JP5825076B2 - 表示切替装置および電子機器 - Google Patents

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Description

この発明は、時計やカレンダー装置、あるいは計器類のメータなどの機器に用いられる表示切替装置および電子機器に関する。
例えば、指針式の電子腕時計に用いられている表示切替装置においては、特許文献1に記載されているように、ステップモータの回転を中間車によって指針車に伝達し、この指針車の回転を他の中間車によってゼネバ車である伝達車に伝達し、この伝達車の回転に伴ってツメ車を回転させ、このツメ車によって送り車を間欠的に回転させることにより、この送り車によって表示車を回転させて、表示車の表示を切り替えるように構成されたものが知られている。
特開2009−198437号公報
しかしながら、このような腕時計の表示切替装置では、ツメ車が伝達車によって24時間で1回転し、このツメ車が1回転するごとに送り車を所定角度ずつ回転させ、この送り車の所定角度の回転によって表示車を所定角度回転させて表示を切り替えるように構成されているため、表示車が回転を開始してから表示の切り替わりが完了するまでに要する時間が、3時間〜4時間程度必要であり、その間は表示が中途半端にずれた状態で表示されているという問題がある。
この発明が解決しようとする課題は、表示車の表示を速やかに切り替えることができる表示切替装置および電子機器を提供することである。
この発明は、駆動源の正回転および逆回転に応じて正回転および逆回転する伝達車と、この伝達車の回転に伴って正回転および逆回転するリング状の送り車と、この送り車の上側に重なった状態で回転可能に配置された表示車と、前記送り車の正回転によって前記表示車を空転させる一方で、前記送り車の逆回転によって前記表示車を回転させて前記表示車の表示を切り替えるための一方向回転部とを備え、前記一方向回転部は、前記送り車の上面に環状に設けられた第1鋸歯と、前記表示車の下面に環状に設けられて前記送り車の前記第1鋸歯に噛み合う第2鋸歯とを有し、前記送り車が正回転する際に前記第1鋸歯に対する前記第2鋸歯の噛み合いがずれて前記表示車を空転させ、前記送り車が逆回転する際に前記第1鋸歯に前記第2鋸歯が噛み合って回転して前記表示車を回転させることを特徴とする表示切替装置である。
この発明によれば、駆動源の正回転によって伝達車が回転し、この伝達車の回転によって送り車が正回転した際に、一方向回転部によって表示車を空転させて表示車の表示をそのままの状態で維持させることができ、また駆動源の逆回転によって伝達車が回転し、この伝達車の回転によって送り車が逆回転した際に、一方向回転部によって表示車を回転させて表示車の表示を切り替えることができる。このため、送り車を高速で逆回転させることにより、表示車の表示を速やかに切り替えることができる。
この発明を指針式の電子腕時計に適用した第1実施形態における時計モジュールを示した拡大裏面図である。 図1に示された時計モジュールにおける第1駆動系を示した要部の拡大断面図である。 図1に示された時計モジュールにおける第2駆動系を示した要部の拡大断面図である。 図1に示された時計モジュールにおいて、文字板を取り外した状態の拡大平面図である。 図4に示された時計モジュールにおける表示切替装置を示した要部の拡大断面図である。 図4に示された表示切替装置のA−A矢視における要部の拡大断面図である。 図4に示された表示切替装置における表示車を示し、(a)はその拡大平面図、(b)はその拡大裏面図である。 図4に示された表示切替装置における送り車を示し、(a)はその拡大平面図、(b)はその拡大裏面図である。 図4に示された表示切替装置における制動部材の固定板を示した拡大平面図である。 図5に示された表示切替装置における板ばねを示し、(a)はその拡大平面図、(b)はその拡大側面図である。 図6に示された表示切替装置の動作状態を示し、(a)は送り車の正回転時に表示車が空転する状態を示した要部の拡大断面図、(b)は送り車の逆回転時に表示車が送り車と共に回転する状態を示した要部の拡大断面図である。 図1に示された時計モジュールの回路構成を示したブロック図である。 図12に示された回路構成における制御部のCPUにより実行される時針の駆動制御の制御処理における手順を示した図である。 図4に示された表示切替装置における時針と表示車との動作状態を示し、(a)は0時01分00秒から23時59分30秒までの間の通常運針時における時針と表示車との動作状態を示した図、(b)は23時59分30秒から24時00分00秒までの間で送り車を逆回転させて表示車の日付表示を高速で切り替える状態を示した図、(c)は表示車の日付表示が切り替わった24時00分00秒の状態を示した図である。 この発明を指針式の電子腕時計に適用した第2実施形態における時計モジュールを示した拡大平面図である。 図15に示された時計モジュールにおける表示切替装置の要部を示し、(a)はその拡大断面図、(b)はその地板の係合凹部に表示車の突起部が係合している状態を示した要部の拡大断面図、(c)は送り車の第1鋸歯と表示車の第2鋸歯とが噛み合っている状態を示した要部の拡大断面図である。 図16に示された表示切替装置において送り車が正回転している状態を示し、(a)はその拡大断面図、(b)はその地板の係合凹部に表示車の突起部が係合している状態を示した要部の拡大断面図、(c)は送り車の第1鋸歯と表示車の第2鋸歯との噛み合いがずれて表示車が空転する状態を示した要部の拡大断面図である。 図16に示された表示切替装置において送り車が逆回転している状態を示し、(a)はその拡大断面図、(b)はその地板の係合凹部から表示車の突起部が離脱している状態を示した要部の拡大断面図、(c)は送り車の第1鋸歯と表示車の第2鋸歯とが噛み合って回転している状態を示した要部の拡大断面図である。 この発明の表示切替装置における制動部材の第1変形例を示した要部の拡大断面図である。 この発明の表示切替装置における一方向回転部の第2変形例を示した要部の拡大断面図である。
(第1実施形態)
以下、図1〜図14を参照して、この発明を指針式の電子腕時計に適用した第1実施形態について説明する。
この電子腕時計は、図1に示すように、腕時計ケースK内に組み込まれる時計モジュールMを備えている。この時計モジュールMは、図1〜図3に示すように、秒針1および分針2を駆動する第1駆動系5と、時針3および表示車4を駆動する第2駆動系6とを備えている。
第1駆動系5は、図1および図2に示すように、第1ステップモータ7と、この第1ステップモータ7によって回転する五番車8と、この五番車8によって回転する四番車である秒針車9と、この秒針車9によって回転する三番車10と、この三番車10によって回転する二番車である分針車11とを備え、これらが地板12と輪列受け13との間に中受け29を介して配置された構成になっている。
