JP5598895B2 - アルミニウムダイカスト合金、この合金からなる鋳造コンプレッサ羽根車およびその製造方法 - Google Patents

アルミニウムダイカスト合金、この合金からなる鋳造コンプレッサ羽根車およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5598895B2
JP5598895B2 JP2009005657A JP2009005657A JP5598895B2 JP 5598895 B2 JP5598895 B2 JP 5598895B2 JP 2009005657 A JP2009005657 A JP 2009005657A JP 2009005657 A JP2009005657 A JP 2009005657A JP 5598895 B2 JP5598895 B2 JP 5598895B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alloy
cast
compressor impeller
casting
strength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009005657A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010163644A (ja
Inventor
正明 古閑
祐司 升田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Metals Precision Ltd
Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Precision Ltd
Hitachi Metals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Metals Precision Ltd, Hitachi Metals Ltd filed Critical Hitachi Metals Precision Ltd
Priority to JP2009005657A priority Critical patent/JP5598895B2/ja
Publication of JP2010163644A publication Critical patent/JP2010163644A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5598895B2 publication Critical patent/JP5598895B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Structures Of Non-Positive Displacement Pumps (AREA)

Description

本発明は、例えば過給機に使用されるコンプレッサ羽根車などに好適な高強度と、ダイカストに好適な優れた耐焼付性とを有するアルミニウムダイカスト合金に関わる。また、このアルミニウムダイカスト合金からなる鋳造コンプレッサ羽根車およびその製造方法に関わる。
例えば自動車や船舶等の内燃機関に組み込まれる過給機は、内燃機関からの排気ガスを利用して排気側のタービン羽根車を回転させ、このタービン羽根車と同軸上にある吸気側のコンプレッサ羽根車を回転させて外気を吸気して圧縮する。そして、圧縮した空気を内燃機関に供給して内燃機関の出力向上を図る機能を有する。上述の過給機に使用されるタービン羽根車は、内燃機関から排出される高温の排気ガスに曝されるため、通常は耐熱強度に優れるニッケル合金やチタンアルミニウム合金等が使用される。一方、コンプレッサ羽根車は、外気を吸気する部分で利用されて高温に曝されることがないため、通常はアルミニウム合金等が使用される。
従来、鋳造コンプレッサ羽根車に使用されるアルミニウム合金としては、例えば、米国材料試験協会(ASTM)規定のAl−9%Si−1.8%Cu−0.5%Mg合金である354.0(以下、A354という)やAl−5%Si−1.3%Cu−0.5%Mg合金である355.0(以下、A355という)、JIS−AC4C(Al−7%Si−0.3%Mg合金)等が実用され、前記A354からなる鋳造コンプレッサ羽根車は多く利用されている。また近年は、内燃機関の燃焼効率をさらに向上させる目的でタービン羽根車およびコンプレッサ羽根車をより高速回転させるための種々の検討がなされ、高速回転によってコンプレッサ羽根車の曝露温度が従来よりも上昇して180〜200℃にも達すると予測され、常温に加え、180〜200℃といった高温域においても高強度を有することが所望され始めている。
近年提案された従来のA354よりも高強度な材質を用いた鋳造コンプレッサ羽根車としては、例えば特許文献1に提案されるAl−Cu−Mg−Ni−Fe系合金を用いたコンプレッサ羽根車が知られる。このコンプレッサ羽根車は、プラスターモールド鋳造法によって形成され、従来のAl−Si−Cu−Mg系合金におけるSiに置換してNiおよびFeを各々2.0質量%以下の範囲で含有し、かつ、CuとMgの含有関係をCu+0.5Mgの観点から適正化することにより、羽根車の高強度化を実現するものである。
上述したコンプレッサ羽根車は、例えば、ハブ軸部と、該ハブ軸部から半径方向に延在するとともにハブ面とディスク面を有するハブディスク部と、前記ハブ面に配列された複数の羽根部とを含み、各々の羽根部が複雑な空力学的曲面形状のブレード面を表裏に有する、複雑な形状を有している。このように複雑な形状を有するコンプレッサ羽根車であるので、従来、鍛造素材から削り出して形成された鍛造羽根車や、例えば上述した特許文献1に開示されるようにプラスターモールド鋳造法により鋳造して形成された鋳造羽根車が実用化された。そして、前記A354からなる鋳造コンプレッサ羽根車もまた、プラスターモールド鋳造法により形成された鋳造羽根車として実用化されている。
前記プラスターモールド鋳造法は、製品と実質的に同一形状を有するゴム模型の周りに石膏などを被覆して鋳型を形成する鋳造方法である。鋳型の形成においてはゴム模型が内包されることとなるが、ゴム模型は大きく弾性変形させることができるため、上述した複雑な形状を有するコンプレッサ羽根車であっても、ゴム模型を鋳型から簡単に離型できる。よって、プラスターモールド鋳造法は、コンプレッサ羽根車のハブ部と複雑な形状を有する羽根部とを一体かつ一括で形成できる優れた製造方法である。しかしながら、ゴム模型や石膏鋳型の製作、鋳造後の石膏鋳型の解体やブラスト等による鋳型滓除去清浄など、製造工程が長いために生産性や製造コストの点では不利であり、改善が望まれている。
また、アルミニウム合金に適用される鋳造方法のひとつとして、優れた生産性やコストパフォーマンスを有しているダイカスト(高圧射出鋳造)が知られている。ダイカストにおいては、高圧力での溶湯の射出に耐えられる鋳型として金型が使用される。そして、該金型のキャビティは、一般的にはFe基合金材を用いて画成されるため、鋳造時の溶湯の凝固速度(冷却速度)が特段に速くなり、これにより含有元素に拠らなくとも微細で緻密な鋳造組織形態を形成することができる。よって、ダイカストによって形成した鋳物部材は引張強さなどの機械的特性の特段の向上が期待できる。
アルミニウムダイカスト合金としては、Al−Si−Cu系合金であるJIS−H5302規定のADC12(質量%でFe:1.3%以下、Mn:0.5%以下)が最もよく使用されるものの、前記ADC12は例えば鋳造コンプレッサ羽根車に適用できるだけの高強度を有さない。しかしながら、前記ADC12以外のアルミニウム合金は、Fe基合金との親和性が高いために金型に対する溶湯の固着や溶損といった焼付現象を生じやすい。このため、Fe基合金との親和性が高いアルミニウム合金に対し、耐焼付性向上効果を有することが知られるFeやMnを少量添加してダイカスト用途に使用する提案がなされている。
