JP2015187197A - カチオン電着塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 顔料、特にカオリンの分散性に優れたカチオン電着塗料組成物を提供すること。【解決手段】 本発明はアミン変性エポキシ樹脂(a)、ブロックイソシアネート硬化剤(b)および顔料(c)を含むカチオン電着塗料組成物であって、該顔料中の体質顔料が800℃以上で焼成して得られるムライト含有量が60質量%未満の焼成カオリンを含むことを特徴とするカチオン電着塗料組成物およびその製造方法を提供する。【選択図】 なし

Description

本発明は、カチオン電着塗料組成物に関する。特に、本発明は特定の焼成カオリンを顔料成分として含むカチオン電着塗料組成物に関する。
カチオン電着塗装は、カチオン電着塗料中に被塗物を陰極として浸漬させ、電圧を印加することにより行われる塗装方法である。この方法は、複雑な形状を有する被塗物であっても細部にまで塗装を施すことができ、自動的かつ連続的に塗装できるため、自動車車体等の大型で複雑な形状を有する被塗物の下塗り塗装方法として広く実用化されている。さらに電着塗装は、被塗物に高い防食性を与えることができるため、被塗物の保護効果にも優れている。
カチオン電着塗料は、一般に、皮膜形成性カチオン性樹脂、硬化剤、顔料成分、水性媒体および界面活性剤などの各種添加剤を含んでいる。このような電着塗料に含まれる顔料成分は、通常、着色顔料、防錆顔料および体質顔料を含む。このうち、体質顔料には、電着膜の防錆性、耐ハジキ性を高めるためにカオリンが用いられている。
顔料を含むカチオン電着塗料組成物の製造では、顔料を予め水性溶媒および顔料樹脂に分散させてペースト状(以下、「顔料分散ペースト」と呼ぶ。)にしてから、アミン変性エポキシ樹脂およびブロックイソシアネート硬化剤を水性溶媒に分散させた懸濁液と混合することが多い。これは、粉末状体の顔料を、カチオン電着塗料組成物で用いられるような低濃度で均一な状態に、一工程で分散させることが困難だからである。しかしながら、前記顔料分散ペーストは、使用する顔料の種類に応じて分散性が異なることがあり、顔料の分散性が悪いと顔料の分散工程に長い時間を要し、作業性が悪くなる。また、顔料を長時間分散し続けると、顔料粒子が小さくなりすぎて比表面積が増大し増粘する恐れがある。
特開平10−204338号公報(特許文献1)には、中和剤を含む水性媒体中に、カチオン性アミン変性エポキシ樹脂と、ブロックポリイソシアネート硬化剤と、顔料分散ペーストを分散してなるカチオン電着塗料組成物であって、前記顔料分散ペースト中の顔料の10〜90重量%を焼成カオリンが占め、かつ塗料組成物中の金属イオン濃度が500ppm以下であることを特徴とするカチオン電着塗料組成物が開示されている。特許文献1では、焼成カオリンの分散安定性を改良し、かつ低鉛化を達成することを目的としている。特許文献1は、焼成カオリンの酸性度パラメーターを制御してアミン変性エポキシ樹脂との分散安定性を向上している。
特表2002−515935号公報(特許文献2)には、98%の粒子が約2μ未満であり、90%が約0.5μ未満でありそして中位粒子サイズが約0.3μ未満である粒子サイズ分布を特徴とする少なくとも1種の含水カオリンを含んで成る顔料組成物が開示されている。この顔料組成物はカチオン電着塗料に配合されるものである。特許文献2では、カオリン濃度を高めるために粒径を制御しているが、カオリンの分散性、については言及していない。また、特許文献2では、含水カオリンについてであり、焼成カオリンについての言及ではない。
特開平10−204338号公報 特表2002−515935号公報
本発明は、カチオン電着塗料に用いられる顔料成分の中でも難分散性である焼成カオリンのカチオン電着塗料組成物内での分散性を高めることを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討の結果、焼成カオリンのムライト含有量を制御するとカチオン電着塗料組成物での分散性が高まることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、アミン変性エポキシ樹脂(a)、ブロックイソシアネート硬化剤(b)および顔料(c)を含むカチオン電着塗料組成物であって、該顔料中の体質顔料が800℃以上で焼成して得られるムライト含有量60質量%未満の焼成カオリンを含むことを特徴とするカチオン電着塗料組成物を提供する。
前記焼成カオリンは、好ましくはムライト含有量50質量%未満である。
