JP5596988B2 - 貨物車両用荷台ラック - Google Patents

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Description

本発明は、トラックなどの貨物車両の荷台に載置して、該荷台で荷物を上段と下段の2段で積載することを可能とする貨物車両用荷台ラックに関する。
ユニットバスは、各パーツが分解された組立前の状態で輸送され、施工現場において組み立てられる。ユニットバスの輸送は、その全てのパーツが1つにまとめられてダンボールなどで梱包された状態で行われる。ユニットバスの輸送には、通常、トラックなどの貨物車両が使用される。しかし、ユニットバスのパーツには、樹脂で形成された破損しやすいものや、換気扇などの故障しやすいものも含まれるため、その梱包体は、積み重ねることができない。このため、貨物車両の荷台には、梱包体を1段でしか積むことができず、10トンクラスのトラックでは、一度に7台分のユニットバスしか輸送することができなかった。この問題は、ユニットバスの梱包体を輸送する場合だけでなく、積み重ねることのできない全ての荷物を輸送する場合にも存在する。
このような実状に鑑みてか、これまでには、荷物を上段と下段の2段で積載することを可能とする貨物車両用荷台ラックが提案されている。例えば、特許文献1には、平面視矩形状の上段棚板と下段棚板とを平行に配し、上段棚板と下段棚板とをX型のクロスフレームで連結した多段パレットが記載されている(同文献の請求項1及び図1を参照。以下、この種の多段パレットを「クロスフレーム型の多段パレット」と表記する。)。また、同文献には、平面視矩形状の上段棚板と下段棚板とを平行に配し、上段棚板の四隅部と下段棚板の四隅部とを支柱で連結し、上段棚板にピニオンギアを形成して支柱側面にラックギアを形成した多段パレットが記載されている(同文献の請求項3及び図2を参照。以下、この種の多段パレットを「ラックピニオン型の多段パレット」と表記する。)。これらの多段ラックはいずれも、上段棚板と下段棚板の両方に荷物を載せることが可能となっていることに加えて、荷物の高さに応じて上段棚板の高さを調節することができるものとなっている。
しかし、上述したクロスフレーム型の多段パレットや、ラックピニオン型の多段パレットには、以下のような欠点があった。すなわち、これらの多段パレットは、上段棚板と下段棚板とが容易に分離できない構造となっていた。このため、これらの多段パレットを貨物車両の荷台に積載して荷物を運搬し終えた後においても、上段棚板と下段棚板とが一体的に連結された状態で多段パレットを荷台に積んで運搬しなければならなかった。したがって、荷物を降ろし終えた後には、重量を減らすことができても、荷嵩については、それ程減らすことができず、必ずしも効率的な荷物の運搬を行うことができるものとはなっていなかった。加えて、これらの多段パレットは、往路においては、高さがなく二段積みできる荷物を運搬し、復路においては、高さがあり二段積みできないような荷物を運搬するなど、往路と復路で荷物の運搬態様を変化させるような場合に、柔軟に対応できるものとはなっていなかった。
特開平08−080944号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、荷物を2段で積載することは勿論のこと、使用しないときには、分解してコンパクトにすることが可能で、様々な運搬態様に柔軟に対応することのできる貨物車両用荷台ラックを提供するものである。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、貨物車両の荷台に載置することにより、該荷台で荷物を上段と下段の2段で積載することを可能とする貨物車両用荷台ラックであって、平面視矩形状の下段パネルと、下段パネルの上面における四隅部から上向きに立設された少なくとも4本の第一支柱と、該4本の第一支柱によってその下面における四隅部を支えられて下段パネルの上方で下段パネルと平行な状態で支持された平面視矩形状の上段パネルと、上段パネルの上面における四隅部から上向きに立設された少なくとも4本の第二支柱を備え、それぞれの第一支柱が、径の異なる複数本のパイプを継いで形成された伸縮パイプで構成され、第一支柱を伸縮させてその長さを変えることにより、上段パネルの高さを調節できるとともに、不使用時には、第一支柱を分離することにより、下段パネルと上段パネルとを分離することができるようにしたことを特徴とする貨物車両用荷台ラックを提供することによって解決される。
