JP2014048147A - アナログ電子時計 - Google Patents

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Abstract

【課題】早送り動作の終了時に、容易且つ確実に指針位置を所望の表示位置に合わせることの出来るアナログ電子時計を提供する。
【解決手段】ステッピングモータと、輪列機構と、指針と、動作制御を行う駆動制御手段と、指針を一の移動目標位置へ回転移動させる動作制御中に他の移動目標位置へ回転移動させる動作命令が取得された場合に、動作制御を中断し、動作命令に応じた動作制御に制御内容を変更する制御内容変更手段と、制御内容が変更された動作制御の終了時に、一連の動作制御中で指針を反転方向に回転移動させるための反転駆動動作をステッピングモータに行わせていた場合、輪列機構における歯車間の隙間により、ステッピングモータからの回転入力が指針に伝達されないことで生じるステッピングモータからの回転入力回数と指針位置とのずれを除去するための所定の位置調整動作を行う指針位置調整手段とを備える。
【選択図】図2

Description

この発明は、指針を用いて表示を行うアナログ電子時計に関する。
従来、回動可能な指針に所定の方向(位置)を指し示させることにより時刻を表示するアナログ電子時計がある。アナログ電子時計では、複数の歯車が配列された輪列機構によりモータの回転動作を伝達させて、輪列機構の最後の歯車に連動して回転する指針を正転方向及び逆転方向に移動させている。
この輪列機構を構成する各歯車間の噛み合わせには、温度変化や経年変化といった各種の要因による歯車の僅かな変形を想定して、バックラッシュと呼ばれる隙間(遊び)が設けられている。従って、隙間がある状態で輪列機構における最初の歯車を回転させても、輪列機構の最後の歯車と指針にはその回転が伝わらない場合がある。
このバックラッシュの影響は、指針の回転移動方向を反転させる場合に顕著に現れる。輪列機構の各歯車が指針の一方向への回転に対して隙間なく噛み合った配置となっている場合、当該一方向とは逆方向への回転に対しては、隙間が最大になっており、この最大の隙間に応じたステップ数のモータの回転動作に対して指針が移動しないことになる。その結果、モータの駆動回数から想定される指針の位置と、指針による実際の表示位置との間にずれが生じたり、指針の反転移動が開始されるまでにタイムラグが生じたりするという問題があった。そこで、従来、このようなバックラッシュの影響を確実に除去したり、次の回転方向に合わせて歯車間の隙間がなくなるように隙間に対応するステップ数だけ予めモータを動作させておいたりする技術が開示されている(特許文献1、2)。
特開2008−209259号公報 特開2011−191220号公報
しかしながら、アナログ電子時計では、指針を移動目標位置に移動させるまでに時間がかかるので、早送りによる移動中に異なる早送り移動が開始されてしまう場合がある。このような場合に、従来の構成では、適切にバックラッシュの影響が除去されず、指針の指し示す位置が想定される位置と異なってしまう虞があるという課題がある。
この発明の目的は、早送り動作の終了時に、容易且つ確実に指針位置を所望の表示位置に合わせることの出来るアナログ電子時計を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、
ステッピングモータと、
複数の歯車の噛み合わせにより、前記ステッピングモータから入力された回転を伝達する輪列機構と、
前記輪列機構により伝達された回転に応じ、所定の角度単位で回転移動する指針と、
前記ステッピングモータの動作制御を行う駆動制御手段と、
前記指針を一の移動目標位置へ回転移動させる動作制御の途中で当該指針を他の移動目標位置へ回転移動させる動作命令が取得された場合に、前記動作制御を中断し、前記動作命令に応じた動作制御に制御内容を変更する制御内容変更手段と、
前記制御内容変更手段により制御内容が変更された動作制御が終了した場合に、前記制御内容の変更前に行われた動作制御と、前記制御内容の変更後に行われた動作制御とからなる一連の動作制御において、前記指針を所定の基準回転方向とは反対の反転方向に回転移動させるための反転駆動動作を前記ステッピングモータに行わせたか否かを判別する回転方向判別手段と、
前記反転駆動動作が行われたと判別された場合に、前記輪列機構における前記複数の歯車間の噛み合わせに係る隙間により、前記ステッピングモータからの回転入力が前記指針に伝達されないことで生じる前記ステッピングモータからの回転入力回数と前記指針の位置とのずれを除去するための所定の位置調整動作を行う指針位置調整手段と
を備えることを特徴とするアナログ電子時計である。
本発明に従うと、アナログ電子時計において、早送り動作の終了時に、容易且つ確実に指針位置を所望の表示位置に合わせることが出来るという効果がある。
