一点鎖線で示す推移Sv3は、除変処理部143により除変処理の施された走行速度のモデルを示している。同様に、図3(b)において、実線で示す推移Sa1は、車両100のドライバによる運転操作に基づく実際の減速度の推移を示しており、破線で示す推移Sa2は、モデル作成部142により作成された減速度の単純モデルを示しており、一点鎖線で示す推移Sa3は、除変処理部143により除変処理の施された減速度のモデルを示している。
ここで、減速行動開始時の車両100の走行速度を「V0」とし、減速行動終了時、すなわち、車両100が停止したときの走行速度を「V1」とする。また、車両100の走行速度が速度V0から速度V1に低下するまでの車両100の移動量(距離L12)を「x」、車両100の加速度を「a」とすると、等加速度直線運動の法則より、以下の式(イ)が成り立つ。
V12−V02=2ax …(イ)
また、車両100が停止したときの走行速度「V1」は「0m/s」であるから、上記式(イ)を「a」について解くと、
a=−2x/V02 …(ロ)
となる。
そして、上記式(ロ)の「x」に、車両100の移動量である距離L12を代入すると、距離L12が与えられたときに必要な一定の減速度、すなわち、図3(b)に例示する推移Sa2が求まる。そして、この推移Sa2が、車両100の走行速度が「V0」であり、かつ停止位置までの移動量として距離L12が与えられている局面における単純モデルとなる。また、この一定の減速度のもとに車両100の走行速度が推移したとすると、図3(a)に例示するように、一定減速度が与えられたときの指標となる走行速度の推移Sv2が求まる。なお、本実施の形態では、さらに、除変処理の施された走行速度の推移Sv3及び減速度の推移Sa3が求められる。
また、図4(a)に例示するように、車両100のドライバが減速操作を開始したときの走行速度が「V0」で共通していたとしても、信号機の現示の変化するタイミングの相違に起因して、減速操作の開始地点から停止目標位置までの距離がそれぞれ、距離L14、距離L12(<距離L14)、及び距離L13(<距離L12)と相違することとなる。
そして、減速操作の開始地点から停止目標位置までの距離が長いほど緩やかな減速が可能な一方、減速操作の開始地点から停止目標位置までの距離が短いほど急な減速が要求される。この結果、図4(a)に示すように、距離L14、距離L12、及び距離L13が与えられたときの車両100の実際の走行速度の推移は、それぞれ推移Av1、推移Sv1、及び推移Bv1といった態様で相違し、走行速度の減衰の度合いも異なるものとなる。同様に、図4(b)に示すように、距離L14、距離L12、及び距離L13が与えられたときの車両100の実際の減速度の推移は、それぞれ推移Aa1、推移Sa1、及び推移Ba1といった態様で相違し、最大の減速度も各々異なるものとなる。
ただし、本実施の形態では、指標となる運転モデルが、特定の運転操作が行われたときの車両100の初期の状態量と最後の状態量とに基づいて作成される。よって、車両100の移動量が距離L14、距離L12、及び距離L13として与えられているときの指標となる走行速度の単純モデルは、図4(a)に推移Av2、推移Sv2、及び推移Bv2として示すように、減速時における車両100の移動量の別、換言すれば、車両100の走行時における局面の別に作成される。
同様に、図4(b)に推移Aa2、推移Sa2、及び推移Ba2として示すように、車両100の移動量が距離L14、距離L12、及び距離L13として与えられているときの指標となる減速度の単純モデルは、与えられた車両100の移動量の別、換言すれば、車両100の走行時における局面の別に相違する。
そして、本実施の形態では、こうした局面の別に作成された運転モデルに基づきドライバの運転操作が評価される。よって、たとえ、急ブレーキが行われた局面であっても、同局面における車両100の実際の走行速度や減速度の推移が、指標となる運転モデルに近似するときには、同急ブレーキ操作は、同局面に応じた運転技量の高い操作として評価されることとなる。逆に、緩やかなブレーキ操作が行われているときであっても、同ブレーキ操作が、その局面において指標とすべき運転モデルとの相違が大きいときには、同ブレーキ操作が運転技量の低い操作として評価されることとなる。
このように、本実施の形態によれば、ドライバの運転技量を評価するための運転モデルが、車両100の状態を目標とすべき状態に遷移させるまでの間に与えられている移動量と、同目標とすべき状態に遷移するための運転操作の開始時及び終了時の車両100の走行速度や減速度といった車両挙動とに基づいて作成される。よって、その都度の車両100の局面に応じた運転モデルを作成することが可能となり、この運転モデルを用いて、その都度の車両100の局面に見合った高精度な運転技量の評価を行うことが可能となる。
一方、図3(b)、図4(b)において、例えば推移Sa2は、減速操作開始時t1において、減速度が「0」から「a」へと瞬時に変化し、減速操作終了時t2では、減速度が「a」から「0」に瞬時に変化していることを示している。すなわち、この推移Sa2が示す減速度の単純モデルは、例えば、ドライバがブレーキの踏み込み動作や踏み終わり動作に要する時間が加味されていないものとなっており、完全に再現することは困難なモデルとなっている。
そこで、本実施の形態の除変処理部143は、単純モデル(推移Sa2、Sv2)が示す減速度や走行速度といった車両挙動の変化の度合いを低減させるための除変処理を行う。本実施の形態では、除変処理が、例えば減速度に対する時定数「b」を用いて行われる。
なお、時定数「b」は、運転モデルのうち、例えば所定区間における減速度の傾き、すなわち減速度の変化率を示している。なお、本実施の形態では、例えば、減速開始直後であって運転モデルが示す走行区間の始端における約「10%」の領域の運転モデルに対して除変処理が行われる。また、同様に、例えば、減速終了直前であって運転モデルが示す走行区間の終端における約「10%」の領域の運転モデルに対しても除変処理が行われる。
そして、除変処理部143は例えば、図3(b)において、領域Rαの期間T04の始端における初速をV0、期間T04の終端における速度をV1、期間T04の終端における減速度をa’と仮定する。また、図3(b)において、領域Rαの期間T45の終端における速度をV2とし、期間T52の終端における速度をV3と仮定する。また、期間T04における車両100の移動距離をX01、期間T45における車両100の移動距離をX12、及び期間T52における車両100の移動距離をX23と仮定する。また同様に、期間T04における車両100の移動時間をt01、期間T45における車両100の移動時間をt12、及び期間T52における車両100の移動時間をt23と仮定する。
ここで、領域Rαの期間T04の始端における初速V0、及び期間T52の終端における速度V3(=0)は、上記車速センサ111の検出結果より求まる。
そして、例えば、初速V0=20m/s、及び減速操作が開始されてから車両100が停止するまでの車両100の移動量が100mとすると、上記式(ロ)より、同区間における単純な運転モデルが示す減速度が−2.0m/s2として求まる。また、減速操作が開始されてから車両100が停止するまでに要した時間tが10秒として求まる。
そして、全体の10%として設定された期間T04における減速度の変化量である時定数b、及び全体の10%として設定された期間T52における減速度の変化量である時定数bは、以下の式(ハ)より求まる。
b=a’/(0.1×t) …(ハ)
また、各期間の始端における速度をVs、同区間の車両100の移動時間をtとするとき、区間終端における速度Vgは、以下の式(ニ)によって求まる。
Vg=Vs+a・t+1/(2b・t2) …(ニ)
また、減速操作が開始されてから或る期間の始端までの車両100の移動量をXsとするとき、減速操作が開始されてから同期間の終端までの車両100の移動量をXgは、上記式(ニ)が積分された以下の式(ホ)によって求まる。
Xg=Xs+1/(2a・t2)+1/(6b・t3) …(ホ)
そして、上記式(ニ)及び(ホ)に、車速センサ111により検出された初速V0、減速終了時における車両100の走行速度(V3=0m/s)、上記式(ハ)、及び上記走行距離算出部141により算出された減速開始から減速終了までの車両100の移動量(100m)を代入する。また、期間T04、T45、T52において仮定した速度V1、V2、V3(=0m/s)を、期間T04、T45、T52にそれぞれ代入し、速度V1→V2→V3といった態様で上記式(ニ)を順次解く。
また、期間T04、T45、T52において仮定した移動量X01、X12、X23を、期間T04、T45、T52にそれぞれ代入し、移動量X01→X12→X23といった態様で上記式(ホ)を順次解く。
