(実施形態1)
以下、図1〜図14を参照して、この発明を指針式の腕時計に適用した実施形態1について説明する。
この腕時計は、図1および図2に示すように、秒針1および分針2を駆動する第1駆動系5と、時針3および表示車4を駆動する第2駆動系6とを備えている。
第1駆動系5は、図1に示すように、第1ステッピングモータ7と、この第1ステッピングモータ7によって回転する五番車8と、この五番車8によって回転する四番車である秒針車9と、この秒針車9によって回転する三番車10と、この三番車によって回転する二番車である分針車11とを備え、これらが地板12と輪列受け13との間に配置された構成になっている。
この場合、第1ステッピングモータ7は、図1に示すように、ステータ7aと、このステータ7aに設けられたコイル部(図示せず)と、ステータ7aの間に配置されたロータ7bとを備え、コイル部によってステータ7aに発生する磁界により、ロータ7bがステップ回転するように構成されている。五番車8は、ロータ7bのロータカナ7cに噛み合って回転するように構成されている。
四番車である秒針車9は、図1に示すように、五番車8のカナ8aに噛み合って回転し、秒針1を運針させるように構成されている。この秒針車9は、秒針軸9aを備えている。この秒針軸9aは、地板12の上方に突出し、この突出した上端部に秒針1が取り付けられている。また、三番車10は、秒針車9のカナ9bに噛み合って回転するように構成されている。
二番車である分針車11は、図1に示すように、三番車10のカナ10aに噛み合って回転し、分針2を運針させるように構成されている。この分針車11は、筒状の分針軸11aを備えている。この分針軸11aは、その内部に秒針軸9aが回転可能に挿入されている。また、この分針軸11aは、秒針軸9aと共に地板12の上方に突出し、この突出した上端部に分針2が取り付けられている。
一方、第2駆動系6は、図2に示すように、第2ステッピングモータ14と、この第2ステッピングモータ14の回転が順次伝達される第1〜第3の各中間車15〜17と、この第3中間車17によって回転する筒車である時針車18と、この時針車18の回転が順次伝達される第4、第5の各中間車19、20と、この第5中間車20によって動作する表示切替装置21とを備えている。
この場合、第2駆動系6の第2ステッピングモータ14および第1〜第3の各中間車15〜17は、第1駆動系5と同様、地板12と輪列受け13との間に配置されている。また、この第2駆動系6の時針車18、第4、第5の各中間車19、20、および表示切替装置21は、図1および図2に示すように、地板12と押え板22との間に配置されている。
第2ステッピングモータ14は、図2に示すように、ステータ14aと、このステータ14aに設けられたコイル部(図示せず)と、ステータ14aの間に配置されたロータ14bとを備え、コイル部によってステータ14aに発生する磁界により、ロータ14bがステップ回転するように構成されている。
第1中間車15は、図2に示すように、ロータ14bのロータカナ14cに噛み合って回転するように構成されている。第2中間車16は第1中間車15のカナ15aに噛み合って回転するように構成されている。第3中間車17は第2中間車16のカナ16aに噛み合って回転するように構成されている。筒車である時針車18は、図2に示すように、第3中間車17のカナ17aに噛み合って回転し、時針3を運針させるように構成されている。
この時針車18は、図1および図2に示すように、筒状の時針軸18aを備えている。この時針車18は、その時針軸18aの内部に分針軸11aが回転可能に挿入された状態で地板12上に配置されて押え板22によって回転可能に押えられた構成になっている。この時針軸18aの上端部には、時針3が取り付けられている。また、第4中間車19は時針車18に噛み合って回転するように構成されている。第5中間車20は第4中間車19のカナ19aに噛み合って回転するように構成されている。
ところで、表示切替装置21は、図2に示すように、第5中間車20によって回転する伝達車23と、この伝達車23に伴って回転するツメ車24と、このツメ車24によって間欠的に回転する送り車25と、この送り車25によって回転する表示車4とを備え、これらが地板12と押え板22との間に配置された構成になっている。
この場合、伝達車23は、図2に示すように、第5中間車20に噛み合って回転するように構成されている。この伝達車23は、地板12に設けられた支持軸28に回転自在に取り付けられている。また、この伝達車23の上面には、図3(a)および図3(b)に示すように、ピン状の伝達突起23aが起立して設けられている。
ツメ車24は、図2および図4に示すように、伝達車23上に重なった状態で、地板12の支持軸28に伝達車23と共に回転自在に取り付けられている。すなわち、このツメ車24は、伝達車23上に同軸で重なった状態で回転可能に設けられている。また、このツメ車24は、第1円板部26と第2円板部27とを有し、この第1、第2の各円板部26、27が上下に重なり合った状態で一体に形成された構成になっている。