本発明の実施形態のアナログ電子時計の内部構成を示すブロック図である。 指針早送り処理の制御手順を示すフローチャートである。 指針早送りの動作例を説明するための図表である。 指針早送りの動作例を説明するための図表である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態のアナログ電子時計1の内部構成を示すブロック図である。
このアナログ電子時計1は、現在時刻表示機能の他、他の各種機能、例えば、世界時計機能、アラーム機能、タイマ機能、コンパス機能に係る表示を行うことが可能なものである。アナログ電子時計1は、CPU31(Central Processing Unit)(駆動制御手段、制御内容変更手段、回転方向判別手段、指針位置調整手段)、と、ROM32(Read Only Memory)と、RAM33(Random Access Memory)と、発振回路34と、分周回路35と、時刻計数回路36と、電源部37と、操作部38と、地磁気センサ39と、地磁気センサのドライバ40と、ピエゾ素子41と、ピエゾ素子のドライバ42と、モータ駆動回路43と、時針51と、分針52と、機能針53と、それぞれ複数の歯車からなる輪列機構61〜63と、ステッピングモータ71〜73などを備えている。
ステッピングモータ71は、輪列機構61を介して所定の角度単位(例えば、1度)で時針51を回転移動させる。ステッピングモータ72は、輪列機構62を介して所定の角度単位で分針52を回転移動させる。ステッピングモータ73は、輪列機構63を介して所定の角度単位で機能針53を回転移動させる。即ち、本実施形態のアナログ電子時計1では、時針51、分針52、及び、機能針53は、別個のステッピングモータ71〜73により独立に回転移動する。ステッピングモータ71〜73は、何れも指針を正転方向(基準回転方向、時計回り方向)と逆転方向(反転方向)の何れにも回転駆動される。時針51、分針52、及び、機能針53の回転移動に係る機構は、何れも同一であり、以降、何れか指定された一本について説明する場合には、単に指針と記す。時針51及び分針52は、時刻表示の際にそれぞれ時、及び、分の表示を行うと共に、各種機能に係る値や情報の表示を行う。機能針53は、アナログ電子時計1が実行中の機能の種別を指し示す。
輪列機構61〜63には、それぞれ固有のバックラッシュが存在する。ステッピングモータ71〜73のロータが回転駆動された場合に、当該回転方向にこのバックラッシュに係る隙間が存在する状態では、輪列機構61〜63の一部の歯車のみが回転して、指針51〜53には、ロータの回転が伝達されない。
モータ駆動回路43は、CPU31から入力される制御信号に基づき、ステッピングモータ71〜73のロータをそれぞれ回転駆動するための駆動電圧波形を出力する。
CPU31は、アナログ電子時計1の全体動作を統括制御し、種々の演算処理を行う。CPU31は、本実施形態のアナログ電子時計1に係る種々の機能を切り替えて表示を行わせる。
ROM32には、CPU31が実行する各種制御プログラムや、制御プログラムで利用される初期設定データが格納されている。このROM32の初期設定データには、アナログ電子時計1において輪列機構61〜63のバックラッシュの大きさにそれぞれ対応する動作ステップ数(ステッピングモータ71〜73の駆動回数)に係るデータテーブルである規定ステップ数32a(ずれの最大ステップ数)が含まれる。この規定ステップ数には、温度変化や経年変化などを考慮して、アナログ電子時計1の利用期間中に想定される最大の値が設定される。
RAM33は、CPU31に作業用メモリ空間を提供し、一時データを記憶する。RAM33には、各指針51〜53に対してそれぞれ設定される逆転フラグ33a(反転駆動実行フラグ)が記憶される。逆転フラグ33aは、所定の期間内に逆転方向への指針早送りが行われたか否か(セット/リセット)を示す二値データである。或いは、この逆転フラグ33aを多値データとして、例えば、各輪列機構61〜63のバックラッシュに係る正転方向への隙間をそれぞれ解消するのに必要なステップ数を記憶させることとしても良い。
発振回路34は、例えば、水晶発振回路であり、所定の周波数の信号を生成して出力する。分周回路35は、発振回路34から出力された所定の周波数信号を、CPU31や時刻計数回路36に利用される種々の周波数に分周して出力する。時刻計数回路36は、分周回路35から入力された周波数信号パルスを計数し、初期時刻に加算していくことで現在時刻を計数する。
電源部37は、CPU31及びアナログ電子時計1の各部に所定の電圧で必要な電力を供給する。この電源部37の電源は、長期間継続的に電力供給が可能なものであり、例えば、ソーラー電池と二次電池とが組み合わされて用いられる。
