JP5594455B2 - 低温熱硬化型導電性コーティング用組成物 - Google Patents
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Description
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされ、その目的とするところは、塗膜外観、導電性、透明性、耐擦傷性、耐溶剤性、ならびに基材への密着性に優れた導電性塗膜を低温にて形成可能な熱硬化性を有し、さらにはポットライフが十分に維持されうる導電性コーティング用組成物を提供することにある。
(a)導電性ポリマー、
(b)メラミン樹脂誘導体からなる熱架橋剤、
(c)酸発生剤、および、
(d)溶媒または分散媒
を含有することを特徴とする熱硬化型導電性コーティング用組成物に関する。
本発明の導電性コーティング用組成物に含有される導電性ポリマー(a)は、基材表面に導電性を付与するための材料であり、このような導電性ポリマーとしてはポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリナフタレン、これらの誘導体、および、ドーパントとの複合体などがあるが、中でも、ポリチオフェンとドーパントとの複合体からなるポリチオフェン系導電性ポリマーが好適に用いられる。ポリチオフェン系導電性ポリマーは、より詳しくはポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)又はポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)とドーパントからなる複合体である。
本発明の組成物に含有される熱架橋剤であるメラミン樹脂誘導体は、組成物に低温での熱硬化性を付与し、塗膜外観、透明性(例えば、全光線透過率Ttおよびヘイズ値Haze)、導電性(例えば、表面抵抗率SR)、耐擦傷性、耐溶剤性、基材への密着性に優れた導電性塗膜を形成することが可能なものである。
本発明の組成物に含有される硬化促進剤である酸発生剤(c)は、そのままの状態では酸として機能しないが、何らかの刺激により酸を発生し、熱架橋剤(b)であるメラミン樹脂誘導体の架橋を促進するものである。このような酸発生剤には、放射線または電磁波照射により酸を発生しうる感放射線性酸発生剤または感電磁波性酸発生剤や、熱により酸を発生しうる感熱性酸発生剤が挙げられる。放射線照射、電磁波照射、または加熱を行わなければ溶液中で酸として機能しないため、組成物のポットライフが維持されうる。
R10及びR11のアルキル基、環状炭化水素基に特に制限はなく、炭素数1〜20の直鎖、分鎖、環状の炭化水素基がある。このような置換基として、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、カンファー基、シクロヘキシル基、デシル基、ドデシル基、ノルボルナン、ノルボルネンなどがあげられる。R10及びR11のアリール基としては、特に制限はなく、炭素数6〜20のものがある。このようなアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などがある。これらのアルキル基、環状炭化水素基は、アルコキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、スルフィド、チオール、アミン、オキシム、シアノ基、ニトリル基、ハロゲンなどの官能基を含んでいても良い。アリール基も同様に、アルキル基やアルコキシアルキル基および上述の官能基を含んでいても良い。
X−のスルホン酸イオンのアルキル基、環状炭化水素基およびアリール基としては、特に制限はなく、R10及びR11と同様のアルキル基、環状炭化水素基およびアリール基が挙げられる。
式(VIII)中、R21は、環を構成するアルキレン基、環状炭化水素基またはアリール基を表し、アルキル基、アリール基、アルコキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、チオール基、スルフィド、アミン、オキシムなどの置換基および官能基を含んでいても良い。このようなアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基などがある。環状炭化水素基としては、シクロヘキシル基、ノルボルナン、ノルボルネンなどがある。また、アリール基としては、炭素数20までのものがあり、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基などがある。
式(VI)で表される感放射線性または感電磁波性酸発生剤としては、ビス(t−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキサンスルホニル)ジアゾメタンなどがある。
