本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、車両前後方向をX方向、車幅方向をY方向、車両上下方向をZ方向と、定義する。そして、車両前後方向Xを基準としたときに、車幅方向Yは左右方向であり、車両上下方向Zは高さ方向である。なお、図1等において、車幅方向Yの矢印は、外側を向いている。
本発明の第1の実施の形態に係るサイドシル1及びサイドシル用補強部材40を、図1~図4に基づいて説明する。図1は、サイドシル1及びサイドシル用補強部材40の横断面すなわちサイドシル1及びサイドシル用補強部材40を車幅方向Y及び車両上下方向Zに切断したときの断面と当該断面からそれらが車両前後方向Xに延びる状態を示す斜視断面図である。図1では、サイドシルアウター10及びサイドシルインナー20は、二点鎖線で示されており、それらよりも内側に存在する部材は、実線で示されている。
サイドシル1は、フロアクロスメンバー等とともに車体(図示しない)の下部を構成するように配置され、車両フレームの一部として機能する部材である。サイドシル1は、車体の幅方向である車幅方向Yの左右両側の外側部にそれぞれ配置され、図示されないサイドドアの下方の高さ位置において車両前後方向Xに延びる。フロアクロスメンバーは車体右側のサイドシル1と車体左側のサイドシル1とを接続する。各サイドシル1のうち、車両前後方向Xの前側の部分にはAピラーの下端部が接続され、車両前後方向Xの後側の部分にはCピラーの下端部が接続され、車両前後方向Xの中間に位置する部分には車両上下方向Zに延びるBピラーの下端部が接続される。
サイドシル1は、サイドシルアウター10と、サイドシルインナー20と、支持部材30と、サイドシル用補強部材40と、を備える。
サイドシルアウター10及びサイドシルインナー20のそれぞれは、車両前後方向Xに延び、かつ車両前後方向Xに一様な断面を有する鋼板製の部材である。サイドシル1において、サイドシルアウター10及びサイドシルインナー20は車幅方向Yに向かい合って並ぶように配置されている。サイドシルアウター10は、車体の下部において車幅方向Yの最も外側の面を形成するように配置されている。サイドシルインナー20は、サイドシルアウター10よりも車幅方向Yの内側に配置されている。
サイドシルアウター10は、外側上フランジ部11と、外側下フランジ部12と、外側突出壁部13と、を備えている。
外側上フランジ部11は、車両前後方向Xに延びる平板状をなし、その法線方向が車幅方向Yと合致するように配置されている。外側下フランジ部12は、外側上フランジ部11の下方に配置されている。外側下フランジ部12は、車両前後方向Xに延びる平板状をなし、その法線方向が車幅方向Yを向くように配置されている。
外側突出壁部13は、外側上フランジ部11の下端部と外側下フランジ部12の上端部とを相互に車両上下方向Zに接続するように当該外側上フランジ部11と当該外側下フランジ部12との間に介在する。
外側突出壁部13は、外側上フランジ部11及び外側下フランジ部12よりも車幅方向Yの外側に向かって突出する形状を有する。外側突出壁部13は、その裏面が車幅方向Yの内側に開放される姿勢で配置されている。外側突出壁部13は、外側縦壁部13aと外側上壁部13bと外側下壁部13cとを有する。外側縦壁部13aは前記横断面において車両上下方向Zに延びる平板状をなす。すなわち、外側縦壁部13aは、車両前後方向X及び車両上下方向Zのそれぞれに対して平行である。外側上壁部13bは、外側縦壁部13aの上端と外側上フランジ部11の下端とを接続するように前記横断面において略車幅方向Yに延びる(この実施の形態では車幅方向Yの外側に向かうに従って下向きに変位するような斜め向きに延びる)平板状をなす。外側下壁部13cは、外側縦壁部13aの下端と外側下フランジ部12の上端とを接続するように前記横断面において略車幅方向Yに延びる平板状をなす。
サイドシルインナー20は、内側上フランジ部21と、内側下フランジ部22と、内側突出壁部23と、を備えている。
内側上フランジ部21は、車両前後方向Xに延びる略平板状をなし、その法線方向が車幅方向Yと合致し、かつ、外側上フランジ部11に対して車幅方向Yに対向するように配置されている。内側上フランジ部21は、後述する上側支持部材32の縦壁部32aの上部(符号なし)を収納するとともに外側上フランジ部11との間で縦壁部32aの上部を挟み込むための複数の凹部(符号なし)を有している。内側上フランジ部21における前記複数の凹部は、車両前後方向Xにおいて、後述する被接合閉断面構造の上壁部55aが有している複数の被接合部位に対応して、形成されている。
内側下フランジ部22は、内側上フランジ部21の下方に配置されている。内側下フランジ部22は、車両前後方向Xに延びる平板状をなし、その法線方向が車幅方向Yを向き、かつ、外側下フランジ部12に対して車幅方向Yに対向するように配置されている。
内側突出壁部23は、内側上フランジ部21の下端部と、内側下フランジ部22の上端部と、を相互に車両上下方向Zに接続するように当該内側上フランジ部21と当該内側下フランジ部22との間に介在する。内側突出壁部23は、内側上フランジ部21及び内側下フランジ部22よりも車幅方向Yの内側に向かって突出する形状を有する。
内側突出壁部23は、内側縦壁部23aと内側上壁部23bと内側下壁部23cとを有する。内側縦壁部23aは前記横断面において車両上下方向Zに延びる平板状をなす。すなわち、内側縦壁部23aは、車両前後方向及び車両上下方向のそれぞれに対して平行である。内側上壁部23bは、内側縦壁部23aの上端と内側上フランジ部21の下端とを接続するように前記横断面において車幅方向Yに延びる平板状をなす。内側下壁部23cは、内側縦壁部23aの下端と内側下フランジ部22の上端とを接続するように前記横断面において車幅方向Yに延びる平板状をなす。
サイドシルアウター10とサイドシルインナー20とは、外側上フランジ部11及び外側下フランジ部12がそれぞれ内側上フランジ部21及び内側下フランジ部22と車幅方向に対向するように互いに当該車幅方向に突き合わされた状態で、スポット溶接による複数のスポット溶接点Sにより接合されている。このようなサイドシルアウター10とサイドシルインナー20の対向配置により、外側突出壁部13と内側突出壁部23との間に内部空間Rが形成される。
