JP5595131B2 - カチオン電着塗料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、良好な耐食性を有し、かつ、調製時における低VOCが達成された、カチオン電着塗料組成物に関する。
近年における環境保護の意識の高まりに伴い、溶剤型塗料組成物を水性塗料組成物へ転換することが社会的に求められている。そして水性塗料組成物においても、水性塗料組成物に含まれる揮発性有機溶媒の量を低減すること、および水性塗料組成物の調製に用いられる揮発性有機溶媒の量を低減することが求められている。
水性塗料組成物の中でもカチオン電着塗料組成物は、優れた耐食性を付与することができることから、自動車塗装などに広く用いられている。カチオン電着塗料組成物には一般に、ビスフェノールAなどのポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂から調製されたカチオン性エポキシ樹脂が含まれている。このようなカチオン性エポキシ樹脂は、腐食を促進する酸素、水またはイオンなどの透過を有効に抑制する強靱な硬化電着塗膜を提供することができるという利点がある。一方で上記カチオン性エポキシ樹脂は粘性が高いため、塗料調製時において粘性を下げるため多量の有機溶媒が希釈溶媒として必要とされる。これは、揮発性有機溶媒量の低減(低VOC)の観点からは好ましくない。さらに、希釈溶媒として多量の有機溶媒を用いる場合は、製造時に用いた有機溶媒を脱溶媒するのに長時間を有し、製造時間も長くなることから生産性に劣るという問題もある。
ビスフェノールAなどのエポキシ樹脂から調製されたカチオン性エポキシ樹脂の粘度を低下させる手段として、可塑剤を添加するまたは反応させる方法が挙げられる。例えば特開2006−274234号公報(特許文献1)には、分子量1,000以下の特定のポリエーテル化合物を含む電着塗料が開示されている。そしてこの特許文献1には、分子量1,000以下の特定のポリエーテル化合物を配合することによって、揮発性有機溶媒含有量が少なく(低VOC)、かつ造膜性が良好である電着塗料が提供できると記載されている。しかしながらこのようなポリエーテル化合物は、多量添加することにより、耐食性が低下するといった問題がある。
特開2009−084567号公報(特許文献2)には、特定のアミノ基含有変性エポキシ樹脂と特定のキシレン−ホルムアルデヒド樹脂変性アミノ基含有エポキシ樹脂及びブロック化ポリイソシアネート硬化剤を特定の配合割合で含んでなるカチオン電着塗料組成物が開示されている。そしてこの構成によって、カチオン電着塗料組成物中における揮発性有機化合物を低減しても、膜厚保持性や仕上り性及び合金化溶融亜鉛メッキ鋼板上の電着塗装適性に優れ且つ防食性が良好な塗膜を形成できると記載されている。一方でこの特許文献2に記載されるカチオン電着塗料組成物は、アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂変性アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(C)を必須成分とする点において、本発明とは構成が異なる。
特開2006−274234号公報 特開2009−084567号公報
低VOCを達成するため塗料調製時における有機溶媒量を減らすと、樹脂成分の粘度が上昇してしまい、塗料調製が困難になるという問題があった。一方で可塑剤を用いて樹脂成分の粘度を下げると、樹脂成分の粘度は下がるため希釈溶媒としての有機溶媒量を減らすことができるものの、得られる硬化塗膜の耐食性が低下してしまう不具合が生じるという問題があった。本発明では、このように相反する現象において、樹脂成分に特定の芳香族化合物を混合または反応させることによって、上記相反する現象を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明は、
(A)2以上10以下の芳香族環を有するフェノール化合物(a−1)および2以上10以下の芳香族環を有する炭化水素化合物(a−2)からなる群から選択される少なくとも一種を含む芳香族化合物であって、この芳香族化合物(A)は水酸基価5〜200である、芳香族化合物、
(B)アミノ基含有エポキシ樹脂、および
(C)ブロックイソシアネート硬化剤、
を含み、
この芳香族化合物(A)は、芳香族化合物(A)およびアミノ基含有エポキシ樹脂(B)の合計樹脂固形分100質量に対して1〜35質量部含まれる、
カチオン電着塗料組成物、
を提供するものであり、これにより上記課題が解決される。
上記芳香族化合物(A)の数平均分子量は240〜1000であるのが好ましい。
上記芳香族化合物(A)は、2以上10以下の芳香族環を有するフェノール化合物(a−1)および2以上10以下の芳香族環を有する炭化水素化合物(a−2)の両方を含むのが好ましい。
上記炭化水素化合物(a−2)はα−メチルスチレン重合体であるのが好ましい。
本発明における1態様として、上記芳香族化合物(A)は、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)と予め反応させた後に塗料組成物中に加えられる態様が挙げられる。
本発明における別の1態様として、上記芳香族化合物(A)は、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)と予め反応させることなく塗料組成物中に加えられる態様が挙げられる。
本発明はまた、上記カチオン電着塗料組成物を塗装して得られる硬化電着塗膜も提供する。
本発明のカチオン電着塗料組成物は、芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、およびブロックイソシアネート硬化剤(C)を含む。そして特定の芳香族化合物(A)が含まれることによって、塗料調製時における希釈溶媒としての有機溶媒の使用量を大きく低減することができる。これにより、得られる硬化電着塗膜の耐食性を低下させることなく、電着塗料組成物調製時における有機溶媒の使用量を有意に低減することができるという利点がある。本発明のカチオン電着塗料組成物は脱溶媒工程が短く塗料生産性に優れており、さらに、表面平滑性の高い硬化電着塗膜を提供できるという利点もある。
本発明のカチオン電着塗料組成物は、芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、およびブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むカチオン電着塗料組成物である。本発明のカチオン電着塗料組成物は、芳香族化合物(A)が含まれることによって、得られる硬化電着塗膜の耐食性を低下させることなく、電着塗料組成物調製時における有機溶媒の使用量を有意に低減することができるという特徴がある。
カチオン電着塗料組成物において、ポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂を用いることによって、優れた耐食性能を得ることができる。しかしながらこの樹脂は粘度が高いため、塗料調製時において有機溶媒を希釈溶媒として用いる必要が生じる。このため、耐食性に優れるカチオン電着塗料組成物の調製において、揮発性有機溶媒量を削減することは困難であった。さらに希釈溶媒として用いられる揮発性有機溶媒は、その後に脱溶媒する工程が長時間となり、塗料生産性が低下することとなる。
塗料調製時における有機溶媒量を減らし、低VOCを達成する手法として、例えばポリアルキルグリコールなどの可塑剤を用いて樹脂成分の粘度を下げる方法が挙げられる。しかしながらこのような可塑剤を用いることによって、樹脂成分の粘度は下がるものの、得られる硬化塗膜の耐食性が低下してしまうという不具合が生じるという問題があった。
