JP5594428B2 - 自動車のインパネリインフォースメントを用いた助手席用エアバッグ装置の取付構造 - Google Patents
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Description
本発明は、自動車のインパネリインフォースメントを用いた助手席用エアバッグ装置の取付構造に関する。
下記特許文献1(特開2003−034266号公報)には、押出し成形で形成されたインパネリインフォースメントが開示されている。このインパネリインフォースメントの内部には十字形の内部リブが形成されている。さらに、インパネリインフォースメントの外周面に内部リブで区画された空隙に臨む開口部が形成されている。この開口部からワイヤハーネスが空隙部の一つに収納されている。さらに、外周面には助手席用エアバッグ装置がブラケットを介して直接固定されている。
また、下記特許文献2(特開2006−143156号公報)には、運転席側クロスビームと助手席側クロスビームとでインパネリインフォースメントが構成されている。運転席側クロスビーム及び助手席側クロスビームは各々上下二分割構造とされており、それぞれの部品がプレス成形によって形成されている。さらに、助手席側クロスビームには、助手席用エアバッグ装置の取付ブラケットが一体に形成されている。
特開2003−034266号公報
特開2006−143156号公報
しかしながら、特許文献1に開示された先行技術による場合、インパネリインフォースメントを押出し成形で製作する構成であるため、アルミニウム材料を使用することになる。このため、インパネリインフォースメントのコストが高くなると共に、他の鋼板等の材料を使ってインパネリインフォースメントを製作する場合に比べて強度及び剛性が劣るという課題がある。さらに、上記先行技術による場合、助手席用エアバッグ装置をインパネリインフォースメントの外周部の表面に締結しているため、表面強度が必要になる。このため、インパネリインフォースメントの板厚を厚くして表面強度を確保する必要がある。
一方、特許文献2に開示された先行技術による場合、助手席側クロスビームに助手席用エアバッグ装置を取付けるためのブラケットを助手席側クロスビームのプレス成形時に一体成形する構成であるため、助手席用エアバッグ装置の展開時に作用する反力に耐え得る剛性を確保するためには板厚を厚くする必要がある。このため、インパネリインフォースメントのコスト及び重量が増加するという課題がある。従って、上記先行技術は、この点において改善の余地がある。
本発明は上記事実を考慮し、例えば助手席用エアバッグ装置の展開時に作用する反力等の荷重を支持するための強度及び剛性を確保することができ、しかもコスト及び重量を削減することができる自動車のインパネリインフォースメントを用いた助手席用エアバッグ装置の取付構造を得ることが目的である。
第1の態様に係る自動車のインパネリインフォースメントを用いた助手席用エアバッグ装置の取付構造は、車両のインストルメントパネルの内側に車両幅方向に沿って配置されると共に、プレス成形によって形成された二部材を用いて断面形状が四角形の閉断面形状となるように溶接され、更に前記四角形の対向する二面に一対のボルト挿通孔が同軸上に位置するように形成されたインパネリインフォースメント本体と、軸芯部に形成された孔が前記一対のボルト挿通孔と同軸上に位置するように前記インパネリインフォースメント本体の閉断面内に配置されると共に、軸方向の一方の端部が前記対向する二面のうち一面に接合されたカラーと、を有する自動車のインパネリインフォースメントを用い、前記インストルメントパネルの助手席側に設けられた助手席用エアバッグ装置は、当該助手席用エアバッグ装置が備える車体への取付用のブラケットが前記インパネリインフォースメント本体の閉断面内に予め設けられた前記カラーを通じて締結されることにより、当該インパネリインフォースメント本体に直接固定されている。
第2の態様に係る自動車のインパネリインフォースメントを用いた助手席用エアバッグ装置の取付構造は、第1の態様において、前記カラーの軸方向の一方の端部は、前記インパネリインフォースメント本体の一方の部材にプロジェクション溶接又はスポット溶接により接合されており、かつ前記一方の部材と前記他方の部材とは、スポット溶接又はアーク溶接若しくはレーザー溶接により接合されている。