式(VII)で表される感放射線性または感電磁波性酸発生剤としては、2−フェニル−2−(p−トルエンスルホニルオキシ)アセトフェノン、1−(p−トルエンスルホニルオキシ)−3,3−ジメチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2−オン、カンファースルホン酸ノナフルオロブタンなどがある。
式(VIII)で表される感放射線性または感電磁波性酸発生剤としては、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−ナフタルイミド、N−(n−ノナフルオロブタンスルホニルオキシ)−ナフタルイミド、N−(n−ノナフルオロブタンスルホニルオキシ)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)フタルイミドなどがある。
式(IX)で表される感放射線性または感電磁波性酸発生剤としては、p−トルエンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、ナフタレンスルホン酸無水物などがある。
これらの中でも、溶液の安定性と低温での硬化性の点で、トリブロモメチルスルホニルベンゼンが特に好ましい。
本発明に含有される溶媒または分散媒は、組成物に含有される各成分を溶解または分散させるものであれば特に制限はなく、水、有機溶剤、または、それらの混和物が用いられる。なお、組成物に含まれる各成分を溶解するものを溶媒と言い、組成物の1成分が均一に分散している場合、分散媒と呼ぶ。水系の導電性ポリマー組成物の場合、メラミン樹脂誘導体と酸発生剤が水に溶解しないことがあるため、水と有機溶剤の混和物を使用することができる。その場合の上記有機溶剤は、少なくとも1種の水と混和する有機溶剤を含んでいることが好ましく、さらには水と混和しない(疎水性の)有機溶剤も含んでいることが好ましい。溶剤系の導電性ポリマーを用いる場合、有機溶剤のみを使用してもよく、水と有機溶剤の混和物を使用してもよい。
溶媒または分散媒として用いられる有機溶剤は、水に溶解し難いメラミン樹脂や酸発生剤などの成分を均一に溶解または分散させうる。例えば、水と混和する有機溶剤として、次のようなものがある:メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのエチレングリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどのプロピレングリコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどのプロピレングリコールエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールエーテルアセテート類;テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリルおよびそれらの混和物など。疎水性の有機溶剤としては以下の溶剤が挙げられる:酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチルなどのエステル類;ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテルなどのエーテル類;メチルエチルケトン、メチルジイソブチルケトンなどのケトン類;ヘキサン、オクタン、石油エーテルなどの脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類およびこれらの混和物。これらの溶剤は単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
本発明の導電性コーティング用組成物に用いられる導電性ポリマーが水系(水溶性および水分散体)である場合に含有される水としては、蒸留水、イオン交換水及びイオン交換蒸留水等が挙げられ、導電性ポリマーの水分散体および他薬剤に含有される水分も含まれる。上記水の含有量は、組成物全体に対して、1重量%以上であることが好ましい。
