JP5603297B2 - 超電導マグネット及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、超電導マグネット及びその製造方法に関する。
二ホウ化マグネシウム(MgB)の臨界温度(転移温度)は39Kである。この温度は、従来の金属超電導体(例えばニオブチタン(NbTi)やニオブ3スズ(NbSn)等)の臨界温度よりも高い。また、酸化物超電導体を用いた線材とは異なり、二ホウ化マグネシウムを用いた線材は、それを使用した閉回路において永久電流モードで運転したとき、磁場安定度が高いという特性を有する。
永久電流モードは、超電導線材を用いて形成される閉回路に電流を流し続ける運転方法である。即ち、超電導線材は抵抗がゼロであるため、いったん電流を通流し始めると閉回路を電流が通流し続けることになる。このような永久電流モードを実現させるためには、通常、超電導線材の端部同士を超電導体で接続する技術が重要となる。
例えば、二ホウ化マグネシウム線材同士、又は二ホウ化マグネシウム線材と、ニオブチタン線材やニオブ3スズ線材等の他の線材とを接続する技術として、以下の技術が知られている。
例えば特許文献1には、超電導はんだを用いる二ホウ化マグネシウム線材の接続方法が記載されている。超電導はんだを用いる超電導線材の接続方法は、ニオブチタン線材等の他の超電導線材の接続にも使用されている。
さらに例えば特許文献2には、二ホウ化マグネシウム線材をパイプに挿入した後二ホウ化マグネシウム粉末を充填し、それらを圧着する二ホウ化マグネシウム線材の接続方法が記載されている。また、二ホウ化マグネシウム粉末の粒子間の結合性を向上するため、低融点の金属を混合する方法が記載されている。
そして例えば非特許文献1には、マグネシウムとホウ素との混合粉末を含む線材、又は二ホウ化マグネシウム線材を筒状の容器に挿入し、線材に対して逆側から前記混合粉末を充填及び加圧し、熱処理をすることが記載されている。そして、この熱処理により二ホウ化マグネシウムが生成し、二ホウ化マグネシウム線材を接続する方法が記載されている。
特開2006−174546号公報 特開2003−22719号公報
W. Yao et al. "A Superconducting Joint Technique for MgB2 Round Wires", IEEE Transaction on Applied Superconductivity, Vol. 19, No. 3, (2009)
例えば特許文献1に記載の技術においては、超電導はんだの臨界温度が約9K以下であるため、運転温度を10K以上にして使用することができない。即ち、比較的高温の臨界温度(39K)を有する二ホウ化マグネシウムを用いた超電導マグネットにおいても、10K以下まで冷却しなければならず、その特性を十分に活かすことができない。
また、特許文献2に記載の技術においては、二ホウ化マグネシウム粉末を充填して圧着するため、二ホウ化マグネシウム粒間の結合性が良好ではない。その結果、超電導マグネットに要求される良好な通電特性が得られにくい。そして、このような粒間の結合性を向上させようとする場合には、低融点金属を混合しなければならない等の過度の手間を要する。
さらに、非特許文献1に記載の技術においては、接続部のマグネシウム及びホウ素を反応させるための熱処理において、二ホウ化マグネシウム線材が再度加熱されることになる。その結果、二ホウ化マグネシウム線材の通電特性が低下することがある。
本発明は前記課題に鑑みて為されたものであり、その目的は、通電特性の低下を抑制しつつ接続可能な超電導線材を備える超電導マグネット及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決するべく鋭意検討した結果、二ホウ化マグネシウム線材(超電導線材)の端部に対して所定の加工を施すことにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明に拠れば、通電特性の低下を抑制しつつ接続可能な超電導線材を備える超電導マグネット及びその製造方法を提供することができる。