操作部38は、ユーザによる入力操作を受け付け、電気信号に変換してCPU31に出力する。この操作部38は、押しボタンスイッチやりゅうずなどを有し、ユーザがこれらの押しボタンスイッチを押下したり、りゅうずを回転させたりすることで、アナログ電子時計1の各機能の切り替え、動作状態の変更、及び、設定入力に係る指針位置の移動などが行われる。押しボタンスイッチには、他の機能状態とコンパス機能との間で即座に切り替えを行うためのショートカットスイッチが含まれていても良い。
地磁気センサ39は、直交する二軸、又は、三軸方向の磁場強度を計測して地磁場(磁極)方向を検出するためのセンサであり、ここでは、小型軽量の半導体センサが用いられる。この地磁気センサ39は、ドライバ40に制御されて動作し、所定のサンプリング周波数でデジタル変換された磁場データがCPU31へ出力される。
ピエゾ素子(PZT、圧電素子)41は、ドライバ42から供給される電圧信号に応じてブザー音を発生する。このブザー音は、アラーム時刻の報知やタイマ設定時間の経過の報知などに用いられる。
次に、本実施形態のアナログ電子時計1における指針早送り動作について説明する。
本実施形態のアナログ電子時計1では、指針の早送り動作が行われた後に、必要に応じてバックラッシュに係る補正動作(位置調整動作)が行われる。即ち、このアナログ電子時計1では、指針の早送り動作により正転方向への回転に対するバックラッシュによる隙間や位置ずれが生じた場合に、当該バックラッシュによる位置ずれを解消するための輪列機構の回転動作が行われると共に、正転方向への回転に対して輪列機構の各歯車が噛み合った状態とされる。
図2は、本実施形態のアナログ電子時計1において実行される指針早送り処理のCPU31による制御手順を示すフローチャートである。
この指針早送り処理は、指針位置を移動させる直接的な動作命令や、機能動作の切り替え要求などに基づいて指針を移動させる間接的な命令が操作部38から入力された場合、及び、時計の制御上指針を早送り移動させる必要が生じた場合に随時起動されて実行される処理である。この処理は、指針51〜53ごとに別個に行われ、同一の指針に対して先の指針早送り処理が実行されている場合には、当該先の指針早送り処理が途中で強制終了されて、新たな処理が起動される。
指針早送り処理が開始されると、CPU31は、先ず、指針の早送り命令の内容に応じて定まる移動目標位置(一の移動目標位置、他の移動目標位置)の設定を更新する(ステップS11)。次に、CPU31は、先の指針早送り処理の途中であったか否かを判別する(ステップS12)。先の指針早送り処理の途中ではなかったと判別された場合には、CPU31の処理は、ステップS15に移行する。先の指針早送り処理の途中であったと判別された場合には(ステップS12で“YES”)、CPU31は、次に、先の指針早送り処理において、指針を逆転早送り(反転駆動動作)中であったか否かを判別する(ステップS13)。逆転早送り中ではなかったと判別された場合には、CPU31の処理は、ステップS15に移行する。
逆転早送り中であったと判別された場合には(ステップS13で“YES”)、CPU31は、逆転フラグ33aをセットする(ステップS14)。それから、CPU31の処理は、ステップS15に移行する。
ステップS15の処理に移行すると、CPU31は、早送り対象の指針を現在の指針位置から設定された移動目標位置まで早送りする際の早送り方向を決定する。例えば、CPU31は、正転方向及び逆転方向での移動目標位置までの移動ステップ数と、正転方向及び逆転方向への早送り速度とに基づいて、何れの回転方向に早送り移動させたほうがより短い時間で移動目標位置に指針を到達させるか出来るかを比較して、早送り方向を決定する。
次に、CPU31は、決定された早送り方向が逆転方向であるか否かを判別する(ステップS16)。逆転方向への早送りであると判別された場合には(ステップS16で“YES”)、CPU31は、当該指針を設定されたステップ数逆転早送りさせるための制御信号をモータ駆動回路43に出力する(ステップS17)。それから、CPU31の処理は、ステップS21に移行する。
一方、逆転方向への早送りではない(正転方向への早送りである)と判別された場合には(ステップS16で“NO”)、CPU31は、当該指針を設定されたステップ数正転早送りさせるための制御信号をモータ駆動回路43に出力する(ステップS18)。指針の正転早送りが完了すると、CPU31は、逆転フラグ33aがセットされているか否かを判別する(ステップS19)。逆転フラグ33aがセットされていない場合には、CPU31の処理は、そのまま終了する。
逆転フラグ33aがセットされていると判別された場合には(ステップS19で“YES”)、次に、CPU31は、規定ステップ数32aを参照して、今回の正転早送りにおいて、正転ステップ数は、早送り対象の指針に係るバックラッシュの規定ステップ数(規定数)以上であったか否かを判別する(ステップS20)。規定ステップ数以上であると判別された場合(ステップS20で“YES”)には、CPU31の処理は、ステップS22に移行する。規定数以上ではないと判別された場合(ステップS20で“NO”)には、CPU31の処理は、ステップS21に移行する。