本発明の導電性コーティング用組成物には界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤は、レベリング性を向上し、均一な塗布膜を得ることができるものなら特に限定されない。このような界面活性剤として、次の化合物が挙げられる:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリフッ化アルキルシロキサンなどのシロキサン化合物;パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールなどのフッ素含有有機化合物;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、プロピレンオキシド重合体、エチレンオキシド重合体などのポリエーテル系化合物;ヤシ油脂肪酸アミン塩、ガムロジンなどのカルボン酸;ヒマシ油硫酸エステル類、アルキルエーテル硫酸塩、ソルビタン脂肪酸エステル、スルホン酸エステル、リン酸エステル、コハク酸エステルなどのエステル系化合物;アルキルアリールスルホン酸アミン塩、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムなどのスルホン酸塩化合物;ラウリルリン酸ナトリウムなどのリン酸塩化合物;ヤシ油脂肪酸エタノールアマイドなどのアミド化合物;さらにはアクリル系の共重合物などがある。これらの中でも、レベリング性の点からはシロキサン系化合物およびフッ素含有化合物が好ましく、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが特に好ましい。
本発明の導電性コーティング用組成物にはバインダー樹脂が含まれていてもよい。
メラミン樹脂誘導体による熱硬化は、塗膜の耐擦傷性と耐溶剤性、さらに、低温硬化性を考慮すると、メラミン樹脂の自己架橋反応であることが好ましい。
一般的にメラミン樹脂は、バインダー樹脂に含まれるカルボニル基およびヒドロキシル基などの官能基と反応するため、それらの架橋剤として用いられることが多いが、このような塗膜の耐擦傷性や耐溶剤性は、メラミン樹脂の自己架橋塗膜と比較して高くなく、加えて高温長時間の硬化条件が必要となる場合が多い。メラミンの自己架橋塗膜の方が耐擦傷性と耐溶剤性に優れる要因として、その架橋密度が高いことが挙げられる。
7−1.導電性向上剤
本発明の組成物の導電性を向上する目的で、導電性向上剤を添加することができる。このような導電性向上剤としては、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドンなどのアミド化合物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、カテコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのヒドロキシル基含有化合物;イソホロン、プロピレンカーボネート、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、酢酸エチル、アセト酢酸エチル、オルト酢酸メチル、オルトギ酸エチルなどのカルボニル基含有化合物;ジメチルスルホキシドなどのスルホン系化合物などが挙げられる。これらの中でも、溶液の安定性や低温での硬化性および塗膜の耐擦傷性、耐溶剤性などの諸性能を考慮すると、N−メチルピロリドンが特に好ましい。その使用量に特に制限はないが、通常、組成物中に60重量%以下の量で含有されることが好ましい。
本発明の組成物には、粘度を向上させる目的で増粘剤を添加してもよい。このような増粘剤としては、アルギナン酸誘導体、キサンタンガム誘導体、カラギーナンやセルロースなどの糖類化合物などの水溶性高分子などが挙げられる。その量は特に限定されないが、通常、組成物中に60重量%以下の割合で含有されることが好ましい。
次に、導電性コーティング用組成物を用いた導電性被覆基材の製造方法について説明する。
本発明の導電性被覆基材の製造方法は、導電性コーティング用組成物に含まれる酸発生剤から酸を発生させた後に加熱硬化する工程によりなる。上記の酸発生剤が感熱性酸発生剤の場合と感放射線性または感電磁波性酸発生剤の場合とで異なる製造工程が用いられる。
上述の導電性コーティング用組成物を基材に塗布し、乾燥により溶媒を蒸発させると同時または蒸発後に熱硬化させる(硬化工程A)。本工程において、感熱性酸発生剤は、乾燥および熱硬化工程にて分解し、酸を発生することで硬化促進剤として機能するものである。酸を発生させるための条件として、導電性コーティング用組成物を塗布した基材を、感熱性酸発生剤が酸発生する温度以上で加熱することが望ましく、具体的には60℃〜200℃の温度にて10秒〜1分の時間であることが好ましい。
上述の導電性コーティング用組成物を基材に塗布し、乾燥により溶媒または分散媒を完全に揮発させた後、放射線または電磁波照射により感放射線性または感電磁波性酸発生剤から酸を発生させてから熱硬化させる(硬化工程B)か、組成物を基材に塗布後、溶媒または分散媒が完全に揮発する前に放射線または電磁波を照射することにより、感放射線性または感電磁波性酸発生剤から酸を発生させ、その後、乾燥により溶媒または分散媒を蒸発させると同時に熱硬化させる(硬化工程C)。
ガラス基材としては、無アルカリガラス、ソーダガラス、石英ガラス、ホウ珪酸ガラスなどを挙げることができる。中でも、機能性の観点から、無アルカリガラスが好ましい。