本実施形態に係る超電導マグネットの全体構成を示す模式図である。 本実施形態に係る超電導コイルの全体及び端部を模式的に示す図である。 接続部を形成する際の様子を模式的に示す図である。 端部が加工された超電導線材を用いた超電導マグネットにおける磁場と臨界電流との関係を示すグラフである。 端部を加工しない超電導線材を用いた超電導マグネットにおける磁場と臨界電流との関係を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態(本実施形態)を説明するが、本発明は以下の内容に何ら限定されず、本発明の要旨を損なわない範囲で任意に変更して実施可能である。
[1.本実施形態に係る超電導マグネットの構成]
はじめに、図1を参照しながら、本実施形態に係る超電導マグネット10の全体構成を説明する。図1に示すように、超電導マグネット10は、超電導線材1が捲回された超電導コイル2と、接続部3と、永久電流スイッチ4と、電流リード5と、支持板6と、フレーム7と、を備えている。
超電導線材1は、二ホウ化マグネシウムを含むものである。二ホウ化マグネシウムの臨界温度は39Kであり、従来液体ヘリウムで4.2Kに冷却している超電導マグネットを、より高温で運転することが容易となる。
超導電線材1の形状としては特に制限されず、通常はケーブル状(ワイヤ状)になっている。そして、二ホウ化マグネシウムは金属膜で被覆される形態となっている。即ち、二ホウ化マグネシウムが金属シース管に充填されている。また、超電導線材1の断面形状も特に制限されないが、本実施形態においては、円形状となっている。超電導線材1の断面形状が円形状となっていることにより、超電導コイル2(後記する)を製造する際のボビンへの捲回を行い易いという利点がある。
ただし、超電導線材1の両端(図1においては図示していない)の断面は、後記する加工が行われ、前記の円形状とは異なる形状になっている。この点の詳細に関しては後記する。
超電導コイル2は、超電導線材1が捲回されているものである。即ち、ボビン(芯)に超電導線材1が捲回されてなる。超電導コイル2に捲回されている超電導線材1の両端部は接続部3(3a,3b)を介して永久電流スイッチ4に接続されている。なお、接続部3及び永久電流スイッチ4の詳細については後記する。
また、超電導コイル2には、永久電流スイッチ4がオフの際に、超電導コイル2に電流を供給する電流リード5が接続されている。従って、永久電流スイッチ4がオフの際には、外部電源(図示しない)から電流リード5を介して、超電導コイル2に捲回された超電導線材1に電流が通流するようになっている。即ち、この際に、超電導コイル2が励磁されるようになっている。
なお、図1において超電導コイル2の数は1つであるが、必要に応じて複数設けられてもよい。超電導コイル2が複数設けられる場合、超電導コイル2同士は直列に接続されるため、接続部3の数も増加することになる。
接続部3は、永久電流スイッチ4を構成する超電導線材1の端部と、超電導コイル2に捲回されている超電導線材1の端部とを一体化して接続するものである。接続部3は、二ホウ化マグネシウムを含んでなる焼結体である。
永久電流スイッチ4は、通常ボビンに超電導線材1が無誘導に捲回されている。そして、前記のように、永久電流スイッチ4を加熱すると超電導状態から常電導状態へと相転移するのでスイッチオフ状態になる。その結果、電流リード5を介して、外部電源から超電導線材1に電流が通流するようになっている。
一方、永久電流スイッチ4の加熱を停止すると、図示しない冷凍機、若しくは冷媒(液体ヘリウム等)により永久電流スイッチ4が冷却され、超電導状態へと相転移する(即ちスイッチオンになる)。そして、超電導コイル2と永久電流スイッチ4との間で閉回路が形成されることになる。その結果、既に外部電源から供給されていた電流が当該閉回路中を永久電流として通流し続け、高安定な磁場が維持される。
