JP5597895B2 - アスタキサンチンの結晶形 - Google Patents

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Description

発明の詳細な説明
本発明は、アスタキサンチンの新規結晶形、前記結晶形を作製する方法、これらの結晶形を含む組成物と製剤および前記修飾物の使用に関する。
飼料産業、特に水産動物養殖産業分野において、アスタキサンチンは、着色とりわけサケ、マスおよびエビの着色に使用される。
アスタキサンチンは、水に不溶性であり、唯一油にわずかに溶解するが、このことは、アスタキサンチンの溶液が直接適用のために利用できないことを意味する。さらに、アスタキサンチンは、酸化および熱処理に極めて弱い。したがって、サケ科における血漿中取り込みおよび肉付着の改善のために、経口による良好な生物学的利用能でアスタキサンチンを供給することは、水産動物飼料生産者および水産動物養殖業者にとって特に関心事である。
この着色剤の生物学的利用能をより高めるために、飼料ペレットへの加工を目的として水に分散性の微粒子アスタキサンチン組成物を調製する幾つかの方法が開発されている。この分散性組成物は、高圧および高温下で溶媒(米国特許第6,863,914号明細書および米国特許第6,406,735号明細書)または油類(米国特許第5,364,563号明細書)に結晶スタキサンチンを溶解した後、ただちにこの有機溶液を水性親水コロイドに分散させることにより調製される。あるいは、カロテノイドを、水性賦形剤−マトリックス中に融解し、溶媒も油も使用することなく圧力下で乳化させる(米国特許第6,093,348号明細書)。これらの方法は全て、水性分散液から粉末剤または固形剤を調製するためにさらなる加工を必要とする。
先行技術では、アスタキサンチンの特定の結晶形およびアスタキサンチン製剤の調製を目的としたそれらの利用可能性に関して触れていない。本特許出願の発明者は、アスタキサンチンの適切な多形体(=結晶形)を選択することが飼料添加物産業において非常に重要なことであり、この分子の特定の結晶多形体が、他のものよりもより有用となり得ることを見出した。
「適切な」とは、溶出速度、安定性、溶解度および生物学的利用能などの製品性能に関して重要な問題である最終製剤の最良の物理化学的性質を維持することができるアスタキサンチンの多形体を意味する。
[発明の簡単な説明]
意外なことに、アスタキサンチンの2つの結晶形が、生物学的利用能の改善、特定の有機溶媒中での相対的に高い溶解性、長期安定性の増大を示すことが見出された。例えば、この新規な結晶形は固体形態で、20℃〜40℃の温度で少なくとも90日間安定である。
さらに、2つの結晶形は、互いに各々から調製できることが判明した。したがって、本発明はまた、前記結晶形を調製する方法に関する。
さらに、本発明は、油または有機溶媒に溶解または懸濁された本発明による2種の結晶形のうちの1種またはそれらの混合物を含む投与形態(以後「製剤」とも呼ばれる)に関する。親水性または親油性分散剤担体中にアスタキサンチンを含む固形剤を調製するために、溶液または分散液を使用することができる。
最後に本発明は、水産動物飼育において投与形態の安定性を改善し、アスタキサンチンの生物学的利用能を改善するために、すなわち、この化合物のより高い経口摂取を提供するために、本発明による2種の結晶形のうちの1種の結晶形またはそれらの混合物を含有する製剤の使用に関する。
特に本発明は、結晶形Iおよび結晶形IIと称されるアスタキサンチンの2種の結晶形に関するものであって、
・結晶形Iは、以下のパラメータ
i)20°と21°との間にピークを含むXRPD(粉末X線回折)図、および
ii)225℃〜235℃に相転移を示すDSC(示差走査熱量計)走査
を特徴とし;
・結晶形IIは、以下のパラメータ
i)およそ11°と18°にピークを含むXRPD図、および
ii)200℃〜220℃に相転移を示すDSC走査
を特徴とする。
好ましい例において、結晶形Iは、230.8℃±1に相転移を示すことを特徴とする。別の例において、結晶形Iは固体形態で、20℃〜40℃の温度で少なくとも5ヶ月間、好ましくは、少なくとも90日間安定である。
別の好ましい例において、結晶形IIは、210℃±1に相転移を示すことを特徴とする。別の例において、結晶形IIは、20℃の温度で少なくとも90日間固体形態で安定である。
本発明によれば、以下の定義が適用される:
「アスタキサンチン化合物」には、アスタキサンチンの合成および結晶化の時に、または天然源からのアスタキサンチンの抽出工程の時に得られたアスタキサンチン分子が含まれる。
「モル%」とは、アスタキサンチン化合物の全モルのアスタキサンチン含量に関する結晶形の純度を示す。
「親油性分散剤」とは、室温で5mg/mlより高い水溶性を有し、アスタキサンチンの分子またはコロイド分散または凝集体を固形組成物中に包埋する性質を有する固形物質である。
