JP5594677B2 - 電気事故防止シミュレータ - Google Patents
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Description
ここでは、電圧を低減した電源装置と配線用遮断器、漏電遮断器を組み合わせ実短絡を発生させ短絡エネルギーを短絡音、閃光、熱、短絡臭等で体感することができることも示されている。短絡や漏電では、配線用遮断器、漏電遮断器が動作することも目で見ることができ、動作の理解に役立っている。
然しながら、短絡現象を実際に起こすものなので、短絡音、閃光、熱、短絡臭等は、本物であり、火災警報器が作動したり、火災になる可能性もあり、環境を汚したり、人体に良くない危険性をはらんでいて教育機器としては好ましい状態でない。
又、作業のシミュレータとしては、天候や音などの実環境で起こることを、教育訓練を行う局所空間に発生させて、実環境らしくみせ、訓練の効果を上げようとする試みが、特許文献4、特許文献5、特許文献6に見ることが出来る。特許文献4では、天候などの映像発生装置や、VTR装置、模擬の高所作業車などを手段として使用している。特許文献6では、夜間道路環境を具現する照明装置や、雨天を具現する散水ノズル、送風装置などを具備している。特許文献5では、ダム操作訓練用シミュレータで、ゲートの動作音、放流音などの音を発生する音声合成、出力装置を備えている。これらの操作訓練用のシミュレータからは、電気事故を防止するための手段はみえてこない。
電気工事・維持作業に従事する作業者、監督者の立場からは、作業者が作業行動において、電気の怖さと結果のようなその見える現象だけではなく、見えない真の事故メカニズムと原因を理解させることで、作業者に人為的ミスを防ぐ行動に繋がる作業者教育装置が望まれてきた。このような事情に対して、作業時に電気事故を発生させる行動と電気の怖さを安全に体感させる教育ができないかという電気事故体感型の作業者教育装置への要求が出てきていた。
ハードウェアでは、全ての場合の事故例に対する作業盤を作成するには、費用面が大きくなる。又、ハード面は修正も厄介である。従って、電気事故の一部しか構成できないことが多い。多くの電気事故の作業環境を用意するには、大きな設置空間が必要となる。
これに対して、非特許文献1から非特許文献7では、多くの電気事故例が示されていて、
これら多くの事故に対応する教育ができる環境が望まれる。これらの電気事故例に関係する事柄を図11と図12にて、低圧電気事故と高圧電気事故について纏めてある。
更に多数の人の教育をするには、作業盤のみでは対処しきれず、複数人の同時作業には向いていない。作業盤で見ることが出来るものは分かるが、電気事故の全貌、その作業盤の位置づけが見えない。電気事故の全貌から個別の作業を選択して学習できないなどである。
即ち、使用者である作業者が電気作業を模擬した行動を電気事故生成具に対して行うことで、電気事故生成具に対応した模擬の電気事故が起こり、電気事故災害効果具により、実際の災害を安全な状態で模したしびれ、痛みなどの電気刺激、スピーカからの音の大きさ、ランプの光の明るさと形状、臭い、温度上昇、煙、電流の大きさなどの災害効果で体感させ、どのような行動をするとどのような災害を被るかを実感させ、不安全行動を取らないよう教育することが可能である。同時に安全状態を獲得するためには、保護安全対策具が必須であり、これにより不安全状態を回避して、状態と行動の両面から作業者の電気事故を防ぐものである。
以下請求項に沿って説明する。
前記電気作業画面は、前記電気作業により区分けする電気作業区分、前記電気作業により発生した電気事故により区分けする電気事故区分、前記電気作業時の保護安全策により区分けする保護策区分の少なくともひとつの区分から、その下に所望の電気作業画面が得られるように階層構造を有し、前記電気作業画面は、その画面上で所望の電気作業についての模擬環境を表示し、画面上で作業を行わせるための電気作業画域部と、その作業画面上での「実行」、「中止」、「終了」を含む作業行動を選択するための行動選択ボタンをもつ行動選択画域部を有し、
前記所望の電気作業の実行を行うと、前記プログラムが規定する質問・指令に対する応答又は、前記操作器による操作により画面上で模擬作業を行うことが可能となり、予め決められた不安全な作業又は不安全な手順に合致したかどうかで、前記災害効果と前記作業に対する評価結果を出力することを特徴とする。