電流リード5は、前記のように外部電源に接続されているものである。そして、永久電流スイッチ4がオフになると、電流リード5からの電流が超電導線材1に通流するようになっている。また、永久電流スイッチ4がオンになり、外部電源からの電流がゼロになると、前記閉回路において電流が通流し続けることになる。
支持板6及びフレーム7は、例えば超電導コイル2や永久電流スイッチ4等を固定し、低温を維持するためのものである。従って、超電導マグネット10を構成する部材を確実に固定し、外部と断熱されていれば具体的な構成及び種類は何ら制限されず、任意のものを用いることができる。
次に、超電導コイル2に捲回されている超電導線材1の端部1a,1bについて、図2を参照しながら説明する。図2(a)に示すように、超電導コイル2には、超電導線材1が捲回されている。そして、超電導線材1の端部1a,1bが外部(具体的には、図1に示す永久電流スイッチ4)に接続部3を介して接続されている。
超電導コイル2に捲回された超電導線材1の端部の断面形状は、捲回されている部分の断面形状と異なるものになっている。具体的には、超電導コイル2に捲回されている超電導線材1の断面形状は円形状になっている(図2(b−1)参照)。一方、端部1a,1bの断面形状は、例えば図2(b−2)に示す扁平形状になっている。このように、断面形状が異なることで、通電特性の低下を抑制しつつ、超電導線材と他の超電導線材とを良好に接続させることができる。
しかも、超電導線材1の端部のみの断面形状が異なっていることにより、超電導コイルを構成するボビンへの捲回を行い易いという利点がある。即ち、端部以外の断面形状は円形状であるためボビンへの捲回を行い易い。一方、端部は例えば扁平状であるため、通電特性の低下を抑制しつつも良好に接続しやすいと言う利点がある。
また、端部1a,1bの断面形状としては、例えば図2(b−2)をさらに扁平形状にした(b−3)に示す扁平形状であってもよい。図2(b−2)や(b−3)に示す扁平形状のように、超電導コイル2に捲回されている超電導線材1の断面形状の長径よりも、扁平形状を有する断面形状の長径の方が長くなっていることでも、前記効果が得られる。
さらに、例えば図2(b−4)に示すような円形状であってもよい。即ち、図2(b−1)に示す捲回された超電導線材1の断面積よりも、図2(b−4)に示す端部の断面形状の方が小さくなっている。このようにしても、前記と同様の効果が得られる。
[2.本実施形態に係る超電導マグネットにより奏される効果]
従来の超電導マグネットは、通常ニオブチタン、ニオブ3スズ等の超電導体が使用されている。そして、これらの超電導体を用いた超電導線材同士の接続には、鉛−ビスマス(PbBi)合金に代表される超電導はんだが使用されている。ただ、このような超電導はんだの臨界温度は約9K以下であるため、ほとんどの超電導マグネットは液体ヘリウムを用いて4.2K程度に冷却して運転されている。
二ホウ化マグネシウムの主な特長は、従来の超電導体であるニオブチタンやニオブ3スズ等と比べて臨界温度が高く、しかも従来の超電導体と同等の磁場安定度を有することにある。なお、酸化物超電導体の臨界温度は二ホウ化マグネシウムの臨界温度よりもさらに高いが、前記のように、永久電流モードで運転したときの磁場安定度が低い。そのため、酸化物超電導体を用いた場合、磁気共鳴イメージング装置(MRI;Magnetic Resonance Imaging)や核磁気共鳴装置(NMR;Nuclear Magnetic Resonance)のように高い磁場安定度が求められる用途には適用し難い。
そこで、本実施形態に係る超電導マグネットは、超電導体として二ホウ化マグネシウムを用いているため、高い磁場での安定性が要求されるMRIやNMR等に特に好適である。即ち、超電導マグネットの超電導線材として二ホウ化マグネシウム線材を用いる場合、高い磁場安定度で永久電流モード運転が可能である。また、10K以上で良好な通電特性を確保できれば、液体ヘリウムを使用せず、冷凍機冷却可能な超電導マグネットの実現が可能となる。
