JP6946156B2 - トラップフィルタ - Google Patents

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Description

本発明はトラップフィルタに関し、特に誘電体基板にパターン形成したコプレーナ線路に設けたトラップフィルタに関する。
誘電体基板にパターン形成したコプレーナ線路に設けたトラップフィルタ等のフィルタ回路にはオープンスタブが欠かせない(例えば、特許文献1参照)が、信号伝送線に1/4波長のオープンスタブを設けた高周波伝送路では、分岐による影響で通過帯域の挿入損失を安定的に低く抑えることが難しく、多段化することで通過帯域を安定化する必要があった。
図3は、コプレーナ線路にオープンスタブを設けた従来のトラップフィルタの説明図であり、オープンスタブを2段設けた構成を示している。図3(a)において、11は信号を伝送する信号伝送線、12はオープンスタブ、13がグランドパターンである。このようにオープンスタブを2段設けることで、図3(b)に示すような周波数特性を得ることができた。
特開2009−21747号公報
上述したように、オープンスタブを複数設けることで、通過特性が良好な特性のトラップフィルタを得ることができた。しかしながら、オープンスタブを多段化する構成は広いスペースが必要であり、基板や回路を小型化する流れとは逆行していた。
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、コプレーナ線路に適用できる小型で通過特性が良好なトラップフィルタを提供することを目的としている。
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、誘電体基板に形成したコプレーナ線路に設けたトラップフィルタであって、
前後に伸びた信号伝送線の左右両側に広がるグランドパターン内に、前記信号伝送線に面する端部から切り欠いて前記信号伝送線に直交する左右方向に対称に形成した第1のスリットを有し、
前記第1のスリットの長さを、トラップ周波数に共振する長さとすると共に、
前記コプレーナ線路を形成した前記誘電体基板の裏面は、全体がグランド面であって、当該グランド面の前記第1のスリットに重なる部位には第2のスリットが形成され、
前記第2のスリットは前記第1のスリットと同一形状であると共に、前記信号伝送線の背部において連結されて1本のスリットを成し、
更に前記信号伝送線の近傍、及び前記第1のスリットの近傍の前記グランドパターンには、裏面の前記グランド面と連結するスルーホールが適宜間隔で設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、コプレーナ線路のグランドパターン内に形成したスリットにより、スリット長に共振する周波数の高周波信号を減衰させることができる。そして、信号伝送線のパターンを分岐していないため、通過帯域の通過特性を悪化させることなく所望する遮断周波数の高周波信号を大きく減衰させることができ、好ましい特性のトラップフィルタを得ることができる。
また、信号伝送線の両側のグランドパターンに形成したスリットに加えて、基板の裏面に設けたグランド面にも同一部位にもスリットを設けたことで、スリットを多段に形成しなくとも良好なトラップフィルタ特性を得ることができる。
請求項の発明は、請求項に記載の構成において、誘電体基板は多層構造であって、内層にグランド層を有し、当該グランド層においても第1のスリット及び第2のスリットに重なる部位に、第2のスリットと同一形状の第3のスリットを形状して成ることを特徴とする。
この構成によれば、更に良好な特性のトラップフィルタを得ることができる。
請求項の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、各スリットは、メアンダ化されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、メアンダ化によりスリットを省スペースでに配置でき、トラップフィルタ全体を小型にできる。
本発明によれば、コプレーナ線路のグランドパターン内に形成したスリットにより、スリット長に共振する周波数の高周波信号を減衰させることができる。そして、信号伝送線のパターンを分岐していないため、通過帯域の通過特性を悪化させることなく所望する遮断周波数の高周波信号を大きく減衰させることができ、好ましい特性のトラップフィルタを得ることができる。
本発明に係るトラップフィルタの一例を示す構成図であり、(a)は基板に形成したパターン説明図、(b)は基板の裏面図である。 図1のトラップフィルタの周波数特性図である。 従来のトラップフィルタの説明図であり、(a)は基板に形成したパターン説明図、(b)は周波数特性図である。
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は回路を形成した基板の一部を示し、本発明に係るトラップフィルタの一例を示している。図1(a)はパターン形成した基板の正面図、図1(b)は図1(a)の基板の裏面図を示している。図1において、1は信号が伝送される信号伝送線、2はグランドパターン、4はスルーホールであり、高周波信号の伝送線路は信号伝送線1を中心としたコプレーナ線路により形成されている。いずれのパターンも、誘電体基板の表裏両面に一定厚みの銅箔で形成されている。
そして、5はグランドパターン2内に形成されたスリット(第1のスリット)であり、前後方向に伸びた(図示上下方向に伸びた)信号伝送線1の左右に、左右方向に伸びるように対称に形成されている。具体的に、まず信号伝送線1とグランドパターン2との間は一定の幅のスリット状の隙間Mが設けられて分離されている。そして、信号伝送線1の所定の位置において、トラップしたい(信号を遮断したい)周波数の4分の1波長に相当する長さで信号伝送線1から左右双方に向けてグランドパターン2内に第1スリット5が形成されている。ただし、第1のスリット5はメアンダ化されており、矩形に折り曲げられて形成されている。
例えば、減衰させたい周波数が1.9GHzである場合、第1のスリット5の長さは左右それぞれ略40mmの長さで形成されている。尚、第1のスリット5の幅は略0.5mmで形成されている。
また、基板の裏面は全体に銅箔が設けられたグランド面3であるあが、表面の第1のスリット5と重なる位置に同様のスリット(第2のスリット)6が形成されている。この第2のスリット6は、第1のスリット5と同様に左右対称に形成されているが、第1のスリット5が、中央の信号伝送線1の左右に分離形成されているのに対し、左右に連結されて全体が1本のスリットとなっている。
スルーホール4は、グランドパターン2の特定の部位に形成され、表面のグランドパターン2と裏面のグランド面3を連結している。具体的に、信号伝送線1に沿ったグランドパターン端部、及び第1のスリット5の周囲に一定間隔で形成され、裏面のグランド面3と連結している。
図2はこのトラップフィルタの周波数特性を示し、1.9GHzのトラップ周波数を有する場合を示している。図2に示すように、コプレーナ線路のグランドパターン2に第1のスリット5を設けると共に、裏面のグランド面3に第2のスリット6を形成した図1に示す構成は、オープンスタブを2段設けた上記図3に示す従来の特性と遜色ない特性を示している。
このように、コプレーナ線路を形成するグランドパターン2内に形成した第2のスリット5により、スリット長に共振する周波数の高周波信号を減衰させることができる。そして、信号伝送線1のパターンを分岐していないため、通過帯域の通過特性を悪化させることなく所望する遮断周波数の高周波信号を大きく減衰させることができ、好ましい特性のトラップフィルタを得ることができる。
また、信号伝送線1の両側のグランドパターン2に形成した第1のスリット5に加えて、基板の裏面に設けたグランド面3にも同一部位に第2のスリット6を設けたことで、第1のスリット5及び第2のスリット6を多段に形成しなくとも良好なトラップフィルタ特性を得ることができる。
更に、メアンダ化により第1のスリット5及び第2のスリット6を省スペースでに配置でき、トラップフィルタ全体を小型にできる。
尚、上記実施形態では、コプレーナ線路を表面に形成し、裏面全体をグランド面3としているが、中間層を有する多層基板としても良く、その場合は中間層全体を裏面と同様にグランド層とし、裏面に形成した第2のスリット6と同様のスリット(第3のスリット)を重なる位置に形成すると良く、更に良好な通過特性を得ることが可能である。
1・・信号伝送線、2・・グランドパターン、3・・グランド面、4・・スルーホール、5・・スリット(第1のスリット)、6・・スリット(第2のスリット)。