サイドシル用補強部材40は、サイドシル1を補強するための部材であって、車体に対する側面衝突等により、サイドシルアウター10に対して車幅方向Yの内方に向かう荷重が加わった際に、サイドシルアウター10からサイドシルインナー20に前記荷重を伝達するとともに、当該サイドシル用補強部材40自身が当該荷重すなわち圧縮荷重を受けて圧壊することにより前記荷重によるエネルギーを吸収するように、内部空間R内に車幅方向Yに延びるように配置された部材である。
サイドシル用補強部材40は、補強部材本体42と、接合部材44と、を備える。
補強部材本体42は、サイドシル用補強部材40の本体をなすものであり、車幅方向Yに並ぶ複数の閉空間を内部に有するようにアルミニウム製の押出形材により一体に形成される部材である。なお、本明細書で、「アルミニウム製」とは、アルミニウム合金製を含み、アルミニウムを主たる材料とする金属で製造されることである。
補強部材本体42は、車幅方向Yに並び車幅方向Y及び車両上下方向Zに閉じた複数の閉断面構造50を有している。複数の閉断面構造50は、この実施の形態では4つの閉断面構造であって、車幅方向Yの外側から内側に向かって順に並ぶ、第1の閉断面構造51と、第2の閉断面構造52と、第3の閉断面構造53と、第4の閉断面構造54と、である。これにより、補強部材本体42は、車幅方向Yの内方に向かう荷重が加わった際に、当該荷重を受けて複数の閉断面構造50が圧壊することにより、前記荷重によるエネルギーを吸収することができる。
具体的に、補強部材本体42は、上側横壁42aと、下側横壁42bと、内側縦壁42cと、外側縦壁42dと、複数枚の中間縦壁42eと、を備える。
上側横壁42aは、車両前後方向X及び車幅方向Yに伸びる横壁である。下側横壁42
bは、車両前後方向X及び車幅方向Yに伸びる横壁であって、上側横壁112の下側に位置する横壁である。上側横壁42a及び下側横壁42bは、車両上下方向Zに間隔をあけて、互いに平行に配置されている。また、上側横壁42a及び下側横壁42bは、車幅方向Yに同じ長さを有している。
内側縦壁42cは、上側横壁42aの車幅方向Yの内側端と下側横壁42bの車幅方向Yの内側端とに接続され、車両前後方向X及び車両上下方向Zに伸びる縦壁である。外側縦壁42dは、上側横壁42aの車幅方向Yの外側端と下側横壁42bの車幅方向Yの外側端とに接続され、車両前後方向X及び車両上下方向Zに伸びる縦壁である。内側縦壁42c及び外側縦壁42dは、車幅方向Yに間隔をあけて、互いに平行に配置されている。また、内側縦壁42c及び外側縦壁42dは、車両上下方向Zに同じ長さを有している。
複数枚の中間縦壁42eは、車幅方向Yにおいて内側縦壁42cと外側縦壁42dとの間に配置され、上側横壁42aと下側横壁42bとに接続され、車両前後方向X及び車両上下方向Zに伸びる縦壁である。この実施の形態では、複数枚の中間縦壁42eは、3枚の中間縦壁を含む。すなわち、複数枚の中間縦壁42eは、車幅方向Yの外側から内側に向かって順に並ぶ、第1の中間縦壁42e1と第2の中間縦壁42e2と第3の中間縦壁42e3とを含む。
補強部材本体42は、上側横壁42aと下側横壁42bと内側縦壁42cと外側縦壁42dと第1の中間縦壁42e1と第2の中間縦壁42e2と第3の中間縦壁42e3とにより構成され、それらが一体化するようにアルミニウム製の押出形材により形成されている。
第1の閉断面構造51は、上側横壁42aと下側横壁42bと外側縦壁42dと第1の中間縦壁42e1とにより囲まれることにより構成されている。第2の閉断面構造52は、上側横壁42aと下側横壁42bと第1の中間縦壁42e1と第2の中間縦壁42e2とにより囲まれることにより構成されている。第3の閉断面構造53は、上側横壁42aと下側横壁42bと第2の中間縦壁42e2と第3の中間縦壁42e3とにより囲まれることにより構成されている。第4の閉断面構造54は、上側横壁42aと下側横壁42bと第3の中間縦壁42e3と内側縦壁42cとにより囲まれることにより構成されている。
複数の閉断面構造50は、接合部材44を介して支持部材30に接合される被接合閉断面構造を有している。被接合閉断面構造は、複数の閉断面構造50の中から選ばれる閉断面構造である。被接合閉断面構造についての詳細な説明は、後述する。
また、補強部材本体42は、外側端部と、内側端部と、を有する。外側端部は、補強部材本体42の車幅方向Yの外側端部であって、外側縦壁42dにより構成されている。外側端部は、サイドシルアウター10の外側縦壁部13aに近接しまたは接触される。内側端部は、補強部材本体42の車幅方向Yの内側端部であって、内側縦壁42cにより構成されている。内側端部は、サイドシルインナー20の内側縦壁部23aに近接しまたは接触される。
接合部材44は、鋼製の部材であり、補強部材本体42の上側横壁42a及び下側横壁42bのうちの少なくとも一方を貫通することによって、貫通する上側横壁42a及び下側横壁42bのうちの少なくとも一方にかしめられて留められる部材である。接合部材44は、例えば、円柱状の部材である。接合部材44と被接合閉断面構造との関係は、後述する。
支持部材30は、サイドシル用補強部材40を内部空間R内で支持する部材である。支持部材30は、鋼板製の板状部材である。支持部材30は、第1の実施の形態では、サイドシルアウター10に接続される。支持部材30は、上側支持部材32と、下側支持部材34と、を有する。