前記電気機器、前記電気配線又は前記人体の前記電気事故に付随して生じた変化部を前記使用者に気付かせるために前記変化部が点滅する注意喚起手段と、の少なくとも1つを前記電気作業画面上の前記電気機器、前記電気配線又は人体を表す画像と共に表示せしめ、
電気事故で起こっている認識することが出来ない現象又は気付かない前記変化部を認識させることで、電気事故のメカニズムを理解させるようにしたことを特徴とする。
ソフトウェアの柔軟性とハードウェアの臨場感をもって、安全に体感させることが可能となる。
例えば、「事故区分から」ボタン113をクリックして、「事故区分」を選択すると、事故区分画面120に入ることが出来る。その中には、漏電、感電、過熱/火災/やけど、短絡、地絡、アーク発生、波及事故/停電などの電気事故が区分されていて、その中の1個又は複数個を選別すると、それに対応した事故が起こりえる作業画面に入ることが出来る。例えば、「短絡」を選択すると、短絡に関する作業画面に入り、作業画面130では、作業を行うことが出来る。短絡が起こりえる事態が事態リスト画域131に表示される。事態リスト131の中から、壁ドリル穴あけ作業を選ぶと、事態リスト画域131は、壁ドリル穴あけ作業の作業画域132に切り替わる。
電気事故災害効果具152は、災害効果具詳細図170のようになっている。短絡検出制御/効果装置171は、接点166の接続状態の信号を受けて、短絡を感知し、災害効果具への出力を行う。この例では、災害効果具として、死亡や災害に至らない程度の感電刺激(痺れ感)を与える、ここでは腕に巻きつけ二つの電極から電流を与える形の感電刺激具172と、配線が短絡をしたことを示す表示ランプ173と、短絡の状態を音の大きさで示すスピーカ174と、同じく光の大きさで示すランプ175を有している。尚、模擬作業盤150がなくとも、電気事故災害効果具152は、電気事故シミュレータ100上での作業の結果で直接駆動されることも可能である。例えば、コンピュータの画面上で、ドリルで壁に穴あけを行った際に、コンピュータ上で短絡になることを検出したとき、同時に感電になるとすると、コンピュータから感電刺激具172に刺激電流を適当な大きさと時間で流すことを行わせる。コンピュータに向かって画面上で作業をしている作業者の腕が電流により痺れを感じることなる。実際のものとは違って、大きな短絡電流も流れず、付随的な感電もないので、安全な模擬動作を行える。又、短絡電流があったときに動作する模擬的な過電流遮断器をトリップさせる動作を行わせることが出来る。
尚、作業区分では、図示のように低圧作業項目221と高圧作業項目222に分けて、小分類が示されている。この小分類の項目もその中から1つ又は複数を選択することが可能であり、選択により対応した作業画面に移行することが出来る。尚、作業画面の上で、手順ボタン141をクリックした場合に作業画面に示される作業フロー240の例が示される。ここでは、実際の作業、例えば、電気ドリルでの壁穴あけの前に、確認する確認フローを示している。管理者との打ち合わせ、危険予知訓練、手順の確認、充電配線など環境の確認が示されている。その後に穴あけ作業のフローが示される。死亡事故に至るような作業では、作業前の安全確認が最も重要なことである。やるべきことをしなかったことによる事故が多いからである。
低圧複合画面は、作業画面620に切り替わる。作業画面620は、選択された複合作業画面となる。ここでは、選択した複合作業に対応して、配電盤630、回転機械としてのモータ650、携帯移動機械としての電動ドリル660、電工ドラム670と、図1で示した壁ドリル穴あけ作業の部分画面680等が示されている。「実行」ボタン614をクリックすると、作業プログラムに沿って、作業が指示され、操作を行うことができる。
例えば、
配電盤周りの作業では、配電盤630の筺体631は接地された状態が安全な状態である。
(1)接地した場合