第3の態様に係る自動車のインパネリインフォースメントを用いた助手席用エアバッグ装置の取付構造は、第1の態様において、前記カラーの軸方向の一方の端部は、前記インパネリインフォースメント本体の一方の部材にプロジェクション溶接により接合されており、かつ前記一方の部材と前記他方の部材とは、プロジェクション溶接により接合されている。
第5の態様に係る自動車のインパネリインフォースメントを用いた助手席用エアバッグ装置の取付構造は、第1〜第3の態様のいずれか一つの態様において、前記助手席用エアバッグ装置は、前記インパネリインフォースメントの車両後方側に配置されるミッドマウントタイプの助手席用エアバッグ装置である。
第1の態様によれば、車両のインストルメントパネルの内側には、インパネリインフォースメント本体が車両幅方向に沿って配置されている。このインパネリインフォースメント本体は、プレス成形によって形成された二部材を用いて断面形状が四角形の閉断面形状となるように溶接されており、更に四角形の対向する二面には一対のボルト挿通孔が同軸上に位置するように形成されている。
ここで、本態様では、上記インパネリインフォースメント本体の閉断面内に、軸心部に形成された孔がインパネリインフォースメント本体の一対のボルト挿通孔と同軸上に位置するようにカラーが配置されている。そして、この状態でカラーの軸方向の一方の端部が対向する二面のうち一面に接合されている。このため、例えば助手席用エアバッグ装置の取付用のブラケットをカラーを通じて締結固定するといった使い方が可能になる。この場合、ブラケットがインパネリインフォースメント本体にカラーを通じて固定されることで、インパネリインフォースメント本体の対向する二面間にカラーが架け渡された構造になる。従って、インパネリインフォースメント本体自体の強度及び剛性が上がり、前掲の例で言えば、助手席用エアバッグ装置が作動したときの展開反力のような大きなが荷重が入力された際のインパネリインフォースメント本体の断面崩れや座屈が生じ難くなる。
しかも、板厚を厚くしてインパネリインフォースメント本体を補強する必要がなくなるので、重量及びコストを削減することができる。
しかも、板厚を厚くしてインパネリインフォースメント本体を補強する必要がなくなるので、重量及びコストを削減することができる。
このように本態様によれば、インパネリインフォースメント本体をアルミニウム材料を用いて製作する場合に比し、インパネリインフォースメント本体の強度及び剛性を高くすることができ、しかも安価にできる。さらに、アルミニウム材料でインパネリインフォースメント本体を作る場合には表面強度を確保するために板厚を厚くする必要があったが、本態様によれば中空の閉断面内にカラーを配置しボルトで締結固定することによって充分な補強効果が得られるので、インパネリインフォースメント本体を軽量化することができる。
第2の態様によれば、カラーの軸方向の一方の端部は、インパネリインフォースメント本体の一方の部材にプロジェクション溶接又はスポット溶接により接合されている。また、インパネリインフォースメント本体の一方の部材と他方の部材とはスポット溶接又はアーク溶接若しくはレーザー溶接により接合される。このようにすれば、予め一方の部材にカラーをプロジェクション溶接又はスポット溶接により仮止めした後に、一方の部材と他方の部材とをスポット溶接又はアーク溶接若しくはレーザー溶接により閉じることができる。このため、カラーを一方の部材に先付けした際にカラーの溶接状況を目視で確認することができる。
第3の態様によれば、カラーの軸方向の一方の端部は、インパネリインフォースメント本体の一方の部材にプロジェクション溶接により接合されている。また、インパネリインフォースメント本体の一方の部材と他方の部材とはプロジェクション溶接により接合される。このようにすれば、一方の部材、他方の部材及びカラーの三者を同時に(一度に)溶接することができる。
第5の態様によれば、助手席用エアバッグ装置が、インパネリインフォースメント本体の車両後方側に配置されるミッドマウントタイプとされているので、助手席用エアバッグ装置をインパネリインフォースメント本体の車両後方側から略水平に移動させてブラケットをカラーの配設位置まで運ぶことができる。
以上説明したように、第1の態様に係る自動車のインパネリインフォースメントを用いた助手席用エアバッグ装置の取付構造は、助手席用エアバッグ装置の展開時に作用する反力等の荷重を支持するための強度及び剛性を確保することができ、しかもコスト及び重量を削減することができるという優れた効果を有する。