このツメ車24には、図4(a)〜図4(c)に示すように、伝達車23の伝達突起23aが挿入する円弧状の長孔30が、第1、第2の各円板部26、27の上下に貫通して設けられている。この長孔30は、ツメ車24の回転中心である支持軸28を中心とする円弧に沿って設けられている。これにより、ツメ車24は、伝達車23の伝達突起23aが長孔30の長手方向に位置する両端部30a、30bのいずれか一方に当接した状態で、伝達車23の回転に伴って支持軸28を中心に回転するように構成されている。
また、このツメ車24における第1円板部26の外周面には、図4(a)に示すように、2枚の送り歯31、32が外周方向に突出して設けられていると共に、この2枚の送り歯31、32間に第1溝部33が設けられている。第2円板部27は、図4(a)〜図4(c)に示すように、その外周が第1円板部26の2枚の送り歯31、32の各歯先円とほぼ同じ径で形成されている。この第2円板部26の外周部には、第2溝部34が第1円板部26の第1溝部33に対応して設けられた構成になっている。
送り車25は、図2に示すように、ツメ車24の外周面の近傍に配置された状態で、ツメ車24が1回転する際に、ツメ車24の2枚の送り歯31、32によって間欠的に所定角度だけ回転して、表示車4を回転させるように構成されている。この送り車25の中心部には、図5(a)〜図5(c)に示すように、回転軸29が上下に突出して設けられている。また、この送り車25の外周には、ツメ車24の2枚の送り歯31、32に噛み合うと共に、表示車26の歯部26aに噛み合うための複数の歯部36a、36bが設けられている。
この複数の歯部36a、36bは、図5(a)〜図5(c)に示すように、全部で6枚であり、1枚おきに歯幅の厚い歯部36aと薄い歯部36bとが交互に形成された構成になっている。この場合、歯幅の厚い3枚の歯部36aは、ツメ車24の第1円板部26と第2円板部27との両方の厚みとほぼ同じ厚みで形成されている。歯幅の薄い3枚の歯部36bは、ツメ車24の第1円板部26の厚みとほぼ同じか、それよりも少し薄い厚みで形成されている。
また、歯幅の厚い3枚の歯部36aは、ツメ車24の第1、第2の各溝部33、34に噛み合い、この噛み合いが解除された際に、第2円板部27の外周面に接触した状態で、その外周面に沿って相対的に移動するように構成されている。また、歯幅の薄い3枚の歯部36bは、ツメ車24の第1、第2の各溝部33、34に噛み合うことなく、ツメ車24の2枚の送り歯31、32のいずれか一方が接離可能に当接するように構成されている。
この場合、歯幅の薄い歯部36bは、図6および図7に示すように、歯幅の厚い3枚の歯部36aのうち、2枚の厚い歯部36aが、第2円板部27の外周面に接触した状態で、その外周面に沿って相対的に移動する状態のときに、その2枚の厚い歯部36a間に位置する1枚の薄い歯部36bが、ツメ車24の第1円板部26の外周面に接近して、第2円板部28の上面、つまり第1円板部26に設けられた2枚の送り歯31、32の移動軌跡上に位置し、この移動軌跡上を相対的に移動するように構成されている。
また、この歯幅の薄い歯部36bは、図9(a)および図9(b)に示すように、1枚の歯幅の厚い歯部36aがツメ車24の第1、第2の各溝部33、34に噛み合ってツメ車24が回転している状態のときに、第1円板部26に設けられた2枚の送り歯31、32の移動軌跡上から離脱して、第2円板部27の外周側に位置するように構成されている。
これにより、ツメ車24と送り車25とは、図6(a)および図6(b)に示すように、歯幅の厚い歯部36aがツメ車24の第1、第2の各溝部33、34から離脱した状態で、ツメ車24が回転している際に、送り車25の歯幅の厚い歯部36aのうち、2枚の厚い歯部36aが、ツメ車24の第2円板部27の外周面に接触した状態で、その外周面に沿って相対的に移動することにより、送り車25の回転を規制して停止させるように構成されている。
また、ツメ車24と送り車25とは、図8(a)および図8(b)に示すように、歯幅の厚い歯部36aのうち、1枚の厚い歯部36aがツメ車24の第1、第2の各溝部33、34に噛み合った状態で、ツメ車24が回転する際に、第1、第2の各溝部33、34に噛み合っていない残りの厚い歯部36aが、ツメ車24の第2円板部27の外周面から離れることにより、送り車25の回転規制を解除するように構成されている。
また、ツメ車24と送り車25とは、図6および図7に示すように、送り車25の歯幅の厚い歯部36aのうち、2枚の厚い歯部36aがツメ車24の第2円板部27の外周面に接触して送り車25の回転を規制している状態で、ツメ車24が回転する際に、ツメ車24の2枚の送り歯31、32のうち、正回転方向に位置する一方の送り歯31がその正回転方向に位置する送り車25の薄い歯部36bに当接すると、送り車25の厚い歯部36aがツメ車24の第1、第2の各溝部33、34内に向けて移動することにより、送り車25の回転規制が解除されて、送り車25の回転を開始させるように構成されている。
また、このツメ車24と送り車25とは、図8および図9に示すように、ツメ車24の回転に伴って、ツメ車24の一方の送り部31が、これに当接した送り車25の薄い歯部36bとこれに隣接する厚い歯部36aとの間に挿入すると、その厚い歯部36aがツメ車24の第1、第2の各溝部33、34に噛み合い、この状態でツメ車24の回転に伴って送り車25が回転するように構成されている。