本発明のカチオン電着塗料組成物においては、特定の芳香族化合物(A)を用いることによって上記問題が解決することとなった。詳しくは、カチオン電着塗料組成物の調製において、特定の芳香族化合物(A)を特定量で用いることによって、特にアミノ基含有エポキシ樹脂(B)の粘度を有意に下げることができ、かつ、得られるカチオン電着塗料組成物の塗膜形成樹脂の分散安定性も良好であり、さらに得られる硬化電着塗膜の耐食性も低下せず、また良好な塗膜外観も達成できることを実験により見出した。こうして上記のように相反する性能の達成において、特定の芳香族化合物(A)をカチオン電着塗料組成物の調製に用いることにより、上記樹脂成分の粘度と硬化塗膜の耐食性とが両立できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
以下、本発明のカチオン電着塗料組成物に含まれる、芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、およびブロックイソシアネート硬化剤(C)の各成分について記載する。
芳香族化合物(A)
本発明のカチオン電着塗料組成物は、芳香族化合物(A)を含む。この芳香族化合物(A)は、2以上10以下の芳香族環を有するフェノール化合物(a−1)および2以上10以下の芳香族環を有する炭化水素化合物(a−2)からなる群から選択される少なくとも一種を含むものである。但しこの芳香族化合物(A)は、水酸基価5〜200(mgKOH/g)であることを条件とする。この水酸基価は20〜80であるのがより好ましい。芳香族化合物(A)の水酸基価が5未満である場合は、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)の分散安定性が劣ることとなる。また芳香族化合物(A)の水酸基価が200を超える場合は、得られる硬化電着塗膜の耐水性が劣ることとなる。芳香族化合物(A)として複数の化合物が含まれる場合、例えば、2以上10以下の芳香族環を有するフェノール化合物(a−1)および2以上10以下の芳香族環を有する炭化水素化合物(a−2)の両方が含まれる場合は、上記水酸基価は、両方の化合物(a−1)および化合物(a−2)の平均値を意味する。
芳香族環の数が10を超える場合は、粘度低減効果が小さくなる。また芳香族環の数が2未満である場合は、加熱硬化時に揮発してしまうので、低VOC化につながらない。
尚、水酸基価は、無水酢酸(アセチル化試薬)を含むピリジン溶媒に樹脂を溶解してピリジン溶液とし、樹脂の水酸基をアセチル化させた後、残存する過剰のアセチル化試薬を水によって加水分解し、生成した酢酸を水酸化カリウムで滴定することにより、求めることができる。
2以上10以下の芳香族環を有するフェノール化合物(a−1)として、例えば、o−クミルフェノール、m−クミルフェノール、p−クミルフェノール、o,m−ジクミルフェノール、o,p−ジクミルフェノール、モノ−スチレン化フェノール、ジ−スチレン化フェノール、トリ−スチレン化フェノール、テトラ−スチレン化フェノールなど、およびこれらの混合物などが挙げられる。化合物(a−1)として、2以上5以下の芳香族環を有するフェノール化合物が好ましく、3以上5以下の芳香族環を有するフェノール化合物がより好ましい。
2以上10以下の芳香族環を有する炭化水素化合物(a−2)として、例えば、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンタン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンタン、2,4,6−トリフェニル−4,6−ジメチルヘプト−1−エン、2,4,6−トリフェニル−4,6−ジメチルヘプト−2−エンなどのα−メチルスチレン重合物などが挙げられる。化合物(a−2)として、2以上5以下の芳香族環を有する炭化水素化合物であるのが好ましく、2以上5以下の芳香族環を有するα−メチルスチレン重合体であるのがより好ましく、3以上5以下の芳香族環を有するα−メチルスチレン重合体であるのがさらに好ましい。
芳香族化合物(A)として、上記化合物(a−1)、化合物(a−2)以外のその他の芳香族化合物が含まれてもよい。その他の化合物として、例えば、2以上10以下の芳香族環を有するキシレン樹脂、トルエン樹脂、ケトン樹脂などが挙げられる。好ましい化合物として、例えば、キシレン樹脂が挙げられる。
本発明のカチオン電着塗料組成物において、上記芳香族化合物(A)は、芳香族化合物(A)およびアミノ基含有エポキシ樹脂(B)の合計樹脂固形分100質量に対して1〜35質量部含まれる。芳香族化合物(A)が1質量部未満である場合は、塗料製造時における粘度低下効果が十分に得られず、有機溶媒を相当量添加する必要が生じることとなり、これにより長時間の脱溶媒操作が必要となるという不具合が生じるおそれがある。一方、芳香族化合物(A)が35質量部を超える場合は、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)などの塗膜形成樹脂の分散安定性が劣ることとなる。芳香族化合物(A)の量は1〜30質量部であるのが好ましく、1〜20質量部であるのがより好ましい。
芳香族化合物(A)の数平均分子量は240〜1000であるのが好ましく、300〜500であるのがより好ましい。芳香族化合物(A)の数平均分子量が240未満である場合は、未硬化の電着塗膜の焼き付け硬化時に芳香族化合物(A)が揮発し減少してしまうおそれがある。数平均分子量が1000を超える場合は、塗料製造時における粘度低下効果が十分に得られず、他の有機溶媒を添加する必要が生じることとなり、これにより長時間の脱溶媒操作が必要となるという不具合が生じるおそれがある。本発明において、樹脂成分の数平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定することができ、ポリスチレン標準による換算値によって算出することができる。
本発明において、上記特定の芳香族化合物(A)が含まれることによって、カチオン電着塗料組成物調製時におけるアミノ基含有エポキシ樹脂(B)の粘度を有意に下げることができる。これにより、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)を分散させる際に、希釈溶媒としての有機溶媒を多量加える必要がなくなり、その後の脱溶媒操作も軽減されるという利点がある。また上記特定の芳香族化合物(A)は、得られる硬化電着塗膜の耐食性も低下させないという利点もある。さらに芳香族化合物(A)の含有量が上記範囲で含まれる場合においては、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)などの塗膜形成樹脂の分散安定性低下などの不具合も伴わないという利点もある。
芳香族化合物(A)として、2以上10以下の芳香族環を有するフェノール化合物(a−1)および2以上10以下の芳香族環を有する炭化水素化合物(a−2)の両方を含むのがより好ましい。上記フェノール化合物(a−1)はアミノ基含有エポキシ樹脂(B)に対する相溶性が高く、そして上記炭化水素化合物(a−2)は極性基を有さないため、分子間の相互作用を低減でき、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)の粘度を有効に下げることができる。そして上記フェノール化合物(a−1)は、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)の分散安定性を向上できるという性質を有している。また上記炭化水素化合物(a−2)は、硬化電着塗膜に含まれることによって、良好な耐食性が発揮されるという性質を有している。このようにこれらのフェノール化合物(a−1)および炭化水素化合物(a−2)の両方を用いることによって、より良好な低粘度化を供し、かつより良好な耐食性を達成することができることとなり、より好ましい。