本発明は、また、アミン変性エポキシ樹脂(a)、ブロックイソシアネート硬化剤(b)および顔料(c)を水性媒体中に混合することにより製造するカチオン電着塗料組成物の製造方法であって、該顔料中の体質顔料が800℃以上で焼成して得られるムライト含有量60質量%未満の焼成カオリンを含むことを特徴とする、カチオン電着塗料組成物の製造方法を提供する。
前記焼成カオリンも、好ましくはムライト含有量50質量%未満である。
本発明は、また、上記のカチオン電着塗料組成物を用いて塗装して得られた硬化電着塗膜を有する物品も提供する。
焼成カオリンのムライト含有量を制御することでカチオン電着塗料組成物への分散性が向上し、分散に要する時間を短縮することが可能になる。カチオン電着塗料組成物では、前述のように、顔料成分は顔料分散ペーストを形成して、それをアミン変性エポキシ樹脂由来のエマルションなどと水中で混合してカチオン電着塗料組成物を形成するが、ムライト含有量を制御した焼成カオリンを用いると最初の顔料分散ペースト作成時の分散が容易になり、分散時間を短縮することが可能になる。
カオリンは通常800℃程度で焼成すると、結晶水が放出されて結晶構造が崩壊して非晶質の焼成カオリンが得られる。一方、カオリンを更に強熱し1000℃前後の温度で焼成すると、非晶質カオリンが再び結晶化してムライト(mullite:3Al2O3・2SiO2)を徐々に生成する。ムライトは上述のように結晶性を帯びているため、顔料固有の硬度は高く、機械的シェアに対して強靭である。その結果、分散性を著しく低下させる原因となる。本発明では、このムライト含有量が60質量%未満の焼成カオリンを特に用いると、カチオン電着塗料組成物形成における顔料の分散性が良くなることを見いだした。
カチオン電着塗料組成物
本発明のカチオン電着塗料組成物は、アミン変性エポキシ樹脂(a)、ブロックイソシアネート硬化剤(b)、および顔料(c)を含むが、顔料(c)中の体質顔料が800℃以上で焼成して得られるムライト含有量が60質量%未満の焼成カオリンを含む。本発明のカチオン電着塗料組成物はさらに、必要に応じて他の成分を含有してもよい。それぞれの成分について説明する。
アミン変性エポキシ樹脂(a)
アミン変性エポキシ樹脂(a)は、カチオン電着塗料組成物において塗膜形成樹脂の1種である。本発明に係るアミン変性エポキシ樹脂(a)は、電着塗料組成物において一般に使用されるアミンで変性されたエポキシ樹脂を特に制限なく用いることができる。アミン変性エポキシ樹脂(a)として、当業者に公知のアミン変性エポキシ樹脂および市販のエポキシ樹脂をアミン変性したものなどを使用することができる。
本発明に係るアミン変性エポキシ樹脂(a)は、好ましくは、樹脂骨格中のオキシラン環を有機アミン化合物で変性して得られるアミン変性エポキシ樹脂である。一般に、アミン変性エポキシ樹脂(a)は、出発原料樹脂分子内のオキシラン環と、1級アミン、2級アミンあるいは3級アミンおよび/またはその酸塩等のアミン類との反応による開環によって生成される。出発原料樹脂は、典型的には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等の多環式フェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物であるポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などである。また他の出発原料樹脂としては、例えば、特開平5−306327号公報に記載され公知のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、ジイソシアネート化合物、またはジイソシアネート化合物のNCO基をメタノール、エタノール等の低級アルコールでブロックして得られたビスウレタン化合物とエピクロルヒドリンとの反応によって得ることができる。
上記出発原料樹脂を必要に応じてアミン類によるオキシラン環の開環反応の前に、2官能性のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ビスフェノール類、2塩基性カルボン酸等により鎖延長し、それを出発原料樹脂として用いてもよい。
アミン類によるオキシラン環の開環反応の前に、分子量またはアミン当量の調節、熱フロー性の改良等を目的として、一部のオキシラン環に対して2−エチルヘキサノール、ノニルフェノール、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルなどのモノヒドロキシ化合物を付加してもよい。
