以下、図1〜図8を参照して、この発明を指針式の電子腕時計に適用した一実施形態について説明する。
この電子腕時計は、図1に示すように、秒針1および分針2を駆動する第1駆動系5と、図2に示すように、時針3および表示車4を駆動する第2駆動系6とを備えている。
第1駆動系5は、図1に示すように、第1ステップモータ7と、この第1ステップモータ7によって回転する五番車8と、この五番車8によって回転する四番車である秒針車9と、この秒針車9によって回転する三番車10と、この三番車10によって回転する二番車である分針車11とを備え、これらが地板12と輪列受け13との間に中受け34を介して配置された構成になっている。
この場合、第1ステップモータ7は、図1に示すように、ステータ7aと、このステータ7aに設けられたコイル部(図示せず)と、ステータ7aの間に配置されたロータ7bとを備え、コイル部によってステータ7aに発生する磁界により、ロータ7bがステップ回転するように構成されている。五番車8は、ロータ7bのロータカナ7cに噛み合って回転するように構成されている。
四番車である秒針車9は、図1に示すように、五番車8のカナ8aに噛み合って回転し、秒針1を運針させるように構成されている。この秒針車9は、秒針軸9aを備えている。この秒針軸9aは、地板12の上方に突出し、この突出した上端部に秒針1が取り付けられている。また、三番車10は、秒針車9のカナ9bに噛み合って回転するように構成されている。
二番車である分針車11は、図1に示すように、三番車10のカナ10aに噛み合って回転し、分針2を運針させるように構成されている。この分針車11は、筒状の分針軸11aを備えている。この分針軸11aは、その内部に秒針軸9aが回転可能に挿入されている。また、この分針軸11aは、秒針軸9aと共に地板12の上方に突出し、この突出した上端部に分針2が取り付けられている。
一方、第2駆動系6は、図2に示すように、第2ステップモータ14と、この第2ステップモータ14の回転が順次伝達される第1〜第3の各中間車15〜17と、この第3中間車17によって回転する筒車である時針車18と、この時針車18の回転が順次伝達される第4、第5の各中間車19、20と、この第5中間車20によって動作する表示切替装置21とを備えている。
この場合、第2駆動系6の第2ステップモータ14および第1〜第3の各中間車15〜17は、第1駆動系5と同様、地板12と輪列受け13との間に中受け34を介して配置されている。また、この第2駆動系6の時針車18、第4、第5の各中間車19、20、および表示切替装置21は、図2に示すように、地板12と押え板22との間に配置されている。
第2ステップモータ14は、図2に示すように、ステータ14aと、このステータ14aに設けられたコイル部(図示せず)と、ステータ14aの間に配置されたロータ14bとを備え、コイル部によってステータ14aに発生する磁界により、ロータ14bがステップ回転するように構成されている。
第1中間車15は、図2に示すように、ロータ14bのロータカナ14cに噛み合って回転するように構成されている。第2中間車16は第1中間車15のカナ15aに噛み合って回転するように構成されている。第3中間車17は第2中間車16のカナ16aに噛み合って回転するように構成されている。筒車である時針車18は、図2に示すように、第3中間車17のカナ17aに噛み合って回転し、時針3を運針させるように構成されている。
この時針車18は、図1および図2に示すように、筒状の時針軸18aを備えている。この時針車18は、その時針軸18aの内部に分針軸11aが回転可能に挿入された状態で、地板12上に配置されて押え板22によって回転可能に押えられた構成になっている。この時針軸18aの上端部には、時針3が取り付けられている。この時針3は、12時間で1周回転して時刻を12時間表示するものであり、1日(24時間)に2周回転するように構成されている。
ところで、表示切替装置21は、図2に示すように、時針車18に噛み合って回転する第4中間車19と、この第4中間車19のカナ19aに噛み合って回転する第5中間車20と、この第5中間車20によって回転するツメ車23と、このツメ車23によって間欠的に回転する送り車24と、この送り車24によって回転する表示車4とを備え、これらが地板12と押え板22との間に配置された構成になっている。