この場合、第1ステップモータ7は、図1および図2に示すように、ステータ7aと、このステータ7aに設けられたコイル部7bと、ステータ7aの間に配置されたロータ7cとを備え、コイル部7bによってステータ7aに発生する磁界により、ロータ7cがステップ回転するように構成されている。五番車8は、ロータ7cのロータカナ7dに噛み合って回転するように構成されている。
四番車である秒針車9は、図1および図2に示すように、五番車8のカナ8aに噛み合って回転し、秒針1を運針させるように構成されている。この秒針車9は、秒針軸9aを備えている。この秒針軸9aは、地板12の上方に突出し、この突出した上端部に秒針1が取り付けられている。また、三番車10は、秒針車9のカナ9bに噛み合って回転するように構成されている。
二番車である分針車11は、図1および図2に示すように、三番車10のカナ10aに噛み合って回転し、分針2を運針させるように構成されている。この分針車11は、筒状の分針軸11aを備えている。この分針軸11aは、その内部に秒針軸9aが回転可能に挿入されている。また、この分針軸11aは、秒針軸9aと共に地板12の上方に突出し、この突出した上端部に分針2が取り付けられている。
一方、第2駆動系6は、図1および図3に示すように、第2ステップモータ14と、この第2ステップモータ14の回転が順次伝達される第1〜第3の各中間車15〜17と、この第3中間車17によって回転する筒車である時針車18と、この時針車18の回転が順次伝達される第4、第5の各中間車19、20と、この第5中間車20によって動作する表示切替装置21とを備えている。
この場合、第2駆動系6の第2ステップモータ14および第1〜第3の各中間車15〜17は、第1駆動系5と同様、地板12と輪列受け13との間に中受け29を介して配置されている。また、この第2駆動系6における時針車18、第4、第5の各中間車19、20、および表示切替装置21は、図3に示すように、地板12と押え板22との間に配置されている。
第2ステップモータ14は、図1および図3に示すように、ステータ14aと、このステータ14aに設けられたコイル部14bと、ステータ14aの間に配置されたロータ14cとを備え、コイル部14bによってステータ14aに発生する磁界により、ロータ14cがステップ回転するように構成されている。
第1中間車15は、図1および図3に示すように、ロータ14cのロータカナ14dに噛み合って回転するように構成されている。第2中間車16は第1中間車15のカナ15aに噛み合って回転するように構成されている。第3中間車17は第2中間車16のカナ16aに噛み合って回転するように構成されている。筒車である時針車18は、図3に示すように、第3中間車17のカナ17aに噛み合って回転し、時針3を運針させるように構成されている。
この時針車18は、図2および図3に示すように、筒状の時針軸18aを備えている。この時針車18は、その時針軸18aの内部に分針軸11aが回転可能に挿入された状態で、地板12の上方に配置された押え板22によって回転可能に押えられた構成になっている。この時針軸18aの上端部には、時針3が取り付けられている。この時針3は、12時間で1周回転して時刻を12時間表示するものであり、1日(24時間)に2周回転するように構成されている。
この場合、押え板22の上面には、図2および図3に示すように、文字板30が配置されている。この文字板30には、貫通孔30aが上下に貫通して設けられている。これにより、秒針1、分針2、時針3は、その各針軸9a、11a、18aが文字板30の貫通孔30aを通して文字板30の上方に突出し、この突出した各針軸9a、11a、18aの各上端部に取り付けられ、この状態で各針軸9a、11a、18aの回転に伴って文字板30の上方を運針するように構成されている。
ところで、表示切替装置21は、図3および図4に示すように、時針車18に噛み合って回転する第4中間車19と、この第4中間車19のカナ19aに噛み合って回転する第5中間車20と、この第5中間車20のカナ20aによって回転する日回し車23と、この日回し車23によって回転するリング状の送り車24と、この送り車24の上側に重なった状態で回転可能に配置された表示車4と、送り車24の正回転(図4の矢印S)によって表示車4を空転させると共に、送り車24の逆回転(図4の矢印G)によって表示車4を回転させて表示車4の日付表示4aを切り替える一方向回転部25とを備え、これらが地板12と押え板22との間に配置された構成になっている。
日回し車23は、図3〜図5に示すように、第5中間車20のカナ20aに噛み合って回転すると共に、送り車24の内歯24aに噛み合って回転することにより、第5中間車20の回転を送り車24に伝達して、送り車24を回転させるように構成されている。送り車24は、図3〜図5に示すように、平板状のリング形状に形成され、地板12上に板ばね26を介して回転可能に配置されている。この送り車24は、その内周部に内歯24aが設けられ、この内歯24aに日回し車23が噛み合うように構成されている。
表示車4は、図3〜図5に示すように、平板状のリング形状に形成され、送り車24上に回転可能に配置されている。この表示車4は、その外径が送り車24の外径とほぼ同じで、内径が送り車24の内径よりも大きく形成され、送り車24の内歯24aを内径側に突出させるように構成されている。この表示車4の上面には、図4に示すように、1日〜31日に相当する日付表示4aが等間隔で表示されている。この日付表示4aは、表示車4の回転に応じていずれかの日付表示4aが文字板30の3時位置に設けられた表示窓部30bに対応するように構成されている。
また、一方向回転部25は、図6〜図8に示すように、送り車24の上面に環状に設けられた第1鋸歯27と、表示車4の下面に環状に設けられて送り車24の第1鋸歯27に噛み合う第2鋸歯28とを有し、送り車24が正回転(図4の矢印S)する際に第1鋸歯27に対する第2鋸歯28の噛み合いがずれて表示車4を空転させ、送り車24が逆回転(図4の矢印G)する際に第1鋸歯27に第2鋸歯28が噛み合って回転することにより、表示車4を回転(図4の矢印H)させるように構成されている。
すなわち、第1鋸歯27は、図6に示すように、送り車24の上面の正回転方向(図6では左方向)に向けて緩やかに左下りに傾斜する滑り面27aと、送り車24の逆回転方向(図6では右方向)に位置する滑り面27aの端部にほぼ垂直に設けられた押圧面27bとを有している。また、第2鋸歯28は、送り車24の上面の正回転方向(図6では左方向)に向けて緩やかに左下りに傾斜する滑り面28aと、送り車24の逆回転方向(図6では右方向)に位置する滑り面28aの端部にほぼ垂直に設けられた押圧面28bとを有している。