I.1 導電性ポリマー
導電性材料を含む水分散液として、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との複合体からなる導電性ポリマーの水分散液である、H.C.スタルク社製のClevios P(商品名)(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量=150000)の複合体分散水溶液;固形分1.3重量%、水98.7重量%)、及び、ポリアニリンの水分散体である三菱レイヨン社製のaquaPass(R)-01X(商品名)(ポリアニリンスルホン酸(重量平均分子量=10000);固形分1.0重量%)を用いた。導電性材料を含む有機溶剤分散液として、日本曹達社製のSSPY(3−メチル−4−ピロールカルボン酸エチル/3−メチル−4−ピロールカルボン酸ブチルの共重合体;固形分10.0重量%、重量平均分子量=200000)とTCNA(2,3,6,7−テトラシアノ−1,4,5,8−テトラアザナフタレン;固形分10.0重量%)からなる導電性ポリマーの複合体を用いた。なお、重量平均分子量の測定にはウォーターズ社製ultrahydrogel500カラムを使用した。
メラミン樹脂誘導体として、日本カーバイド工業社製のニカラックMW−390(フルエーテル型、R9:メチル基、重合度:1.0)、ニカラックMX−500(フルエーテル型、R9:n−ブチル基、重合度:2.4)、ニカラックMX−730(イミノ型、80重量%、重合度:2.4)、および日本サイテックインダストリーズ社製のサイメル300(フルエーテル型、R9:メチル基、重合度:1.4)、サイメル303(フルエーテル型、R9:メチル基、重合度:1.7)、サイメル370(メチロール型、88重量%、R9:メチル基、重合度:2.3)を使用した(上記の名称は全て商品名である)。
酸触媒として、和光純薬工業(株)社製の、メタンスルホン酸(分子量111.3;以下、MS)、p−トルエンスルホン酸(分子量187.2;以下、p−TsOH)、ドデシルベンゼンスルホン酸(分子量326.8;以下、DBS)、1級硫酸、楠本化成社製のNACURE−1051(商品名)(ジノニルナフタレンスルホン酸;固形分50.0重量%、分子量458.0;以下、DNNS)を使用した。
I.4 酸発生剤
感放射線性または感電磁波性酸発生剤として、和光純薬工業(株)社製の、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン(分子量350.5;以下、PAG−2)、東京化成工業(株)社製の2−フェニル−2−(p−トルエンスルホニルオキシ)アセトフェノン(分子量366.3;以下、PAG−1)、住友精化(株)社製の、BMPS(商品名)(トリブロモメチルフェニルスルホン;分子量392.9;以下、PAG−3)、BSP(商品名)(2−トリブロモメチルスルホニルピリジン;分子量393.9;以下、PAG−4)、感熱性酸発生剤として、和光純薬工業(株)社製のp−トシルイミダゾール(分子量222.3;以下、TAG−2)、三新化学(株)社製の、サンエイドSI80L(商品名)(トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート;以下、TAG−1)を用いた。
和光純薬工業(株)社製の、1級エタノール、1級トルエン、メチルエチルケトン(以下、MEK)を使用した。
水の大半は、導電性ポリマーの水分散体、Clevios PおよびaquaPass(R)-01Xに含まれる水であるが、新たに加える水はイオン交換処理をして用いた。実施例の表1記載の水は、新たに添加した水である。
界面活性剤として、互応化学工業社製のプラスコートRY−2(商品名)(α−パーフルオロノネニルオキシ‐ω‐メチルポリエチレンオキシド;固形分10.0重量%)、大日本インキ社製のメガファックR−08(商品名)(パーフルオロアルキルオリゴマー;固形分5.0重量%)、BYK−Chemie社製のBYK−348(商品名)(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン;固形分100重量%)、BYK−375(商品名)(ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン;固形分100重量%)、BYK−UV3500(商品名)(ポリエーテル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン;固形分100重量%)を用いた。
導電性向上剤として、和光純薬工業(株)社製のN−メチルピロリドン(以下、NMP)を用いた。
