JP2010048879A - 光学シート、それを備えた光学素子及び光学シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面保護用光学シートにおいて、残留位相差を低減させると共に、エンボス形状の面内ばらつきを小さくする。
【解決手段】光学シート1は、第1の熱可塑性樹脂層10と、1または複数の第2の熱可塑性樹脂層20とを備えている。第1の熱可塑性樹脂層10は、第1の主面10aと、第2の主面10bとを有する。第1の主面10aは、エンボス形状を有する。第2の主面10bは、第1の主面10aと対向している。1または複数の第2の熱可塑性樹脂層20は、第1の熱可塑性樹脂層10の第2の主面10b上に積層されている。第1の熱可塑性樹脂層10のMFRは、第2の熱可塑性樹脂層20のMFRよりも小さい。
【選択図】図2

Description

本発明は、光学シート、特には、溶融押出成形法により成形され、光拡散特性を有する表面保護用光学シート、それを備えた光学素子及び光学シートの製造方法に関する。
従来、バックライトを備えた液晶表示装置が知られている。バックライトを備えた液晶表示装置では、バックライトからの光の取り出し効率を高めるため、通常、バックライトと液晶表示セルとの間に種々の光学フィルムが配置される。バックライトからの光の取り出し効率を向上させる光学フィルムとしては、例えば特許文献1などに開示された増進型反射偏光素子が知られている。
特表平9−506984号公報
一般的に、反射偏光素子などの光学素子は、耐擦傷性が低い。このため、光学素子の表面の耐擦傷性を高める必要がある。また、液晶表示装置に使用される反射偏光素子などの光学素子に光拡散特性を付与したいという要望もある。例えば、光学素子の表面の耐擦傷性を高めると共に光学素子に光拡散特性を付与する方法としては、エンボス形状の表面を有する光学シートを光学素子本体に貼付する方法が挙げられる。
エンボス形状の表面を有する光学シートの好適な成形方法としては、溶融押出成形法が挙げられる。しかしながら、溶融押出成形法を用いてエンボス形状の表面を有する光学シートを作製する場合、残留位相差を小さくすると共に、エンボス形状の面内ばらつきを小さくすることが困難である。例えば、エンボス形状の面内ばらつきを小さくする観点からは、MFRの低い熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。しかしながら、MFRが低い熱可塑性樹脂を用いた場合、残留位相差が増大する傾向にある。一方、残留位相差を小さくする観点からは、MFRが高い熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。しかしながら、MFRが高い熱可塑性樹脂を用いた場合、エンボス形状の面内ばらつきが大きくなる傾向にある。
本発明の目的は、表面保護用光学シートにおいて、残留位相差を低減させると共に、エンボス形状の面内ばらつきを小さくすることにある。
本発明に係る光学シートは、第1の熱可塑性樹脂層と、1または複数の第2の熱可塑性樹脂層とを備えている。第1の熱可塑性樹脂層は、第1の主面と、第2の主面とを有する。第1の主面は、エンボス形状を有する。第2の主面は、第1の主面と対向している。1または複数の第2の熱可塑性樹脂層は、第1の熱可塑性樹脂層の第2の主面上に積層されている。第1の熱可塑性樹脂層のMFRは、第2の熱可塑性樹脂層のMFRよりも小さい。
なお、本明細書において、「エンボス形状」は、規則的または不規則的に設けられた複数の凹凸からなる形状をいう。「エンボス形状」は、例えば、不規則的に凹凸が形成された所謂粗さ形状であってもよい。また、「エンボス形状」は、横断面三角形状、横断面四辺形状、横断面略円形状または横断面楕円形状の複数の線条凸部が幅方向に配列されてなる形状であってもよい。「エンボス形状」は、多角柱状、円柱状、多角錐状、円錐状、切頭多角錐状、円錐台状、または一部が切欠かれた半球状もしくは楕球状の凸部がマトリクス状に配列されてなる形状であってもよい。さらに、「エンボス形状」は、相互に形状の異なる複数種類の凸部が形成されてなる形状であってもよい。