この場合、第1鋸歯27と第2鋸歯28とは、図6に示すように、文字板30の表示窓部30bのほぼ半分の長さで形成されている。すなわち、第1鋸歯27と第2鋸歯28とは、表示車4の回転方向における長さ(ピッチ)が文字板30の表示窓部30bにおける径方向に対する長さのほぼ半分の長さで形成されている。このため、第1鋸歯27と第2鋸歯28とは、文字板30の表示窓部30bに対してそれぞれ2歯ずつ配置されるように構成されている。
これにより、第1鋸歯27と第2鋸歯28とは、送り車24が正回転する際に、図11(a)に示すように、第1鋸歯27の滑り面27aと第2鋸歯28の滑り面28aとが相互に滑り合って、表示車4を空転させ、また送り車24が逆回転する際に、図11(b)に示すように、第1鋸歯27の押圧面27bと第2鋸歯28の押圧面28bとが相互に押圧し合って、表示車4を回転させるように構成されている。
この場合、送り車24は、第2ステップモータ14の正回転によって時針車18が24時間で2回転する際に、図11(a)に示すように、第1鋸歯27が4歯分送られるように正回転し、第2ステップモータ14の逆回転によって時針車18が逆方向に高速で1回転する際に、図11(b)に示すように、第1鋸歯27が高速で2歯分送られるように逆回転する構成になっている。
また、表示車4は、図11(a)および図11(b)に示すように、送り車24が正回転して、第1鋸歯27が4歯分送られる際に、第1鋸歯27が第2鋸歯28に対して順次回転移動して第2鋸歯28を4歯分乗り越えることにより、表示車4が空転して文字板30の表示窓部30bに対応する日付表示4aをそのままの状態で維持するように構成されている。また、表示車4は、送り車24が逆方向に高速で回転して、第1鋸歯27が2歯分送られる際に、文字板30の表示窓部30bに対応する日付表示4aが速やかに切り替わるように構成されている。
ところで、表示車4は、図3〜図6に示すように、制動部材31によって表示車4の回転が制動されて、勝手に回転しないように構成されている。すなわち、この制動部材31は、表示車4の上方に配置されたリング状の固定板32に設けられた複数の係合孔32aと、表示車4に設けられて複数の係合孔32aにそれぞれ係脱可能に係合する複数の突起部32bとを備えている。
また、この制動部材31は、図3〜図6に示すように、板ばね26のばね力によって表示車4の突起部32bが固定板32の下面に向けて弾力的に押し付けられていることにより、突起部32bが係合孔32aに弾力的に係合するように構成されている。これにより、この制動部材31は、送り車24が正回転する際に、表示車4の回転を規制して表示車4を空転させる一方で、送り車24が逆回転する際に、表示車4に対する回転規制を解除して表示車4を回転させるように構成されている。
この場合、リング状の固定板32は、図4〜図6に示すように、表示車4の表面における外周部上に配置された状態で、固定板32の外周部に設けられたフック部33が地板12に係止され、これにより地板12に対して固定されている。また、複数の係合孔32aは、表示車4に表示された日付表示4a間に対応する箇所の固定板32に上下に貫通して設けられている。
複数の突起部32bは、図3〜図6に示すように、複数の係合孔32aの全てに対応する箇所の表示車4の上面に設けられていることが望ましいが、必ずしも複数の係合孔32aの全てに対応する箇所に設ける必要はなく、少なくとも1つの係合孔32aに対応する箇所に設けられていても良い。
また、板ばね26は、図10(a)および図10(b)に示すように、送り車24とほぼ同じ大きさのリング状に形成され、その両側部が斜め上方に向けて傾斜した状態で折り曲げられた構成になっている。この板ばね26は、図5および図6に示すように、送り車24と地板12との間に配置され、斜め上方に向けて傾斜した部分の上端部が送り車24の下面に弾接し、この状態で送り車24を表示車4の下面に弾力的に押し付けることにより、表示車4の突起部32bを固定板32の係合孔32aに弾力的に係合させるように構成されている。
これにより、この制動部材31は、図11(a)に示すように、送り車24が正回転して第1鋸歯27の滑り面27aと第2鋸歯28の滑り面28aとが相互に滑り合う際に、板ばね26のばね力に抗して各鋸歯27、28の各滑り面27a、28aが相互に滑り合って乗り越えると共に、板ばね26のばね力によって複数の突起部32bが複数の係合孔32aに弾力的に係合した状態を維持することにより、表示車4を空転させるように構成されている。
また、この制動部材31は、図11(b)に示すように、送り車24が逆回転し、第1鋸歯27の押圧面27bと第2鋸歯28の押圧面28bとが相互に押圧し合って表示車4が回転する際に、複数の突起部32bが板ばね26のばね力に抗して表示車4および送り車24を押し下げながら複数の係合孔32aから離脱して固定板32の下面に沿って移動することにより、表示車4を送り車24と共に逆回転させるように構成されている。
次に、図12のブロック図を参照して、この指針式の電子腕時計の回路構成について説明する。
この指針式の電子腕時計は、秒針1と分針2とを駆動する第1駆動系5と、時針3と表示車4とを駆動する第2駆動系6とを備えている。第1駆動系5は、第1輪列機構35を介して秒針1を駆動すると共に、第2輪列機構36を介して分針2を駆動する第1ステップモータ7を備えている。第2駆動系6は、第3輪列機構37を介して時針3を駆動すると共に、第4輪列機構38を介して表示車4を駆動する第2ステップモータ14を備えている。
この場合、第1駆動系5の第1輪列機構35は、図1および図2に示したように、第1ステップモータ7によって回転する五番車8と、この五番車8の回転によって回転する秒針車9とを備えている。第2輪列機構36は、秒針車9の回転によって回転する三番車10と、この三番車10の回転によって回転する分針車11とを備えている。
また、第2駆動系6の第3輪列機構37は、図1および図3に示したように、第2ステップモータ14によって回転する第1〜第3の各中間車15〜17と、第3中間車17によって回転する時針車18とを備えている。第4輪列機構38は、時針車18の回転によって回転する第4、第5の各中間車19、20と、第5中間車20の回転によって回転する日回し車23と、この日回し車23の回転によって回転する送り車24とを備え、この送り車24によって表示車4を回転させるように構成されている。
また、この指針式の電子腕時計は、CPU(中央演算処理装置)などを内臓して時計の全体的な統括制御を行う制御部40と、この制御部40のCPUに作業用のメモリ空間を提供するRAM(ランダム・アクセス・メモリ)41と、制御部40のCPUにより実行される種々のプログラムや初期設定データなどを格納するROM(リード・オンリー・メモリ)42とを備えている。