オキシラン環を開環し、アミノ基を導入する際に使用することができるアミン類としては、例えば、ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、メチルブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンなどの1級アミン、2級アミンまたは3級アミンおよび/もしくはその酸塩が挙げられる。また、アミノエチルエタノールアミンメチルイソブチルケチミンなどのケチミンブロック1級アミノ基含有2級アミン、ジエチレントリアミンジケチミンも使用することができる。これらのアミン類は、全てのオキシラン環を開環させるために、オキシラン環に対して少なくとも当量で反応させることが望ましい。
上記アミン変性エポキシ樹脂(a)の数平均分子量は1,000〜5,000の範囲が好ましく、1,500〜3,000の範囲がより好ましい。数平均分子量が1,000未満の場合は、硬化形成塗膜の耐溶剤性および耐食性等の物性が劣ることがある。また数平均分子量が5,000を超える場合、焼き付け硬化時のフロー性が劣り、得られる硬化電着塗膜の外観が劣る場合がある。本発明において、樹脂成分の平均数分子量はGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定することができ、ポリスチレン標準による換算値によって算出することができる。
上記アミン変性エポキシ樹脂(a)は、ヒドロキシル価が50〜200mmol/100gの範囲が好ましい。ヒドロキシル価が50mmol/100g未満では塗膜の硬化不良を招くことがある。またヒドロキシル価が250mmol/100gを超える場合、硬化後に塗膜中に過剰の水酸基が残存し、その結果、耐水性が低下することがある。
上記アミン変性エポキシ樹脂(a)は、アミン価が150mmol/100g以下が好ましい。アミン価が150mmol/100gを超えると、電着硬化後に塗膜中に過剰のアミノ基が残存し、その結果、耐水性が低下することがある。
ブロックイソシアネート硬化剤(b)
ブロックイソシアネート硬化剤(b)は、カチオン電着塗料組成物において塗膜形成樹脂の1種であり、アミン変性エポキシ樹脂(a)を硬化させる硬化剤として作用し得る。本発明に係るブロックイソシアネート硬化剤(b)は、ポリイソシアネートをブロック剤でブロックして得られる。ここでポリイソシアネート化合物とは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物をいう。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族系、脂環式系、芳香族系および芳香族−脂肪族系等のいずれであってもよい。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、p−フェニレンジイソシアネート、及びナフタレンジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネート等のような炭素数3〜12の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、及び1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(水添XDI)、水添TDI、2,5−もしくは2,6−ビス(イソシアナートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナンジイソシアネートとも称される。)等のような炭素数5〜18の脂環式ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート(XDI)、及びテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等のような芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン化物、カーボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン、ビューレット及び/又はイソシアヌレート変性物);等が挙げられる。上記ポリイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、または2種以上を併用してもよい。
ポリイソシアネートをエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどの多価アルコールとNCO/OH比2以上で反応させて得られる付加体ないしプレポリマーもブロックイソシアネート硬化剤(b)として使用することができる。
脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環式ポリイソシアネートの好ましい具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添TDI、水添MDI、水添XDI、IPDI、ノルボルナンジイソシアネート、それらの二量体(ビウレット)、三量体(イソシアヌレート)等が挙げられる。
ブロック剤は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に付加してブロックする試薬である。ブロック剤の付加により形成されるブロック化イソシアネート基は常温では安定であるが、解離温度以上(通常、100〜180℃)に加熱することで、ブロック剤が解離して遊離のイソシアネート基が再生され得る。
ブロック剤としては、低温硬化(160℃以下)を望む場合には、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムおよびβ−プロピオラクタムなどのラクタム系ブロック剤、及びホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム系ブロック剤を使用するのが好ましい。
顔料(c)
本発明のカチオン電着塗料組成物は顔料を含む。顔料は、通常塗料に使用されるものを特に制限なく用いることができる。そのような顔料として、例えばカーボンブラック、二酸化チタン、グラファイトなどの着色顔料;カオリン、ケイ酸アルミ(クレー)、タルク、硫酸バリウムなどの体質顔料;リンモリブデン酸アルミ、ケイ酸鉛、硫酸鉛、ジンククロメート、ストロンチウムクロメートなどの防錆顔料;などが挙げられる。これらの中でもカオリンは、電着膜の防錆性、耐ハジキ性を高めるために、通常カチオン電着塗料組成物に体質顔料として添加されるものである。上記顔料は、単独で用いてもよく、目的に応じて2種以上を併用してもよい。
本発明では、顔料成分として、800℃以上で焼成して得られるムライト含有量が60質量%未満の焼成カオリンを用いることが必須である。焼成カオリンは、種々の種類のものが市販されているが、そのなかでもムライト含有量が60質量%未満、好ましくは50質量%未満のものを用いる。ムライト含有量が60質量%未満の焼成カオリンを用いると、本発明の効果である顔料分散性が良好となる。
焼成カオリンは、前述のように、焼成温度で結晶構造が変わるものである。本発明では、結晶質であるムライト含有量が少ない焼成カオリンがカチオン電着塗料組成物への分散性が高く有用であることがわかった。この有用性に基づく理由は、特に限定的ではないが、ムライトは強固な再結晶物であり、緻密でかつ硬い性質を有しており、顔料ペースト分散時における機械的解砕を妨げ、いわゆる難分散成分となっていると考えられる。逆にムライト状態でない、非晶質の焼成カオリンは表面や内部に空隙を多く含んでいるので、塗料への分散が容易になるのではないかと考えられる。これまで焼成カオリン中のムライト含有量に注目しカチオン電着塗料組成物への分散性を検討したことはなく、全く新しい知見である。
ムライト含有量は、粉末X線回折法による測定で、焼成カオリンに含まれる結晶相のムライト含有量を定量することで求める。使用する測定器は、例えば、X線回折装置リガクRADIIC(株式会社リガク社製)が挙げられ、通常の測定条件で測定できる。
上記ムライト含有量が60質量%未満の焼成カオリンは、前述のように、カオリンを所定温度で焼成することにより得られる。例えば、カオリンを800℃〜950℃の温度で、1分〜5時間以上(保持時間)焼成することにより得ることができる。800℃より低い温度であれば、非晶質化が起こりにくく、950℃を超えるとムライト含有量が60質量%を超えてしまう。また、そのような焼成カオリンは、市販されていて、具体的には、ブリテックス96(山西金洋鍛焼高嶺土有限会社製)が挙げられる。
顔料は、合計でカチオン電着塗料組成物中に含まれる樹脂固形分100質量部に対して5〜55質量部となる量で用いられる。顔料が樹脂固形分100質量部に対して5質量部より少ないと、隠蔽性や防錆性が劣り、逆に50質量部よりも多いと、顔料の量が塗膜外観に影響を与えて悪化する。顔料全体のうち、上記特定の焼成カオリンは、35〜60質量%、好ましくは45〜50質量%である。上記特定の焼成カオリンが、35質量%より少ないと、防錆性や耐ハジキ性が悪くなり、逆に60質量%より多いと、塗膜外観に悪影響を与える。
他の成分
本発明のカチオン電着塗料組成物は、硬化触媒、可塑剤、界面活性剤、塗膜表面平滑剤、酸化防止剤および紫外線吸収剤などの常用の塗料用添加剤を含むことができる。他にも、カチオン性アクリル樹脂、架橋樹脂粒子などの樹脂成分を必要に応じて含めてもよい。