上側支持部材32は、サイドシル用補強部材40の車両上下方向Zの上側に配置され、サイドシル用補強部材40を吊り下げるように上側から支持する部材である。上側支持部材32は、縦壁部32aと、横壁部32bと、を有する。縦壁部32aは、サイドシルアウター10の外側上フランジ部11とサイドシルインナー20の内側上フランジ部21の凹部との間に挟み込まれてスポット溶接点Sにより外側上フランジ部11及び内側上フランジ部21に接合されるとともに、スポット溶接点Sから車両上下方向Zに上側横壁42aの上面まで延びる部分である。横壁部32bは、縦壁部32aの下端縁から上側横壁42aに沿って車幅方向Yに延び、上側横壁42aに貫通することによってかしめられて留められている接合部材44にスポット溶接点Sにより接合される部分である。詳細には、横壁部32bは、被接合閉断面構造の後述する上壁部55aに設定される被接合部位に貫通することによってかしめられて留められている接合部材44に接合される部分である。すなわち、横壁部32bの下面は、接合部材44に接合されるための接合面を構成する。上側支持部材32は、スポット溶接用電極端子SWが横壁部32bに当接することを可能としている。
下側支持部材34は、サイドシル用補強部材40の車両上下方向Zの下側に配置され、サイドシル用補強部材40を下側から支持する部材である。下側支持部材34は、底部34cと、縦壁部34bと、頂部34aと、を有する。底部34cは、サイドシルアウター10の外側下壁部13cにスポット溶接点Sにより接合される部分である。底部34cは、外側下壁部13cに平行な2つの平板状部分からなり、図1に示されるように、車両前後方向Xに間隔をあけて並んでいる。縦壁部34bは、底部34cから車両上下方向Zに下側横壁42bの下面まで延びる部分である。縦壁部34bは、車両上下方向Z及び車幅方向Yに平行な2つの平板状部分からなり、車両前後方向Xに間隔をあけて並んでいる。縦壁部34bの2つの平板状部分は、それぞれ底部34cの2つの平板状部分に接続されている。頂部34aは、下側横壁42bに平行な平板状部分からなり、縦壁部34bの2つの平板状部分を跨ぐように縦壁部34bに接続されている。頂部34aは、下側横壁42bに貫通することによってかしめられて留められている接合部材44にスポット溶接点Sにより接合される部分である。詳細には、頂部34aは、被接合閉断面構造の後述する下壁部55bに設定される被接合部位に貫通することによってかしめられて留められている接合部材44に接合される部分である。すなわち、頂部34aの上面は、接合部材44に接合されるための接合面を構成する。下側支持部材34は、車幅方向Yから見て、2つの平板状部分からなる縦壁部34bの間に空間を有しており、底部34cに塞がれることなく下方を開口している形状に形成されている。下側支持部材34は、この空間に下方からスポット溶接用電極端子SWを挿入されることにより、スポット溶接用電極端子SWが頂部34aに当接することを可能としている。
被接合閉断面構造は、接合部材44を介して支持部材30に接合される閉断面構造である。被接合閉断面構造は、第1の実施の形態では、第2の閉断面構造52である。被接合閉断面構造は、上壁部55aと、下壁部55bと、を有する。
上壁部55aは、被接合閉断面構造の上辺を画定する部分であり、上側横壁42aのうちの被接合閉断面構造を形成する部分である。上壁部55aは、図1に示すように、被接合閉断面構造の上辺面部を形成するように、車両前後方向Xに延びている。
下壁部55bは、被接合閉断面構造の下辺を画定する部分であり、下側横壁42bのうちの被接合閉断面構造を形成する部分である。下壁部55bは、図1に示すように、被接合閉断面構造の下辺面部を形成するように、車両前後方向Xに延びている。
図1及び図2に示されるように、補強部材本体42のII-II断面において、上壁部55aには、挿通穴72が形成されている。
すなわち、補強部材本体42のII-II断面位置において、上壁部55aは、挿通穴72が形成されるための部位である挿通穴形成部位(符号なし)を有している。挿通穴形成部位は、II-II断面位置における上壁部55aにおいて、挿通穴72の周縁部である。
図1及び図2に示されるように、補強部材本体42のII-II断面において、下壁部55bには、接合部材44が貫通することによってかしめられて留められている。
すなわち、補強部材本体42のII-II断面位置において、下壁部55bは、接合部材44が貫通することによってかしめられて留められるための部位である被接合部位(符号なし)を有している。被接合部位は、II-II断面位置における下壁部55bにおいて、接合部材44の周縁部であり、支持部材30の接合面と接触して、支持部材に支持される部位である。
図1及び図3に示されるように、補強部材本体42のIII-III断面において、上壁部55aには、接合部材44が貫通することによってかしめられて留められている。
すなわち、補強部材本体42のIII-III断面位置において、上壁部55aは、接合部材44が貫通することによってかしめられて留められるための部位である被接合部位(符号なし)を有している。被接合部位は、III-III断面位置における上壁部55aにおいて、接合部材44の周縁部であり、支持部材30の接合面と接触して、支持部材に支持される部位である。
図1及び図3に示されるように、補強部材本体42のIII-III断面において、下壁部55bには、挿通穴72が形成されている。
すなわち、補強部材本体42のIII-III断面位置において、下壁部55bは、挿通穴72が形成されるための部位である挿通穴形成部位(符号なし)を有している。挿通穴形成部位は、III-III断面位置における下壁部55bにおいて、挿通穴72の周縁部である。
挿通穴形成部位は、補強部材本体42のII-II断面位置においても、III-III断面位置においても、被接合部位に車両上下方向Zに向かい合う位置に配置されている。
そして、それぞれの挿通穴形成部位に形成されている挿通穴72は、スポット溶接を行うためのスポット溶接用電極端子SWが挿通されることによってそれぞれの被接合部位に到達することを許容する位置に配置されている。
さらに、それぞれの挿通穴形成部位に形成されている挿通穴72は、スポット溶接用電極端子SWが挿通可能な大きさを有している。
詳細には、図4に示すように、II-II断面位置においては、上壁部55aに配置される挿通穴形成部位に形成される挿通穴72は、車両上下方向Zの上側から下向きにスポット溶接用電極端子SWが挿通することを可能とする。さらに、当該挿通穴72は、挿通したスポット溶接用電極端子SWが、下壁部55bに配置される被接合部位に留められている接合部材44に、下向きに当接することを可能とする。