そして、減速操作の終了時における車両100の走行速度V3が「0m/s」であり、減速開始から減速終了までの車両100の総移動量X23が「100ms」として与えられていることから、上記式(ニ)及び(ホ)の解より、未知の値a’が例えば「2.22..」として求まる。
こうして、領域Rαの始端10%及び終端10%に設定された時定数b、減速開始から減速終了まで間に車両100が到達する減速度a’に基づき除変処理を施した運転モデルを作成されると、図3(b)にて推移Sa3、並びに図4(b)にて推移Aa3及び推移Ba3として示した減速度についての運転モデルが作成されることとなる。また、この作成された減速度についての運転モデルを走行速度に反映させると、図3(a)にて推移Sv3、並びに図4(a)にて推移Av3及び推移Bv3として示した走行速度についての運転モデルが作成されることとなる。
このように、本実施の形態では、モデル作成部142により作成された単純モデル(推移Sa2、Sv2)に対する除変処理が行われることにより、現実により即した再現性の高い運転モデル(推移Sa3、Sv3)が作成される。これにより、車両100の局面に即し、かつ、再現性の高い運転モデルが作成されることとなり、こうした運転モデルに基づく運転技量の評価を高精度に行うことが可能となる。
以下、本実施の形態の運転モデルの作成装置及び運転モデルの作成方法、並びに運転評価装置及び運転評価方法、並びに運転支援システムの作用を図5のフローチャートを参照して説明する。
図5に示すように、ステップS100において、操作情報記録部120に記録されたデータのうち、車両100の走行時に取得された車両挙動データ及び車両操作データが特定される。
次いで、特定された各車両挙動データ及び各車両操作データのうち、例えば車両100の走行速度が低下したのち、走行速度が「0m/s」となった車両挙動データ及び車両操作データが特定される(ステップS101)。そして、この特定された車両操作データとその取得日時とに基づいて、ブレーキペダルの踏み込みが開始されたタイミングが特定される(ステップS102)。また、減速開始時の車両100の走行速度を示すデータが取得される(ステップS103)。次いで、この特定されたタイミング、同タイミングでの車両100の走行速度、及び車両100の走行速度が「0m/s」になったタイミングに基づいて、車両100の減速操作が開始されてから同車両100が停止するまでの車両100の走行距離が算出される(ステップS104)。
次いで、この算出された走行距離と減速操作の開始時及び終了時における車両100の走行速度とに基づいて、減速操作が行われたときの車両100の走行区間における単純モデルが作成される(ステップS105)。そして、この作成された単純モデルに対する除変処理が行われることによって、当該減速操作が行われたときの車両100の走行速度及び移動量に応じた運転モデルが作成される(ステップS106、107)。
こうして、運転モデルが作成されると、ステップS100、S101にて特定され、運転モデルの作成源となった車両挙動データが示す走行速度及び減速度と、それら走行速度及び減速度についての運転モデルとの比較を通じて、ドライバが行った減速操作が評価される(S108)。そして、この評価結果が、例えば、音声案内や画像案内によりドライバに報知される。
以上説明したように、本実施の形態にかかる運転モデルの作成装置及び運転モデルの作成方法、並びに運転評価装置及び運転評価方法、並びに運転支援システムによれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)ドライバによる運転操作に応じて変化する車両の状態量を検出した。また、ドライバが特定の運転操作を開始したときの車両の状態量と該特定の運転操作を終了したときの車両の状態量とに基づいて当該特定の運転操作についての指標とする運転モデルを作成した。これにより、その都度の局面に応じた運転モデルを作成することが可能となる。また、これにより、特定の運転操作の行われたときの車両100の走行エリアや交通要素が相違したとしても、局面さえ共通もしくは類似すれば流用可能な汎用性の高い運転モデルを作成することが可能となる。さらに、これにより、運転モデルを作成するにあたって、特定の運転操作が行われたときの車両100の走行エリアや交通要素を特定する必要もなく、特定の運転操作の開始時及び終了時における車両100の各状態量といった必要最小限の要素に基づいて運転モデルを作成することが可能となる。
(2)車両100の状態量として、特定の運転操作の開始から終了までの車両100の移動量もしくは移動時間と、特定の運転操作の開始から終了までの車両挙動の変化量とを選定した。そして、上記運転モデルとして、特定の運転操作の開始から終了までの車両挙動の変化推移を示すモデルを作成した。これにより、与えられた移動量の中で、車両100の挙動である車両100の走行速度を特定の運転操作の開始時の状態から終了時の状態にまで遷移させるために必要な車両挙動の推移を示す運転モデルを作成することが可能となる。また、これにより、限られた移動量しか許容されない局面において指標とすべき運転モデルを作成することが可能となる。
(3)単純モデルとして作成された運転モデルに対し、同モデルの変化の度合いを低減させる除変処理をさらに行った。これにより、人為的に行われる運転操作に一層近いモデルを作成することが可能となり、換言すれば、ドライバが模倣しやすいモデルを作成することが可能となる。また、除変処理の施された運転モデルを用いた運転評価についても、その評価精度のさらなる向上が図られることとなる。
(4)単純モデルに対する除変処理として、減速操作の行われた区間全体のうち、車両挙動の変化を含む特定の割合として例えば全体の約10%の区間における車両挙動の変化の度合いを低減する処理を行った(処理a)。このため、除変処理を通じて変更される運転モデルの車両挙動の変化率が走行区間の長短に応じて自動的に変化される。よって、走行区間が長いときは、これに応じて長めの区間で車両挙動が変化する態様で運転モデルが変更される一方、走行区間が短いときは、これに応じて短めの区間で車両挙動が変化する態様で運転モデルが変更されることとなる。これにより、走行区間が変化したとしても、この区間に応じた除変処理が行われることとなる。
(5)車両挙動の変化量として、車両100の走行速度及び減速度を選定した。そして、車両100の減速時における減速操作についての運転モデルを作成した。これにより、車両100の走行時に行われる主要な運転操作についての運転モデルを作成することが可能となる。また、減速操作は、燃料消費量、車両走行の安定性、及び必要区間の旅行時間といった要素に及ぼす影響が強い。よって、こうした要素に対して影響度の大きい減速操作についての運転モデルをドライバに提示したり同運転モデルに基づいた運転技量の評価や運転支援を行うことで、燃料消費量、車両走行の安定性、及び必要区間の旅行時間を効果的に改善することが可能となる。
(6)上記作成した運転モデルと、車両状態検出部110により検出された車両100の状態量との比較を通じて、評価対象とするドライバの運転技量を評価した。このため、評価対象とするドライバが運転する車両100の走行時の局面が如何なる局面であれ、この局面に共通もしくは類似する局面で取得された車両100の状態量に基づき作成された運転モデルを用いた評価を行うことが可能となる。これにより、その都度の局面で適した運転モデルを用いた評価を通じて、ドライバの運転技量を精度よく評価することが可能となる。
(7)運転モデル作成装置140により評価された評価結果に基づいて車両100のドライバによる車両の運転を支援する運転支援部152を車両100に設けた。そして、運転支援部152により、音声装置153及び表示装置154による運転モデルの案内や同ドライバの評価結果の案内を通じて、評価対象とされた車両100のドライバの運転操作を運転モデルに従った運転操作に事後的に誘導することとした。これにより、ドライバの運転操作をその都度の局面で指標とされた運転操作へと誘導することが可能となる。
(第2の実施の形態)
次に、運転評価装置及び運転評価方法、並びに運転支援システムの第2の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に、図6〜図9を参照して説明する。なお、本実施の形態にかかる運転モデルの作成装置及び運転モデルの作成方法、並びに運転評価装置及び運転評価方法、並びに運転支援システムも、その基本的な構成は第1の実施の形態と同等である。よって、図6〜図9においても第1の実施の形態と実質的に同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示し、重複する説明は割愛する。
