以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、本実施形態に係る移動間仕切りパネル10が、天井1と床2との間において、他の移動間仕切りパネル11,12と共に配置されている状態が示されている。それぞれの移動間仕切りパネル10〜12は同じ構造で構成されているため、以下の説明では、これらの移動間仕切りパネル10〜12の代表例として移動間仕切りパネル10の構造を説明する。
本実施形態に係る移動間仕切りパネル10の上部には、引き違い式の2個の障子13,14で開閉される小窓15が形成されている。また、移動間仕切りパネル10は、天井1に配置された天井ガイドレール3から吊り下げられた上吊り式の移動間仕切りパネルになっている。
天井ガイドレール3は、図1のS3−S3線断面図である図3に示されている。このガイドレール3の内部には上下2段の突出段部3A,3Bが形成されており、それぞれの突出段部3A,3Bの上面には、移動間仕切りパネル10の上部から上方へ延びている吊り下げロッド16の所定高さ位置に水平に回転自在に取り付けられている上下2個の吊り下げローラ17,18が係合している。吊り下げロッド16の下部は、移動間仕切りパネル3の上部の構造材となっているリップ部19A付きチャンネル部材19の上部に形成されている2個のリップ部19Aの間の隙間に挿入され、吊り下げロッド16のねじ部16Aにリップ部19Aを挟んで上下2個螺合されたナット20,21によりリップ部19Aを挟着することにより、吊り下げロッド16は移動間仕切りパネル10に結合されている。
そして、図1に示されているように、吊り下げロッド16とローラ17,18等で構成される吊り下げ手段は移動間仕切りパネル10の幅方向(左右方向)に複数個設けられており、移動間仕切りパネル10が手押し操作等されることにより、それぞれの吊り下げ手段のローラ17,18がガイドレール3の突出段部3A,3Bで案内されながら個別に回転して、移動間仕切りパネル10は天井ガイドレール3で案内されて移動する。
なお、図1や図3では、天井ガイドレール3が天井1の内部に埋め込まれた天井埋め込み型として示されているが、天井ガイドレールは、天井1の下面に取り付けられて天井1から露出している露出型でもよい。
図1に示されているように、移動間仕切りパネル10の左右の縁部のうち、一方の側部(図1では右側の縁部)には、第1密閉体となっている側部密閉体30が配置され、移動間仕切りパネル10の上下の縁部には、それぞれ第2密閉体となっている上部密閉体31と下部密閉体32とが配置されている。これらの上部密閉体31と下部密閉体32は、側部密閉体30に対して90度の角度をなしている。また、側部密閉体30と上部密閉体31、下部密閉体32との間には、すなわち、移動間仕切りパネル10の上部コーナー部と下部コーナー部には、上部コーナー用密閉体33と下部コーナー用密閉体34が配置されている。
図1のS4−S4線断面図である図4には、上部密閉体31が示されている。前記リップ部19A付きチャンネル部材19の外側には、移動間仕切りパネル10の上枠部材35が設けられており、上面が開口した断面四角形の中空部材となっているこの上枠部材35の内部にリップ部19A付きチャンネル部材19が配置されている。上部密閉体31は、下側のベース部材40と、このベース部材40に結合された上側の弾性部材41とからなる。ベース部材40は、移動間仕切りパネル10の厚さ方向両側において、リップ部19A付きチャンネル部材19と上枠部材35との間で下方へ延びている2個のスカート部40Aと、これらのスカート部40A同士を連結し、リップ部19A付きチャンネル部材19のリップ部19Aの上に配置された連結部40Bとからなる。また、弾性部材41は、それぞれのスカート部40Aと対応する位置において2個設けられ、これらの弾性部材41はベース部材40の連結部40Bに結合されている。
また、ベース部材40の連結部40Bの内部には、上下の寸法が小さい空洞部42が形成されており、連結部40Bの下部には、空洞部42よりも移動間仕切りパネル10の厚さ方向の寸法が小さい連通部43が形成されているため、上部密閉体31の内部に設けられている空洞部42はこの連通部43を介して外部と連通している。これらの空洞部42と連通部43は、上部密閉体31の全長に渡って連続して形成されている。