配電盤の匡体を接地するかどうかの問いに、「接地をする」を選択すると、作業画面620上で筺体631が接地スイッチ632が動いて接続され、接地される。このため、筺体631の電位を示す電圧計633が「零電位」になる。この状態で、電圧計633の上の電位確認ボタン634をクリックすると、次に漏電スイッチ635が動き接続して、電気配線636が筺体631の適当な場所に接続される。ここでは、分かりやすいように漏電を知らせる漏電ランプパターン637を介して接続される。漏電電流が接地した経路を通じて流れる。漏電電流が適当に大きければ、漏電遮断器638がトリップし、トリップを示すランプパターン639が点灯する。この漏電電流の値は、漏電電流電流計640で見ることができる。模擬的なので、電流が大きい場合と小さい場合を選択できる。小さい場合を選択すると漏電遮断器638がトリップせずに、漏電電流が流れ続ける。この場合の電流は、筺体631とアース641間の接地抵抗分と電気配線636と筺体631間の漏電抵抗分により決まる。筺体631の電位は、電気配線の電源の電位を両抵抗で分割した値で決まる。通常は、漏電抵抗分が接地抵抗分より大きいので、筺体631の電位は、電源電圧より小さくなっていて、接地しないのに比べて、これに触れても比較的安全な範囲になることが可能である。腕又は足に感電刺激具(図1の172)を付けて、「感電体験」を選ぶと、画面の人体モデル642が動いて、その手が筺体631に接触する。感電をシミュレートする回路が繋がって、人体モデル642を通じて、アース641に電流が流れる。これが感電である。感電電流は感電電流電流計643で見ることが出来る。この場合の等価回路690は、接地抵抗Rgと人体抵抗RMが並列になり、これに直列に漏電抵抗RLが繋がるので、人体モデル642に流れる感電電流iは、
i=電源電圧/{RL+RM+(RL・RM/RG)}となる。
接地ありでは、RGがRL・RMよりはるかに小さくすれば、RL・RM/RGは無限大になり、電流は無限に小さくなるので、死亡にいたらない。
感電電流電流計643の値も致死量よりはるかに少ない値とすることができる。
勿論、人体モデル642の動作も何も起こらない。感電の場合は、痺れ動作或いは驚いて飛び跳ねる、或いは、倒れるなどの動作を表示することになる。
「接地しない」を選択すると、作業画面620上で接地スイッチ632が開放状態となり、接地されない。接地されないことを確認させるため、接地スイッチ632が開放状態を保ったまま点滅する。このように、電気事故防止シミュレータを効果的にするには、通常の電気回路ではない表現をすることが大切である。例えば、動作が変わるものは、動作の結果のみでなく、変化を点滅という注意喚起手段を持たせて示すことである。スイッチが切れるという動作を点滅させながら「切れる」変化を示すことが好ましい。
筺体631の電位を示す電圧計633は、「開放」の表示になる。電圧計633上の電位確認ボタン634をクリックすると、次に漏電スイッチ635が動き接続して、電気配線636が筺体631の適当な場所に接続される。ここでは、分かりやすいように漏電を知らせる漏電ランプパターン637を介して接続される。接地がされていないのでこの時点では、漏電電流が流れない。腕又は足に感電刺激具(図1の172)を付けて、「感電体験」を選ぶと、画面の人体モデル642が動いて、その手が筺体631に接触する。感電をシミュレートする回路が繋がって、人体モデル642を通じて、アース641に電流が流れる。
人体モデルに流れる感電電流iは、
i=電源電圧/{RL+RM+(RL・RM/RG)}から、ここで、RGを無限大(接地なし)と置けば、i=電源電圧/{RL+RM}となり、感電電流は、大きくなり、人体は被災する。従って、人体モデルには、痺れ動作或いは驚いて飛び跳ねる、或いは、倒れるなどの動作をさせることになる。腕又は足の感電刺激具からは、致死量以下で災害にならない程度の刺激を作業者に与える。同時に、感電電流電流計643には接地の場合より大きな電流値を示させる。同時に「ドン」という効果音を発するのも良い。
尚、通常は、漏電電流がある程度大きいと、漏電ブレーカ638がトリップして電源をOFFしてしまう。又、匡体631の接地により、人体モデル642に流れる感電電流iを感電電流電流計643または等価回路690上の表示を点滅しながら大きさを示すことで接地による差を明確に認識させ、接地の重要性を示すことができる。その際、接地スイッチ632と等価回路690上の接地抵抗RGを接続/切断状態の変化を点滅を持って表示すると感電電流iとの関係を明確に表現することができる。