「親水性分散剤」とは、室温で5mg/ml以上の水溶性を有し、水相中アスタキサンチンの懸濁を増強させるために湿潤剤として作用する性質を有する固形物質である。
「固形組成物」とは、相互溶媒または組合せ溶媒中、カロテノイドと親油性または親水性分散剤とを一緒に溶解し、次いで溶媒または溶媒混合物を除去することによって調製される固形マトリックス中にアスタキサンチンが分布していることを意味する。
「水混和性溶媒」とは、その溶媒が、相分離することなく水と任意の比率で混合することができ、例えば、エタノールを意味する。
「水不混和性溶媒」とは、その溶媒が、相分離することなく水と部分的にのみ混合することができ、例えば、ジクロロメタンを意味する。
「結晶化液体」とは、特定の結晶形の結晶化を生じさせる温度で、オール−トランス−アスタキサンチンを溶解する溶媒と混和性であるが、(アスタキサンチンに対し)低溶解力を有するかまたは殆ど溶解性のない液体である。
本発明によるアスタキサンチンの結晶は、当業者によく知られた化学合成から誘導され、オール−トランス−アスタキサンチンである。
物質の多形性およびその相対的温度安定性を確認するために、多くの技法が用いられている。これらの技法としては、粉末X線回折(XRPD)、熱重量分析、示差走査熱分析(DSC)、ラマン分光法、光学顕微鏡ならびに電気顕微鏡、およびUV−VIS技法が挙げられる。
大抵の場合、X線回折法は、結晶構造における違いを反映させることができる。理想的には、単結晶(典型的な寸法100×100×100μm)上のX線回折では、通常、十分に分解されたピークの三次元回折図が得られ、それを位相合わせ後、電子密度に逆変換することができる。実際には、所与の材料から求められる質およびサイズの単結晶を得ることは不可能でないとしても困難なことが多い。粉末回折実験において、サンプルは、5×5×3μmの典型的な寸法を有する膨大な数の結晶から構成される。その粉末は、通常、粉砕または摩砕によって得られる。結晶形IおよびIIの場合、XRPD図は、粉末回折実験によって得られる。
熱分析法は、検体の性質が外部適用温度に応じて決定される技法として定義される。多くの点で、DSCは、定量的にルーチンで使用するための簡便な方法であり、この理由から、同定および特性化のための広く受け入れられる方法となっている。熱分析の分野および多形性の理解レベルは双方とも、近年急速に成長している。
本発明によれば、異なる多形体間の熱力学的な関係を調べるために、DSC(Netzsch Phoenix 204)を用いる。DSCセルは、インジウム(T=156.6℃、ΔHfus=28.54J.g.−1)により較正する。アスタキサンチン(通常3〜6mg)を、窒素で掃流しながらAl−パン内で20℃〜250℃に一定速度で加熱した。
ラマン分光法は、振動分光法の一種である。ラマン分光法は、振動情報が分子中の化学結合に特異的であることから、化学で一般的に使用される。したがって、ラマン分光法は、分子を同定できるフィンガープリントを提供する。本発明によれば、Brucker FT−ラマン分光RFS 100Sを用いる。初発レーザーを1284mm−1に設定する。ステンレス製サンプルホルダーを、数マイクログラムの量で用いる。最後にデータを、Origin and OPUSのソフトウェアにより解析する。
本発明により結晶形Iは、
i)20°と21°との間にピークを含むXRPD図、および
ii)225℃〜235℃に相転移を示すDSC走査
を特徴とする。
さらに結晶形Iは、20℃〜25℃で0.1〜0.2g/mlのジクロロメタン中の溶解度プロファイルを示す。
本発明により結晶形IIは、
i)およそ11°と18°とにピークを含むXRPD図、および
ii)200℃〜220℃に相転移を示すDSC走査
を特徴とする。
さらに結晶形IIは、20℃〜25℃で0.3〜0.4g/mlのジクロロメタン中の溶解度プロファイルを示す。
アスタキサンチン化合物の好ましい一実施形態は、50重量%から100重量%の結晶形IまたはIIから実質的になる。
アスタキサンチン化合物の他の好ましい実施形態は、95重量%から5重量%の結晶形Iおよび5重量%から95重量%の結晶形IIから実質的になる混合物に関する。
上記のとおり、本発明はまた、アスタキサンチンの結晶形Iからアスタキサンチンの結晶形IIへの転化方法および逆への転化方法に関する。
アスタキサンチンの結晶形Iから結晶形IIへの転化に関して、その方法は、
(a)結晶形Iを、その融点未満に加熱してから室温にクエンチするか、または
(b)結晶形Iを、>20kPaの蒸気圧を特徴とする溶媒に溶解してから溶媒を蒸発させるか、または
(c)その転化を、有機溶媒、例えば、クロロホルム中スラリー転化により実施することを特徴とする。
アスタキサンチンの結晶形IIから結晶形Iへの転化に関して、その方法は、有機溶媒、例えば、ジクロロメタンまたは酢酸エチル中スラリー転化によりその転化を実施することを特徴とする。
本発明の別の実施形態は、ライフサイエンス産業における使用、特に水産動物用飼料産業における使用に関して結晶形IもしくはIIまたはそれらの混合物を含む投与形態である。