しかも、通電特性の低下を抑制しつつ、必要に応じて別の超電導線材を接続することが可能になる。具体的には例えば、既に接続されている例えば超電導コイル、永久電流スイッチ等が故障した場合に、新たな部品に通電特性を維持したまま交換することが可能になる。
しかしながら、前記のように、10K以上で運転可能な閉回路を構成するためには、二ホウ化マグネシウムを含む超電導線材同士を通電特性の低下を抑制しつつ、それらを接続しなければならないことがある。
従来、マグネシウムとホウ素とを含む線材、若しくは二ホウ化マグネシウム線材を筒状の容器に挿入し、これらに対して逆側からマグネシウムとホウ素との混合粉末を充填・加圧し、熱処理をすることで二ホウ化マグネシウムを生成させていた(例えば前記非特許文献1参照)。そして、これにより、二ホウ化マグネシウム線材同士の接続が可能なようになっている。即ち、マグネシウムとホウ素とを用いて線材同士の接続が可能になるようになっている。
一方で、二ホウ化マグネシウム線材(即ち超電導線材)同士を接続しようとすると、超電導線材中の二ホウ化マグネシウムが再度加熱されることになる。そのため、再度加熱された後の超電導線材の通電特性が低下することがある。この原因は、本発明者らの検討によると、二ホウ化マグネシウム周囲の金属シース管の熱膨張率と二ホウ化マグネシウムの熱膨張率との間に差があるためであると考えられる。そして、このような差のため、熱サイクルによって超電導線材内の二ホウ化マグネシウムが機械的に破壊されることにより生じるものであると考えられる。
このような現象を防止するために、本発明者らが検討したところ、例えば超電導線材中の二ホウ化マグネシウムの機械的な強度を高めることが考えられた。即ち、金属シース管内に二ホウ化マグネシウムが密に充填されているほど、二ホウ化マグネシウムの結晶間の結合性が良好なものとなる。そのため、機械的な強度が向上するものと考えられた。
しかしながら、このような金属シース管内部への二ホウ化マグネシウムの充填に際して、充填可能な二ホウ化マグネシウムの量には限界がある。また、例えば、金属シース管に二ホウ化マグネシウムを充填した後、充填後の金属シース管を線引き加工、圧延加工等によって細く或いは薄く加工すれば充填密度を向上させることができる。
ただ、このような場合においては、例えばキロメートルオーダーの線材を均一に細く或いは薄く加工することは技術的に困難であることがある。また、均一に細く或いは薄く加工しようとすると、製造コストが極めて上昇する可能性もある。さらには、超電導線材に対して圧延加工を行ってテープ形状にすることも考えられる。しかしながら、テープ形状の超電導線材は、超電導コイルを製造する際のボビンへの捲回が煩雑になる可能性がある。
本発明はこのような事情に鑑みて想起されたものである。即ち、本実施形態に係る超電導マグネットにおいては、超電導コイルに捲回されている超電導線材の端部が予め加工されている。そのため、通電特性の低下を抑制しつつ、超電導線材同士を良好に接続することが可能となる。
[3.本実施形態に係る超電導マグネットの製造方法]
次に、本実施形態に係る超電導マグネットの製造方法(以下、適宜「本実施形態に係る製造方法」と言う。)について、図1〜図3を適宜参照しながら説明する。なお、以下では主に超電導コイル2の製造方法について説明し、例えば各種部材の組立等は任意に行うことができるため、その詳細な説明は省略する。
はじめに、超電導線材1の製造方法について説明し、その後に本実施形態に係る製造方法を説明する。
通常、超電導線材1は、金属シース管に原料粉末を充填した後伸線加工を行う、所謂「Poder In Tube法(PIT)」により製造される。中でも、原料粉末(超電導体が二ホウ化マグネシウムの場合、マグネシウム及びホウ素)をそのまま充填する場合には、このような方法は「in−situ法」と呼称される。一方、予め生成した超電導体(例えば二ホウ化マグネシウムそのもの等)を充填する場合には、このような方法は「ex−situ法」と呼称される。超電導線材1は、どのような方法に拠っても製造することが可能となる。
