JP5597529B2 - 熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アスペクト比の高い板状結晶が、熱可塑性樹脂相に分散されてなる熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関する。
従来、成形用の熱可塑性樹脂組成物の物性の改質、新たな特性の発現等のために、充填材の配合が検討されている。充填材には、様々な性質を付与するものがあることから、充填材を含有する熱可塑性樹脂組成物を製造する際には、その使用目的や、熱可塑性樹脂の種類、充填材の種類及びその形状等に応じて、その製造方法が選択されている。
製造方法によって、例えば、組成物の製造時に用いた充填材用原料と、製造後に得られた組成物に含まれる充填材とを同一とすることができれば、異なるようにすることもできる。後者においては、充填材用原料と、得られた充填材を構成する材料とが異なるようにする場合、両者の構成材料が同一であり且つ両者の形状等を異なるようにする場合、等がある。
近年、ポリマーナノコンポジットといわれる、重合体中に、充填材がナノメートルレベルの大きさで分散制御されている複合材料が注目されており、充填材用原料として、アスペクト比(厚さWに対する長手方向の長さYの比Y/W)の高い板状結晶が積層状態にある、層状珪酸塩等の層状化合物を用いてなる複合材料が知られている。
このような複合材料の製造方法として、特許文献1には、熱可塑性樹脂、及び、ベントナイト等からなる層状珪酸塩の粉体混合物を調製した後、熱可塑性樹脂の軟化温度未満の温度条件下で、剪断速度500sec−1以上の剪断及び圧縮力を同時に印加して粉体複合体とし、次いで、この粉体複合体を溶融混合し、熱可塑性樹脂組成物を製造する方法が開示されている(特許文献1等参照)。また、膨潤状態の層状珪酸塩の存在下、単量体を重合して製造する方法や、重合体を、直接、層間に挿入して製造する方法等が知られている。
特開平8−53572号公報
特許文献1に記載された方法によれば、充填材用原料として用いた層状化合物を劈開させるとともに、微小化させ、この微小粒子(充填材)の分散性に優れた熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。しかしながら、この方法においては、非常に高い剪断速度を適用しているために、劈開とともに、破砕をまねく場合があり、微小粒子のアスペクト比が高く維持されない、といった問題があった。
本発明の目的は、アスペクト比の高い板状結晶が、微小化されることなく、また、凝集することなく、熱可塑性樹脂相に分散されてなる熱可塑性樹脂組成物の効率的な製造方法を提供することにある。
本発明は、以下に示される。
1.アスペクト比が5〜100であり、厚さが1〜100nmである板状結晶が、熱可塑性樹脂相に分散されてなる熱可塑性樹脂組成物を製造する方法であって、
上記板状結晶を含む粉体、及び、熱可塑性樹脂からなる粉体を、熱可塑性樹脂の軟化点以下、且つ、剪断速度20〜400sec−1の条件下で、固相混合する第1工程と、
固相混合物を溶融混練する第2工程と、
を備えることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
2.上記板状結晶が珪酸塩からなる上記1に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
3.上記珪酸塩の結晶構造中に、有機カチオンが含まれている上記2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
4.上記板状結晶を含む粉体が、上記板状結晶の積層物である上記1乃至3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
5.上記熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂を含む上記1乃至4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
6.上記第1工程において、上記板状結晶を含む粉体の使用量が、上記熱可塑性樹脂からなる粉体の使用量を100質量部とした場合に、0.01〜20質量部である上記1乃至5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
本発明によれば、アスペクト比の高い板状結晶が、微小化されることなく、また、凝集することなく含まれる熱可塑性樹脂組成物を、効率よく製造することができる。
また、本発明により得られる熱可塑性樹脂組成物は、溶融状態における流動性が良好であることから、成形加工性に優れ、引張強さ、弾性率、荷重たわみ温度、ガスバリア性、電磁波シールド性、電気伝導性、透明性、難燃性、耐薬品性、平滑性等に優れた成形品を得ることができる。
実施例1で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 実施例1で得られた熱可塑性樹脂組成物の透過型電子顕微鏡による画像である。 実施例1で得られた熱可塑性樹脂組成物のX線回折像である。 実施例2で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 実施例2で得られた熱可塑性樹脂組成物のX線回折像である。 実施例3で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 実施例3で得られた熱可塑性樹脂組成物のX線回折像である。 実施例4で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 実施例4で得られた熱可塑性樹脂組成物のX線回折像である。 実施例5で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 実施例5で得られた熱可塑性樹脂組成物のX線回折像である。 