JP5600706B2 - 積層型開口面アンテナ - Google Patents

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Description

本発明は、ミリ波帯もしくはテラヘルツ波帯の電磁波を用いる通信システムに関するものであり、特に小型かつ軽量な積層型開口面アンテナに関するものである。
従来において、ホーンアンテナの一種として、開口部を備えた複数の誘電体シートを積層した積層型開口面アンテナが知られている。図9に示す積層型開口面アンテナでは、複数の誘電体シート1が積層され、開口サイズは上層ほど大きくなっている。これにより、錐体形(ホーン型)の開口空間が形成される。また、各誘電体シート1上の開口部の縁に設けられる導電パターン2の表面からシートの厚み方向に誘電体シート1を貫通するように複数の円柱状の導電性ビア5が設けられている。図9では、導電性ビア5の頂部5Tだけが見えており、側面部、底部は隠れている。
特開平11−46114号公報 特開昭62−222702号公報
図10は、柱状ビア5が設けられた部分を拡大して示す平面図である。
開口空間から柱状ビア5側に向かう電磁波Wの誘電体中の波長をλ、ビア間のスペースをMとする(ここで、M<λ/4)。誘電体に侵入した電磁波Wは、柱状ビア5の位置で反射し、開口空間側に戻るが、誘電体シート1における頂部5Tの最大幅部5TMよりも開口空間側の部分1Sでは、誘電体中の行路長に応じて電磁波Wの減衰(損失)が生じる。そのため、部分1Sの厚みは小さい方がよい。しかし、柱状ビア5は、その側面部51が全て隠れるように、誘電体シート1の縁から若干内側に配置しているので、部分1Sの厚みは大きくなってしまう。その結果、従来の積層型開口面アンテナでは、電磁波の減衰(損失)が大きいという不都合がある。
その対策として、柱状ビア5の径を小さくして、柱状ビア5のピッチTを狭くしなければならず、柱状ビアの加工に高い精度が求められる。これにより、低廉化が難しいという問題があった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高い加工精度を要せず製造できる積層型開口面アンテナを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明は、錐体形の開口空間を有する積層型開口面アンテナであって、前記錐体形の開口空間を形成するための開口部をそれぞれ備えた複数の誘電体シートと、前記各誘電体シート上の開口部の縁に設けられる導電パターンと、前記各導電パターン表面から誘電体シートの厚み方向に誘電体シートを貫通するように設けられる複数の導電性の柱状ビアとを備え、前記各柱状ビアの側面部の一部である露出面が前記開口空間の側壁に露出していることを特徴とする積層型開口面アンテナをもって解決手段とする。
本発明によれば、積層型開口面アンテナを高い加工精度を要せずに製造することができる。
第1の実施の形態に係る積層型開口面アンテナの斜視図である。 図1のAA矢視図である。 柱状ビア3が設けられた部分を拡大して示す平面図である。 開口空間から誘電体シート1に進入した電磁波Wが、反射される様子を示す図である。 第2の実施の形態に係る積層型開口面アンテナの断面を示す図である。 変形例1に係る積層型開口面アンテナの一部を示す斜視図である。 変形例2に係る積層型開口面アンテナの一部を示す平面図である。 変形例2に係る別な積層型開口面アンテナの一部を示す平面図である。 従来の積層型開口面アンテナを示す斜視図である。 柱状ビア5が設けられた部分を拡大して示す平面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る積層型開口面アンテナの斜視図であり、図2は、図1のAA矢視図である。
積層型開口面アンテナは、例えば、四角錐(錐体形)の開口空間を形成するための開口部をそれぞれ備えた複数の誘電体シート1と、各誘電体シート1上の開口部の縁に設けられた導電パターン2と、各導電パターン2の表面から厚さ方向に誘電体シート1を貫通するように設けられた複数の導電性の柱状ビア3とを備え、各柱状ビア3の側面部の一部である露出面311が開口空間の側壁部分(フレア部)に露出している。