以上の上部密閉体31は、ベース部材40のスカート部40Aの長さ分だけ上枠部材35との重複関係を維持したまま、移動間仕切りパネル10に対して上方へ突出可能となっており、このため、上部密閉体31は上下方向へ移動可能である。
なお、ベース部材40の連結部40Bには、図3で説明した吊り下げロッド16と対応する位置において、この吊り下げロッド16を上下に貫通させる孔が形成されている。
図4には、図1で示された下部密閉体32も示されている。移動間仕切りパネル10の下部には、下枠体44が設けられており、この下枠体44は、下面が開口した断面四角形の中空部材となっている外側の外枠部材45と、この外枠部材45の内部に配置された内枠部材46とからなる。下部密閉体32は、上側のベース部材47と、このベース部材47に結合された下側の弾性部材48とからなる。ベース部材47は、移動間仕切りパネル10の厚さ方向両側において、外枠部材45と内枠部材46との間で上方へ延びている2個のスカート部47Aと、これらのスカート部47A同士を連結し、内枠部材46の下部46Aの下に配置された連結部47Bとからなる。弾性部材48は、それぞれのスカート部47Aと対応する位置において2個設けられ、これらの弾性部材48はベース部材47の連結部47Bに結合されている。
また、ベース部材47の連結部47Bの内部には、上下の寸法が小さい空洞部49が形成されており、連結部47Bの上部には、空洞部49よりも移動間仕切りパネル10の厚さ方向の寸法が小さい連通部50が形成されているため、下部密閉体32の内部に設けられている空洞部49はこの連通部50を介して外部と連通している。これらの空洞部49と連通部50は、下部密閉体32の全長に渡って連続して形成されている。
以上の下部密閉体32は、ベース部材47のスカート部47Aの長さ分だけ下枠体44の外枠部材45との重複関係を維持したまま、移動間仕切りパネル10に対して下方へ突出可能となっており、このため、下部密閉体32は上下方向へ移動可能である。
図5は図1のS5−S5線断面図であり、この図5には、図1で示された側部密閉体30が示されている。移動間仕切りパネル10の側部密閉体30が配置されている側部には、側枠部材51が配置され、この側枠部材51は、側部が開口した断面略四角形の中空部材となっている。側部密閉体30は、移動間仕切りパネル10の幅方向の内側に配置されたベース体52と、移動間仕切りパネル10の幅方向の外側に配置された弾性部材53とからなる。ベース体52は、側枠部材51の外側に配置された外部材54と、この外部材54の内側に配置されているとともに、側枠部材51の開口している側部開口部51Aに挿入されている内部材55とからなる。外部材54には、側枠部材51における移動間仕切りパネル10の厚さ方向両側の側面51Bを覆う2個のスカート部54Aと、これらのスカート部54Aを連結する連結部54Bとが設けられている。また、内部材55には、側枠部材51における移動間仕切りパネル10の厚さ方向両側の側面51Bによって覆われる2個のスカート部55Aと、これらのスカート部55Aを連結する連結部55Bとが設けられている。
外部材54の連結部54Bには、移動間仕切りパネル10の内側へ窪んだ凹部56が形成され、この凹部56に側部密閉体30の弾性部材53が接着等されて固定配置されており、また、外部材54の連結部54Bと内部材55の連結部55Bは、補強部材57と共にビス等の止着具58で止着されている。
また、側部密閉体30の内部には空洞部59が形成されている。本実施形態の空洞部59は、止着具58の頭部を配置できるようにするために外部材54の連結部54Bの凹部56と弾性部材53との間に設けられた空間部となっている。そして、止着具58は、移動間仕切りパネル10の厚さ方向に2個設けられているため、空洞部59も、移動間仕切りパネル10の厚さ方向に2個設けられており、これらの空洞部59は側部密閉体30の全長に亘って連続して形成されている。