配電盤のテストが終了すると、次のテストに移る。
モータ650等の電気機器は一般に筺体への漏電による感電は起こりえるので、接地が重要である。ここでモータ650を示したのは、漏電ではなく、実際に起こった配線ミスによる事故をシミュレートして示すためである。以下にこれを説明する。
三相交流の電気配線636から、3つの充電配線がコンセント652に接続されている。実は、この配線が間違いである。2層を使い、1相は配線しないことが正解である。
先ず、コンピュータから、コンセント652の一端子の処理を聞いてくる。端子を「電源につなぐ」か「接地する」かどうかである。「電源につなぐ」を接続すると、スイッチ653は、3相電源側に繋がったことを点滅表示する。モータ650の電源プラグ651はコンセント652に差し込まれる。モータ650を動かす2線は、3相の2線につながり、他の1線は、本来はアースに行く線である。このアースに行く線にコンセント652において3相の電源が与えられるのであるから、モータ650のアースに繋がるモータ筺体654等は、電源の電位が与えられて、大変危険であり、接触により感電する。従って、「電源につなぐ」を選択すると、モータ筺体654が点滅して、充電状態であることを表示し、図示されない人体モデルが接触すると、配電盤と同様に感電する状態が示される。
次に、「接地する」を選択すると、スイッチ653は、接地側に繋がったことを点滅表示する。この場合は、モータ筺体654は、点灯しないか、安全である「緑」ランプパターンがついて、人体モデルが接触しても、感電することはなく、「ニコニコ顔の表情」をする。
これは、図1、図5で説明したので省略する。
4)電工ドラム過熱短絡事故のテスト
「コンセント671にプラグ672を差し込んで下さい。」の指示があるので、それを行う。電工ドラム670に負荷、この場合には、電気ドリル660が接続されている。模擬作業として電気ドリル660を動作させると、動作電流が電工ドラム670の線材を流れる。電流の流れを見えるようにするため、矢印673を点滅して電流表示代わりとする。ドリルは負荷が変わると、音が鈍く大きくなり、動作電流も大きくなるので、現実感を出すため、スピーカからドリル音と電流計674の指示値を変動させる。画面上の電工ドラム670には、温度計675が付いていて、ケーブル676の温度を点滅しながら示している。電流計674の指示値の変動に応じて温度も変動する。温度が上限値を超えると図示されない危険ブザーがなる。これが過剰になると、ケーブル676の過熱により、ケーブル676の絶縁性能が劣化して短絡事故になる。ケーブル676を過熱程度の表現のために次第に赤く光らせる。最後は、閃光を発して短絡事故を表す。
同時に、配電盤630の過電流遮断器677がトリップして遮断する。「パチン」という音とともに過電流遮断器677が点滅し、ボタンが落ちることを確認させる。
ケーブル676を引き出して使用した場合は、ケーブル676から放熱するため、温度が上がらない。このため過熱状態になりにくい。従って、電工ケーブルは、巻いたまま使うのは危険であり、引き出して使うことが正しい使い方であることを教えることができる。
所定の電気事故に対応する漏電遮断器、過電流遮断器等の電気機器の動作、感電・漏電電流、短絡電流の配線、人体中の電流の流れなどの現実の電気配線の事故現場環境では、認識することが出来ないところの潜在的現象が、なぜ、どこで、どのようにおこったことで、どうなったかを電気事故に特有な事柄について、作業者の真の理解のために、人間の五感(特に視覚)に訴える形で示す必要があった。図7で説明する。図7には、作業画面上に描かれた作業環境の一例で図1、図5、図6に示された壁内配線ドリル短絡事故の例である。
第一の過電流遮断器701と第一の漏電遮断器702を介して、電源が配線703に与えられ、配線はコンセント704に接続されている。電工ドラム705のプラグ706をコンセント704に接続する。電工ドラムには、電気ドリル707が接続されている。