この際、下壁部55bに配置される被接合部位に留められている接合部材44に下側から接触している下側支持部材34の頂部34aのさらに下側からも、もう1つのスポット溶接用電極端子SWが、下側支持部材34の縦壁部34bの間の空間を通って、頂部34aに上向きに当接する。
同様に、図示していないが、III-III断面位置においても、下壁部55bに配置される挿通穴形成部位に形成される挿通穴72は、車両上下方向Zの下側から上向きにスポット溶接用電極端子SWが挿通することを可能とする。さらに、当該挿通穴72は、挿通したスポット溶接用電極端子SWが、上壁部55aに配置される被接合部位に留められている接合部材44に、上向きに当接することを可能とする。
そして、上壁部55aに配置される被接合部位に留められている接合部材44に上側から接触している上側支持部材32の横壁部32bのさらに上側からも、もう1つのスポット溶接用電極端子SWが、横壁部32bに下向きに当接する。
このようにして、それぞれの位置の挿通穴形成部位に形成された挿通穴72を通じて、車両上下方向Zの上下に位置する2つのスポット溶接用電極端子SWに挟み込まれて、鋼製の接合部材44と鋼製の支持部材30とがスポット溶接で接合される。
上記のような、挿通穴形成部位と被接合部位との配置関係は、すなわち、挿通穴72と接合部材44との配置関係は、II-II断面位置及びIII-III断面位置のみに限定されず、図1に示すように、被接合閉断面構造の車両前後方向Xに延びる上壁部55a及び下壁部55bにおいて、車両前後方向Xに渡って、同じである。
すなわち、被接合部位は、被接合閉断面構造において、車両前後方向Xに間隔をあけて並ぶ複数の被接合部位を含む。
複数の被接合部位は、上側支持部材32に接合される接合部材44が留められる複数の上側被接合部位と、下側支持部材34に接合される接合部材44が留められる複数の下側被接合部位と、を含む。
挿通穴形成部位は、被接合閉断面構造において、車両前後方向Xに間隔をあけて並ぶ複数の挿通穴形成部位を含む。
複数の挿通穴形成部位は、前記複数の上側被接合部位にそれぞれ向かい合うように配置された複数の下側挿通穴形成部位と、前記複数の下側被接合部位にそれぞれ向かい合うように配置された複数の上側挿通穴形成部位と、を含む。
詳細には、複数の被接合部位は、図1に示すように、車両前後方向Xに間隔をあけて、上壁部55aと下壁部55bとに交互に配置されている。上壁部55aに配置される複数の被接合部位は、複数の上側被接合部位である。下壁部55bに配置される複数の被接合部位は、複数の下側被接合部位である。
同様に、複数の挿通穴形成部位は、図1に示すように、車両前後方向Xに間隔をあけて、上壁部55aと下壁部55bとに交互に配置されている。上壁部55aに配置される複数の挿通穴形成部位は、複数の上側挿通穴形成部位である。下壁部55bに配置される複数の挿通穴形成部位は、複数の下側挿通穴形成部位である。
言い換えれば、前記複数の上側被接合部位及び前記複数の下側被接合部位は、前記車両前後方向において交互に配置されている。
同様に、前記複数の上側挿通穴形成部位及び前記複数の下側挿通穴形成部位は、前記車両前後方向において交互に配置されている。
そして、被接合閉断面構造の上壁部55aは、前記複数の上側被接合部位を有する上側被接合壁部と前記複数の上側挿通穴形成部位を有する上側挿通壁部とを構成している。
同様に、被接合閉断面構造の下壁部55bは、前記複数の下側被接合部位を有する下側被接合壁部と前記複数の下側挿通穴形成部位を有する下側挿通壁部とを構成している。
そして、上壁部55aと下壁部55bとに交互に配置されている複数の被接合部位に留められている接合部材44には、それぞれ交互に上側支持部材32と下側支持部材34とがスポット溶接で接合されている。
これによって、サイドシル用補強部材40は、車両前後方向Xに間隔をあけて交互に上側支持部材32と下側支持部材34とに内部空間R内に支持されている。
次に、第1の実施の形態に係るサイドシル1の製造方法を説明する。
サイドシル1の製造方法は、準備工程と、挿通穴形成工程と、接合部材かしめ工程と、接合部材接合工程と、支持部材接合工程と、サイドシル接合工程と、を含む。
準備工程は、鋼製のサイドシルアウター10と、鋼製のサイドシルインナー20と、アルミニウム製の補強部材本体42と、複数の鋼製の上側支持部材32及び下側支持部材34と、複数の鋼製の接合部材44と、を準備する工程である。
挿通穴形成工程は、補強部材本体42の被接合閉断面構造において、上壁部55aの一部が構成する上側挿通壁部と下壁部55bの一部が構成する下側挿通壁部とに、それぞれ設けられている挿通穴形成部位に、挿通穴72を形成する工程である。
接合部材かしめ工程は、補強部材本体42の被接合閉断面構造において、上壁部55aの一部が構成し下側挿通壁部に車両上下方向Zに向かい合う上側被接合壁部と下壁部55bの一部が構成し上側挿通壁部に車両上下方向Zに向かい合う下側被接合壁部とに、それぞれ設けられている被接合部位に、各接合部材44を貫通させてかしめる工程である。なお、この時、接合部材44を被接合壁部に直接打ち込んで貫通させてかしめる工程を行ってもよいし、被接合壁部に先に接合部材44に適合する穴を穿孔し当該穴に接合部材44を嵌め込むようにして接合部材44を被接合壁部に貫通させてかしめる工程を行ってもよい。また、この時、接合部材44を、挿通穴72を通して被接合閉断面構造の内側から、被接合壁部に貫通させてかしめる工程を行ってもよいし、挿通穴72を通さずに被接合閉断面構造の外側から、被接合壁部に貫通させてかしめる工程を行ってもよい。
接合部材接合工程は、スポット溶接用電極端子SWを複数の挿通穴72に挿通し複数の鋼製の支持部材30と複数の鋼製の接合部材44とをスポット溶接により接合する工程である。