バインダーとして、クラレ社製のポバールKL−506(商品名)(ポリビニルアルコール、以下、KL−506;固形分100重量%)、互応化学社製のプラスコートZ−687(商品名)(ポリエチレンナフタレート;固形分25.0重量%、以下、Z−687)、プラスコートRZ−105(商品名)(ポリエステル;固形分25.0重量%、以下、RZ−105)、および東洋紡績社製のバイロナールMD−1245(商品名)(ポリエステル;固形分30.0重量%、以下、MD−1245)を用いた。
基材として、東レ社製ルミラーT−60(商品名)(ポリエチレンテレフタレートフィルム、以下、PET)、コーニング#1737(商品名)(ガラス板、以下、ガラス)を使用した。
電磁波照射用の装置として、光源がメタルハライドランプであるウシオ電機社製のユニキュアを使用した。
得られた組成物の液外観、組成物を用いて得た導電性被覆基材の塗膜外観、密着性、耐擦傷性、耐溶剤性を3段階評価し、耐ブロッキング性を2段階で評価した。また、SR、Tt、Hazeは測定値を評価した。ポットライフは、液調製時から「8h」、「12h」、「24h」経過時の塗布液および塗布膜を評価した。塗布液の外観、塗布膜の外観、密着性、耐擦傷性、耐溶剤性に関しては、初期値と同様に評価した。一方で、塗布膜のSR、Tt、Hazeは、測定値の初期値からの変動を3段階で評価した。なお、初期評価「×」の項目に関して、ポットライフは評価していない(「−」を記入)。
組成物調製後の液外観を目視にて3段階で評価した。ポットライフも同様に評価した。
◎:沈殿物の発生なし
○:少量の沈殿物が発生
×:ゲル化
塗布後の導電性塗膜の外観(均一性)を目視にて次の3段階で評価した。ポットライフも同様に評価した。
◎:塗膜が均一に塗布されている
○:塗膜が部分的に不均一
×:塗膜が形成されない
表面抵抗率は、JIS K7194に従い、三菱化学社製ハイレスタUP(MCP−HT450型、商品名)を用いて測定した。ポットライフは初期値に対する上昇倍率を以下の3段階で評価した。
◎:10倍以下
○:10倍を超えて100倍未満
×:100倍以上
全光線透過率は、JIS K7150に従い、スガ試験機社製ヘイズコンピュータHGM−2B(商品名)を用いて測定した。ポットライフは初期値に対する変化量を以下の3段階で評価した。
◎:―0.5より大きく、+0.5未満
○:−1.0〜−0.5および+0.5〜+1.0
×:−1.0未満および+1.0より大
Hazeは、JIS K7150に従い、スガ試験機社製ヘイズコンピュータHGM−2B(商品名)を用いて測定した。ポットライフは初期値に対する変化量を以下の3段階で評価した。
◎:―0.5より大きく、+0.5未満
○:−1.0〜−0.5および+0.5〜+1.0
×:−1.0未満および+1.0より大
塗膜の基材への密着性は、JIS K5400の碁盤目剥離試験に従って評価した。評価は次の3段階で行った。ポットライフについても、同様に評価した。
◎:10点
○:8点
×:6点以下
基材上に形成された導電性塗膜について、乾拭き試験、エタノール拭き試験、トルエン拭き試験、アセトン拭き試験を行った。乾拭き試験においては、乾燥した綿棒を準備し、これを用いて塗膜表面を、筆圧の高い字を書く程度の力を加えて3cm長さを5往復擦った。エタノール拭き、トルエン拭き、アセトン拭き試験は、それぞれエタノール、トルエン、アセトンを染み込ませた綿棒を用いて、乾拭き試験と同様の操作を行った。
◎:剥がれた部分がまったくない
○:剥がれ部分が10%未満
×:剥がれ部分が10%以上
基材上に形成された導電性塗膜の耐ブロッキング試験を、神藤金属工業所製の圧縮成形機AYS−5(商品名)を用いて行った。導電性コーティング用組成物を塗布した基材(PET)を100℃×1分間乾燥し、電磁波照射した後、塗布面を上にして2枚重ね合わせ、0.5MPaの圧力で1時間プレスした際のブロッキング性を以下の2段階で評価した。ポットライフについても同様に評価した。
◎:重ねたPETの裏面に全く付着していない
×:重ねたPETの裏面に付着
表2に記載の評価結果は、塗布液調製直後に塗布することにより作成した導電性被覆基材のものである。表3−1、3−2、4において、「8h」とは、液調製後8時間後の塗液の外観と液調製後8時間後に塗布した塗膜を上記の条件で乾燥硬化させた際の評価結果であり、「12h」、「24h」はそれぞれ、液調製後12時間、24時間後の塗液の外観と各経過時間で塗布した塗膜の評価結果である。表5は、耐ブロッキング試験の結果である。表6は、組成物を配合直後に塗布して得られた導電性塗膜が十分な耐擦傷性を有するために必要な温度と時間条件をまとめたものである。