本発明において、芳香族化合物(A)は、カチオン電着塗料組成物の調製時にそのまま加えてもよい、つまりアミノ基含有エポキシ樹脂(B)またはブロックイソシアネート硬化剤(C)と予め反応させることなく塗料組成物中に加えてもよい。あるいは、芳香族化合物(A)とアミノ基含有エポキシ樹脂(B)とを反応させた後に、カチオン電着塗料組成物中に加えてもよい。芳香族化合物(A)とアミノ基含有エポキシ樹脂(B)とを反応させる方法として、例えば、芳香族化合物(A)と、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)の調製に用いる、アミノ基付加前のエポキシ樹脂と、を混合して、120〜160℃で0.5〜2時間反応させた後、アミノ基を付加させる方法などが挙げられる。こうして加熱することによって、フェノール化合物(a−1)などに含まれる水酸基と、アミノ基含有エポキシ樹脂を構成するエポキシ樹脂中の反応基が反応することとなる。
アミノ基含有エポキシ樹脂(B)
本発明のカチオン電着塗料組成物中に塗膜形成樹脂として含まれるアミノ基含有エポキシ樹脂(B)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂のエポキシ環を、1級アミン、2級アミンあるいは3級アミン酸塩などのアミノ基含有化合物との反応によって開環して製造される、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)である。
アミノ基含有エポキシ樹脂(B)の製造に用いられるエポキシ樹脂として、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどとエピクロルヒドリンとの反応生成物である、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく用いられる。このビスフェノール型エポキシ樹脂と併せて、ビスフェノール型エポキシ樹脂の水添変性物、およびフェノールノボラックまたはクレゾールノボラックなどの多環式フェノール化合物なども用いることができる。
アミノ基含有エポキシ樹脂(B)の製造に用いられるエポキシ樹脂として、特開平5−306327号公報に記載され公知であるオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂を用いてもよい。エポキシ樹脂にオキサゾリドン環を導入する方法としては、例えば、メタノールのような低級アルコールなどのブロック剤でブロックされたブロックイソシアネート硬化剤とポリエポキシドを塩基性触媒の存在下で加熱保温し、副生する低級アルコール(ブロック剤)を系内より留去する方法がある。
上記エポキシ樹脂は、アミノ基含有化合物によるエポキシ環の開環反応の前に、2官能のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ビスフェノール類、2塩基性カルボン酸などにより鎖延長して用いることができる。また同じくアミノ基含有化合物によるエポキシ環の開環反応の前に、分子量またはアミン当量の調節、熱フロー性、可撓性(軟らかさ)、ガラス転移温度などの調整を目的として、一部のエポキシ環に対して2−エチルヘキサノール、ノニルフェノール、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルのようなモノヒドロキシ化合物、ステアリン酸、2−エチルヘキサン酸、ダイマー酸などの酸成分を付加して用いることもできる。さらに上記多環式フェノール化合物を付加して用いることもできる。
エポキシ樹脂のエポキシ環を開環し、アミノ基を導入する際に使用できるアミノ基含有化合物の例としては、ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、メチルブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエチルアミン酸塩、N,N−ジメチルエタノールアミン酸塩などの1級、2級または3級アミン酸塩を挙げることができる。また、ジエチレントリアミンジケチミン、アミノエチルエタノールアミンケチミン、アミノエチルエタノールアミンメチルイソブチルケチミンの様なケチミンブロック1級アミノ基含有2級アミンも使用することができる。これらのアミノ基含有化合物は、全てのエポキシ環を開環させるために、エポキシ環に対して少なくとも当量で反応させる必要がある。エポキシ環の開環は、開環後0.3〜4.0meq/gのアミン当量となるように、より好ましくはそのうちの5〜50%が1級アミノ基が占めるようにアミノ基含有化合物で開環するのが望ましい。
上記アミノ基含有エポキシ樹脂(B)の数平均分子量は1000〜5000の範囲が好ましい。数平均分子量が1000未満の場合は、得られる硬化電着塗膜の耐溶剤性および耐食性などの物性が劣ることがある。また数平均分子量が5000を超える場合は、焼き付け硬化時のフロー性が劣り、得られる硬化電着塗膜の外観が劣ることとなるおそれがある。本発明において、樹脂成分の数平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定することができ、ポリスチレン標準による換算値によって算出することができる。
上記アミノ基含有エポキシ樹脂(B)は、水酸基価が50〜250の範囲であるのが好ましい。水酸基価が50未満では塗膜の硬化不良が生じるおそれがある。また250を超えると硬化後に塗膜中に過剰の水酸基が残存することとなり、硬化電着塗膜の耐水性が低下することがある。
ブロックイソシアネート硬化剤(C)
本発明のカチオン電着塗料組成物に含まれるブロックイソシアネート硬化剤(C)は、塗膜形成樹脂の1種であり、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)を硬化させる硬化剤である。ブロックイソシアネート硬化剤(C)を得るためのポリイソシアネートとは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物をいう。ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族系、脂環式系、芳香族系および芳香族−脂肪族系などのうちのいずれであってもよい。
ポリイソシアネートの具体例には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、p−フェニレンジイソシアネート、及びナフタレンジイソシアネートなどのような芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネートなどのような炭素数3〜12の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、及び1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(水添XDI)、水添TDI、2,5−もしくは2,6−ビス(イソシアナートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナンジイソシアネートとも称される。)などのような炭素数5〜18の脂環式ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート(XDI)、及びテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などのような芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン化物、カーボジイミド、ウレトジオン、ウレトンイミン、ビューレット及び/又はイソシアヌレート変性物);などが挙げられる。これらは、単独で、または2種以上併用することができる。
ポリイソシアネートをエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどの多価アルコールと、NCO/OH比2以上で反応させて得られる付加体ないしプレポリマーも、ブロックイソシアネート硬化剤に使用してもよい。
ブロック剤は、ポリイソシアネート基に付加し、常温では安定であるが解離温度以上に加熱すると遊離のイソシアネート基を再生し得るものである。ブロック剤の例としては、n−ブタノール、n−ヘキシルアルコール、2−エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、フェノールカルビノール、メチルフェニルカルビノールなどの一価のアルキル(または芳香族)アルコール類、エチレングリコール モノヘキシルエーテル、エチレングリコール モノ2−エチルヘキシルエーテルなどのセロソルブ類、フェノール、パラ−t−ブチルフェノール、クレゾールなどのフェノール類、ジメチルケトオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、メチルアミルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム類、およびε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタムに代表されるラクタム類が好ましく用いられる。とくにオキシム類およびラクタム類のブロック剤は、低温で解離するため、樹脂硬化性の観点から好適である。
ブロックイソシアネート硬化剤(C)の、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)100質量部に対する配合比は、硬化塗膜の利用目的などで必要とされる架橋度に応じて異なるが、塗膜物性や上塗り塗装適合性を考慮すると、15〜40質量部の範囲が好ましい。この配合比が15質量部未満では塗膜硬化不良を招く結果、機械的強度などの塗膜物性が低くなることがあり、また、中塗り塗料などに含まれる有機溶媒によって塗膜が侵されるなど外観不良を招く場合がある。一方、40質量部を超えると、硬化過剰となって、耐衝撃性などの塗膜物性不良などを招く場合がある。なお、ブロックイソシアネート硬化剤(C)は、塗膜物性や硬化度の調節などの都合により、複数種を組み合わせて使用してもよい。
顔料
本発明のカチオン電着塗料組成物は顔料を含んでもよい。顔料として、通常塗料に使用されるものを特に制限なく用いることができる。そのような顔料として、例えばカーボンブラック、二酸化チタン、グラファイトなどの着色顔料、カオリン、ケイ酸アルミ(クレー)、タルク、硫酸バリウムなどの体質顔料、リンモリブデン酸アルミ、ケイ酸鉛、硫酸鉛、ジンククロメート、ストロンチウムクロメートなどの防錆顔料などが挙げられる。これらの中でも二酸化チタン、ケイ酸アルミ(クレー)およびリンモリブデン酸アルミが好ましく用いられる。特に二酸化チタンは着色顔料として隠蔽性が高く、しかも安価であることから、カチオン電着塗料組成物用に最適である。なお、上記顔料は単独で使用することもできるが、目的に合わせて複数使用するのが一般的である。
顔料は、顔料分散樹脂と言われる樹脂と共に予め高濃度で水性媒体に分散させてペースト状にしたものを、電着塗料組成物中に加えるのが好ましい。顔料は粉体状であるため、電着塗料組成物で用いる低濃度均一状態に一工程で分散させるのは困難だからである。一般にこのようなペーストを顔料分散ペーストという。
顔料分散ペーストは、顔料を顔料分散樹脂と共に水性媒体中に分散させて調製する。顔料分散樹脂としては、一般に、カチオン性またはノニオン性の低分子量界面活性剤や4級アンモニウム基および/または3級スルホニウム基を有する変性エポキシ樹脂などのようなカチオン性重合体を用いる。水性媒体としてはイオン交換水や少量のアルコール類を含む水などを用いる。顔料分散ペーストは一般に、顔料分散樹脂は5〜40質量部、顔料は10〜30質量部の固形分比で用いる。この顔料分散ペーストは、上記顔料分散樹脂および顔料を混合し、その混合物中の顔料の粒径が所定の均一な粒径となるまで、ボールミルやサンドグラインドミルなどの通常の分散装置を用いて分散させて得ることができる。
顔料は、カチオン電着塗料組成物中に含まれる樹脂固形分100質量部に対して5〜50質量部となる量で用いるのが好ましい。
他の成分
上記カチオン電着塗料組成物は、上記成分の他にブロックイソシアネート硬化剤のブロック剤の解離のための触媒を含んでもよい。このような触媒として、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫オキシド、ジオクチル錫オキシドなどの有機錫化合物、N−メチルモルホリンなどのアミン類、ストロンチウム、コバルト、銅などの金属塩などが使用できる。触媒の濃度は、カチオン電着塗料組成物中のカチオン性エポキシ樹脂とブロックイソシアネート硬化剤合計の100固形分質量部に対し0.1〜6質量部であるのが好ましい。カチオン電着塗料組成物は、他にも可塑剤、界面活性剤、塗膜表面平滑剤、酸化防止剤および紫外線吸収剤などの常用の塗料用添加剤を含むことができる。他にも、カチオン性アクリル樹脂、架橋樹脂粒子などの樹脂成分を必要に応じて含めてもよい。
カチオン電着塗料組成物の調製
本発明のカチオン電着塗料組成物は、少なくとも上記芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)およびブロックイソシアネート硬化剤(C)を含む。
カチオン電着塗料組成物の調製において、芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を用いて中和剤を含む水性媒体中でエマルションを予め調製し、得られたエマルションを、他の成分と共に配合するのが好ましい。上記中和剤の例としては、塩酸、硝酸、リン酸などの無機酸および蟻酸、酢酸、乳酸、スルファミン酸、アセチルグリシン酸などの有機酸を挙げることができる。
カチオン電着塗料組成物は、塗料組成物において通常含まれる有機溶媒、例えばエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、メチルイソブチルケトンなど、を必要に応じて用いてもよい。但し、本発明のカチオン電着塗料組成物の調製においては、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)と芳香族化合物(A)とを混合または反応させていることにより粘度が有意に下がっているため、これらの有機溶媒量は、従来のカチオン電着塗料組成物の調製時と比較して半分以下と、ごく少量とすることができる。
カチオン電着塗料組成物は、固形分濃度が15〜25質量%の範囲となるように調整することが好ましい。固形分濃度の調節には水性媒体(水単独かまたは水と親水性がある有機溶媒との混合物)を使用して行うことができる。
硬化電着塗膜の形成
上記カチオン電着塗料組成物を電着塗装し加熱硬化することにより、硬化電着塗膜を得ることができる。カチオン電着塗装は、被塗物である導電性の基材を陰極として、被塗物に陰極(カソード極)端子を接続し、上述のカチオン電着塗料組成物の浴温15〜35℃、負荷電圧100〜400Vの条件で、一般に、乾燥膜厚13〜20μmとなる量の塗膜を電着塗装する。その後140〜200℃、好ましくは160〜180℃で10〜30分間焼き付けることにより、硬化電着塗膜を得ることができる。