図6に示すように、本実施の形態の除変処理部143Aは、評価対象とするドライバの運転操作パターンを単純モデルに対する除変処理に反映させるドライバ特性反映部144を備えている。また、除変処理部143Aは、例えば、車室内に設けられた入力装置146に入力されるドライバの選択結果を単純モデルに対する除変処理に反映させる除変設定部145を備えている。
ドライバ特性反映部144は、対象行動抽出部130により抽出されたドライバによる減速操作を示す車両挙動データ及び車両操作データが運転モデル作成装置140に入力されると、該車両挙動データ及び車両操作データに基づいてドライバの運転操作パターンを識別する。ドライバ特性反映部144は、運転操作パターンを識別すると、この識別した運転操作パターンに応じて時定数bを決定する。そして、この決定した時定数bに基づき単純モデルに対する除変処理を行う。
入力装置146には、例えば、作成する運転モデルの減速度の傾きを「大」、「中」、及び「小」のいずれとするかがドライバにより入力される。また、例えば、入力装置146には、作成する運転モデルの減速度の変化するタイミングを、「早め」、「普通」、及び「遅め」のいずれとするかがドライバにより入力される。また、入力装置146には、例えば、減速区間である領域Rαのうち、全体の何%の区間に時定数を設定するか、全体の減速区間のうち、いずれの区間に時定数を設定するかがドライバにより入力される。
除変設定部145は、入力装置146からドライバによる選択結果が入力されると、この選択結果に基づいて時定数bと同時定数bを反映させる区間を決定する。そして、除変設定部145は、この決定結果をもとに、単純モデルに対する除変処理を行う。
そして、ドライバ特性反映部144や除変設定部145により除変処理の施された運転モデルは、運転支援システム150に入力され、ドライバの運転技量の評価に用いられることとなる。
次に、本実施の形態のドライバ特性反映部144及び除変設定部145による除変処理態様を図7及び図8を参照して説明する。
図7(a)に示すように、ドライバの走行速度の推移として、例えば、減速操作開始後、急に減速する急パターンCv1、標準的な標準パターンCv2、及び減速操作開始後、緩やかに減速する緩パターンCv3の推移が存在したとする。
このときのドライバの運転操作による各減速度の推移は、図7(b)に示すように、急パターンCv1、標準パターンCv2、及び緩パターンCv3にそれぞれ対応する急パターンCd1、標準パターンCd2、及び緩パターンCd3となっている。
そして、本実施の形態のドライバ特性反映部144は、例えば、評価対象とするドライバの実際の運転操作に基づく走行速度のパターンが急パターンCv1であり、減速度のパターンが急パターンCd1であるとき、この特性を加味して、車両100の初速V0と移動量とに基づき作成された標準モデルCa2を急モデルCa1に補正する。これにより、急な運転操作を行う傾向にあるドライバの運転パターンにおいて指標とすべき運転モデルが作成されることとなる。そして、ドライバの運転技量が、実際の運転操作に基づく急パターンCd1と除変処理の施された急モデルCa1との対比を通じて評価されることとなる。
一方、本実施の形態のドライバ特性反映部144は、例えば、評価対象とするドライバの実際の運転操作に基づく走行速度のパターンが緩パターンCv3であり、減速度のパターンが緩パターンCd3であるとき、この特性を加味して、車両100の初速V0と移動量とに基づき作成された標準モデルCa2を緩モデルCa3に補正する。これにより、緩やか運転操作を行う傾向にあるドライバの運転パターンにおいて指標とすべき運転モデルが作成されることとなる。そして、ドライバの運転技量が、実際の運転操作に基づく緩パターンCd3と除変処理の施された緩モデルCa3との対比を通じて評価されることとなる。
また、例えば、ドライバが、減速操作開始直後及び減速操作終了直前の時定数として約「5%」を入力装置146に設定したときには、除変設定部145は、図8(a)に示すように、車両100の初速V0と移動量とに基づき作成された標準モデルを5%モデルCa5に補正する。同様に、ドライバが、減速操作開始直後及び減速操作終了直前の時定数として約「10%」もしくは約「20%」を入力装置146に設定したときには、除変設定部145は、車両100の初速V0と移動量とに基づき作成された標準モデルを10%モデルCa10もしくは20%モデルCa20に変更する。そして、選択結果に基づき補正された各モデルCa5、Ca10、Ca20が同ドライバの運転技量の評価に用いられることとなる。
また、例えば、ドライバが、減速操作開始直後の減速度の変化率として「β1」、及び減速操作終了直前の変化率として「β2」を入力装置146に設定したときには、除変設定部145は、図8(b)に示すように、車両100の初速V0と移動量とに基づき作成された単純モデルをモデルCβ1に変更する。同様に、ドライバが、減速操作開始直後の減速度の変化率として「β3」、及び減速操作終了直前の変化率として「β4」を入力装置146に設定したときには、除変設定部145は、車両100の初速V0と移動量とに基づき作成された単純モデルをモデルCβ2に変更する。そして、選択結果に基づき補正された各モデルCβ1、Cβ2が同ドライバの運転技量の評価に用いられることとなる。
以下、本実施の形態の運転モデルの作成装置及び運転モデルの作成方法、並びに運転評価装置及び運転評価方法、並びに運転支援システムの作用を図9を参照して、先の図5との対比のもとに説明する。
図9に示すように、ステップS100〜ステップS105の処理を通じて、車両100の初速V0と例えば減速開始から減速終了までの車両100の移動量とに基づき単純モデルが作成されると、まず、ドライバ特性反映部144によりドライバの運転操作パターンを示すドライバ特性を特定可能か否かが判断される(ステップS110)。そして、ドライバ特性が特定できると、この特定結果が反映された除変処理が実行される(ステップS111)。
一方、ドライバ特性を特定できなくても、例えば、ドライバが所望とする運転モデルの条件を入力装置146に入力しているときには(ステップS112:YES)、この入力結果が除変処理に反映される(ステップS113)。
他方、ドライバ特性を特定できず、かつ、運転モデルの条件が入力装置146に入力されていないときには(ステップS112:NO)、例えば、標準モデルとして予め設定された10%モデルCa10を作成するための除変処理が実行される(ステップS114)。
こうして、各々除変処理の施された運転モデルが作成され、この運転モデルに基づいて車両100のドライバの運転技量が評価されることとなる。
以上説明したように、本実施の形態にかかる運転評価装置及び運転評価方法、並びに運転支援システムによれば、前記(1)〜(7)の効果が得られるとともに、さらに以下の効果が得られるようになる。
(8)ドライバの運転パターンに応じて、除変処理部143による車両挙動の変化の度合いの低減率を変更することとした。このため、運転モデルをその利用対象とするドライバの運転技量や固有の癖に応じたモデルに変更することが可能となる。これにより、ドライバの運転技量や固有の癖に応じた運転モデルを提供することが可能となり、ドライバの意向に沿った運転モデルを自動的に提供することが可能となる。
(9)除変処理部143による車両挙動の変化の度合いの低減率を、ドライバが設定した時定数の割合に応じて変更することとした。このため、車両100のドライバによる選択結果に沿った運転モデルを作成することが可能となり、より高い自由度のもとに運転モデルが作成されることとなる。
(第3の実施の形態)
次に、運転評価装置及び運転評価方法、並びに運転支援システムの第3の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に、図10及び図11を参照して説明する。なお、本実施の形態にかかる運転評価装置及び運転評価方法、並びに運転支援システムも、その基本的な構成は第1の実施の形態と同等である。よって、図10及び図11においても第1の実施の形態と実質的に同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示し、重複する説明は割愛する。
なお、本実施の形態では、評価対象とする特定の運転操作として、車両100の発進時における加速操作とカーブ走行時におけるステアリング操作とを評価するものである。また、本実施の形態の対象行動抽出部130は、抽出すべき特定の車両挙動データ及び車両操作データとして、例えば、加速操作やステアリング操作を示すデータを上記操作情報記録部120から抽出する。なお、ステアリング操作を示すデータとしては、例えば、上記ジャイロセンサ113や操舵角センサ116の検出結果が用いられる。