以上の側部密閉体30は、ベース体52の外部材54のスカート部54A及び内部材55のスカート55Aの長さ分だけ側枠部材51の側面51Bとの重複関係を維持したまま、移動間仕切りパネル10に対して側方へ突出可能となっており、このため、側部密閉体30は左右方向へ、言い換えると、移動間仕切りパネル10の幅方向へ移動可能である。
図2には、上部密閉体31と下部密閉体32と側部密閉体30が突出した状態が示されている。このときには、上部密閉体31は天井1に、下部密閉体32は床2に、それぞれ密接して天井1及び床2との間の密閉性が確保されているとともに、側部密閉体30は、移動間仕切りパネル10と移動間仕切りパネル12とが近接して配置されていることにより、移動間仕切りパネル12に密接し、これにより、両方の移動間仕切りパネル10と12との間の密閉性が確保されている。そして、移動間仕切りパネル10と11との間の密閉性は、移動間仕切りパネル11に設けられている側部密閉体30が突出することによって確保される。
また、前述した上部コーナー用密閉体33は、天井1と移動間仕切りパネル12とに密接し、下部コーナー用密閉体34は、床2と移動間仕切りパネル12とに密接している。
図6には、移動間仕切りパネル10の側部密閉体30を移動させるための密閉体移動機構の正面図が示されている。この移動機構は、ベベルギア装置60と、このベベルギア装置60から上下両方向に延びる2本の回転軸61とを含んで構成されている。これらのベベルギア装置60と回転軸61の拡大された側面図は、図7に示されている。ベベルギア装置60は、支持枠63でそれぞれが回転自在に支持されている回転軸61の互いに対向する端部に結合された被動ベベルギア64と、これらの被動ベベルギア64の間に配置され、これらの被動ベベルギア64と噛合している駆動ベベルギア65とを有し、駆動ベベルギア65に結合されている駆動軸66の端部は支持枠63から突出しており、この駆動軸66のこの突出端部に、ハンドル等の手動工具67が挿抜自在に係合される係合部66Aが設けられている。
このため、ハンドル等の手動工具67を手動で回転操作すると、この回転は駆動ベベルギア65と被動ベベルギア64を介して2本の回転軸61に伝達される。
なお、移動間仕切りパネル10の内部に配置されている駆動軸66の係合部66Aに手動工具67を挿入できるようにするための孔68が、図1及び図5に示されているように、移動間仕切りパネル10の表面に形成されている。
2本の回転軸61と関係する密閉体移動機構の構造は、図6に示されているように、上下逆となった対称構造で構成されている。このため、これらの構造を、図6により、ベベルギア装置60から上方向に延びる回転軸61についての構造を代表例として以下に説明する。
回転軸61には右ねじ部61Aと左ねじ部61Bとが形成され、右ねじ部61Aには第1移動体71の第1ナット部となっている第1ナット部材71Aが螺合し、左ねじ部61Bには第2移動体72の第2ナット部となっている第2ナット部材72Aが螺合している。また、第1移動体71は、第1ナット部材71Aが結合されたプレート状のスライド部材71Bに、第1リンク部材73の基端部がピン74を中心に揺動自在に連結された突部71Cを形成したものであり、第2移動体72は、第2ナット部材72Aが結合されたプレート状のスライド部材72Bに、第2リンク部材75の基端部がピン76を中心に揺動自在に連結された突部72Cを形成したものである。
第1リンク部材73の先端部と第2リンク部材75の先端部は、ブラケット部材77と共にピン78で互いに回動自在に連結され、このブラケット部材77に、図5及び図6に示されているように、側部密閉体30を構成しているベース体52の外部材54の連結部54Bと内部材55の連結部55Bとが補強部材57を介して結合されている。また、図5に示されているように、移動間仕切りパネル10の内部には、前述した側枠部材51よりも移動間仕切りパネル10の幅方向内側において、ガイド部材79が配置され、側部密閉体30の側が開口したチャンネル形状となっているこのガイド部材79における移動間仕切りパネル10の厚さ方向両側には、ガイド溝79Aが形成されている。これらのガイド溝79Aに、第1及び第2移動体71,72のプレート状のスライド部材71B,72Bにおける移動間仕切りパネル10の厚さ方向の両端部がスライド自在に挿入されている。