これにより、荷物を2段で積載しない場合には、貨物車両用荷台ラックを下段パネルと上段パネルとに分離することが可能になる。このため、一の貨物車両用荷台ラックにおける下段パネルを他の貨物車両用荷台ラックにおける下段パネルの上に積載したり、一の貨物車両用荷台ラックにおける下段パネルを他の貨物車両用荷台ラックにおける上段パネルの上に積載したり、一の貨物車両用荷台ラックにおける下段パネルを該一の貨物車両用荷台ラックにおける上段パネルの上に積載したりすることが可能になる。このため、荷物を運搬しない場合や、高さのある荷物を2段積みではなく1段積みで運搬する場合には、貨物車両用荷台ラックをコンパクトにすることが可能になる。したがって、様々な運搬態様に柔軟に対応するだけでなく、荷物の運搬効率を高めることもできるようになる。
本発明の貨物車両用荷台ラックにおいて、それぞれの第一支柱を、どのような構造で伸縮可能とするかは特に限定されない。しかし、貨物車両用荷台ラックの構造を壊れにくく簡素なものとすることを考慮すると、それぞれの第一支柱を、下段パネルの上面から上向きとなるように下段パネルに対して一体的に固定された第一下側支柱と、上段パネルの下面から下向きとなるように上段パネルに対して一体的に固定された第一上側支柱と、その上端部及び下端部がそれぞれ第一上側支柱と第一下側支柱に内挿されて第一上側支柱と第一下側支柱とを連結する第一中間支柱とで構成し、第一上側支柱に対する第一中間支柱の上端部の固定位置を調節することにより、又は第一下側支柱に対する第一中間支柱の下端部の固定位置を調節することにより、それぞれの第一支柱を伸縮させることができるようにすると好ましい。第一上側支柱と第一下側支柱は、通常、第一中間支柱と異なる径のものを採用し、第一上側支柱又は第一下側支柱の内部に第一中間支柱をスライド可能な状態で挿入できるように、又は第一中間支柱の内部に第一上側支柱又は第一下側支柱をスライド可能な状態で挿入できるようにされる。
この場合、第一上側支柱に対する第一中間支柱の上端部の固定位置の調節をどのように行うかについては、特に限定されないが、第一上側支柱及び第一中間支柱の周壁における対応する箇所に、共通のボルト孔を形成するとともに、第一上側支柱又は第一中間支柱のいずれか一方のボルト孔の上下に他のボルト孔を多段に形成し、この多段に形成されたボルト孔から実際にボルトを挿入するボルト孔を選択することにより、第一上側支柱に対する第一中間支柱の上端部の固定位置を選択できるようにすると好ましい。これにより、壊れにくく簡素な構造でありながらも、第一中間支柱の上端部を第一上側支柱に対してしっかりと固定することが可能になる。第一下側支柱に対する第一中間支柱の下端部の固定位置の調節をどのように行うかについても、第一上側支柱に対する第一中間支柱の上端部の固定位置の調節と同様である。
また、本発明の貨物車両用荷台ラックにおいて、下段パネルと上段パネルの具体的な構造は、特に限定されない。しかし、下段パネルを、その外周部を形成する第一フレームと、第一フレームの上面に張られた第一板材とで構成し、上段パネルを、その外周部を形成する第二フレームと、第二フレームの上面に張られた第二板材とで構成するとともに、下段パネル及び上段パネルの第一板材及び第二板材の周縁部における少なくとも1箇所に開口部を設けると好ましい。これにより、下段パネルと上段パネルとを分離して、一の貨物車両用荷台ラックにおける下段パネルを他の貨物車両用荷台ラックにおける下段パネルと積み重ねた際や、一の貨物車両用荷台ラックにおける上段パネルを他の貨物車両用荷台ラックにおける上段パネルと積み重ねた際や、下段パネルと上段パネルとを積み重ねた際に、下側に配された下段パネル又は上段パネルにおける第一支柱又は第二支柱を上側に配された下段パネル又は上段パネルにおける前記開口部に挿入できるようにすることが可能になる。したがって、第一上側支柱や第一下側支柱が下段パネルと上段パネルとの積み重ねに邪魔にならないようにして、下段パネルと上段パネルとをよりコンパクトに積み重ねることが可能になる。