図10(a)に示すように、車両100が、信号機の赤現示となった信号機が設けられている信号交差点SCの手前で一旦停止し、信号交差点SCの現示が赤現示から青現示に変化したことにより、車両100が走行を開始したとする。
ここで、図10(b)に示すように、車両100が地点P0を通過するタイミングt0にて、車両100の走行速度が低下して「0m/s」に遷移したことをもって車両100が停止状態に遷移したと判断される。
次いで、地点P1に停車していた車両100の発進操作がタイミングt1にて行われると、車両100が次第に加速する。また、車両100が地点P2を通過するタイミングt2にて、例えば、車両100の走行速度が車両100の加速区間を定義するための閾値「Vb」以上に到達すると、車両100の加速が終了したと判断される。
そして、本実施の形態の対象行動抽出部130は、加速行動を示すデータとして、図10(b)に領域Rβにおける車両挙動データ及び車両操作データを操作情報記録部120から抽出する。
この抽出されたデータのうち、加速度センサ112の検出結果の推移は、図10(c)に推移Da1として示す推移をなす。そして、例えば、加速操作開始時(タイミングt1)における車両挙動である車両100の走行速度(0m/s)と加速操作終了時(タイミングt2)における車両挙動である車両100の走行速度(Vb)、及び加速操作が開始されてから終了するまでの車両100の移動量に基づいて、加速区間における単純モデルDa2が作成される。
そして、この作成された単純モデルDa2に対して、上記式(ハ)、(ニ)、(ホ)に基づく除変処理が実行されることにより、加速度の変化の度合いが低減された指標となる運転モデルDa3が作成される。こうして運転モデルDa3が作成されると、この作成された運転モデルDa3とドライバの実際の運転操作に基づく推移Da1とが比較されることにより、同ドライバの運転技量が評価されることとなる。
次に、ステアリング操作についての具体例を図11(a)に示すように、車両100が、直線の道路に接続された地点Psから地点Pgにかけて設けられた所定の曲率半径のカーブに進入し、このカーブに沿って走行すべくステアリング操作が行われたとする。
ここで、図11(b)にドライバの運転操作によるステアリング角度の推移Tv1を示すように、車両100がカーブの開始地点Psに到達するタイミングt0にて、車両100のステアリング角度が変化し、タイミングt1からタイミングt2にかけてカーブを走行している間、ステアリング角度が約「θα」付近に維持される。そして、車両100がカーブの終了地点Pgに到達するタイミングt3以降、ステアリング角度が「0」に戻される。
この間、図11(c)にドライバによるステアリングの角速度の推移Ta1を示すように、車両100がカーブの開始地点Psに到達するタイミングt0にてステアリング操作が開始されてからタイミングt2にてステアリング角度が安定するまでの間、角速度が一時的に変化する。同様に、車両100が、カーブの終了地点Pgから所定距離手前の地点Pnに到達するタイミングt2から終了地点Pgに到達するタイミングt3までの間、角速度が一時的に変化する。そして、本実施の形態では、こうしたステアリング角度の変化や角速度の変化に基づいて車両100のカーブ行動を示す車両挙動データ及び車両操作データが特定される。
そして、本実施の形態のモデル作成部142は、例えば、カーブの進入時におけるステアリング操作についての単純モデルを、ステアリング操作の開始時における角度「0」及びステアリング操作の終了時における角度「θα」、並びにステアリング操作が行われたタイミングt0からタイミングt1までの車両100の移動量に基づいて作成する。また、モデル作成部142は、例えば、カーブの退出時におけるステアリング操作についての単純モデルを、ステアリング操作の開始時における角度「θα」とステアリング操作の終了時における角度「0」、及びステアリング操作が行われたタイミングt2からタイミングt3までの車両100の移動量に基づいて作成する。
この結果、図11(b)に推移Tv2として示すように、車両100がカーブに進入してから通過するまでの間におけるステアリング角度についての単純モデルが作成される。また、図11(c)に推移Ta2として示すように、車両100がカーブに進入してから通過するまでの間におけるステアリングの角速度についての単純モデルが作成される。なお、ステアリングの角速度についての単純モデルは、最大の角速度が「ωα」となっている。
そして、本実施の形態においても、ドライバによるステアリング操作の開始動作や終了動作に要する時間を踏まえたモデルを作成すべく、除変処理部143は、ステアリング角度及び減速度についての各単純モデルに対し、除変処理を施す。
この結果、除変処理の施された後の角速度についての運転モデルTa3を図11(c)に示すように、車両100がカーブに進入してから通過するまでの間におけるステアリング角度についてのモデルが作成される。なお、除変処理が施された結果、角速度の変化の度合いが低減された分だけ、ステアリングの角速度の最大値は単純モデルにおける最大値「ωα」よりも大きい「ωα’」となっている。
こうしてステアリング角度についての運転モデルTv3や角速度についての運転モデルTa3が作成されると、それら作成された運転モデルTv3、Ta3とドライバの実際の運転操作に基づく推移Tv1、Ta1とが比較されることにより、同ドライバのステアリング操作についての運転技量が評価されることとなる。
以上説明したように、本実施の形態にかかる運転評価装置及び運転評価方法、並びに運転支援システムによれば、前記(1)〜(7)の効果が得られるとともに、さらに以下の効果が得られるようになる。
(10)運転モデルとして、車両100の発進時における加速操作についての運転モデルを作成した。このため、車両100の発進時においても指標とすべき運転モデルを作成することが可能となる。そして、この運転モデルを用いた運転技量の評価を行うことで、車両100の発進時における加速操作についても評価対象とすることが可能となり、評価対象とする運転操作が拡充されるようになる。
(11)運転モデルとして、車両100のカーブ走行時におけるステアリング操作についての運転モデルを作成した。このため、車両100のカーブ走行時においても指標とすべき運転モデルを作成することが可能となる。そして、この運転モデルを用いた運転技量の評価を行うことで、車両100のカーブ走行時におけるステアリング操作についても評価対象とすることが可能となり、評価対象とする運転操作が拡充されるようになる。
(12)加速操作及びステアリング操作についての運転モデルに、加速度や走行速度、及びステアリング角度や角速度の変化の度合いを低減させるための除変処理を施した。これにより、加速操作及びステアリング操作についても、実現性の高い運転モデルを作成することが可能となり、この運転モデルに基づいた運転技量の評価も精度の向上が図られることとなる。
(第4の実施の形態)
次に、運転評価装置及び運転評価方法、並びに運転支援システムの第4の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に、図12及び図13を参照して説明する。なお、本実施の形態にかかる運転評価装置及び運転評価方法、並びに運転支援システムも、その基本的な構成は第1の実施の形態と同等である。よって、図12及び図13においても第1の実施の形態と実質的に同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示し、重複する説明は割愛する。
図12に示すように、本実施の形態の車両100には、モデル作成部142が作成し、除変処理部143により除変処理の施された運転モデルが登録される運転モデルデータベース147が設けられている。本実施の形態の運転モデルデータベース147には、例えば、運転モデルが示す運転操作の行われたときの車両100の移動量を示す情報とともに登録される。なお、本実施の形態の運転モデルデータベース147には、運転モデルの作成源となった車両100の移動量の別、換言すれば、車両100の走行時における局面の別に運転モデルが登録される。
また、本実施の形態の車両100には、同車両100の走行環境を検出する走行環境検出部160が設けられている。走行環境検出部160は、車両100の周辺を走行する車両との車車間通信や路上に設けられた路側通信機との路車間通信を行う車載通信機161を備えている。また、走行環境検出部160は、例えば、車両100の絶対位置を示す緯度経度情報を取得するGPS162を備えている。
車載通信機161は、例えば、信号機交差点等の交通要素の手前に設けられたインフラ通信機から、同インフラ通信機の設置場所から信号機交差点等の交通要素までの距離を示す情報や交通要素の種別等を示すインフラ情報を取得する。そして、車載通信機161は、取得したインフラ情報を、運転支援システム150Aに出力する。なお、インフラ情報には、交差点に設けられた信号機の現示サイクルを示す情報等も含まれる。