表1に示す各成分を混合して、分散液の状態の導電性コーティング用組成物(塗布液)を調製した。この塗布液を調製後すぐに、基材のポリエチレンテレフタレートフィルム上に、No.4のワイヤーバー(ウェット膜厚9μm)で塗布し、(B)熱風乾燥機にて100℃×1分間乾燥し、ユニキュアで電磁波を照射(95mJ/cm2)後に熱硬化、(C)ユニキュアで電磁波を照射(95mJ/cm2)後に熱風乾燥機にて乾燥、熱硬化する各工程にて、導電性被覆基材を得た。熱硬化は100℃×1分または100℃×1分後25℃×24時間の条件で行った。また、ポットライフの評価として、塗布液調製から8時間、12時間、24時間経過時にも、同様に被覆基材を作成した。得られた導電性被覆基材の初期性能の評価結果を表2に、ポットライフの評価結果を表3−1、3−2、4に示す。なお、表5の耐ブロッキング試験は、工程(B)の手順で成膜後、熱硬化する前に実施した。
表1に示す各成分を混合して塗布液を調製し、これを用いて実施例1〜4、6〜29と同様に基材に塗布した後、熱風乾燥機にて、乾燥、硬化させて導電性被覆基材を得た。硬化は100℃×1分または100℃×1分後25℃×24時間の条件で行った。ポットライフの評価も同様に行った。得られた導電性被覆基材の初期性能の評価結果を表2に、ポットライフの評価結果を表3−1、3−2、4に示す。
実施例3で使用した各成分を混合して塗布液を調製し、これを用いて実施例1〜4、6〜29と同様の工程(C)において基材に塗布して導電性被覆基材を得た。硬化を5℃、25℃、40℃、60℃、80℃、100℃、120℃、150℃、170℃、200℃の温度で行い、各温度において、十分な耐擦傷性「◎」を有する導電性被覆基材が得られた時間を表6にまとめ、図1にプロットした。
実施例5で使用した各成分を混合して塗布液を調製し、これを用いて実施例5と同様に基材に塗布して導電性被覆基材を得た。硬化を60℃、80℃、100℃、120℃、150℃、170℃、200℃の温度で行い、各温度において、十分な耐擦傷性「◎」を有する導電性被覆基材が得られた時間を表6にまとめ、図1にプロットした。
比較例10として、比較例2で使用した各成分、比較例11として、比較例5で使用した各成分をそれぞれ混合して塗布液を調製し、これを用いて比較例1〜9と同様に基材に塗布して導電性被覆基材を得た。100℃×1分で乾燥させた後、25℃、40℃、60℃、80℃、100℃、120℃、150℃、170℃、200℃の各温度で硬化を行い、十分な耐擦傷性「◎」を有する導電性被覆基材が得られた時間を表6にまとめ、図1にプロットした。
Claims (10)
- (a)導電性ポリマー、
(b)メラミン樹脂誘導体からなる熱架橋剤、
(c)酸発生剤、および、
(d)溶媒または分散媒
を含有し、
導電性ポリマー(a)が、以下の式(I):
溶媒または分散媒(d)が、水と有機溶剤の混和物であり、且つ前記有機溶剤が少なくとも1種の水と混和する有機溶剤を含むことを特徴とする熱硬化型導電性コーティング用組成物。 - メラミン樹脂誘導体からなる熱架橋剤(b)が、フルエーテル型メラミン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化型導電性コーティング用組成物。
- 酸発生剤(c)が、スルホニル化合物またはその誘導体であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱硬化型導電性コーティング用組成物。
- 酸発生剤(c)が、熱架橋剤(b)100重量部に対して1〜60重量部含有されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化型導電性コーティング用組成物。
- さらに、界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化型導電性コーティング用組成物。
- さらに、バインダー樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化型導電性コーティング用組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱硬化型導電性コーティング用組成物を基材に塗布し、酸発生剤(c)から酸を発生させた後、組成物を熱硬化させることにより導電層を形成することを特徴とした導電性被覆基材の製造方法。
- 熱硬化型導電性コーティング用組成物に含まれる酸発生剤(c)が感熱性酸発生剤であり、加熱によって酸を発生させることを特徴とした、請求項7に記載の導電性被覆基材の製造方法。
- 熱硬化型導電性コーティング用組成物に含まれる酸発生剤(c)が感放射線性または感電磁波性酸発生剤であり、放射線照射または電磁波照射により酸を発生させることを特徴とした、請求項7に記載の導電性被覆基材の製造方法。
- 請求項7〜9のいずれか1項に記載の製造方法により製造された導電性被覆基材。
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