実施例6で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 実施例7で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 実施例8で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 実施例9で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 実施例10で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 比較例1で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 比較例1で得られた熱可塑性樹脂組成物のX線回折像である。 比較例2で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 比較例2で得られた熱可塑性樹脂組成物の透過型電子顕微鏡による画像である。 比較例2で得られた熱可塑性樹脂組成物のX線回折像である。 実施例11で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 実施例11で得られた熱可塑性樹脂組成物のX線回折像である。 実施例12で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 実施例12で得られた熱可塑性樹脂組成物の透過型電子顕微鏡による画像である。 実施例12で得られた熱可塑性樹脂組成物のX線回折像である。 比較例3で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 比較例3で得られた熱可塑性樹脂組成物のX線回折像である。 実施例13で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 実施例13で得られた熱可塑性樹脂組成物の透過型電子顕微鏡による画像である。 実施例13で得られた熱可塑性樹脂組成物のX線回折像である。 比較例4で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 比較例4で得られた熱可塑性樹脂組成物のX線回折像である。 実施例14で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 実施例14で得られた熱可塑性樹脂組成物のX線回折像である。 比較例5で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 比較例5で得られた熱可塑性樹脂組成物のX線回折像である。 実施例15で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 実施例15で得られた熱可塑性樹脂組成物のX線回折像である。 比較例6で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 比較例6で得られた熱可塑性樹脂組成物のX線回折像である。 実施例16で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 実施例16で得られた熱可塑性樹脂組成物のX線回折像である。 比較例7で得られた熱可塑性樹脂組成物の偏光顕微鏡による画像である。 比較例7で得られた熱可塑性樹脂組成物のX線回折像である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、アスペクト比が5〜100であり、厚さが1〜100nmである板状結晶が、熱可塑性樹脂相に分散されてなる熱可塑性樹脂組成物を製造する方法であって、上記板状結晶を含む粉体、及び、熱可塑性樹脂からなる粉体を、この熱可塑性樹脂の軟化点以下、且つ、剪断速度20〜400sec−1の条件下で、固相混合する第1工程と、この第1工程により得られた固相混合物を溶融混練する第2工程と、を備える。
ここで、アスペクト比は、その厚さWに対する長手方向の長さYの比(Y/W)を意味する。
上記第1工程は、アスペクト比が5〜100であり、厚さが1〜100nmである板状結晶を含む粉体(以下、「原料(A)」という)、及び、熱可塑性樹脂からなる粉体(以下、「原料(B)」という)を、この熱可塑性樹脂の軟化点以下、且つ、剪断速度20〜400sec−1の条件下で、固相混合する工程である。
上記原料(A)は、アスペクト比が5〜100であり、厚さが1〜100nmである板状結晶の一片の集合体であってよいし、この板状結晶が積層されてなるものの集合体であってもよい。また、これらの混合物であってもよい。
上記原料(A)の最大長さは、好ましくは50〜500nm、より好ましくは50〜400nm、更に好ましくは80〜300nmである。
上記原料(A)に含まれる板状結晶は、珪酸塩、リン酸塩、砒酸塩、チタン酸塩等が挙げられる。これらのうち、珪酸塩が好ましい。そして、上記原料(A)は、珪酸塩の結晶構造中に、有機カチオンが含まれている、劈開性の層状珪酸塩(板状結晶の積層物)からなる粉体であることが特に好ましい。この粉体は、換言すると、層間に交換性陽イオン(ナトリウムイオン、カルシウムイオン等)を有する珪酸塩における上記交換性陽イオンが、有機カチオンと交換されている劈開性の層状珪酸塩からなる粉体である。ここで、劈開性とは、層状珪酸塩が剪断等の外部応力により10nm以下の厚さの層状構造を新たに形成しうる性質をいう。
上記有機カチオンとしては、特に限定されないが、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン等が挙げられる。これらの有機カチオンを含む珪酸塩は、疎水性を呈するので、原料(B)が、非極性の熱可塑性樹脂からなる粉体である場合に、第2工程において両者の親和性を向上させることができ、板状結晶の分散性に優れた熱可塑性樹脂組成物とすることができる。
上記アンモニウムイオンは、1級アンモニウムイオン、2級アンモニウムイオン、3級アンモニウムイオン及び4級アンモニウムイオンのいずれでもよい。
上記1級アンモニウムイオンとしては、デシルアンモニウムイオン、ドデシルアンモニウムイオン、オクタデシルアンモニウムイオン、オレイルアンモニウムイオン、ベンジルアンモニウムイオン等が挙げられる。