顔料分散ペースト
前記顔料は、顔料分散樹脂といわれる樹脂と共に予め高濃度で水性溶媒に分散させてペースト状にし、該ペーストを電着塗料組成物の製造に用いてもよい。顔料は粉末状体であるため、電着塗料組成物で用いられるような低濃度で均一な状態に、顔料を一工程で分散させるのは困難だからである。
顔料分散ペーストは、顔料を顔料分散樹脂と共に水性溶媒中に分散させて調製する。顔料分散樹脂としては、一般に、カチオン性またはノニオン性の低分子量界面活性剤や4級アンモニウム基および/または3級スルホニウム基を有する変性エポキシ樹脂などのようなカチオン性重合体が用いられる。水性溶媒としては、イオン交換水や少量のアルコール類を含む水などが用いられる。顔料分散ペーストは一般に、顔料100質量部に対して、顔料分散樹脂を20〜100質量部の固形分比で含む。この顔料分散ペーストは、上記顔料分散樹脂および顔料を混合し、その混合物中の顔料の粒径が所定の均一な粒径となるまで、ボールミルやサンドグラインドミルなどの通常の粉砕装置を用いて分散させて調製することができる。
カチオン電着塗料組成物の調製
本発明のカチオン電着塗料組成物は、上記アミン変性エポキシ樹脂(a)、ブロックイソシアネート硬化剤(b)を水性媒体中に分散させたもの(バインダー樹脂エマルション)、脱イオン水、および上記顔料(c)を含む顔料分散ペーストを、所定の割合で混合することにより調製することができる。
本発明のカチオン電着塗料組成物において、固形分濃度は15〜25質量%の範囲となるように好ましくは調整される。固形分濃度の調整には水性溶媒を使用して行うことができる。上記水性溶媒の例としては、イオン交換水、純水などが挙げられる。上記水性溶媒は、必要に応じて少量のアルコール類などを含んでいてもよい。前記水性溶媒は、アミン変性エポキシ樹脂(a)の分散性を向上させるために中和剤を含有してもよい。上記中和剤の例としては、塩酸、硝酸、リン酸、スルファミン酸などの無機酸またはギ酸、酢酸、乳酸、アセチルグリシンなどの有機酸が挙げられる。
本発明のカチオン電着塗料組成物は、塗料組成物において通常含まれる有機溶媒、例えばエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、メチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」と称する)など、を必要に応じて用いてもよい。
硬化電着塗膜の形成
本発明のカチオン電着塗料組成物を電着塗装し加熱硬化することで、硬化電着塗膜を得ることができる。カチオン電着塗装は、被塗物である導電性の基材を陰極として、被塗物に陰極(カソード極)端子を接続し、上述のカチオン電着塗料組成物の浴温15〜35℃、負荷電圧100〜400Vの条件で、一般に、乾燥膜厚13〜20μmとなる量の塗膜を電着塗装する。その後140〜200℃、好ましくは160〜180℃で10〜30分間焼き付けることにより、硬化電着塗膜を得ることができる。
硬化電着塗膜を設ける被塗物は、電着塗装可能な導電性の基材であれば、特に制限なく用いることができる。このような基材として、例えば、金属(例えば、鉄、鋼、銅、アルミニウム、マグネシウム、スズ、亜鉛などおよびこれらの金属を含む合金など)、鉄板、鋼板、アルミニウム板およびこれらに表面処理(例えば、リン酸塩、ジルコニウム塩などを用いた化成処理)を施したもの、ならびにこれらの成型物などが挙げられる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
製造例1 アミン変性エポキシ樹脂(a)の調製
攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計および滴下ロートを取り付けたフラスコに、2,4−/2,6−トリレンジイソシアネート(質量比:80/20)92部と、ジブチルスズジラウレート0.5部を秤り取り、攪拌、窒素バブリングしながらメタノール21部を滴下ロートより30分かけて滴下した。該混合物の温度は室温から発熱により60℃まで昇温した。その後30分間反応を継続した後、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル57部を滴下ロートより30分かけて滴下した。該混合物の温度は、発熱により60℃に昇温した。60分間反応を継続した後、ビスフェノールA−プロピレンオキシド(6モル)付加体(ニューポールBPE60、三洋化成工業株式会社製)42部を添加した。該混合物の温度は、発熱により60℃に昇温し、IRスペクトルを測定しながらイソシアネート基が消失するまで反応を継続した。