この目的のために、アスタキサンチンの結晶形IもしくはIIまたはそれらの混合物を、
・有機溶媒または油もしくはそれらの混合物に溶解し、次いでさらに前記投与形態に加工してもよく;
・有機溶媒もしくは油またはそれらの混合物に溶解し、次いでさらに親油性分散剤を含む前記投与形態に加工してもよく;
・水産動物飼料用ペレットおよび他の適用形態に直接組み込むために、100℃と230℃との間の温度で食用油および/または魚油に直接溶解してもよい。
特に、栄養産業に使用するために、アスタキサンチンの安定な水分散性投与形態を調製する方法を開示する。この方法は、有機溶媒にアスタキサンチンの結晶形IまたはIIを溶解し、この溶液を水溶液と混合し、形成された分散液を、溶媒と水を除去し、コーティング材料の存在下、結晶形を変化させることなく乾燥することによって水分散性乾燥粉末に転化させることを特徴とする。
アスタキサンチンの結晶形IおよびIIのX線回折図を示す。 アスタキサンチンの結晶形IおよびIIのラマンスペクトルを示す。 対照と比較して500cm−1から1000cm−1の範囲での結晶形IおよびIIの2種の製剤のラマンスペクトルを示す。
[図面および実施例の詳細な説明]
アスタキサンチンを得るための好ましい方法は、米国特許第5,654,488号明細書に記載されたような化学合成を利用することである。合成アスタキサンチンは、ジアステレオマー(3S,3’S)、(3R,3’S)および(3R,3’R)の1:2:1の混合物である。アスタキサンチンを得るためのさらなる方法によるか、または例えば、国際公開第89/1997号パンフレットおよび欧州特許第329754号明細書に開示された微細藻類(microalgae)からの方法、または酵母ファフィア・ロドジマ(Phaffia rhodozyma)からの方法である。
水産動物飼料用のアスタキサンチン製剤を調製する公知の技術には、ラマンスペクトル、有機溶媒中の溶解度などの少なくとも1つの他の物理的パラメータに加えてXRPDおよびDSCにより明確に特性化された特定の結晶形を調製する可能性が開示されていない。この結晶形は、アスタキサンチン組成物を取り扱い製剤化するための幅広い選択を可能にする有機溶媒類および油類中で種々の溶解度を有する。さらに、本発明による結晶形は、インビボ溶出速度に影響を及ぼし、経口投与後、より高い取り込みおよび生物学的利用能を提供する投与形態におけるより高い(過飽和)濃度を可能にする。
図1に示された粉末X線回折図は、Bruker D4回折計により測定された強度データを集めることによって得られた。このシステムは、Cu陽極およびCu−Kα1放射(λ=1.54056Å)を提供するモノクロメータを装備している。0.005°のステップ幅および1ステップ当り4秒の捕捉時間を用いて測定を実施した。
図1は、結晶形Iと比較した結晶形IIの図を示している。双方の結晶図は、走査範囲において異なる特性ピークを示している。特に結晶形Iにおいて20.35°に見られる高強度ピークは、結晶形IIの図に存在しない。また、結晶形IIの2θ=11.07°と18.32°とに見られた2本のピークは、結晶形Iの図と合致しない。
DSCを用いて、2種の異なる多形体の熱力学的性質を調べた。DSCセルは、インジウム(Tm=156.6℃、ΔHfus=28.54J・g−1)により較正した。
異なる多形体を調べるために、結晶形IまたはIIの3〜5mgのサンプルをそれぞれ、窒素で掃流(10ml・min−1)しながら、5K・min−1の加熱速度で、20℃〜250℃に加熱した。
DSC分析では、結晶形Iに関して、220℃と235℃との間にサンプルの融解として認められる1つの吸熱事象を示し、結晶形IIに関して、200℃と220℃との間の範囲でもう1つの吸熱事象を示す。さらに、216.6℃に別の小さな吸熱ピークが、結晶形Iの加熱痕跡上にも見られる。
さらに共鳴ラマン分光(FTラマン分光器RFS100/S、Bruker)を用いてアスタキサンチンの多型性を調べた。測定は、ラマン顕微鏡および温度制御ユニットを備えたFTラマン分光器上で実施した。レーザーは、後方散乱光学により1024nmで操作した。
アスタキサンチンの結晶形IおよびIIの共鳴ラマンスペクトルを、図2および表1に示す。
Figure 0005597895

1510cm−1における最も強いバンドは、ポリエン鎖のC=C伸縮振動に帰属される。1155cm−1における二番目に強いバンドは、C−C伸縮と混合したC−H面内変角振動およびC=C−C変角振動にそれぞれ帰することができる2つのモードの重複を表す。1004cm−1における3番目に強い線は、CH面内横ゆれ振動に帰属させることができる。
多形体を識別するスペクトルバンドの多数のシフトおよび差異を見ることができる。950cm−1から1000cm−1までの領域において、例えば、結晶形IIは、1本の鋭角バンドのみを有するが、一方、結晶形Iは2本のバンドを示す。