上記2級アンモニウムイオンとしては、メチルドデシルアンモニウムイオン、メチルオクタデシルアンモニウムイオン、アリルシクロヘキシルアンモニウムイオン、ジアリルアンモニウムイオン等が挙げられる。
上記3級アンモニウムイオンとしては、ジメチルドデシルアンモニウムイオン、ジメチルオクタデシルアンモニウムイオン、トリアリルアンモニウムイオン等が挙げられる。
上記4級アンモニウムイオンとしては、ベンジルトリアルキルアンモニウムイオン、トリアルキルメチルアンモニウムイオン、アルキルトリメチルアンモニウムイオン、ジメチルジアルキルアンモニウムイオン、ジアリルジメチルアンモニウムイオン、ベンザルコニウムイオン、ココアルキルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムイオン等が挙げられる。
ベンジルトリアルキルアンモニウムイオンとしては、ベンジルトリエチルアンモニウムイオン、ベンジルトリブチルアンモニウムイオン、ベンジルジメチルドデシルアンモニウムイオン、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムイオン、ベンジルココアルキルジメチルアンモニウムイオン等が挙げられる。
トリアルキルメチルアンモニウムイオンとしては、トリオクチルメチルアンモニウムイオン、トリドデシルメチルアンモニウムイオン、トリヘキサデシルメチルアンモニウムイオン等が挙げられる。
アルキルトリメチルアンモニウムイオンとしては、トリメチルオクチルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、トリメチルオクタデシルアンモニウムイオン、トリメチルココアルキルアンモニウムイオン等が挙げられる。
ジメチルジアルキルアンモニウムイオンとしては、ジメチルジオクチルアンモニウムイオン、ジメチルジドデシルアンモニウムイオン、ジメチルジオクタデシルアンモニウムイオン、ジメチルジココアルキルアンモニウムイオン等が挙げられる。
上記ホスホニウムイオンとしては、テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、テトラオクチルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、テトラベンジルホスホニウム、トリメチルデシルホスホニウム、トリメチルドデシルホスホニウム、トリメチルヘキサデシルホスホニウム、トリメチルオクタデシルホスホニウム、トリメチルベンジルホスホニウム、トリエチルベンジルホスホニウム、トリブチルメチルホスホニウム、トリブチルドデシルホスホニウム、トリブチルオクタデシルホスホニウム、メチルトリフェニルホスホニウム、エチルトリフェニルホスホニウム、ブチルトリフェニルホスホニウム、ヘキサデシルトリブチルホスホニウム、トリオクチルエチルホスホニウム、トリブチルヘキサデシルホスホニウム、ジフェニルジオクチルホスホニウム、トリフェニルオクタデシルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、トリブチルアリルホスホニウム、ベンジルトリフェニルホスホニウム等が挙げられる。
また、上記スルホニウムイオンとしては、トリメチルスルホニウムイオン、トリエチルスルホニウムイオン、トリプロピルスルホニウムイオン、トリブチルスルホニウムイオン等が挙げられる。
本発明において、上記有機カチオンとしては、アンモニウムイオン及びホスホニウムイオンが好ましい。
上記層状珪酸塩としては、1:1型粘土鉱物、2:1型粘土鉱物、層状ポリ珪酸塩等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以下、交換性陽イオンを含む珪酸塩を例示する。
上記1:1型粘土鉱物としては、カオリナイト、ディッカイト、ハロイサイト、アンチゴナイト、クリソタイル等が挙げられる。
上記2:1型粘土鉱物としては、モンモリロナイト、ヘクトライト、フッ素ヘクトライト、サポナイト、バイデライト、スチブンサイト、バーミキュライト、等のスメクタイト類、白雲母、金雲母等の雲母類、フッ素金雲母、フッ素白雲母、K型フッ素テニオライト、K型四珪素雲母等の非膨潤性合成雲母類、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨潤性合成雲母類、マーガライト、パイロフィライト、タルク、緑泥石等が挙げられる。
また、上記層状ポリ珪酸塩としては、α−NaSi、β−NaSi、KHSi、KSi、NaHSi・3水塩(カネマイト)、NaSi・5水塩(マカタイト)、NaSi17の水和物、NaSi1429の水和物(マガディアイト)、NaSi2041の水和物(ケニヤイト)等が挙げられる。
上記層状珪酸塩としては、熱可塑性樹脂組成物を含む成形品等における機械的強度、弾性率、耐熱変形性、ガスバリア性等の観点から、スメクタイト類、非膨潤性合成雲母類、膨潤性合成雲母類等の交換性陽イオンが有機カチオンで交換された層状珪酸塩が好ましく、モンモリロナイト、雲母(マイカ)等が特に好ましい。
上記原料(B)を構成する熱可塑性樹脂は、特に限定されない。
上記熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアリーレンスルフィド系樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、オレフィン系樹脂が好ましい。
上記オレフィン系樹脂としては、従来、公知の樹脂である、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・ヘキセン−1共重合体、エチレン・オクテン−1共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、ポリプロピレンが好ましい。
上記ポリプロピレンは、特に限定されず、シンジオタクチック、アイソタクチック、アタクチック等の構造を有する重合体のいずれを用いてもよい。
上記アクリル系樹脂としては、アクリル酸又はそのエステル化合物、メタクリル酸又はそのエステル化合物等を用いた単独重合体あるいは共重合体を用いることができる。
上記ポリアセタール系樹脂は、一般式−(−O−CHR−)−[式中、Rは、水素原子、又は、炭素原子数1〜5の炭化水素基であり、nは自然数である。]で示されるオキシアルキレン構造の繰り返し単位を主体とする重合体である。