続いて、エポキシ当量188のビスフェノールA型エポキシ樹脂(液状エポキシ-P、ダウ・ケミカル日本株式会社製)365部を上記混合物に加え、均一に溶解した後、125℃まで昇温した。次いで、ベンジルジメチルアミン1.0部を添加し、脱メタノール反応によるオキサゾリドン環形成反応を行った。該反応はエポキシ当量410になるまで継続した。
次いで、ビスフェノールA87部を加えて120℃で反応させ、冷却させた。該反応混合物のエポキシ当量は1190であった。該反応混合物に、ジエタノールアミン11部、N−エチルエタノールアミン24部およびアミノエチルエタノールアミンケチミン(79%MIBK溶液)25部を加え、110℃で2時間反応させた。その後、MIBKで不揮発分80%となるまで希釈し、アミン変性エポキシ樹脂(a)(樹脂固形分77%)を得た。
製造例2 ブロックイソシアネート硬化剤(b)の調製
ジフェニルメタンジイソシアナート1250部およびMIBK266.4部を反応容器に仕込み、これを80℃まで加熱した後、ジブチルスズジラウレート2.5部を加えた。ここに、ε−カプロラクタム226部をブチルセロソルブ944部に溶解させたものを80℃で2時間かけて滴下した。さらに100℃で4時間加熱した後、IRスペクトルの測定において、イソシアネート(NDO)基に基づく吸収が消失したことを確認し、放冷後、MIBK336.1部を加えて、ブロックイソシアネート硬化剤(b)を得た。
製造例2−1 バインダー樹脂エマルション(C)の調製
アミン変性エポキシ樹脂(a)350g(固形分)とブロックイソシアネート硬化剤(b)150g(固形分)とを混合し、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルを固形分に対して3%(15g)になるよう添加した。次に氷酢酸を中和率40.5%になるように加えて中和し、イオン交換水を加えてゆっくり希釈し、次いで固形分が36.0%以下になるように減圧下でメチルイソブチルケトンを除去して、バインダー樹脂エマルション(C)を得た。
製造例3 顔料分散樹脂の調製
攪拌装置、冷却管、窒素導入管および温度計を取り付けた反応容器に、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」と称する)222.0部を秤り取り、MIBK39.1部で希釈した後、該希釈物にジブチルスズジラウレート0.2部を加えた。該混合物を50℃に昇温した後、2−エチルヘキサノール131.5部を攪拌下、乾燥窒素雰囲気中で2時間かけて滴下した。反応温度は50℃に維持した。2−エチルヘキサノールハーフブロック化IPDI(樹脂固形分90.0%)が得られた。
次いで、反応容器に、ジメチルエタノールアミン87.2部、75%乳酸水溶液117.6部およびエチレングリコールモノブチルエーテル39.2部を順に加え、65℃で約半時間攪拌して、4級化剤を調製した。
次に、エポン(EPON)829(シェル・ケミカル・カンパニー社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量193〜203)710.0部とビスフェノールA289.6部とを反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、150〜160℃に加熱することで、初期発熱反応が生じた。該反応混合物を150〜160℃で約1時間反応させ、次いで、120℃に冷却した。該反応混合物に、先に調製した2−エチルヘキサノールハーフブロック化IPDI(MIBK溶液)498.8部を加えた。
該反応混合物を110〜120℃に約1時間保ちながら、エチレングリコールモノブチルエーテル463.4部を加えた。該混合物を85〜95℃に冷却し、均一化した後、先に調製した4級化剤196.7部を添加した。反応混合物を85〜95℃に維持しながら、その酸価が1となるまで反応させた。該反応混合物に脱イオン水200部を加えて、エポキシ−ビスフェノールA樹脂において4級化を終了させ、4級アンモニウム塩部分を有する顔料分散用樹脂を得た(樹脂固形分30%)。
製造例4 焼成カオリン(1)の製造
カオリン(HP−90、山西金洋鍛焼高嶺土有限会社製)100部を焼成温度850℃で1時間(850℃保持)焼成した。得られた焼成カオリン(1)について、X線回折装置リガクRADIIC、株式会社リガク製で粉末X線回折を取った結果、ムライト含有量が0%であった。その測定条件は、管球:CuKα、管電圧−管電流:40KV−30mA、スリット:発散1°,散乱1°,受光0.6mm、走査速度:2°/min、サンプリング幅:0.02°、測定角度(2θ):5〜60°、サンプル量:0.05gであった。