さらに、この指針式の電子腕時計は、一定周波数の発振信号を生成して出力する発振回路43と、この発振回路43から入力された発振信号を分周して時刻表示などの運針の基準となる周波数信号を生成する分周回路44と、ユーザによる操作を電気信号に変換して制御部40に出力するスイッチ部45と、制御部40からの制御信号に基づき第1、第2の各ステップモータ7、14に駆動パルスを出力してステップ駆動させる第1、第2の各駆動回路46、47などを備えている。
制御部40は、時刻のカウントをする計時処理や、この計時処理によって得られた時刻データ、およびスイッチ部45からの入力信号などに基づいて設定されたパルス幅や電圧値の駆動パルスを、第1、第2の各駆動回路46、47から第1、第2の各ステップモータ7、14に出力させる処理を行うように構成されている。
第1、第2の駆動回路46、47は、秒針1および分針2を運針させる第1ステップモータ7と、時針3および表示車4を運針および回転させる第2ステップモータ14とを、それぞれステップ駆動させるための駆動パルスを出力するように構成されている。この第1、第2の駆動回路46、47から第1、第2の各ステップモータ7、14に出力される駆動パルスは、制御部40からの指令に基づいて、信号の長さや電圧値、すなわち第1、第2の各ステップモータ7、14に流す電流量が変更されるようになっている。
また、秒針1、分針2、および時針3は、いずれも時計全体のほぼ中心に位置して、同一の軸中心の周りを回転するように構成されている。この場合、秒針1は、第1輪列機構35を介して1秒ごとに6度ずつ回転し、60秒間で60ステップして1周回転するように構成されている。分針2は、秒針1に連動する第2輪列機構36を介して回転し、1時間で1周回転するように構成されている。時針3は、第3輪列機構37を介して2分おきに回転し、12時間で1周回転するように構成されている。
次に、この指針式の電子腕時計における指針である秒針1、分針2、時針3を駆動する動作手順について、図13に示す動作フローを参照して説明する。この場合、図13は制御部40のCPUにより実行される指針1〜3の駆動動作における制御処理の手順を示す図である。
この制御処理は、分周回路44から制御部40に入力する1Hz(ヘルツ)の信号に基づいて制御部40のCPUにより開始される割り込み処理である。
この割り込み処理が秒針1の駆動タイミングに呼び出されて開始されると、ステップS1で計時処理を行う。すなわち、RAM41に記憶されている現在時刻データに+1秒して現在時刻データを更新する。CPUの処理がステップS2に移行すると、CPUは、駆動パルスを第1ステップモータ7に供給するように第1駆動回路46に指令を送り、第1ステップモータ7を1ステップ回転させる。これにより、第1ステップモータ7の回転が第1輪列機構35によって秒針1に伝達され、秒針1が1ステップ回転する。また、このときには、第1ステップモータ7の回転が第2輪列機構36によって分針2に伝達されて分針2も回転する。
この後、ステップS3に進み、現在時刻が23時59分30秒であるか否かを判断する。このとき、23時59分30秒でない場合には、ステップS4に進み、通常運針のプログラムを実行する。すなわち、このステップS4では、現在時刻が偶数分00秒であるか否かを判断し、偶数分00秒であると判断された場合には、ステップS5に進む。このステップS5で、CPUは、駆動パルスを第2ステップモータ14に供給するように第2駆動回路47に指令を送り、図14(a)に示すように、第2ステップモータ14を1ステップ回転させる。
このときには、第2ステップモータ14の正回転が第3輪列機構37によって時針3に伝達され、この時針3が1ステップ回転する。また、このときには、第2ステップモータ14の正回転が第4輪列機構38によって表示切替装置21の日回し車23に伝達され、この日回し車23の回転によって送り車24が正回転され、この処理動作を終了する。この場合、送り車24が正回転しても、表示車4は回転しない。
すなわち、送り車24が正回転する際には、図11(a)に示すように、板ばね26のばね力によって送り車24を介して表示車4が文字板30に下側から弾力的に押し付けられ、制動部材31における表示車4の複数の突起部32bが固定板32の複数の係合孔32aに弾力的に係合して、表示車4の回転が規制されている。
このため、送り車24が正回転する際には、図11(a)に示すように、板ばね26のばね力に抗して送り車24を押し下げながら、送り車24の第1鋸歯27の滑り面27aと表示車4の第2鋸歯28の滑り面28aとが相互に滑り合って、送り車24のみが正回転して表示車4が空転する。これにより、文字板30の表示窓部30bに対応する日付表示4aがそのままの状態を維持する。また、ステップS4で、偶数分00秒でないと判断された場合には、この処理動作を終了する。
ところで、ステップS3で、現在時刻が23時59分30秒であると判断された場合には、ステップS6に進み、第2ステップモータ14を高速で360ステップ逆回転させて、表示切替装置21における表示車4の日付表示4aの切替を行う。このときには、時針3が2回転しているので、送り車24の第1鋸歯27が正回転方向に4歯分回転し、図11(a)に示すように、表示車4を空転させながら表示車4の第2鋸歯28の4歯分乗り越えた状態になっている。
この状態で、CPUが第2駆動回路47に第2ステップモータ14を高速で逆回転させる指令を送り、この第2駆動回路47が30秒間で時針3を逆方向に1回転させる駆動パルスを第2ステップモータ14に出力する。これにより、第2ステップモータ14が高速で360ステップ逆回転し、この第2ステップモータ14の逆回転が第3輪列機構37によって時針3に伝達され、図14(b)に示すように、時針3が高速で360ステップ、つまり約30秒で1周だけ逆回転する。
また、このときには、図14(b)に示すように、第2ステップモータ14の逆回転が第4輪列機構38によって表示切替装置21の日回し車23に伝達され、この日回し車23の逆回転によって送り車24が逆回転する。すなわち、現在時刻が23時59分30秒である場合には、図11(a)に示すように、送り車24の第1鋸歯27が正回転方向に4歯分回転して、送り車24の第1鋸歯27と表示車4の第2鋸歯28とが噛み合った状態になっている。
この状態で、時針3および日回し車23が高速で逆回転する際には、図11(b)に示すように、第1鋸歯27の押圧面27bが第2鋸歯28の押圧面28bを押圧して、表示車4を回転させる。このときには、制動部材31における表示車4の複数の突起部32bが板ばね26のばね力に抗して送り車24を押し下げて固定板32の複数の係合凹部32aから離脱する。このため、送り車24の逆回転によって表示車4が回転する。