上記スチレン系樹脂としては、ポリスチレン(PS樹脂)、ゴム強化スチレン系樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、ABS樹脂、ASA樹脂、AES樹脂等が挙げられる。
上記ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリ(エチレ
ンテレフタレート/エチレンイソフタレート)共重合体、ポリ(ブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート)共重合体等のポリアルキレンフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレート、ポリ(ブチレンテレフタレート/ブチレンドデカジオエート)共重合体等の脂肪族ジカルボン酸を含むポリアルキレンテレフタレート等が挙げられる。
上記ポリアミド系樹脂は、主鎖中にアミド結合(−NHCO−)を含む重合体であり、その例としては、ポリテトラメチレンアジパミド、ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカミド、ポリウンデカノラクタム、ポリドデカノラクタム、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンとから得られるポリアミド、アジピン酸とメタキシリレンジアミンとから得られるポリアミド、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアジピン酸とヘキサメチレンジアミンとから得られるポリアミド、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアジピン酸とメタキシレンジアミンとから得られるポリアミド、共重合成分として1,3−フェニレンジオキシジ酢酸を含む共重合ポリアミド共重合成分として二量体化脂肪酸を含む共重合ポリアミド等が挙げられる。
上記原料(B)の形状は、特に限定されない。上記原料(B)の大きさについて、好ましい最大長さ(最大径)は、固相混合物に、原料(A)の偏在等を抑制する観点から、1〜100μmであり、より好ましくは1〜20μmである。上記原料(B)の大きさが100μmを超えると、板状結晶が偏在した樹脂組成物が得られる場合がある。
上記第1工程における原料(A)及び(B)の使用量の割合は、以下のとおりである。上記原料(A)の使用量は、上記原料(B)100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.02〜15質量部、更に好ましくは0.03〜10質量部である。上記原料(A)及び(B)の使用量の割合が上記範囲にあると、板状結晶が再凝集することなく、微分散した樹脂組成物とすることができる。
固相混合に用いる装置は、被処理物に対して、加熱及び剪断の印加が可能なものであれば、特に限定されない。
この第1工程は、上記原料(A)及び(B)を固相混合する工程であるが、固相混合装置に、原料(A)及び(B)を供給してよいし、予め、加熱等を行わない条件で調製した、原料(A)及び(B)の混合物(ドライブレンド物等)を供給してもよい。
また、固相混合の際には、必要に応じて、従来、公知の添加剤(後述)を供給してもよい。
上記第1工程における固相混合条件として、温度は、上記原料(B)を構成する熱可塑性樹脂の軟化点以下である。ここで、熱可塑性樹脂の軟化点とは、熱可塑性樹脂が結晶性樹脂である場合には融点を意味し、非晶性樹脂である場合には、ガラス転移温度を意味する。上記原料(B)を構成する熱可塑性樹脂は、上記のように、単一種でも、複数種類でもよいが、後者の場合には、軟化点が最も低い熱可塑性樹脂の軟化点以下の温度で固相混合を行うものとする。
熱可塑性樹脂の軟化点をTm(℃)とし、固相混合時の設定温度をT(℃)とすると、好ましい条件は、Tm−150≦T≦Tm−5(℃)、より好ましくは、Tm−100≦T≦Tm−10(℃)である。
また、固相混合時の剪断速度は、20〜400sec−1であり、好ましくは50〜400sec−1、より好ましくは100〜360sec−1、更に好ましくは140〜320sec−1である。
第1工程における固相混合条件を、上記のように設定することにより、熱可塑性樹脂粉末に、アスペクト比の高い板状結晶が、微小化されることなく、また、凝集することなく含まれた固相混合物を得ることができる。上記成分(A)として、アスペクト比が5〜100であり、厚さが1〜100nmである板状結晶の一片の集合体を用いた場合、この板状結晶が積層されてなる積層物の集合体を用いた場合、及び、両者を組み合わせて用いた場合、のいずれにおいても、アスペクト比が5〜100であり、厚さが1〜100nmである板状結晶の一片が、微小化されることなく、また、凝集することなく含まれた固相混合物を得ることができる。後者の積層物が劈開性の層状珪酸塩である場合も同様である。
上記原料(A)及び(B)の固相混合時間は、各原料の使用量により、適宜、選択される。
上記第2工程は、第1工程により得られた固相混合物を溶融混練する工程である。この工程において、固相混合物のみを溶融混練してよいし、必要に応じて、従来、公知の添加剤(後述)、熱可塑性樹脂等とともに溶融混練を行ってもよい。この場合、他の成分は、溶融混練前に、固相混合物との予備混合を行っておいてよいし、固相混合物の混練中に、供給してもよい。尚、他の成分に含まれる熱可塑性樹脂は、第1工程において用いた原料(B)を構成する熱可塑性樹脂と同じであってよいし、異なってもよい。
上記第2工程における溶融混練は、用いるすべての熱可塑性樹脂が溶融し、原料(A)が溶融しない温度で、原料成分を混合することを意味する。好ましい混練温度は、熱可塑性樹脂の溶融温度をT(℃)とした場合に、T(℃)から(T+20)(℃)の範囲である。
上記固相混合物と他の成分との予備混合に用いる装置は、特に限定されず、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。