ステップS17の処理の終了後、又は、ステップS20の判別処理で正転ステップ数が規定数以上ではないと判別された場合(ステップS20で“NO”)には、CPU31は、バックラッシュの除去に係る所定の動作を行わせるための制御信号をモータ駆動回路43に出力する(ステップS21)。具体的には、CPU31は、指針を逆転方向に規定数早送り移動させた後に、指針を正転方向に同ステップ数早送り移動させる処理を行う。それから、CPU31の処理は、ステップS22に移行する。
ステップS21の処理の終了後、又は、ステップS20の判別処理で正転ステップ数が規定数以上であると判別された場合(ステップS20で“YES”)には、CPU31は、逆転フラグ33aをリセット状態にする(ステップS22)。そして、CPU31は、指針早送り処理を終了する。
図3は、指針早送り処理の具体例を説明するための図表である。
この例では、指針の初期位置がステップ「0」の位置であり、早送り移動に係る一連の動作制御として、一度目の指針早送り処理に係る動作制御において早送り移動が途中まで行われた段階で二度目の指針早送り処理が起動され、続けて動作制御が行われた場合における指針の本来指し示すべき位置(移動目標位置)、実際に指し示している位置(指示位置)、及び、バックラッシュ量の変化を示している。図表におけるこのバックラッシュの値は、上記の多値の場合の逆転フラグ33aに対応し、即ち、指針を正転方向に移動させる際に何ステップ遅れて動き出すかを示す値(マージン)である。例えば、この値が「2」の場合には、正転方向へ3ステップ目のステッピングモータの駆動で指針が動き始め、逆転方向へ9ステップ目のステッピングモータの駆動で指針が動き始めることを示している。正常な状態で指針早送り処理が終了した場合には、このバックラッシュの値が「0」となる。この例におけるバックラッシュの規定数は「10」である。
先ず、図3(a)には、一度目の指針早送り処理において、指針が正転方向に20ステップ早送り移動された段階で(ステップS18の処理を実行中)、更に正転方向への早送り移動が設定される場合の例を示す。一度目の早送りにおいて、正転方向への回転に対する隙間は生じないので、二度目の指針早送り処理の開始時には、バックラッシュの値が「0」のまま、指針は、ステップ「20」の位置にある。そして、ステップ「40」の位置に移動先が更新された後(ステップS11)、ステップS12の判別処理で“YES”、ステップS13の判別処理で“NO”にそれぞれ分岐する。それから、正転方向に20ステップの早送りが決定されて(ステップS15)、この早送り動作が実行される(ステップS16、S18)。この場合には、指針は、正確にステップ「40」の位置に移動する。逆転フラグ33aがセットされていない(逆転フラグ:×)ので(ステップS19で“NO”)、バックラッシュの除去処理が行われず(除去処理:×)、そのまま指針早送り処理が終了する。
一方、図3(b)には、一度目の指針早送り処理において、指針が正転方向に20ステップ早送り移動された段階で(ステップS18の処理を実行中)、逆転方向への早送り移動が設定される場合の例を示す。一度目の早送りにおいて、正転方向への回転に対する隙間は生じないので、二度目の指針早送り処理の開始時には、バックラッシュの値が「0」のまま、指針は、ステップ「20」の位置にある。そして、ステップ「0」の位置に移動先が更新された後(ステップS11)、ステップS12の判別処理で“YES”、ステップS13の判別処理で“NO”にそれぞれ分岐する(逆転フラグ:×)。それから、逆転方向に20ステップの早送りが決定されて(ステップS15)、この早送り動作が実行される(ステップS16、S17)。この場合、ステップS17の処理における早送りの開始時には、逆転方向への回転に対し10ステップ分の隙間があるので、輪列機構の一部の歯車が10ステップ分空回りした後に(バックラッシュの値が「10」まで増加した後に)指針が逆転方向に動き出し、指針は、残り10ステップ分移動する。これにより、指針位置(ステップ「10」の位置)が移動目標位置(ステップ「0」の位置)とずれ、このずれは、バックラッシュの除去に係る処理が行われる(ステップS21、除去処理:○)ことで解消される。そして、逆転フラグ33aのリセット状態が維持されて(ステップS22)、指針早送り処理が終了する。