本発明に係る光学シートのある特定の局面において、第1の熱可塑性樹脂層と第2の熱可塑性樹脂層との少なくとも一方は、実質的にポリカーボネート樹脂からなる。
本発明に係る光学シートの別の特定の局面において、第1の熱可塑性樹脂層のMFRは、1または複数の第2の熱可塑性樹脂層のうちの最も小さいMFRを有する樹脂層のMFRの0.5倍以下である。
第1の熱可塑性樹脂層の層厚は、1または複数の第2の熱可塑性樹脂層の層厚の合計の0.05倍以上2倍以下であることが好ましい。
第1の熱可塑性樹脂層のMFRは、5以上30以下であることが好ましい。
第2の熱可塑性樹脂層のMFRは、50以上85以下であることが好ましい。
本発明に係る光学素子は、上記本発明に係る光学シートと、その光学シートが貼付された光学素子本体とを備えている。
なお、本発明において、「光学素子本体」は、光を透過させる部材であれば特に限定されない。
本発明に係る光学素子のある特定の局面において、光学素子本体は反射偏光素子である。また、光学素子本体は、例えば、プリズム、レンズ、反射板などであってもよい。
本発明に係る光学シートの製造方法は、第1の熱可塑性樹脂と、第1の熱可塑性樹脂よりも高いMFRを有する第2の熱可塑性樹脂とのそれぞれを溶融させると共に、溶融された第1の熱可塑性樹脂及び第2の熱可塑性樹脂を押し出すことによって、溶融された第1の熱可塑性樹脂からなる第1の溶融樹脂層と、溶融された第2の熱可塑性樹脂からなる第2の溶融樹脂層とが積層された溶融樹脂積層体を形成する工程と、溶融樹脂層積層体をプレスすることにより、第1の溶融樹脂層の表面にエンボス加工を施す工程とを備えている。
本発明では、エンボス形状を有する主面を有し、MFRが比較的低い第1の熱可塑性樹脂層と、MFRが比較的高い第2の熱可塑性樹脂層とが積層されている。このため、表面保護用光学シートにおいて、残留位相差を低減させると共に、エンボス形状の面内ばらつきを小さくすることができる。
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について、図1に示す光学シート1を例に挙げて説明する。
図1は、本実施形態に係る光学シート1の斜視図である。図2は、光学シート1の断面図である。
図1及び図2に示すように、光学シート1は、第1の熱可塑性樹脂層10と、第2の熱可塑性樹脂層20とを備えている。第1の熱可塑性樹脂層10は、互いに対向する第1の主面10aと第2の主面10bとを備えている。第1の主面10aは、エンボス形状を有する。第2の熱可塑性樹脂層20は、第1の熱可塑性樹脂層10の第2の主面10b上に積層されている。第2の熱可塑性樹脂層20は、第1の熱可塑性樹脂層10の第2の主面10b上に接着されている。
なお、本実施形態では、光学シート1がひとつの第2の熱可塑性樹脂層20のみを有する例について説明する。但し、本発明において、光学シートは、積層された複数の第2の熱可塑性樹脂層を有していてもよい。
第1及び第2の熱可塑性樹脂層10,20のそれぞれは、実質的に熱可塑性樹脂からなる。第1及び第2の熱可塑性樹脂層10,20を構成する熱可塑性樹脂の種類は特に限定されない。第1及び第2の熱可塑性樹脂層10,20を構成する熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
なお、第1の熱可塑性樹脂層10と第2の熱可塑性樹脂層20とは、同じ種類の熱可塑性樹脂により構成されていてもよいし、異なる種類の熱可塑性樹脂により構成されていてもよい。
本実施形態では、第1の熱可塑性樹脂層10のメルトマスフローレイト(MFR:Melt mass−Flow Rate)は、第2の熱可塑性樹脂層20のMFRよりも小さい。