第2の態様に係る自動車のインパネリインフォースメントを用いた助手席用エアバッグ装置の取付構造は、カラーが一方の部材に先付けされるので、カラーの接合状態を目視で確認することができ、ひいてはカラーの溶接品質を良好に確保することができるという優れた効果を有する。
第3の態様に係る自動車のインパネリインフォースメントを用いた助手席用エアバッグ装置の取付構造は、溶接工程を短縮することができ、ひいてはコスト削減及び生産性の向上を図ることができるという優れた効果を有する。
第5の態様に係る自動車のインパネリインフォースメントを用いた助手席用エアバッグ装置の取付構造は、助手席用エアバッグ装置の車両搭載性を向上させることができるという優れた効果を有する。
〔第1の態様〕
以下、図1〜図7を用いて、本発明に係る自動車のインパネリインフォースメント(インストルメントパネルリインフォースメント)を用いた助手席用エアバッグ装置の取付構造の第1の態様について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印INは車両幅方向内側を示している。
以下、図1〜図7を用いて、本発明に係る自動車のインパネリインフォースメント(インストルメントパネルリインフォースメント)を用いた助手席用エアバッグ装置の取付構造の第1の態様について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印INは車両幅方向内側を示している。
<インパネリインフォースメント10の詳細構造>
まず、インパネリインフォースメント10の構造について説明する。図1〜図3に示されるように、インパネリインフォースメント10は、対角線にて二分割された四角形断面のプレス構造体12として構成されている。なお、このプレス構造体12が本発明における「インパネリインフォースメント本体」に相当する。具体的には、プレス構造体12は、各々プレス成形によって構成されると共に断面形状が略L字状となるように形成された一方の部材としてのアッパ部材14と他方の部材としてのロア部材16の二部品で構成されている。
まず、インパネリインフォースメント10の構造について説明する。図1〜図3に示されるように、インパネリインフォースメント10は、対角線にて二分割された四角形断面のプレス構造体12として構成されている。なお、このプレス構造体12が本発明における「インパネリインフォースメント本体」に相当する。具体的には、プレス構造体12は、各々プレス成形によって構成されると共に断面形状が略L字状となるように形成された一方の部材としてのアッパ部材14と他方の部材としてのロア部材16の二部品で構成されている。
アッパ部材14は、四角形断面の上部側を構成しており、略車両前方側へ向けて配置された上面部18と、略車両下方側へ向けて配置された後面部20とを備えている。一方、ロア部材16は、四角形断面の下部側を構成しており、略車両上方側へ向けて配置された前面部22と、略車両後方側へ向けて配置された下面部24とを備えている。
前面部22の上端部はその面直角方向である略車両前方側へ直角に折り曲げられており、ロア側前方合わせフランジ部22Aとされている。ロア側前方合わせフランジ部22Aは、アッパ部材14の上面部18の前端部であるアッパ側前方合わせフランジ部18Aに上下に重ね合されており、この状態で両者がスポット溶接により接合されている(以下、ロア側前方合わせフランジ部22Aとアッパ側前方合わせフランジ部18Aとを区別する必要がない場合は、「前方合わせフランジ部26」と称す。)。
また、アッパ部材14の後面部20の下端部はその面直角方向である略車両後方側へ直角に折り曲げられており、アッパ側後方合わせフランジ部20Aとされている。アッパ側後方合わせフランジ部20Aは、ロア部材16の下面部24の後端部であるロア側後方合わせフランジ部24Aに上下に重ね合されており、この状態で両者がスポット溶接により接合されている(以下、ロア側後方合わせフランジ部24Aとアッパ側後方合わせフランジ部20Aとを区別する必要がない場合は、「後方合わせフランジ部28」と称す。)。これにより、断面形状が四角形状(正方形状)の閉断面部29を内部に有するプレス構造体12が形成されている。
上述したインパネリインフォースメント10の長手方向の両端部には図示しない取付ブラケットが取り付けられており、この取付ブラケットを介して左右一対のフロントピラーに締結固定されるようになっている。これにより、インパネリインフォースメント10が左右のフロントピラー間に架け渡されている。
<助手席用エアバッグ装置34の構成>