図3(c)には、一度目の指針早送り処理において、指針が逆転方向に20ステップ早送りされた段階で(ステップS17の処理を実行中)、規定ステップ数未満の正転方向への早送り移動が設定される場合の例を示す。一度目の早送りにおいて、指針位置には、バックラッシュの影響が現れる。即ち、二度目の指針早送り処理の開始時には、バックラッシュの値が「10」であると共に、指針の指し示す位置がステップ「−10」の位置となっている。そして、ステップ「−15」の位置に移動先が更新された後(ステップS11)、ステップS12、S13の判別処理で何れも“YES”に分岐して、逆転フラグ33aがセット(○)される(ステップS14)。それから、正転方向に5ステップの早送りが決定されて(ステップS15)、この早送り動作が実行される(ステップS16、S18)。この場合には、指針を回転させる輪列機構では、正転方向への回転に対する隙間の大きさより小さい回転しかなされないので、指針は、ステップ「−10」の位置から動かず、バックラッシュの値だけが5ステップ分減少して「5」となる。セットされている逆転フラグ33aにより、ステップS19の判別処理で“YES”に分岐し、更に、正転回数が規定数以上ではないと判別されて(ステップS20で“NO”)、バックラッシュの除去に係る処理が行われ(ステップS21、除去処理:○)、正転方向への回転に対する隙間が除去されると共に、指針が正確な位置に移動される。最後に、逆転フラグ33aがリセットされて(ステップS22)、指針早送り処理が終了する。
図3(d)には、一度目の指針早送り処理において、指針が逆転方向に20ステップ早送りされた段階で(ステップS17の処理を実行中)、規定ステップ数以上の正転方向への早送り移動が設定される場合の例を示す。一度目の早送りにおいて、指針位置には、バックラッシュの影響が現れる。即ち、二度目の指針早送り処理の開始時には、バックラッシュの値が「10」であると共に、指針の指し示す位置がステップ「−10」の位置となっている。そして、ステップ「0」の位置に移動先が更新された後(ステップS11)、ステップS12、S13の判別処理で何れも“YES”に分岐して、逆転フラグ33aがセット(○)される(ステップS14)。それから、正転方向に20ステップの早送りが決定されて(ステップS15)、この早送り動作が実行される(ステップS16、S18)。この場合には、指針を回転させる輪列機構では、先ず、正転方向への回転に対する隙間に相当する10ステップ分歯車が回転することでバックラッシュの値が解消されて「0」になる。その後、回転し始めた指針は、残りの10ステップ分移動する。これにより、指針は、ステップ「0」の位置に戻る。セットされている逆転フラグ33aにより、ステップS19の判別処理で“YES”に分岐するが、正転回数が規定数以上であると判別されるので(ステップS20で“YES”)、バックラッシュの除去に係る処理は行われず(除去処理:×)、そのまま逆転フラグ33aがリセットされて(ステップS22)、指針早送り処理が終了する。
最後に、図3(e)には、一度目の指針早送り処理において、指針が逆転方向に20ステップ早送りされた段階で(ステップS17の処理を実行中)、更に逆転方向への早送り移動が設定される場合の例を示す。一度目の早送りにおいて、指針位置には、バックラッシュの影響が現れる。即ち、二度目の指針早送り処理の開始時には、バックラッシュの値が「10」であると共に、指針の指し示す位置がステップ「−10」となっている。そして、ステップ「−40」の位置に移動先が更新された後(ステップS11)、ステップS12、S13の判別処理で何れも“YES”に分岐して、逆転フラグ33aがセット(○)される(ステップS14)。それから、逆転方向に20ステップの早送りが決定されて(ステップS15)、この早送り動作が実行される(ステップS16、S17)。この場合には、既に逆転方向への回転に対する隙間がないので、バックラッシュの値が「10」に維持されたまま逆転方向への指針の回転が20ステップ分行われ、指針がステップ「−30」の位置に移動する。その後、バックラッシュの除去に係る処理が行われて(ステップS21、除去処理:○)、指針は、ステップ「−40」の位置を正確に指す。最後に、逆転フラグ33aがリセットされて(ステップS22)、指針早送り処理が終了する。
図4は、指針早送り処理を説明するための他の例を示す図表である。
バックラッシュの影響により指針位置のずれを生じる逆転早送りには、通常の移動目標位置への早送りだけではなく、通常の逆転早送りが行われた後のバックラッシュ除去に係る動作(ステップS21)における中途までの早送りも含まれる。図4(a)に示すように、逆転早送りの後に、規定ステップ数の逆転早送り、及び、引き続いて行われる規定ステップ数の正転早送りが完全に行われると、バックラッシュの影響が除去されて指針が正しい目標位置を指し示す。これに対し、図4(b)に示すように、逆転早送りの後、バックラッシュ除去に係る逆転早送りが行われている途中(ここでは、10ステップ中5ステップ)で正転方向への早送りが設定された場合、この早送りステップ数がバックラッシュの値より小さいと、バックラッシュの影響が完全に除去されずに残ってしまう。また、図4(c)に示すように、逆転早送りの後、バックラッシュ除去に係る逆転早送りが終了し、更に、正転早送りが行われている途中(ここでは、10ステップ中5ステップ)で正転方向への早送りが設定された場合でも、早送りステップ数がバックラッシュの値より小さいと、バックラッシュの影響が完全に除去されずに残ってしまう。従って、これらの場合にも、新たに設定された移動目標位置に係る指針早送り処理の最後にバックラッシュの除去に係る処理が実行されることで、指針位置及び輪列機構の噛み合わせが正常状態となる。