例えば、特許文献2が開示する実施例には、質量%でSiを8%含有するAl−Si−Cu−Mg系合金に対し、質量%でFe:0.19〜0.30%およびMn:0〜0.49%を添加することにより、耐焼付性の改善を図る提案がなされている。しかしながら、Feを含有することに関する欠点も知られており、例えば非特許文献1(P.309、図1.7 試験片による鉄含有量と機械的性質(ADC−12))には、Fe含有量が0.5%違うだけで13%もの引張強さの違いを生じ、Fe含有量によっては引張強さを大きく損ねてしまうことが開示されている。
特開2005−206927号公報 特開平10−298689号公報
文献名:鋳造技術シリーズ6 軽合金鋳物・ダイカストの生産技術、P.309図1.7試験片による鉄含有量と機械的性質(ADC−12)、編者:軽合金の生産技術教本編集部会、発行者:財団法人素形材センター、発行年:1993年12月27日
鋳造コンプレッサ羽根車に適用される上述の従来合金A354は、Si含有量を増し、さらにはSi含有量が増すことで多く形成されて合金の強度を阻害する共晶Siを球状化するためにSrを添加し、0.2%耐力で言えば概ね300MPa程度の常温強度を得ており、鋳造コンプレッサ羽根車に好適なアルミニウム鋳造合金である。しかしながら、優れた量産性やコストパフォーマンスを有する上述したダイカストを適用する場合、従来合金A354はFe基合金との親和性が高いため、金型への溶湯の固着や溶湯による金型の溶損といった焼付現象を生じてしまう問題がある。加えて、従来合金A354は、上述したようにSi含有量を増して常温強度を得ているものの、180〜200℃といった高温域における高温強度についてはSiの作用効果だけでは不十分なものであった。
上述した従来合金A354の金型に対する耐焼付性の問題を解決できる可能性のある合金としては、上述した特許文献2が開示する合金がある。しかしながら、特許文献2が開示する合金は、金型に対する耐焼付性向上効果が期待できるFeやMnの含有量の総計が0.8質量%に満たない程度のものである。それ故に、該合金では、ダイカストの量産性やコストパフォーマンスといった利点が活用できるほどの実用的な耐焼付性は期待できず、加えて、実質的に多量のSiの含有により合金強度を得ているので高温域での合金強度については期待できなかった。
また、上述した特許文献1が開示するAl−Cu−Mg−Ni系合金もまた上述した耐焼付性の問題を解決できる可能性のある合金である。該合金は、Siに置換してNiやFeを含有することにより常温や高温域における高強度を得ており、Fe含有量が1.0〜2.0質量%と多いため耐焼付性向上が期待できる。なお、特許文献1は、プラスターモールド鋳造法によって鋳造コンプレッサ羽根車を形成する手段を開示するが、該合金がダイカストに適用可能であるかは不明であった。しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1が開示する合金であっても、ダイカストの量産性やコストパフォーマンスといった利点が活用できるほどの実用的な耐焼付性は期待できないことが判った。
本発明の目的は、Fe基材でなるダイカスト金型に対する実用的な耐焼付性を有すると同時に、例えば鋳造コンプレッサ羽根車に用いられる従来合金A354と同等以上の常温強度を有し、さらには高温域でも高強度が期待できるアルミニウムダイカスト合金を提供し、また、前記アルミニウムダイカスト合金を用いてなる鋳造コンプレッサ羽根車およびその製造方法を提供することである。
本発明者は、Si含有量を抑制したAl−Cu−Mg系合金を基にして、常温(言い換えれば25℃)において従来合金A354と同等以上の合金強度を有し、同時に金型に対する耐焼付性を格段に向上させ、さらには180〜200℃といった高温域における合金強度を向上させることを検討した。そして、基材であるAlに添加する各元素の含有量の適正化により、Alマトリックスの結晶自体や結晶個々を結び付ける粒界が強化されて好適にバランスした鋳造組織形態が得られることを見出して本発明に到達した。
すなわち、本発明のアルミニウムダイカスト合金は、質量%でCu+Mg+Ni+Fe:6.5〜8.0%を満足するように、Cu:2.5〜3.5%、Mg:0.5〜2.0%、Ni:0.5〜2.0%、Fe:2.0〜2.5%、さらにTi:0.05〜0.20%、Si:1.0%以下、Fe+Mn:2.6%以下を満足するようにMn:0.6%以下を含む、残部がAlおよび不可避的不純物でなるアルミニウムダイカスト合金である。
そして、本発明においては、自動車等に使用され、ハブ軸部と、該ハブ軸部から半径方向に延在するとともにハブ面とディスク面を有するハブディスク部と、前記ハブ面に配設された複数の羽根部とを含む羽根車形状体である鋳造コンプレッサ羽根車に、前記本発明のアルミニウムダイカスト合金を用いることが好適である。
また、前記複数の羽根部が、長羽根と短羽根とが交互に配列されて成る鋳造コンプレッサ羽根車にも、前記本発明のアルミニウムダイカスト合金を用いることができる。
前記鋳造コンプレッサ羽根車は、ハブ軸部と、該ハブ軸部から半径方向に延在するとともにハブ面とディスク面を有するハブディスク部と、前記ハブ面に配設された複数の羽根部とを含む、前記本発明のアルミニウムダイカスト合金を用いて羽根車形状にダイカスト形成した成形体を用意し、該成形体に対して溶体化処理を施し、前記溶体化処理された前記成形体に対して時効処理を施すことで、機械特性を改善することができる。それ故に、優れた鋳造コンプレッサ羽根車を得ることができる。
本発明のアルミニウムダイカスト合金は、鋳造コンプレッサ羽根車等に用いられる従来合金A354と同等の常温強度を有すると同時に、ダイカストに適用できる実用的な耐焼付性を有することが期待できる。さらには、180〜200℃といった高温域における合金強度向上が期待できる。前記本発明のアルミニウムダイカスト合金を用いることにより、例えば自動車などに搭載される過給機用の鋳造コンプレッサ羽根車を安価に安定量産できるので、本発明は工業上極めて有益な技術となる。
図1は本発明の鋳造コンプレッサ羽根車の一例を模式的に示す斜視図(a)および側面図(b)である。
本発明のアルミニウムダイカスト合金の特徴は、Si含有量を抑制したAl−Cu−Mg系合金を基にして、NiおよびFeを適量添加し、さらには添加したNiおよびFeとCuおよびMgの各含有量を適正化したことにある。本発明においては、各元素の含有量を適正にバランスさせることが最も重要であって、具体的にはCu+Mg+Ni+Fe:6.5〜8.0%を満足するように各元素を添加することにより、母相となる結晶自体に対するCuやMgの固溶量を適正化し、同時に、CuやMg、NiやFeが係って生成される各種金属間化合物の結晶粒界への晶出量もしくは析出量を適正化し、Alマトリックスの結晶自体や結晶個々を結び付ける粒界が強化され好適にバランスした鋳造組織形態を得ている。それ故に、本発明のアルミニウムダイカスト合金は、金型に対する実用的な耐焼付性を有し、同時に、常温(言い換えれば25℃)において従来合金A354と同等以上の合金強度を有することができ、さらには含有するNiやFeの作用効果によって180〜200℃といった高温域における合金強度の向上が期待できる、ダイカスト用途に好適な合金となる。
本発明のアルミニウムダイカスト合金は、Feを2.0〜2.5%含有することによって実用的な耐焼付性を確保し、Niを0.5〜2.0%含有することによって常温における合金強度の向上を図っている。また、前記Feの含有により、高温域における合金強度の一層の向上が期待できる。しかしながら、単純に前記Feや前記Niの含有によるだけでは、常温において十分な合金強度が得られない。そこで、本発明においては、常温における合金強度を補償するために、前記Feや前記Niの含有量を考慮した上でCuを2.5〜3.5%、Mgを0.5〜2.0%含有させた。そしてさらに、各元素の含有量の適正化を行うことにより、結晶への各元素の固溶量や結晶粒界における各種金属間化合物の晶出量もしくは析出量のバランスを適正化して結晶や結晶粒界を強化した。