溶融混練に用いる装置は、特に限定されず、バンバリーミキサー、ニーダー、混練ロール、押出機(単軸、二軸)等を用いることができる。
溶融混練の際には、必要に応じて、従来、公知の添加剤(後述)、熱可塑性樹脂を供給してもよい。熱可塑性樹脂の場合、第1工程において用いた原料(B)を構成する熱可塑性樹脂と同じであってよいし、異なってもよい。
上記第2工程により得られた溶融混練物は、必要に応じて、ペレット等とすることができる。
熱可塑性樹脂組成物に配合可能な添加剤としては、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、着色剤等が挙げられる。
上記のようにして得られた熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、厚さが1〜100nm、好ましくは3〜50nm、より好ましくは10〜30nmであり、アスペクト比が5〜100、好ましくは10〜50、より好ましくは15〜30である板状結晶とを含有しており、上記熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂相に、上記板状結晶が微分散した組成物である。熱可塑性樹脂組成物の製造に際して、第1工程又は第2工程において、添加剤を用いた場合には、この添加剤も同様に、熱可塑性樹脂相に微分散している。
本発明により得られた熱可塑性樹脂組成物に含まれる上記板状結晶の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.01〜15質量部、更に好ましくは0.01〜10質量部である。
本発明により得られた熱可塑性樹脂組成物は、溶融状態における流動性が良好であることから、成形加工性に優れる。そして、熱可塑性樹脂組成物を、射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、中空成形法、吹込成形法、カレンダー成形法、差圧成形法等の、従来、公知の成形方法に供して、成形品を製造することができる。
本発明により得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた成形品は、板状結晶を含有しているので、引張強さ、弾性率、荷重たわみ温度、ガスバリア性、電磁波シールド性、電気伝導性、透明性、難燃性、耐薬品性、平滑性等に優れる。
従って、熱可塑性樹脂組成物は、機械部品用資材、自動車部品用資材、電気機器ハウジング用資材、電磁波シールドフィルム用資材、包装用資材、液体容器用資材、光学機器用資材等の幅広い用途に有用である。
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
1.原料成分
熱可塑性樹脂組成物の製造に用いた原料成分は、以下のとおりである。
1−1.板状結晶を含む粉体
(1)有機修飾モンモリロナイト粉体(A1)
層間に存在するナトリウムイオンをヘキサデシルトリブチルホスホニウムカチオンでイオン交換した有機修飾モンモリロナイト(板状結晶)からなる積層物を用いた。粉体の平均厚さは100nmであり、結晶1層あたりの長手方向の平均長さは100nmである。
(2)有機修飾マイカ粉体(A2)
層間に存在するナトリウムイオンをジオクタデシルジメチルアンモニウムカチオンでイオン交換した有機修飾マイカ(板状結晶)の積層物を用いた。粉体の平均厚さは100nmであり、結晶1層あたりの長手方向の平均長さは120nmである。
(3)有機修飾モンモリロナイト粉体(A3)
層間に存在するナトリウムイオンをジオクタデシルジメチルアンモニウムカチオンでイオン交換した有機修飾モンモリロナイト(板状結晶)からなる積層物を用いた。粉体の平均厚さは100nmであり、結晶1層あたりの長手方向の平均長さは100nmである。
(4)有機修飾モンモリロナイト粉体(A4)
層間に存在するナトリウムイオンをオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムカチオンでイオン交換した有機修飾モンモリロナイト(板状結晶)からなる積層物を用いた。粉体の平均厚さは100nmであり、結晶1層あたりの長手方向の平均長さは100nmである。
(5)有機修飾マイカ粉体(A5)
層間に存在するナトリウムイオンをココアルキルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムカチオンでイオン交換した有機修飾マイカ(板状結晶)の積層物を用いた。粉体の平均厚さは100nmであり、結晶1層あたりの長手方向の平均長さは100nmである。
1−2.熱可塑性樹脂粉体
(1)ポリプロピレン粉体(B1)
平均粒径5μmのポリプロピレン粉体を用いた。
(2)ポリエチレンテレフタレート粉体(B2)
平均粒径25μmのポリエチレンテレフタレート粉体を用いた。
2.熱可塑性樹脂組成物の製造
実施例1
有機修飾モンモリロナイト粉体(A1)5質量部と、ポリプロピレン粉体(B1)95質量部とを、容器内でドライブレンドした。その後、得られた混合物を、混練装置である東洋精機製作所社製「ラボプラストミル」(商品名)に導入して、混練室の温度を50℃とし、剪断速度257sec−1、スクリュー回転数50rpm及び撹拌トルク30N・mの条件で、固相混合を5時間行った。
次に、この固相混合物を、同じ装置を用い、混練室の温度を180℃として、溶融混練を3分間行い、熱可塑性樹脂組成物(ペレット)を得た。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡及び透過型電子顕微鏡による観察、並びに、X線回折の測定を行った。偏光顕微鏡による観察は、ペレットを切断して得られた切断面に対して行った。透過型電子顕微鏡による観察は、ペレットから作製した薄片試料に対して行った。また、X線回折の測定は、ペレットから作製した薄片試料に対して行った。測定機器は、以下のとおりである。
(1)偏光顕微鏡
ニコン社製「UFX−DXII」(型式名)を用いて、倍率200倍で観察した。
(2)透過電子顕微鏡
日本電子社製「2000EX」(型式名)を用いた。
(3)X線回折
リガク社製「UltimaIV」(型式名)を用いた。