GPS162は、車両100の走行に伴って逐次変化する緯度経度情報を取得し、この取得した緯度経度情報を運転支援システム150Aに逐次出力する。
本実施の形態の運転支援システム150Aは、車載通信機161から入力されるインフラ情報やGPS162から入力される緯度経度情報に基づいて車両100の走行時における局面を推定する局面推定部155を備えている。
また、運転支援システム150Aは、道路上に存在する信号機交差点やカーブ等、特定の運転操作を要する特定の交通要素等の緯度経度情報が登録された道路地図データ156を有している。
さらに、運転支援システム150Aは、車両100の進行方向前方に存在する特定の交通要素が行われた地点から、同特定の交通要素までの距離、換言すれば、特定の交通要素に対して特定の運転操作が行われる間の車両100の移動量を演算する残移動量演算部157を備えている。また、本実施の形態の運転支援部152Aは、車両100に搭載された車載機器の制御を通じてドライバに対する運転支援を行う支援制御部158を備えている。
残移動量演算部157は、車両100の周辺に存在する交差点や一時停止位置、踏切、カーブ等のように減速操作、停止操作、発進操作(加速操作)、及びステアリング操作等の特定の運転操作を要する交通要素の種別と同交通要素の位置とを、運転支援システム150に入力されたインフラ情報や緯度経度情報に基づいて特定する。
また、残移動量演算部157は、車両状態検出部110から運転モデル作成装置140に入力されるその都度の車両操作データに基づき、車両100の周辺に存在する交通要素に応じて特定の運転操作が開始された旨認識すると、同運転操作の開始位置から同交通要素の位置までの車両100の移動量を演算する。残移動量演算部157は、特定した交通要素の種別と演算した移動量を示す情報とを上記局面推定部155に出力する。
局面推定部155は、残移動量演算部157から交通要素の種別と同交通要素までの移動量を示す情報が入力されると、これら各情報に基づいて、車両100の現在の局面を予測する。
すなわち、局面推定部155は、例えば、車両100の進行方向前方に存在する信号機交差点の手前で減速操作が開始されると、残移動量演算部157の求めた移動量が例えば円滑な減速操作に必要な移動量よりも少なく、かつ車両100の走行速度が所定値以上であることをもって、車両100の局面が「急ブレーキ」を要する局面であると推定する。
逆に、局面推定部155は、例えば、残移動量演算部157の求めた移動量が例えば円滑な減速操作に必要な移動量よりも多いとき、車両100の局面が「緩ブレーキ」が可能な局面であると推定する。同様に、局面推定部155は、残移動量演算部157の求めた移動量が例えば円滑な減速操作に必要な移動量よりも少なくても、車両100の走行速度が低速状態にあるときには、車両100の局面が「緩ブレーキ」が可能な局面であると推定する。そして、局面推定部155は、推定した局面を示す情報と残移動量演算部157が演算した移動量を示す情報とを運転支援部152Aに出力する。
本実施の形態の運転支援部152Aは、局面推定部155が推定した局面に共通もしくは類似する局面における運転モデルを運転モデルデータベース147から抽出するモデル抽出部152bを備えている。モデル抽出部152bは、局面推定部155から局面及び残移動量演算部157が演算した移動量を示す情報が入力されると、それら情報に基づいて、車両100の実際の走行局面に共通もしくは類似する局面において作成された運転モデルを運転モデルデータベース147から抽出する。
本実施の形態の運転支援部152Aは、モデル抽出部152bが運転モデルを抽出すると、この運転モデルをもとに車両100のドライバの運転を支援するための運転支援データを作成する。運転支援部152Aは、例えば、運転支援データとして、車両100のドライバによる運転操作を上記抽出した運転モデルに誘導するための音声データや画像データを作成する。こうした音声データや画像データとしては、例えば、車両100の減速度や加速度を運転モデルに従って低減もしくは増大させるためのブレーキペダルやアクセルペダルの踏込み量を促すデータが作成される。また、例えば、車両100のステアリング角度の角速度を運転モデルに従って低減もしくは増大さるためのステアリングの操作タイミングや操舵角度を案内するデータが作成される。そして、こうしたデータが音声装置153や表示装置154に出力されることにより、車両100の進行方向前方に存在する特定の交通要素に対して特定の運転操作を行っているドライバに対して、同運転操作を運転モデルに誘導するための音声案内や画像案内が行われることとなる。また、例えば、運転支援部152Aは、運転モデルデータベース147から抽出した運転モデルを表示装置154に出力することにより、ドライバによる運転操作を運転モデルが示す運転操作に誘導する。
また、運転支援部152Aは、上記抽出した運転モデルを支援制御部158に出力する。この支援制御部158は、例えば、エンジンを制御するエンジン制御装置158a、ブレーキを制御するブレーキ制御装置158b、及びステアリングを制御するステアリング制御装置158cに電気的に接続されている。支援制御部158は、抽出された運転モデルが入力されると、例えば、車両100の進行方向前方に存在する特定の交通要素に対して行うべき減速、加速、及び旋回といった各走行を実現するためのエンジン制御装置158a、ブレーキ制御装置158b、及びステアリング制御装置158cの制御量を決定する。そして、支援制御部158は、この制御量に応じてエンジン制御装置158a、ブレーキ制御装置158b、及びステアリング制御装置158cを制御することにより、運転モデルに従って車両100を半自動的に制御する。これにより、車両100は、運転モデルに従って特定の交通要素を走行することとなり、ドライバに対して指標となる走行が行われる。
以下、本実施の形態の運転モデルの作成装置及び運転モデルの作成方法、並びに運転評価装置及び運転評価方法、並びに運転支援システムの作用を図13を参照して説明する。
図13に示すように、ステップS200において、特定の交通要素に対して行われるべき特定の運転操作が開始されると、同特定の運転操作の開始位置から同特定の交通要素までの距離を演算すべく車両100の走行環境情報が取得される(ステップS201)。
次いで、取得された走行環境情報に基づき、特定の運転操作の開始位置から特定の運転操作の誘因となった交通要素までの距離、すなわち、特定の運転操作の開始位置に存在する車両100が特定の運転操作の終了位置となる交通要素に至までに必要な移動量が演算される(ステップS202)。
そして、上記取得された走行環境情報と上記演算された移動量とに基づいて、例えば、車両100の局面が、車両100の進行方向前方に存在する信号機の現示が青現示から黄現示、赤現示へと変化し、信号機までの距離が十分に存在する局面であると推定される(ステップS203)。
こうして、車両100の局面が推定されると、この局面に類似する局面のもとで作成された運転モデルが運転モデルデータベース147から抽出され、この抽出された運転モデルに基づいた運転支援態様が決定される(ステップS204、S205)。そして、この決定された運転支援態様が実行されることにより、運転モデルへの音声案内、画像案内、及び車両制御を通じた案内が行われる(ステップS206)。また、例えば、運転モデルが表示装置154に可視表示される。
以上説明したように、本実施の形態にかかる運転評価装置及び運転評価方法、並びに運転支援システムによれば、前記(1)〜(7)の効果が得られるとともに、さらに以下の効果が得られるようになる。
(12)運転支援部152Aによる音声案内、画像案内、及び車両制御による案内を通じて、ドライバの運転操作を運転モデルに従った運転操作に誘導することとした。このため、ドライバが特定の交通要素に対する特定の運転操作を実際に行うときには、同交通要素に対応する運転モデルを実現するための音声案内、画像案内、及び車両制御が行われる。これにより、ドライバによる運転操作を、指標とすべき運転操作に案内することが可能となり、運転モデルの再現性を好適に高めることが可能となる。
(第5の実施の形態)
次に、本発明にかかる運転評価装置及び運転評価方法、並びに運転支援システムの第5の実施の形態を、先の第2の実施の形態との相違点を中心に、図14及び図15を参照して説明する。なお、本実施の形態にかかる運転評価装置及び運転評価方法、並びに運転支援システムも、その基本的な構成は第1の実施の形態と同等である。よって、図14及び図15においても第2の実施の形態と実質的に同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示し、重複する説明は割愛する。なお、本実施の形態の車両100は、例えば、複数のドライバに共有して利用される。