硬化電着塗膜を設ける被塗物は、電着塗装可能な導電性の基材であれば、特に制限なく用いることができる。このような基材として、例えば、金属(例えば、鉄、鋼、銅、アルミニウム、マグネシウム、スズ、亜鉛などおよびこれらの金属を含む合金など)、鉄板、鋼板、アルミニウム板およびこれらに表面処理(例えば、リン酸塩、ジルコニウム塩などを用いた化成処理)を施したもの、ならびにこれらの成型物などが挙げられる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
製造例1 ブロックイソシアネート硬化剤(C)の製造
攪拌機、冷却器、窒素注入管、温度計および滴下ロートを取り付けたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネートの3量体(コロネートHX:日本ポリウレタン(株)製)199部とメチルイソブチルケトン32部、およびジブチルスズジラウレート0.03部を秤りとり、攪拌、窒素をバブリングしながら、メチルエチルケトオキシム87.0部を滴下ロートより1時間かけて滴下した。温度は50℃からはじめ70℃まで昇温した。そのあと1時間反応を継続し、赤外線分光計によりNCO基の吸収が消失するまで反応させた。その後n−ブタノール0.74部、メチルイソブチルケトン39.93部を加え、不揮発分80%とした。
製造例2−1 芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(1)の製造
攪拌機、冷却器、窒素注入管および滴下ロートを取り付けたフラスコに、2,4/2,6−トリレンジイソシアネート(質量比:80/20)71.34部と、ジブチルスズジラウレート0.01部を秤り取り、攪拌、窒素バブリングしながらメタノール14.24部を滴下ロートより30分かけて滴下した。温度は室温から発熱により60℃まで昇温した。その後30分間反応を継続した後、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル46.98部を滴下ロートより30分かけて滴下した。発熱により70〜75℃へ昇温した。30分間反応を継続した後、ビスフェノールAプロピレンオキシド(5モル)付加体(三洋化成工業(株)製BP−5P)41.25部を加え、90℃まで昇温し、IRスペクトルを測定しながらNCO基が消失するまで反応を継続した。
続いてエポキシ当量475のビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成(株)製YD−7011R)475.0部を加え、均一に溶解した後、130℃から142℃まで昇温し、反応系から水を除去した。125℃まで冷却した後、ベンジルジメチルアミン0.5部を加え、脱メタノール反応によるオキサゾリドン環形成反応を行った。反応はエポキシ当量1140になるまで継続した。
その後、芳香族化合物(A)であるo,p−ジクミルフェノール 76.8部を加えて、100℃まで冷却し、N−メチルエタノールアミン24.56部,ジエタノールアミン11.46部およびアミノエチルエタノールアミンケチミン(78.8%メチルイソブチルケトン溶液)26.08部を加え、110℃で2時間反応させた。その後エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル20.74部を加えた後、100℃で粘度が1000cpsになるまで、メチルイソブチルケトンを加えた。その時のメチルイソブチルケトンの含有量は、樹脂配合量に対して、9%であった。数平均分子量(GPC法)1150、アミン当量140meq/100gのアミノ基含有エポキシ樹脂(B)、および芳香族化合物(A)の混合物を得た(不揮発物91%)。
上記芳香族化合物(A)の混合物の水トレランスを下記方法により測定したところ3(ml)であった。また、用いた芳香族化合物(A)の数平均分子量(GPC法)は340であり、芳香族化合物(A)の水酸基価は170であった。
水トレランスの測定方法
測定温度を20℃とし、測定対象である試料0.5gを100mlビーカーに秤量し、テトラヒドロフラン10mlをホールピペットを用いて加え、マグネティックスターラーによって試料をアセトンに溶解する。次に、50mlビュレットを用いて脱イオン交換水を上記で調製したアセトン溶液に滴下し、濁りが生じた点の水の滴下量(ml)を水トレランスとする。
上記より得られた混合物に、製造例1のブロックイソシアネート硬化剤(C)304部、酢酸21部を加え、攪拌しながらイオン交換水を加え、固形分36%に調整した。
上記水分散体を攪拌しながら、50℃で50mmHgに減圧しメチルイソブチルケトン(MIBK)の濃度が、水分散体中0.5%以下になるまで脱溶媒し、芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(1)を得た。
製造例2−2 芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(2)の製造
芳香族化合物(A)としてo,p−ジクミルフェノール 19.2部および2,4,6−トリフェニル−4,6−ジメチルヘプト−1−エン 57.6部を用いて、製造例2−1と同様の手順により、数平均分子量(GPC法)1150、アミン当量140meq/100gのアミノ基含有エポキシ樹脂(B)、および芳香族化合物(A)の混合物を得た(不揮発物95%)。尚、100℃で粘度1000cpsに調整した時のメチルイソブチルケトンの含有量は、樹脂配合量に対して、5%であった。
上記芳香族化合物(A)の混合物の水トレランスを上記方法により測定したところ3(ml)であった。また、用いた芳香族化合物(A)の数平均分子量(GPC法)は340であり、芳香族化合物(A)の水酸基価は43であった。
次いで得られた混合物を用いて、製造例2−1と同様の手順を行い、芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(2)を得た。
製造例2−3 芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(3)の製造
芳香族化合物(A)としてo,p−ジクミルフェノール 1.7部および2,4,6−トリフェニル−4,6−ジメチルヘプト−1−エン 5.2部を用いて、製造例2−1と同様の手順により、数平均分子量(GPC法)1150、アミン当量153meq/100gのアミノ基含有エポキシ樹脂(B)、および芳香族化合物(A)の混合物を得た(不揮発物90%)。尚、100℃で粘度1000cpsに調整した時のメチルイソブチルケトンの含有量は、樹脂配合量に対して、10%であった。
上記芳香族化合物(A)の混合物の水トレランスを上記方法により測定したところ3(ml)であった。また、用いた芳香族化合物(A)の数平均分子量(GPC法)は340であり、芳香族化合物(A)の水酸基価は43であった。
次いで得られた混合物を用いて、製造例2−1と同様の手順で、芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(3)を得た。
製造例2−4 芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(4)の製造
芳香族化合物(A)としてo,p−ジクミルフェノール 74.1部および2,4,6−トリフェニル−4,6−ジメチルヘプト−1−エン 222.2部を用いて、製造例2−1と同様の手順により、数平均分子量(GPC法)1150、アミン当量109meq/100gのアミノ基含有エポキシ樹脂(B)、および芳香族化合物(A)の混合物を得た(不揮発物97%)。尚、100℃で粘度1000cpsに調整した時のメチルイソブチルケトンの含有量は、樹脂配合量に対して、3%であった。
上記芳香族化合物(A)の混合物の水トレランスを上記方法により測定したところ3(ml)であった。また、用いた芳香族化合物(A)の数平均分子量(GPC法)は340であり、芳香族化合物(A)の水酸基価は43であった。