以上のように、本発明によって、荷物を2段で積載することは勿論のこと、使用しないときには、分解してコンパクトにすることが可能で、様々な運搬態様に柔軟に対応することのできる貨物車両用荷台ラックを提供することが可能になる。
本発明の貨物車両用荷台ラックを貨物車両の荷台に載置した状態を貨物車両の側方からみた図である。 本発明の貨物車両用荷台ラックを組み立てている状態を示した斜視図である。 本発明の貨物車両用荷台ラックを組み立てた状態を示した斜視図である。 本発明の貨物車両用荷台ラックにおける下段パネルを分解した状態を示した斜視図である。 本発明の貨物車両用荷台ラックにおける上段パネルを分解した状態を示した斜視図である。 本発明の貨物車両用荷台ラックにおける下段パネル同士を積み重ねた状態を示した斜視図である。 本発明の貨物車両用荷台ラックにおける第一下側支柱に第一中間支柱を挿し込んで互いに固定した状態を第一下側支柱の中心軸を通る面で切断した状態を示した断面図である。
以下、本発明の貨物車両用荷台ラックの好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。図1は、本発明の貨物車両用荷台ラック10を貨物車両30の荷台31に載置した状態を貨物車両30の側方からみた図である。図2は、本発明の貨物車両用荷台ラック10を組み立てている状態を示した斜視図である。図3は、本発明の貨物車両用荷台ラック10を組み立てた状態を示した斜視図である。図4は、本発明の貨物車両用荷台ラック10における下段パネル11を分解した状態を示した斜視図である。図5は、本発明の貨物車両用荷台ラック10における上段パネル13を分解した状態を示した斜視図である。図6は、本発明の貨物車両用荷台ラック10における下段パネル11同士を積み重ねた状態を示した斜視図である。図7は、本発明の貨物車両用荷台ラック10における第一下側支柱12aに第一中間支柱12cを挿し込んで互いに固定した状態を第一下側支柱12aの中心軸を通る面で切断した状態を示した断面図である。
(1)貨物車両用荷台ラックの概要
本実施態様の貨物車両用荷台ラック10は、図1に示すように、直接積み重ねることができない荷物20を上段と下段の2段で積載するためのものとなっており、貨物車両30の荷台31に複数台並べて載置するものとなっている。1台の貨物車両30に載せる貨物車両用荷台ラック10の台数は、貨物車両30や荷物20の種類などによっても異なる。図1の例において、貨物車両30は、10トンクラスのトラックとしている。また、荷物20は、各パーツが分解された状態でダンボールに梱包された組立前のユニットバスとしている。そして、1台の貨物車両30につき、7台の貨物車両用荷台ラック10を載せることができるようにしている。それぞれの貨物車両用荷台ラック10には、その上段と下段とに1つずつ荷物20を載せることができるようになっており、1台の貨物車両30で14個の荷物20を運搬できるようにしている。
それぞれの貨物車両用荷台ラック10は、図2に示すように、平面視矩形状の下段パネル11と、下段パネル11の上面における四隅部から上向きに立設された4本の第一支柱12と、4本の第一支柱12によってその下面における四隅部を支えられて下段パネル11の上方で下段パネル11と平行な状態で支持された平面視矩形状の上段パネル13と、上段パネル13の上面における四隅部から上向きに立設された4本の第二支柱14とで構成されている。第一支柱12や第二支柱14の素材は、必要な強度を有するのであれば特に限定されないが、通常、鉄鋼が採用される。
(2)第一支柱