ツメ車23は、図2に示すように、地板12と押え板22との間に回転自在に取り付けられた支持軸25に取り付けられている。このツメ車23は、その下部にカナ23aが設けられ、このカナ23aが第5中間車20に噛み合い、この状態で第5中間車20の回転によって回転するように構成されている。
また、このツメ車23の外周面には、図3〜図6に示すように、2枚の送り歯26、27が円周方向に向けて突出して設けられていると共に、この2枚の送り歯26、27間に係合溝部28が設けられている。また、このツメ車23は、時針3が1日に2周回転する際に、所定角度(例えば240度:2/3回転)するように構成されている。
送り車24は、図2〜図6に示すように、ツメ車23の外周面の近傍に配置された状態で、ツメ車23が1回転する際に、ツメ車23の2枚の送り歯26、27によって間欠的に所定角度だけ回転して、表示車4を所定角度だけ回転させるように構成されている。この場合、送り車24は、図2に示すように、その中心部に回転軸29が設けられ、この回転軸29が地板12と押え板22との間に回転自在に取り付けられた構成になっている。
この送り車24の外周には、図3〜図6に示すように、ツメ車23の2枚の送り歯26、27に噛み合うと共に、表示車4の後述する内歯4aに噛み合う複数の歯部24aが設けられている。この送り車24は、その複数の歯部24aが全部で6枚であり、そのいずれか1つの歯部24aがツメ車23の2枚の送り歯26、27間に位置する係合溝部28に噛み合って回転するように構成されている。
また、この送り車24は、図3および図6に示すように、そのいずれか1つの歯部24aがツメ車23の2枚の送り歯26、27に対する噛み合いが解除された際に、噛み合っていた歯部24aが、ツメ車23の外周面に接近した状態で、その外周面に沿って相対的に移動することにより、ツメ車23による回転が解除されて回転しないように構成されている。これにより、送り車24は、ツメ車23によって間欠的に回転するように構成されている。
一方、表示車4は、図2〜図6に示すように、日車であり、平板状のリング形状に形成されている。この表示車4の表面には、1日〜31日分の日付表示が等間隔で表示されている。また、この表示車4は、その内周部に内歯4aが設けられ、この内歯4aに送り車24の各歯部24aが順次噛み合うように構成されている。
これにより、表示車4は、送り車24の間欠的な回転に伴って所定角度だけ回転し、表示窓部4bに対応する日付表示が切り替わるように構成されている。この場合、表示車4は、図3〜図6に示すように、表示窓部4bに対応する日付表示が切り替わる際に、第2ステップモータ14が高速で回転して、表示窓部4bに対応する日付表示を速やかに切り替えるように構成されている。
すなわち、表示車4は、図3に示すように、時針3が1日に2周回転してツメ車23が2/3回転(240度回転)した際に、図6に示すように、第2ステップモータ14が高速で回転して時針3が更に1周回転し、ツメ車23が高速で更に1/3回転(120度回転)して合計で1回転することにより、表示窓部4bに対応する日付表示が速やかに(数秒程度で)切り替わるように構成されている。
次に、図7のブロック図を参照して、この指針式の電子腕時計の回路構成について説明する。
この指針式の電子腕時計は、秒針1と分針2とを駆動する第1駆動系5と、時針3と表示車4とを駆動する第2駆動系6とを備えている。第1駆動系5は、第1輪列機構30を介して秒針1を駆動すると共に、第2輪列機構31を介して分針2を駆動する第1ステップモータ7を備えている。第2駆動系6は、第3輪列機構32を介して時針3を駆動すると共に、第4輪列機構33を介して表示車4を駆動する第2ステップモータ14を備えている。
この場合、第1駆動系5の第1輪列機構30は、図1に示したように、第1ステップモータ7によって回転する五番車8と、この五番車8の回転によって回転する秒針車9とを備えている。第2輪列機構31は、秒針車9の回転によって回転する三番車10と、この三番車10の回転によって回転する分針車11とを備えている。
また、第2駆動系6の第3輪列機構32は、図2に示したように、第2ステップモータ14によって回転する第1〜第3の各中間車15〜17と、第3中間車17によって回転する時針車18とを備えている。第4輪列機構33は、時針車18の回転によって回転する第4、第5の各中間車19、20と、第5中間車20の回転によって回転するツメ車23と、このツメ車23の回転によって間欠的に回転する送り車24とを備えている。