次いで得られた混合物を用いて、製造例2−1と同様の手順を行い、芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(4)を得た。
製造例2−5 芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(5)の製造(芳香族化合物(A)およびアミノ基含有エポキシ樹脂(B)が予め反応した態様)
芳香族化合物(A)としてo,p−ジクミルフェノール 19.2部および2,4,6−トリフェニル−4,6−ジメチルヘプト−1−エン 57.6部を加えた後、140℃で1時間保持し、次いで100℃まで冷却した。それ以外は製造例2−1と同様の手順を行い、数平均分子量(GPC法)1400、アミン当量140meq/100gの、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)および芳香族化合物(A)の反応物を得た(不揮発物92%)。尚、100℃で粘度1000cpsに調整した時のメチルイソブチルケトンの含有量は、樹脂配合量に対して、8%であった。
上記芳香族化合物(A)(反応物)の水トレランスを上記方法により測定したところ3(ml)であった。また、用いた芳香族化合物(A)の数平均分子量(GPC法)は340であり、芳香族化合物(A)の水酸基価は43であった。
次いで得られた反応物を用いて、製造例2−1と同様の手順を行い、芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(5)を得た。
製造例2−6 芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(6)の製造
芳香族化合物(A)としてo,p−ジクミルフェノール 19.2部および2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ヘプタン 57.6部を用いて、製造例2−1と同様の手順により、数平均分子量(GPC法)1150、アミン当量140meq/100gのアミノ基含有エポキシ樹脂(B)、および芳香族化合物(A)の混合物を得た(不揮発物97%)。尚、100℃で粘度1000cpsに調整した時のメチルイソブチルケトンの含有量は、樹脂配合量に対して、3%であった。
上記芳香族化合物(A)の混合物の水トレランスを上記方法により測定したところ3(ml)であった。また、用いた芳香族化合物(A)の数平均分子量(GPC法)は300であり、芳香族化合物(A)の水酸基価は43であった。
次いで得られた混合物を用いて、製造例2−1と同様の手順を行い、芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(6)を得た。
製造例2−7 芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(7)の製造
芳香族化合物(A)としてo,p−ジクミルフェノール 19.2部およびキシレン樹脂「ニカノールLLL」(フドー(株)社製) 57.6部を用いて、製造例2−1と同様の手順により、数平均分子量(GPC法)1150、アミン当量140meq/100gのアミノ基含有エポキシ樹脂(B)、および芳香族化合物(A)の混合物を得た(不揮発物94%)。尚、100℃で粘度1000cpsに調整した時のメチルイソブチルケトンの含有量は、樹脂配合量に対して、6%であった。
上記芳香族化合物(A)の混合物の水トレランスを上記方法により測定したところ3(ml)であった。また、用いた芳香族化合物(A)の数平均分子量(GPC法)は340であり、芳香族化合物(A)の水酸基価は67であった。
次いで得られた混合物を用いて、製造例2−1と同様の手順を行い、芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(7)を得た。
製造例2−8 芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(8)の製造
芳香族化合物(A)としてp−クミルフェノール 19.2部および2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ヘプタン 57.6部を用いて、製造例2−1と同様の手順により、数平均分子量(GPC法)1150、アミン当量93meq/100gのアミノ基含有エポキシ樹脂(B)、および芳香族化合物(A)の混合物を得た(不揮発物98%)。尚、100℃で粘度1000cpsに調整した時のメチルイソブチルケトンの含有量は、樹脂配合量に対して、2%であった。
上記芳香族化合物(A)の混合物の水トレランスを上記方法により測定したところ3(ml)であった。また、用いた芳香族化合物(A)の数平均分子量(GPC法)は240であり、芳香族化合物(A)の水酸基価は65であった。
次いで得られた混合物を用いて、製造例2−1と同様の手順を行い、芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(8)を得た。
製造例3 顔料分散樹脂の製造
攪拌機、冷却器、窒素注入管、温度計および滴下ロートを取り付けたフラスコに、エポキシ当量188のビスフェノールA型エポキシ樹脂(ダウ・ケミカル日本(株)社製、DER−331J)382.20部と、ビスフェノールA111.98部を秤取り、80℃まで昇温し、均一に溶解した後、2−エチル−4−メチルイミダゾール1%溶液1.53部を加え、170℃で2時間反応させた。140℃まで冷却した後、これに2−エチルヘキサノールハーフブロック化イソホロンジイソシアネート(不揮発分90%)196.50部を加え、NCO基が消失するまで反応させた。これにジプロピレングリコールモノブチルエーテル205.00部を加え、続いて1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−2−プロパノール408.00部、ジメチロールプロピオン酸134.00部を添加し、イオン交換水144.00部を加え、70℃で反応させた。反応は酸価が5以下になるまで継続した。得られた顔料分散樹脂はイオン交換水1150.50部で不揮発分35%に希釈した。
製造例4 顔料分散ペーストの製造
サンドグラインドミルに製造例3で得た顔料分散樹脂を120部、カオリン100.0部、二酸化チタン92.0部、ジブチルスズオキシド8.0部およびイオン交換水184部を入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料分散ペーストを得た(固形分48%)。
比較製造例1 アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(9)の製造
攪拌機、冷却器、窒素注入管および滴下ロートを取り付けたフラスコに、2,4/2,6−トリレンジイソシアネート(質量比:80/20)71.34部と、メチルイソブチルケトン111.98部と、ジブチルスズジラウレート0.02部を秤取り、攪拌、窒素バブリングしながらメタノール14.24部を滴下ロートより30分かけて滴下した。温度は室温から発熱により60℃まで昇温した。その後30分間反応を継続した後、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル46.98部を滴下ロートより30分かけて滴下した。発熱により70〜75℃へ昇温した。30分間反応を継続した後、ビスフェノールAプロピレンオキシド(5モル)付加体(三洋化成工業(株)製BP−5P)41.25部を加え、90℃まで昇温し、IRスペクトルを測定しながらNCO基が消失するまで反応を継続した。
続いてエポキシ当量475のビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成(株)製YD−7011R)475.0部を加え、均一に溶解した後、130℃から142℃まで昇温し、MIBKとの共沸により反応系から水を除去した。125℃まで冷却した後、ベンジルジメチルアミン1.1部を加え、脱メタノール反応によるオキサゾリドン環形成反応を行った。反応はエポキシ当量1140になるまで継続した。