このため、図6で示す駆動軸66の係合部66Aに係合させた手動工具67を手動で回転操作し、これにより、ベベルギア装置60を介して回転軸61を回転させると、回転軸61上における図8に示される位置にあった第1移動体71と第2移動体72は、ガイド部材79のガイド溝79Aでスライド部材71B,72Bが案内されることにより、図10に示される互いに近づいた位置に達し、これにより、ピン78で互いに回動自在に連結された第1リンク部材73と第2リンク部材75の先端側に配置されている側部密閉体30は、回転軸61の軸方向と直交する方向へ突出移動することになる。このときの側部密閉体30の状態が図2に示されている。また、手動工具67を逆回転操作すると、第1移動体71と第2移動体72は図10に示されている位置から図8に示されている互いに遠ざかった位置に戻り移動し、これにより、第1リンク部材73と第2リンク部材部材75を介して側部密閉体30は回転軸61の軸方向と直交する方向へ後退移動することになる。
図6に示されているように、回転軸61の終端部付近には、すなわち、前述した被動ベベルギア64が結合された端部とは反対側の端部の付近には、ねじ部61Cが形成されており、このねじ部61Cに螺合されたナット部材80には延長部材81の基端部が結合されている。この延長部材81の先端部には結合部材82,83によりガイドロッド84の基端部が結合されている。このガイドロッド84の外周には、前述した上部密閉体31を取り付けるための取付部材85の折曲基端部85Aが上下方向に、言い換えると、回転軸61の軸方向にスライド自在に挿入されており、板金の折り曲げ品であるこの取付部材85は、ガイドロッド84の外周に嵌合されたコイルばね86により、ガイドロッド84の先端部に設けたストップ部材87に折曲基端部85Aが当接するまで、ガイドロッド84の先端の側へ常時押圧されている。
これらの延長部材81及び取付部材85における移動間仕切りパネル10の厚さ方向の両端部も、ガイド部材79のガイド溝79Aにスライド自在に挿入されている。
回転軸61に形成されているねじ部61Cは、上述のように手動工具67を手動で回転操作することによって側部密閉体30を突出移動させたときに、ナット部材80により延長部材81及び取付部材85を移動間仕切りパネル10から突出させる方向へ移動させるためのものとなっており、したがって、手動工具67を手動で逆回転操作したときには、ナット部材80により延長部材81及び取付部材85は後退する方向に、すなわち、移動間仕切りパネル10の内部へ没入する方向に移動する。
取付部材85の先端部も折曲先端部85Bとなっており、この折曲先端部85Bに上部密閉体31が取り付けられている。この取り付けは、図4で示されている上部密閉体31の連通部43から空洞部42に折曲先端部85Bを挿入することにより行われる。連通部43と空洞部42が形成されている上部密閉体31のベース部材40は弾性変形可能となった弾性材料で形成されているため、空洞部42と略同じとなった移動間仕切りパネル10の厚さ方向の寸法を有する折曲先端部85Aを連通部43を介して空洞部42に挿入係合することができ、取付部材85の連通部43と対応する部分における移動間仕切りパネル10の厚さ方向の寸法は、連通部43と略同じになっている。
以上の説明は、前述のベベルギア装置60から上方向に延びる回転軸61についてであったが、ベベルギア装置60から下方向に延びる回転軸61に設けられている取付部材85の折曲先端部85Bには、前述した下部密閉体32が取り付けられている。この取り付けは、ベベルギア装置60から上方向に延びる回転軸61に連結されている取付部材85の折曲先端部85Bへの上部密閉体31についての上述した取付構造と同じ構造によって行われている。
これにより、上部密閉体31及び下部密閉体32は、密閉体移動機構を構成する回転軸61や、延長部材81、ガイドロッド84、取付部材85等を介して互いに連結されていることになる。