図1に示されるように、上述したインパネリインフォースメント10には、車両用内装材である樹脂製のインストルメントパネル30が取り付けられている。インストルメントパネル30の助手席側の内部には、インパネリインフォースメント10の車両前方側にHVAC(heating and ventilating air conditioning)32が配設されていると共に、インパネリインフォースメント10の車両後方側に助手席用エアバッグ装置34が配設されている。この助手席用エアバッグ装置34は、インパネリインフォースメント10の車両後方側に配置される所謂ミッドマウントタイプとされている。
図1に示されるように、上述したインパネリインフォースメント10には、車両用内装材である樹脂製のインストルメントパネル30が取り付けられている。インストルメントパネル30の助手席側の内部には、インパネリインフォースメント10の車両前方側にHVAC(heating and ventilating air conditioning)32が配設されていると共に、インパネリインフォースメント10の車両後方側に助手席用エアバッグ装置34が配設されている。この助手席用エアバッグ装置34は、インパネリインフォースメント10の車両後方側に配置される所謂ミッドマウントタイプとされている。
より具体的に説明すると、助手席用エアバッグ装置34は、機能部品が収納されたエアバッグモジュール36と、このエアバッグモジュール36を覆うエアバッグドア38と、によって構成されている。図2に拡大して示されるように、エアバッグモジュール36は、車両後方側が開放側となるように配置された金属製かつ箱体形状のモジュールケース40を備えている。モジュールケース40の内部には、前面衝突時又は前面衝突予知時に作動して大量のガスを発生させるインフレータ42と、折り畳まれた状態でモジュールケース40内に収納されてインフレータ42から噴出されたガスによって膨張展開する助手席用エアバッグ44とが収納されている。インフレータ42及び助手席用エアバッグ44は、モジュールケース40の底部を内側から貫通するスタッドボルト46にナット48が螺合されることにより、モジュールケース40の底部に固定(共締め)されている。なお、インフレータ42の軸芯部にはスクイブ(点火装置)が配設されており、図示しないエアバッグECUによってスクイブに所定電流が通電されることによりインフレータ42が作動するようになっている。
上記モジュールケース40の前後の側壁には、エアバッグドア取付用の金属製のフック50が所定の間隔で一体的に設けられている。一方、図1に示されるように、エアバッグドア38は、樹脂製のエアバッグドアリテーナ52を備えている。エアバッグドアリテーナ52は、インストルメントパネル30の裏面に配置される基部52Aと、この基部52Aの内周側からインパネリインフォースメント10側へ延出された前後一対の脚部52Bと、を含んで構成されている。前後一対の脚部52Bには係止孔54が形成されており、この係止孔54に前記フック50が係止されている。また、基部52Aの中央部には、助手席に着座した乗員側から見てH字状に形成された破断部56が形成されている。これにより、エアバッグドアリテーナ52の基部52Aには前後一対のドア部58が形成されている。さらに、前後一対ドア部58の上縁及び下縁には、断面形状がV字状とされたヒンジ部60が一体に形成されている。また、インストルメントパネル30の助手席側の裏面には、助手席に着座した乗員側から見てH字状に形成された破断部62が形成されている。なお、この破断部62は、実際には、助手席に着座した乗員からは見ることができない。このような助手席用エアバッグ装置34を「インビジブルタイプの助手席用エアバッグ装置」ということもある。
上述したモジュールケース40の底部には、助手席用エアバッグ装置34を車体側に取り付けるための金属製のブラケット64が取り付けられている。図2に示されるように、ブラケット64は、平面視でU字状に形成されており、車両前後方向に平行に延びる左右一対の腕部64Aと、これらの左右一対の腕部64Aの前端部同士を車両幅方向に連結する連結部64Bと、を備えている。左右一対の腕部64Aの基端部(後端部)は互いに離反する方向である車両幅方向へ屈曲されており、溶接又は締結等によりモジュールケース40に固定されている。また、連結部64Bは、その上面が前述したインパネリインフォースメント10のロア部材16の下面部24の下面に面接触するように傾斜されている。
<インパネリインフォースメント10への助手席用エアバッグ装置34の取付構造>