一方、第二の過電流遮断器721と第二の漏電遮断器722を介して、電源が配線723に与えられ、配線723の一部は、模擬壁724の内側に配置された壁内配線725として存在している。以上が、現実の回路環境の構成に対応する。現実の回路環境で電気ドリルで壁に穴を開ける作業をして、壁内配線をドリルの歯が破ったときには、短絡事故が起こり、第二の過電流遮断器がトリップして電源が切れる。或いは、人体に感電する等の怖い結果があるだけで、そのままでは、教育効果が期待できない。なぜ、どこで、どのようになど現象の内容が見えないから理解にいたらず記憶に残らないのである。そのため、これを顕示する手段、更に誇張する手段が必要である。以下にその手段を示す。
作業者には短絡した壁内配線725の箇所を認識させる必要がある。このような効果を与えるために、画面上で閃光ランプパターン728をフラッシュする。第二の過電流遮断器721がトリップし、そのつまみ729が中間位置に落ちる。実際の場合は、トリップの瞬間を見ないと、トリップしたことを気づかない場合がある。その原因も分からない。ここで、顕示する手段として、つまみ729を点滅させる。例えば、図のようにトリップ前の状態を点滅で示し、トリップ後の状態を点灯で示すことも理解しやすい。なぜトリップしたかという理解のためには、第二の過電流遮断器721の中の配線730を表示し、その中を流れる電流に対応して矢印731を点灯又はフラッシュする。その大きさ(矢印の長さ)は電流の大きさに対応させる。配線730に電流をセンスする第一の検出コイル732を付属させる。実際の回路にもあることだが、実際の過電流遮断器は、検出コイルがあることは、過電流遮断器自体からは見えないので、確認できないことである。従って、これを見えるようにする必要がある。画像上の第一の検出コイル732には、配線730に流れる電流の大きさに比例した誘導電流が流れるので、これを矢印などで表示すれば効果がある。画像上で短絡電流用電流計733を配置して、誘導電流の出力から、短絡電流の大きさを表示させる。その大きさが限度値を越えると、第二の過電流遮断器721の中のスイッチ接点734の切片735が動いて、トリップ動作となる。切片735でトリップ前の位置が点滅し、トリップ後の位置のものが点灯するようにすれば理解しやすい。更に、配線730を流れる短絡電流の矢印、誘導電流を表す矢印、誘導電流の出力による短絡電流電流計733の電流表示値、スイッチ接点734の切片735、つまみ729を連動して点滅させることで、これらの動作が理解できる。このような電気事故に関係する見えない動作を顕示する手段を通じて、どの作業により、どこで短絡し、その電流がどのような経路で流れて、どのように検知されて過電流遮断器がトリップしたかが理解できる。この場合では、第二の漏電遮断器722はトリップしない。第二の検出コイル736は、配線723の両方を同時に検出している。このような検出を零相検流という。一方、過電流遮断器の場合の第一の検出コイル732は配線の一方側の検出であった。両方を検出すると、電流の往復は同じ値で、向きが逆なので、その発生する磁束は互いに打ち消して誘導電流の値は零となり、誘導電流を示す矢印も表示されない。従って、漏電電流電流計737の指示値は零であり、トリップ動作も起こさない。過電流遮断器は、漏電を検出する機器となっている。
ドリル筺体751に作業者750が触れた瞬間に漏電による感電が起こる。現実の環境では、感電の被災がおこり、第一の漏電遮断器702がトリップするという結果があるだけである。これでは理解には不十分なので、短絡の場合と同じように現実の環境に追加される画面上の顕示手段を以下に説明する。漏電による感電が起こると、感電電流は、画面上の作業者750の手から人体を通過し、その場所、例えば、足からアースに流れる。これを見える化するため画面上の人体上で電流の流れを示す矢印752を表示し、点灯又は点滅する。整列した画像上のランプパターン753を点灯又は点滅させる。
同時に、電工ドラム705からの配線にも電流の流れを示す矢印754又は、整列した画像上のランプパターン755を点灯又は点滅させる。流れた感電電流の大きさを示すため、感電電流電流計756に大きさを表示する。作業者が感じる感電を示すため、痺れ衝撃を示す閃光、作業者画像に被災衝撃反応動作を行わせる。電気配線703には、流れる漏電電流を示す矢印を点滅する。矢印は、往復の配線で大きさ(長さ)が異なる。この大きさの差が作業者を通じてアースに漏れた漏電(感電)電流である。第一の漏電遮断器702の往復の配線には、零相検流器としての第三の検知コイル757を見える化して表示してある。これには、電気配線703の上の二つの電流の差異に比例した誘導電流を表す矢印758が点滅で表示される。