また、この指針式の電子腕時計は、CPU(中央演算処理装置)などを内臓して時計の全体的な統括制御を行う制御部35と、この制御部35のCPUに作業用のメモリ空間を提供するRAM(ランダム・アクセス・メモリ)36と、制御部35のCPUにより実行される種々のプログラムや初期設定データなどを格納するROM(リード・オンリー・メモリ)37とを備えている。
さらに、この指針式の電子腕時計は、一定周波数の発振信号を生成して出力する発振回路38と、この発振回路38から入力された発振信号を分周して時刻表示などの運針の基準となる周波数信号を生成する分周回路39と、ユーザによる操作を電気信号に変換して制御部35に出力するスイッチ部40と、制御部35からの制御信号に基づき第1、第2の各ステップモータ7、14に駆動パルスを出力してステップ駆動させる第1、第2の各駆動回路41、42などを備えている。
制御部35は、時刻のカウントをする計時処理や、この計時処理によって得られた時刻データ、およびスイッチ部40からの入力信号などに基づいて設定されたパルス幅や電圧値の駆動パルスを、第1、第2の各駆動回路41、42から第1、第2の各ステップモータ7、14に出力させる処理を行うように構成されている。
第1、第2の駆動回路41、42は、秒針1および分針2を運針させる第1ステップモータ7と、時針3および表示車4を運針および回転させる第2ステップモータ14とを、それぞれステップ駆動させるための駆動パルスを出力するように構成されている。この第1、第2の駆動回路41、42から第1、第2の各ステップモータ7、14に出力される駆動パルスは、制御部35からの指令に基づいて、信号の長さや電圧値、すなわち第1、第2の各ステップモータ7、14に流す電流量が変更されるようになっている。
また、秒針1、分針2、および時針3は、いずれも時計全体のほぼ中心に位置して、同一の軸中心の周りを回転するように構成されている。この場合、秒針1は、第1輪列機構30を介して1秒ごとに6度ずつ回転し、60秒間で60ステップして1周回転するように構成されている。分針2は、秒針1に連動する第2輪列機構31を介して回転し、1時間で1周回転するように構成されている。時針3は、第3輪列機構32を介して2分おきに回転し、12時間で1周回転するように構成されている。
次に、この指針式の電子腕時計における指針である秒針1、分針2、時針3を駆動する動作手順について、図8に示す動作フローを参照して説明する。この場合、図8は制御部35のCPUにより実行される指針1〜3の駆動動作における制御処理の手順を示す図である。
この制御処理は、分周回路39から制御部35に入力する1Hz(ヘルツ)の信号に基づいて制御部35のCPUにより開始される割り込み処理である。
この割り込み処理が秒針1の駆動タイミングに呼び出されて開始されると、ステップS1で計時処理を行う。すなわち、RAM36に記憶されている現在時刻データに+1秒して現在時刻データを更新する。CPUの処理がステップS2に移行すると、CPUは、駆動パルスを第1ステップモータ7に供給するように第1駆動回路41に指令を送り、第1ステップモータ7を1ステップ回転させる。これにより、第1ステップモータ7の回転が第1輪列機構30によって秒針1に伝達され、秒針1が1ステップ回転する。また、このときには、第1ステップモータ7の回転が第2輪列機構31によって分針2に伝達されて分針2も回転する。
この後、ステップS3に進み、現在時刻が23時59分56秒であるか否かを判断する。このとき、23時59分56秒でない場合には、ステップS4に進み、通常運針のプログラムを実行する。すなわち、このステップS4では、現在時刻が偶数分00秒であるか否かを判断し、偶数分00秒であると判断された場合には、ステップS5に進む。このステップS5で、CPUは、駆動パルスを第2ステップモータ14に供給するように第2駆動回路42に指令を送り、第2ステップモータ14を1ステップ回転させる。
このときには、第2ステップモータ14の回転が第3輪列機構32によって時針3に伝達され、この時針3が1ステップ回転する。また、このときには、第2ステップモータ14の回転が第4輪列機構33によって表示切替装置21のツメ車23に伝達され、このツメ車23が回転され、この処理動作を終了する。この場合、ツメ車23が回転しても、図3に示すように、ツメ車23の2枚の歯部26、27が送り車24に到達していないため、送り車24は回転せず、これに伴って表示車4も回転しない。また、ステップS4で、偶数分00秒でないと判断された場合には、この処理動作を終了する。