結晶形IおよびIIは、高度に純粋なアスタキサンチン(すなわち、95%超)を有する溶液から調製し、次いで十分な量のアスタキサンチン化合物を形成するために、この溶液を、例えば、熱および/または光で処理して最終的な結晶化後、結晶形Iおよび/または結晶形IIを実質的に得ることができる。当然のことながら、結晶形Iまたは結晶形IIのいずれかを調製するために、前述の結晶化法は、合成後に実施することが好ましいことを理解されたい。あるいは、アスタキサンチンの結晶を調製するために少なくとも1回の結晶化ステップ、または溶媒を利用する(再)結晶化法が使用される結晶化法はまた、アスタキサンチンの結晶の精製ステップまたは抽出ステップ(化学合成または天然品からのアスタキサンチン化合物の単離の一部として)において実施することができる。
化合物のプロファイルおよび濃度が異っている溶液(一般に、これらの溶液を調製するための好適な溶媒は、結晶化が開始される際の温度で少なくとも1mg/ml、好ましくは10〜50mg/mlのアスタキサンチンを溶解させる溶媒である)から出発して、結晶形I、結晶形IIまたは結晶形Iおよび結晶形IIを含む混合物を調製するために考慮され得る同様の原理に基づいた幾つかの結晶化法がある。当業者によって考慮され得る好適な結晶化法としては、限定はしないが、以下の方法が挙げられる。
温度制御条件下、アスタキサンチンの無極性非プロトン性有機溶液から出発して、溶液からの溶媒の除去により、場合によっては混和性極性結晶化液体との同時交換により、結晶化が誘導される。好ましい無極性非プロトン性溶媒は、ジクロロメタンである。代替の塩素化無極性非プロトン性溶媒は、例えば、クロロホルム、トリクロロエタンである。好適な非塩素化代替溶媒は、ジメトキシメタン、ジエトキシエタンおよびジオキサシクロペンタンである。好ましい極性結晶化液体は、メタノール、またはエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールおよびt−ブタノールなどの他のアルカノール類である。
結晶形IまたはIIを含む結晶は、極性非プロトン性溶媒または極性プロトン性溶媒中のアスタキサンチン溶液から蒸発により溶媒を留去することによっても得ることができる。アスタキサンチンに対する高溶解度を有し、かつ低沸点を有する溶媒が好ましい。
結晶化を誘導する別の方法は、無極性非プロトン性溶媒中、(過)飽和溶液の冷却である。好ましい無極性非プロトン性溶媒は、ジクロロメタン、トルエンまたは代替の塩素化無極性非プロトン性溶媒である。アスタキサンチンに対して高溶解度を有するテトラヒドロフラン(THF)、N−メチルピロリドン(NMP)、N−エチルピロリドン(NEP)およびピリジンなどの極性溶媒をさらに考慮することができる。所望の結晶形の結晶化速度および収率は、結晶化溶液に純粋形態の種を添加することにより増加させることができる。結晶形IまたはIIを含む結晶は、無極性非プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒または極性プロトン性溶媒中のオール−トランス−アスタキサンチンの所望の濃度を含有するアスタキサンチン溶液を、極性混和性結晶化液体の添加によって希釈することによっても得ることができる。無極性非プロトン性溶媒の例には、ジクロロメタン、トルエンまたは代替の塩素化溶媒がある。その場合の結晶化液体は、メタノールなどのアルカノールである。好適な極性溶媒の例には、THF、NMPおよびピリジンがある。
生じた結晶は、例えば、当業界に知られたろ過法、自発的沈降法または遠心分離法により採取し、場合によっては、好適な溶媒、好ましくは、冷アルカノール(好ましくはメタノール)により洗浄し、乾燥、好ましくは減圧下での乾燥により採取する。得られた結晶を、さらなる処理のために粉砕して所望の粒径を得ることができる。
結晶形IおよびIIの混合物は、5%から95%の結晶形Iおよび95%から5%の結晶形II、または20%から80%の結晶形Iおよび80%から20%の結晶形IIを含有することができる。
結晶形I、結晶形IIおよび2種の結晶形の混合物は、生物への投与に好適な固形剤、半固形剤および液(油性)剤などとしての取込みに好適である。固体形態の好ましい例には、顆粒剤、ペレット剤、散剤などがある。半固体形態の好ましい例には、懸濁剤がある。それらには、特に、油性媒体中、結晶形Iもしくは結晶形IIまたは結晶形IおよびIIの混合物のミクロン微粒子懸濁剤が含まれる。
結晶形Iおよび/または結晶形IIを用いて調製することができる好ましい投与形態は、例えば、国際公開第03/102116号パンフレットに記載されているような油分散性組成物である。結晶形Iもしくは結晶形IIまたはそれらの混合物は、米国特許第2,861,891号明細書、米国特許第5,364,563号明細書および米国特許第6,296,877号明細書に記載されているように、水分散性組成物を調製するためにも使用することができる。