画像上で漏電電流電流計759を配置して、誘導電流の出力から、漏電電流の大きさを表示させる。その大きさが限度値を越えると、第一の漏電遮断器702の中のスイッチ接点760の切片761が動いて、トリップ動作となる。切片761でトリップ前の位置が点滅し、トリップ後の位置のものが点灯するようにすれば理解しやすい。更に、配線703を流れる漏電電流の矢印、誘導電流を表す矢印、誘導電流の出力による漏電電流電流計759の電流表示値、スイッチ接点760の切片761、つまみ762を連動して点滅させることで、これらの動作が理解できる。このような電気事故に関係する見えない動作を顕示する手段を通じて、どの作業により、どこで漏電し、その電流がどのような経路で流れて、どのように検知されて漏電遮断器がトリップしたかが理解できる。この場合では、第一の過電流遮断器701はトリップしないこともできるし、トリップさせることもできる。第四の検出コイル763は、配線703の片側を別々に検出している。この図では、一方のみに第四の検出コイル763があり、小さい電流しか検出していないので、トリップしない状態である。短落電流電流計764の指示値はトリップ限度を下回る値である。
以上の例のように、現実の環境では、見えない現象を顕示する手段を画面に与えることで
動作を深く理解させることができる。
第一の点線枠900内には、図7に示す第二の過電流遮断器721と第二の漏電遮断器722と模擬壁724と壁内配線725が示されていて、事故を起こす前の状態である。ここでは、事故前なので、通常の電気配線の環境と同じく、事故メカニズム顕示手段は示されていない。これに図7と同じく、壁内配線725が短絡する事故が起こったことを想定する。第二の点線枠901内には、事故瞬間の状態が示されている。短絡が起こると、短絡による過大電流が流れて、一瞬の間に、金属が溶け飛沫902となって飛び散り、閃光903と短絡音が発生し、付近が焼けて煙904が舞い上がり、そのすさまじさは、驚きと恐怖を見る者に与える。恐怖を感じさせるには絶大の効果であるので、この画像は、実際の短絡を起こさせた現場の状況を撮影した実事故動画を音声付でシミュレータの画面に挿入することが教育上効果的である。この画面では、一瞬の事故動画表示のなかで、焦げた電気配線や過電流遮断器721が示される。これにより、実際の事故の現実を知らせることができる。これに前後して、図7の事故メカニズム顕示手段による表示に切り替わり、事故メカニズムと結果の説明が入ると、作業者は事故を体感を持って、原因を理解し、事故を起こさないための手段や手順を体得することができる。
勿論、ソフトウェアによる電気事故防止シミュレータのみでも作業画面と操作器により作業が可能であることは言うまでもない。
10−Aに示すものは、図1等で示したので、説明は省略する。10−Bに示したものは、10−Aで階層構造で下位階層に示したものを、画面全体にツリー構造で示したもので、
画面でほぼ全体の構成が俯瞰できる点が好ましい。図示されたように、作業区分枠1001の下に低圧作業枠1002と高圧作業枠1003があり、それぞれに、多くの作業項目1004がぶら下がっていて、ここをクリックして作業画面に入ることができる。10−Cでは、全ての作業項目リスト1005が表示された例であり、ここをクリックして、実際の作業画面に入ることができる。10−Dでは、10−Cの作業項目リストを文字列で示す代わりに作業画面のイラストで表したものである。イラストをクリックすると作業画面に入ることができる。D部のみイラストで示したが、A,B,C・・・他の部分も各作業画面に対応するイラストになっている。10−Cと10−Dを合わせた表現も可能である。
101 操作器
102 コンピュータ
103 表示
104 電気作業事故プログラム
110 表示画面構成
111、200、500、600 主画面
112、202、601 「作業区分から」ボタン
113、203、501 「事故区分から」ボタン
114、204 「保護策区分から」ボタン
120、210、510 事故区分画面
130、520、620 作業画面
131、521 事態リスト画域
132、522 作業画域
133 行動選択画域
134 「作業盤」ボタン
140 「目的」ボタン
141、525 「手順」ボタン