ところで、ステップS3で、現在時刻が23時59分56秒であると判断された場合には、ステップS6に進み、第2ステップモータ14を高速で360ステップ回転させて、表示切替装置21における表示車4の日付表示の切替を行う。このときには、CPUが第2駆動回路42に第2ステップモータ14を高速で回転させる指令を送り、この第2駆動回路42が第2ステップモータ14を90pps(ピコ秒)で駆動する駆動パルスを出力する。これにより、第2ステップモータ14が高速で360ステップ回転し、この第2ステップモータ14の回転が第3輪列機構32によって時針3に伝達され、この時針3が高速で360ステップ、つまり約4秒で1周回転する。
また、このときには、第2ステップモータ14の回転が第4輪列機構33によって表示切替装置21のツメ車23に伝達され、このツメ車23が図3に示す状態から1/3回転(120度回転)する。すなわち、現在時刻が23時59分56秒である場合には、図3に示すように、ツメ車23が2/3回転(240度回転)しているが、このツメ車23の2枚の歯部26、27が送り車24から離れた状態になっている。
この状態で、時針3およびツメ車23が高速で回転し、図4に示すように、時針3がほぼ4時を指示する際には、ツメ車23の2枚の歯部26、27のうち、ツメ車23の回転方向と反対側に位置する1枚の歯部26が送り車24の歯部24aに接近して当接する。このときには、まだ送り車24が回転しないため、表示車4も回転せず、表示車4における表示窓部4bに対応する日付表示(図4では1日を示す表示)はそのままの状態が維持される。この状態で、ツメ車23の回転に伴って1枚の歯部26が送り車24の歯部24aを送り始めると、送り車24が回転を開始し、この送り車24の回転に伴って表示車4が回転を開始する。
そして、時針3およびツメ車23が更に高速で回転し、図5に示すように、時針3が4時から6時に運針する際には、ツメ車23の高速回転に伴って、2枚の歯部26、27間に位置する係合溝部28に、送り車24の回転方向と反対側に位置する送り車24の歯部24aが係合する。この状態で、ツメ車23の回転によって送り車23が更に回転すると、この送り車24の回転に伴って表示車4が回転し、この表示車4における表示窓部4bに対応する日付表示(例えば図5では1日を示す表示)が次の日付表示(例えば図5では2日を示す表示)に切り替わり始める。
この状態で、時針3およびツメ車23が更に高速で回転し、図5に示すように、時針3がほぼ7時を指示する際には、送り車24が更に回転し、ツメ車23の2枚の間に位置する送り車24の歯部24aに、ツメ車23の回転方向と反対側に位置する歯部27が当接し、このツメ車23の歯部27の回転方向と反対側に送り車24の次の歯部24aが位置する。このときには、図5に示すように、表示車4における表示窓部4bに対応する日付表示が次の日付表示(例えば図5では2日を示す表示)にほぼ完全に切り替わる。
この後、時針3およびツメ車23が更に高速で回転して、ツメ車23の2枚の間に位置する送り車24の歯部24aがツメ車23の歯部27によって押されて回転し、このツメ車23の歯部27が送り車24の歯部24aから離れると、図6に示すように、表示車4における表示窓部4bに対応する日付表示が次の日付表示(例えば図5では2日を示す表示)に完全に切り替わる。
この状態で、時針3およびツメ車23が更に高速で回転する際には、図6に示すように、時針3が0時を指示し、送り車24の次の歯部24aがツメ車23の外周に沿って移動する。このため、ツメ車23が回転しても、送り車24は回転せず、表示車4も回転しないため、表示車4における表示窓部4bに対応する日付表示は切り替わった状態(例えば図6では2日を示す表示)が維持される。
このように、ステップS3で、現在時刻が23時59分56秒であると判断され、ステップS6で、第2ステップモータ14が高速で360ステップ回転する際には、表示切替装置21のツメ車23が図3に示す状態から更に1/3回転(120度回転)し、表示車4の日付表示を切り替える。このときのきは、第2駆動回路42が第2ステップモータ14を90pps(ピコ秒)で駆動する駆動パルスを出力し、第2ステップモータ14を高速で360ステップ回転させるので、ほぼ4秒で時針3が1周回転する。