また、超電導線材1には、線材の通電特性を向上させる観点から、例えば炭化ケイ素等を混合することも好ましい。さらに、超電導線材1は通常は複数本が束ねられた多芯線として使用されるが、以下の説明では、便宜上、1本の超電導線材1からなる単芯線として超電導線材1の製造方法を説明する。
本実施形態に係る製造方法としては、主に、以下の各工程を有するものである。
(1)少なくともマグネシウム及びホウ素を含む材料からなる線材を捲回してコイルを製造するコイル製造工程
(2)コイルに捲回されている線材の端部を所定の形状に加工する端部加工工程
(3)コイルを熱処理して超電導コイルを製造する第1熱処理工程
(4)加工された超電導線材の端部と別の超電導線材とを一体化して接続部を形成する第2熱処理工程
以下、各工程に分けて説明する。
(コイル製造工程)
本工程においては、少なくともマグネシウム及びホウ素を含む材料を金属シース管に充填することにより線材を作製する。そして、作製した線材をボビンに捲回してコイルを作製する。ボビンに捲回する線材が前記のin−situ法で作製されたものである場合であっても、ex−situ法で作製されたものであっても、同様に捲回可能である。
(端部加工工程)
本工程においては、コイルに捲回された線材の端部を所定の形状に加工する。ここで、端部を加工する時期としては、後記する第1熱処理工程及び第2熱処理工程前であることが重要である。即ち、これらの熱処理後に加工を行うと、生じた二ホウ化マグネシウムの粒間の結合が破壊され、通電特性が低下する可能性がある。ただし、前記のように、ex−situ法で作製した線材には既に二ホウ化マグネシウムが含まれているが、加工によって仮に粒間の結合が破壊されたとしても、後記する熱処理によって回復するため、通電特性が向上する。
加工形状の具体的な形態を図2に示す。加工前の端部1a,1bの断面形状は、通常、(b−1)に示す真円形状になっている。これを例えば扁平形状にしたり((b−2)参照)、その後更なる扁平形状にしたり((b−3)参照)することができる。また、(b−1)に示す断面形状を有する線材を線引き加工し、断面積が小さくなった(b−4)に示す断面形状の線材としてもよい。これらの中でも、好ましい断面形状としては、加工が容易であるという観点から、(b−2)や(b−3)に示す断面形状である。
なお、このような加工は、例えば圧延加工法、プレス加工法、溝ロール加工法等によって行われる。また、加工を行う線材部分の長さは、通常は後記する電気炉の中に入れて加熱される線材の部分の長さ以上であるが、構成部品の交換や接続不良等で接続部を切断して接続しなおすことができるように、長めに加工をしておくことが好ましい。
(第1熱処理工程)
本工程においては、線材が捲回されて得られたコイルに対して熱処理を行う。熱処理には、通常は電気炉が用いられる。熱処理時の温度は通常500℃〜800℃である。また、熱処理雰囲気は、真空中、又はアルゴンや窒素等の不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
本工程において、前記線材がin−situ法で作製されたものである場合、金属シース管内のマグネシウムとホウ素とが反応してホウ化マグネシウムが生成する。一方、前記線材がex−situ法の場合には粒間の結合性を向上させることができる。即ち、以下の工程においては、金属シース管内には超電導体が充填されていることになる。換言すれば、前記線材が超電導線材になる。
(第2熱処理工程)
本工程においては、前記の第1熱処理工程で得られた超電導線材と他の超電導線材とを一体化して接続部3を形成する。ここで、他の超電導線材とは、例えば永久電流スイッチに接続されている超電導線材、他のコイルに接続されている超電導線材、配線用の超電導線材等が挙げられる。ただし、いずれの超電導線材であっても、その端部が前記(端部加工工程)においてした加工と同様の加工を施しておくことが好ましい。