第一支柱12は、図2に示すように、下段パネル11に一体的に固定された第一下側支柱12aと、上段パネル13に一体的に固定された第一上側支柱12bと、第一下側支柱12aと第一上側支柱12bとを連結する第一中間支柱12cとで構成されている。第一下側支柱12aは、下段パネル11の上面における四隅部から上向きに設けられており、第一上側支柱12bは、上段パネル13の下面における四隅部から下向きに設けられている。第一下側支柱12a及び第一上側支柱12bは、内部が中空なパイプ状とされており、第一下側支柱12a及び第一上側支柱12bの内径は、第一中間支柱12cの外径と同じか僅かに大きく設定されている。このため、第一中間支柱12cの上端部及び下端部をそれぞれ第一下側支柱12a及び第一上側支柱12bの内部に挿入し、第一中間支柱12cを第一下側支柱12a及び第一上側支柱12bに対してスライドさせることができるようになっている。第一中間支柱12cは、中実な棒材を使用してもよいが、本実施態様の貨物車両用荷台ラック10においては、第一中間支柱12cもパイプ状としており、第一中間支柱12cの製造コストの削減や軽量化を図っている。
第一中間支柱12cの下端部の周壁には、図7に示すように、1組のボルト孔12cが設けられている。一方、第一下側支柱12aの周壁には、図7に示すように、4組のボルト孔12a,12a,12a,12aが設けられている。このうち、一番上側に設けられたボルト孔12aは、第一下側支柱12aにおける1つの面のみに設けられているが、その下側に設けられたボルト孔12a,12a,12aは、第一下側支柱12aにおける対向する一対の面に設けられている。このボルト孔12a,12a,12aは、第一中間支柱12cを第一下側支柱12aの内部に挿入させて第一下側支柱12aの高さを調節することにより、第一中間支柱12cに設けられたボルト孔12cと一致させることができるようになっている。
このため、図7に示すように、ボルト孔12a,12a,12aのいずれか1組と、ボルト孔12cとが一致するように、第一中間支柱12cの高さを調節し、一致したボルト孔12a,12a,12aとボルト孔12cとに、共通の固定用ボルト15を挿入して第一下側支柱12aの両側で固定することにより、第一下側支柱12aに対して第一中間支柱12cを固定して、第一下側支柱12aに対する第一中間支柱12cの高さを固定することができるようになっている。一方、ボルト孔12aには、押圧用ボルト16を挿入し、押圧用ボルト16の先端で第一中間支柱12cの外周面を押圧することができるようになっている。この押圧用ボルト16は、第一中間支柱12aの内周面と第一中間支柱12cの外周面との間に隙間が存在する場合であっても、第一下側支柱12aの内部で第一中間支柱12cがぐらつかないように押さえるためのものとなっている。
本実施態様の貨物車両用荷台ラック10においては、図7に示すように、第一中間支柱12cの高さ調節のために、第一下側支柱12aに3つのボルト孔12a,12a,12aを設けており、第一下側支柱12aに対する第一中間支柱12cの高さを3段階で調節できるようにしている。しかし、第一中間支柱12cの高さ調節のために設けるボルト孔の個数は、3個に限定されず、2個であっても、4個以上であってもよい。第一中間支柱12cの高さを多段階で調節可能としたい場合には、ボルト孔の個数を増やせばよい。また、本実施態様の貨物車両用荷台ラック10においては、ボルト孔12a,12a,12aの配置ピッチを10cmとしており、第一中間支柱12cの高さを10cmごとに調節できるようにしているが、ボルト孔12a,12a,12aの配置ピッチは、これに限定されず、10cm未満でも、10cmを超えてもよい。ボルト孔12a,12a,12aの配置ピッチは、通常、3〜30cmとされ、好ましくは、5〜20cmとされる。
ところで、本実施態様の貨物車両用荷台ラック10においては、図2に示すように、第一中間支柱12cの上端部と下端部は、上下に略対称な形態としている。また、第一下側支柱12aと第一上側支柱12bも、上下に略対称な形態としている。このため、(1)第一中間支柱12cの上端部の周壁に1組(一対)のボルト孔を設ける点、(2)第一上側支柱12bの周壁に4組のボルト孔を設ける点、(3)第一上側支柱12bの周壁に設けた4組のボルト孔のうち3組を固定用ボルト15(図7を参照)を挿入するためのものとし、1組を押圧用ボルト16(図7を参照)を挿入するためのものする点などは、第一中間支柱12cの下端部及び第一下側支柱12aと略同様となっている。固定用ボルト15を挿入するための3組のボルト孔の配置ピッチなど、他の構成についても、第一下側支柱12aと第一上側支柱12bとで同様である。したがって、本実施態様の貨物車両用荷台ラック10では、下段パネル11に対する上段パネル13の高さを10cmごとに5段階で調節することができるようになっている。具体的には、下段パネル11の上面と上段パネル13の下面との間隔を、120cm、130cm、140cm、150cm、160cmの5段階で調節できるようにしている。