このときには、第1駆動系5が通常状態で駆動されて、秒針1および分針2が通常運針することにより、時針3が高速で1周回転して表示車4における表示窓部4bに対応する日付表示を完全に切り替えたときに、秒針1、分針2、時針3は現在時刻である24時00分00秒を指示する。このため、時針3を高速で回転させると共に、表示切替装置21のツメ車23を高速で回転させて、表示車4における表示窓部4bに対応する日付表示を切り替えた後に、時刻修正をする必要がない。このように、ステップS6の処理で表示車4の日付表示が更新されたら、CPUはその処理動作を終了する。
このように、この表示車4の駆動装置によれば、第2ステップモータ14と、この第2ステップモータ14の回転によって運針する時針3と、円周方向の一部に歯部26、27を有し、第2ステップモータ14の回転が伝達されて回転するツメ車23と、このツメ車23の歯部26、27の回転移動に伴って送り車24を介して間欠的に所定角度だけ回転して表示が切り替わる表示車4と、を備え、時針3が1日分に加えて整数回転である1回転した際にツメ車23が1回転し、且つ時針3が1日分回転した後に更に整数回転である1回転する際において、時針3が1日分回転し終わる直前に、第2ステップモータ14が早く回転されて時針3が早く回転し、これに伴ってツメ車23が1回転して表示車4を所定角度だけ回転させるので、第2ステップモータ14を逆転させる必要がなく、しかも表示を切り替えた後に時刻修正をする必要もなく、良好に且つ速やかに表示車4の表示を切り替えることができる。
すなわち、この表示車4の駆動装置では、時針3が1日分回転し終わる直前、例えば23時59分56秒に運針したときに、第2ステップモータ14が高速で回転して時針3を更に整数回転である1回転させることにより、ツメ車23が1回転し、このツメ車23の1回転によって送り車24を介して表示車4を間欠的に所定角度だけ回転させて、表示車4の表示を速やかに切り替えることができ、これと同時に時針3を現在時刻に合わせることができる。
このため、夜中でも明確に、切り替わった日付表示を確認することができるほか、第2ステップモータ14を逆転させる必要がないばかりか、表示車4の表示を切り替えた後に時刻を修正する必要もないので、構造の簡素化および低コスト化を図ることができると共に、制御回路における制御も単純化することができ、これにより機械的にも電気的にも低価格なものを提供することができる。
この場合、表示車4の駆動装置は、ツメ車23の2枚の歯部26、27に噛み合う複数の歯部24aを有し、ツメ車23の1回転ごとに所定角度ずつ間欠的に回転し、この間欠的な回転によって表示車4を所定角度だけ回転させて表示車4の表示を切り替えるための送り車24を備えていることにより、ツメ車23の1回転によって確実に送り車24が間欠的に所定角度だけ回転し、この送り車24の間欠的な回転によって表示車4を所定角度だけ正確に回転させることができ、これにより表示車4の表示を確実に且つ良好に切り替えることができる。
すなわち、送り車24は、複数の歯部24aのいずれかがツメ車23の2枚の歯部26、27に間欠的に噛み合うと共に、この複数の歯部24aのいずれかが表示車4の内歯4aに常時噛み合う構成であるから、ツメ車23の1回転ごとに送り車24が確実に所定角度ずつ間欠的に回転し、この送り車24の間欠的な回転によって正確に且つ確実に表示車4を所定角度だけ回転させることができ、これにより表示車4の表示を確実に且つ良好に切り替えることができる。
また、この表示車4の駆動装置では、時針3が1日に2周回転する12時間表示の際に、時針3の1日分の回転に加えて更に時針3が整数回転である1回転することにより、ツメ車23が1回転する構成であるから、時針3が1日分回転し終わる直前、つまり時針3の整数回転である1周回転に要する数秒前のときに、第2ステップモータ14が高速で回転して時針3を数秒間で1周回転させることにより、ツメ車23が1回転して送り車24を介して表示車4を所定角度だけ回転させることができ、これにより表示車4の表示を数秒間で速やかに切り替えることができると共に、これと同時に時針3を現在時刻である24時00分00秒に合わせることができる。
すなわち、ツメ車23は、時針3が1日分回転した後に更に整数回転である1回転する際において、時針3が1日分回転する数秒前(例えば4秒前:23時59分56秒)に、第2ステップモータ14が高速で回転されて時針3が4秒で1周回転し、これに伴ってツメ車23が1回転して表示車4を所定角度だけ回転させ、4秒間で表示車4の表示の切り替えを完了させることにより、時針3が1日分回転し終わる直前である23時59分56秒のときに、第2ステップモータ14が高速で回転して表示車4を4秒間で所定角度だけ回転させることができ、これにより表示車4の表示を4秒間で速やかに切り替えることができ、且つ時針3を現在時刻である24時00分00秒に合わせることができ、これにより表示切替後に時刻修正をする必要がない。