この後、ステップS7に進んで、現在時刻が24時00分00秒であるか否かを判断する。このステップS7で24時00分00秒でない場合には、第2ステップモータ14を更に高速で逆回転させ、図11(b)に示すように、送り車24の第1鋸歯27の押圧面27bを表示車4の第2鋸歯28の押圧面28bに押圧させて、表示車4を2歯分だけ回転させ、図14(c)に示すように、文字板30の表示窓部30bに対応する表示車4の日付表示4aを30秒間で「1日」から「2日」に速やかに切り替える。
そして、現在時刻が24時00分00秒になると、時針3が逆方向に1回転して12時の位置を指示すると共に、秒針1および分針2も12時の位置を指示し、0時00分00秒を指示する。この後、ステップS8に進んで、第2ステップモータ14の逆回転を停止する。このときには、表示車4における表示窓部30bに対応する日付表示4aが切り替わっている。このように、ステップS6〜ステップS8の処理で表示車4の日付表示4aが更新されたら、CPUは時刻修正をすることなく、その処理動作を終了する。
このように、この表示切替装置21によれば、駆動源である第2ステップモータ14の正回転および逆回転に応じて正回転および逆回転する日回し車23と、この日回し車23の回転に伴って正回転および逆回転するリング状の送り車24と、この送り車24の上側に重なった状態で回転可能に配置された表示車4と、送り車24の正回転によって表示車4を空転させる一方で、送り車24の逆回転によって表示車4を回転させて表示車4の日付表示4aを切り替えるための一方向回転部25とを備えているので、表示車4の日付表示4aを速やかに切り替えることができる。
すなわち、この表示切替装置21では、第2ステップモータ14の正回転によって日回し車23が回転し、この日回し車23の回転によって送り車24が正回転した際に、一方向回転部25によって表示車4を空転させて表示車4の日付表示4aをそのままの状態で維持させることができ、これにより表示車4の日付表示4aが中途半端な表示状態にならないようにすることができる。
また、第2ステップモータ14の逆回転によって日回し車23が回転し、この日回し車23の回転によって送り車24が逆回転した際に、一方向回転部25によって表示車4を回転させて表示車4の日付表示4aを切り替えることができる。このため、送り車24を高速で逆回転させることにより、表示車4の日付表示4aを速やかに切り替えることができると共に、送り車24上に表示車4が重なって配置されているので、装置全体の薄型化およびコンパクト化を図ることができる。
この場合、一方向回転部25は、送り車24の上面に環状に設けられた第1鋸歯27と、表示車4の下面に環状に設けられて送り車24の第1鋸歯27に噛み合う第2鋸歯28とを有し、送り車24が正回転する際に第1鋸歯27に対する第2鋸歯28の噛み合いがずれて表示車4を空転させ、また送り車24が逆回転する際に第1鋸歯27に第2鋸歯28が噛み合って回転して表示車4を回転させる構成であるから、送り車24の正回転により表示車4を空転させて表示車4の日付表示4aをそのまま維持することができ、また送り車24の逆回転により表示車4の日付表示4aを切り替えることができる。
すなわち、送り車24が正回転する際には、第1鋸歯27に対する第2鋸歯28の噛み合いがずれて表示車4を空転させることができ、これにより表示車4の日付表示4aをそのままの状態で維持させることができる。また、送り車24が逆回転する際には、第1鋸歯27が第2鋸歯28に噛み合って回転して表示車4を回転させることができ、これにより表示車4の日付表示4aを切り替えることができる。
また、この表示切替装置21では、一方向回転部25の第1鋸歯27と第2鋸歯28とのそれぞれが、送り車24の正回転方向に向けて緩やかに傾斜する滑り面27a、28aと、送り車24の逆回転方向に位置する滑り面27a、28aの端部に設けられた押圧面27b、28bとを有していることにより、送り車24が正回転する際に第1鋸歯27の滑り面27aと第2鋸歯28の滑り面28aとを良好に滑らせて、第1鋸歯27を第2鋸歯28に対して円滑にずらすことができ、また送り車24が逆回転する際に第1鋸歯27の押圧面27bと第2鋸歯28の押圧面28bとが互いに当接するので、送り車24の回転によって表示車4を確実に回転させることができ、これにより表示車4の日付表示4aを切り替えることができる。
さらに、この表示切替装置21では、送り車24が正回転する際に表示車4の回転を規制する一方で、送り車24が逆回転する際に表示車4の回転規制を解除するように、表示車4の回転を制動する制動部材31を備えていることにより、送り車24が正回転する際に制動部材31によって表示車4の回転を規制して、表示車4が回転するのを阻止することができ、これにより表示車4を良好に空転させることができる。また、送り車24が逆回転する際には、制動部材31によって送り車24の第1鋸歯27と表示車4の第2鋸歯28とを確実に噛み合わせることができ、これにより送り車24の回転によって表示車4を確実に回転させることができる。
この場合、制動部材31は、表示車4の上方に配置された固定板32に設けられた複数の係合孔32aと、表示車4に設けられて固定板32の複数の係合孔32aにそれぞれ係脱可能に係合する複数の突起部32bとを備えていることにより、送り車24が正回転する際に固定板32の係合孔32aに表示車4の突起部32bを係合させることができ、これにより表示車4の回転を規制して阻止することができる。
このため、表示車4の日付表示4aをそのままの状態で維持させることができると共に、表示車4の回転方向におけるガタツキを防ぐことができ、表示車4の表示を常に安定させることができる。また、送り車24が逆回転する際には、固定板32の係合孔32aから表示車4の突起部32bを離脱させることができ、これにより表示車4を確実に回転させて、表示車4の日付表示4aを良好に切り替えることができる。
また、この表示切替装置21では、送り車24と表示車4とを弾力的に押し付けるための板ばね26を備えているので、送り車24が正回転する際に板ばね26のばね力によって表示車4の突起部32bを固定板32の係合孔32aに弾力的に係合させることができ、これにより表示車4の回転を良好に規制して表示車4の回転方向におけるガタツキを防ぐことができるので、表示車4の表示を常に安定させた状態で維持することができる。また送り車24が逆回転する際には、板ばね26のばね力に抗して表示車4の突起部32bを固定板32の係合孔32aから良好に離脱させることができ、これにより表示車4を確実に且つ円滑に回転させることができる。
さらに、この表示切替装置21では、第2ステップモータ14の回転によって時針3を運針させる時針車18の回転に伴って日回し車23が回転し、この日回し車23の回転によって送り車24が回転する構成であるから、日回し車23および送り車24を回転させるための専用の駆動源を必要とせず、時針車18を回転させるための第2ステップモータ14で兼用することができ、これにより駆動源の簡素化を図ることができると共に、低コスト化をも図ることができる。