第一支柱12を上記のような構造とすることにより、第一支柱12を簡素で壊れにくくしながらも、高さを多段階で調節できるようにするとともに、下段パネル11と上段パネル13とをしっかりと連結して、上段パネル13がぐらつかないように安定させることが可能となっている。また、貨物車両用荷台ラック10を下段パネル11と上段パネル13とを分離することができるようになっており、様々な運搬態様に柔軟に対応することが可能となっている。
(3)下段パネル
下段パネル11は、図4に示すように、その外周部を形成する第一フレーム11aと、第一フレーム11aの上面に張られた第一板材11bとで構成されている。上述した第一下側支柱12aは、下段パネル11の第一フレーム11aにおける角部上面に溶接などにより固定される。第一フレーム11aは、第一フレーム11aの前縁及び後縁を形成する一対の長フレーム11aと、一対の長フレーム11aを前後方向に連結する3本の短フレーム11aとで構成されている。長フレーム11aと短フレーム11aは、中実な棒材で形成してもよいが、本実施態様の貨物車両用荷台ラック10においては、素材の使用量や重量を抑えるため、いずれも中空な棒材(鋼管)を使用している。
具体的に、長フレーム11aは、幅広の溝型鋼を下向きに(溝の開口部が下面側となるように)して、その下面を鋼板で覆うことにより形成している。長フレーム11aの長手方向両端部は、開口端としている。これにより、フォークリフトの爪などを長フレーム11aの内部に挿入して、下段パネル11を運搬することが可能になる。また、溝型鋼の下面に設けた鋼板によってフォークリフトの爪を下側から押さえることも可能になるので、フォークリフトの爪が長い場合だけでなく、ある程度短い場合であっても、フォークリフトを使用して下段パネル11を運搬することが可能になる。溝型鋼の下面を覆う鋼板は、溝型鋼の長さ方向全体に亘って設けてもよいが、少なくとも、溝型鋼の長手方向両端部と、その間に所定ピッチ(通常、20〜100cm、好ましくは、30〜70cm)で設けるとよい。これにより、下段パネル11を軽量化することが可能になる。一方、短フレーム11aは、パイプ状の鋼管を使用している。
第一板材11bは、図4に示すように、複数本の細長い板材11bを並列に配することによって構成している。板材11bは、図示省略の釘やボルトや接着剤などの固定手段を用いて、長フレーム11aや短フレーム11aに対して固定される。板材11bの素材は、必要な強度を有するものであれば特に限定されないが、通常、表面の摩擦係数の大きな木材が使用される。なかでも、アピトン材は、強度や耐久性だけでなく、摩擦係数にも優れているため、板材11bとして好適である。板材11bには、防腐処理を行うと好ましい。
本実施態様の貨物車両用荷台ラック10においては、図4に示すように、第一板材11bの両側の側縁(短辺)における中央部を内側に凹ませて形成しており、図2に示すように、下段パネル11の両側の側縁(短辺)近傍に、一対の開口部11bが形成されるようにしている。このため、例えば、図6に示すように、一の貨物車両用荷台ラック10における下段パネル11を他の貨物車両用荷台ラック10における下段パネル11と積み重ねた際に、下側に配された下段パネル11における第一下側支柱12aを上側に配された下段パネル11における開口部11bに挿入できるようにしている。したがって、下段パネル11を嵩張らないように積み重ねることが可能となっている。開口部11bは、下段パネル11における四隅部近傍など、他の場所に設けてもよい。
下段パネル11の寸法は、貨物車両30(図1を参照)の荷台の寸法や、荷物20(図1を参照)の寸法などによって異なり、特に限定されない。本実施態様の貨物車両用荷台ラック10において、下段パネル11は、10トンクラスのトラックの荷台31に隙間なく載置できるように、その幅(長手方向の長さ)を233cmとしている。また、下段パネル11の長さ(短手方向の長さ)は、100cmとしており、10トンクラスのトラックの荷台に前後方向に7つの貨物車両用荷台ラック10を載置できるようにしている。