その後、芳香族化合物(A)であるo,p−ジクミルフェノール 0.9部および2,4,6−トリフェニル−4,6−ジメチルヘプト−1−エン 2.6部を加えて、100℃まで冷却し、N−メチルエタノールアミン24.56部,ジエタノールアミン11.46部およびアミノエチルエタノールアミンケチミン(78.8%メチルイソブチルケトン溶液)26.08部を加え、110℃で2時間反応させた。その後エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル20.74部を加えた後、100℃で粘度が1000cpsになるまで、メチルイソブチルケトンを加えた。アミン当量154meq/100gのアミノ基含有エポキシ樹脂(B)および微量の芳香族化合物(A)を含む混合物を得た(不揮発物85%)。尚、100℃で粘度1000cpsに調整した時のメチルイソブチルケトンの含有量は、樹脂配合量に対して、15%であった。
上記芳香族化合物(A)の混合物の水トレランスを上記方法により測定したところ3(ml)であった。また、用いた芳香族化合物(A)の数平均分子量(GPC法)は340であり、芳香族化合物(A)の水酸基価は43であった。
得られた混合物に、製造例1のブロックイソシアネート硬化剤(C)304部、酢酸21部を加え、攪拌しながらイオン交換水を加え、固形分36%に調整した。
上記水分散体を攪拌しながら、50℃で50mmHgに減圧しMIBKの濃度が、水分散体中0.5%以下になるまで脱溶媒し、微量の芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(9)を得た。
比較製造例2 アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(10)の製造
芳香族化合物(A)であるo,p−ジクミルフェノール 115部、2,4,6−トリフェニル−4,6−ジメチルヘプト−1−エン 346部を用いて、製造例2−1と同様の手順により、アミン当量93meq/100gのアミノ基含有エポキシ樹脂(B)および多量の芳香族化合物(A)を含む混合物を得た(不揮発物96%)。尚、100℃で粘度1000cpsに調整した時のメチルイソブチルケトンの含有量は、樹脂配合量に対して、4%であった。
上記芳香族化合物(A)の混合物の水トレランスを上記方法により測定したところ3(ml)であった。また、用いた芳香族化合物(A)の数平均分子量(GPC法)は340であり、芳香族化合物(A)の水酸基価は43であった。
次いで得られた混合物を用いて、製造例2−1と同様の手順を行い、多量の芳香族化合物(A)、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(10)を得た。
比較製造例3 アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(11)の製造
芳香族化合物(A)の代わりに三洋化成社製「サンニックスPP−1000」(ポリプロピレングリコール、数平均分子量:1000) 76.8部を用いて、比較製造例1と同様の手順により、アミン当量140meq/100gのアミノ基含有エポキシ樹脂(B)およびポリプロピレングリコールを含む混合物を得た(不揮発物92%)。尚、100℃で粘度1000cpsに調整した時のメチルイソブチルケトンの含有量は、樹脂配合量に対して、8%であった。
上記芳香族化合物(A)の代わりに用いた成分の水トレランスを上記方法により測定したところ9(ml)であった。 次いで得られた混合物を用いて、比較製造例1と同様の手順を行い、ポリプロピレングリコール、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(11)を得た。
比較製造例4 アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(12)の製造
芳香族化合物(A)の代わりに日本石油化学社製「日石ポリブタジエン B−1000」(ポリブタジエン、数平均分子量:1000) 76.8部を用いて、比較製造例1と同様の手順により、アミン当量140meq/100gのアミノ基含有エポキシ樹脂(B)およびポリブタジエンの混合物を得た(不揮発物91%)。尚、100℃で粘度1000cpsに調整した時のメチルイソブチルケトンの含有量は、樹脂配合量に対して、9%であった。
上記芳香族化合物(A)の代わりに用いた成分の水トレランスを上記方法により測定したところ1(ml)であった。 次いで得られた混合物を用いて、比較製造例1と同様の手順を行い、ポリブタジエン、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(12)を得た。
比較製造例5 アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(13)の製造
芳香族化合物(A)の代わりに三洋化成社製「ハイマーSBM−100」(スチレン−メタクリル酸メチル重合体、数平均分子量:15000) 76.8部を用いて、比較製造例1と同様の手順により、アミン当量140meq/100gのアミノ基含有エポキシ樹脂(B)およびポリスチレンの混合物を得た(不揮発物88%)。尚、100℃で粘度1000cpsに調整した時のメチルイソブチルケトンの含有量は、樹脂配合量に対して、12%であった。
上記芳香族化合物(A)の代わりに用いた成分の水トレランスを上記方法により測定したところ1(ml)であった。
次いで得られた混合物を用いて、比較製造例1と同様の手順を行い、ポリスチレン、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)、ブロックイソシアネート硬化剤(C)を含むエマルション(13)を得た。
実施例1
製造例2−1で得られたエマルション620部、製造例4で得られた顔料分散ペースト80部、イオン交換水628部を混合して、カチオン電着塗料組成物を得た。
実施例2
製造例2−2で得られたエマルション620部を使用して、実施例1と同様の手順により、カチオン電着塗料組成物を得た。
実施例3
製造例2−3で得られたエマルション620部を使用して、実施例1と同様の手順により、カチオン電着塗料組成物を得た。
実施例4
製造例2−4で得られたエマルション620部を使用して、実施例1と同様の手順により、カチオン電着塗料組成物を得た。
実施例5
製造例2−5で得られたエマルション620部を使用して、実施例1と同様の手順により、カチオン電着塗料組成物を得た。
実施例6
製造例2−6で得られたエマルション620部を使用して、実施例1と同様の手順により、カチオン電着塗料組成物を得た。
実施例7
製造例2−7で得られたエマルション620部を使用して、実施例1と同様の手順により、カチオン電着塗料組成物を得た。
実施例8
製造例2−8で得られたエマルション620部を使用して、実施例1と同様の手順により、カチオン電着塗料組成物を得た。
比較例1
比較製造例1で得られたエマルション620部を使用して、実施例1と同様の手順により、カチオン電着塗料組成物を得た。
比較例2
比較製造例2で得られたエマルション620部を使用して、実施例1と同様の手順により、カチオン電着塗料組成物を得た。
比較例3
比較製造例3で得られたエマルション620部を使用して、実施例1と同様の手順により、カチオン電着塗料組成物を得た。
比較例4
比較製造例4で得られたエマルション620部を使用して、実施例1と同様の手順により、カチオン電着塗料組成物を得た。
比較例5