図14に示すように、本実施の形態の運転モデル作成装置140Bは、対象行動抽出部130により抽出される特定の運転操作を示す車両挙動データがドライバの別、局面の別、及び運転モデルの作成地点もしくは地点特性の別に記録される車両行動記録部148を有している。なお、ここでの例では、車両100の局面として、例えば特定の運転操作の開始位置から終了位置までの車両100の移動量が記録される。また、地点特性としては、例えば、道路幅や道路線形、信号機の現示サイクル等が該当する。
また、本実施の形態の運転モデル作成装置140Bは、車両行動記録部148に記録された車両挙動データを、所定の条件のもとに平均化する処理を行う車両挙動平均部149を有している。
本実施の形態の車両挙動平均部149は、例えば、車両挙動データの平均値として、
イ.同一のドライバによる車両挙動の変化量の平均値、及び
ロ.特定の地点で取得された複数のドライバの運転操作に基づく車両挙動の変化量の平均値、及び
ハ.特定の地点で取得された同一のドライバの運転操作に基づく車両挙動の変化量の平均値、及び
ニ.複数の地点で取得された複数のドライバの運転操作に基づく車両挙動の変化量の平均値、
等の平均値を算出する。
この結果、或る移動量が与えられたときの平均値を図15に例示するように、減速行動平均値として例えば、減速時における車両100の走行速度の平均値、減速度の平均値がドライバの別、地点の別に求められる。同様に、加速行動平均値として例えば、加速時における車両100の走行速度の平均値、加速度の平均値がドライバの別、地点の別に求められる。さらに、カーブ行動平均値として例えば、カーブ走行時における車両100のステアリング角度の平均値、ステアリングの角速度の平均値がドライバの別、及び地点の別に求められる。
そして、本実施の形態の除変処理部143は、減速行動時の単純モデルに対する除変処理に際し、例えば、同図15に領域O1にて示すように、評価対象とするドライバDaによる各地点P1〜P5での車両100の走行速度の平均値、及び減速度の平均値を選定する。除変処理部143は、選定した走行速度の平均値、及び減速度の平均値をもとに、同ドライバDaの走行速度のパターンや減速度のパターンを特定する。そして、除変処理部143は、この特定したパターンに応じて、単純モデルに対して除変処理を施す。この結果、ドライバDaがいずれの地点においても行っている減速行動のパターンが反映された運転モデルが作成されることとなる。
また、除変処理部143は、例えば、カーブ行動時の単純モデルに対する除変処理に際し、例えば、同図15に領域O2にて示すように、全ドライバDa〜Dc..による特定の地点P11での車両100のステアリング角度の平均値、及び角速度の平均値を選定する。除変処理部143は、選定したステアリング角度の平均値、及び角速度の平均値をもとに、同ドライバDbのステアリング角度のパターンや角速度のパターンを特定する。そして、除変処理部143は、この特定したパターンに応じて、単純モデルに対して除変処理を施す。この結果、全ドライバDa〜Dc..が地点P11の通過時に通常行っているカーブ行動のパターンが反映された運転モデルが作成されることとなる。これにより、地点P11の地形特性と全ドライバDa〜Dc..に共通した標準的な汎用性の高いステアリング操作パターンが高精度に反映された運転モデルが作成されることとなる。
また一方、除変処理部143は、例えば、加速行動時の単純モデルに対する除変処理に際し、例えば、同図15に領域O3にて示すように、評価対象とするドライバDbによる特定の地点P7での車両100の走行速度の平均値、及び加速度の平均値を選定する。除変処理部143は、選定した走行速度の平均値、及び加速度の平均値をもとに、同ドライバDbの走行速度のパターンや加速度のパターンを特定する。そして、除変処理部143は、この特定したパターンに応じて、単純モデルに対して除変処理を施す。この結果、ドライバDbが地点P7の通過時に通常行っている加速行動のパターンが反映された運転モデルが作成されることとなる。これにより、地点P7の地形特性と同地点P7におけるドライバDbの加速操作パターンが高精度に反映された運転モデルが作成されることとなる。
さらに、除変処理部143は、例えば、減速行動時の単純モデルに対する除変処理に際し、例えば、同図15に領域O4にて示すように、全ドライバDa〜Dc..による特定の地点P1〜P5での車両100の走行速度の平均値、及び減速度の平均値を選定する。除変処理部143は、選定した走行速度の平均値、及び減速度の平均値をもとに、全ドライバDa〜Dc..の走行速度のパターンや減速度のパターンを特定する。そして、除変処理部143は、この特定したパターンに応じて、単純モデルに対して除変処理を施す。この結果、全ドライバDa〜Dc..が全ての減速地点P1〜P5の通過時に通常行っている減速行動のパターンが反映された運転モデルが作成されることとなる。これにより、減速操作時において共通する減速操作パターンが反映された汎用性の高い運転モデルが作成されることとなる。
以上説明したように、本実施の形態にかかる運転モデルの作成装置及び運転モデルの作成方法、並びに運転評価装置及び運転評価方法、並びに運転支援システムによれば、前記(1)〜(7)の効果が得られるとともに、さらに以下の効果が得られるようになる。
(14)単純モデルに対する除変処理を、上記イの条件に基づき平均化された値、すなわち、同一のドライバによる車両挙動の変化量の平均値を用いて行った。これにより、同一のドライバがいずれの地点においても行っている同ドライバに固有の減速行動のパターンが反映された運転モデルが作成されることとなる。また、こうした運転モデルを運転評価に用いることで、評価対象とするドライバのパターンに応じた運転評価を行うことが可能となる。
(15)単純モデルに対する除変処理を、上記ロの条件に基づき平均化された値、すなわち、特定の地点で取得された複数のドライバの運転操作に基づく車両挙動の変化量の平均値を用いて行った。これにより、特定の地点において各ドライバが行う運転パターンが反映された運転モデルが作成されることとなる。また、こうした運転モデルを運転評価に用いることで、汎用性の高くかつ地点特性に応じた運転評価を行うことが可能となる。
(16)単純モデルに対する除変処理を、上記ハの条件に基づき平均化された値、すなわち、特定の地点で取得された同一のドライバの運転操作に基づく車両挙動の変化量の平均値を用いて行った。これにより、特定の地点において或るドライバに固有の運転パターンが反映された運転モデルが作成されることとなる。また、こうした運転モデルを運転評価に用いることで、評価対象とするドライバのパターンに応じて、かつ地点特性に応じた運転評価を行うことが可能となる。
(17)単純モデルに対する除変処理を、上記ハの条件に基づき平均化された値、すなわち、複数の地点で取得された複数のドライバの運転操作に基づく車両挙動の変化量の平均値を用いて行った。これにより、標準的なドライバが或る運転操作について行う標準的な運転パターンが反映された運転モデルが作成されることとなる。また、こうした運転モデルを運転評価に用いることで、評価対象とする運転操作において汎用性の高い運転評価を行うことが可能となる。
(他の実施の形態)
なお、上記各実施の形態は、以下のような形態をもって実施することもできる。
・上記各実施の形態では、車両状態検出部110により検出された車両挙動データ及び車両操作データが記録される操作情報記録部120を車両100に設けた。また、運転モデルの作成対象、評価対象となる車両挙動データ及び車両操作データを操作情報記録部120に記録された車両挙動データ及び車両操作データの中から抽出する対象行動抽出部130を車両100に設けた。これに限らず、操作情報記録部120を割愛し、車両状態検出部110により検出された車両挙動データ及び車両操作データを対象行動抽出部130に直接入力する構成としてもよい。この構成では、対象行動抽出部130には、車両100のドライバにより運転操作が行われると、その都度の運転操作を示す車両挙動データ及び車両操作データが車両状態検出部110から入力される。対象行動抽出部130は、入力された車両挙動データ及び車両操作データのうち、例えば、減速操作や加速操作、ステアリング操作等の特定の運転操作を示すデータのみを選定し、この選定したデータを運転モデル作成装置140に出力する。そして、対象行動抽出部130は、特定の運転操作を示す車両挙動データ及び車両操作データ以外のデータを漸次破棄する。これにより、運転モデルを作成するための構成の簡略化が図られることとなり、より簡易な構成のもとに運転モデルの作成、及び作成された運転モデルに基づく運転技量の評価が実現されることとなる。