例えばCu、Fe、Niを含むアルミニウム合金を鋳造した場合、鋳造の凝固時に、AlとCuの金属間化合物であるCuAl(θ相)や、AlとNiとCuの金属間化合物であるAlNiCu(Y相)や、AlとFeとCuとの金属間化合物などの各種の晶出物が生成される。さらに、MgおよびSiを含む場合は、鋳造の凝固時に、MgSiなどの晶出物が生成される。そして、生成される各金属間化合物のなかでも、Niを含む金属間化合物であるAlNiCu(Y相)やFeを含む金属間化合物は、他の金属間化合物よりも優先的に晶出すると考えられる。これらY相やFeを含む金属間化合物は、晶出が適量であれば合金の高温強度を向上させる作用効果を発揮するが、一方、晶出が過剰であれば合金の伸びを低下させ脆化する欠点がある。また、前記Y相に取り込まれなかったCuは主としてCuAl(θ相)を生成し、溶体化処理および時効処理を経て得られる析出強化に寄与する。
本発明においては、上述したような各種の金属間化合物の作用効果を勘案した上で、合金に含有させるCuやMgおよびFeやNiを適正化してθ相やY相およびFeを含む化合物等の生成形態を好適に調整することにより、結晶自体や結晶粒界が強化され好適にバランスした鋳造組織形態を形成することができる。それ故に、本発明のアルミニウムダイカスト合金は、実用的な耐焼付性を有し、同時に、合金の強度と伸びのバランスが好適となって、常温においては従来合金A354と同等の合金強度を有し、さらには150〜200℃といった高温域においても合金強度の向上が期待できる。
本発明において基材として採用したアルミニウムは、Ti系合金よりも軽量で実用的な強度を有するアルミニウム合金を得ることができる。そして、該アルミニウム合金は、様々な用途に適用され、上述したように例えば鋳造コンプレッサ羽根車にも適用されている。
以下、本発明のアルミニウムダイカスト合金について、基となるAlに対する添加元素と各元素の含有量の限定理由について詳細に説明する。また、各元素の含有量は、特に断らない場合には質量%で示す。
Fe:2.0〜2.5%
本発明のアルミニウムダイカスト合金においては、Feの含有量を2.0〜2.5%とする。本発明の合金がFe基材でなるダイカスト用金型に対する実用的な耐焼付性を発揮するためには、Feは最も重要な元素となる。加えて、Feは、後述するNiと同様に、AlやCuと金属間化合物を生成することによって特に高温域における合金強度を向上させる作用効果を有する。よって、本発明においては、合金強度向上効果を有する他のCu、Mg、Niの含有バランスを考慮した上でFeを2.0%以上含有することによりダイカスト金型に対する実用に適う耐焼付性を得ることができ、金型への溶湯の固着や溶湯による金型の溶損を防止してダイカスト金型の長寿命化を図ることができる。一方、Feを2.5%以下の含有に抑えることにより、例えば鋳造コンプレッサ羽根車用途等では致命的となる脆化を抑止して合金強度を確保することができる。
Ni:0.5〜2.0%
本発明のアルミニウムダイカスト合金においては、Niの含有量を0.5〜2.0%とする。本発明の合金が150〜180℃さらには180〜200℃といった高温域において好適な合金強度を有するためには、上述したFeとともにNiを含有することが重要となる。Niは、AlやCuと耐熱性向上効果を有する金属間化合物であるY相(AlNiCu)を粒界に生成し、常温に限らず高温域においても合金強度を向上させる作用効果を有する。よって、本発明においては、合金強度向上効果を有する他のCu、Mg、Feの含有バランスを考慮した上でNiを0.5%以上含有することにより、常温において従来合金A354と同等な合金強度を得ることができ、さらには180〜200℃といった高温域においても好適な合金強度を期待することができる。一方、Niを2.0%以下の含有に抑えることにより、他元素による必要効果を確保しながらNi系の晶出物や析出物の過剰生成による合金の脆化を抑止して合金強度を確保することができる。なお、本発明のアルミニウムダイカスト合金において、より高い伸びを所望する場合は含有するNiを0.5〜1.5%とし、より高い耐焼付性を所望してFeを多目に添加する場合は含有するNiを0.5〜1.2%とすることが望ましい。
Cu:2.5〜3.5%
Siを多量に含まない本発明の合金においては、CuおよびMgは、Alマトリックス内に固溶することで合金強度を向上させる固溶強化や、鋳造後に熱処理(T6処理:JIS−H0001)を施すことで合金強度を向上させる析出強化といった作用効果を発現することのできる重要な元素である。よって、本発明のアルミニウムダイカスト合金においては、上述した固溶強化や析出強化といった作用効果を得て合金強度を向上させるために、Cuを2.5〜3.5%含有させる。Cuを2.5%以上含有することにより、Alマトリックス内へのCuの固溶量を確保して固溶強化効果を得ることができ、同時に、粒界に適量の金属間化合物CuAl(θ相)およびAlやFeとの金属間化合物を晶出もしくは析出させて合金強度を向上させることができる。一方、Cuを3.5%以下の含有に抑えることにより、他元素による必要効果を確保しながら金属間化合物の過剰生成を抑止して破断伸び(以下、伸びという)が低下しないようにすることができる。なお、望ましくは、Mgを0.5〜1.2%の含有に抑えた上でCuを3.0〜3.5%含有することであり、これにより上述したY相とθ相とのバランスが一層好適化されて合金強度の向上が期待できる。
Mg:0.5〜2.0%
本発明のアルミニウムダイカスト合金においては、上述したCuと同様に固溶強化や析出強化といった作用効果を有するMgを0.5〜2.0%含有させる。Mgを0.5%以上含有することにより、Alマトリックス内へのMgの固溶量を確保でき、もしくはSiを含む場合にはMgとSiとで金属間化合物(MgSi)を生成させて結晶に固溶させることができ、これにより伸びの向上効果を得ることができる。一方、Mgを2.0%以下の含有に抑えることにより、他元素による必要効果を確保しながらMgを余剰させないようにすることができ、合金の脆化を防止できるるとともに鋳造性を著しく阻害しないようにすることができる。なお、望ましくは、上述したようにMgを0.5〜1.2%の含有に抑えた上でCuを3.0〜3.5%含有することである。
Cu+Mg+Ni+Fe:6.5〜8.0%
本発明のアルミニウムダイカスト合金は、Alに対する各添加元素Cu、Mg、Ni、Feの総含有量を6.5〜8.0%の範囲に規制する。
本発明のアルミニウムダイカスト合金は、上述したように、実用的な耐焼付性の確保のため、常温での合金強度の確保のため、さらには高温域での合金強度向上のため、Alに添加する各元素の含有量を適正化し、合金の結晶や粒界が強化されてバランスした好適な鋳造組織形態を形成することが重要となる。よって、本発明においては、各添加元素の総含有量の下限を6.5%とすることにより晶出物や析出物を必要量生成させて実用に適う耐焼付性と常温における合金強度を得ることができ、さらには高温域における合金強度向上が期待でき、一方、上限を8.0%とすることにより晶出物や析出物が過剰生成しないようにして合金の脆化を防止することができる。
次いで、上述したFeやNiおよびCuやMg以外の添加元素について説明する。
Ti:0.05〜0.20%
本発明においては、Ti含有量を0.05〜0.20%とする。Tiを含有することにより、Alマトリックスが生成される過程でTiAl等の結晶核が結晶粒界に晶出し、これによりAlマトリックスの結晶粒の成長が抑制されてAlマトリックスの結晶粒を微細化することができ、合金強度の更なる向上が期待できる。例えばコンプレッサ羽根車をダイカスト形成する場合、急冷凝固によって薄肉である羽根部の凝固組織は微細化され、羽根部に比べて鋳造容量の大きいハブ部の凝固速度が極端に遅くなって凝固組織が粗大化されることが予測される。よって、適量のTiを添加して鋳造容量の大きいハブ部における結晶粒の粗大化を防止することにより、鋳造コンプレッサ羽根車の強度を向上させることができる。なお、従来のA354では、Ti含有量は0.20%以下とされ、必ずしも含有しなくともよいとされる元素である。しかしながら、本発明においては、Tiを0.05%以上含有することにより結晶粒の微細化効果を確実に得ることができ、これにより例えば上述した羽根車のハブ部に十分な強度を持たせることができる。一方、Tiを0.20%以下の含有に抑制することにより、結晶粒の微細化に寄与しない余剰のTiが他元素とTiAlなどの金属間化合物をAlマトリックスの結晶粒界に過剰に晶出することを抑制して合金の脆化を防止することができる。
Si:1.0%以下
