JP6353938B1 - バンドパスフィルタ及び多段バンドパスフィルタ - Google Patents
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バンドパスフィルタとしては、中空導波管で共振器を形成し、それぞれの共振器を電磁界結合させる構造が用いられている(例えば特許文献1)。また、誘電体基体の上面及び下面にそれぞれ導体層を形成し、スルーホールを介してこの上下面を電気的に接続して導波路を形成する誘電体導波路(SIW)を用いた共振器もバンドパスフィルタとして注目されている(例えば特許文献2や非特許文献1)。
しかしながら、特許文献1が開示するような中空導波管を用いる場合、共振器が大きくて重いため扱いづらいことがある。
しかしながら、特許文献2では、具体的に共振周波数をどのように変化可能であるかについて開示されておらず、高い調整精度が求められる場合に対応できないおそれがある。
しかしながら、非特許文献1では、接続角度の変化に対して共振周波数の変化が大きいため、共振周波数の微調整ができないおそれがある。
本発明の第1実施形態に係るバンドパスフィルタ1の構成について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るバンドパスフィルタ1の構成を模式的に示した斜視図である。図2の(a)は本発明の第1実施形態に係るバンドパスフィルタ1の構成を模式的に示した上面図であり、図2の(b)は図2(a)のA−A線に沿う断面図である。なお、図2においては周波数調整部の構成の説明の都合上、ポスト壁の構成については図1よりも簡略的に示している。
基板2は、矩形形状の上面(第1面)2aと下面(第2面)2bを有する。上面2aには、所定の厚さを有するブラインドビア61が形成されている。ブラインドビア61は、断面が略円形状の非貫通孔であり、その内部に後述のビア導体62が形成される。また基板2には、基板2の上面2aから下面2bに向かって基板2を貫通する断面が略円形状の複数の貫通孔51が形成される。貫通孔51は、その中部にポスト壁5を構成する導体柱52が形成される。
ブラインドビア61及び貫通孔51はマスクを用いたエッチング法などにより適宜形成することができる。なお、ブラインドビア61及び貫通孔51の開口径としては例えば作製のしやすさの観点から50〜200μmが挙げられる。
導体層3(第1導体層)は、ブラインドビア61の上面2aにおける開口の周囲のスロット63を除いた基板2の上面2aの全面を覆う。スロット63は円環状領域である。スロット63の外径と内径の差(円環の幅)は、30μm〜100μm(であることが好ましい。円環の幅が100μmより広いと高周波信号が放射してしまうおそれがあり、また、円環の幅が30μmより狭いと作製が困難となるおそれがある。
導体層4(第2導体層)は、基板2の下面2bの全面を覆う。なお、導体層3、4が共振器として機能すれば上下面2a、2bの全面を覆っていなくてもよい。また導体層3、4が銅薄膜である場合、その厚さは1μm〜40μmであることが好ましい。導体層3、4の厚さが1μmより薄いと損失が増え、40μmより厚いと扱いづらいおそれがある。
導体層3、4は銅めっき法などにより適宜形成することができる。
複数の導体柱52は、第1及び第2壁部5a、5bにおいて、誘電体導波路(SIW)中を伝搬する高周波信号が外部に漏洩しない間隔で配列されている。ただし、第2壁部5bには、所定波長の高周波信号が通過できる開口部7が導体柱52の並列方向の中央部に形成されるように配列されている。つまり、本実施形態に係るバンドパスフィルタ1では、第1壁部5aの導体柱52が並列する方向が高周波信号の伝搬方向Xとなる。
なお、開口部7は導体柱52の並列方向の中央部に形成されていなくてもよく、一方の第1壁部5aに寄った位置に形成されていてもよい。
ビア導体62はブラインドビア61の少なくとも内面全体を覆う円柱上の導体である。ビア導体62の材料としては例えば銅が挙げられ、導体層3と同時に形成されてもよい。また、ビア導体62は中空であってもよいし、中実であってもよい。
金属配線部64の幅は特に限定されないが、導体柱52の直径程度かそれよりも小さいことが挙げられる。金属配線部64は例えば銅めっき法により形成することができる。金属配線部64は、金属配線部64以外の部分を形成して、必要な共振周波数の調整量を見積もった後で形成してもよい。導体層3の形成前に金属配線部64の位置を見積もれる場合は導体層3と同時に形成されてもよい。
特に、ブラインドビア61を採用することによって角度θを変化させた際の共振周波数の変化が、貫通孔にビア導体を形成した場合よりも小さくなる。つまり、本実施形態に係るバンドパスフィルタ1を用いれば、SIWを製造した後であっても金属配線部64の位置を調整することで共振周波数の微調整が可能になる。よって、目標精度が高い場合にも対応できるバンドパスフィルタを供給することができる。またブラインドビア61の深さが浅いほど、角度θを変化させた際の共振周波数の変化を小さくすることができると考えられる。