また、このツメ車24と送り車25とは、図10(a)および図10(b)に示すように、送り車25の1枚の厚い歯部36aがツメ車24の第1、第2の各溝部33、34から離脱する際に、ツメ車24における正回転方向と反対側に位置する他方の送り歯32が、ツメ車24の第1、第2の各溝部33、34内に位置する送り車25の厚い歯部36aとこれに隣接する正回転方向と反対側の薄い歯部36bとの間に挿入し、この薄い歯部36bがツメ車24の第1円板部26の外周面に接近しながら、第2円板部27の上面、つまり第1円板部26の2枚の送り歯31、32の移動軌跡上に位置し、この移動軌跡上を相対的に移動するように構成されている。
さらに、このツメ車24と送り車25とは、図11(a)および図11(b)に示すように、送り車25の1枚の厚い歯部36aがツメ車24の第1、第2の各溝部33、34から離脱して、この離脱した厚い歯部36aに隣接する正回転方向と反対側に位置する薄い歯部36bが、ツメ車24の第2円板部27の上面を移動しながら第1円板部26の外周面に接近し、ツメ車24の第1円板部26における2枚の送り歯31、32の移動軌跡上に移動可能に位置するように構成されている。
また、ツメ車24と送り車25とは、図11(a)および図11(b)に示すように、離脱した厚い歯部36aに隣接する正回転方向と反対側に位置する薄い歯部36bが、ツメ車24の第1円板部26における2枚の送り歯31、32の移動軌跡上に位置すると、送り車25の2枚の厚い歯部4aがツメ車24の第2円板部28の外周面に接触した状態で、その外周面に沿って相対的に移動することにより、送り車25の回転を規制して停止させ、ツメ車24が回転しても、送り車25が回転しないように構成されている。
一方、表示車4は、図6〜図14に示すように、日車であり、平板状のリング形状に形成されている。この表示車4の表面には、1日〜31日の日付表示が等間隔で表示されている。また、この表示車4は、その内周部に内歯4aが設けられ、この内歯4aに送り車25の各歯部36a、36bが順次噛み合うように構成されている。これにより、表示車4は、送り車25の間欠的な回転に伴って回転し、日付表示が切り替わるように構成されている。
この場合、表示車4は、日付表示が切り替わる際に、第2ステッピングモータ14が高速で回転して、日付表示を切り替えるため、時針3が現在時刻よりも進むことになる。このため、表示車4を回転させずに、時針3を現在時刻に戻す必要がある。そこで、伝達車23の伝達突起23aとツメ車24の長孔30とは、伝達車23を高速で正回転方向に回転させて表示車4の日付表示を切り替えた時点から、時針車18を高速で逆回転方向に回転させて時針3が現在時刻に戻るまでの間、伝達突起23aが長孔30内を移動するように構成されている。
次に、このような指針式の腕時計における表示切替装置21の作用について説明する。
この表示切替装置21は、第2ステッピングモータ14が正回転して、ツメ車24が24時間で1回転する際に、送り車25を所定角度(例えば120度)だけ正回転させ、この送り車25の正回転に伴って表示車4が約11.6度(1/31度)だけ正回転し、表示車4に表示された日付表示を切り替える。
この場合、表示車4を回転させるときには、第2ステッピングモータ14を正回転方向に高速で回転させる。このときには、伝達車23の伝達突起23aがツメ車24の長孔30の正回転方向側に位置する一端部30aに当接した状態で、伝達車23を早回し、これに伴ってツメ車24を高速で回転させる。
これにより、送り車25を速やかに所定角度回転させ、この送り車25の回転により表示車4を所定角度回転させて、表示車4の日付表示を切り替える。この後、第2ステッピングモータ14を逆回転方向に高速で回転させて、伝達車23を逆回転方向に高速で回転させ、この伝達車23の伝達突起23aがツメ車24の長孔30の逆回転方向側に位置する他端部30bに移動するまでの間で、時針3を高速で現在時刻に戻す。
以下、この表示切替装置21の動作を詳細に説明する。
まず、表示車4の日付表示が切り替わる前の状態は、図6(a)および図6(b)に示すように、伝達車23の伝達突起23aがツメ車24の長孔30の正回転方向側に位置する一端部30aに当接している。この状態で、第2ステッピングモータ14が通常の運針速度で回転して、時針3を通常の速度で運針させると共に、伝達車23を通常の速度で正回転(図6(a)では時計回り)させて、ツメ車24を回転させる。
このときには、送り車25の歯幅の厚い歯部36aがツメ車24の第1、第2の各溝部33、34から離脱した状態で、この送り車25の3枚の厚い歯部36aのうち、2枚の厚い歯部36aが、図6(b)に示すように、ツメ車24の第2円板部27の外周面に接触している。また、残りの1枚の厚い歯部36aは、表示車4の内歯4aに噛み合っている。
この状態では、ツメ車24の第2円板部27の外周面に接触している送り車25の2枚の厚い歯部36aが、ツメ車24の第2円板部27の外周面に沿って相対的に移動する。このため、ツメ車24が正回転しても、送り車25は回転することがない。これにより、外部から加わった不用意な力により表示車4に回転力が生じても、表示車4が回転して日付表示が勝手に切り替わることがない。