接続部3の具体的な形成方法(接続方法)は特に限定されるものではないが、例えば接続する超電導線材同士を容器(図示しない)に挿入し、マグネシウムとホウ素との混合粉末を充填して熱処理を行えばよい。このようにして接続することで、通常脆く圧着しにくい超電導線材同士を通電特性を低下させることなく良好に接続することができる。
接続部3を設ける具体的な方法を図3に示す。図3に示す超電導線材1のうち、破線で示す部分が前記加工が行われた部分である。図3に示す例においては、超電導線材1の端部1a,1b(図3においては図示しない)と、別の超電導線材と、マグネシウム及びホウ素と、を容器に挿入し、加熱している。このようにすることで、接続部3a,3bが形成される。加熱は、電気炉9内で行われ、真空中、又はアルゴンや窒素等の不活性ガス雰囲気下で行われている。
そしてこの操作により、二ホウ化マグネシウムを含む焼結体からなる接続部3に拠って、2本の超電導線材が接続されることになる。なお、加工された超電導線材1の端部のうちの少なくとも一部(図3に示す例では約半分)が電気炉9内で加熱されるようになっている。
また、電気炉9の熱が超電導コイル2や加工を行っていない超電導線材1に伝播しないように、超電導線材1の途中には冷却部分8が設けられている。この冷却部分8の具体的な構成は特に制限されず、例えば水に浸す等により行うことができる。
[4.その他]
超電導線材1中の二ホウ化マグネシウムの強度を向上させるために、例えば以下の方法を適用することができる。通常、二ホウ化マグネシウムが生成するための好適な熱処理温度は、結晶粒界がある程度残る温度である。そして、このような結晶粒界が磁束ピンニングとして作用することで、通電特性が向上する。
一方、このような好適な熱処理温度以上で熱処理を行うと、結晶が成長し過ぎて粒界が減少するため、通電特性が低下する傾向がある。ただし、加熱後の超電導体の強度は高まるため、再熱処理による通電特性の低下を抑制することが可能となる。
接続部3は通常、超電導コイル2から離れた磁場の弱い場所に配置されるため、粒界の減少によって通電特性が少々低下してもほとんど影響しない。そこで、再熱処理によって、通電特性が大きく低下しないことが特に重要である。なお、「再熱処理」とは、二ホウ化マグネシウム生成後に再び熱処理を施すことである。
従って、端部1a,1b(即ち、これらを含む接続部3a,3b)のみを高温で熱処理することが好ましい。具体的には、図3に示す方法のほか、コイルを熱処理するための電気炉9内に温度勾配ができるようにしておき、端部1a,1bが高温部分に配置されるようにしておけばよい。このようにすることにより、電気炉9の運転コストや製造時間の短縮を図ることができる。
以下、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
前記した製造方法に従って、断面が直径0.7mmの円形状を有する二ホウ化マグネシウムからなる超電導線材を作製した。超電導線材は、前記したin−situ法により作製した。そして、得られた超電導線材を用いて、図1に示す超電導マグネットを製造した。
マグネシウムとホウ素との混合粉末を焼結するためには、通常は500℃〜800℃、好ましくは600℃〜700℃の熱処理を行うことが好ましい。そして、本発明者らによるこれまでの実験結果から、前記した直径0.7mmの超電導線材の特に好適な熱処理温度は630℃であった。そこで、第1熱処理行程の温度として630℃に設定した。
(実施例1〜3)
得られた超電導線材の端部に対して圧延加工を施し、その断面形状を厚さ(短手方向)0.45mmの扁平形状とした。この超電導線材を用いた超電導マグネットにおける、磁場と臨界電流との関係を図4に示す。図4において、臨界電流が大きいことは、良好な通電特性を有していることを示している。
図4において、実施例1は630℃で1回のみ熱処理を行った場合(即ち再熱処理を行わずに超電導マグネットを製造した場合)、実施例2は630℃で熱処理を行った後500℃で再熱処理を行った場合、実施例3は630℃で熱処理を行った後600℃で再熱処理を行った場合を示している。なお、参考例として、端部未加工の状態で630℃の熱処理を行ったものも示している。また、これらの再熱処理は、図1に示す接続部3を形成するために、マグネシウムやホウ素等が充填された容器に対して行ったものである。