偏光顕微鏡による画像、及び、透過型電子顕微鏡による画像を、図1及び図2に示す。また、X線回折像を図3に示す。尚、図3において、上段は、有機修飾モンモリロナイト(A1)粉体のみについて得られた回折像であり、下段は、熱可塑性樹脂組成物について得られた回折像である。
図1及び図2によれば、熱可塑性樹脂相に、原料として用いた有機修飾モンモリロナイト粉体(A1)がそのまま残存していないこと、及び、劈開した有機修飾モンモリロナイト(A1)の板状結晶が凝集していないことが明らかである。即ち、有機修飾モンモリロナイト(A1)の板状結晶が微分散していることが分かる。有機修飾モンモリロナイト(A1)の板状結晶の大きさを、図2の画像から測定したところ、板状結晶の大部分は、厚さが、約10〜40nmであり、アスペクト比の平均が15〜20であった。また、一部に、厚さが1〜4nm等と薄い結晶も含まれていた。
また、図3において、上段の回折像で見られた、2θが2〜4degree域のピーク(有機修飾モンモリロナイト粉体(A1)に由来する)が、下段の回折像における同じ範囲では、ほぼ消失しており、劈開した有機修飾モンモリロナイト(A1)の板状結晶が凝集していないことが明らかである。
実施例2
固相混合時において、剪断速度及び撹拌トルクを、それぞれ、25.7sec−1及び34N・mとした以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造した。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡による観察、及び、X線回折の測定を行った。その画像及び回折像を図4及び図5に示す。
実施例3
固相混合時において、剪断速度及び撹拌トルクを、それぞれ、68.6sec−1及び34N・mとした以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造した。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡による観察、及び、X線回折の測定を行った。その画像及び回折像を図6及び図7に示す。
実施例4
固相混合時において、剪断速度及び撹拌トルクを、それぞれ、154sec−1及び17N・mとした以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造した。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡による観察、及び、X線回折の測定を行った。その画像及び回折像を図8及び図9に示す。
実施例5
固相混合時において、剪断速度及び撹拌トルクを、それぞれ、257sec−1及び20N・mとした以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造した。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡による観察、及び、X線回折の測定を行った。その画像及び回折像を図10及び図11に示す。
実施例6
有機修飾モンモリロナイト粉体(A1)及びポリプロピレン粉体(B1)の使用量を、それぞれ、99質量部及び1質量部とし、固相混合時において、剪断速度、撹拌トルク及び混合時間を、それぞれ、257sec−1、17N・m及び10分間とした以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造した。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡による観察を行った。その画像及び回折像を図12に示す。
実施例7
有機修飾モンモリロナイト粉体(A1)及びポリプロピレン粉体(B1)の使用量を、それぞれ、90質量部及び10質量部とし、固相混合時において、剪断速度、撹拌トルク及び混合時間を、それぞれ、257sec−1、14N・m及び10分間とした以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造した。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡による観察を行った。その画像及び回折像を図13に示す。
実施例8
有機修飾モンモリロナイト粉体(A1)及びポリプロピレン粉体(B1)の使用量を、それぞれ、85質量部及び15質量部とし、固相混合時において、剪断速度、撹拌トルク及び混合時間を、それぞれ、257sec−1、10N・m及び10分間とした以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造した。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡による観察を行った。その画像及び回折像を図14に示す。
実施例9
有機修飾モンモリロナイト粉体(A1)及びポリプロピレン粉体(B1)の使用量を、それぞれ、80質量部及び20質量部とし、固相混合時において、剪断速度、撹拌トルク及び混合時間を、それぞれ、257sec−1、25N・m及び10分間とした以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造した。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡による観察を行った。その画像及び回折像を図15に示す。
実施例10
有機修飾モンモリロナイト粉体(A1)及びポリプロピレン粉体(B1)の使用量を、それぞれ、75質量部及び25質量部とし、固相混合時において、剪断速度、撹拌トルク及び混合時間を、それぞれ、257sec−1、34N・m及び10分間とした以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造した。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡による観察を行った。その画像及び回折像を図16に示す。
比較例1
固相混合時において、剪断速度及び撹拌トルクを、それぞれ、17.1sec−1及び8N・mとした以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造した。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡による観察、及び、X線回折の測定を行った。その画像及び回折像を図17及び図18に示す。