(4)上段パネル
上段パネル13は、図5に示すように、その外周部を形成する第二フレーム13aと、第二フレーム13の上面に張られた第二板材13bとで構成されている。上述した第一上側支柱12bは、上段パネル13の第二フレーム13aにおける角部下面に溶接などにより固定され、第二支柱14は、上段パネル13の第二フレーム13aにおける角部上面に溶接などにより固定される。第二フレーム13aは、第二フレーム13aの前縁及び後縁を形成する一対の外側長フレーム13aと、第二フレーム13aの側縁を形成する一対の外側短フレーム13aと、外側短フレーム13aを横方向に連結する2本の内側長フレーム13aと、外側長フレーム13aや内側長フレーム13aを前後方向に連結する合計9本の内側短フレーム13aとで構成されている。外側長フレーム13a、外側短フレーム13a、内側長フレーム13a及び内側短フレーム13aは、中実な棒材で形成してもよいが、本実施態様の貨物車両用荷台ラック10においては、素材の使用量や重量を抑えるため、いずれも中空な棒材(鋼管)を使用している。
第二板材13bは、図5に示すように、複数本の細長い板材15bを並列に配することによって構成している。板材15bは、図示省略の釘やボルトや接着剤などの固定手段を用いて、第二フレーム13aに対して固定される。板材13bの素材は、第一板材11bにおける板材11bと同様である。また、上段パネル13においては、第二板材13bの四隅部を内側に凹ませて形成しており、図2に示すように、上段パネル13の四隅部近傍に4つの開口部13bが形成されるようにしている。このため、例えば、一の貨物車両用荷台ラック10における上段パネル13を他の貨物車両用荷台ラック10における上段パネル13と積み重ねた際に、下側に配された上段パネル13に固定された第二支柱14を上側に配された上段パネル13における開口部13bに挿入できるようにしている。したがって、上段パネル13を嵩張らないように積み重ねることが可能となっている。開口部11bは、上段パネル13における他の場所に設けてもよい。
上段パネル13の寸法は、下段パネル11の寸法と同様、貨物車両30(図1を参照)の荷台の寸法や、荷物20(図1を参照)の寸法などによって異なり、特に限定されない。本実施態様の貨物車両用荷台ラック10において、上段パネル13の幅(長手方向の幅)は250cmとしており、下段パネル11の幅よりも広くしている。これは、上段パネル13は、その両側に荷台31(図1を参照)の側壁(あおり)が存在していないため、該側壁の厚さの分だけ、上段パネル13の幅を広くできるからである。
(5)その他
本実施態様の貨物車両用荷台ラック10は、各種の貨物車両30(図1を参照)に載せることができるが、トラックに積載するものとして好適である。貨物車両用荷台ラック10を載せるトラックの種類は、特に限定されない。この場合、本実施態様の貨物車両用荷台ラック10は、荷台31がコンテナ状のコンテナタイプのトラックに載せてもよいが、荷台31が高さ数十cm程度の側壁(あおり)で囲われた平ボディタイプのトラックに載せると好ましい。トラックは、2トンクラスのものであってもよいし、10トン以上のものであってもよい。
トラックの荷台31に貨物車両用荷台ラック10を載せる場合には、図示省略のロープやチェーンなどの紐材を使用して、貨物車両用荷台ラック10をトラックに固定することもできる。本実施態様の貨物車両用荷台ラック10においては、図5に示すように、上段パネル11の第二フレーム13aの下面四隅部にロープやチェーンなどを固定するためのシャックルピースを設けている。これにより、貨物車両用荷台ラック10をトラックの荷台31に対して位置ズレしないように固定することが可能になる。
