JP5594693B2 - 薬液用包装具 - Google Patents
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Description
プラスチックアンプルは、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンを用いて形成されている。例えば、ポリエチレンからなる内層、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる中間防気層およびポリプロピレンからなる外層からなる3層フィルムを用いて形成された注射薬剤封入用容器が知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、アンプルを形成するプラスチック材料は、アンプルに収容された薬液に接するものであるため、薬液に対する溶出性が低い材料に制約される。
そこで、本発明の目的は、プラスチックアンプル外への薬液の透過を抑制することができると同時に、プラスチックアンプルの材料選択の自由度を広げることができる薬液包装具を提供することである。
この場合、薬液を長期間保存した後の薬液の減少量は、収容室を真空に保持した場合に比べて劣るが、プラスチックアンプルを外袋で包む際、例えば、外袋の収容室内を脱気して真空にする等の手間を省くことができる。そのため、短期間保存(例えば、薬液充填後2週間程度)の薬液の包装具として好適に使用することができる。その場合でも、薬液の透過を十分抑制することができる。
すなわち、本発明によれば、麻薬(例えば、モルヒネ等)のように1回分の使用量が少量であり、その1回分単位で保存した場合の内容量の減少割合が大きいと、薬の作用を十分に得ることが困難になる薬液に対しても好適に使用することができる。
すなわち、本発明によれば、厚さが比較的に薄い(400μm〜600μm)プラスチックアンプルを使用した場合でも、プラスチックアンプル外への薬液の透過を効果的に抑制することができる
また、前記プラスチックアンプルは、ポリプロピレンを用いて形成されていてもよい。
また、前記外袋は、四角形袋状に形成されていてもよい。
プラスチックアンプル2は、一端および他端を有する略ボトル状に形成され、一端に薬液を注出するための注出口4が形成されたアンプル本体5と、注出口4を密封するようにアンプル本体5に取り付けられた蓋6と、注出口4の周方向に沿って形成され、アンプル本体5と蓋6とを連接する薄肉部7とを一体的に有している。プラスチックアンプル2の長さL1は、例えば、プラスチックアンプル2の内容量が1mLのとき46.0mmであり、プラスチックアンプル2の内容量が2.5mLのとき62.5mmであり、プラスチックアンプル2の内容量が5mLのとき70.0mmであり、プラスチックアンプル2の内容量が10mLのとき95.0mmである。また、プラスチックアンプル2の幅W1は、例えば、プラスチックアンプル2の内容量が1mL,2.5mL,5mLおよび10mLのとき18.7mmである。
また、胴部10の周壁8および底壁9の厚さT(アンプル本体5の外面と薬液収容室12の内面との間の厚さ)は、例えば、400μm〜800μmである(図5参照)。
これら互いに連続する2つのリブ14,15は、プラスチックアンプル2の製造方法に起因して形成されるものである。リブ14,15が形成されることにより、アンプル本体5の剛性を向上させることができる。その結果、アンプル本体5の形状を維持することができる。
補強片18は、ネック部11と胴部10との間に跨って形成されているため、胴部10とネック部11との間の剛性を著しく向上させることができる。そのため、例えば、プラスチックアンプル2の輸送中や取り扱い中において、胴部10から突出しているネック部11が破損しにくくなる。また、摘み片22(後述)を摘んで、薄肉部7を捩じ切り、または、折り裂く際に、補強片18に手指がかけやすくなる。しかも、確実な回り止めの作用があるため、プラスチックアンプル2の開封操作を、容易にかつ確実に行うことができる。
蓋6は、薄肉部7を介してアンプル本体5のネック部11に接続され、ネック部11と略同じ径を有し、頂部が閉塞された筒状の接続部21と、当該接続部21の周壁および頂壁に跨って設けられた摘み片22とを含んでいる。
摘み片22は、図2に示すように、補強片18と同一平面上に形成されるのが好ましい。この場合、すっきりとした外観が得られ、かつ、プラスチックアンプル2を収納しやすくなる。また、摘み片22を捩じる際に、補強片18を手指に引っ掛けやすくなる。なお、摘み片22は、補強片18と直交する方向に形成されていてもよい。
薄肉部7は、アンプル本体5の膜厚(胴部10の厚さT)よりも薄く形成されている部分であり、例えば、0.4N・m/mm以下の力で開封できる程度の厚さで形成されている。具体的には、0.2μm〜0.3μm程度の厚さを有していることが好ましい。
例えば、まず、プラスチックアンプル2の材料を押出成形することにより、パリソンを作製する。