・上記各実施の形態では、図2〜図4、図7、図8、図10、図11等に示したように、x軸を時間軸とし、運転モデルを時系列的に表した。これに限らず、x軸にて車両100の移動量を示し、y軸にて車両100の移動量に相関して変化する車両100の走行速度、減速度、加速度、ステアリング角度、及び角速度を示す運転モデルを作成してもよい。
・上記第1及び第2の各実施の形態では、車両100の減速操作の開始タイミングを、ブレーキペダルの踏み込みタイミングとして規定した。これに限らず、例えば、アクセルペダルの踏み込みが解除されたタイミングを、減速操作の開始タイミングとして規定してもよい。また、車両100の走行速度が所定の走行速度以下になったタイミングと、車両100の減速操作の開始タイミングとして規定してもよい。
・上記第3の実施の形態では、車両100の加速区間を、走行速度についての閾値「Vb」以上に基づき定義した。これに限らず、例えば、車両100の発進後、加速度が約一定になったことをもって、加速操作が終了したと判断するようにしてもよい。
・上記第1の実施の形態では、減速操作開始時の車両100の走行速度が「V0」であるときの運転モデルを作成した。これに限らず、例えば、減速操作開始から終了までの車両100の移動量が共通していたとしても、減速操作開始時の車両100の走行速度が相違するときには、先の図3(a)及び(b)に対応する図として例えば図16(a)及び(b)に示すように、この走行速度に応じた運転モデルが作成されることとなる。すなわち、例えば、減速操作開始から終了までの車両100の移動量が共通していたとしても、減速操作開始時の車両100の走行速度が「V0h」(>V0)、「V0l」(<V0)と相違するときには、走行速度や減速度についての運転モデルの推移が変化することとなる。同様に、減速操作開始時の車両100の走行速度が共通していたとしても減速操作終了時までの車両100の移動量が相違するときには、移動量に応じた各別の運転モデルが作成されることとなる。また、車両100の発進時における加速度やカーブ走行時におけるステアリング角度や角速度についての運転モデルも、加速操作終了時の車両100の走行速度や移動量、ステアリング操作の開始時及び終了時のステアリング角度や移動量に応じて変化することとなる。このように本発明では、特定の運転操作の開始時及び終了時における車両挙動、及び特定の運転操作が行われた間の車両100の移動量に応じた運転モデルが作成されることで、特定の運転操作を完了するまでに許容されている移動量に応じた運転モデルが作成されることとなる。
・上記各実施の形態では、単純モデルに対する除変処理として、特定の運転操作の行われた区間全体のうち、当該区間の始端及び終端における特定の割合の区間の車両挙動の変化の度合いを低減する処理を行うこととした。これに限らず、除変処理の施される区間とは、車両挙動の変化を含む区間であればよく、特定の運転操作の行われた区間全体のうちの始端、終端、及び区間の途中の少なくとも1つにおける特定の割合の区間であってもよい。
・上記各実施の形態では、単純モデルに対する除変処理として、特定の運転操作の行われた区間全体のうち、車両挙動の変化を含む特定の割合の区間における車両挙動の変化の度合いを低減する処理を行った(処理a)。これに限らず、単純モデルに対する除変処理として、特定の運転操作の行われた区間全体のうち、当該区間の始端及び終端の少なくとも1つを含む特定の区間における車両挙動の変化の度合いを低減する処理を行うこととしてもよい(処理b)。これによれば、例えば、特定の運転操作が行われてから約「10m」の走行区間や、特定の運転操作が終了される直前の約「20m」の走行区間における車両挙動の変化に対して除変処理が行われる。そして、特定の運転操作の開始区間や終了区間は、車両挙動の変化の度合いが大きくなる傾向にあり、こうした開始区間や終了区間の距離を予め規定することも容易である。よって、このように予め規定した開始区間や終了区間における車両挙動の変化の度合いを低減させる除変処理を行うことで、同除変処理をより簡易な手法により行うことが可能となる。また、これにより、特定の運転操作が行われた走行区間における車両挙動のうちの特に変化が大きい車両挙動の変化が平滑化され、運転モデルが実際の運転に即したモデルへと変更されることとなる。
・さらに、単純モデルに対する除変処理として、例えば、特定の運転操作の行われた区間全体のうち、前記車両が当該区間の始端を通過してから所定期間経過するまでの間に車両が走行した区間における車両挙動の変化の度合いを低減する処理を行うこととしてもよい(処理c)。これによれば、特定の運転操作の行われた区間全体のうち、車両100が当該区間の始端を通過してから例えば特定の運転操作の開始動作に必要な約「3秒」が経過するまでの間に車両100が走行した区間における車両挙動の変化の度合いが低減される。これにより、特定の運転操作が行われた走行区間における車両挙動のうちの特に変化が大きくなる区間始端の車両挙動の変化が走行期間に基づいて平滑化され、運転モデルが実際の運転に即したモデルへと変更されることとなる。また、単純モデルに対する除変処理として、例えば、特定の運転操作の行われた区間全体のうち、車両100が当該区間の終端に到達するまでの所定期間の間に車両が走行した区間における車両挙動の変化の度合いを低減する処理の少なくとも一方の処理を行ってもよい(処理d)。これによれば、特定の運転操作の行われた区間全体のうち、車両が当該区間の終端に到達する例えば約「5秒」の間に車両100が走行した区間における車両挙動の変化の度合いが低減される。これにより、特定の運転操作が行われた走行区間における車両挙動のうちの特に変化が大きくなる区間終端の車両挙動の変化が走行期間に基づいて平滑化され、運転モデルが実際の運転に即したモデルへと変更されることとなる。また、例えば、単純モデルに対する除変処理として、減速操作の行われた移動時間のうち、車両挙動の変化を含む特定の割合の移動タイミングにおける車両挙動の変化の度合いを低減する処理を行うようにしてもよい。これによれば、例えば、車両100の減速行動における車両100の移動時間が10秒であるとき、例えば全体の約「10%」として設定された減速操作開始直後の移動時間、すなわち、減速操作開始から約「3秒」の間に変化した車両の走行速度や減速度についての単純モデルに対して除変処理が施される。また、これによれば、例えば、車両100の減速行動における車両100の移動時間が10秒であるとき、例えば全体の約「10%」として設定された減速操作終了直前の移動時間、すなわち、減速操作終了時より約「3秒」前の間に変化した車両の走行速度や減速度についての単純モデルに対して除変処理が施される。
・上記各実施の形態では、除変処理に際し、上記式(ハ)、(ニ)、(ホ)等に基づき行った。これに限らず、除変処理とは、特定の運転操作の開始時と終了時とにおける車両100の各状態量、例えば、車両100の減速操作の開始時及び終了時の走行速度や減速度、並びに、減速操作が行われた期間における車両100の移動量といった状態量を維持しつつ、車両挙動の変化の度合いを低減させるものであればよい。すなわち、特定の運転操作の開始時と終了時とにおける車両100の各状態量をドライバの運転操作に基づく実際の状態量に維持しつつ車両挙動の変化の度合いを低減させることができれば、除変処理に用いる演算は適宜変更できる。
・上記各実施の形態では、単純モデルが示す車両挙動の変化の度合いを低減させる除変処理部143、143Aを運転モデル作成装置140、140Bに設けた。これに限らず、除変処理部143、143Aを割愛する構成とし、単純モデルに対する除変処理を省略してもよい。この構成では、モデル作成部142により作成された単純モデルがドライバに提示され、同単純モデルに基づく運転技量の評価や各種運転支援が行われることとなる。なお、この構成であれ、車両100のその都度の局面が反映された運転モデルに基づいて運転技量の評価や各種運転支援が行われることで、車両100の局面に沿った運転技量の評価や各種運転支援を実現することが可能となる。