誘電体シート1は、例えば、低温焼結セラミクス(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics)と称されるセラミクスを材料とするものである。導電パターンは、銀や銅などの導電材料を含むペーストを塗布することにより形成されている。
積層型開口面アンテナのアンテナゲイン(無指向性アンテナを基準)は、例えば、15dBi程度である。また、フレア部の開き角θは、例えば、60〜90度程度であり、図2は90度の例である。
また、開口部の大きさは、錐体形の頂点に近い、つまり、図2では下側に近い誘電体シート1の開口部のものほど、小さくなっている。
符号311Hで示す高さは、ステップ高といい、最小のステップ高311Hは、1組の誘電体シート1と導電パターン2の厚みで決まる。なお、符号311Lで示す長さは、ステップ長という。
開口空間の側壁(フレア部)に入射する電磁波(以下、単に電磁波という)が誘電体内部に侵入しないようにするには、誘電体シート1の厚みを、誘電体中の電磁波の波長の1/4以下に設定する必要がある。
積層型開口面アンテナの製造過程においては、まず円柱状の柱状ビアが、誘電体シート1の表面から裏面に貫通するように設けられる。導電性材料を含むペーストによる、柱状ビアの充填とメタルパターンの形成に続いて、各露出面311を結ぶ線にそって、導電パターン2、誘電体シート1および柱状ビアを一括して切断することで、露出面311を得る。このように開口加工した誘電体シート1を積層することによって、特段の技術を用いなくても、積層型開口面アンテナを製造することができる。
図3は、柱状ビア3が設けられた部分を拡大して示す平面図である。
各柱状ビア3の頂部3Tおよび底部(図示せず)の形状は半円であり、柱状ビア3の露出面311は、頂部3Tおよび底部の直線部分を2辺とする面である。
頂部3Tの最大幅部は、直線部分3T1である。よって、直線部分3T1(頂部3Tの最大幅部)を起点とする開口空間側には、誘電体シート1は存在しない。つまり、電磁波を減衰させる部分は存在しないので、理想的には電磁波の減衰を無くすことができる。なお、直線部分3T1の長さ3T1Lは、例えば、100〜150μmである。
また、電磁波を減衰させる要因となる誘電体領域は存在しないので、柱状ビアの径を大きくできる。ビアの径が大きいので加工は精度の点で楽であり、かつ導電性材料を含むペーストによるビアの充填も容易である。
つまり、柱状ビアの径を小さくするには、柱状ビア3を通す孔の加工に高い精度が必要で、製造が困難であるが、ビアの径を大きくできるので、高い精度は必要なく、積層型開口面アンテナを容易に製造することができる。
また、図3において、柱状ビア3(3A)の直線部分3T1の一方の端点3T1Aと端点3T1A側で隣り合う柱状ビア3(3B)の直線部分3T1の端点3T1A側の端点3T1Bとの間の距離(ビア間スペース)Mは、誘電体中の電磁波の波長の1/4以下になっている。距離Mを波長の1/4以下とすることで、柱状ビア3A、3Bの間から電磁波が誘電体内部に侵入するのを防止することができる。
また、露出面311を直線部分3T1に接する部分とし、且つ、距離Mを波長の1/4以下とすることで、図4に示すように、理想的には、電磁波Wは誘電体シート1に進入せず、誘電体シート1の表面で完全反射するので減衰(損失)を無くすことができる。
[第2の実施の形態]
図5は、第2の実施の形態に係る積層型開口面アンテナの断面を示す図である。
第1の実施の形態と違い、誘電体シート1の数は10であり、これらが2枚ずつ5グループ(誘電体シート11および12、13および14、15および16、17および18、19および10)に分割されている。
誘電体シート1の開口サイズは、同一のグループ中の2枚の誘電体シート1では同じであり、錐体形の頂点に近い、つまり、図5では下側に近いグループの開口部の大きさほど、小さくなっている。
このように、第1の実施の形態に比べ、ステップ高311Hは高くなるが、電磁波を誘電体の内部に侵入させないように、第1の実施の形態と同様に、1枚の誘電体シート1の厚みは、誘電体中の電磁波の波長の1/4以下に設定される。