具体的には、接合部材接合工程は、次のとおりの工程を含む。すなわち、上述しているが、図4に示すように、上壁部55aに配置される挿通穴形成部位に形成される挿通穴72には、車両上下方向Zの上側から下向きにスポット溶接用電極端子SWが挿通される。そして、当該挿通穴72を挿通したスポット溶接用電極端子SWが、下壁部55bに配置される被接合部位に留められている接合部材44に、下向きに当接する。この際、下壁部55bに配置される被接合部位に留められている接合部材44に下側から接触している下側支持部材34の頂部34aのさらに下側からも、もう1つのスポット溶接用電極端子SWが、下側支持部材34の縦壁部34bの間の空間を通って、頂部34aに上向きに当接する。これによって、鋼製の当該接合部材44と鋼製の当該下側支持部材34とを、2つのスポット溶接用電極端子SWで車両上下方向Zに挟み込んで、スポット溶接により接合する工程を行う。
さらに、接合部材接合工程は、次のとおりの工程を含む。すなわち、他の挿通穴形成部位に形成されている挿通穴72においても、当該挿通穴72を通じて、当該挿通穴形成部位に向かい合う被接合部位に留められている接合部材44と支持部材30、例えばIII-III断面位置の上側支持部材32とを、2つのスポット溶接用電極端子SWで車両上下方向Zに挟み込んで、スポット溶接により接合する工程を行う。
支持部材接合工程は、複数の鋼製の支持部材30を鋼製のサイドシルアウター10に接合する工程である。
具体的には、支持部材接合工程は、複数の下側支持部材34の底部34cをサイドシルアウター10の外側下壁部13cに、それぞれの下側支持部材34の頂部34aがそれぞれの前記下側被接合部位にかしめられて留められている接合部材44に接触するように位置決めして、スポット溶接で接合する工程を含む。
同様に、支持部材接合工程は、複数の上側支持部材32の縦壁部32aをサイドシルアウター10の外側上フランジ部11に、それぞれの上側支持部材32の横壁部32bがそれぞれの前記上側被接合部位にかしめられて留められている接合部材44に接触するように位置決めして、スポット溶接で接合する工程を含む。
上記の準備工程、挿通穴形成工程、接合部材かしめ工程、接合部材接合工程、及び、支持部材接合工程を行うことにより、図5に示すように、アルミニウム製の補強部材本体42、複数の鋼製の接合部材44、複数の鋼製の支持部材30及び鋼製のサイドシルアウター10が接合によって一体化した中間体100が製造される。
サイドシル接合工程は、この中間体100における車両上下方向Zの両側端縁すなわち外側上フランジ部11及び外側下フランジ部12を、サイドシルインナー20の車両上下方向Zの両側端縁すなわち内側上フランジ部21及び内側下フランジ部22に、それぞれ車幅方向Yに重ね合わせて、スポット溶接により接合する工程である。
最後に、サイドシル接合工程が行われることにより、サイドシル1は、製造される。
なお、第1の実施の形態に係るサイドシル1の製造方法において、支持部材接合工程と接合部材接合工程とは、いずれの工程を先にして行われてもよいし、同時に行われてもよい。
第1の実施の形態に係るサイドシル1及びサイドシル用補強部材40、並びに、サイドシル1の製造方法による作用効果を説明する。
サイドシル1及びサイドシル用補強部材40、並びに、サイドシル1の製造方法によれば、複数の鋼製の接合部材44と複数の鋼製の支持部材30とが、同種金属材料であることから、スポット溶接により互いに接合されることができる。すなわち、アルミニウム製の補強部材本体42に貫通することによってかしめられて留められた複数の鋼製の接合部材44を介することによって、アルミニウム製の補強部材本体42と複数の鋼製の支持部材30とがスポット溶接により一体的に接合されることができる。
すなわち、サイドシル1及びサイドシル用補強部材40、並びに、サイドシル1の製造方法によれば、サイドシル用補強部材40と鋼製の支持部材30とをスポット溶接で接合することができる。
さらに、スポット溶接の際に複数の鋼製の接合部材44に当接するためのスポット溶接用電極端子SWは、複数の挿通穴形成部位に形成された複数の挿通穴72を挿通して、複数の挿通穴形成部位のそれぞれに向かい合う複数の被接合部位に到達し、複数の被接合部位に貫通してかしめられて留められた複数の鋼製の接合部材44に当接することができる。
さらに、サイドシル用補強部材40を備えるサイドシル1において、側面衝突があった場合にその衝撃エネルギーを、車幅方向Yに並ぶ複数の閉空間をそれぞれ囲む複数の閉断面構造50が順に圧壊することにより、効率的に吸収することができる。
さらに、被接合閉断面構造の任意の横断面例えばII-II断面やIII-III断面において、上壁部55a及び下壁部55bのうちの一方に挿通穴72が形成されることにより当該一方側の強度を低下していたとしても、上壁部55a及び下壁部55bのうちの他方にかしめられて留められる鋼製の接合部材44を介して鋼製の支持部材30の接合面が接合されて、当該被接合閉断面構造は、当該支持部材30に補強される。
さらに、サイドシル用補強部材40は、車両前後方向Xにおいて間隔をあけて複数の支持部材30に支持されることができる。したがって、車両フレームの一部であり大きな強度を必要とするサイドシル1において、強度及び剛性を有する鋼製の複数の支持部材30に支持されることにより、サイドシル用補強部材40は、サイドシル1の強度を向上させることができる。さらに、サイドシル用補強部材40によれば、サイドシル用補強部材40と同じ長さで車両前後方向Xに延びる1つの支持部材で支持される場合に比べて、サイドシル1全体の重量を軽減することができる。
さらに、サイドシル用補強部材40が車幅方向Yの最外側に位置する第1の閉断面構造51と車幅方向Yの最内側に位置する第4の閉断面構造54の間に位置する第2の閉断面構造52である被接合閉断面構造において複数の前記被接合部位及び複数の前記挿通穴形成部位を有しているので、車両フレームの一部であり大きな強度を必要とするとともに側面衝突の衝撃エネルギーを変形によって吸収するためのサイドシル1において、サイドシル用補強部材40は、車幅方向Yの略中間位置において複数の支持部材30によって支持されることができる。これにより、サイドシル用補強部材40は、車幅方向Yの端部側で支持される場合に比べて姿勢変化を抑制することができる。したがって、サイドシル用補強部材40は、側面衝突時に衝撃エネルギーを吸収するとともに、サイドシル1の強度を向上させることができる。さらに、サイドシル1の製造工程のうちの中間体100の製造工程においても、サイドシル用補強部材40の姿勢が安定するため、サイドシル用補強部材40を備えるサイドシル1を製造することが容易になる。