・上記各実施の形態では、運転モデル作成装置140、140B、及び運転評価部151を車両100に設けた。これに限らず、先の図1、図6、図12、図14に対応する図として例えば図17に示すように、運転モデル作成装置140、140Bを車両100に設けない構成としてもよい。そして、走行距離算出部221、モデル作成部222、及び除変処理部223を備えて運転モデル作成装置140、140Bに準じた機能を有する運転モデルの作成装置220を管理センター200に設ける構成としてもよい。また、車両100に搭載された運転支援システム150Bから運転評価装置を割愛し、運転評価装置230を管理センター200に設ける構成としてもよい。この構成では、車両100をはじめとする複数台の車両にて取得された車両挙動データ及び車両操作データが、車載通信機170とセンター通信機210との無線通信を通じて車両100から管理センター200に送信される。次いで、管理センター200に設けられた運転モデルの作成装置220は、車両100等から送信された車両挙動データ及び車両操作データに基づき運転モデルを作成する。そして、例えば、この作成された運転モデルが管理センター200から車両100等に配信される。また、管理センター200に設けられた運転評価装置230は、作成された運転モデルと、評価対象とするドライバが運転操作する車両100等から送信された車両挙動データ及び車両操作データとに基づいて、評価対象とするドライバの運転技量を評価する。そして、例えば、この評価結果が、管理センター200から評価対象となったドライバが運転操作する車両100に配信される。このような構成によれば、管理センター200で専属して運転モデルを作成することが可能となり、高機能な演算処理装置や大容量のデータベースを管理センター200に設けることが容易となる。これにより、運転モデルの高速かつ高精度な作成や、作成された運転モデルの大量保存が可能となる。また、このように運転モデルを管理センター200で作成することで、複数台の車両のドライバの運転操作に基づく複数種の運転モデルを作成することが可能となり、より多様な局面で行われた運転操作に基づいた運転モデルを作成することが可能となる。これにより、様々な局面が存在する道路上で行われる運転操作を、豊富な運転モデルを用いて精度よく評価することが可能となる。なお、こうした管理センターに準じた装置を特定の車両に搭載し、特定の車両と他車両との車車間通信を通じて、例えば他車両の運転モデルの作成に必要な情報を特定の車両に収集させてもよい。そして、特定の車両と他車両との車車間通信を通じて、この特定の車両で作成された運転モデルを他車両に配信するようにしてもよい。これによれば、特定の車両に運転モデルの作成機能を設ければよく、運転モデルが利用される車両の構成が簡易なものとなる。また、これにより、管理センター等との通信が困難な状況下であっても、センター機能を有する特定の車両との通信さえ確立できれば、特定の車両で作成された運転モデルを、同運転モデルの利用先となる車両に配信することが可能となる。
・上記各実施の形態では、上記運転モデルや同運転モデルに基づく運転技量の評価結果を、車両100で利用することとした。これに限らず、先の図1、図6、図12、図14に対応する図として例えば図17に示すように、例えば、スマートフォン等をはじめとする携帯情報端末やパーソナルコンピュータからなる情報端末300に、管理センター200にて作成された運転モデルや運転技量の評価結果を配信するようにしてもよい。この構成では、例えば、情報端末300のユーザによる運転モデルや運転技量の評価結果の配信要求が行われると、要求情報が端末通信機301から管理センター200に送信される。そして、この要求情報の応答として、運転モデルや運転技量の評価結果が情報端末300に配信される。情報端末300では、例えば、配信された運転モデルや運転技量の評価結果が、音声装置303及び表示装置304による音声案内や画像案内を通じて当該情報端末300のユーザに報知される。また、例えば、上記運転支援部152に準じた機能を有する運転支援部302を、情報端末300に設ける構成としてもよい。この構成では、運転支援部302は、管理センター200から配信された運転モデルや運転技量の評価結果を利用して、例えば車両100のドライバである情報端末300のユーザの運転操作を運転モデルに誘導するための運転支援を音声装置303及び表示装置304による音声案内や画像案内を通じて行う。
・先の図17に例示した構成では、運転モデルの作成に必要な車両の状態量を示す情報を、車両100と管理センター200との無線通信を通じて、車両100から管理センター200に送信することとした。これに限らず、図17に対応する図として図18に例示するように、車両100の搭乗者等が利用するスマートフォン等の情報端末300の端末通信機301と車両100の車載通信機170との有線通信もしくは無線通信を通じて、車両の状態量を示す情報を車両100から情報端末300に一旦保有させるようにしてもよい。そして、この情報端末300に保有させた車両の状態量を示す情報を、情報端末300の端末通信機301と管理センター200のセンター通信機210との無線通信を通じて、情報端末300から管理センター200に送信するようにしてもよい。この構成では、例えば、管理センター200にて作成された運転モデルや評価された評価結果は、同運転モデルは管理センター200から情報端末300に配信される。そして、こうした運転モデルや評価結果は、情報端末300の音声装置303や表示装置304を介した音声案内や画像案内によってドライバに報知される。また、例えば、情報端末300に一旦配信された運転モデルや運転レベルの評価結果は、情報端末300の端末通信機301と車両100の車載通信機170との有線通信もしくは無線通信を通じて、情報端末300から車両100に転送される。そして、この車両100に転送された運転モデルや運転レベルの評価結果は、運転システム150Bで利用されることとなる。これによれば、通信機能を既に有している情報端末300を利用して、運転モデルの作成に必要な情報を管理センター200に集約することが可能となり、運転モデルの作成に必要な情報の収集源の拡充が図られるようになる。なお、この他、情報端末300にGPS等が設けられているとき、このGPSの検出結果に基づいて車両100の走行位置や走行速度、加速度等を取得してもよい。同様に、情報端末300に走行速度センサや加速度センサ等が設けられているとき、それら各センサの検出結果に基づいて車両100の走行位置や走行速度、加速度等を取得してもよい。そして、この情報端末300が取得した車両100の走行位置や走行速度、加速度等を示す情報を、車両100の状態量を示す情報として運転モデルの作成や運転技量の評価等に用いてもよい。これによれば、情報端末300単体で車両100の状態量を示す情報を取得し、この情報端末300が取得した情報を同情報端末300から管理センター200に直接送信することが可能となる。さらに、上記運転モデル作成装置140、220や運転支援システム150等を情報端末300に設ける構成としてもよい。これによれば、情報端末300が取得した情報に基づいて、同情報端末300単体で、運転モデルの作成や運転技量の評価、運転支援等を行うことが可能となる。
・上記第1及び第2の各実施の形態では、車両挙動として車両100の走行速度及び減速度を選定した。また、上記第3〜第5の各実施の形態では、車両挙動としてさらに車両100の加速度やステアリング角度を選定した。これに限らず、車両挙動として躍度、いわゆるジャークを選定するとともに、このジャークに基づく運転モデルの作成、同運転モデルを用いた運転技量の評価を行うようにしてもよい。また、この他、運転モデルの作成に用いる車両挙動としては、ドライバによる運転操作に伴って変化する車両100の状態量を示すものであればよく、適宜変更、追加することが可能である。
・上記第1及び第2の各実施の形態では、特定の運転操作として信号交差点SCでの停止時における車両100の減速操作を選定した。また、上記第3〜第5の各実施の形態では、特定の運転操作としてさらに、車両100の発進時における加速操作やカーブ走行時におけるステアリング操作を選定した。これに限らず、特定の運転操作としては、例えば、減速のみを要する地点で行われる減速操作や、信号交差点SCにおける右左折操作であってもよい。この他、特定の運転操作とは、車両100の状態量を目標とする状態量に遷移させるために行われる操作であればよく、同特定の運転操作の開始時及び終了時における車両100の状態量と同特定の運転操作が行われている間の車両100の移動量さえ分かれば、本発明の適用は可能である。
・上記車両100の状態量として、車両挙動の変化量と車両100の移動量とを選定した。これに限らず、例えば、特定の運転操作の開始時及び終了時における車両挙動の変化量と特定の運転操作が行われた期間とを、上記車両100の状態量として選定してもよい。そして、この選定した車両100の状態量に基づいて運転モデルを作成してもよい。これによれば、車両100の状態量を目標とする状態量に遷移させるまでに与えられた移動時間の中で、車両100の挙動を特定の運転操作の開始時の状態から終了時の状態にまで遷移させるために必要な車両挙動の推移を示す運転モデルを作成することが可能となる。これにより、或る移動時間が与えられたときに指標とすべき車両挙動の推移を示す運転モデルを作成することで、限られた移動時間しか許容されない局面において指標とすべき運転モデルを作成することが可能となる。