比較例2
有機修飾モンモリロナイト粉体(A1)5質量部と、ポリプロピレン粉体(B1)95質量部とを、容器内でドライブレンドした。その後、得られた混合物を、混練装置である東洋精機製作所社製「ラボプラストミル」(商品名)に導入して、混練室の温度を180℃として、溶融混練を3分間行い、熱可塑性樹脂組成物(ペレット)を得た。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡及び透過型電子顕微鏡による観察、並びに、X線回折の測定を行った。偏光顕微鏡による画像、及び、透過型電子顕微鏡による画像を、図19及び図20に示す。また、X線回折像を図22に示す。
図19及び図20によれば、熱可塑性樹脂相に、原料として用いた有機修飾モンモリロナイト粉体(A1)が劈開することなく、凝集状態で存在していることが明らかである。
実施例11
有機修飾マイカ粉体(A2)5質量部と、ポリプロピレン粉体(B1)95質量部とを、容器内でドライブレンドした。その後、得られた混合物を、混練装置である東洋精機製作所社製「ラボプラストミル」(商品名)に導入して、混練室の温度を50℃とし、剪断速度257sec−1、スクリュー回転数150rpm及び撹拌トルク20N・mの条件で、固相混合を10分間行った。
次に、この固相混合物を、同じ装置を用い、混練室の温度を180℃として、溶融混練を3分間行い、熱可塑性樹脂組成物(ペレット)を得た。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡による観察、及び、X線回折の測定を行った。その画像及び回折像を図22及び図23に示す。
実施例12
有機修飾モンモリロナイト粉体(A3)5質量部と、ポリプロピレン粉体(B1)95質量部とを、容器内でドライブレンドした。その後、得られた混合物を、混練装置である東洋精機製作所社製「ラボプラストミル」(商品名)に導入して、混練室の温度を50℃とし、剪断速度257sec−1、スクリュー回転数150rpm及び撹拌トルク20N・mの条件で、固相混合を10分間行った。
次に、この固相混合物を、同じ装置を用い、混練室の温度を180℃として、溶融混練を3分間行い、熱可塑性樹脂組成物(ペレット)を得た。熱可塑性樹脂組成物(ペレット)を得た。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡及び透過型電子顕微鏡による観察、並びに、X線回折の測定を行った。偏光顕微鏡による画像、及び、透過型電子顕微鏡による画像を、図24及び図25に示す。また、X線回折像を図26に示す。
比較例3
有機修飾モンモリロナイト粉体(A3)5質量部と、ポリプロピレン粉体(B1)95質量部とを、容器内でドライブレンドした。その後、得られた混合物を、混練装置である東洋精機製作所社製「ラボプラストミル」(商品名)に導入して、混練室の温度を180℃として、溶融混練を3分間行い、熱可塑性樹脂組成物(ペレット)を得た。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡による観察、及び、X線回折の測定を行った。偏光顕微鏡による画像を、図27に示す。また、X線回折像を図28に示す。
図27によれば、熱可塑性樹脂相に、原料として用いた有機修飾モンモリロナイト粉体(A3)が劈開することなく、凝集状態で存在していることが明らかである。
実施例13
有機修飾モンモリロナイト粉体(A4)5質量部と、ポリプロピレン粉体(B1)95質量部とを、容器内でドライブレンドした。その後、得られた混合物を、混練装置である東洋精機製作所社製「ラボプラストミル」(商品名)に導入して、混練室の温度を50℃とし、剪断速度257sec−1、スクリュー回転数150rpm及び撹拌トルク20N・mの条件で、固相混合を10分間行った。
次に、この固相混合物を、同じ装置を用い、混練室の温度を180℃として、溶融混練を3分間行い、熱可塑性樹脂組成物(ペレット)を得た。熱可塑性樹脂組成物(ペレット)を得た。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡及び透過型電子顕微鏡による観察、並びに、X線回折の測定を行った。偏光顕微鏡による画像、及び、透過型電子顕微鏡による画像を、図29及び図30に示す。また、X線回折像を図31に示す。
比較例4
有機修飾モンモリロナイト粉体(A4)5質量部と、ポリプロピレン粉体(B1)95質量部とを、容器内でドライブレンドした。その後、得られた混合物を、混練装置である東洋精機製作所社製「ラボプラストミル」(商品名)に導入して、混練室の温度を180℃として、溶融混練を3分間行い、熱可塑性樹脂組成物(ペレット)を得た。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡による観察、及び、X線回折の測定を行った。偏光顕微鏡による画像を、図32に示す。また、X線回折像を図33に示す。
図32によれば、熱可塑性樹脂相に、原料として用いた有機修飾モンモリロナイト粉体(A4)が劈開することなく、凝集状態で存在していることが明らかである。
実施例14
有機修飾モンモリロナイト粉体(A3)5質量部と、ポリエチレンテレフタレート粉体(B2)95質量部とを、容器内でドライブレンドした。その後、得られた混合物を、混練装置である東洋精機製作所社製「ラボプラストミル」(商品名)に導入して、混練室の温度を50℃とし、剪断速度257sec−1、スクリュー回転数150rpm及び撹拌トルク20N・mの条件で、固相混合を10分間行った。
次に、この固相混合物を、同じ装置を用い、混練室の温度を275℃として、溶融混練を3分間行い、熱可塑性樹脂組成物(ペレット)を得た。熱可塑性樹脂組成物(ペレット)を得た。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡による観察、及び、X線回折の測定を行った。偏光顕微鏡による画像を、図34に示す。また、X線回折像を図35に示す。