また、このときには、図6(a)に示すように、ツメ車24の正回転方向に位置する送り車25の1枚の薄い歯部36bが、ツメ車24の第1円板部26の外周面に接近した状態で、第2円板部27の上面、つまり第1円板部26に設けられた2枚の送り歯31、32の移動軌跡上に位置して、この移動軌跡上を相対的に移動する。また、残りの2枚の薄い歯部36bのうち、1枚の薄い歯部36bは、表示車4の内歯4aに噛み合っている。
この状態で、ツメ車24が正回転して24時間が経過して、時針3が24時になると、図7(a)および図7(b)に示すように、ツメ車24の2枚の送り歯31、32のうち、正回転方向に位置する一方の送り歯31が、その正回転方向に位置する送り車25の1枚の薄い歯部36bに当接する。すると、第2ステッピングモータ14が正回転方向に高速で回転して、時針車18を正回転方向に高速で回転させて、時針3を高速で運針させながら、伝達車23を正回転方向(図6(a)では時計回り方向)に高速で回転させて、ツメ車24を早回しする。
このときには、図7(a)および図7(b)に示すように、ツメ車24の2枚の送り歯31、32のうち、正回転方向に位置する一方の送り歯31が、その正回転方向に位置する送り車25の1枚の薄い歯部36bに当接していることにより、ツメ車24の正回転方向と反対側に位置する送り車25の1枚の厚い歯部36aが、ツメ車24の2枚の送り歯31、32の間に位置する第1、第2の各溝部33、34内に向けて移動する。
また、このときには、図7(a)に示すように、ツメ車24の第2円板部27の外周面に接触している送り車25の2枚の厚い歯部26aのうち、ツメ車24の正回転方向と反対側に位置する厚い歯部36aが、ツメ車24の2枚の送り歯31、32間に位置する第1、第2の溝部33、34内に向けて移動すると共に、その正回転方向に位置する送り車25の厚い歯部36aが、ツメ車24の第2円板部27の外周面から徐々に離れる。これにより、送り車25の回転規制が解除され、送り車25が回転を開始し、これに伴って表示車4も回転を開始する。
そして、ツメ車24が更に正回転方向に高速で回転して、図8および図9に示すように、ツメ車24の正回転方向に位置する一方の送り歯31が、これに当接している送り車25の薄い歯部36bとこれに隣接する正回転方向と反対側に位置する厚い歯部36aとの間に挿入し、その厚い歯部36aがツメ車24の第1、第2の各溝部33、34に噛み合う。
このときには、一方の送り歯31に当接した送り車25の薄い歯部36bが、第1円板部26の外周面から徐々に離れると共に、正回転方向と反対側に位置する送り車25の薄い歯部36bが、ツメ車24の正回転方向と反対側に位置する他方の送り歯32に徐々に接近する。これにより、送り車25が更に回転し、これに伴って表示車4も更に回転する。このとき、時針3は、第2ステッピングモータ14の高速回転に伴って、図8および図9に示すように、24時から2時まで進む。
この後、ツメ車24が更に正回転方向に高速で回転して、図10(a)および図10(b)に示すように、送り車25の厚い歯部36aがツメ車24の第1、第2の各溝部33、34から離脱する際には、ツメ車24の正回転方向と反対側に位置する他方の送り歯32が、ツメ車24の第1、第2の各溝部33、34内に位置する送り車25の厚い歯部36aとこれに隣接する正回転方向と反対側に位置する薄い歯部36bとの間に徐々に挿入する。
このときには、図10(a)および図10(b)に示すように、ツメ車24の正回転方向と反対側に位置する他方の送り歯32に接近した薄い歯部36bが、ツメ車24の第2円板部27の上面を移動しながら第1円板部26の外周面に接近し、この第1円板部26における2枚の送り歯31、32の移動軌跡上に位置する。このときにも、送り車25が更に回転し、これに伴って表示車4が更に回転し、時針3が、図10(a)に示すように、3時に進む。
この状態で、ツメ車24が更に正回転方向に高速で回転すると、図11(a)および図11(b)に示すように、送り車25の1枚の厚い歯部36aがツメ車24の第1、第2の各溝部33、34から離脱し、この離脱した厚い歯部36aとその正回転方向と反対側に位置する厚い歯部36aとが、ツメ車24の第2円板部27の外周面に接触する。
このときにも、図11(b)に示すように、ツメ車24の第2円板部27の外周面に接触している送り車25の2枚の厚い歯部36aが、ツメ車24の第2円板部27の外周面に沿って相対的に移動する。また、このときには、送り車25が更に回転し、これに伴って表示車4が更に回転し、表示車4の日付表示が完全に切り替わり、時針3が4時に進む。
この状態では、送り車25の回転が規制され、ツメ車24が回転しても、送り車25は回転することがない。このため、外部から加わった不用意な力により表示車4に回転力が生じても、表示車4が回転して日付表示が勝手に切り替わることがない。また、この状態では、図11(a)に示すように、ツメ車24の1枚の薄い歯部36bが、ツメ車24の第1円板部26の外周面に接近した状態で、第2円板部27の上面に位置する第1円板部26の2枚の送り歯31、32の移動軌跡上に位置して、この移動軌跡上を相対的に移動する状態になっている。
次に、この表示切替装置21において、第2ステッピングモータ14を逆回転方向に高速で回転させて、時針3を現在時刻に戻す場合について説明する。