以上のように、本実施形態のアナログ電子時計1は、ステッピングモータ71〜73から輪列機構61〜63を介して伝達された回転に応じ、所定の角度ごとにそれぞれ回転移動する時針51、分針52、及び、機能針53を備える。そして、何れかの指針についての指針早送り処理が実行されている途中で他の移動目標位置が設定された場合には、当該処理に係る動作制御を中止し、新たに設定された移動目標位置への指針早送り処理に係る動作制御が開始される。この移動目標位置の中途変更は、複数回行われても良い。このような先の処理の中止を伴う指針早送りで指針が移動目標位置に到達して動作制御が終了した場合には、中止前に行われた動作制御と、新たに移動目標位置が設定されて行われた動作制御とからなる一連の動作制御内で指針を逆転方向に早送りさせたか否かを判別し、逆転早送りがなされていたと判別された場合には、バックラッシュの除去に係る動作が行われる。このように、指針の早送りが途中で中止された場合に、最後の指針早送りが終了した段階で、中止された処理も含めて逆転早送りの有無が判定されて、必要に応じてバックラッシュの除去が行われるので、より確実に指針を正しい位置に移動させることが出来る。
従って、例えば、アラーム時刻の設定の際に、指針を一の設定時刻の位置へと移動中に他の設定時刻へと変更する場合や、機能動作モードの切り替え中に更に他の機能動作モードに移行する場合などに、早送りの向きを途中で反転させても、バックラッシュの除去に係る処理を必要とするか否かが確実に判別されて、必要な場合には、当該処理が行われる。
また、最後の指針早送りが終了した段階でのみ一度逆転早送りの判定及びバックラッシュの除去が行われるので、バックラッシュの除去に係る指針の動作を必要以上に行わせる必要が無く、また、変更された移動目標位置への早送り移動の開始を不必要に遅らせることもない。
また、一連の動作制御の中で指針の逆転早送りが行われた場合であっても、その後の正転早送りによって確実にバックラッシュの影響が除去されている場合には、改めてバックラッシュの除去に係る指針の動作を行わせる必要が無く、動作上の手間やユーザに対する見た目の低下を低減させることができる。
また、一連の動作制御におけるバックラッシュに係る隙間自体を計数しておくことで、必要最低限のバックラッシュの除去に係る動作だけが行われることになり、不要な動作の更なる削減を図ることができる。
また、逆転早送りによるバックラッシュの影響の有無について、逆転フラグ33aとして二値データとして記憶させておくことで、逆転早送りの有無に係る判別処理を低負担、高速化し、容易にバックラッシュの除去に係る動作を行うか否かを決定することができる。
また、時刻や経過時間の表示における運針方向に合わせて時計回り方向に輪列機構における歯車の噛み合わせを位置寄せしておくことで、上記のバックラッシュ除去に係る動作を含む指針早送り後の動作がより多くの場合に速やかに可能になるように設定することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、移動目標位置の変更が1回だけ行われた場合について説明したが、複数回移動目標位置が変更された場合であっても同様に本発明を適用することができる。この場合、上記実施の形態の指針早送り処理におけるステップS20の処理において、逆転早送りが行われた後、複数回続けて行われた正転回数の累積値が規定数と比較される構成とすることが可能である。この累積値は、ステップS14の処理における逆転フラグのセット時、及び、ステップS22の処理における逆転フラグのリセット時に値が「0」に初期化され、ステップS18の処理において正転早送りが行われるごとに1ずつ加算されてゆく。この累積値及びステップS14の処理でセットされた逆転フラグは、リセット動作が行われるまで、指針早送り処理が強制終了された場合であっても維持される。