なお、本明細書において、MFRは、JIS K7210のA法に準拠し、以下の測定条件で測定されたものである。
MFRの測定条件:
試験温度:280℃
公称荷重:2.16kg
図3に示すように、本実施形態の光学シート1は、光学素子本体30に貼付される。具体的には、光学シート1の第2の熱可塑性樹脂層20側の表面が光学素子本体30の表面に貼付される。光学シート1を光学素子本体30に貼付することにより、光学素子本体30の表面が擦傷することを効果的に抑制することができる。言い換えれば、耐擦傷性に優れた光学素子2を得ることができる。光学素子2の高い耐擦傷性を実現する観点から、光学シート1は、耐擦傷性に優れた樹脂により形成されていることが好ましい。耐擦傷性に優れた樹脂の具体例としては、例えば、上述したポリカーボネート樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
また、光学シート1の第1の主面10aはエンボス形状を有する。このため、光学シート1を光学素子本体30に貼付することにより、光学素子2に光拡散特性を付与することができる。
なお、本発明において、光学素子本体30の種類は、特に限定されない。光学素子本体30は、例えば、反射偏光素子や反射板、プリズム、レンズ等であってもよい。
光学シート1は、例えば、溶融押出成形法により成形される。溶融押出成形法の具体例としては、例えば、共押出法、タンデム押出法、押出ラミネート法等が挙げられる。それらの中でも、共押出法及びタンデム押出法が好ましい。共押出法及びタンデム押出法を用いることにより、生産性を向上すると共に、生産コストを低くすることができるからである。
以下、主として図4を参照しつつ、光学シート1の製造方法の一例について具体的に説明する。図4は、光学シート1の製造装置3の構成を表す模式図である。製造装置3は、T型ダイ40を備えている。T型ダイ40には、第1の熱可塑性樹脂層10の原料となる第1の熱可塑性樹脂と、第2の熱可塑性樹脂層20の原料となる第2の熱可塑性樹脂とが供給される。
供給された第1及び第2の熱可塑性樹脂のそれぞれは、T型ダイ40内において加熱され、溶融される。第1及び第2の熱可塑性樹脂の溶融温度は、第1及び第2の熱可塑性樹脂の種類によって適宜設定される。第1及び第2の熱可塑性樹脂の溶融温度は、例えば、250℃〜270℃程度に設定される。
溶融された第1及び第2の熱可塑性樹脂は、T型ダイ40から押し出される。これにより、溶融された第1の熱可塑性樹脂からなる第1の溶融樹脂層と、溶融された第2の熱可塑性樹脂からなる第2の溶融樹脂層とが積層された、溶融樹脂積層体41が形成される。
溶融樹脂積層体41は、ロール対47に供給される。ロール対47は、賦型ロール42とゴムロール43とを備えている。賦型ロール42の外周面には、エンボス形状が形成されている。ゴムロール43の外周面はマット加工されている。賦型ロール42とゴムロール43とは、互いの軸心が平行となると共に、賦型ロール42の外周面とゴムロール43の外周面とが近接するように配置されている。溶融樹脂積層体41は、これら賦型ロール42とゴムロール43との間に供給される。溶融樹脂積層体41は、賦型ロール42とゴムロール43との間を通過する際に、賦型ロール42とゴムロール43とによりプレスされる。これにより、溶融樹脂積層体41にエンボス加工が施され、表面にエンボス形状を有する光学シート1が形成される。
賦型ロール42とゴムロール43との間を通過した光学シート1は、外周面がセミマット加工された第1のアニールロール44と第2のアニールロール45とにより、残留歪みとカールとが低減される。その後、光学シート1は、巻取機46により巻き取られる。