このときには、時針車18が逆回転して、時針3を逆方向に高速で運針させる。すると、時針車18の逆回転に伴って、伝達車23も逆回転方向(図12(a)では反時計回り方向)に高速で回転するが、ツメ車24は回転することがない。
すなわち、このときには、図12(a)および図12(b)に示すように、伝達車23の伝達突起23aがツメ車24の長孔30内を逆回転方向に向けて移動を開始し、長孔30の正回転方向側に位置する一端部30aから徐々に離れる。このため、ツメ車24は伝達車23の回転に伴って回転せず、表示車4の日付表示が切り替わったままの状態で、伝達車23の伝達突起23aがツメ車24の長孔30内を逆回転方向に移動し、時針3が4時から3時に戻る。
この状態で、図13(a)および図13(b)に示すように、伝達車23が更に逆回転方向に高速で回転すると、伝達車23の伝達突起23aがツメ車24の長孔30内をその長孔30の逆回転方向側に位置する他端部30bに向けて更に移動し、時針3が3時から1時に戻る。
そして、図14(a)および図14(b)に示すように、伝達車23が更に逆回転方向に高速で回転すると、伝達車23の伝達突起23aがツメ車24の長孔30内の他端部30bに接近する。すると、時針3が24時に戻り、第2ステッピングモータ14の逆回転方向への回転が停止される。この後、第2ステッピングモータ14は、正回転方向への回転に切り替わり、通常の運針速度で回転する。
このように、伝達車23の伝達突起23aがツメ車24の長孔30内を移動しているときには、表示車4が回転しないため、第2ステッピングモータ14を逆回転方向に回転させても、表示車4の日付表示が切り替わったままの状態を維持しながら、時針車18を逆方向に回転させて、時針3を現在時刻に戻ることができる。
すなわち、伝達車23を早回して表示車4の日付表示を切り替えていることにより、その日付表示を切り替えるのに要した時間だけ、時針3が進んでも、時針車18を高速で逆回転させて時針3を現在時刻に戻すことができる。このように、日付表示の切り替えを開始してから、時針3が現在時刻に戻るまでに要する動作時間は、数秒間である。
このように、この表示切替装置21によれば、正回転および逆回転可能な第2ステッピングモータ14の正回転方向の回転により正方向に回転される伝達車23に、係止部である伝達突起23aを形成し、この伝達車23に同軸で重なった状態で回転可能に設けられ、1回転ごとに送り車25を所定角度ずつ間欠的に回転させて表示車4の表示を切り替えるためのツメ車24に、伝達突起23aが移動可能に係止される係合部である長孔30を円周方向に沿って形成した構成であるから、第2ステッピングモータ14を高速で正回転させて表示車4の日付表示を速やかに切り替えることができ、また第2ステッピングモータ14を高速で逆回転させて時針3を速やかに現在時刻に戻すことができる。
すなわち、この表示切替装置21では、表示車4の日付表示を切り替える際に、第2ステッピングモータ14を正回転方向に高速回転させて伝達車23を早回し、ツメ車24により表示車4を所定角度回転させて日付表示を速やかに切り替えることができる。また、この状態で第2ステッピングモータ14を逆回転方向に高速回転させて伝達車23を逆回転方向に回転させ、伝達突起23aが長孔30内を相対的に移動している間に、時針3を高速で現在時刻に戻すことができる。このように、日付表示の切り替えを開始してから、時針3が現在時刻に戻るまでの動作を数秒間という短時間で実行することができる。
この場合、伝達車23の伝達突起23aとツメ車24の長孔30とは、伝達車23が高速で正回転方向に回転して表示車4の日付表示を切り替えた時点から、伝達車23が高速で逆回転方向に回転して時針3を現在時刻に戻すまでの間、伝達突起23aが長孔30内を移動していることにより、表示車4が回転せずに、日付表示が切り替わった状態を維持したままで、時針3を高速で現在時刻に確実に且つ良好に戻すことができる。
(実施形態2)
次に、図15〜図27を参照して、この発明を指針式の腕時計に適用した実施形態2について説明する。なお、図1〜図14に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この腕時計は、図15〜図18に示すように、第2駆動系6の表示切替装置40が実施形態1と異なる構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
すなわち、この表示切替装置40は、図15に示すように、第5中間車20によって回転する伝達車41と、この伝達車41に伴って回転するツメ車42と、このツメ車42によって間欠的に回転する送り車25と、この送り車25によって回転する表示車4とを備え、これらが、実施形態1と同様、地板12と押え板22との間に配置された構成になっている。
この場合、伝達車41は、図15に示すように、第5中間車20に噛み合って回転するように構成されている。この伝達車41は、地板12に設けられた支持軸28に回転自在に取り付けられている。また、この伝達車41の上面には、図16および図17に示すように、伝達車41の歯元円よりも小さいほぼ円形状の板部43が一体に形成されている。この板部43には、図17(a)および図17(b)に示すように、ほぼ扇状の溝部44が形成されている。この溝部44は、板部43の中心部から外周部に亘ってほぼ90度の開き角度で形成されている。