また、以上の説明は、上部密閉体31及び下部密閉体32における側部密閉体30側の部分を移動させるための機構についてあったが、上部密閉体31及び下部密閉体32における側部密閉体30とは反対側の部分を移動させるための機構も移動間仕切りパネル10に設けられている。この機構は、上述したベベルギア装置60や、このベベルギア装置60から上下両方向に延びる2本の回転軸61、これらの回転軸61に延長部材81とガイドロッド84とを介して連結された取付部材85と同様な装置、部材で構成された機構となっている。しかし、この機構には、側部密閉体30を移動させるために用いられている前述した第1移動体71や第2移動体72は設けられていない。
また、上部密閉体31及び下部密閉体32における側部密閉体30とは反対側の部分を移動させるためのベベルギア装置の駆動軸を回転駆動させるためのハンドル等の手動工具を挿入するための孔88が、図1及び図5に示されているように、前述の孔68とは移動間仕切りパネル10の幅方向の反対側におけるこの移動間仕切りパネル10の表面に設けられている。そして、この孔88に手動工具67を挿入して回転操作したときに回転する回転軸89が、図5に示されている。
側部密閉体30を移動間仕切りパネル10から突出移動させるために、孔68に手動工具67を挿入して回転軸61を回転させると、延長部材81、ガイドロッド84及び取付部材85を介して上部密閉体31及び下部密閉体32における側部密閉体30側の部分が移動間仕切りパネル10から突出移動し、また、孔88に手動工具67を挿入して回転軸89を回転させると、上部密閉体31及び下部密閉体32における側部密閉体30とは反対側の部分が移動間仕切りパネル10から突出移動する。そして、孔68,88に挿入した手動工具67を逆方向に回転操作すると、側部密閉体30と上部密閉体31と下部密閉体32は、移動間仕切りパネル10の内部の方向へ後退移動する。
以上の説明から分かるように、回転軸61のねじ部61Cに螺合されたナット部材80が結合された延長部材81と、この延長部材81にガイドロッド84を介して連結された取付部材85とにより、回転軸61が回転したときに、第2密閉体となっている上部密閉体31及び下部密閉体32を回転軸61の軸方向へ移動させるための移動手段90(図6を参照)が形成されていることになる。
図1で示されている上部コーナー用密閉体33は、図11及び図12に示されている上部連結部材91に取り付けられ、下部コーナー用密閉体34は、図11及び図12に示されている下部連結部材92に取り付けられている。
上部連結部材91は、水平部91Aと、この水平部91Aにおける移動間仕切りパネル10の幅方向外側の端部から下方へ延びる垂直部91BとからなるL字状になっており、水平部91Aは、上部密閉体31の端部からこの上部密閉体31の内部に形成されている図4の空洞部42にスライド自在に挿入されているとともに、垂直部91Bは、側部密閉体30の上端部からこの側部密閉体30の内部に形成されている図5の空洞部59にスライド自在に挿入されている。また、下部連結部材92は、水平部92Aと、この水平部92Aにおける移動間仕切りパネル10の幅方向外側の端部から上方へ延びる垂直部92BとからなるL字状になっており、水平部92Aは、下部密閉体32の端部からこの下部密閉体32の内部に形成されている図4の空洞部49にスライド自在に挿入されているとともに、垂直部92Bは、側部密閉体30の下端部からこの側部密閉体30の内部に形成されている図5の空洞部59にスライド自在に挿入されている。
空洞部59は移動間仕切りパネル10の厚さ方向に2個設けられているため、上部連結部材91と下部連結部材92のそれぞれの垂直部91B,92Bは、二股形状となっている。
このように上部連結部材91は、側部密閉体30と上部密閉体31とに跨っており、また、下部連結部材92は、側部密閉体30と下部密閉体32とに跨っている。このため、第1密閉体となっている側部密閉体30と、第2密閉体となっている上部密閉体31、下部密閉体32とは、これらの密閉体30〜32の内部にスライド自在に挿入された部分を有する上部連結部材91、下部連結部材92により連結された状態になっている。