また、下段パネル11に載せた荷物20(図1を参照)は、荷台31の側面パネルでその動きを規制されるため、下段パネル11上の荷物20が下段パネル11から落ちる心配はないが、上段パネル13に載せた荷物20は、急ブレーキや急発進、急カーブを曲がる際などに上段パネル13から落ちる場合も考えられる。このため、第二支柱14(図3を参照)にロープやチェーンなどの紐材を掛け回して、上段パネル11の周囲に囲いを形成すると好ましい。また、前後に隣り合う貨物車両用荷台ラック10の間に図示省略のパネルを立てることも好ましい。以上、本発明の貨物車両用荷台ラック10は、荷物20を2段で積載することが可能なものとなっている。
10 貨物車両用荷台ラック
11 下段パネル
11a 第一フレーム
11a 長フレーム
11a 短フレーム
11b 第一板材
11b 板材
11b 開口部
12 第一支柱
12a 第一下側支柱
12a ボルト孔
12a ボルト孔
12a ボルト孔
12a ボルト孔
12b 第一上側支柱
12c 第一中間支柱
12c ボルト孔
13 上段パネル
13a 第二フレーム
13a 外側長フレーム
13a 外側短フレーム
13a 内側長フレーム
13a 内側短フレーム
13b 第二板材
13b 板材
13b 開口部
14 第二支柱
15 固定用ボルト
16 押圧用ボルト
20 荷物
30 貨物車両
31 荷台

Claims (3)

  1. 貨物車両の荷台に載置することにより、該荷台で荷物を上段と下段の2段で積載することを可能とする貨物車両用荷台ラックであって、
    平面視矩形状の下段パネルと、下段パネルの上面における四隅部から上向きに立設された少なくとも4本の第一支柱と、該4本の第一支柱によってその下面における四隅部を支えられて下段パネルの上方で下段パネルと平行な状態で支持された平面視矩形状の上段パネルと、上段パネルの上面における四隅部から上向きに立設された少なくとも4本の第二支柱とを備え、
    それぞれの第一支柱が、径の異なる複数本のパイプを継いで形成された伸縮パイプで構成され、使用時には、第一支柱を伸縮させてその長さを変えることにより、上段パネルの高さを調節できるとともに、不使用時には、第一支柱を分離することにより、下段パネルと上段パネルとを分離することができるようにし、
    上段パネルの幅を下段パネルの幅よりも広く形成することにより、使用時には、荷台の側壁の厚さの分だけ、上段パネルの幅を広く確保できるようにし、
    下段パネルにおける一対の側縁の中央部近傍と、上段パネルにおける四隅部近傍とにそれぞれ開口部を設けることにより、下段パネルと上段パネルとを分離して、一の貨物車両用荷台ラックにおける下段パネルを他の貨物車両用荷台ラックにおける下段パネルと積み重ねた際、一の貨物車両用荷台ラックにおける上段パネルを他の貨物車両用荷台ラックにおける上段パネルと積み重ねた際、又は、下段パネルと上段パネルとを積み重ねた際に、下側に配された下段パネル又は上段パネルにおける第一支柱又は第二支柱を上側に配された下段パネル又は上段パネルにおける前記開口部に挿入できるようにしたことを特徴とする貨物車両用荷台ラック。
  2. それぞれの第一支柱が、下段パネルの上面から上向きとなるように下段パネルに対して一体的に固定された第一下側支柱と、上段パネルの下面から下向きとなるように上段パネルに対して一体的に固定された第一上側支柱と、その上端部及び下端部がそれぞれ第一上側支柱と第一下側支柱に内挿されて第一上側支柱と第一下側支柱とを連結する第一中間支柱とで構成され、
    第一上側支柱に対する第一中間支柱の固定位置を調節することにより、又は第一下側支柱に対する第一中間支柱の固定位置を調節することにより、それぞれの第一支柱を伸縮させることができるようにした請求項1記載の貨物車両用荷台ラック。
  3. 下段パネルが、その外周部を形成する第一フレームと、第一フレームの上面に張られた第一板材とで構成され、
    上段パネルが、その外周部を形成する第二フレームと、第二フレームの上面に張られた第二板材とで構成され、
    下段パネルの前記開口部が、第一板材における一対の側縁の中央部を内側に凹ませて形成することにより設けられ、上段パネルの前記開口部が、第二板材における四隅部を内側に凹ませて形成することにより設けられた請求項1又は2記載の貨物車両用荷台ラック。
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