使用される材料としては、アンプル本体5に対する溶出性が低いプラスチックであれば特に制限されず、例えば、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン)、ポリテトラフルオロエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、エチレン−テトラシクロドデセンなどのポリ環状オレフィン系樹脂などが挙げられ、好ましくは、ポリプロピレン、ポリ環状オレフィン系樹脂が挙げられる。ポリプロピレンやポリ環状オレフィン系樹脂は、様々な薬液に対する溶出性が概ね低く、しかも汎用プラスチックであるため、薬液への不純物の溶出を抑制することができると同時に、プラスチックアンプル2の低コスト化を図ることができる。
次に、割り型で挟んで、蓋6の各部を形成し、アンプル本体5の注出口4を密閉する(シール工程)ことにより、薬液が収容されたプラスチックアンプル2が得られる。
なお、リブ14,15は、パリソンを割り型で挟んだときに、その割型の合わせ面に沿って形成される。
外袋3の長さL2からプラスチックアンプル2の長さL1を引いた、長さL3(プラスチックアンプル2の頂部から外袋3の周縁部25までの長さ)と長さL4(プラスチックアンプル2の底部から外袋3の周縁部25までの長さ)との和(長さL)は、例えば、プラスチックアンプル2の長さL1の0.6〜4.2倍程度であり、具体的には、11mm〜50mmである。また、外袋3の幅W2からプラスチックアンプル2の幅W1を引いた、幅W3(プラスチックアンプル2の左側部から外袋3の周縁部25までの長さ)と、幅W4(プラスチックアンプル2の右側部から外袋3の周縁部25までの長さ)との和(幅W)は、例えば、プラスチックアンプル2の幅W1の0.2〜4.0倍程度であり、具体的には、4mm〜45mmである。また、収容室26の容量は、例えば、プラスチックアンプル2の内容量の1〜3倍程度であることが好ましく、例えば、プラスチックアンプル2の内容量が1mLのとき1mL〜3mLであり、プラスチックアンプル2の内容量が2.5mLのとき2.5mL〜7.5mLであり、プラスチックアンプル2の内容量が5mLのとき5mL〜15mLであり、プラスチックアンプル2の内容量が10mLのとき10mL〜30mLである。
外袋3は、第1フィルムとしての内層27および第2フィルムとしての外層28が積層されてなる2層フィルム29からなる(図5の要部拡大図参照)。
内層27は、0.20cc/m2・day・atm以下の酸素透過度および0.05g/m2・day以下の水蒸気透過度を有する、アルミナ蒸着層30が形成されたポリエチレンテレフタレートフィルム31からなる。また、外層28も、内層27と同様に、0.20cc/m2・day・atm以下の酸素透過度および0.05g/m2・day以下の水蒸気透過度を有する、アルミナ蒸着層32が形成されたポリエチレンテレフタレートフィルム33からなる。
そして、外袋3は、2枚の2層フィルム29の内層27同士(具体的には、内層27のポリエチレンテレフタレートフィルム31同士)が向かい合うように重ね合わせられた後、これら2層フィルム29の3辺がヒートシールされて収容室26が区画され、その後、残りの1辺がヒートシールされることにより袋状にされる。
以上のように、このプラスチックアンプル2によれば、プラスチックアンプル2が、0.20cc/m2・day・atm以下の酸素透過度および0.05g/m2・day以下の水蒸気透過度を有する、アルミナ蒸着層30,32が形成されたポリエチレンテレフタレートフィルム31,33からなる内層27および外層28の2層フィルム29からなる外袋3で包まれているので、プラスチックアンプル2外への薬液の透過を抑制することができる。すなわち、プラスチックアンプル2外への薬液の透過を、内層27/外層28の2層フィルム29からなる外袋3を設けることにより抑制することができるので、プラスチックアンプル2の材料に関しては、薬液透過を抑制する特性よりも他の特性(例えば、薬液に対する低溶出性)を優先して選択することができる。その結果、プラスチックアンプル2外への薬液の透過を抑制することができると同時に、プラスチックアンプル2の材料選択の自由度を広げることができる。
また、厚さTが比較的に薄い(400μm〜600μm)プラスチックアンプル2を使用した場合でも、プラスチックアンプル2外への薬液の透過を効果的に抑制することができる。
例えば、前述の実施形態では、外袋3の収容室26の圧力が大気圧であることにより、外袋3が多少の膨らみを持たせていたが、図6の薬液包装具61のように、収容室26を真空(例えば、100Pa以下)にすることにより、外袋3の内面が、プラスチックアンプル2の外面にほぼ密着していてもよい。
<実施例1>
ポリプロピレン(PP)を用いたブローフィルシール法により、図1〜図5に示すプラスチックアンプル2と同形状のプラスチックアンプル(アンプルの内容量が1mLのときのサイズ:L1=4.60cm、W1=1.87cm、アンプルの内容量が2.5mLのときのサイズ:L1=6.25cm、W1=1.87cm)を作製した。そのプラスチックアンプルには、薬液として水を充填した。
<実施例2>