アスタキサンチンを含む固形の組成物および製剤を調製するための通常の方法は、国際公開第03/102116号パンフレットに記載されているように、好適な賦形剤存在下、有機溶媒、水混和性溶媒もしくは水不混和性溶媒またはそれらの混合物中に結晶形I、結晶形IIまたはそれらの混合物を溶解し、次いで水中希釈または蒸発技法により溶媒を除去することである。結晶形IまたはIIを、それ自体直接使用し、エネルギーを加えることによりアスタキサンチンの油性溶液に溶解させることができる。
溶液を調製するために使用される溶媒、およびアスタキサンチンの結晶形IもしくはIIまたはそれらの混合物を乾燥アスタキサンチン組成物へと処理するために使用される溶媒は、水混和性であってもまたは水不混和性であってもよい。水混和性溶媒および水不混和性溶媒の例としては、上記に挙げる結晶形の結晶化に用いられる溶媒の例が挙げられる。熱/圧力の適用により、常圧および周囲温度下での結晶化の際に使用される結晶化の液体は、アスタキサンチン用溶媒(例えば、イソプロパノール/水)として使用することができる。賦形剤の好ましい例には、親水性であっても親油性であってもよい分散剤、ポリマー類、合成天然ゴム類およびセルロース誘導体がある。
アスタキサンチン固形組成物は、アスタキサンチン総量の2.5重量%から25重量%の間、好ましくは5重量%から15重量%の間を占める。組成物に用いられる分散剤の量は、50重量%から97.5重量%の間が好ましい。最終形態を作製するための増量剤として、可変量の賦形剤を用いることができる。
好適な親油性分散剤は、エチルセルロース類、合成ならびに天然樹脂類、ロジン類およびゴム類からなる群の特定のメンバーから選択することができる。
好適な親水性分散剤としては、限定はしないが、例えば、ゼラチン、魚ゼラチン、澱粉、デキストリン、植物性タンパク質、ペクチン、アラビアゴム、カゼイン、カゼイン塩、またはそれらの混合物の低分子量および高分子量成分の保護コロイド;タンパク質含有保護コロイドが挙げられ、特に、非ゲル化低分子量タンパク質の加水分解物および高分子量ゲル化ゼラチンが好ましい。さらに親水性分散剤は、PEG(ポリエチレングリコール)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン−ポリビニルアセテートコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HMPC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ポリアクリレート類およびポリメタアクリレート類からなる群のメンバーから選択することができる。
アスタキサンチンの固形剤の好ましい形態は、
(a)外(連続)相を形成するマトリックス物質;および
(b)
1)以下2)の封入物質に包埋されるアスタキサンチンの結晶形IまたはII、
2)室温で固体であり、アスタキサンチンと共に有機溶媒中に均一に可溶性である生理的に許容できる封入物質、
を含む前記マトリックス物質内の内(不連続)相、
を含む。
用語の「封入物質」とは、適用温度で固体であり、活性成分を封入でき、ある一般的な溶媒中、活性成分と共に可溶性である任意の食用物質を意味する。コーティング材料として一般的に用いられる物質を使用することが好ましい。合成または天然のワックスもしくはワックス様物質、または天然または合成の食用ポリマー類を使用することがより好ましい。
ワックスまたはワックス様物質は、例えば、カルナウバ蝋、カンデリラ蝋、蜜蝋、米糠蝋、サトウキビ蝋、コルク蝋、グアルマ蝋(guaruma wax)、オーリカリー蝋、モンタン蝋、鯨蝋、ラノリン、パラフィンワックス、脂肪類、水素化脂肪類、脂肪酸モノグリセリド類、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、および脂肪酸エステル類の中から選択されることが好ましい。
天然食用ポリマー類は、修飾(例えば、アルキル化)炭水化物(例えば、澱粉、ペクチン、アルギン酸塩、カラゲナン、フルセララン、キトサン、マルトデキストリン、デキストリン誘導体)、セルロース類およびセルロース誘導体(例えば、セルロースアセテート、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)およびゴム類または修飾(例えば、アルキル化)ゴム類(例えば、アラビアゴム、キサンタンガム、ガーゴム、ガッティ(ghatti)ガム、カラヤガム、トラガカントゴム、イナゴマメガム、ゲランガム)から選択されることが好ましい。有機溶媒中の溶解度を改善するために、これらポリマー類の修飾が必要となり得る。
合成ポリマーは、ポリエチレンワックスおよびポリプロピレンワックスなどの合成ワックス類、クマレン−インデン樹脂、ポリ乳酸(PLA)およびポリ(乳酸/グリコール酸)(PLGA)、アクリルポリマー類(メタクリル酸コポリマー類およびアンモニオメタクリレートコポリマー類)、ポリオルトエステル類、ポリホスファゼン類、ポリアンヒドリド類、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリジオキサノン、トリメチレンカーボネート、ポリ(β−ヒドロキシブチレート)、ポリ(γ−エチルグルタメート)、ポリ(DTHイミノカーボネート)、ポリ(ビスフェノールAイミノカーボネート)およびポリシアノアクリレート、特にアクリルポリマー類の中から選択されることが好ましい。