以上説明したように、本実施形態では、MFRが比較的低い第1の熱可塑性樹脂層10と、MFRが比較的高い第2の熱可塑性樹脂層20とが積層されている。このため、後述する実施例においても実証されるように、溶融押出成形法により形成した場合に、光学シート1に残留する位相差を小さくすることができる。それと共に、光学シート1のエンボス形状の面内ばらつきを小さくすることができる。すなわち、残留位相差が小さく、かつエンボス形状の面内ばらつきが小さな光学シート1を実現することができる。
第1の熱可塑性樹脂層10のMFRの第2の熱可塑性樹脂層20のMFRに対する比は、0.5倍以下であることが好ましく、0.4倍以下であることがより好ましく、0.3倍以下であることがさらに好ましい。これによれば、光学シート1の残留位相差及びエンボス形状の面内ばらつきをさらに小さくすることができる。なお、第2の熱可塑性樹脂層20が複数設けられている場合は、複数の第2の熱可塑性樹脂層20のうちの最もMFRが小さい第2の熱可塑性樹脂層20のMFRに対する第1の熱可塑性樹脂層10のMFRの比が0.5倍以下であることが好ましく、0.4倍以下であることがより好ましく、0.3倍以下であることがさらに好ましい。
具体的には、光学シート1の残留位相差及びエンボス形状の面内ばらつきをさらに小さくする観点から、第1及び第2の熱可塑性樹脂層10,20の好ましいMFRの範囲は、それぞれ5以上30以下、50以上85以下であり、より好ましくは、10以上25以下、50以上80以下である。第1の熱可塑性樹脂層10のさらに好ましい範囲は、15以上22以下である。第1の熱可塑性樹脂層10のMFRが5未満である場合は、光学シート1の成形が困難となる傾向にある。第2の熱可塑性樹脂層20のMFRが85を超えると、押出安定性が低下し、得られる光学シート1の層厚のばらつきが大きくなる傾向にある。
第1の熱可塑性樹脂層10と第2の熱可塑性樹脂層20とのうちの少なくとも一方は、ポリカーボネート樹脂により形成されていることが好ましい。これにより、耐擦傷性の高い光学シート1を得ることができる。第1の熱可塑性樹脂層10と第2の熱可塑性樹脂層20との両方がポリカーボネート樹脂により形成されていることがより好ましい。
第1の熱可塑性樹脂層10の層厚の第2の熱可塑性樹脂層20の層厚に対する比は、0.05倍以上2倍以下であることが好ましい。これによれば、光学シート1の残留位相差及びエンボス形状の面内ばらつきをさらに小さくすることができる。なお、第2の熱可塑性樹脂層20が複数設けられている場合は、第1の熱可塑性樹脂層10の層厚は、複数の第2の熱可塑性樹脂層20の層厚の合計の0.05倍以上2倍以下であることが好ましい。
(実施例)
図4に示す製造装置3を用いて、図1及び図2に示す光学シート1を作製した。得られた光学シート1の厚さは130μmであった。得られた光学シート1の幅は、1200mmであった。第1の熱可塑性樹脂層10及び第2の熱可塑性樹脂層20の原料としては、ポリカーボネート樹脂を使用した。
成形の各条件は、
T型ダイ40の面長:1500mm、
熱可塑性樹脂の溶融温度:260℃、
T型ダイ40からの押出量:170kg/h、
賦型ロール42の直径:250mm、
ゴムロール43の直径:250mm、
第1及び第2のアニールロール45,46のそれぞれの直径:250mm、
第1のアニールロール44の温度:135℃、
第2のアニールロール45の温度:95℃、
とした。
得られた光学シート1の原反の幅方向12点×長さ方向4点の合計48点における複屈折位相差を測定した。複屈折位相差の測定には、東京電色社製TC−H3DPKを用いた。具体的には、透過軸が直交するように配置された2枚の偏光板の間に、光学シート1の長さ方向と偏光板の透過軸とのなす角の角度が45°となるように光学シート1を配置した。そして、第1の主面10a側から光を入射させ、全光線透過率Tt1を測定した。次に、透過軸が互いに平行となるように配置された2枚の偏光板のみの全光線透過率Tt2を測定した。測定された全光線透過率Tt1、Tt2を下記式(1)に当てはめることにより、複屈折位相差を算出した。