そして、図11には、側部密閉体30と上部密閉体31と下部密閉体32が、移動間仕切りパネル10の内部の方向へ後退移動しているときが示されており、図12には、側部密閉体30と上部密閉体31と下部密閉体32が移動間仕切りパネル10から突出移動したときが示されている。この突出移動は、それぞれの連結部材91,92の水平部91A,92Aが上部密閉体31と下部密閉体32とに対して移動間仕切りパネル10の幅方向にスライド移動し、垂直部91B,92Bが側部密閉体30に対して上下方向にスライド移動することにより行われる。
以上のように構成されている密閉体移動機構において、側部密閉体30を突出移動させるために回転軸61を過度に回転させると、第1移動体71の第1ナット部材71A及び第2移動体72の第2ナット部材72Aが回転軸61の右ねじ部61A、左ねじ部61Bの端部に噛み込んでしまうという不都合が生じ、また、上部連結部材91の水平部91A、下部密閉体92の水平部92Aが上部密閉体31、下部密閉体32から抜け出してしまうという不都合も生ずる。
このような不都合を解消するために、図8と、図8のS9−S9線断面図である図9とに示されているように、第1移動体71と第2移動体72が互いに近づく距離を規制するためのストップ手段100が、第1移動体71と第2移動体72との間に配置されている。
このストップ手段100は、板金の折り曲げ品である延出部材101によって構成されており、この延出部材101は、第1移動体71から、第2移動体72における第1移動体71と対面する方向へ延びている。延出部材101の第1移動体71側の端部は、第1移動体71のスライド部材71Bにおける側部密閉体30側の表面にビス等の止着具102で止着され、延出部材101の第2移動体72側の端部は、回転軸61の方向へ90度に折り曲げられた折曲端部101Aとなっている。
このため、側部密閉体30を突出移動させるための回転軸61の回転量が所定量になると、図10に示されているように、延出部材101の折曲端部101Aは、第2移動体72のスライド部材72Bにおける第1移動体71と対面している前面部分に当接することになり、これにより、第1移動体71と第2移動体72がそれ以上近づくことが防止される。
このため、側部密閉体30を突出移動させるために回転軸61が過度に回転することは防止され、これにより、第1移動体71の第1ナット部材71A及び第2移動体72の第2ナット部材72Aが回転軸61の右ねじ部61A、左ねじ部61Bの端部に噛み込んでしまって、これらのナット部材71A,ナット部材72Aや右ねじ部61A、左ねじ部61Bが損傷してしまうことを防止できる。
また、側部密閉体30を突出移動させるために回転軸61が過度に回転することが防止されることにより、上部連結部材91の水平部91A、下部密閉体92の水平部92Aが上部密閉体31、下部密閉体32から抜け出してしまうことも防止することができる。
図13の実施形態に係るストップ手段100は、上述の延出部材101と、第1移動体71と第2移動体72との間に配置された筒部材105とにより構成されており、筒部材105は、回転軸61の外周に嵌合されている。
このストップ手段100によると、側部密閉体30を突出移動させるための回転軸61の回転量が所定量になると、図8〜図10の場合と同じく、延出部材101の折曲端部101Aが、第2移動体72のスライド部材72Bにおける第1移動体71と対面している前面部分に当接するとともに、筒部材105の一方の端部が、第1移動体71のスライド部材71Bにおける第2移動体72と対面している前面部分に当接し、また、筒部材105の他方の端部が、第2移動体72のスライド部材72Bにおける第1移動体71と対面している前面部分に当接する。
このため、側部密閉体30を突出移動させるために回転軸61が過度に回転することは、延出部材101と筒部材105との両方により防止されることになり、これらの延出部材101と筒部材105のそれぞれは、第1移動体71と第2移動体72が互いに近づく距離を個別に規制するためのものとなっているため、回転軸61が過度に回転することを一層有効に防止することができる。
また、筒部材105は回転軸61の外周に嵌合されて第1移動体71と第2移動体72との間に配置されているため、この筒部材105の配置を安定して行えることになる。