マトリックス成分は、炭水化物(例えば、セルロース、澱粉、修飾澱粉、デキストリン、ペクチン、アルギン酸塩、カラゲナン、フルセララン、キトサン)、ゴム類(例えば、アラビアゴム、キサンタンガム、ガーゴム、ガッティ(ghatti)ガム、カラヤゴム、トラガカントゴム、イナゴマメガム、ゲランガム)、タンパク質(例えば、魚、鶏および哺乳動物のゼラチン、大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、ゼイン(トウモロコシ由来)コムギグルテン、ルピナスタンパク質、落花生タンパク質、乳タンパク質または加水分解もしくは修飾乳タンパク質、特にカゼインまたはホエータンパク質)、リグニン類およびリグニン誘導体(例えば、リグノスルホネート類、クラフトリグニン類)、セルロース類およびセルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)の中から選択されることが好ましい。
好ましいマトリックス物質は、ゼラチン、リグノスルホネート類、乳タンパク質または加水分解乳タンパク質、植物性タンパク質または加水分解植物タンパク質、または修飾タンパク質、特にゼラチン、カゼインおよびカゼイン加水分解物、大豆タンパク質、その加水分解物、リグノスルホネート、物理的修飾の大豆タンパク質、澱粉および修飾澱粉、特にオクチルスクシニル澱粉、ペクチン類およびカルボキシメチルセルロースである。
リグノスルホネート、魚ゼラチン、乳タンパク質および加水分解植物タンパク質などの冷水可溶性組成物を提供するマトリックス物質が特に好ましい。
溶媒として、アスタキサンチン化合物を溶解することができる任意の有機溶媒または溶媒の組合せを使用することができる。乳濁液から蒸発し易い揮発性溶媒および溶媒の組合せが好ましい。溶媒の例には、イソプロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、テトラヒドロフラン、酢酸エチルエステルがある。
前述のことから明らかであるように、好ましい固形組成物は、封入物質の粒子(液体粒子)が分布している連続相としてマトリックス物質を含む。前記封入物質の粒子(液滴)内に、アスタキサンチンが分布している。このような組成物は、アスタキサンチン粒子がマトリックス物質内に分布している組成物(例えば、欧州特許第564 989号明細書を参照)またはアスタキサンチンがコーティング材料でコーティングされている組成物とは区別される。
[実施例]
以下の代表的な実施例は、アスタキサンチンの結晶形IおよびIIを調製する方法ならびにアスタキサンチンの結晶形Iおよび/または結晶形IIを投与形態に組み込む方法を例示している。これらの実施例はまた、2種の結晶形が特定の有機溶媒中、相対的に高溶解度を有し、飼料産業において有利である長期の安定性が増加していることを例示している。最後に実施例はまた、結晶形の安定性を改善するため、ならびにアスタキサンチンの生物学的利用能を改善するため、すなわちこの化合物のより高い経口摂取率を提供するために、投与形態中に結晶形Iもしくは結晶形IIまたは規定されたそれらの混合物の使用を例示している。
[実施例1:結晶形Iの調製]
上記の方法に従って所望の結晶形を調製するために、Sigma(天然アスタキサンチン)およびEhrenstorfer博士(合成アスタキサンチン、分析グレード)からのアスタキサンチンを用いることができる。この化合物の純度は、HPLC測定により決定することができ、X線回折およびラマンスペクトル法により特性化できる。超純粋アスタキサンチンを、純度のより低いアスタキサンチンから分取HPLCにより得ることもできる。
[実施例2:結晶形Iから結晶形IIの調製]
アセトンなどの一定の溶媒から熱処理または蒸発により結晶形IIを調製することができる。低溶解度(20.5℃でアセトン中、およそ8mg・100ml−1)のため、蒸発により得ることができるのは、ごく少量の結晶のみである。したがって結晶調製の主たる方法として熱処理を用いた。
結晶形IIは、結晶形Iをその融解温度の直ぐ下まで加熱してからクエンチすることによって生成させた。結晶形Iの加熱は、DSC(Netzsch Phoenix204)セル内で実施した。およそ6〜7mgのアスタキサンチンの結晶形Iを、Alパン内で20℃から200℃まで5K・min−1の加熱速度で加熱してから、224℃まで2K・min−1の加熱速度で緩やかに加熱した。この温度に到達した直後に、サンプルを224℃から20℃まで40K・min−1で冷却した。DSCシステムは、全体を窒素で掃流した。XRPDおよびDSC曲線により、アスタキサンチンの第二の結晶形が確認される。