サイズの小さい外袋(アンプルの内容量が1mLのときのサイズ:L2=7.5cm、W2=4.5cm アンプルの内容量が2.5mLのときのサイズ:L2=9.0cm、W2=4.5cm)を作製したこと以外は、実施例1と同様に、プラスチックアンプルおよび外袋を作製することにより、薬液包装具を得た(図7の薬液包装具と同形状の包装具)。
<比較例1>
実施例1の2層フィルムに代えて、0.50cc/m2・day・atmの酸素透過度および8.00g/m2・dayの水蒸気透過度を有する、シリカ蒸着層が形成されたナイロンフィルムと、0.50cc/m2・day・atmの酸素透過度および0.60g/m2・dayの水蒸気透過度を有する、アルミナ蒸着層が形成されたポリエチレンテレフタレートフィルムとが2層に積層された2層フィルムを用いて外袋を作製したこと以外は、実施例1と同様に、プラスチックアンプルおよび外袋を作製することにより、薬液包装具を得た。
<比較例2>
サイズの小さい外袋(アンプルの内容量が1mLのときのサイズ:L2=7.5cm、W2=4.5cm アンプルの内容量が2.5mLのときのサイズ:L2=9.0cm、W2=4.5cm)を作製したこと以外は、比較例1と同様に、プラスチックアンプルおよび外袋を作製することにより、薬液包装具を得た。
<比較例3>
実施例1の2層フィルムに代えて、PVA(Poly Vinyl Alcohol:ポリビニルアルコール)の単層フィルムを用いて外袋を作製したこと以外は、実施例1と同様に、プラスチックアンプルおよび外袋を作製することにより、薬液包装具を得た。
<比較例4>
サイズの小さい外袋(アンプルの内容量が1mLのときのサイズ:L2=7.5cm、W2=4.5cm アンプルの内容量が2.5mLのときのサイズ:L2=9.0cm、W2=4.5cm)を作製したこと以外は、比較例3と同様に、プラスチックアンプルおよび外袋を作製することにより、薬液包装具を得た。
<比較例5>
プラスチックアンプルのみを実施例1と同様の方法により作製した。
<評価>
上記実施例および比較例で得られた薬液包装具(比較例5はプラスチックアンプル)を、プラスチックアンプルの内容量(1mLおよび2.5mL)ごとにそれぞれ、25℃の環境下で30日間保存した。結果を図8および図9に示す。
具体的には、1mLのプラスチックアンプルの薬液の30日後の減少割合は、実施例1=0%、実施例2=−0.08%であった。これに対し、比較例1=−0.41%、比較例2=−0.27%、比較例3=−0.34%、比較例4=−0.31%、比較例5=−0.35%であった。
また、上記と同様に、プラスチックアンプルの内容量(1mLおよび2.5mL)ごとにそれぞれ、40℃の環境下で30日間保存した。結果を図10および図11に示す。
具体的には、2.5mLのプラスチックアンプルの薬液の30日後の減少割合は、実施例1=−0.15%、実施例2=−0.23%であった。これに対し、比較例1=−0.73%、比較例2=−0.58%、比較例3=−0.94%、比較例4=−0.76%、比較例5=−1.06%であった。
2 プラスチックアンプル
3 外袋
12 薬液収容室
26 収容室
27 内層
28 外層
29 2層フィルム
30 アルミナ蒸着層
31 ポリエチレンテレフタレートフィルム
32 アルミナ蒸着層
33 ポリエチレンテレフタレートフィルム
61 薬液包装具
71 薬液包装具
72 外袋
73 収容室
Claims (5)
- 薬液が収容された薬液収容室を有するプラスチックアンプルと、
前記プラスチックアンプルが収容された収容室を有し、当該収容室が密閉された外袋とを含み、
前記プラスチックアンプルにおける薬液の内容量は、1mL〜5mLであり、
前記外袋は、第1フィルムと第2フィルムとの2層構造フィルムからなり、
前記第1フィルムおよび前記第2フィルムは、0.20cc/m2・day・atm以下の酸素透過度および0.05g/m2・day以下の水蒸気透過度を有する、アルミナ蒸着層が形成されたポリエチレンテレフタレートフィルムからなり、
前記外袋は、前記第1フィルムのポリエチレンテレフタレートフィルム同士が向かい合うように重ね合されて形成されており、
前記外袋の長さL2から前記プラスチックアンプルの長さL1を引いた長さが、前記プラスチックアンプルの長さL1の0.6〜4.2倍であり、
前記外袋の幅W2から前記プラスチックアンプルの幅W1を引いた幅が、前記プラスチックアンプルの幅W1の0.2〜4.0倍である、薬液用包装具。 - 前記外袋の前記収容室内の圧力は大気圧である、請求項1に記載の薬液用包装具。
- 前記プラスチックアンプルの外面と前記薬液収容室の内面との間の厚さは、400μm〜800μmである、請求項1または2に記載の薬液用包装具。
- 前記プラスチックアンプルは、ポリプロピレンを用いて形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の薬液用包装具。
- 前記外袋は、四角形袋状に形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の薬液用包装具。
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