なお、筒部材105は、第1移動体71と第2移動体72のうち、一方に結合してこれらの第1移動体71と第2移動体72の間に配置してもよい。
図14の実施形態に示すストップ手段100は、上述の延出部材101と、第1移動体71と第2移動体72との間に配置されたコイルばね106とにより構成されており、このコイルばね106は、回転軸61の外周に嵌合されている。
この実施形態では、側部密閉体30を突出移動させるための回転軸61の回転量が所定量になると、言い換えると、延出部材101の折曲端部101Aが、第2移動体72のスライド部材72Bにおける第1移動体71と対面している前面部分に当接すると、コイルばね106は、それぞれのコイル部の間の隙間がなくなるいわゆる底づき状態となる。このため、回転軸61が過度に回転することは、延出部材101とコイルばね106との両方により防止されることになる。
また、この実施形態では、回転軸61の回転量が上記所定量に近づくと、コイルばね106のばね力が大きくなるため、回転軸61を回転させるために必要となる前述のハンドル等の手動工具67を回転操作するための操作力が大きくなり、このため、この操作を行う作業者に、回転軸61の回転量が所定量に近づいたことを感知させることができる。
また、コイルばね106は回転軸61の外周に嵌合されて第1移動体71と第2移動体72との間に配置されているため、このコイルばね106の配置を安定して行えることになる。
なお、この実施形態でも、コイルばね106を、第1移動体71と第2移動体72とのうち、一方に結合してこれらの第1移動体71と第2移動体72の間に配置してもよい。
また、第1移動体71と第2移動体72が互いに近づく距離を規制するためのストップ手段100は、図13で示す筒部材105だけのものでもよく、図14で示すコイルばね106だけのものでもよい。
以上の実施形態は、第1移動体71と第2移動体72が互いに近づく距離を規制するためのストップ手段100についての実施形態であったが、図15には、第1移動体71と第2移動体72が互いに遠ざかる距離を規制するためのストップ手段110が示されている。
このストップ手段110は、第1移動体71と第2移動体72のうち、第1移動体71から、第2移動体72における第1移動体71と対面する部分とは反対側の部分を越えて延び、端部111Aがこの反対側の部分と向かい合っている延出部材111と、この延出部材111の端部111Aと第2移動体72方との間に配置された中間部材となっているコイルばね112とにより構成されている。
板金の折り曲げ品となっている延出部材111の第1移動体71側の端部は、第1移動体71のナット部材71Aよりも第2移動体72とは反対側における第1移動体71のスライド部材71Bの裏面に、すなわち、第1移動体71のスライド部材71Bにおける側部密閉体30側とは反対側の面にビス等の止着具113で止着され、延出部材111の第2移動体72側の端部111Aは、回転軸61の方向へ90度に折り曲げられた折曲端部となっている。また、延出部材111のうち、回転軸61と対応する部分111B、111Cには、回転軸61が貫通する貫通孔が形成されている。また、コイルばね112は、回転軸61の外周に嵌合されている。
この実施形態によると、側部密閉体30を後退移動させるための回転軸61の回転量が所定量になると、延出部材111の折曲端部111Aが、第2移動体72のスライド部材72Bにおける第1移動体71と対面する前面部分とは反対側の後面部分に、それぞれのコイル部の間の隙間がなくなるいわゆる底づき状態となったコイルばね112を介して当接することになる。このため、側部密閉体30を後退移動させるために回転軸61が過度に回転することは、延出部材111とコイルばね112により防止されることになり、これにより、第1移動体71の第1ナット部材71A及び第2移動体72の第2ナット部材72Aが回転軸61の右ねじ部61A、左ねじ部61Bの端部に噛み込んでしまって、これらのナット部材71A,ナット部材72Aや右ねじ部61A、左ねじ部61Bが損傷してしまうことを防止できる。