Siは合金製造過程において不可避的に混入しやすい元素である。そして、Siは、Mgと結び付いてMgSiを生成したり、共晶Siを生成したりする元素であり、これらの生成物を過多に生成してしまうと合金の伸びが劣化することがある。また、Siは、Mgに対して優先的に結合するためSiが過多であるとAlマトリックス内に固溶するMg量が減少し、これにより合金強度を低下させることがある。一方、少量のSiを添加すると、Mgと結び付いて生成されたMgSiが溶体化処理によってAlマトリックス内へ固溶し、次いで時効処理によって粒界に均一かつ微細に析出するため、固溶強化や析出強化による合金強度向上が期待できる。また、Siの添加は、例えばコンプレッサ羽根車をダイカスト形成する場合に薄肉の羽根部に対する湯流れ性向上が期待できる。よって、本発明においては、Siを含有しなくてもよいが、合金の強度や伸びを阻害しないように1.0%以下とする。
本発明のアルミニウムダイカスト合金においては、Fe、Ni、Cu、Mgは積極的に添加することで上述した有効な作用効果を発揮するための重要な元素であり、Tiは少量添加することで結晶粒を微細化して強化するための重要な元素である。また、前記Siは、Mg含有量を考慮して添加することで上述した作用効果が期待できる元素である。
また、本発明においては、Feには及ばないものの耐焼付性を改善する作用効果が知られているMnを、Fe含有量を考慮した上で少量添加してもよい。具体的には、FeおよびMnの総含有量(言い換えればFe+Mn)が2.6%以下を満たす範囲内においてMnを0.6%以下含有することができる。但し、FeおよびMnの総含有量が2.6%を超えると合金が脆化して合金強度を損ねてしまうことがある。また、Fe含有量を抑えてMnを0.6%を超えて含有しても実用的な耐焼付性を得ることは期待できない。
また、本発明においては、Ti含有量を考慮してBを添加することでTiの結晶粒微細化の作用効果を促進させることもでき、原料としてTiBを使用することで原料として純Tiを使用するよりも合金の材料コスト面で格段に有利となる。
本発明のアルミニウムダイカスト合金においては、上述した各元素Fe、Ni、Cu、Mg、Ti、Si、および、MnやB以外の残部は、マトリックスとなるAlと、不可避的不純物であるといってよい。例えば、Zn、Pb、Sn、Cr、C、N、Oといった元素は、製造過程において合金に混入する可能性のある不可避的不純物といってよい。
本発明のアルミニウムダイカスト合金は、上述した通り、質量%でCu+Mg+Ni+Fe:6.5〜8.0%を満足するように、Cu:2.5〜3.5%、Mg:0.5〜2.0%、Ni:0.5〜2.0%、Fe:2.0〜2.5%、さらにTi:0.05〜0.20%、Si:1.0%以下を含む、残部がAlおよび不可避的不純物でなる合金組成とすることが重要である。この合金組成を有することにより、金型に対する耐焼付性を最大限に高めるために2.0〜2.5%含有させたFeと他元素とが好適にバランスされた合金とすることができる。そして、各元素を最適化した本発明の合金は、合金の結晶自体や結晶粒界が好適なバランスで形成された鋳造組織形態を有するダイカスト用途に好適なアルミニウムダイカスト合金となる。
また、本発明においては、上述した合金組成によってダイカスト形成されたままの状態よりもさらに優れた機械特性を得るために、HIP処理(熱間静水圧加圧処理)や、溶体化処理および時効処理(T6処理:JIS−H0001)を施すことができ、これにより常温において優れた合金強度を有し、さらには150℃、180℃、200℃といった高温域においても優れた合金強度が期待できるアルミニウムダイカスト合金を得ることができる。
よって、本発明のアルミニウムダイカスト合金は、従来合金A354と同様に実用に適う常温での合金強度を有し、実用的な耐焼付性を有するダイカスト用途に好適なものとなり、さらには含有するNiやFeの作用効果によって150〜200℃といった高温域においても合金強度向上が期待できるダイカスト用途に好適な合金となる。
上述したHIP処理は、ダイカスト形成したままの状態において鋳造時の内部欠陥が存在する場合、この欠陥を押し潰して微小化することができ、上述の溶体化処理および時効処理を施す前に施すことが望ましい。HIP条件は、高温環境下で軟化させて塑性変形させる処理であることから、合金を溶融させない程度の高温が望ましく480〜550℃が好適である。また、圧力もできる限り高圧力が望ましく90MPa以上が好適である。そして、前記温度および前記圧力により1〜5時間で保持することが好適である。これにより、鋳造時の内部欠陥の微小化が期待できる。なお、HIP処理は、溶体化処理の処理条件と同等であることから、コストや生産性を考慮すれば、溶体化処理と同時に実施することが望まれる。しかしながら、HIP処理は、装置上の制約によって水冷等による急冷が難しく、HIP処理によって一旦Alマトリックス内に固溶した金属間化合物が徐冷されて析出してしまうため、溶体化処理と同等の効果を得ることは難しい。
また、上述した溶体化処理は、前記各種金属間化合物をAlマトリックス内へ固溶させるために実施するものであり、対象となる合金組成に好適な処理条件を選定することができる。例えば、保持する温度や時間の条件を、温度480〜550℃、時間:6〜16hの範囲で幾つか変えて仮に溶体化処理を施し、各々の引張強さや伸びなどの機械特性を測定し、処理条件として好適な温度と時間を決定することができる。また、鋳造コンプレッサ羽根車などの用途に好適となる強度を確保するためには、次工程で施す時効処理による伸びの低下分を勘案し、処理条件を選定することが望ましい。
また、上述した時効処理は、先に選定した処理条件で溶体化処理を施した後に、前記各種の金属間化合物を析出させて、所望する0.2%耐力、伸び、引張強さなどの機械特性を確保するために実施する。時効処理条件は、対象となる合金組成に好適な処理条件を選定すればよく、例えば、保持する温度や時間の条件を、温度150〜200℃、時間:3〜16hの範囲で幾つか変えて仮に時効処理を施し、各々の引張強さや伸びなどの機械特性を測定し、処理条件として好適な温度と時間を決定することができる。また、鋳造コンプレッサ羽根車などの用途に好適となる強度や伸びが得られる処理条件を選定することができる。
次に、本発明の鋳造コンプレッサ羽根車について説明する。
本発明の鋳造コンプレッサ羽根車は、上述の本発明のアルミニウムダイカスト合金を用いてダイカスト形成することにより得られるものであり、ハブ軸部と、該ハブ軸部から半径方向に延在するとともにハブ面とディスク面を有するハブディスク部と、前記ハブ面に配設された複数の羽根部とを有してなる羽根車形状を有している。また、複数の羽根部は、長羽根と短羽根とが交互に配列されたものであってもよい。
本発明の鋳造コンプレッサ羽根車の一例を、図1(a)および図1(b)に模式的に示す。鋳造コンプレッサ羽根車1(以下、羽根車1という)は、ハブ軸部2と、該ハブ軸部2から半径方向に延在するとともにハブ面4とディスク面5を有するハブディスク部3、前記ハブ面4に配設された複数の羽根部とを含む羽根車形状を有している。また、この羽根車1の羽根部は、長羽根6と短羽根となるスプリッタ羽根7とが交互に配列され、各々が複雑な空力学的曲面形状のブレード面を表裏に有している。
また、本発明の鋳造コンプレッサ羽根車は、上述の本発明のアルミニウムダイカスト合金と同じ化学成分を有することから、本発明のアルミニウムダイカスト合金と同等の機械特性を有することが期待できる。これとともに、ダイカスト形成によって得た鋳造コンプレッサ羽根車であることから、微細で緻密な鋳造組織が形成されており、従来合金A354などのAl−Si−Cu−Mg系合金を用いてプラスターモールド法によって得る鋳造コンプレッサ羽根車よりも、高強度を有する鋳造コンプレッサ羽根車となっていることが期待できる。
本発明の鋳造コンプレッサ羽根車を製造する方法としては、例えば以下のような手段を採用できる。
まず、ダイカスト成形装置により、上述の本発明のアルミニウムダイカスト合金からなる溶湯を用いてダイカスト形成することにより、コンプレッサ羽根車の形状を有する成形体を得る。次いで、得られた成形体に対して好適な条件で溶体化処理および時効処理を施す。具体的には、例えば、温度:480〜550℃、時間:6〜16hで溶体化処理した後に、温度:150〜200℃、時間:3〜16hで時効処理を施すことが好適である。また、必要に応じてバリ取りや研磨等の後処理を施すといった手段である。また、ダイカスト形成後の成形体に対し、HIP処理を施してもよい。