Claims (3)

  1. 誘電体基板に形成したコプレーナ線路に設けたトラップフィルタであって、
    前後に伸びた信号伝送線の左右両側に広がるグランドパターン内に、前記信号伝送線に面する端部から切り欠いて前記信号伝送線に直交する左右方向に対称に形成した第1のスリットを有し、
    前記第1のスリットの長さを、トラップ周波数に共振する長さとすると共に、
    前記コプレーナ線路を形成した前記誘電体基板の裏面は、全体がグランド面であって、当該グランド面の前記第1のスリットに重なる部位には第2のスリットが形成され、
    前記第2のスリットは前記第1のスリットと同一形状であると共に、前記信号伝送線の背部において連結されて1本のスリットを成し、
    更に前記信号伝送線の近傍、及び前記第1のスリットの近傍の前記グランドパターンには、裏面の前記グランド面と連結するスルーホールが適宜間隔で設けられていることを特徴とするトラップフィルタ。
  2. 前記誘電体基板は多層構造であって、内層にグランド層を有し、当該グランド層においても前記第1のスリット及び前記第2のスリットに重なる部位に、前記第2のスリットと同一形状の第3のスリットを形状して成ることを特徴とする請求項記載のトラップフィルタ。
  3. 各前記スリットは、メアンダ化されて成ることを特徴とする請求項1又は2記載のトラップフィルタ。
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