ここで、上述したインパネリインフォースメント10の対向する二面であるアッパ部材14の上面部18及びロア部材16の下面部24には、一対のボルト挿通孔66、68が同軸上に形成されている。アッパ部材14の上面部18の上面には、ボルト挿通孔66と同軸上にウエルドナット70が予め溶着されている。
ここで、上述したインパネリインフォースメント10の対向する二面であるアッパ部材14の上面部18及びロア部材16の下面部24には、一対のボルト挿通孔66、68が同軸上に形成されている。アッパ部材14の上面部18の上面には、ボルト挿通孔66と同軸上にウエルドナット70が予め溶着されている。
さらに、上記インパネリインフォースメント10の閉断面部29内には、カラー72が配設されている。カラー72は金属製の円筒状の部材として構成されている。図4A〜図4Cに示されるように、カラー72の軸方向寸法は、閉断面部29内に収まる寸法とされており、上面部18と下面部24の対向面間の距離よりも若干短く設定されている。また、カラー72の軸芯部にはボルト挿入孔74が形成されている。ボルト挿入孔74の内径は、インパネリインフォースメント10側に形成された一対のボルト挿通孔66、68の内径よりも若干大き目に設定されている。
また、カラー72の軸方向の一方の端部には、周方向に所定の間隔(本態様では120度間隔)で複数個(合計3個)の突起部76が一体に形成されている。但し、突起部76は、複数個設けられていればよく、3個以外でもよく、例えば180度間隔2個でもよいし、90度間隔で4個等でもよい。図4Bに示されるように、カラー72は、アッパ部材14とロア部材16とが接合される前に、予めアッパ部材14の上面部18の裏面に突起部76を当ててプロジェクション溶接されるようになっている。その後、図4Cに示されるように、アッパ部材14側に形成されたボルト挿通孔66及びカラー72のボルト挿入孔74とロア部材16側に形成されたボルト挿通孔68とが同軸上になるように位置決めしつつアッパ部材14とロア部材16とを重ね合せ、前方合わせフランジ部26及び後方合わせフランジ部28がそれぞれスポット溶接されている。従って、カラー72の軸方向の他方の端部は、ロア部材16側には接合されていない(非固定状態とされている)。なお、カラー72をアッパ部材14側に取り付けるか、ロア部材16側に取り付けるかは任意である。
上述したインパネリインフォースメント10のロア部材16のボルト挿通孔68が形成された位置に、助手席用エアバッグ装置34のブラケット64の連結部64Bに形成されたボルト挿通孔78を合わせて、図2に示されるように、ボルト80を連結部64Bの後方側からカラー72のボルト挿入孔74内へ通し、アッパ部材14に予め溶着されたウエルドナット70に螺合させることにより、助手席用エアバッグ装置34がインパネリインフォースメント10に取り付けられている。
(本態様の作用並びに効果)
次に、本態様の作用並びに効果について説明する。
次に、本態様の作用並びに効果について説明する。
本態様によれば、インパネリインフォースメント10はプレス成形によって形成されたアッパ部材14及びロア部材16の二部材を用いて断面形状が四角形の閉断面形状となるように構成される。ここで、本態様では、アッパ部材14に予め円筒状のカラー72の軸方向の一方の端部をプロジェクション溶接して固定しておき、その後にアッパ部材14とロア部材16とをスポット溶接して断面を閉じるようにしている。そして、助手席用エアバッグ装置34のブラケット64をロア部材16の下面部24に位置決めしながら当接させ、ボルト80をカラー72の軸心部のボルト挿入孔74内へ挿入し、ウエルドナット70に螺合させることにより、助手席用エアバッグ装置34をインパネリインフォースメント10に直接締結固定している。この状態では、インパネリインフォースメント10の対向する二面(アッパ部材14の上面部18とロア部材16の下面部24)間にカラー72が架け渡された構造になる。従って、インパネリインフォースメント10自体の強度及び剛性が上がり、助手席用エアバッグ装置34が作動したときの展開反力のような大きなが荷重が入力された際のインパネリインフォースメント10の断面崩れや座屈が生じ難くなる。