一方、開口空間の開き角θは、図5では、60度であり、第1の実施の形態に比べ、小さくすることが容易である。つまり、第1の実施の形態の場合、ステップ高311Hは1組の誘電体シート1および導電パターン2の高さなので、開き角θを小さくするには、例えば、誘電体シート1の厚さを厚くしなければならない。しかし、1枚の誘電体シート1の厚みは、電磁波の侵入を防ぐべく、電磁波の波長の1/4以下にする必要があるので、第1の実施の形態では、開き角θを小さくするのが難しい。その他、ステップ長311Lを短くする手法は、複数の誘電体シート1の面内合わせ精度の点で限界があり、第1の実施の形態では、やはり開き角θを小さくするのが難しい。
一方、第2の実施の形態では、1枚の誘電体シート1の厚みは、電磁波の波長の1/4以下であっても、ステップ長311Lを短くすることなく、開き角θを小さくすることができる。よって、かかる積層型開口面アンテナを容易に製造することができる。
なお、開き角θをさらに小さくするような場合には、1グループを3枚以上の誘電体シート1で構成してもよい。
[変形例1]
図6は、変形例1に係る積層型開口面アンテナの一部を示す斜視図である。
上記説明では、柱状ビア3の頂部3Tの形状は、半円としたが、半円に限らず、露出面311が設けられていればよい。このような形状であっても、電磁波を減衰させる誘電体領域の大きさ(電磁波の侵入の深さ)は、露出面311を設けない場合よりも小さいので、電磁波の減衰(損失)は小さい。
[変形例2]
図7は、変形例2に係る積層型開口面アンテナの一部を示す平面図である。
積層型開口面アンテナは、露出面311を有する柱状ビア3だけでなく、開口部の側壁(フレア部)に露出面を有しない柱状ビア4をさらに備えていてもよい。柱状ビア4は、柱状ビア3の間を通過(透過)した電磁波を開口空間に反射するので、ビア間スペースMを十分狭くできない場合に有効である。なお、柱状ビア4は、図7のように、格子状に配置されていてもよいし、図8のようにジグザクに配置されていてもよい。
なお、本実施の形態では、開口空間の形状を四角錐としたが、開口空間は円錐など、錐体形であれば、四角錐に限らない。また、誘電体シートの枚数は5や10に限らず、任意としてよい。
1 誘電体シート
2 導電パターン
3、4、5 柱状ビア
3T、5T 柱状ビアの頂部
311 柱状ビア3の側面部の露出面
3T1 頂部3Tの直線部分
T 柱状ビア3のピッチ(柱状ビア5のピッチ)
M ビア間スペース(柱状ビア3の直線部分3T1の一方の端点と該端点側で隣り合う柱状ビア3の直線部分3T1の当該端点側の端点との間の距離)

Claims (4)

  1. 錐体形の開口空間を有する積層型開口面アンテナであって、
    前記錐体形の開口空間を形成するための開口部をそれぞれ備えた複数の誘電体シートと、
    前記各誘電体シート上の開口部の縁に設けられる導電パターンと、
    前記各導電パターン表面から誘電体シートの厚み方向に誘電体シートを貫通するように設けられる複数の導電性の柱状ビアとを備え、
    前記各柱状ビアの側面部の一部である露出面が前記開口空間の側壁に露出している
    ことを特徴とする積層型開口面アンテナ。
  2. 前記各柱状ビアの頂部および底部の形状は半円であり、当該柱状ビアの露出面は、前記頂部および前記底部の直線部分を2辺とする面である
    ことを特徴とする請求項1記載の積層型開口面アンテナ。
  3. 前記各柱状ビアの前記半円の直線部分の一方の端点と当該端点側で隣り合う柱状ビアの半円の直線部分の当該端点側の端点との間の距離が、前記開口空間を通過する電磁波の誘電体中の波長の1/4以下である
    ことを特徴とする請求項2記載の積層型開口面アンテナ。
  4. 前記複数の誘電体シートが、複数のグループに分割され、
    前記開口部の大きさが、同一の前記グループの中では同じであり、前記錐体形の頂点に近い前記グループの前記開口部の大きさほど小さい
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の積層型開口面アンテナ。
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