差動解析技法を用いて多形体を調べた。XRPDにより、上記に定義された結晶形IIの存在が証明された。
熱分析により、結晶形Iは230.4℃で融解し、一方、結晶形IIは216.7℃で融解することが示された。最後にラマンスペクトルは、多形体を確認するための十分な情報を提供した。結晶形IとIIとの間でのラマンバンドのピーク位置およびシフトの相違により、周囲条件での双方の結晶形の識別が可能になる。
[実施例3:溶解度測定]
近年、医薬化合物および栄養化合物に関して、種々の溶媒中での種々の多形体の溶解度に対する関心が増している。
種々の溶媒中、アスタキサンチンの結晶形IおよびIIの溶解度を比較した。幾つかの溶媒(イソプロパノールおよびトウモロコシ油)中では、溶解度が極めて低いため、これら2種の溶媒中での実験は、UV−VISメータを用いて測定した。飽和溶液を、二重押し込み容器内で種々の温度で調製し、この溶液の1mlを取り出し、UV−VISメータにより測定した。これらの溶媒中の真の濃度を算出するために、最初に吸光度単位と溶液濃度との間の相関関係を構築することにより較正を行った。
この実験により、溶解度は、溶媒によって著しく異なることが示された。例えば、塩化メチレン(DCM)中結晶形IIの溶解度は、280mg・100ml−1を超え、一方、イソプロパノール中の溶解度は、30℃でわずか3.4mg・100ml−1である。これらの溶媒中で結晶形IIのより高い溶解度を見ることができる。
理想的な溶解度は、測定された融点と融合形のDCSデータの熱との式を用いることにより推定することができる。結果は表2に要約してある。
Figure 0005597895

温度が上昇すると、溶解度比は一般に低下する(対象のより高い温度で、溶解度決定の温度間にエナンチオトロピー転移がない限り)。アスタキサンチンの結晶形IとIIとの間の決定された溶解度の比率は、1.5から1.8の範囲である。
[実施例4:溶媒媒介転化−スラリー転化実験]
溶媒媒介多形体転化は、種々の溶媒中の異なる結晶形の相安定性を調べるための効率的な技法である。この技法において、より安定性の低い結晶形が対象の溶媒の飽和溶液中に懸濁する。次いで、より安定性の低い結晶形を犠牲にして、より安定性の高い結晶形が結晶化する。なぜならば、この準安定性の結晶形の見かけの溶解度は最も安定な結晶形の溶解度よりも高いからである。異なる溶媒中の転化比率は、数分から数年と異なるため、転化を促進するか、または遅らせるために適切な溶媒を選択する必要がある。
現在、溶媒の選択はいまだに試行錯誤によって行われており時間がかかる。本発明により、安定性試験を6種の異なる溶媒中のスラリー転化実験によって実施した。結晶形II(1つの場合は結晶形I)を開始形として懸濁させ、得られた結晶をXRPDにより分析した。
Figure 0005597895

2種の結晶形は溶媒媒介転化によって調製できる。表3に挙げた結果から、結晶形IIから結晶形Iへの転化はEtOAc(酢酸エチル)とDCM(塩化メチレン)中でのみ検出されること、および結晶形IIから結晶形Iへの転化はクロロホルム中でのみ検出されることが分かる。
[実施例5:結晶形IまたはIIの油形態]
10gのアスタキサンチンの結晶形IまたはIIを90gの大豆油と混合する。結晶を粉砕する。得られた微粉化懸濁液は粉末製剤の調製に好適である。もしくはフラッシュ加熱操作を用いて直接油中に溶解させた後、乳化剤を含む過剰の油相または水相により冷却することができる。
[実施例6:結晶形IおよびIIのコロイド分散製剤]
加熱可能な受入れフラスコ内で、29gのイソプロパノール/水(88/12、重量/重量)中1.2gのエトキシキンの溶液中に、4gのアスタキサンチン結晶形IまたはIIと1.5gの落花生油を30℃で懸濁させる。この懸濁液を、0.2秒の滞留時間、170[μ]の混合温度で、59gのイソプロパノール/水(88/12、重量/重量)と混合する。得られた分子分散アスタキサンチン溶液をその後直ちにさらなる混合チャンバー内に入れる。8.4gのゼラチンA(100 Bloom、分子量=94,000)に追加して4.2gのGelita Sol P(分子量=21,000)および9.2gのスクロースを含有する11.3gのゼラチン水溶液をpH9に調整して加え、45℃でコロイド分散形態におけるアスタキサンチンを沈殿させる。
[実施例7:粉末組成物]
90gのジクロロメタン(Fluka)中、8gのエチルセルロースN4(The Dow Chemical Company)および1gのアルファ−トコフェロールと共に1gのアスタキサンチン結晶形Iを溶解させ、引き続き溶媒を除去し、スプレー顆粒化を用いて顆粒を作製することによって粉末組成物を調製する。
90gのジクロロメタン(Fluka)中、8.4gのエチルセルロースN4(The Dow Chemical Company)および0.8gのアルファ−トコフェロールと共に0.80gのアスタキサンチン結晶形IIを溶解させ、引き続き溶媒を除去し、スプレー顆粒化を用いて顆粒を作製することによって、別の粉末組成物を調製する。