比較例5
有機修飾モンモリロナイト粉体(A3)5質量部と、ポリエチレンテレフタレート粉体(B2)95質量部とを、容器内でドライブレンドした。その後、得られた混合物を、混練装置である東洋精機製作所社製「ラボプラストミル」(商品名)に導入して、混練室の温度を275℃として、溶融混練を3分間行い、熱可塑性樹脂組成物(ペレット)を得た。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡による観察、及び、X線回折の測定を行った。偏光顕微鏡による画像を、図36に示す。また、X線回折像を図37に示す。
図36によれば、熱可塑性樹脂相に、原料として用いた有機修飾モンモリロナイト粉体(A3)が劈開することなく、凝集状態で存在していることが明らかである。
実施例15
有機修飾マイカ粉体(A2)5質量部と、ポリエチレンテレフタレート粉体(B2)95質量部とを、容器内でドライブレンドした。その後、得られた混合物を、混練装置である東洋精機製作所社製「ラボプラストミル」(商品名)に導入して、混練室の温度を50℃とし、剪断速度257sec−1、スクリュー回転数150rpm及び撹拌トルク20N・mの条件で、固相混合を10分間行った。
次に、この固相混合物を、同じ装置を用い、混練室の温度を275℃として、溶融混練を3分間行い、熱可塑性樹脂組成物(ペレット)を得た。熱可塑性樹脂組成物(ペレット)を得た。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡による観察、及び、X線回折の測定を行った。偏光顕微鏡による画像を、図38に示す。また、X線回折像を図39に示す。
比較例6
有機修飾マイカ粉体(A2)5質量部と、ポリエチレンテレフタレート粉体(B2)95質量部とを、容器内でドライブレンドした。その後、得られた混合物を、混練装置である東洋精機製作所社製「ラボプラストミル」(商品名)に導入して、混練室の温度を275℃として、溶融混練を3分間行い、熱可塑性樹脂組成物(ペレット)を得た。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡による観察、及び、X線回折の測定を行った。偏光顕微鏡による画像を、図40に示す。また、X線回折像を図41に示す。
図40によれば、熱可塑性樹脂相に、原料として用いた有機修飾マイカ粉体(A2)が劈開することなく、凝集状態で存在していることが明らかである。
実施例16
有機修飾マイカ粉体(A5)5質量部と、ポリエチレンテレフタレート粉体(B2)95質量部とを、容器内でドライブレンドした。その後、得られた混合物を、混練装置である東洋精機製作所社製「ラボプラストミル」(商品名)に導入して、混練室の温度を50℃とし、剪断速度257sec−1、スクリュー回転数150rpm及び撹拌トルク20N・mの条件で、固相混合を10分間行った。
次に、この固相混合物を、同じ装置を用い、混練室の温度を275℃として、溶融混練を3分間行い、熱可塑性樹脂組成物(ペレット)を得た。熱可塑性樹脂組成物(ペレット)を得た。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡による観察、及び、X線回折の測定を行った。偏光顕微鏡による画像を、図42に示す。また、X線回折像を図43に示す。
比較例7
有機修飾マイカ粉体(A5)5質量部と、ポリエチレンテレフタレート粉体(B2)95質量部とを、容器内でドライブレンドした。その後、得られた混合物を、混練装置である東洋精機製作所社製「ラボプラストミル」(商品名)に導入して、混練室の温度を275℃として、溶融混練を3分間行い、熱可塑性樹脂組成物(ペレット)を得た。
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物について、偏光顕微鏡による観察、及び、X線回折の測定を行った。偏光顕微鏡による画像を、図44に示す。また、X線回折像を図45に示す。
図44によれば、熱可塑性樹脂相に、原料として用いた有機修飾マイカ粉体(A5)が劈開することなく、凝集状態で存在していることが明らかである。
本発明により得られた熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂相に、アスペクト比の高い板状結晶が、微小化されることなく含まれており、引張強さ、弾性率、荷重たわみ温度、ガスバリア性、電磁波シールド性、電気伝導性、透明性、難燃性、耐薬品性、平滑性等に優れた成形品を得ることができる。

Claims (6)

  1. アスペクト比が5〜100であり、厚さが1〜100nmである板状結晶が、熱可塑性樹脂相に分散されてなる熱可塑性樹脂組成物を製造する方法であって、
    前記板状結晶を含む粉体、及び、熱可塑性樹脂からなる粉体を、該熱可塑性樹脂の軟化点以下、且つ、剪断速度20〜400sec−1の条件下で、固相混合する第1工程と、
    固相混合物を溶融混練する第2工程と、
    を備えることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記板状結晶が珪酸塩からなる請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記珪酸塩の結晶構造中に、有機カチオンが含まれている請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記板状結晶を含む粉体が、該板状結晶の積層物である請求項1乃至3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂を含む請求項1乃至4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  6. 前記第1工程において、前記板状結晶を含む粉体の使用量が、前記熱可塑性樹脂からなる粉体の使用量を100質量部とした場合に、0.01〜20質量部である請求項1乃至5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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