図3は本実施形態に係る、バンドパスフィルタ1の第1の変形例であるバンドパスフィルタ1Aを示し、(a)はバンドパスフィルタ1Aの構成を模式的に示した上面図であり、(b)は図3(a)のB−B線に沿う断面図である。
なお、バンドパスフィルタ1Aは、バンドパスフィルタ1に対して金属配線部の構成が異なる。そのため、以降の説明において、すでに説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
なお、図3では金属配線部64Aが一本のワイヤで構成されているが、隣接する複数のワイヤで形成されてもよい。
図4は本実施形態に係る、バンドパスフィルタ1の第2の変形例であるバンドパスフィルタ1Bを示し、(a)はバンドパスフィルタ1Bの構成を模式的に示した上面図であり、(b)は図3(a)のC−C線に沿う断面図である。
バンドパスフィルタ1Bは、バンドパスフィルタ1に対して金属配線部の構成が異なる。そのため、以降の説明において、すでに説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
誘電体層8の材料としては塗布性や誘電率の観点から、例えばポリイミドが挙げられる。貫通孔81、82はフォトリソグラフィー法などで形成すればよい。
導体層65は銅めっき法により形成することができる。
図5は本実施形態に係る、バンドパスフィルタ1の第3の変形例であるバンドパスフィルタ1Cを示し、(a)はバンドパスフィルタ1Cの構成を模式的に示した上面図であり、(b)は図5(a)のD−D線に沿う断面図である。
バンドパスフィルタ1Cは、バンドパスフィルタ1Bに対して金属配線部の構成が異なる。そのため、以降の説明において、すでに説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
本発明の第2実施形態に係る多段バンドパスフィルタ10の構成について、図6を用いて説明する。なお、以降の説明においては、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図7(a)は比較例としてブラインドビアの代わりに貫通孔を採用した場合の周波数とSパラメータ(S21)との関係を示す。図7(b)〜7(e)は実施例として、ブラインドビアの深さをそれぞれ25μm、50μm、75μm、100μmで設定した場合の周波数とSパラメータ(S21)との関係を示す。それぞれ角度θは0°、90°、180°、270°の4条件でシミュレーションを行った。
この結果から、特にθ=0〜90°、270〜360°の範囲では比較例よりも実施例の方が変化量が小さく、調整精度を上げることができることがわかった。特に、比較例とブラインドビアの深さが25μmの場合の実施例とを比較すると、θ=0〜90°、90〜180°、180〜270°、270〜360°のいずれの範囲においても実施例の方が変化量がより細かくできることがわかった。
また、実施例の結果から、ブラインドビアの深さを浅くすることで調整できる量が細かくなっていき、より微調整が可能となることがわかった。さらに、実施例の結果から特にθ=0〜90°、270〜360°の範囲での変化量がより細かくできることがわかった。
Claims (6)
- バンドパスフィルタであって、
第1面と、前記第1面とは反対の第2面と、前記第1面に形成されるブラインドビアとを有し、単一の誘電体材料で形成される基板と、
前記ブラインドビアの開口及びその周囲の円環状領域を除いた前記第1面を覆う第1導体層と、
前記第2面を覆う第2導体層と、
前記第1面から前記第2面に向かって前記基板を貫通する導体で形成され、平面視において前記ブラインドビアを囲むように配置されるポスト壁と、
前記ブラインドビア内に形成されるビア導体と、
前記第1導体層と前記ビア導体とを電気的に接続する金属配線部と、を備えるバンドパスフィルタ。 - 前記金属配線部が、前記第1導体層と前記ビア導体とをワイヤボンディングで電気的に接続する、請求項1に記載のバンドパスフィルタ。
- 前記第1導体層及び前記円環状領域を覆う誘電体層をさらに有し、
前記金属配線部が、前記誘電体層上を経由して、前記第1導体層と前記ビア導体とを電気的に接続する、請求項1に記載のバンドパスフィルタ。 - 平面視で前記ポスト壁で囲まれた空間において、前記ビア導体が高周波信号の伝搬方向の中央部で、かつ前記伝搬方向に交差する方向において、中央部より前記ポスト壁に近い位置に配置される、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のバンドパスフィルタ。
- 前記円環状領域の円環の幅が30μm〜100μmである、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のバンドパスフィルタ。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のバンドパスフィルタを複数並列して構成される多段バンドパスフィルタ。
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