ツメ車42は、図15、図16および図18に示すように、伝達車41上に重なった状態で、地板12の支持軸28に回転自在に取り付けられている。すなわち、このツメ車42は、伝達車41上に同軸で重なった状態で回転可能に設けられている。また、このツメ車42も、実施形態1と同様、第1円板部26と第2円板部27とを有し、この第1、第2の各円板部26、27が上下に重なり合った状態で、一体に形成された構成になっている。
この場合、第2円板部27には、図16に示すように、伝達車41のほぼ円形状の板部43が回転可能に配置される円形状の装着凹部45が形成されている。これにより、ツメ車42は、伝達車41の板部43が第2円板部27の装着凹部45内に配置されて、伝達車41上に重なった状態で、地板12の支持軸28に回転自在に取り付けられている。また、このツメ車42の装着凹部45の内周面には、図16および図18に示すように、伝達突起45aがツメ車42の中心部に向けて突出して設けられている。
この伝達突起45aは、伝達車41の板部43が第1円板部26の装着凹部45内に配置された際に、板部43に形成されたほぼ扇状の溝部44内に移動可能に配置されるように構成されている。これにより、ツメ車42は、その伝達突起45aが伝達車41のほぼ扇状の溝部44内における回転方向の両端部44a、44bのいずれか一方に当接した状態で、伝達車41の回転に伴って回転軸28を中心に回転するように構成されている。
この場合にも、ツメ車42における第1円板部26の外周面には、実施形態1と同様、2枚の送り歯31、32が設けられていると共に、この2枚の送り歯31、32間に第1溝部33が設けられている。また、第2円板部27は、その外周が2枚の送り歯31、32の歯先円とほぼ同じ大きさで形成され、この外周部に第2溝部34が第1溝部33に対応して設けられた構成になっている。なお、送り車25および表示車4は、実施形態1と同じ構成になっている。
この表示車4も、日付表示が切り替わる際に、第2ステッピングモータ14が高速で回転して、日付表示が切り替わるため、時針3が現在時刻よりも進むことになる。このため、表示車4を回転させずに、時針3を現在時刻に戻す必要がある。そこで、伝達車41の溝部44とツメ車42の伝達突起45aとは、伝達車41を高速で正回転方向に回転させて表示車4の日付表示を切り替えた時点から、時針車18を高速で逆回転方向に回転させて時針3が現在時刻に戻るまでの間、伝達突起45aが溝部44内を相対的に移動するように構成されている。
次に、このような指針式の腕時計における表示切替装置40の作用について説明する。
この表示切替装置40も、実施形態1と同様、第2ステッピングモータ14が正回転して、ツメ車42が24時間で1回転する際に、送り車25を所定角度(例えば120度)だけ正回転させ、この送り車25の正回転に伴って表示車4が約11.6度(1/31度)だけ正回転し、表示車4に表示された日付表示を切り替える。
この場合、表示車4を回転させるときには、第2ステッピングモータ14を正回転方向に高速で回転させる。このときには、伝達車41のほぼ扇状の溝部44内における正回転方向と反対側に位置する一端部44aが、ツメ車24の円形状の装着凹部45内に突出して設けられた伝達突起45aに当接した状態で、伝達車41を早回し、これに伴ってツメ車42を高速で回転させる。
これにより、送り車25を速やかに所定角度回転させ、この送り車25の回転により表示車4を所定角度回転させて、表示車4の日付表示を切り替える。この後、第2ステッピングモータ14を逆回転方向に高速で回転させて、伝達車41を逆回転方向に高速で回転させ、この伝達車41のほぼ扇状の溝部44を逆回転方向に移動させて、この溝部44の逆回転方向側に位置する他端部44bがツメ車42の伝達突起45aに到達するまで間で、時針3を高速で現在時刻に戻す。
以下、この表示切替装置40の動作を詳細に説明する。
まず、表示車4の日付表示が切り替わる前の状態は、図19(a)および図19(b)に示すように、伝達車41の扇状の溝部44内における正回転方向と反対側に位置する一端部44aがツメ車24の伝達突起23aに当接している。この状態で、第2ステッピングモータ14が通常の運針速度で回転して、時針3を通常の速度で運針させると共に、伝達車41を通常の速度で正回転(図19(a)では時計回り)させて、ツメ車42を回転させる。
このときには、送り車25の歯幅の厚い歯部36aがツメ車24の第1、第2の各溝部33、34から離脱した状態で、この送り車25の3枚の厚い歯部36aのうち、2枚の厚い歯部36aが、図19(b)に示すように、ツメ車42の第2円板部27の外周面に接触している。また、残りの1枚の厚い歯部36aは、表示車4の内歯4aに噛み合っている。
この状態では、ツメ車42の第2円板部27の外周面に接触している送り車25の2枚の厚い歯部36aが、ツメ車24の第2円板部27の外周面に沿って相対的に移動する。このため、ツメ車42が正回転しても、送り車25は回転することがない。これにより、外部から加わった不用意な力により表示車4に回転力が生じても、表示車4が回転して日付表示が勝手に切り替わることがない。