また、前記成形体のダイカスト形成においては、溶湯の射出温度、射出圧力、射出速度、および溶湯を射出後の冷却パターン等のダイカスト条件は、コンプレッサ羽根車の形状や、溶湯やダイカスト成形装置等により適宜選択することができる。
また、溶体化処理は、Alマトリックス内への金属間化合物の固溶量の確保や、固溶において金属間化合物を均一に分布させることを考慮し、より望ましくは、温度:530〜550℃、時間:8〜12hで処理する。また、時効処理は、金属間化合物の析出量の確保や、析出において金属間化合物を均一に分布させることを考慮し、より望ましくは、温度:170〜190℃、時間:6〜10hで処理する。
また、本発明の鋳造コンプレッサ羽根車は、ダイカスト形成用の金型から離型可能な程度のアンダーカットを羽根部に有していてもよい。この場合、以下のような手段を採用すればよい。例えば、ダイカスト形成する羽根車形状を有する成形体の羽根部の形状を型開き可能な形状とし、ダイカスト形成後、例えば切削、押圧、曲げなどの機械加工を施すことにより、得られた成形体の羽根部を最終形状とするといった手段である。また例えば、鋳造コンプレッサ羽根車の隣接する各羽根間の空間形状を有するスライド金型を中心軸に向かって複数対向させ、これによって形成された空間に溶湯を射出充填して羽根車形状を有する成形体を形成後、スライド金型を回動させつつ中心軸の半径方向に移動させて型開きするといった手段である。
上述の本発明のアルミニウムダイカスト合金からなる溶湯は、以下のような手段によって製造することができる。まず所要の原料を溶解して金型等のインゴットケースに鋳造してインゴットを形成し、上述の各合金元素を規定量だけ含むアルミニウムダイカスト合金のマスター合金を得る。次いで、得られたマスター合金を溶解し、鋳造羽根車のダイカスト形成に用いるといった手段である。また、溶解にはガス式や電気式等の直接加熱炉や間接加熱炉、鋳造装置に設けられた溶解坩堝等を用いることができ、攪拌や脱ガス処理を施す等ことが望ましい。また、溶湯は大気中や不活性ガス雰囲気中で取り扱うことが望ましい。
(常温におけるアルミニウムダイカスト合金強度)
第一に、本発明のアルミニウムダイカスト合金のアルミニウム鋳造用合金としての適用可能性を確認するために、本発明のアルミニウムダイカスト合金が上述した従来合金A354と同等もしくはそれ以上の合金強度を有するものであるかを評価した。そしてまた、従来はFe含有量が多くなると、合金の脆化が促進されて合金強度が劣化するとされていたことについて、後述するように溶体化および時効の各処理条件を同一としたときの合金の伸びを調べて評価した。
具体的は、表1に示す各化学成分を有する合金を用いて試験片No.1〜6を作製し、得られた各試験片を用いて常温(25℃)における機械特性、具体的には0.2%耐力(JIS−Z2241)、引張強さ(JIS−Z2241)、伸び(JIS−Z2241:破断伸び)を測定して評価した。その結果を表1に併記して示す。但し、表1に示す試験片No.5、6については0.2%耐力のみを評価し、No.7については特許文献1が開示する0.2%耐力をそのまま記載している。
以下、各元素の含有量はすべて質量%で記載する。なお、各試験片No.1〜6には、当然のことながら不可避的不純物が含まれているが、表1においては不可避的不純物の記載を省略している。
前記試験片No.1〜6は、具体的には以下の手段により作製した。
まず、大気雰囲気の電気溶解炉を用いて各々の溶湯を個別に製造し、温度720℃の試料となる溶湯をスプーンにより採取し、型温100℃のJIS4号舟形金型(高さ40mm、長さ180mm下部幅20mm、上部幅30mm)に大気中で鋳造形成することにより、各々複数の試供体を製作した。得られた各試供体に対して、温度525℃、加圧力103MPaで2時間保持する条件でHIP処理を施し、次いで、温度540℃で12時間保持した後に湯冷する溶体化処理を施し、さらに温度180℃で8時間保持した後に空冷する時効処理を施した。なお、溶体化および時効の各処理条件は、各試験片の諸特性を単純に比較するために各試験片の化学成分に拠らず全て同一の処理条件とし、一般に従来合金A354に適用される処理条件を選定した。
次に、機械加工によって、得られた各試供体から全長95mm、外径12.7mm、平行部長さ18.5mmで直径6.4mmの試験片を切り出した。これにより、表1における試験片No.1〜6を得た。そして、上述した手段によって製作した試験片No.1〜6を用い、常温(25℃)における0.2%耐力、伸び、引張強さを測定した。その結果を前記表1に併記して示す。
なお、表1において、本発明のアルミニウムダイカスト合金の実施例となるものは試験片No.1〜4(以下、本発明合金ともいう)、また、比較例となるものは、従来合金A354成分に相当する試験片No.5と従来合金A355成分に相当する試験片No.6、および、特許文献1の実施例に開示されている合金成分(以下、文献開示合金という)No.7である。
上述のJIS4号舟形金型を用いて得た各々の試験片は、ダイカスト形成によって得た試験片よりも凝固組織が粗く形成される。このため、0.2%耐力、引張強さ、伸びなどの機械特性は、ダイカスト形成によって得た試験片よりも低下してしまう。しかしながら、それぞれの合金組成に係る機械特性を相対評価することは可能であり、このようなJIS4号舟型金型を用いる合金の特性評価手段は従来よく用いられている。なお、前記文献開示合金No.7は、特許文献1が記載するようにプラスターモールド鋳造法によって形成した試験片を用いた評価結果と思われる。
0.2%耐力
常温における0.2%耐力は、本発明合金(No.1〜4)は297〜311MPaに達し、従来合金A354(No.5)は326MPa、従来合金A355(No.6)は296MPaであった。この結果より、従来合金であるA354およびA355の0.2%耐力を斟酌し、300MPa前後の耐力を有するアルミニウム合金であれば例えば鋳造コンプレッサ羽根車に適用可能であると判断できる。よって、本発明合金は、比較した従来合金と同等の300MPa程度の0.2%耐力を有することが確認できたので、常温における0.2%耐力の点では、アルミニウム鋳造用合金として実用に適うものであることが判った。
また、文献開示合金は、合金の耐熱性向上効果を有すると知られているFeを1.80%、Niを0.89%含有し、常温における0.2%耐力が421MPaに達し、これは比較した従来合金の約1.4倍にもなる。この事実から推測すると、文献開示合金における0.2%耐力の向上は多量のSiに置換してFeやNiを含有した作用効果によるといえる。このような文献開示合金は、含有するFeやNiによってもたらされる作用効果により、従来合金に比べ、常温のみならず高温域においても合金強度に優れた合金であると推測することは容易である。よって、本発明合金は、文献開示合金と同等以上にFeやNiを含有する合金組成を有するので、文献開示合金と同様な作用効果を有するといってよく、従来合金に比べ、合金の0.2%耐力は常温では同等であっても高温域においては上回る可能性を有することが判った。
引張強さ
本発明合金の常温における引張強さは、FeとNiの総含有量が最も少ないNo.4で370MPaであり、FeとNiの総含有量が増えるほどに引張強さが向上してNo.1では408MPaに達した。よって、例えば本発明合金でなる鋳物部材は、常温において370MPa程度の引張強さを有することができ、さらには製造条件等をより好適に選定することによって400MPaを超える引張強さを有することができ、実用に際し、該鋳物部材が容易に損壊したり亀裂を生じたりしない強度を有するものとなることが判った。
伸び(破断伸び)