なお、上述した実施形態では、時針3が1日分(2周)回転した後に更に整数回転である1周回転、つまり時針3が合計3周回転することにより、ツメ車23が1回転する構成である場合について述べたが、これに限らず、例えば時針3が1日分(2周)回転した後に更に2周回転、3周回転などの整数回転、つまり時針3が合計で4周回転または5周回転することにより、ツメ車23が1回転する構成であっても良い。
例えば、時針3が1日分(2周)回転した後に更に整数回転である2周回転する際に、ツメ車23が1回転する構成である場合には、時針3が1日分回転する数秒前(8秒前:23時59分52秒)に、第2ステップモータ14が高速で回転されて時針3が数秒(8秒)で2周回転し、これに伴ってツメ車23が1回転して表示車4を間欠的に所定角度だけ回転させることにより、数秒(8秒)間で表示車4の表示の切り替えを完了させれば良い。この場合にも、表示の切り替えが完了した後に、時刻修正をする必要はない。
また、上述した実施形態では、時針3が1日分(2周)回転した後に更に整数回転する際において、時針3が1日分回転する数秒前(例えば4秒前:23時59分56秒)に、第2ステップモータ14が高速で回転されて時針3が数秒(4秒)で1周回転し、これに伴ってツメ車23が1回転して表示車4を間欠的に所定角度だけ回転させることにより、数秒間で表示車4の表示の切り替えを完了させる構成である場合について述べたが、これに限らず、例えば時針3が1日分(2周)回転して時刻が24時00分00秒になった時点のときに、第2ステップモータ14が高速で回転されて時針3が数秒(4秒)で1周回転し、これに伴ってツメ車23が表示車4を間欠的に回転させて数秒間で表示車4の表示の切り替えを完了させる構成であって良い。
この場合には、時針3が1日分(2周)回転して時刻が24時00分00秒になった時点のときに、第2ステップモータ14が高速で回転されて、ツメ車23が1回転して表示車4の表示の切り替えを完了させた際に、現在時刻が24時00分04秒となる。このときには、第1駆動系5を通常状態で駆動し、秒針1および分針2を通常に運針させることにより、秒針1、分針2、および時針3が現在時刻である24時00分04秒を指示するので、表示車4の表示を切り替えた後に、時刻修正をする必要はない。
さらに、上述した実施形態では、時針3が1日に2周回転する12時間表示で、時針3が1日分(2周)回転した後に更に整数回転することにより、ツメ車23が1回転する構成である場合について述べたが、これに限らず、例えば時針3が1日に1周回転する24時間表示の際に、時針3の1日分の回転に加えて時針3が偶数回転(例えば2周回転または4周回転)することにより、ツメ車23が1回転するように構成しても良い。
例えば、時針3が1日に1回転する24時間表示の際に、時針3の1日分の回転に加えて時針3が2周回転することにより、ツメ車23が1回転する構成であれば、約8秒で表示車4の表示の切り替えを完了させることができる。この場合にも、時針3が1日分回転する数秒前(例えば8秒前:23時59分52秒)に、第2ステップモータ14が高速で回転されて時針3が数秒(8秒)で2周回転し、これに伴ってツメ車23が1回転して表示車4を間欠的に所定角度だけ回転させることにより、数秒間で表示車4の表示の切り替えを完了させることができると共に、表示の切り替えが完了したときに、現在時刻が24時00分00秒となるので、表示車4の表示を切り替えた後に、時刻修正をする必要はない。
また、時針3が24時間表示で1日分(1周)回転して時刻が24時00分00秒になった時点のときに、第2ステップモータ14が高速で回転されて時針3が数秒(8秒)で2周回転することにより、ツメ車23が1回転する構成であっても良い。この場合にも、時針3が24時間表示で1日分(1周)回転して時刻が24時00分00秒になった時点のときに、第2ステップモータ14が高速で回転されて時針3が数秒(8秒)で2周回転し、これに伴ってツメ車23が1回転して表示車4を間欠的に所定角度だけ回転させることにより、数秒間で表示車4の表示の切り替えを完了させることができると共に、表示の切り替えが完了したときに、現在時刻が24時00分08秒となるので、表示車4の表示を切り替えた後に、時刻修正をする必要はない。