製造例5〜7 焼成カオリン(2)〜(4)の製造
焼成温度を900℃、950℃および1,000℃に変更する以外は、製造例4と同様に焼成カオリンを製造した。製造した焼成カオリンのムライト含有量を下記表1に示す。
Figure 2015187197
製造例8 有機スズ化合物分散ペーストの調製
有機スズ化合物(ネオスタンU−800P、日東化成株式会社製)100部、製造例3で調製した顔料分散樹脂100部(固形分30部)、およびイオン交換水32.1部をサンドグラインドミル(卓上バッチ式SGミル、株式会社大平システム製)に入れて分散させ、有機スズ化合物分散ペーストを得た。
製造例9 顔料分散ペースト(1)の調製
製造例3で調製した顔料分散用樹脂130.7部(固形分39.2部)、カーボンブラック及び酸化チタン(着色顔料)57部、製造例4で調製した焼成カオリン(1)43部、製造例8で調製した有機スズ化合物分散ペースト13.9部(固形分 7.5部)、およびイオン交換水108.3部をサンドグラインドミル(卓状バッチ式SGミル、株式会社大平システム)に入れて、回転数1500rpm、分散時間60分の条件で分散させ、顔料分散ペーストを調製した。分散粒度は8μmであった。
製造例10 顔料分散ペースト(2)〜(7)の調製
上記製造例4で調製した焼成カオリン(1)を製造例5〜7で調製した焼成カオリン(2)〜(4)または市販品1〜3に変更する以外は、製造例9と同様に顔料分散ペースト(2)〜(7)を調製した。市販品の焼成カオリンのムライト含有量および分散粒度は、後述する表2および表3に記載する。
焼成カオリンの市販品は次の通りである:
市販品1 サテントンW、BASF社製
市販品2 HP−90A、山西金洋鍛焼高嶺土有限会社製
市販品3 ブリテックス96、山西金洋鍛焼高嶺土有限会社製
カチオン電着塗料組成物の調製
実施例1〜3および比較例1〜4
上記製造例2−1で得られたカチオン性アミン変性エポキシ樹脂(バインダー樹脂エマルション(C)1415.6部(固形分509.6部)、顔料分散ペースト(1)〜(7)のそれぞれ265.7部(固形分154.1部)およびイオン交換水1637.2部を混合して、塗料固形分20重量%のカチオン電着塗料組成物が得られた。得られたカチオン電着塗料組成物を用いてガルバリウム鋼板を電着塗装し、水平外観を以下に記載のように測定した。結果を表2および表3に示す。
硬化電着塗膜の水平外観の測定
リン酸亜鉛処理したカルバリウム鋼板(JISK5600規格品、150×70×0.5mm)に、各実施例および各比較例のカチオン電着塗料組成物を、液温30℃で、乾燥塗膜が20μmとなるように電着塗装した。水洗した後、160℃で10分間焼き付け、硬化電着塗膜を得た。得られた硬化電着塗膜の外観を、光沢度計(マイクログロス 60°、BYKガードナー)を用い、60度面光沢度を測定した。
実施例1〜3および比較例1〜4のカチオン電着塗料組成物の硬化電着塗料外観についての評価基準は以下の通りである:
◎: ≧85;
○: 80〜84;
△: 79〜76;
×: ≦75;
Figure 2015187197
Figure 2015187197

Claims (5)

  1. アミン変性エポキシ樹脂(a)、ブロックイソシアネート硬化剤(b)および顔料(c)を含むカチオン電着塗料組成物であって、該顔料中の体質顔料が800℃以上で焼成して得られるムライト含有量60質量%未満の焼成カオリンを含むことを特徴とするカチオン電着塗料組成物。
  2. 前記焼成カオリンが、ムライト含有量50質量%未満である請求項1記載のカチオン電着塗料組成物。
  3. アミン変性エポキシ樹脂(a)、ブロックイソシアネート硬化剤(b)および顔料(c)を水性媒体中に混合することにより製造するカチオン電着塗料組成物の製造方法であって、該顔料中の体質顔料が800℃以上で焼成して得られるムライト含有量60質量%未満の焼成カオリンを含むことを特徴とする、カチオン電着塗料組成物の製造方法。
  4. 前記焼成カオリンが、ムライト含有量50質量%未満である請求項3記載のカチオン電着塗料組成物の製造方法。
  5. 請求項1または2記載のカチオン電着塗料組成物を用いて塗装して得られた硬化電着塗膜を有する物品。
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CN113710754A (zh) * 2019-04-25 2021-11-26 关西涂料株式会社 阳离子电沉积涂料组合物

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