[実施例8:アスタキサンチンのビードレット]
600mlのクロロホルム中、15gのアスタキサンチン結晶形IIの化合物および15gの蜜蝋を、3gのエトキシキンと共に溶解させる。375mlの脱イオン水中、75gのNa−リグノスルホン酸を溶解させる。20重量/重量%の水酸化ナトリウム溶液を用いて、この溶液のpHを7.5±0.5に調整する。高速混合ならびに高せん断力混合機を用いて油相を徐々に水相に加える。添加終了後、高速せん断混合を15分間続けながら乳濁液の温度を50℃に維持する。全てのクロロホルムが蒸発するまで、温度を徐々に上げて混合を続ける。乳濁液の温度が約75℃に達すると、この蒸発は通常完了する。蒸発操作の間、好適な粘度を維持するために、乳濁液中に蒸留水を加える。
全てのクロロホルムが除去された後、スプレーに好適な乳濁液の固体含量と粘度を得るために、蒸留水を加えて乳濁液と完全に混合する。次いで、ラブスプレーパンを用いて、1kgの流動化澱粉の流動床内に乳濁液をスプレーする。残留澱粉を篩い分けによって除去する。
[実施例9:結晶形IおよびIIの安定性]
結晶形IおよびIIの2種の固体製剤を上記の方法により調製した。これらの製剤をラマン分光法によって分析し、安定性に関して、安定性の測定に通常用いられる方法であるUV保持によって分析した。
この実験に用いられたサンプルは:
サンプルA:塩化メチレンにより調製した結晶形I
サンプルB:クロロホルムにより調製した結晶形II
双方の製剤とも、HO相(Ca−リグノスルホン酸および黄色デキストリン)および油相(CHCl)を用いた。
サンプルC:対照市販製品として、DSM Nutritional Products LtdのCarophyll Pink 10%−CWSを用いた。
この場合、以下のマトリックス組成を用いた:HO相:Ca−リグノスルホン酸および黄色デキストリン;油相:CHCl、&d,l−a−トコフェロール、蜜蝋)。
図3は、対照と比較して、結晶形IおよびIIの2種の製剤の500cm−1から1000cm−1の範囲にあるラマンスペクトルを示している。これらのプロファイルにより、固体製剤サンプルの調製に用いられた2つの結晶形が最終形にまだ存在していることが明らかに示される。
安定性試験の結果を表4および表5に示す。これらの結果により、製剤化された結晶形は、20℃で少なくとも90日間、固体形態で安定であることが示される。
Figure 0005597895

Figure 0005597895

[実施例10:生物学的利用能決定のための実験設計]
種々の製剤からのアスタキサンチンの生物学的利用能決定は、見かけの消化率係数(ADC)を算出することによって行うことができる。
例えば、アスタキサンチンのADCは、非吸収性指標としての酸化イットリウム(Y)に基づいた食餌からの栄養分の正味の分別吸収として算出することができる。
ADCは、以下の式を用いて算出できる:
栄養分のADC=100−[100×(飼料中のY%/糞便中のY%)×(糞便中の栄養分%/飼料中の栄養分%)。
次いで、消化率データをパーセント値の平方根の逆サイナスにおいて転化してから、一元配置分散分析に供することができる。最後に、StatBoxProソフトウェア(Grimmersoft、5.0版)を用いて統計的演算を実施することができる。

Claims (3)

  1. アスタキサンチンの結晶形Iをアスタキサンチンの結晶形IIへと転化するための方法であって、
    ・結晶形Iは、以下のパラメータ
    i)20°と21°との間にピークを含むXRPD(粉末X線回折)図、および
    ii)225℃〜235℃に相転移を示すDSC(示差走査熱量計)走査
    を特徴とし;
    ・結晶形IIは、以下のパラメータ
    )11°と18°とにピークを含むXRPD図、および
    ii)200℃〜220℃に相転移を示すDSC走査
    を特徴とし、
    晶形Iを、その融点未満に加熱してから室温にクエンチすることを特徴とする転化方法。
  2. 結晶形Iを205℃と210℃との間まで加熱することを特徴とする、前記結晶形Iを、その融点未満に加熱してから室温にクエンチする請求項に記載の方法。
  3. アスタキサンチンの結晶形IIを、アスタキサンチンの結晶形Iへと転化するための方法であって、
    ・結晶形Iは、以下のパラメータ
    i)20°と21°との間にピークを含むXRPD(粉末X線回折)図、および
    ii)225℃〜235℃に相転移を示すDSC(示差走査熱量計)走査
    を特徴とし;
    ・結晶形IIは、以下のパラメータ
    )11°と18°とにピークを含むXRPD図、および
    ii)200℃〜220℃に相転移を示すDSC走査
    を特徴とする方法において、
    前記転化を、ジクロロメタンまたは酢酸エチル中のスラリー転化により実施することを特徴とする転化方法。
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