142、523、614 「実行」ボタン
150、800 模擬作業盤
151 作業入力/電気事故生成具
152 電気事故災害効果具
153 保護安全具
160A、160B 壁ドリル穴あけ模擬作業部分図
161、524、724 模擬壁
162 模擬ドリル
163 プッシュスイッチ
164 押しボタン部
165 接片
166 接点
167、636 電気配線
170 災害効果具詳細図
171 短絡検出制御/効果装置
172 感電刺激具
173 表示ランプ
174 スピーカ
727、753、755、639 ランプパターン
175、816 ランプ
220、610 作業区分画面
221 低圧作業項目
222 高圧作業項目
230 保護策区分画面
240 作業フロー
301 漏電区分
302 感電区分
303 過熱/火災/やけど区分
304 短絡/地絡区分
305 アーク発生区分
306 停電波及事故
401 作業前確認リスト
402 不安全行動リスト
403 事故処理リスト
511 感電ボタン
526「チェック」ボタン
527「資料」ボタン
611「低圧作業」ボタン
612「戻り」ボタン
613 「主画面へ」ボタン
630 配電盤
631 筺体
632 接地スイッチ
633 電圧計
634 電位確認ボタン
635 漏電スイッチ
637 漏電ランプパターン
638 漏電ブレーカ
640、759 漏電電流電流計
641 アース
642 人体モデル
643、756 感電電流電流形
650 モータ
651、672、706 プラグ
652、671、704 コンセント
653 スイッチ
654 モータ筺体
660、707 電動ドリル
670、705 電工ドラム
673、726、731、752、754、758 矢印
674 電流計
675 温度計
676 ケーブル
677 過電流遮断器
680 壁ドリル穴あけ作業の部分画面
690 等価回路
701 第一の過電流遮断器
702 第一の漏電遮断器
703、723、730、815 配線
721 第二の過電流遮断器
722 第二の漏電遮断器
725 壁内配線
728 閃光ランプパターン
729、762 つまみ
732 第一の検出コイル
733 短絡電流用電流計
734、760 スイッチ接点
735、761 切片
736 第二の検出コイル
737 漏電電流電流計
750 作業者
751 ドリル筺体
757 第三の検知コイル
763 第四の検出コイル
764 短落電流電流計
801 表示衝立板
802 区分開閉器
803 零相変流器
804 電力供給用計器用変成器
805 断路器
806 真空遮断器
807 変流器
808 高圧カットアウト
809 変圧器
810 配線用遮断器
811 計器用変圧器
812 直列リアクトル
813 進相用コンデンサ
814 高圧交流気中負荷開閉器
817 電源
818 フォトセンサ
819 感電表示用ランプ
820 短絡表示用ランプ
821 地絡表示用ランプ
822 作業対象物
823 スピーカまたはブザー
824 左手用感電表示用ランプ
825 右手用感電表示用ランプ
826 カメラ
827 絶縁マット
828 押圧センサ
900 第一の点線枠
901 第二の点線枠
902 飛沫
903 閃光
904 煙
1001 作業区分枠
1002 低圧作業枠
1003 高圧作業枠
1004 作業項目
1005 作業項目リスト
Claims (10)
- 電気事故防止シミュレータは、この使用者が教育のための作業において使用し、操作するための操作器を含むコンピュータと、予め設定された電気事故をシミュレートするプログラムと、前記プログラムにより規定された電気作業画面と前記作業結果を表示する表示器を少なくとも含み、前記作業結果による災害効果を前記使用者に体感させる出力器と、を有し、
前記電気作業画面は、前記電気作業により区分けする電気作業区分、前記電気作業により発生した電気事故により区分けする電気事故区分、前記電気作業時の保護安全策により区分けする保護策区分の少なくともひとつの区分から、その下に所望の電気作業画面が得られるように階層構造を有し、前記電気作業画面は、その画面上で所望の電気作業についての模擬環境を表示し、画面上で作業を行わせるための電気作業画域部と、その作業画面上での「実行」、「中止」、「終了」を含む作業行動を選択するための行動選択ボタンをもつ行動選択画域部を有し、