また、上記実施の形態におけるステップS12〜S14の処理を省略する代わりに、ステップS16の判別処理で“YES”に分岐した場合に逆転フラグ33aをセットし、この逆転フラグは、処理の途中での強制終了時にはリセットさせないこととすることができる。この処理により、過去に途中で中止された指針早送り処理、又は、最後に実行された指針早送り処理に一度でも逆転早送りが含まれた場合には、必ず逆転フラグがセットされ、また、指針早送り処理が最終的に正常終了する際には、必ずバックラッシュの除去が行われて逆転フラグがリセットされることになる。或いは、このステップS17の処理で逆転早送りが1ステップ行われるごとに逆転フラグ33aに規定数以下の範囲で1ずつ加算し、ステップS18の処理で正転早送りが1ステップ行われるごとに逆転フラグ33aを0以上の範囲で1ずつ減じていくこととしても良い。
また、上記実施の形態では、正転方向への移動に対する隙間(マージン)がなくなるようにバックラッシュの除去を行うこととしたが、常にこの回転方向に対するバックラッシュの除去を行う設定である必要は無い。例えば、減算タイマのタイマ時間を設定する場合には、設定動作後に逆転方向へ指針を動作させることが想定されるので、逆転方向への移動に対する隙間がなくなるようにバックラッシュの除去を行うこととしても良い。
また、上記実施の形態では、時針51、分針52、機能針53がそれぞれ独立に回転移動する場合について説明したが、複数の指針が連動して回転する場合にも、ステッピングモータごとに本発明を適用することができる。
また、上記実施の形態では、逆転フラグ33aのセット/リセットに基づいて、逆転方向への早送りの有無を判断してからバックラッシュの除去の実行有無を判断する構成について説明したが、初めから各指針について、バックラッシュに係る隙間の大きさ(ステップ数)を計数することとしてもよい。このような処理により、指針早送り処理におけるステップS19の判別処理とステップS20の判別処理とが一度の判別処理にまとめられる。また、このような処理とすることで、バックラッシュの除去に係る処理が必要か否かをより正確に求められる。
或いは、ステップS19の処理とステップS20の処理とを分離したまま、ステップS20の判別処理において、上記計数されたバックラッシュに係る隙間の有無を用いてバックラッシュの除去に係る処理が必要か否かを判別することとしても良い。
その他、上記実施の形態の説明で示した具体的な構成、数値、制御手順などの細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
[付記]
<請求項1>
ステッピングモータと、
複数の歯車の噛み合わせにより、前記ステッピングモータから入力された回転を伝達する輪列機構と、
前記輪列機構により伝達された回転に応じ、所定の角度単位で回転移動する指針と、
前記ステッピングモータの動作制御を行う駆動制御手段と、
前記指針を一の移動目標位置へ回転移動させる動作制御の途中で当該指針を他の移動目標位置へ回転移動させる動作命令が取得された場合に、前記動作制御を中断し、前記動作命令に応じた動作制御に制御内容を変更する制御内容変更手段と、
前記制御内容変更手段により制御内容が変更された動作制御が終了した場合に、前記制御内容の変更前に行われた動作制御と、前記制御内容の変更後に行われた動作制御とからなる一連の動作制御において、前記指針を所定の基準回転方向とは反対の反転方向に回転移動させるための反転駆動動作を前記ステッピングモータに行わせたか否かを判別する回転方向判別手段と、
前記反転駆動動作が行われたと判別された場合に、前記輪列機構における前記複数の歯車間の噛み合わせに係る隙間により、前記ステッピングモータからの回転入力が前記指針に伝達されないことで生じる前記ステッピングモータからの回転入力回数と前記指針の位置とのずれを除去するための所定の位置調整動作を行う指針位置調整手段と
を備えることを特徴とするアナログ電子時計。
<請求項2>
前記指針位置調整手段は、
前記駆動制御手段により、前記一連の動作制御における最後の前記反転駆動動作の後、前記指針を前記基準回転方向へ回転させる回転入力が、前記隙間により生じ得る前記ずれの最大ステップ数以上行われた場合には、前記位置調整動作を行わない
ことを特徴とする請求項1記載のアナログ電子時計。
<請求項3>
前記指針位置調整手段は、
前記駆動制御手段により、前記一連の動作制御において、前記指針を前記基準回転方向へ回転させる回転入力が、前記反転駆動動作後に当該反転駆動動作による前記ずれに対応するステップ数以上行われた場合には、前記位置調整動作を行わない
ことを特徴とする請求項1記載のアナログ電子時計。
<請求項4>
前記回転方向判別手段は、前記反転駆動動作が行われた場合に反転駆動実行フラグをセットして、当該反転駆動実行フラグに基づいて前記反転駆動動作の有無を判別し、
前記指針位置調整手段は、前記所定の位置調整動作を行った場合に、前記反転駆動実行フラグをリセットする
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のアナログ電子時計。
<請求項5>
前記基準回転方向は、時計回り方向であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のアナログ電子時計。
