JP5601831B2 - 離型油 - Google Patents
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Description
本発明は上記従来の離型油の問題点に鑑みなされたもので、乳化剤を含まない乳化油脂タイプの離型油、固型油脂タイプや液状・流動状油脂タイプの離型油の有する上記の問題を解決できるとともに、乳化剤を含む従来の乳化油脂タイプの離型油の有する問題も解決することのできる乳化油脂タイプの離型油を提供することを目的とする。
(1)20℃における固体脂含有量が3%以下の液状油脂60〜85重量%、融点50℃以上の高融点油脂0.1〜5.0重量%、ワックス0.1〜5.0重量%、水10〜40重量%(ただし、液状油脂、高融点油脂、ワックス、水の合計は100重量%)を含有するW/O型乳化物中に、更にアルカリ性物質として炭酸ナトリウムを含有することを特徴とする離型油、
(2)炭酸ナトリウムの割合が水に対して0.1〜0.5重量%である上記(1)の離型油、
(3)ワックスの割合が0.1〜2重量%である上記(1)又は(2)の離型油、
(4)ワックスがカルナウバワックスである上記(1)〜(3)のいずれかの離型油、
を要旨とするものである。
尚、本発明において、液状油脂の固体脂含量は、日本油化学協会基準油脂分析試験法(2003年版)2.2.9 固体脂含量(NMR法)に規定の方法に準じて測定を行う。また高融点油脂の融点は、日本油化学協会基準油脂分析試験法(1996年版)2.2.4.2 融点(上昇融点)に規定の方法に準じて測定を行う。
本発明の離型油を噴霧塗布する機械として、パン製造における発酵槽に噴霧塗付するには、各種のエアーレス方式のスプレーガン等が使用可能であり、またパンや菓子、和菓子等の焼き型に噴霧塗付する機械としては、各種の乳化タイプ用グリーサー(塗付機)が使用可能である。また、刷毛、モップ状の油拭き、ローラー等の手塗り作業にも使用可能である。
実施例1〜2、参考例1〜6、比較例1〜7
表1、2に示す油相成分を80〜90℃に加熱溶解して油相を調製し、同温度に保持したまま90℃に加熱した水相を添加してホモミキサーで攪拌、乳化後、70〜80℃に保持し20℃に急冷して離型油を得た。得られた離型油を発酵槽用離型油として用いて食パンを焼成し、離型油の乳化安定性、塗布時付着性、塗布時飛散ミスト、離型性、風味を試験した。結果を表1(実施例)、表2(比較例)に示す。
表3、4に示す油相成分を80〜90℃に加熱溶解して油相を調製し、同温度に保持したまま90℃に加熱した水相を添加してホモミキサーで攪拌、乳化後、70〜80℃に保持し20℃に急冷して離型油を得た。得られた離型油を焼き型用離型油として用いて食パンを焼成し、離型油の乳化安定性、塗布時付着性、塗布時飛散ミスト、離型性、離型後の型の汚れ、得られた食パンの表面状態、風味を試験した。結果を表3(実施例)、表4(比較例)に示す。
※2 融点62℃
※3 融点50℃
※4 融点58℃
※5 固体脂含量5%
※6 融点34℃
※7 PGPR:ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル
調製した離型油100mlをサンプル瓶に取り、20℃の恒温槽中に10日間静置した後、乳化状態を目視により以下のように評価を行った。
◎:液表面に1mm未満の液体脂がみられるが、他は分離が無く均一である。
○:液表面に1mm以上〜3mm未満の液体脂がみられるが、他は分離が無く均一である。
△:液表面に3mm以上〜6mm未満の液体脂がみられるが、他は分離が無く均一である。
×:水相、乳化相、油相に分離する。
スプレーガン(アネスト岩田製エアーレスユニットALS122型)を使用し、NT2505ノズルを装着し使用圧力1〜2kg/cm2で離型油を、垂直に立てかけた6取天板に横方向50cmより1秒間噴霧して、30分後の付着状況を目視により以下のように評価をした。
◎:液ダレがなく付着性は良好である。
○:液ダレが若干ある。
△:液ダレ多くある。
×:液ダレが多く下にたまる。
付着性試験と同じスプレーガンを使用して床に置いた6取天板に上部方向1mより離型油を噴霧し、飛散するミストの発生状況を目視により以下のように評価した。