さらに、サイドシル用補強部材40は、上側支持部材32及び下側支持部材34に接合されていることとなり、内部空間R内において、上下から支持されることができる。したがって、車両フレームの一部であり大きな強度を必要とするサイドシル1において、車両前後方向X又は車幅方向Yの内方に向かう荷重が入力されても、サイドシル用補強部材40は、車両上下方向Zの片側から支持される場合に比べてその姿勢変化を抑制することができる。したがって、サイドシル用補強部材40は、車両前後方向X又は車幅方向Yの内方に向かう荷重に対する強度として、サイドシル1の強度を向上させることができる。
さらに、被接合閉断面構造において、上壁部55aは、前記複数の上側挿通穴形成部位において挿通穴72が形成されるとともに前記複数の上側被接合部位において接合部材44を介して上側支持部材32が接合されているので、挿通穴72により車幅方向の強度が低下したとしても上側支持部材32により強度を向上させられていることにより、車幅方向の荷重が入力されても、全体として強度の低下を生じない。
同様に、被接合閉断面構造において、下壁部55bは、前記複数の下側挿通穴形成部位において挿通穴72が形成されるとともに前記複数の下側被接合部位において接合部材44を介して下側支持部材34が接合されているので、挿通穴72により車幅方向の強度が低下したとしても下側支持部材34により強度を向上させられていることにより、車幅方向の荷重が入力されても、全体として強度の低下を生じない。
さらに、サイドシル用補強部材40は、内部空間R内において、上側支持部材32と下側支持部材34とによって、上下から交互に支持されることができる。したがって、車両フレームの一部であり大きな強度を必要とするサイドシル1において、車両前後方向X又は車幅方向Yの内方に向かう荷重が入力されても、サイドシル用補強部材40は、車両上下方向Zの片側から支持される場合に比べてその姿勢変化をより抑制することができる。したがって、サイドシル用補強部材40は、車両前後方向X又は車幅方向Yの内方に向かう荷重に対する強度として、サイドシル1の強度をより向上させることができる。
さらに、サイドシル用補強部材40の複数の閉断面構造50は、上側横壁42aと下側横壁42bと外側縦壁42dと中間縦壁42eと内側縦壁42cとにより形成されるので、車幅方向Yに方形の閉断面構造が並ぶこととなり、車幅方向Yの内方に向かう荷重を受けた場合に、車幅方向Yの外側に位置する閉断面構造すなわち第1の閉断面構造51から内側の閉断面構造すなわち第4の閉断面構造54にかけて順に圧壊しやすくなる。また、当該場合に、車幅方向Yに延びる上側横壁42a及び下側横壁42bが、当該荷重を真っすぐに受け止めることができる。したがって、車両フレームの一部であり大きな強度を必要とするとともに側面衝突の衝撃エネルギーを変形によって吸収するためのサイドシル1において、サイドシル用補強部材40を備えるサイドシル1は、車幅方向Yに大きな強度を有するとともに側面衝突の衝撃エネルギーを効率的に吸収することができる。
さらに、サイドシル1の製造方法によれば、スポット溶接用電極端子SWを複数の挿通穴72に挿通し複数の鋼製の支持部材30と複数の鋼製の接合部材44とをスポット溶接により接合する工程を含んでいるので、被接合閉断面構造が囲む閉空間の内側からスポット溶接用電極端子SWを鋼製の接合部材44に当てて、鋼製の接合部材44と鋼製の支持部材30とをスポット溶接することができる。これにより、アルミニウム製の補強部材本体42と鋼製の支持部材30とがスポット溶接により一体的に接合されることができる。
さらに、サイドシル1の製造工程において、図5に示すように、アルミニウム製の補強部材本体42、複数の鋼製の接合部材44、複数の鋼製の支持部材30及び鋼製のサイドシルアウター10が接合によって一体化した中間体100を製造することができる。そして、中間体100の製造の後、中間体100とサイドシルインナー20とを車両上下方向Zの互いの端縁で接合する工程を行うので、サイドシルアウター10及びサイドシルインナー20によって形成される内部空間R内に配置されるべきサイドシル用補強部材40及び支持部材30を、サイドシルアウター10とサイドシルインナー20とを接合した後に配置する場合の製造困難性を解消し、製造効率を向上させることができる。
本発明は、サイドシルアウター10に支持部材30が接合されるものに限定されず、サイドシルインナー20に支持部材30が接合されるものも含む。
さらに、本発明は、被接合閉断面構造が複数の閉断面構造50のうちの最内側の閉断面構造及び最外側の閉断面構造を除く閉断面構造であるものに限定されない。例えば、本発明は、被接合閉断面構造が第4の閉断面構造54であるものを含む。
このことを説明するために、本発明の第2の実施の形態に係るサイドシル1A及びサイドシル用補強部材40Aを、図6~図8に基づいて説明する。図6では、サイドシルアウター10及びサイドシルインナー20は、二点鎖線で示されており、それらよりも内側に存在する部材は、実線で示されている。なお、以下の説明において、第1の実施の形態に係る構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略するものとし、異なる構成要素について主に説明を行う。
サイドシル1Aは、支持部材30Aと、サイドシル用補強部材40Aと、接着剤80と、を備える。
サイドシル用補強部材40Aは、第1の実施の形態に係るサイドシル用補強部材40と基本的な構成を同一とするが、被接合閉断面構造が第4の閉断面構造54であるように構成されている点で、サイドシル用補強部材40と異なる構成を有している。
すなわち、サイドシル用補強部材40Aは、補強部材本体42Aと、接合部材44と、を備える。
補強部材本体42Aは、複数の閉断面構造50を有している。
複数の閉断面構造50は、接合部材44を介して支持部材30Aに接合される被接合閉断面構造を有している。
被接合閉断面構造は、第2の実施の形態では、第4の閉断面構造54である。