このように本態様によれば、インパネリインフォースメントをアルミニウム材料を用いて製作する場合に比し、インパネリインフォースメント10の強度及び剛性を高くすることができ、しかもインパネリインフォースメント10を安価に製作することができる。さらに、アルミニウム材料でインパネリインフォースメントを作る場合には表面強度を確保するために板厚を厚くする必要があったが、本態様によれば中空の閉断面部29内にカラー72を配置することによって充分な補強効果が得られるので、インパネリインフォースメント10を軽量化することができる。その結果、本態様によれば、助手席用エアバッグ装置34の展開時に作用する反力を支持するための強度及び剛性を確保することができ、しかもコスト及び重量を削減することができる。
また、本態様によれば、カラー72の軸方向の一方の端部がインパネリインフォースメント10のアッパ部材14の上面部18にプロジェクション溶接により予め接合したので、アッパ部材14とロア部材16とをスポット溶接で接合して断面を閉じる前に、カラー72の溶接状況を目視で確認することができる。従って、カラー72の溶接品質を良好に確保することができる。
さらに、本態様によれば、助手席用エアバッグ装置34が、インパネリインフォースメント10の車両後方側に配置されるミッドマウントタイプの助手席用エアバッグ装置とされているので、図5に示されるように、助手席用エアバッグ装置34をインパネリインフォースメント10の車両後方側から略水平に移動させてブラケット64をカラー72の配設位置まで運ぶことができる。このため、助手席用エアバッグ装置34の車両搭載性を向上させることができる。
なお、上記態様では、アッパ部材14とロア部材16とをスポット溶接したが、これに限らず、他の溶接方法により両者を接合してもよい。例えば、図6Aに示されるように、アッパ部材14とロア部材16の前方合わせフランジ部26(図6Aでは不図示)及び後方合わせフランジ部28をアーク溶接してもよいし、図6Bに示されるようにアッパ部材14とロア部材16の前方合わせフランジ部26(図6Bでは不図示)及び後方合わせフランジ部28をレーザー溶接してもよい。
また、上記態様では、円筒形状のカラー72の軸方向の一方の端部に複数の突起部76を形成してプロジェクション溶接したが、これに限らず、図7Aに示されるカラー82を用いてもよい。このカラー82では、プレス成形により、予め長方形の部材の長辺側に小突起84を形成すると共に直角に折り曲げておき、更に円筒状に曲げ加工することによりカラーが構成されている。図7Bに示されるように、アッパ部材14にカラー82をセットし、小突起84をスポット溶接することによりアッパ部材14にカラー82を先付けした後、図7Cに示されるように、アッパ部材14にロア部材16をスポット溶接することにより、プレス構造体12ひいてはインパネリインフォースメント10が構成される。この構成の場合、カラー82のアッパ部材14への接合及びアッパ部材14とロア部材との接合のすべてをスポット溶接で行うことができるというメリットがある。
〔第2の態様〕
以下、図8A及び図8Bを用いて、本発明に係る自動車のインパネリインフォースメント(インストルメントパネルリインフォースメント)を用いた助手席用エアバッグ装置の取付構造の第2の態様について説明する。なお、前述した第1の態様と同一の構成部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
以下、図8A及び図8Bを用いて、本発明に係る自動車のインパネリインフォースメント(インストルメントパネルリインフォースメント)を用いた助手席用エアバッグ装置の取付構造の第2の態様について説明する。なお、前述した第1の態様と同一の構成部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図8A及び図8Bに示されるように、この第2の態様では、カラー72をアッパ部材14にプロジェクション溶接するだけでなく、アッパ部材14とロア部材16との接合もプロジェクション溶接で行う点に特徴がある。このため、ロア部材16のロア側前方合わせフランジ部22A及びロア側後方合わせフランジ部24Aの各上面には、所定間隔で複数の突起部88がそれぞれ形成されている。
上記構成によれば、まず、図8Bに示されるように、カラー72が、アッパ部材14とロア部材16との間に配置される。このとき、アッパ部材14の上面部18に形成されたボルト挿通孔66とカラー72のボルト挿入孔74とロア部材16の下面部24に形成されたボルト挿通孔68とが、同軸上に配置されるようにカラー72がアッパ部材14及びロア部材16に対して位置決めされる。同時に、ロア部材16のロア側前方合わせフランジ部22Aの突起部88をアッパ部材14のアッパ側前方合わせフランジ部18Aの下面に当接させると共に、ロア部材16のロア側後方合わせフランジ部24Aの突起部88をアッパ部材14のアッパ側後方合わせフランジ部20Aの下面に当接させる。そして、カラー72とアッパ部材14の上面部18とをプロジェクション溶接すると共に、アッパ部材14とロア部材16とを多数点同時にプロジェクション溶接する。