(複屈折位相差)=(590/π)×sin−1{(Tt1/Tt21/2} ・・・・・(1)
次に、得られた光学シートの原反の幅方向12点×長さ方向4点の合計48点におけるヘーズを測定した。ヘーズの測定には、東京電色社製TC−H3DPKを用い、光源をD65とした。
また、比較例として、第1の熱可塑性樹脂層10のみを有する光学シートを同様の手順で作製し、同様の手順で複屈折位相差及びヘーズを測定した。
下記表1に、各実施例及び比較例の条件及び測定結果を示す。また、図5〜図8に測定結果を示す。なお、表1の「MFR比」は、(第1の熱可塑性樹脂層10のMFR)/(第2の熱可塑性樹脂層20のMFR)を示す。表1の「厚さ比」は、(第1の熱可塑性樹脂層10の厚さ):(第2の熱可塑性樹脂層20の厚さ)を示す。図5の括弧内の左側の数値は位相差の平均値であり、右側の数値はヘーズの標準偏差である。図5及び図6は、第1の熱可塑性樹脂層10の厚さ:第2の熱可塑性樹脂層20の厚さが1:2であるデータのみをプロットしたものである。図7は、第1の熱可塑性樹脂層10のMFRが22であり、第2の熱可塑性樹脂層20のMFRが80であるデータのみをプロットしたものである。
Figure 2010048879
表1及び図5〜図7に示すように、第1の熱可塑性樹脂層10のMFRが第2の熱可塑性樹脂層20のMFRより小さい実施例1〜8に係る光学シートの残留位相差の平均値は、15.3以下と低かった。且つ、実施例1〜8に係る光学シートのヘーズの標準偏差も1.8以下と低かった。
それに対して、MFRが22である第1の熱可塑性樹脂層10のみを有する比較例1に係る光学シートのヘーズの標準偏差は1.3と低いものの、比較例1に係る光学シートの残留位相差の平均値は、18.2と高かった。MFRが80である第1の熱可塑性樹脂層10のみを有する比較例2に係る光学シートの残留位相差の平均値は、10.8と低いものの、比較例2に係る光学シートのヘーズの標準偏差は2.6と高かった。この結果から、第1の熱可塑性樹脂層10のみからなる場合は、残留位相差と、ヘーズの標準偏差、すなわち、エンボス形状の面内ばらつきとの両方を小さくすることは困難であることがわかる。
第1の熱可塑性樹脂層10のMFRが第2の熱可塑性樹脂層20のMFRよりも大きい比較例3,4に係る光学シートのヘーズの標準偏差は、1.8以下であったものの、比較例3,4に係る光学シートの残留位相差の平均値は、16.8以上と高かった。この結果から、第1の熱可塑性樹脂層10のMFRが第2の熱可塑性樹脂層20のMFRよりも大きい場合は、残留位相差を十分に低減することが困難であることがわかる。
以上の結果より、第1の熱可塑性樹脂層10のMFRを第2の熱可塑性樹脂層20のMFRよりも低く設定することにより、残留位相差と、ヘーズの標準偏差、すなわち、エンボス形状の面内ばらつきとの両方を小さくすることができることがわかる。
また、図6に示す結果からわかるように、第1の熱可塑性樹脂層10のMFRの第2の熱可塑性樹脂層20のMFRに対する比が小さくなるにつれて、残留位相差の平均値が小さくなることがわかる。このため、残留位相差を小さくする観点からは、第1の熱可塑性樹脂層10のMFRの第2の熱可塑性樹脂層20のMFRに対する比は小さい方が好ましいことがわかる。
また、図7に示す結果からわかるように、第1の熱可塑性樹脂層10の層厚の第2の熱可塑性樹脂層20の層厚に対する比が小さくなるにつれて、残留位相差の平均値が小さくなることがわかる。このため、残留位相差を小さくする観点からは、第1の熱可塑性樹脂層10の層厚の第2の熱可塑性樹脂層20の層厚に対する比は小さい方が好ましいことがわかる。