前記表1に示すように、溶体化処理および時効処理をすべて同じ処理条件として実施したところ、FeとNiの総含有量が最も多いために脆化しやすく伸びが低下するであろうと予測していた本発明合金No.1の常温における伸びは5.5%に達した。一方、FeとNiの総含有量がNo.1よりも少量である本発明合金No.2〜4の常温における伸びは1.8〜2.5%と低かった。しかしながら、本発明合金No.2〜4の伸びが低くなった原因が、実質的に合金強度を決することとなる溶体化処理および時効処理の各処理条件を上述したように各試験片の化学成分に拠らず全て同一の処理条件としたためであることは容易に推測でき、このことは同じ処理条件で溶体化処理および時効処理を施したFe含有量が最も多く伸びが低下しやすい本発明合金No.1が5%を超える伸びを有することができたことからも容易に推測できた。
よって、本発明合金No.2〜4において、個々の化学成分に応じて適正な処理条件を選定して溶体化処理および時効処理を施すことにより、伸びの向上が可能であることが推測できた。もっとも、上述した非特許文献1に記載されるようにFe含有量が合金の伸びに及ぼす影響は大きく、Fe含有量が2.5%を超えるほどになれば、たとえ化学成分に応じた処理条件を用いて溶体化処理および時効処理を施したとしても、例えば鋳造コンプレッサ羽根車に適用できる5%以上の伸びを有することが難しくなることが推測できた。
FeとNiの総含有量が、従来合金A354やA355、文献開示合金よりも多く、本発明合金の中でも最も多い本発明合金No.1であっても、脆化せずに常温において5%を超える伸びを有することができた。よって、上述したように従来合金A354と同等の0.2%耐力を有して5%を超える伸びを有することのできる本発明合金No.1は、常温において5%を超える伸びが所望されている例えば鋳造コンプレッサ羽根車に適用可能であることが確認できた。
以上のことから、本発明のアルミニウムダイカスト合金は、常温(言い換えれば25℃)において上述した従来合金A354とほぼ同等の合金強度(0.2%耐力)を有しており、従来合金A354と同様に実用に適う合金であることが確認できた。さらには、従来合金A354は耐熱性向上効果を有すると知られているFeやNiを微量含有するにすぎないが、本発明合金はFeやNiを多く含有しているにもかかわらず脆化することがなかったので、従来合金A354よりも150℃や180℃さらには200℃といった高温域における合金強度の向上が期待できる。よって、本発明のアルミニウムダイカスト合金は、従来合金A354と同様に、例えば鋳造コンプレッサ羽根車に用いるアルミニウム鋳造用合金に適用可能な合金組成を有することが確認できた。さらには、本発明のアルミニウムダイカスト合金を用いることにより、180〜200℃といった高温域においても高強度を有する鋳造コンプレッサ羽根車の実用化が期待できることが判った。
(アルミニウムダイカスト合金の耐焼付性)
第二に、本発明のアルミニウムダイカスト合金のFe基材でなる金型に対する耐焼付性に係る作用効果について評価した。具体的には、前記表1においてNo.1〜7で示す各化学成分を有する溶湯を個別に準備し、該溶湯内にFe基材でなる丸棒形状のTPを一定時間繰り返し浸漬する浸漬試験を実施し、該TPに対する溶湯の固着の程度および該TPの溶損の程度を目視で確認した。なお、前記TPは、日立金属株式会社製ダイカスト金型用鋼DAC(日立金属登録商標)(JIS−SKD61相当材)を用い、機械加工によって丸棒形状としたものである。
上述の浸漬試験は、溶湯温度を700℃で保持するように温度制御した個別の溶湯内に、前記TPを浸漬したり引き上げたりを毎分90回の速度で60分間繰り返し行う手段によった。そして、前記浸漬試験後、TPに対する溶湯の固着状態を観察した後に該TPをNaOH(10質量%)溶液に浸漬して固着物を除去し、この後に固着物を除去して清浄化したTP表面の溶損状態を観察した。その結果を前記表1に併記して示す。なお、TPに対する溶湯の固着状態は、その外観を定性的に判断し、なし(固着なし)、そして固着状態が軽微な順に、微(数箇所に点在する固着あり)、少(膜状に広がる固着あり)、多(表面を覆い隠す程の固着あり)とし、各々に該当する評価を示した。また、TPの溶損状態は、その外観により、なし(滑らかな表面を有している状態)、もしくは、あり(表面に荒れなどが認められる状態)とし、各々に該当する評価を示した。
Feを0.10%程度含有し、Mnを0.01%含有する従来合金A354や従来合金A355でなる溶湯にTPを浸漬した場合、いずれのTPに対しても溶湯がTPの浸漬個所全面に付着して凝固しており、指先で引っ掻いても剥離できなかったため、その評価を「多」とした。また、TPから凝固物を除去した後のTP表面は、いずれのTPにおいても溶損を受けており、筋模様のように見える幾つかの凹みがが確認された。よって、従来合金A354やA355は、金型に対する耐焼付性に劣る合金組成を有していることが判った。これは、事前に予測していた通り、耐焼付性の作用効果が期待できるFeさらにはMnの含有がほとんどないことに起因するものと推測できた。
Feを1.80%含有し、Mnを含有しない文献開示合金でなる溶湯にTPを浸漬した場合、TPに対して溶湯がTPの浸漬個所全面に付着して凝固していたが、指先で引っ掻くと凝固物の一部が剥離し、剥離しなかった個所は凝固物が膜状に広がって付着していたため、その評価を「少」とした。また、TPから凝固物を除去した後のTP表面は、従来合金よりも軽微ではあるが溶損を受けており、筋模様のように見える幾つかの凹みが確認された。よって、文献開示合金は、耐焼付性の作用効果が期待できるFeを比較的に多く含有するので、従来合金に比べると金型に対する耐焼付性は改善されているといえるものの、実用的な耐焼付性を有するまでの合金組成ではないことが判った。
Feを2.06〜2.22%含有し、Mnを0.07〜0.46%含有する本発明合金No.1〜4でなる溶湯にTPを浸漬した場合、いずれのTPに対しても溶湯がTPの浸漬個所全面に付着して凝固していたが、指先で引っ掻くと凝固物のほとんどが剥離し、剥離しなかった個所は凝固物が数箇所に点在する程度であったため、その評価を「微」とした。また、TPから凝固物を除去した後のTP表面は、いずれのTPにおいてもその表面は滑らかであることが確認され、溶損を受けていなかった。よって、いずれの本発明合金No.1〜4においても、上述した従来合金や文献開示合金に比べ、金型に対する耐焼付性が大幅に改善されており、それ故に、実用的な耐焼付性が期待できる合金組成であることが判った。
(鋳造コンプレッサ羽根車)
次に、本発明のアルミニウムダイカスト合金を用いて、図1に示す鋳造コンプレッサ羽根車1(羽根車1)を製作した。
具体的には、まず、ハブ軸部2と、該ハブ軸部2から半径方向に延在するとともにハブ面4とディスク面5を有するハブディスク部3、前記ハブ面4に配設された複数の羽根部とを含む羽根車形状体である羽根車1と、実質的に同形状の空間からなるキャビティを6台のスライド金型を用いて画成したダイカスト形成用金型を準備した。次に、前記ダイカスト形成用金型を組み込んだダイカスト成形機に対して、前記表1に示すFe含有量2.22%のNo.1相当の化学成分を有する溶湯を供給し、ダイカスト形成用金型のキャビティ内に溶湯を射出して充填した。そして、充填した溶湯が十分に凝固するまで放冷した。放冷後、ダイカスト形成用金型のキャビティを画成していたスライド金型を、ハブ軸部2の軸心から半径方向に移動しながら回転させて離型し、羽根車1と実質的に同形状にダイカスト形成された成形体を得た。離型の際、前記成形体は金型から滑らかに離型できた。また、前記成形体には、外観上、金型との焼付現象と考えられる疵等は認められず、溶湯の不廻り、ヒケ、ピンホールといった鋳造欠陥も認められなかった。
この後に、得られた成形体に対し、525℃、103MPaで2時間保持するHIP処理を施した。これにより、前記成形体において生じたミクロシュリンケージ等の鋳造欠陥を鋳造コンプレッサ羽根車として所望される機械特性を損ねない程度に微小化することができた。さらに、HIP処理した前記成形体に対し、540℃で12時間保持する溶体化処理を施した後に180℃で8時間保持する時効処理を施し、仕上げとして清浄化処理を行って、図1に示す形状のダイカスト形成された本発明の鋳造コンプレッサ羽根車1を得ることができた。
1.鋳造コンプレッサ羽根車、2.ハブ軸部、3.ハブディスク部、4.ハブ面、5.ディスク面、6.長羽根、7.スプリッタ羽根