比較製造例5で得られたエマルション620部を使用して、実施例1と同様の手順により、カチオン電着塗料組成物を得た。
硬化電着塗膜の作成
各実施例および比較例によりカチオン電着塗料組成物に、リン酸亜鉛処理した冷間圧延鋼板を浸漬し、焼付後の膜厚が15μmとなるような塗装電圧で塗装して得られた未硬化の電着塗膜を160℃10分間焼付し、硬化電着塗膜を得た。
実施例および比較例のカチオン電着塗料組成物および得られた硬化電着塗膜を用いて、下記評価を行った。
相溶性評価
エマルション(1)〜(13)の調製時において、芳香族化合物(A)(比較例3〜5においてはそれぞれ対応する化合物)を添加した際における濁りの発生について目視評価を行った。濁りが発生せず透明であったものは○、濁りが僅かに確認できたものは△、濁りがはっきりと認識できたものは×とした。
脱溶媒時間評価
エマルション(1)〜(13)の調製時において、50℃で50mmHgに減圧し、メチルイソブチルケトン(MIBK)の濃度が、水分散体中0.5%以下になるまで脱溶媒するのにかかった時間が、15分未満であった場合を◎、15〜30分は○、30〜120分は△、120分以上は×とした。
エマルション静置安定性評価
各実施例および比較例のカチオン電着塗料組成物の調製に用いたエマルション(1)〜(13)を密封容器に入れ、40℃に4週間静置した。沈降が確認されなかったものを○とし、沈降が確認されたものを×とした。
耐食性評価
硬化電着塗膜に、基材に達するようにナイフでクロスカット傷を入れ、塩水噴霧試験(JIS Z 2371)を1000時間行った。その後、クロスカット部からの錆およびフクレの発生について下記基準により評価を行った。
◎:発生した錆またはフクレの最大幅が、クロスカット部より2mm未満
○:発生した錆またはフクレの最大幅が、クロスカット部より2mm以上3mm未満
△:発生した錆またはフクレの最大幅が、クロスカット部より3mm以上4mm未満
×:発生した錆またはフクレの最大幅が、クロスカット部より4mm以上
平滑性評価
粗さ曲線の算術平均粗さ(Ra)を測定することにより、硬化電着塗膜の平滑性評価を行った。得られた硬化電着塗膜のRa値を、JIS−B0601に準拠し、評価型表面粗さ測定機(株式会社ミツトヨ製、SURFTEST SJ−201P)を用いて測定した。2.5mm幅カットオフ(区画数5)を入れたサンプルを用いて7回測定し、上下消去平均によりRa値を得た。得られたRa値を下記基準により評価した。
◎:Ra値0.2μm未満
○:Ra値0.2〜0.4μm
×:Ra値が0.4μmを超える
上記評価結果を下記表1、2にまとめる。なお下記表中の芳香族化合物(A)(比較例3〜5においてはそれぞれ対応する化合物)の欄は、カチオン電着塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対する芳香族化合物(A)の質量部を意味する。
Figure 0005595131
Figure 0005595131

*:比較例3〜5では、ポリプロピレングリコール、ポリブタジエン、またはスチレン−メタクリル酸メチル重合体の数平均分子量および水酸基価を示す。
上記表中、
キシレン樹脂:フドー(株)社製「ニカノールLLL」
ポリプロピレングリコール:三洋化成社製「サンニックスPP−1000」
ポリブタジエン:日本石油化学社製「日石ポリブタジエン B−1000」
スチレン−メタクリル酸メチル重合体:三洋化成社製「ハイマーSBM−100」
である。
実施例のカチオン電着塗料組成物の調製においては脱溶媒時間が短くてすみ、またエマルションの静置安定性も高かった。また得られた硬化電着塗膜は耐食性に優れ、また塗膜平滑性にも優れていた。
芳香族化合物(A)の量が少ない比較例1のカチオン電着塗料組成物の調製においては、エマルション調製時において100℃での粘度が1000cpsになるまで要したメチルイソブチルケトンの量が多かったためエマルションの固形分が85%と低く、エマルション調製時における脱溶媒時間が140分と長時間必要であった。
芳香族化合物(A)の量が過剰量である比較例2のカチオン電着塗料組成物においては、エマルションの固形分は96%と高く脱溶媒時間は短かったものの、得られたエマルションの静置安定性が劣っていた。
芳香族化合物(A)の代わりにポリプロピレングリコールを用いた比較例3のカチオン電着塗料組成物においては、ポリプロピレングリコールの水トレランスが高く、親水性が大きいため、得られた硬化電着塗膜の耐食性が大きく低下することが確認された。
芳香族化合物(A)の代わりにポリブタジエンを用いた比較例4のカチオン電着塗料組成物においては、得られた硬化電着塗膜の耐食性および平滑性が何れも劣ることが確認された。
芳香族化合物(A)の代わりにスチレン−メタクリル酸メチル重合体を用いた比較例5のカチオン電着塗料組成物においては、エマルション調製時において100℃での粘度が1000cpsになるまで要したメチルイソブチルケトンの量が多かったためエマルションの固形分が88%と低く、エマルション調製時における脱溶媒時間が120分以上と長時間必要であった。また得られた硬化電着塗膜の平滑性も劣っていた。
本発明のカチオン電着塗料組成物は、特定の芳香族化合物(A)が含まれることによって、塗料調製時における希釈溶媒としての有機溶媒の使用量を大きく低減することができる。これにより、得られる硬化電着塗膜の耐食性を低下させることなく、電着塗料組成物調製時における有機溶媒の使用量を有意に低減することができるという利点がある。本発明のカチオン電着塗料組成物は脱溶媒時間が従来と比べて非常に短く、塗料生産性に優れており、さらに、表面平滑性の高い硬化電着塗膜を提供できるという利点もある。本発明のカチオン電着塗料組成物は、自動車および一般工業用分野の塗料製造ラインにおいて好適に利用することができる。

Claims (7)

  1. (A)芳香族化合物、
    (B)アミノ基含有エポキシ樹脂、および
    (C)ブロックイソシアネート硬化剤、
    を含カチオン電着塗料組成物であって、
    該芳香族化合物(A)は、
    2以上10以下の芳香族環を有するフェノール化合物(a−1)を含む芳香族化合物であるか、または、
    2以上10以下の芳香族環を有するフェノール化合物(a−1)、および、2以上10以下の芳香族環を有する炭化水素化合物(a−2)の両方を含む芳香族化合物
    であり、
    該芳香族化合物(A)は、水酸基価5〜200であり、および
    該芳香族化合物(A)は、芳香族化合物(A)およびアミノ基含有エポキシ樹脂(B)の合計樹脂固形分100質量に対して1〜35質量部含まれる、
    カチオン電着塗料組成物。
  2. 前記芳香族化合物(A)の数平均分子量は240〜1000である、請求項1記載のカチオン電着塗料組成物。
  3. 前記芳香族化合物(A)は、2以上10以下の芳香族環を有するフェノール化合物(a−1)および2以上10以下の芳香族環を有する炭化水素化合物(a−2)の両方を含む、請求項1または2記載のカチオン電着塗料組成物。
  4. 前記炭化水素化合物(a−2)はα−メチルスチレン重合体である、請求項1〜3いずれかに記載のカチオン電着塗料組成物。
  5. 前記芳香族化合物(A)は、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)と予め反応させた後に塗料組成物中に加えられる、請求項1〜4いずれかに記載のカチオン電着塗料組成物。
  6. 前記芳香族化合物(A)は、アミノ基含有エポキシ樹脂(B)と予め反応させることなく塗料組成物中に加えられる、請求項1〜4いずれかに記載のカチオン電着塗料組成物。
  7. 請求項1〜6いずれかに記載のカチオン電着塗料組成物を塗装して得られる硬化電着塗膜。
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