(第2実施形態)
次に、図15〜図18を参照して、この発明を指針式の電子腕時計に適用した第2実施形態について説明する。なお、図1〜図14に示された第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
この電子腕時計の表示切替装置50は、図15および図16(a)に示すように、送り車51の外径が表示車4の外径よりも小さく形成され、これに伴って表示車4の回転を制動する制動部材52が第1実施形態と異なる構成になっており、これ以外は第1実施形態とほぼ同じ構成になっている。
この場合、送り車51は、図16(a)に示すように、その外径が表示車4の内径よりも少し大きく、内径が表示車4の内径よりも十分に小さく形成されている。この送り車51の内周には、第1実施形態と同様、日回し車23に噛み合う内歯51aが設けられている。また、この送り車51と表示車4とが重なり合う箇所には、第1実施形態と同様、一方向回転部25が設けられている。この一方向回転部25も、送り車51の上面に設けられた第1鋸歯27と、表示車4の下面に設けられた第2鋸歯28とを備えている。
すなわち、表示車4と重なり合う箇所における送り車の上面には、第1実施形態と同様、第1鋸歯27が環状に沿って設けられている。この送り車51の下面には、リング状の板ばね26が配置されている。表示車4は、第1実施形態と同様、上面に1日〜31日の日付表示4aが等間隔で設けられている。この日付表示4aは、そのいずれかが文字板30の表示窓部30bに対応するように構成されている。
また、この表示車4は、送り車51と重なり合う箇所の下面に第1鋸歯27と噛み合う第2鋸歯28が環状に沿って設けられている。この場合、表示車4は、図16(a)に示すように、送り車51と重なり合わない外周側の箇所が地板12上に回転可能な状態で配置されている。この表示車4は、板ばね26のばね力によって送り車51を介して押し上げられ、押え板22の下面に回転可能な状態で弾力的に押し付けられている。
一方、制動部材52は、図15〜図18に示すように、表示車4の回転を制御して、表示車4が勝手に回転しないように構成されている。すなわち、この制動部材52は、地板12の上面に設けられた複数の係合凹部52aと、表示車4の下面に設けられて複数の係合凹部52aにそれぞれ係脱可能に係合する複数の突起部52bとを備えている。
また、この制動部材52は、図15〜図18に示すように、板ばね26のばね力によって表示車4の突起部52bが地板12の下面に向けて弾力的に押し付けられていることにより、突起部52bが係合凹部52aに弾力的に係合するように構成されている。これにより、この制動部材52は、送り車51が正回転する際に、表示車4の回転を規制して表示車4を空転させる一方で、送り車51が逆回転する際に、表示車4の回転規制を解除して表示車4を回転させるように、表示車4の回転を規制するように構成されている。
この場合、複数の係合凹部52aは、第1実施形態と同様、表示車4に表示された日付表示4a間に対応する箇所の地板12に設けられている。複数の突起部52bは、図15〜図18に示すように、複数の係合凹部52aの全てに対応する箇所の表示車4の下面に設けられていることが望ましいが、必ずしも複数の係合凹部52aの全てに対応する箇所に設ける必要はなく、第1実施形態と同様、少なくとも1つの係合凹部52aに対応する箇所に設けられていても良い。
この制動部材52は、図15および図16(a)に示すように、板ばね26のばね力によって送り車51を介して表示車4が押え板22に下側から弾力的に押し付けられていることにより、表示車4の複数の突起部52bが地板12の複数の係合凹部52aに係合して、表示車4の回転を弾力的に規制するように構成されている。
これにより、この制動部材52は、図17(c)に示すように、送り車24が正回転して第1鋸歯27の滑り面27aと第2鋸歯28の滑り面28aとが相互に滑り合う際に、板ばね26のばね力に抗して送り車51が押し下げられると共に、図17(b)に示すように、板ばね26のばね力によって複数の突起部52bが複数の係合凹部52aに弾力的に係合していることにより、表示車4の回転を規制して表示車4を空転させるように構成されている。
また、この制動部材31は、図18(c)に示すように、送り車51が逆回転し、第1鋸歯27の押圧面27bと第2鋸歯28の押圧面28bとが相互に押圧し合って表示車4が回転する際に、図18(b)に示すように、複数の突起部52bが板ばね26のばね力に抗して表示車4および送り車51を押し下げながら複数の係合凹部52aから離脱して、地板12の上面に沿って回転するように構成されている。
次に、この指針式の電子腕時計における表示切替装置50の作用について説明する。
この電子腕時計が通常運針する際には、第1実施形態と同様、第1ステップモータ7が回転し、この第1ステップモータ7の回転が第1輪列機構35によって秒針1に伝達され、秒針1が運針すると共に、第1ステップモータ7の回転が第2輪列機構36によって分針2に伝達されて分針2も運針する。このとき、偶数分00秒経過するごとに、第2ステップモータ14が正回転する。
このように第2ステップモータ14が正回転すると、その回転が第3輪列機構37を介して時針車18に伝達されて回転し、この時針車18の回転に伴って時針3が運針する。また、このときには、時針車18の回転に伴って第4輪列機構38を介して表示切替装置50の日回し車23が正回転し、この日回し車23の回転によって送り車51が正回転する。しかし、このように送り車51が正回転しても、表示車4は回転しない。
すなわち、このときには、板ばね26のばね力によって送り車51を介して表示車4が押え板22に下側から弾力的に押し付けられていることにより、図17(b)に示すように、制動部材52における表示車4の複数の突起部52bが地板12の複数の係合凹部52aに係合して、表示車4の回転が規制されていると共に、板ばね26のばね力に抗して送り車51が押し下げられながら、図17(c)に示すように、送り車51の第1鋸歯27の滑り面27aと表示車4の第2鋸歯28の滑り面28aとが相互に滑り合って、送り車51のみが回転して表示車4が空転する。
このようにして、送り車51が回転して、現在時刻が23時59分30秒に近づいた際には、送り車51の第1鋸歯27が表示車4の第2鋸歯28の4歯分ずれて表示車4の第2鋸歯28を乗り越えるが、表示車4は回転しない。このため、文字板30の表示窓部30bに対応する表示車4の日付表示4aはそのままの状態を維持する。