また、この実施形態では、回転軸61の回転量が上記所定量に近づくと、コイルばね112のばね力が大きくなり、このため、回転軸61を回転させるために前述のハンドル等の手動工具67を回転操作するための操作力が大きくなり、これにより、この操作を行う作業者に、回転軸61の回転量が所定量に近づいたことを感知させることができる。
また、コイルばね112は、回転軸61の外周に嵌合されて第2移動体72と延出部材111の折曲端部111Aとの間に配置されているため、このコイルばね106の配置を安定して行えることになる。
なお、この実施形態において、コイルばね112を、第2移動体72と延出部材111の折曲端部111Aとのうち、一方に結合してこれらの第2移動体72と延出部材111の折曲端部111Aとの間に配置してもよい。
また、第2移動体72と延出部材111の折曲端部111Aとの間に、中間部材としてのコイルばね112を配置せず、このコイルばね112の代わりに、中間部材としての筒部材を、回転軸61の外周に嵌合して第2移動体72と延出部材111の折曲端部111Aとの間に配置してもよい。
また、第2移動体72と延出部材111の折曲端部111Aとの間に、コイル部材や筒部材等による中間部材を配置せず、回転軸61の回転量が上記所定量に達したときに、第2移動体72のスライド部材72Bにおける第1移動体71と対面する前面部分とは反対側の後面部分に、延出部材111の折曲端部111Aを当接させるようにしてもよい。
また、図15の実施形態は、第1移動体71と第2移動体72が互いに近づく距離を規制するためのストップ手段100も用いられた実施形態になっている。このストップ手段100は、図14の実施形態と同じく、延出部材101とコイルばね106とで構成されているが、このストップ手段100は、図8等で示されている延出部材101だけのものでもよく、図13で示されている筒部材105だけのものでもよく、図14で示されているコイルばね106だけのものでもよく、さらに、図13に示されているとおりに、延出部材101と筒部材105により構成されたものでもよい。
図16は、図7で説明した回転軸61と駆動軸66との間にトルクリミッター120を介設した実施形態を示している。これを具体的に説明すると、駆動軸66からの回転力が前述した駆動ベベルギア65から伝達される被動ベベルギア64の被動軸64Aと、回転軸61とが、摩擦部材120Aが回転力伝達部材となっているトルクリミッター120により接続されている。
ハンドル等の手動工具67で駆動される通常時の駆動軸66の回転は、トルクリミッター120の摩擦部材120Aの摩擦力により被動ベベルギア64の被動軸64Aから回転軸61に伝達されるが、第1移動体71と第2移動体72が互いに近づく方向や第1移動体71と第2移動体72が互いに遠ざかる方向に回転した回転軸61の回転量が前述した所定量に達すると、すなわち、第1移動体71の第1ナット部材71A及び第2移動体72の第2ナット部材72Aが回転軸61の右ねじ部61A、左ねじ部61Bの端部に達すると、回転軸61を回転させるために必要となる回転力が大きくなるため、トルクリミッター120の摩擦部材120Aの摩擦力による被動ベベルギア64の被動軸64Aと回転軸61との接続が断絶されることになる。
このため、これ以後に手動工具67で駆動軸66をさらに回転させても、この回転は回転軸61に伝達されず、これにより、第1移動体71の第1ナット部材71A及び第2移動体72の第2ナット部材72Aが回転軸61の右ねじ部61A、左ねじ部61Bの端部に噛み込んでしまって、これらのナット部材71A,ナット部材72Aや右ねじ部61A、左ねじ部61Bが損傷してしまうことを防止できる。
なお、この実施形態のように回転軸61と駆動軸66との間にトルクリミッター120を介設することは、前述したストップ手段100,110を用いた場合にも適用することができ、また、ストップ手段100,110を用いない場合にも適用することができる。
また、トルクリミッターは任意な原理、構造のものでよく、図16に示すように、摩擦部材120Aを用いた摩擦式のものでもよく、あるいは、ローラ又はボール式のものでもよく、ラチェット式のものでもよく、マグネット式のものでもよい。