支持部材30Aは、第1の実施の形態に係る支持部材30と基本的な構成を同一とするが、サイドシルインナー20に接合されている点で、支持部材30と異なる構成を有している。
具体的には、支持部材30Aは、上側支持部材32Aと、下側支持部材34Aと、を有する。
上側支持部材32Aは、縦壁部32Aaと横壁部32Abとを有する。縦壁部32Aaは、サイドシルインナー20の内側縦壁部23aにスポット溶接点Sにより接合されている。横壁部32Abは、補強部材本体42Aの第4の閉断面構造54すなわち被接合閉断面構造の上壁部55aに設定されている被接合部位に貫通することによってかしめられて留められている接合部材44にスポット溶接によるスポット溶接点Sにより接合されている。
下側支持部材34Aは、底部34Acと、縦壁部34Abと、頂部34Aaと、を有する。底部34Acは、サイドシルインナー20の内側下壁部23cにスポット溶接点Sにより接合される部分である。縦壁部34Abは、第1の実施の形態に係る縦壁部34bと同一の構成を有している。頂部34Aaは、第4の閉断面構造54すなわち被接合閉断面構造の下壁部55bに設定されている被接合部位に貫通することによってかしめられて留められている接合部材44にスポット溶接によるスポット溶接点Sにより接合されている。
したがって、サイドシル用補強部材40Aは、支持部材30Aのみによる支持では、車幅方向Yの内側端部近傍を支持されている片持ち梁に近い状態となる。
そこで、サイドシル用補強部材40Aは、車幅方向Yの内側端部と反対側に位置する補強部材本体42Aの外側端部である外側縦壁42dとサイドシルアウター10の外側縦壁部13aとの間を接着剤80で接着されていることが好ましい。これにより、サイドシル用補強部材40Aは、車幅方向Yの両側端部を支持されることとなり、安定化する。接着剤80は、外側縦壁42dと外側縦壁部13aとの間において車両前後方向Xに全面に渡って塗布されていてもよいが、サイドシル用補強部材40Aの姿勢の安定化に必要な程度塗布されていればよく、例えば、図6及び図8に示すように、上側支持部材32Aの車両前後方向Xの位置と同じくする位置に塗布されていてもよい。ただし、接着剤80は、第2の実施の形態に係るサイドシル1Aが本発明に含まれるにあたって、必須の構成要素ではない。
次に、第2の実施の形態に係るサイドシル1Aの製造方法を説明する。
サイドシル1Aの製造方法は、第1の実施の形態に係るサイドシル1の製造方法と、基本的な工程を同一とするが、支持部材接合工程と接合部材接合工程とにおいて異なる点を有しており、さらに、後述する接着工程をさらに含む点で異なっている。
第2の実施の形態に係る支持部材接合工程は、複数の鋼製の支持部材30を、鋼製のサイドシルアウター10ではなく、鋼製のサイドシルインナー20に接合するという点で異なっている。
具体的には、第2の実施の形態に係る支持部材接合工程は、複数の下側支持部材34Aの底部34Acをサイドシルインナー20の内側下壁部23cに、それぞれの下側支持部材34Aの頂部34Aaがそれぞれの下側被接合部位にかしめられて留められている接合部材44に接触するように位置決めして、スポット溶接で接合する工程を含む。
同様に、支持部材接合工程は、複数の上側支持部材32Aの縦壁部32Aaをサイドシルインナー20の内側縦壁部23aに、それぞれの上側支持部材32Aの横壁部32Abがそれぞれの上側被接合部位にかしめられて留められている接合部材44に接触するように位置決めして、スポット溶接で接合する工程を含む。
第2の実施の形態に係る接合部材接合工程は、第2の閉断面構造52ではなく、第4の閉断面構造54である被接合閉断面構造において行われるという点で異なっている。
すなわち、第2の実施の形態に係る接合部材接合工程では、第4の閉断面構造54である被接合閉断面構造の上壁部55a及び下壁部55bに配置される挿通穴形成部位に形成される挿通穴72にスポット溶接用電極端子SWが挿通される。そして、当該挿通穴72を挿通したスポット溶接用電極端子SWが、第4の閉断面構造54である被接合閉断面構造の上壁部55a及び下壁部55bに配置される被接合部位に留められている接合部材44に、当接する。
さらに、サイドシル1Aの製造方法は、補強部材本体42Aの外側縦壁42dとサイドシルアウター10の外側縦壁部13aとの間を接着剤80で接着する工程(以下、「接着工程」という。)を含む。
なお、第2の実施の形態に係るサイドシル1Aの製造方法においても、支持部材接合工程と接合部材接合工程とは、いずれの工程を先にして行われてもよいし、同時に行われてもよい。さらに、第2の実施の形態に係るサイドシル1Aの製造方法において、接着工程は、サイドシル接合工程の前に行われてもよいし、サイドシル接合工程と同時に行われてもよい。
第2の実施の形態に係るサイドシル1A及びサイドシル用補強部材40A、並びに、サイドシル1Aの製造方法による作用効果は、第2の閉断面構造52が被接合閉断面構造であることによるものを除いて、第1の実施の形態に係るサイドシル1及びサイドシル用補強部材40、並びに、サイドシル1の製造方法による作用効果と同一である。
さらに、第2の実施の形態に係るサイドシル1A及びサイドシル用補強部材40A、並びに、サイドシル1Aの製造方法によれば、次のような作用効果を奏する。
接着剤80又は接着工程により、車両フレームの一部であり大きな強度を必要とするとともに側面衝突の衝撃エネルギーを変形によって吸収するためのサイドシル1Aにおいて、サイドシル用補強部材40Aは、車幅方向Yの内側端部近傍を複数の支持部材30によって支持され、車幅方向Yの外側端部を接着剤80を介してサイドシルアウター10に支持されることができる。これにより、サイドシル用補強部材40は、側面衝突時に、その姿勢変化を抑制することができる。したがって、サイドシル用補強部材40は、側面衝突時に衝撃エネルギーを吸収するとともに、サイドシル1Aの強度を向上させることができる。
本発明は、上記の2つの実施の形態に限定されず、様々な変更が許容される。
例えば、本発明は、1つの被接合部位に1つの接合部材が貫通することによってかしめられて留められているものに限定されず、1つの被接合部位に複数の接合部材が貫通することによってかしめられて留められているものを含む。