このようにすれば、アッパ部材14、ロア部材16及びカラー72の三者を同時に(一度に)溶接することができる。その結果、溶接工程を短縮することができ、ひいてはコスト削減及び生産性の向上を図ることができる。
〔上記態様の補足説明〕
上述した態様では、長手方向に対して直交する方向に切断したときの断面形状がL字状とされたアッパ部材14を四角形断面の上部に配置し、同断面形状が略L字状とされたロア部材16を四角形断面の下部に配置したインパネリインフォースメント10としたが、これに限らず、メリットは減るが、他の断面構造を採用してもよい。例えば、アッパ部材14とロア部材16の前後の配置関係を逆にしてもよい。また、例えば、アッパ部材の断面形状を下方が開放されたU字状に形成し、当該アッパ部材の開放側端部を平板状のロア部材で閉止するような断面形状(対角線で二分割されていない四角形断面形状)にしてもよい。
上述した態様では、長手方向に対して直交する方向に切断したときの断面形状がL字状とされたアッパ部材14を四角形断面の上部に配置し、同断面形状が略L字状とされたロア部材16を四角形断面の下部に配置したインパネリインフォースメント10としたが、これに限らず、メリットは減るが、他の断面構造を採用してもよい。例えば、アッパ部材14とロア部材16の前後の配置関係を逆にしてもよい。また、例えば、アッパ部材の断面形状を下方が開放されたU字状に形成し、当該アッパ部材の開放側端部を平板状のロア部材で閉止するような断面形状(対角線で二分割されていない四角形断面形状)にしてもよい。
また、上述した態様では、平面視でU字状に形成されたブラケット64を用いたが、これに限らず、左右に分割して二部品のブラケットとしてもよい。その場合は、インパネリインフォースメント10の閉断面部29内にカラー72を左右一対設けることになる。
Claims (4)
- 車両のインストルメントパネルの内側に車両幅方向に沿って配置されると共に、プレス成形によって形成された二部材を用いて断面形状が四角形の閉断面形状となるように溶接され、更に前記四角形の対向する二面に一対のボルト挿通孔が同軸上に位置するように形成されたインパネリインフォースメント本体と、
軸芯部に形成された孔が前記一対のボルト挿通孔と同軸上に位置するように前記インパネリインフォースメント本体の閉断面内に配置されると共に、軸方向の一方の端部が前記対向する二面のうち一面に接合されたカラーと、
を有する自動車のインパネリインフォースメントを用い、
前記インストルメントパネルの助手席側に設けられた助手席用エアバッグ装置は、当該助手席用エアバッグ装置が備える車体への取付用のブラケットが前記インパネリインフォースメント本体の閉断面内に予め設けられた前記カラーを通じて締結されることにより、当該インパネリインフォースメント本体に直接固定されている、
自動車のインパネリインフォースメントを用いた助手席用エアバッグ装置の取付構造。 - 前記カラーの軸方向の一方の端部は、前記インパネリインフォースメント本体の一方の部材にプロジェクション溶接又はスポット溶接により接合されており、
かつ前記一方の部材と前記他方の部材とは、スポット溶接又はアーク溶接若しくはレーザー溶接により接合されている、
請求項1記載の自動車のインパネリインフォースメントを用いた助手席用エアバッグ装置の取付構造。 - 前記カラーの軸方向の一方の端部は、前記インパネリインフォースメント本体の一方の部材にプロジェクション溶接により接合されており、
かつ前記一方の部材と前記他方の部材とは、プロジェクション溶接により接合されている、
請求項1記載の自動車のインパネリインフォースメントを用いた助手席用エアバッグ装置の取付構造。 - 前記助手席用エアバッグ装置は、前記インパネリインフォースメントの車両後方側に配置されるミッドマウントタイプの助手席用エアバッグ装置である、
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の自動車のインパネリインフォースメントを用いた記載の助手席用エアバッグ装置の取付構造。
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