Claims (5)

  1. 質量%でCu+Mg+Ni+Fe:6.5〜8.0%を満足するように、Cu:2.5〜3.5%、Mg:0.5〜2.0%、Ni:0.5〜2.0%、Fe:2.0〜2.5%、さらにTi:0.05〜0.20%、Si:1.0%以下、Fe+Mn:2.6%以下を満足するようにMn:0.6%以下を含む、残部がAlおよび不可避的不純物でなることを特徴とするアルミニウムダイカスト合金。
  2. 請求項に記載のアルミニウムダイカスト合金で形成された鋳造コンプレッサ羽根車であって、ハブ軸部と、該ハブ軸部から半径方向に延在するとともにハブ面とディスク面を有するハブディスク部と、前記ハブ面に配設された複数の羽根部とを含むことを特徴とする鋳造コンプレッサ羽根車。
  3. 複数の羽根部が、交互に配列された長羽根と短羽根からなることを特徴とする請求項に記載の鋳造コンプレッサ羽根車。
  4. 請求項に記載のアルミニウムダイカスト合金を用いて、ハブ軸部と、該ハブ軸部から半径方向に延在するとともにハブ面とディスク面を有するハブディスク部と、前記ハブ面に配設された複数の羽根部とを含む、羽根車形状にダイカスト形成した成形体を用意する段階と、該成形体に対して溶体化処理を施す段階と、前記溶体化処理された前記成形体に対して時効処理を施す段階とを含む、ことを特徴とする鋳造コンプレッサ羽根車の製造方法。
  5. 前記成形体に対してHIP処理を施す段階を含むことを特徴とする請求項に記載の鋳造コンプレッサ羽根車の製造方法。
JP2009005657A 2009-01-14 2009-01-14 アルミニウムダイカスト合金、この合金からなる鋳造コンプレッサ羽根車およびその製造方法 Expired - Fee Related JP5598895B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009005657A JP5598895B2 (ja) 2009-01-14 2009-01-14 アルミニウムダイカスト合金、この合金からなる鋳造コンプレッサ羽根車およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009005657A JP5598895B2 (ja) 2009-01-14 2009-01-14 アルミニウムダイカスト合金、この合金からなる鋳造コンプレッサ羽根車およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010163644A JP2010163644A (ja) 2010-07-29
JP5598895B2 true JP5598895B2 (ja) 2014-10-01