図4に示すように、超電導線材の端部を加工することにより、再熱処理を行っても臨界電流の大きな低下は見られなかった。即ち、500℃〜600℃の温度で再熱処理を行っても、通電特性の低下は見られなかった。従って、端部を加工することにより、再熱処理の影響を小さなものにすることができることがわかった。
(比較例1〜3)
実施例1〜3の場合と異なり、超電導線材端部の加工を行わずに再熱処理を行った場合の、磁場と臨界電流との関係を示すグラフである。比較例1は630℃で熱処理後400℃で再熱処理を、比較例2は630℃で熱処理後450℃で再熱処理を、比較例3は630℃で熱処理後500℃で再熱処理を行ったものである。なお、参考例として、630℃で熱処理後、再熱処理を行わないグラフも示している。この参考例は、図4に示す参考例と同じものである。
図5に示すように、再熱処理温度が450℃以下では通電特性に大きな低下は見られなかった。しかしながら、再熱処理温度が500℃になると約1/10に低下し、550℃になるとゼロ磁場中で臨界電流は0になった。これらの結果から、500℃以上で再熱処理を行うと通電特性が大きく低下することがわかった。従って、端部の加工を行っていない超電導線材同士を接続した場合、通電特性が大きく低下することがわかった。
1 超電導線材
2 超電導コイル
3 接続部
4 永久電流スイッチ
10 超電導マグネット

Claims (6)

  1. 二ホウ化マグネシウムを含む超電導線材と、
    前記超電導線材が捲回された超電導コイルと、
    前記超電導線材の端部のうちの一部と別の超電導線材の端部のうちの一部とを接続する接続部と、
    を備え、
    前記接続部は二ホウ化マグネシウムを含んでなる焼結体であり、
    前記超電導線材の、前記焼結体内に配置される前記端部のうちの前記一部と、前記焼結体の外部に配置される前記端部のうちの残部と、からなる前記端部の断面形状と、前記超電導コイルに捲回されている部分の前記超電導線材の断面形状と、が異なる形状となっている
    ことを特徴とする、超電導マグネット。
  2. 前記超電導線材の前記端部の断面形状が扁平形状であり、
    扁平形状を有する前記断面の長径が、前記超電導コイルに捲回されている部分の前記超電導線材の断面の長径よりも長くなっている
    ことを特徴とする、請求項1に記載の超電導マグネット。
  3. 前記超電導線材の前記端部の断面積が、前記超電導コイルに捲回されている部分の前記超電導線材の断面積よりも小さくなっている
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の超電導マグネット。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の超電導マグネットを製造する方法であって、
    少なくともマグネシウム及びホウ素を含む材料からなる線材を捲回してコイルを製造するコイル製造工程と、
    前記コイルに捲回されている線材の端部を所定の形状に加工する端部加工工程と、
    前記コイルを熱処理して前記超電導コイルを製造する第1熱処理工程と、
    加工された前記超電導線材の端部のうちの一部と前記別の超電導線材のうちの端部の一部とを接続して前記接続部を形成する第2熱処理工程と、
    を含む
    ことを特徴とする、超電導マグネットの製造方法。
  5. 前記端部加工工程が、圧延加工法、プレス加工法又は溝ロール加工法により行われる
    ことを特徴とする、請求項4に記載の超電導マグネットの製造方法。
  6. 前記第2熱処理工程において、加工された前記超電導線材の端部のうちの前記一部が加熱される
    ことを特徴とする、請求項4又は5に記載の超電導マグネットの製造方法。
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