そして、現在時刻が23時59分30秒になると、第2ステップモータ14を高速で360ステップ逆回転させて、表示切替装置50における表示車4の日付表示4aを速やかに切り替える。すなわち、第2ステップモータ14の逆回転が第3輪列機構37によって時針車18に伝達され、この時針車18の逆回転によって時針3が高速で360ステップ、つまり約30秒で1周だけ逆回転する。
このときには、第2ステップモータ14の逆回転が第4輪列機構38によって表示切替装置50の日回し車23に伝達され、この日回し車23の逆回転によって送り車51が第1鋸歯27の2歯分だけ高速で逆回転する。すなわち、現在時刻が23時59分30秒である場合には、図17(c)に示すように、送り車51の第1鋸歯27が正回転方向に4歯分回転して、図16(c)に示すように、送り車51の第1鋸歯27と表示車4の第2鋸歯28とが噛み合った状態になっている。
この状態で、時針3および日回し車23が高速で逆回転する際には、図18(c)に示すように、第1鋸歯27の押圧面27bが第2鋸歯28の押圧面28bを押圧して、30秒で表示車4を2歯分だけ回転させる。これにより、図15に示すように、文字板30の表示窓部30bに対応する表示車4の日付表示4aが30秒間で「1日」から「2日」に速やかに切り替わる。
このときには、時針3が逆方向に1回転して12時の位置を指示すると共に、秒針1および分針2も12時の位置を指示し、0時00分00秒を指示する。このため、時針3を高速で逆回転させると共に、表示切替装置50の日回し車23を高速で逆回転させて、送り車51を2歯分回転させて、表示車4における表示窓部30bに対応する日付表示4aを切り替えた後に、時刻修正をする必要がない。
このように、この表示切替装置50によれば、第1実施形態と同様、第2ステップモータ14の正回転によって日回し車23が回転し、この日回し車23の回転によって送り車51が正回転した際に、一方向回転部25によって表示車4を空転させて表示車4の日付表示4aをそのままの状態で維持させることができ、これにより表示車4の日付表示4aが中途半端な表示状態にならないようにすることができる。
また、この表示切替装置50によれば、第1実施形態と同様、第2ステップモータ14の逆回転によって日回し車23が回転し、この日回し車23の回転によって送り車51が逆回転した際に、一方向回転部25によって表示車4を回転させて表示車4の日付表示4aを切り替えることができる。このため、送り車51を高速で逆回転させることにより、表示車4の日付表示4aを速やかに切り替えることができると共に、送り車24上に表示車4が重なって配置されているので、装置全体の薄型化およびコンパクト化を図ることができる。
また、この表示切替装置50では、送り車51が正回転する際に表示車4の回転を規制する一方で、送り車24が逆回転する際に表示車4の回転規制を解除するように、表示車4の回転を制動する制動部材52を備えていることにより、送り車51が正回転する際に制動部材52によって表示車4の回転を規制して、表示車4が回転するのを阻止することができ、これにより表示車4を良好に空転させることができる。また、送り車51が逆回転する際には、制動部材52によって送り車51の第1鋸歯27と表示車4の第2鋸歯28とを確実に噛み合わせることができ、これにより送り車51の回転によって表示車4を確実に回転させることができる。
この場合、制動部材52は、表示車4が回転可能な状態で配置される地板12の複数の係合凹部52aと、表示車4の下面に設けられた複数の係合凹部52aにそれぞれ係脱可能に係合する複数の突起部52bとを備えていることにより、送り車51が正回転する際に地板12の係合凹部52aに表示車4の突起部52bを係合させることができ、これにより表示車4の回転を確実に規制することができるので、表示車4の日付表示4aをそのままの状態で維持させることができ、また送り車51が逆回転する際に地板12の係合凹部52aから表示車4の突起部52bを離脱させることができ、これにより表示車4を確実に回転させて、表示車4の日付表示4aを確実に切り替えることができる。
なお、上述した第2実施形態では、表示車4が配置される地板12の上面に複数の係合凹部52aを設け、表示車4の下面に複数の突起部52bを設けた場合について述べたが、これに限らず、例えば図19に示す第1変形例のように、表示車4の下面に複数の係合凹部52aを設け、表示車4が配置される地板12の上面に複数の突起部52bを設けた構成であっても良い。
また、上述した第1、第2の各実施形態では、送り車24、51の第1鋸歯27と表示車4の第2鋸歯28とを文字板30の表示窓部30bの半分の大きさに対応する長さ(ピッチ)で形成した場合について述べたが、これに限らず、例えば図20に示す第2変形例のように、送り車24、51の第1鋸歯27と表示車4の第2鋸歯28とを文字板30の表示窓部30bと同じ大きさのピッチで形成しても良い。
この場合には、第1鋸歯27と第2鋸歯28とが文字板30の表示窓部30bに1歯づつ対応する。このため、送り車24、51は24時間で正回転方向に2歯進み、逆回転のときに逆回転方向に1歯戻るように制御すれば良い。すなわち、通常運針時に、24時間で送り車24、51を正回転方向に2歯回転させて表示車4を空転させ、また送り車24、51を30秒間で逆回転方向に1回転させて、表示車4を1歯分回転させれば良い。このように構成しても、表示車4の日付表示4aを高速で切り替えることができる。
さらに、上述した第1、第2の各実施形態では、第1駆動系5と第2駆動系6とを有する指針式の電子腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも第1、第2の各駆動系5、6を備えている必要はなく、1つの駆動系のみを有する指針式の電子腕時計にも適用することができる。
また、上述した第1、第2の各実施形態では、一方向回転部25が、送り車24、51の上面に第1鋸歯27を設け、表示車4の下面に第2鋸歯28を設け、送り車24、51の正回転のときに第1鋸歯27と第2鋸歯28との噛み合いをずらして表示車4を空転させ、送り車24、51の逆回転のときに第1鋸歯27と第2鋸歯28とを噛み合わせて表示車4を回転させるように構成した場合について述べたが、これに限らず、一方向回転部として、磁力によって表示車4を空転および回転させるように構成しても良い。
この場合には、送り車に複数の磁石を表示車の日付表示に対応させて設け、表示車に鉄などの磁性材または磁石などの磁力で吸引し合う吸引部を設け、送り車の正回転のときに送り車の磁石を表示車の吸引部から引き離して表示車4を空転させ、送り車の逆回転のときに送り車の磁石の磁力で表示車の吸引部を引き寄せて表示車4を回転させるように構成しても良い。
また、上述した第1、第2の各実施形態では、表示車24、51に日付表示4aを設けた場合について述べたが、必ずしも表示車4は日付表示4aが設けられている必要はなく、曜日表示、月表示などの表示が設けられていても良い。