Family

ID=42580036

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009005657A Expired - Fee Related JP5598895B2 (ja) 2009-01-14 2009-01-14 アルミニウムダイカスト合金、この合金からなる鋳造コンプレッサ羽根車およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5598895B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5695867B2 (ja) * 2010-09-13 2015-04-08 株式会社東芝 タービン発電機冷却用ファンおよびその製造方法
US10018203B2 (en) 2012-10-26 2018-07-10 Uacj Corporation Al alloy cast impeller for compressor and process for producing same
JP2017503086A (ja) * 2013-12-13 2017-01-26 リオ ティント アルカン インターナショナル リミテッドRio Tinto Alcan International Limited 改善された高温性能を有するアルミニウム鋳造合金
WO2015141191A1 (ja) * 2014-03-15 2015-09-24 株式会社Uacj Al合金鋳物製コンプレッサーインペラー及びその製造方法
JP5863937B1 (ja) * 2014-12-12 2016-02-17 三菱重工業株式会社 マグネシウム鋳物のhip処理方法、hip処理方法を用いて形成されたヘリコプターのギアボックス
CN107419139A (zh) * 2017-06-27 2017-12-01 南京律智诚专利技术开发有限公司 一种用于航空器压气机叶轮的合金
CN108749500A (zh) * 2018-06-14 2018-11-06 安庆市汇通汽车部件有限公司 一种v型推力杆及其制造方法
CN110257652A (zh) * 2019-06-27 2019-09-20 北京京翰林模具制造有限公司 一种铝合金铸造汽车车轮、设计方法及制造方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5853702B2 (ja) * 1980-05-26 1983-11-30 株式会社 日本軽金属総合研究所 強靭性ダイカスト用アルミニウム合金
BRPI0519400A2 (pt) * 2004-12-23 2009-01-20 Commw Scient Ind Res Org tratamento tÉrmico de fundiÇÕes sob pressço em alta pressço de liga de alumÍnio
EP2036993A4 (en) * 2006-06-29 2011-01-26 Hitachi Metals Ltd ALLOY ALLOY FOR CASTING, MOLDED COMPRESSOR ROTOR COMPRISING ALLOY AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
JP2008088460A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Hitachi Metal Precision:Kk 高強度アルミニウム鋳造合金およびこれを用いたコンプレッサ羽根車
JP4845201B2 (ja) * 2006-10-30 2011-12-28 日立金属株式会社 アルミニウムダイカスト合金およびこれを用いたコンプレッサ羽根車
JP4958292B2 (ja) * 2007-07-19 2012-06-20 日立金属株式会社 アルミニウムダイカスト合金、この合金からなる鋳造コンプレッサ羽根車およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010163644A (ja) 2010-07-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5598895B2 (ja) アルミニウムダイカスト合金、この合金からなる鋳造コンプレッサ羽根車およびその製造方法
US8292589B2 (en) Casting aluminum alloy, cast compressor impeller comprising the alloy, and process for producing the same
US7584778B2 (en) Method of producing a castable high temperature aluminum alloy by controlled solidification
KR100829880B1 (ko) 컴프레서 임펠러 및 그 제조 방법
EP1561831A2 (en) Castable high temperature aluminium alloy
JP4290024B2 (ja) 耐熱強度に優れたターボチャージャー用アルミニウム合金鋳物製コンプレッサーインペラー
CN109868393B (zh) 用于气缸盖的高温铸造铝合金
JP4845201B2 (ja) アルミニウムダイカスト合金およびこれを用いたコンプレッサ羽根車
JP5758402B2 (ja) 機械的強度が高く、耐熱クリープ性も高い、銅アルミニウム合金製の鋳造部品
RU2018137848A (ru) Алюминиевые сплавы с содержанием железа, кремния, ванадия и меди и с большим объемом керамической фазы
JP4958292B2 (ja) アルミニウムダイカスト合金、この合金からなる鋳造コンプレッサ羽根車およびその製造方法
EP2913122B1 (en) Al alloy cast impeller for compressor and process for producing same
FR2818288A1 (fr) PROCEDE DE FABRICATION D'UNE PIECE DE SECURITE EN ALLIAGE Al-Si
JP2010053743A (ja) ダイカスト製コンプレッサ羽根車
JPH1112674A (ja) 内燃機関ピストン用アルミニウム合金およびアルミニウム合金製ピストン
JP4905680B2 (ja) マグネシウム鋳造合金およびこれを用いたコンプレッサ羽根車
JP4526768B2 (ja) マグネシウム合金
JP2007169731A (ja) アルミニウム鋳造合金およびこれを用いたコンプレッサ羽根車
JP2009041066A (ja) 耐熱性に優れたマグネシウムダイカスト部品、鋳造コンプレッサ羽根車およびその製造方法
JPH11246925A (ja) 高靱性アルミニウム合金鋳物およびその製造方法
JP5083965B2 (ja) 鋳造コンプレッサ羽根車
JP2008196367A (ja) コンプレッサ用鋳造羽根車およびその製造方法
JP2008088460A (ja) 高強度アルミニウム鋳造合金およびこれを用いたコンプレッサ羽根車
JP2006161103A (ja) アルミニウム合金部材およびその製造方法
JP5415655B1 (ja) Al合金鋳物製コンプレッサーインペラー及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111212

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130814

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140530

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140711

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140806

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140806

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5598895

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees