JP5598202B2 - 光学シートの製造方法 - Google Patents
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Description
この光学シートは透明なプラスチックシートの片面、もしくは両面に微細なプリズムやレンズの光学形状を設けて構成されるのが一般的である。
これら光学シートの表面は微細な凹凸となるが、微細な凹凸と擦れ合う相手側の硬さによっては、その頂部がコスレなどにより破損し、スクラッチが生じてしまうことがある。
また、光学シートを製造する際には、薄物の場合には長尺のロール状に巻き取るのが一般的であり、その場合にはシート同士の接触を防ぐため、粘着性の保護フィルムを巻取り前に光学シートと貼合するなどの対策が必要である。
光学シートが厚く板状で巻取りができない場合には、板状のシートを積載する事となるが、保護フィルムの貼合、あるいはクッション性のある緩衝材を挟むなどの対策を単独もしくは併用して実施する必要がある。
また、マット形状を光学フィルムの裏面側に付与してスクラッチが生じない様にする方法もあるが、金型などによる転写工程が必要となるので、これもまた製造工程の増加となる。
なお、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂を用いた多層の積層体については、例えば下記の特許文献1〜3に開示がある。
光学シートを構成する材料の改質が工程上最も単純な解決法であるが、透明性と耐熱性を両立させる必要があり、それ以外の物理的特性については、元来の物性を生かさざるを得ない場合が多く、耐擦性の向上をシート素材の改質で実施するには、開発期間やコストなどの点で現実的ではない。
ハードコート層を設けることで表面硬度向上を図る方法は、材料と工程の増加を伴うため、望ましくない。
前記保護フィルムからなる第1層が、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂からなり、
前記光学形状を有するフィルムからなる第2層が、ポリカーボネイト樹脂からなり、かつ
前記第2層における光学形状が、前記保護フィルムからなる第1層と接しない面に形成されることを特徴とする光学シートの製造方法である。
請求項2に記載の発明は、前記保護フィルムからなる第1層と光学形状を有するフィルムからなる第2層との境界面が、マット面となっていることを特徴とする請求項1に記載の光学シートの製造方法である。
請求項3に記載の発明は、前記保護フィルムからなる第1層が、光吸収剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の光学シートの製造方法である。
本発明における光学シートは、ロール状に巻いた状態でのシート表裏での擦れ合いが、保護層のクッション性により、スクラッチとなりにくく、良好な表面状態を保つことができる。
すなわち、輸送時の密着性と組立て時の剥離性を兼ね備えた光学シートを保護層と一体化して製造することが可能である。
共押出法により得られる光学シートは、保護フィルムからなる第1層と光学形状を有するフィルムからなる第2層とが溶融した状態で積層され、両者が隙間無く密着するばかりでなく、接着剤や粘着材など保護層の接着に関する部材や、塗工等それに伴う加工が必要ない。
一つには、保護フィルムからなる第1層と光学形状を有するフィルムからなる第2層との境界面が、マット面となることである。これにより、光学形状が保護フィルムと接しない面に形成される光学シートの製造にも、本構成を適用する事が可能である。これは、樹脂の相溶性に起因して境界面がマット形状となることを利用したもので、金型等を用いることなくマット形状の付与を行うことができる。
もう一つは、保護フィルムに光吸収剤を混錬することでレーザーによる加工性の向上を図る事ができる。光学シートは断裁や外形加工を施した上で装置へ組み込まれるが、入り組んだ形状に切り落とすには、レーザー加工機が必要だが、その工程効率を向上させる事できる。
本発明において、保護フィルムからなる第1層は、易剥離性を持たせるため、結合力が少ない、すなわち極性の小さい樹脂が望ましい。一般的にはポリエチレン系樹脂もしくはポリプロピレン系樹脂を選定すれば良い。
また、光学形状を有するフィルムからなる第2層は、本発明の効果の点からポリカーボネイトが好ましい。以下、第1層としてポリエチレンまたはポリプロピレンを、第2層としてポリカーボネイトを使用した場合について説明するが、本発明は下記例に制限されない。
多層押出法は、例えばポリカーボネイトとポリエチレンあるいはポリプロピレンをそれぞれ溶融して吐出させる押出機を、フィードブロックに接続、フィードブロック内で合流多層化してTダイから多層樹脂膜として吐出させる方式である。
なお、以下の説明では、2種2層構成を例にとるが、光学形状を有するフィルムからなる第2層を多層構造として層数が増えても、保護フィルムからなる第1層を積層することにより、同様の効果を得る事ができる。
この銅メッキ上に、クロムメッキを施すことで、表面硬度の向上による銅層の保護を図ることが可能となる。
このほかにも金属やセラミックをシリンダー表面に溶射、研磨を施して耐久性の高いロールを使用したり、ニッケル表面に形状を刻んだロール等を用いても問題ない。
冷却ロールによって充分に冷やされた光学シートは、フィルム状であれば巻取り加工、板状であれば断裁加工により製品とすることができる。
もちろん、この組立工程以前においては、常に一体化した保護フィルムにより、光学シートをスクラッチから保護することができる。
本発明の光学シートは、光学形状(図1ではプリズム形状で示す)を有するフィルムからなる第2層(9)と、これと一体化して接合された易剥離性を有する保護フィルムからなる第1層(10)の2層から形成されている。
第2層(9)と第1層(10)の境界面は共押出時の溶融した樹脂が若干混ざり合った状態で固まっており、適度なマット面であり、空気層などを挟むことは無く完全に密着した状態となっている。
保護フィルムの樹脂に極性の低い樹脂を用いることで、分子の結合力を弱くする事ができるため、機械的な嵌合力や大気圧にて接合している面を剥離することは比較的容易である。また、ポリエチレンなど柔軟性に優れた樹脂を保護フィルムの材料に選定することで保護機能と密着性、剥離性を両立する事が可能となる。
光学形状を有するフィルムからなる第2層を構成する樹脂(6)と保護フィルムからなる第1層を構成する樹脂(7)は、それぞれ別の押出機(1)にて溶融され、Tダイ(2)へ供給される。Tダイ(2)の上流部分に設けられるフィードブロック(図示せず)などで合流、多層化を行っても良いし、Tダイ(2)内部で合流多層化させるなど、これまでに実用化されている一般の多層化技術を使用すればよい。
この際に、冷却ロールで挟み込む力をコントロールすることで、厚みの調整を行うこともあるが、この際には、樹脂が外力で変形可能な温度に保たれている事が必要である。
また、形状転写のために、表面に形状の施されたシートを挟みこんでも同様に第2層に形状の転写を施す事が可能である。
上記の例では、樹脂の冷却に3本ロール方式の引取り機を使用している。冷却ロール(4)を、光学形状を彫刻した金型とした。したがって、吐出位置は冷却ロール(3)側がポリエチレン樹脂、冷却ロール(4)側をポリカーボネイト樹脂としている。
相溶性を得るためには、冷却ロールの温度設定を、フィルム形成に影響の無い程度に高温に保ち、樹脂が流動性を維持する距離/時間を長く保つことが重要である。
また、溶融樹脂がロール接触面で冷却されると、樹脂中にアトランダムに発生する微小な核からコロニー状に領域が拡大してゆき、この様な溶融状態と非溶融状態がまだらに配置された状態を経て、全面が非溶融状態となる。
もちろん、機械的な押圧、形状転写などの方式に比べれば、弱いマットとしかならないが、製造プロセス中に、特別な部材、加工装置、あるいは製造工程を付け加えずに実現できるメリットがある。
その加工は、エンドミルなどで外形を切削加工したり、トムソン刃により一括打ち抜きを行ったりするのが一般的だが、出入りの多い複雑な形状への対応に限界があることから、高出力レーザーを用いて断裁を行う場合が多くなっている。レーザー加工機としては、例えば三菱電機社製、MELLASER ML2012LB-5036D(2KWクラス)などがあるが、高出力のレーザー加工機は大型かつ高価なためコスト的な問題が生じる。
一方で、有色の保護フィルムを用いて効率よくレーザー光の吸収を行い、そのエネルギーによって光学シートを加工する方式を用いれば、このような大出力のレーザー加工機は必要ないが、光学シートに保護フィルムを貼合する場合、微細な空隙層が光学フィルムの凹凸部分で残るため、レーザーのエネルギーが保護フィルムから光学シートに伝わらずに、空隙の部分が局所的に加工できない部分が散在する事となり、実質的には使用することができない。
具体的には加工速度やレーザーの出力から赤外線吸収剤の添加量を決定することができる。
(2)・・・ Tダイ
(3)・・・ 冷却ロール
(4)・・・ 冷却ロール
(5)・・・ 冷却ロール
(6)・・・ 光学形状を有するフィルムからなる第2層を構成する樹脂
(7)・・・ 保護フィルムからなる第1層を構成する樹脂
(8)・・・ 本発明の光学シート
(9)・・・ 光学形状を有するフィルムからなる第2層
(10)・・・ 易剥離性を有する保護フィルムからなる第1層
Claims (3)
- 易剥離性を有する保護フィルムからなる第1層と光学形状を有するフィルムからなる第2層とを共押出法により積層させる工程を有し、
前記保護フィルムからなる第1層が、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂からなり、
前記光学形状を有するフィルムからなる第2層が、ポリカーボネイト樹脂からなり、かつ
前記第2層における光学形状が、前記保護フィルムからなる第1層と接しない面に形成されることを特徴とする光学シートの製造方法。 - 前記保護フィルムからなる第1層と光学形状を有するフィルムからなる第2層との境界面が、マット面となっていることを特徴とする請求項1に記載の光学シートの製造方法。
- 前記保護フィルムからなる第1層が、光吸収剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の光学シートの製造方法。
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