◎:ミストは殆ど発生しない。
○:ミストは少々発生するが舞い上がらずに下に落ちる。
△:ミストやや多くやや上に舞い上がる。
×:ミスト多く上に舞い上がる。
食パン中種配合(配合:強力粉70%、イースト2.2%、イーストフード0.1%、水45%)2kg仕込で離型性試験を行った。縦型ミキサーで生地のミキシングを行い、ステンレス製ボール(上部内寸18cm、高さ87.5cm)に離型油0.5gを刷毛で塗付し、分割した生地250gを入れ、温度27℃、湿度75%ホイロに4時間発酵させる。4時間後、発酵相よりボールを取り出し、30cmの高さより反転し生地が落下するまでの時間と生地の付着状態を目視により評価した。
◎:反転して10秒未満で落下し、ボールへの付着は殆どない。
○:反転して10秒〜2分未満で落下し、ボールへの付着は若干あり。
△:反転して2分〜10分未満で落下し、ボールへの付着は非常に多い。
×:10分以上逆転しても落下はしない
離型油をビーカーに採取し、パネラー10名で風味の官能検査を行い、下記のように評価した。
◎:10名中8名以上が異味・異臭がないと判断した。
○:10名中5〜7名が異味・異臭がないと判断した。
△:10名中3〜4名が異味・異臭がないと判断した。
×:10名中2名以下が異味・異臭がないと判断した。
リッチな食パン配合(配合:強力粉100%、砂糖10%、食塩2%、全卵20%、マーガリン15%、脱粉3%、イースト5%、フード0.1%、水45%)2kg仕込みストレート法にて焼成し焼き型の離型性試験を行った。縦型ミキサーで食パン生地をミキシングし、温度27℃、湿度75%で発酵させ、分割、成形後、離型油1.5gを刷毛で塗布した食パン用焼き型(ワンローフ型)に生地320gを入れ、ホイロ温度38℃、湿度80%で50分発酵させ、温度180℃オーブンにて25分焼成して得た食パンの焼き型からの離型性を確認した。焼成後、焼き型を反転し30cmの高さよりパンを落下させ、1回で落下しない場合、焼き型を上に向け30cmの高さより落下させ、再度反転しパンを落下させ、落下する回数と焼き型に付着したパン生地の付着状態を目視により評価した。
◎:落下1回目で離型し、焼き型への付着は殆どない。
○:落下2〜3回目で離型し、焼き型への付着は少々ある。
△:離型に4〜10回の落下を要し、焼き型への付着は多い。
×:10回落下させてもパンは離型しない。
離型油を加熱し、離型油の重合の進み具合が遅い程、型の汚れが少ないとして型の汚れを評価した。シャーレ(直径6cm、高さ1.5cm)に離型油1.5gを採取し、190℃恒温槽に5時間保管して重合する状態を目視、触指により以下のように評価した。
◎:粘度が高い液状。
○:ペースト状になる。
△:柔らかいガム状になる。
×:硬いガム状になる。
焼成した食パン側面(焼き型に接した部分)の焼き色、艶を観察し、目視より評価した。
◎:焼き色、艶共に良好である。
○:焼き色は若干白っぽくなるが、艶は良好である。
△:焼き色は若干白っぽくなり、艶が若干劣る。
×:焼き色は白っぽくなり、艶も劣る。
焼成した食パンをパネラー10名で風味の官能検査を行い下記のように評価した。
◎:10名中8名以上が異味・異臭がないと判断した。
○:10名中5〜7名が異味・異臭がないと判断した。
△:10名中3〜4名が異味・異臭がないと判断した。
×:10名中2名以下が異味・異臭がないと判断した。
Claims (4)
- 20℃における固体脂含有量が3%以下の液状油脂60〜85重量%、融点50℃以上の高融点油脂0.1〜5.0重量%、ワックス0.1〜5.0重量%、水10〜40重量%(ただし、液状油脂、高融点油脂、ワックス、水の合計は100重量%)を含有するW/O型乳化物中に、更にアルカリ性物質として炭酸ナトリウムを含有することを特徴とする離型油。
- 炭酸ナトリウムの割合が水に対して0.1〜0.5重量%である請求項1記載の離型油。
- ワックスの割合が0.1〜2重量%である請求項1又は2記載の離型油。
- ワックスがカルナウバワックスである請求項1〜3のいずれかに記載の離型油。
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