なおまた、上述した実施形態およびその各変形例では、ツメ車23の回転を送り車24に間欠的に伝達し、この送り車24によって表示車4を所定角度だけ回転させるように構成した場合について述べたが、必ずしも送り車24を用いる必要はなく、ツメ車23の2枚の歯部26、27によって、ツメ車23の回転を表示車4に間欠的に直接伝達して、表示車4を所定角度だけ回転させるように構成しても良い。このようにすれば、更に部品点数を削減することができるので、より一層、構造の簡素化および低コスト化を図ることができる。
また、上述した実施形態およびその各変形例では、表示切替用の表示車として、日付が表示された日車である表示車4について述べたが、必ずして日付が表示された日車としての表示車4である必要はなく、曜日が表示された曜日車などの表示車にも適用することができる。
さらに、上述した実施形態およびその各変形例では、指針式の電子腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも電子腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の指針式の電子時計に広く適用することができる。
以上、この発明の一実施形態およびその各変形例について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
請求項1に記載の発明は、ステップモータと、このステップモータの回転によって運針する時針と、円周方向の一部に歯部を有し、前記ステップモータの回転が伝達されて回転するツメ車と、このツメ車の前記歯部の回転移動に伴って間欠的に所定角度だけ回転して表示が切り替わる表示車と、を備え、
前記ツメ車は、前記時針が1日分に加えて整数回転した際に1回転し、且つ前記時針が1日分回転した後に前記整数回転する際において、前記時針が1日分回転し終わる直前から1日分回転した直後までの間のときに、前記ステップモータが早く回転されて前記時針が早く前記整数回転し、これに伴って前記ツメ車が1回転して前記表示車を間欠的に前記所定角度だけ回転させることを特徴とする表示車の駆動装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載に表示車の駆動装置において、前記ツメ車の前記歯部に噛み合う複数の歯部を有し、前記ツメ車の1回転ごとに所定角度ずつ間欠的に回転し、この間欠的な回転によって前記表示車を前記所定角度だけ回転させるための送り車を備えていることを特徴とする表示車の駆動装置である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載に表示車の駆動装置において、前記ツメ車は、前記時針が1日に2周回転する12時間表示の際に、前記時針の1日分の回転に加えて前記時針が整数回転することにより、1回転することを特徴とする表示車の駆動装置である。
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載に表示車の駆動装置において、前記ツメ車は、前記時針が1日に1周回転する24時間表示の際に、前記時針の1日分の回転に加えて前記時針が偶数回転することにより、1回転することを特徴とする表示車の駆動装置である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載に表示車の駆動装置において、前記時針が1日分回転した後に前記整数回転する際に、前記時針が1日分回転し終わる直前とは、前記時針が前記整数回転に要する数秒前の時間であり、前記ツメ車は、前記時針が1日分回転し終わる前記直前に、前記ステップモータが早く回転されて前記時針が早く前記整数回転し、これに伴って前記表示車を前記所定角度だけ回転させて前記数秒間で前記表示の切り替えを完了させることを特徴とする表示車の駆動装置である。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載に表示車の駆動装置において、前記ツメ車は、前記時針が1日分回転した後に数秒間で前記整数回転する際において、前記時針が1日分回転した時点のときに、前記ステップモータが早く回転されて前記時針が早く前記整数回転し、これに伴って前記表示車を前記所定角度だけ回転させて前記数秒間で前記表示の切り替えを完了させることを特徴とする表示車の駆動装置である。