さらに、上述した第1、第2の各実施形態では、指針式の腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の指針式の時計に適用することができる。また、時計に限らず、カレンダー装置や、計器類のメータなどの各種の機器に広く適用することができる。
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
請求項1に記載の発明は、駆動源の正回転および逆回転に応じて正回転および逆回転する伝達車と、この伝達車の回転に伴って正回転および逆回転するリング状の送り車と、この送り車の上側に重なった状態で回転可能に配置された表示車と、前記送り車の正回転によって前記表示車を空転させる一方で、前記送り車の逆回転によって前記表示車を回転させて前記表示車の表示を切り替えるための一方向回転部とを備えていることを特徴とする表示切替装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の表示切替装置において、前記一方向回転部は、前記送り車の上面に環状に設けられた第1鋸歯と、前記表示車の下面に環状に設けられて前記送り車の前記第1鋸歯に噛み合う第2鋸歯とを有し、前記送り車が正回転する際に前記第1鋸歯に対する前記第2鋸歯の噛み合いがずれて前記表示車を空転させ、前記送り車が逆回転する際に前記第1鋸歯に前記第2鋸歯が噛み合って回転して前記表示車を回転させることを特徴とする表示切替装置である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の表示切替装置において、前記第1鋸歯と前記第2鋸歯とのそれぞれは、前記送り車の正回転方向に向けて緩やかに傾斜する滑り面と、前記送り車の逆回転方向に位置する前記滑り面の端部に設けられた押圧面とを有していることを特徴とする表示切替装置である。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の表示切替装置において、前記送り車が正回転する際に前記表示車の回転を規制する一方で、前記送り車が逆回転する際に前記表示車の回転規制を解除するように、前記表示車の回転を制動する制動部材を備えていることを特徴とする表示切替装置である。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の表示切替装置において、前記制動部材は、前記表示車に対して回転可能な状態で配置された固定部材および前記表示車の一方に設けられた複数の係合凹部と、前記固定部材および前記表示車の他方に設けられて前記複数の係合凹部にそれぞれ係脱可能に係合する複数の突起部とを備えていることを特徴とする表示切替装置である。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の表示切替装置において、前記表示車に前記送り車を弾力的に押し付けるための付勢部材を備えていることを特徴とする表示切替装置である。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の表示切替装置において、前記伝達車は、前記駆動源の回転が伝達されて回転する指針車の回転に伴って回転することを特徴とする表示切替装置である。
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載された表示切替装置を収納する機器ケースを備えていることを特徴とする電子機器である。
1 秒針
2 分針
3 時針
4 表示車
4a 日付表示
5 第1駆動系
6 第2駆動系
14 第2ステップモータ
18 時針車
19、20 第4、第5の各中間車
21、50 表示切替装置
23 日回し車
24、51 送り車
25 一方向回転部
26 板ばね
27、28 第1、第2の各鋸歯
27a、28a 滑り部
27b、28b 押圧部
30 文字板
30b 表示窓部
31、52 制動部材
32 固定板
32a 係合孔
32b、52b 突起部
40 制御部
52a 係合凹部
K 腕時計ケース
M 時計モジュール

Claims (7)

  1. 駆動源の正回転および逆回転に応じて正回転および逆回転する伝達車と、
    この伝達車の回転に伴って正回転および逆回転するリング状の送り車と、
    この送り車の上側に重なった状態で回転可能に配置された表示車と、
    前記送り車の正回転によって前記表示車を空転させる一方で、前記送り車の逆回転によって前記表示車を回転させて前記表示車の表示を切り替えるための一方向回転部と
    を備え
    前記一方向回転部は、前記送り車の上面に環状に設けられた第1鋸歯と、前記表示車の下面に環状に設けられて前記送り車の前記第1鋸歯に噛み合う第2鋸歯とを有し、前記送り車が正回転する際に前記第1鋸歯に対する前記第2鋸歯の噛み合いがずれて前記表示車を空転させ、前記送り車が逆回転する際に前記第1鋸歯に前記第2鋸歯が噛み合って回転して前記表示車を回転させることを特徴とする表示切替装置。
  2. 請求項に記載の表示切替装置において、前記第1鋸歯と前記第2鋸歯とのそれぞれは、前記送り車の正回転方向に向けて緩やかに傾斜する滑り面と、前記送り車の逆回転方向に位置する前記滑り面の端部に設けられた押圧面とを有していることを特徴とする表示切替装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の表示切替装置において、前記送り車が正回転する際に前記表示車の回転を規制する一方で、前記送り車が逆回転する際に前記表示車の回転規制を解除するように、前記表示車の回転を制動する制動部材を備えていることを特徴とする表示切替装置。
  4. 請求項に記載の表示切替装置において、前記制動部材は、前記表示車に対して回転可能な状態で配置された固定部材および前記表示車の一方に設けられた複数の係合凹部と、前記固定部材および前記表示車の他方に設けられて前記複数の係合凹部にそれぞれ係脱可能に係合する複数の突起部とを備えていることを特徴とする表示切替装置。
  5. 請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の表示切替装置において、前記表示車に前記送り車を弾力的に押し付けるための付勢部材を備えていることを特徴とする表示切替装置。
  6. 請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の表示切替装置において、前記伝達車は、前記駆動源の回転が伝達されて回転する指針車の回転に伴って回転することを特徴とする表示切替装置。
  7. 請求項1に記載された表示切替装置を収納する機器ケースを備えていることを特徴とする電子機器。
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