1 アナログ電子時計
31 CPU
32 ROM
32a 規定ステップ数
33 RAM
33a 逆転フラグ
34 発振回路
35 分周回路
36 時刻計数回路
37 電源部
38 操作部
39 地磁気センサ
40 ドライバ
41 ピエゾ素子
42 ドライバ
43 モータ駆動回路
51 時針
52 分針
53 機能針
61 輪列機構
62 輪列機構
63 輪列機構
71 ステッピングモータ
72 ステッピングモータ
73 ステッピングモータ
指針早送り処理が開始されると、CPU31は、先ず、指針の早送り命令の内容に応じて定まる移動目標位置(一の移動目標位置、他の移動目標位置)の設定を更新する(ステップS11)。次に、CPU31は、先の指針早送り処理の途中であったか否かを判別する(ステップS12)。先の指針早送り処理の途中ではなかったと判別された場合には、CPU31の処理は、ステップS15に移行する。先の指針早送り処理の途中であったと判別された場合には(ステップS12で“YES”)、CPU31は、次に、先の指針早送り処理において、指針を逆転早送り(反転駆動動作)中であったか否かを判別する(ステップS13)。逆転早送り中ではなかったと判別された場合には(ステップS13で“NO”)、CPU31の処理は、ステップS15に移行する。
一方、逆転方向への早送りではない(正転方向への早送りである)と判別された場合には(ステップS16で“NO”)、CPU31は、当該指針を設定されたステップ数正転早送りさせるための制御信号をモータ駆動回路43に出力する(ステップS18)。指針の正転早送りが完了すると、CPU31は、逆転フラグ33aがセットされているか否かを判別する(ステップS19)。逆転フラグ33aがセットされていない場合には(ステップS19で“NO”)、CPU31の処理は、そのまま終了する。

Claims (5)

  1. ステッピングモータと、
    複数の歯車の噛み合わせにより、前記ステッピングモータから入力された回転を伝達する輪列機構と、
    前記輪列機構により伝達された回転に応じ、所定の角度単位で回転移動する指針と、
    前記ステッピングモータの動作制御を行う駆動制御手段と、
    前記指針を一の移動目標位置へ回転移動させる動作制御の途中で当該指針を他の移動目標位置へ回転移動させる動作命令が取得された場合に、前記動作制御を中断し、前記動作命令に応じた動作制御に制御内容を変更する制御内容変更手段と、
    前記制御内容変更手段により制御内容が変更された動作制御が終了した場合に、前記制御内容の変更前に行われた動作制御と、前記制御内容の変更後に行われた動作制御とからなる一連の動作制御において、前記指針を所定の基準回転方向とは反対の反転方向に回転移動させるための反転駆動動作を前記ステッピングモータに行わせたか否かを判別する回転方向判別手段と、
    前記反転駆動動作が行われたと判別された場合に、前記輪列機構における前記複数の歯車間の噛み合わせに係る隙間により、前記ステッピングモータからの回転入力が前記指針に伝達されないことで生じる前記ステッピングモータからの回転入力回数と前記指針の位置とのずれを除去するための所定の位置調整動作を行う指針位置調整手段と
    を備えることを特徴とするアナログ電子時計。
  2. 前記指針位置調整手段は、
    前記駆動制御手段により、前記一連の動作制御における最後の前記反転駆動動作の後、前記指針を前記基準回転方向へ回転させる回転入力が、前記隙間により生じ得る前記ずれの最大ステップ数以上行われた場合には、前記位置調整動作を行わない
    ことを特徴とする請求項1記載のアナログ電子時計。
  3. 前記指針位置調整手段は、
    前記駆動制御手段により、前記一連の動作制御において、前記指針を前記基準回転方向へ回転させる回転入力が、前記反転駆動動作後に当該反転駆動動作による前記ずれに対応するステップ数以上行われた場合には、前記位置調整動作を行わない
    ことを特徴とする請求項1記載のアナログ電子時計。
  4. 前記回転方向判別手段は、前記反転駆動動作が行われた場合に反転駆動実行フラグをセットして、当該反転駆動実行フラグに基づいて前記反転駆動動作の有無を判別し、
    前記指針位置調整手段は、前記所定の位置調整動作を行った場合に、前記反転駆動実行フラグをリセットする
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のアナログ電子時計。
  5. 前記基準回転方向は、時計回り方向であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のアナログ電子時計。
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