前記所望の電気作業の実行を行うと、前記プログラムが規定する質問・指令に対する応答又は、前記操作器による操作により画面上で模擬作業を行うことが可能となり、予め決められた不安全な作業又は不安全な手順に合致したかどうかで、前記災害効果と前記作業に対する評価結果を出力することを特徴とする電気事故防止シミュレータ。 - 現実の電気配線の事故現場環境では、電気配線、電気機器又は人体の感電、漏電、短絡の少なくともひとつを含む電気事故又は前記電気事故に関する電気機器の動作での認識することが出来ない又は気付かない現象を前記作業画面上で顕示又は注意喚起するものであって、前記感電、漏電、短絡の少なくとも1つを含む前記電気事故の電流の流れを表す矢印パターン、ランプパターン又は、その点滅パターンの少なくとも1つである潜在的現象顕示手段と、
前記電気機器、前記電気配線又は前記人体の前記電気事故に付随して生じた変化部を前記使用者に気付かせるために前記変化部が点滅する注意喚起手段と、の少なくとも1つを前記電気作業画面上の前記電気機器、前記電気配線又は人体を表す画像と共に表示せしめ、
電気事故で起こっている認識することが出来ない現象又は気付かない前記変化部を認識させることで、電気事故のメカニズムを理解させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の電気事故防止シミュレータ。 - 前記潜在的現象顕示手段又は/及び前記注意喚起手段により前記作業画面上に顕示又は注意喚起する前又は後に、前記電気事故の現実の音声付きの動画映像を前記表示器を含む出力器に出力することを特徴とする請求項2記載の電気事故防止シミュレータ。
- 前記模擬作業を行った結果、予め前記プログラムで決められた不安全な作業、不安全な手順に合致した場合に、所定の災害効果を出力するに合わせて、前記使用者に相当する画面上の作業者の画像に被災の衝撃反応動作をさせたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の電気事故防止シミュレータ。
- 前記模擬作業に現実の電気作業で付随する作業音をスピーカから発生、付加したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の電気事故防止シミュレータ。
- 前記模擬作業の評価結果の履歴を残すようにしたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の電気事故防止シミュレータ。
- 前記電気配線が前記所望の電気作業にかかる施設のどこに配置されているかを示したものであって、前記作業画面から参照可能な電気配線配置図を含む資料を各作業毎に定まったものとせず、前記プログラムで変更することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の電気事故防止シミュレータ。
- 前記コンピュータから出力する前記災害効果の出力具は、前記使用者の腕又は足に付設する感電事故感電刺激具であって、前記使用者の腕又は足に取り付けるための帯状部とその内側に取り付けられた複数の電気端子を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の電気事故防止シミュレータ。
- 前記画面上で所望の電気作業を選択する場合に複数の電気作業を集団として前記画面上でまとめ、一括して集団ごとに選択を可能としたことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1つに記載の電気事故防止シミュレータ。
- 前記コンピュータの外部に接続したハードウェアで構成した模擬作業盤との連動を通じて前記作業画面上の操作以外に作業現場を模擬したハードウェア作業環境で模擬電気作業を行わせ、模擬作業盤上の作業結果を前記コンピュータに入力し、前記プログラム上で評価し、又は、前記プログラム上での評価結果を災害効果として、模擬作業盤又は前記表示器を含む出力器に出力するようにしたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の電気事故防止シミュレータ。
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