また、このときには、図19(a)に示すように、ツメ車42の正回転方向に位置する送り車25の1枚の薄い歯部36bが、ツメ車42の第1円板部26の外周面に接近した状態で、第2円板部27の上面、つまり第1円板部26に設けられた2枚の送り歯31、32の移動軌跡上に位置して、この移動軌跡上を相対的に移動する。また、残りの2枚の薄い歯部36bのうち、1枚の薄い歯部36bは、表示車4の内歯4aに噛み合っている。
この状態で、ツメ車42が正回転して24時間が経過して、時針3が24時になると、図20(a)および図20(b)に示すように、ツメ車42の2枚の送り歯31、32のうち、正回転方向に位置する一方の送り歯31が、その正回転方向に位置する送り車25の1枚の薄い歯部36bに当接する。すると、第2ステッピングモータ14が正回転方向に高速で回転して、時針車18を正回転方向に高速で回転させて、時針3を高速で運針させながら、伝達車41を正回転方向(図19(a)では時計回り方向)に高速で回転させて、ツメ車42を早回しする。
このときには、図20(a)および図20(b)に示すように、ツメ車42の2枚の送り歯31、32のうち、正回転方向に位置する一方の送り歯31が、その正回転方向に位置する送り車25の1枚の薄い歯部36bに当接していることにより、ツメ車42の正回転方向と反対側に位置する送り車25の1枚の厚い歯部36aが、ツメ車42の2枚の送り歯31、32の間に位置する第1、第2の各溝部33、34内に向けて移動する。
また、このときには、図20(a)に示すように、ツメ車42の第2円板部27の外周面に接触している送り車25の2枚の厚い歯部26aのうち、ツメ車42の正回転方向と反対側に位置する厚い歯部36aが、ツメ車42の2枚の送り歯31、32間に位置する第1、第2の溝部33、34内に向けて移動すると共に、その正回転方向に位置する送り車25の厚い歯部36aが、ツメ車42の第2円板部27の外周面から徐々に離れる。これにより、送り車25の回転規制が解除され、送り車25が回転を開始し、これに伴って表示車4も回転を開始する。
そして、ツメ車42が更に正回転方向に高速で回転して、図21および図22に示すように、ツメ車42の正回転方向に位置する一方の送り歯31が、これに当接している送り車25の薄い歯部36bとこれに隣接する正回転方向と反対側に位置する厚い歯部36aとの間に挿入し、その厚い歯部36aがツメ車24の第1、第2の各溝部33、34に噛み合う。
このときには、一方の送り歯31に当接した送り車25の薄い歯部36bが、第1円板部26の外周面から徐々に離れると共に、正回転方向と反対側に位置する送り車25の薄い歯部36bが、ツメ車42の正回転方向と反対側に位置する他方の送り歯32に徐々に接近する。これにより、送り車25が更に回転し、これに伴って表示車4も更に回転する。このとき、時針3は、第2ステッピングモータ14の高速回転に伴って、図21および図22に示すように、24時から2時まで進む。
この後、ツメ車24が更に正回転方向に高速で回転して、図23(a)および図23(b)に示すように、送り車25の厚い歯部36aがツメ車42の第1、第2の各溝部33、34から離脱する際には、ツメ車42の正回転方向と反対側に位置する他方の送り歯32が、ツメ車42の第1、第2の各溝部33、34内に位置する送り車25の厚い歯部36aとこれに隣接する正回転方向と反対側に位置する薄い歯部36bとの間に徐々に挿入する。
このときには、図23(a)および図23(b)に示すように、ツメ車42の正回転方向と反対側に位置する他方の送り歯32に接近した薄い歯部36bが、ツメ車42の第2円板部27の上面を移動しながら第1円板部26の外周面に接近し、この第1円板部26における2枚の送り歯31、32の移動軌跡上に位置する。このときにも、送り車25が更に回転し、これに伴って表示車4が更に回転し、時針3が、図23(a)に示すように、3時に進む。
この状態で、ツメ車42が更に正回転方向に高速で回転すると、図24(a)および図24(b)に示すように、送り車25の1枚の厚い歯部36aがツメ車42の第1、第2の各溝部33、34から離脱し、この離脱した厚い歯部36aとその正回転方向と反対側に位置する厚い歯部36aとが、ツメ車42の第2円板部27の外周面に接触する。
このときにも、図24(b)に示すように、ツメ車42の第2円板部27の外周面に接触している送り車25の2枚の厚い歯部36aが、ツメ車24の第2円板部27の外周面に沿って相対的に移動する。また、このときには、送り車25が更に回転し、これに伴って表示車4が更に回転し、表示車4の日付表示が完全に切り替わり、時針3が4時に進む。この状態では、送り車25の回転が規制され、ツメ車42が回転しても、送り車25は回転することがない。このため、外部から加わった不用意な力により表示車4に回転力が生じても、表示車4が回転して日付表示が勝手に切り替わることがない。
また、この状態では、図24(a)に示すように、ツメ車42の第2円板部27の外周面に接触している2枚の厚い歯部36aの間に位置する1枚の薄い歯部36bが、ツメ車42の第1円板部26の外周面に接近した状態で、第2円板部27の上面に位置する第1円板部26の2枚の送り歯31、32の移動軌跡上に位置して、この移動軌跡上を相対的に移動する状態になっている。
次に、この表示切替装置40において、第2ステッピングモータ14を逆回転方向に高速で回転させて、時針3を現在時刻に戻す場合について説明する。
このときには、時針車18が逆回転して、時針3を逆方向に高速で運針させる。すると、時針車18の逆回転に伴って、伝達車41が逆回転方向(図25(a)では反時計回り方向)に高速で回転するが、ツメ車42は回転することがない。
すなわち、このときには、図25(a)および図25(b)に示すように、伝達車41の扇状の溝部44内における正回転方向と反対側に位置する一端部44aがツメ車42の伝達突起45aから徐々に離れる。このため、ツメ車42は伝達車41の回転に伴って回転せず、表示車4の日付表示が切り替わったままの状態で、伝達車41の扇状の溝部44内における正回転方向に位置する他端部44bがツメ車42の伝達突起45aに向けて移動し、時針3が4時から3時に戻る。
この状態で、図26(a)および図26(b)に示すように、伝達車41が更に逆回転方向に高速で回転すると、伝達車41の扇状の溝部44内における正回転方向に位置する他端部44bがツメ車42の伝達突起45aに向けて更に移動し、時針3が3時から1時に戻る。
そして、図27(a)および図27(b)に示すように、伝達車41の扇状の溝部44内における正回転方向に位置する他端部44bがツメ車42の伝達突起45aに接近する。すると、時針3が24時に戻り、第2ステッピングモータ14の逆回転方向への回転が停止される。この後、第2ステッピングモータ14は、正回転方向への回転に切り替わり、通常の運針速度で回転する。
このように、ツメ車42の伝達突起45aが伝達車41の扇状の溝部44内を相対的に移動しているときには、表示車4が回転しないため、第2ステッピングモータ14を逆回転方向に回転させても、表示車4の日付表示が切り替わったままの状態を維持しながら、時針車18が逆方向に回転して時針3が現在時刻に戻る。
すなわち、伝達車41を正回転方向に早回して表示車4の日付表示を切り替えていることにより、その日付表示を切り替えるのに要した時間だけ、時針3が進んでも、時針車18を高速で逆回転させ、時針3を現在時刻に戻すことができる。このように、日付表示の切り替えを開始してから、時針3が現在時刻に戻るまでに要する動作時間は、実施形態1と同様、数秒間である。
このように、この表示切替装置40によれば、正回転および逆回転可能な第2ステッピングモータ14の正回転方向の回転により正方向に回転される伝達車41に、係合部であるほぼ扇状の溝部44を形成し、この伝達車41に同軸で重なった状態で回転可能に設けられ、1回転ごとに送り車25を所定角度ずつ間欠的に回転させて表示車4の表示を切り替えるためのツメ車42に、ほぼ扇状の溝部44内を移動可能に相対的に移動して溝部44内における回転方向側の両端部44a、44bのいずれか一方に当接する係止部である伝達突起45aを形成した構成であるから、実施形態1と同様、第2ステッピングモータ14を高速で正回転させて表示車4の表示を速やかに切り替えることができ、また第2ステッピングモータ14を高速で逆回転させて時針3を速やかに現在時刻に戻すことができる。
すなわち、この表示切替装置40では、表示車4の日付表示を切り替える際に、第2ステッピングモータ14を正回転方向に高速回転させて伝達車41を早回し、ツメ車42により表示車4を所定角度回転させて表示を速やかに切り替えることができる。また、この状態で第2ステッピングモータ14を逆回転方向に高速回転させて伝達車41を逆回転方向に回転させ、伝達突起45aがほぼ扇状の溝部44内を相対的に移動している間に、時針3を高速で現在時刻に戻すことができる。このように、日付表示の切り替えを開始してから、時針3が現在時刻に戻るまでの動作を、実施形態1と同様、数秒間という短時間で実行することができる。
この場合、伝達車41の溝部44とツメ車42の伝達突起45aとは、伝達車41が高速で正回転方向に回転して表示車4の日付表示を切り替えた時点から、伝達車41が高速で逆回転方向に回転して時針3を現在時刻に戻すまでの間、伝達突起45aが溝部44内を相対的に移動していることにより、表示車4が回転せずに、日付表示が切り替わった状態を維持したままで、時針3を高速で現在時刻に確実に且つ良好に戻すことができる。
なお、上述した実施形態1、2では、第1駆動系5と第2駆動系6とを有する腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも第1、第2の各駆動系5、6を備えている必要はなく、1つの駆動系のみを有する腕時計にも適用することができる。
また、上述した実施形態1、2では、表示車4が日付表示を有する日車である場合について述べたが、必ずしも日付表示を有する日車である必要はなく、例えば曜日表示を有する曜日車であっても良い。
さらに、上述した実施形態1、2では、指針式の腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の指針式の時計に適用することができる。また、時計に限らず、例えばカレンダー装置や、計器類のメータなどの各種の機器にも広く適用することができる。