光学シートの斜視図である。 光学シートの断面図である。 光学素子の断面図である。 光学シートの製造装置の構成を表す模式図である。 実施例及び比較例に係る光学シートの残留位相差の平均値及び標準偏差の測定結果と、第1及び第2の熱可塑性樹脂層のMFRとの関係を表すグラフである。 実施例及び比較例に係る光学シートの残留位相差の平均値の測定結果と、第1の熱可塑性樹脂層のMFRの第2の熱可塑性樹脂層のMFRに対する比との関係を表すグラフである。 実施例及び比較例に係る光学シートの残留位相差の平均値の測定結果と、第1の熱可塑性樹脂層の層厚の第2の熱可塑性樹脂層の層厚に対する比との関係を表すグラフである。
符号の説明
1 …光学シート
2 …光学素子
3 …製造装置
10 …第1の熱可塑性樹脂層
10a…第1の主面
10b…第2の主面
20 …第2の熱可塑性樹脂層
30 …光学素子本体
40 …T型ダイ
41 …溶融樹脂積層体
42 …賦型ロール
43 …ゴムロール
44 …第1のアニールロール
45 …第2のアニールロール
46 …巻取機
47 …ロール対

Claims (9)

  1. エンボス形状を有する第1の主面と、前記第1の主面に対向する第2の主面とを有する第1の熱可塑性樹脂層と、
    前記第1の熱可塑性樹脂層の第2の主面上に積層された1または複数の第2の熱可塑性樹脂層と、
    を備え、
    前記第1の熱可塑性樹脂層のMFRは、前記第2の熱可塑性樹脂層のMFRよりも小さい光学シート。
  2. 前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層との少なくとも一方は、実質的にポリカーボネート樹脂からなる、請求項1に記載の光学シート。
  3. 前記第1の熱可塑性樹脂層のMFRは、前記1または複数の第2の熱可塑性樹脂層のうちの最も小さいMFRを有する樹脂層のMFRの0.5倍以下である、請求項1または2に記載の光学シート。
  4. 前記第1の熱可塑性樹脂層の層厚は、前記1または複数の第2の熱可塑性樹脂層の層厚の合計の0.05倍以上2倍以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学シート。
  5. 前記第1の熱可塑性樹脂層のMFRは、5以上30以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学シート。
  6. 前記第2の熱可塑性樹脂層のMFRは、50以上85以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学シート。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学シートと、
    前記光学シートが貼付された光学素子本体と、
    を備える光学素子。
  8. 光学素子本体は反射偏光素子である、請求項7に記載の光学素子。
  9. 第1の熱可塑性樹脂と、前記第1の熱可塑性樹脂よりも高いMFRを有する第2の熱可塑性樹脂とのそれぞれを溶融させると共に、前記溶融された第1の熱可塑性樹脂及び第2の熱可塑性樹脂を押し出すことによって、前記溶融された第1の熱可塑性樹脂からなる第1の溶融樹脂層と、前記溶融された第2の熱可塑性樹脂からなる第2の溶融樹脂層とが積層された溶融樹脂積層体を形成する工程と、
    前記溶融樹脂層積層体をプレスすることにより、前記第1の溶融樹脂層の表面にエンボス加工を施す工程と、
    を備える光学シートの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20220026602A1 (en) * 2019-04-09 2022-01-27 Toppan Printing Co., Ltd. Optical structure, transfer foil, article, and method of producing optical structure

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