また、本発明は、サイドシル用補強部材を支持部材が下側及び上側の両方から支持するものに限定されず、サイドシル用補強部材を支持部材が下側及び上側の一方のみから支持するものを含む。
さらに、本発明は、支持部材の形状が上記に記載された形状に限定されず、支持部材の形状がサイドシルアウター及びサイドシルインナーの少なくとも一方とサイドシル用補強部材とを連係するような形状で形成されているものも含む。
このことを説明するために、本発明の第1の実施の形態の変形例に係るサイドシル1B及びサイドシル用補強部材40Bを、図9に基づいて説明する。図9は、車両前後方向Xに延びるサイドシル1Bにおいて、下側支持部材34が設置されている位置での断面を示すものである。なお、上記と同一の構成要素については、同一の符号を付し、説明を省略又は簡略するものとする。
サイドシル1Bは、支持部材30Bと、サイドシル用補強部材40Bと、を備える。
サイドシル用補強部材40Bは、第1の実施の形態に係るサイドシル用補強部材40と基本的な構成を同一とするが、次の点で、サイドシル用補強部材40と異なる構成を有している。
サイドシル用補強部材40Bは、被接合閉断面構造における車両前後方向Xに延びる上壁部55aにおいて、車両前後方向Xに間隔をあけて並ぶ複数の挿通穴形成部位を有している。
そして、サイドシル用補強部材40Bは、被接合閉断面構造における車両前後方向Xに延びる下壁部55bにおいて、車両前後方向Xに間隔をあけて並ぶ複数の被接合部位を有している。
すなわち、被接合閉断面構造の上壁部55aは、車両前後方向Xに並ぶ複数の挿通穴形成部位を有する挿通壁部を構成し、下壁部55bは、車両前後方向Xに並ぶ複数の被接合部位を有する被接合壁部を構成する。
さらに、前記被接合部位には、複数の鋼製の接合部材44のうちの少なくとも一部を構成する複数の鋼製の接合部材44が貫通することによってかしめられて留められている。
具体的には、下壁部55bが有する車両前後方向Xに並ぶ複数の被接合部位のうちの1つの被接合部位において、2つの接合部材44が車幅方向Yに並んで配置され、それぞれが下壁部55bを貫通することによってかしめられて留められている。これによって、後述する下側支持部材34Bの接合面である頂部34Baの上面に、1つの被接合部位がより大きな面積で又は複数個所で接合されることができる。なお、前記2つの接合部材44は、前記1つの被接合部位において、車両前後方向Xに近接して並んで配置されていてもよい。
さらに、サイドシル用補強部材40Bが有する補強部材本体42Bは、車両上下方向Zにおいて前記被接合部位を有する側と反対側に向かって車幅方向Yの端部から延びるフランジ部を有していることが好ましい。具体的には、補強部材本体42Bは、車幅方向Yの外側端部を構成する外側縦壁42dから車両上下方向Zの上方に連続して延びるフランジ部42fを、さらに有していることが好ましい。
フランジ部42fは、サイドシルアウター10の外側縦壁部13aに沿って延びており、外側縦壁部13aに近接または接触するように配置されている。フランジ部42fは、鋼製の接合部材44を介してサイドシルアウター10に接合されるフランジ部被接合部位を有している。フランジ部被接合部位には、接合部材44が貫通することによってかしめられて留められている。
そして、フランジ部被接合部位に貫通することによってかしめられて留められた鋼製の接合部材44と鋼製のサイドシルアウター10の外側縦壁部13aとが、スポット溶接によるスポット溶接点Sにより接合されていることが好ましい。なお、フランジ部42f及びフランジ部被接合部位にかしめられて留められる接合部材44は、サイドシル1Bが本発明に含まれるにあたって、必須の構成要素ではない。
支持部材30Bは、下側支持部材34Bのみを有する。下側支持部材34Bは、第1の実施の形態に係る下側支持部材34と基本的な構成を同一とするが、下側支持部材34と形状において異なっている。
下側支持部材34Bは、底部34Bcと、縦壁部34Bbと、頂部34Baと、を有する。底部34Bcは、サイドシルアウター10の外側下壁部13cにスポット溶接点Sにより接合される部分であるが、外側下壁部13cに平行な1つの平板状部分である。縦壁部34Bbは、底部34Bcの車両前後方向Xの端縁から車両上下方向Zに下側横壁42bの下面まで延びる部分である。縦壁部3B4bは、車両上下方向Z及び車両前後方向Xに平行な1つの平板状部分である。頂部34Baは、下側横壁42bに平行な1つの平板状部分であり、第2の閉断面構造52すなわち被接合閉断面構造の下壁部55bに設定されている被接合部位に貫通することによってかしめられて留められている2つの接合部材44にスポット溶接によるスポット溶接点Sにより接合されている。頂部34Baは、縦壁部34Bbの車両上下方向Zの上側端縁に接続されている。
このように構成されることにより、下側支持部材34Bは、サイドシル用補強部材10の外側下壁部13cとサイドシル用補強部材40Bの下側横壁42bとを連係する形状に形成され、図9に示すように、車両前後方向Xに見て、略Z字状に形成されている。
鋼製の下側支持部材34Bは、底部34Bcで鋼製のサイドシルアウター10と、頂部34Baで鋼製の接合部材44と、スポット溶接により接合されている。そして、鋼製の下側支持部材34Bは、サイドシル1Bの内部空間R内で下側からサイドシル用補強部材40Bを支持する。
本変形例に係るサイドシル1B及びサイドシル用補強部材40Bによる作用効果は、支持部材が上側支持部材及び下側支持部材を有していることによるものと、被接合閉断面構造において上壁部にも被接合部位が配置されていることによるものとを除いて、第1の実施の形態に係るサイドシル1及びサイドシル用補強部材40による作用効果と同一である。
さらに、本変形例に係るサイドシル1B及びサイドシル用補強部材40Bによれば、次のような作用効果を奏する。
サイドシル1Bによれば、被接合閉断面構造が有する1つの被接合部位において、2つの鋼製の接合部材44が貫通することによってかしめられて留められているので、当該2つの鋼製の接合部材44のそれぞれに1つの鋼製の支持部材34Bの頂部34Baがスポット溶接で接合されていることとなり、1つの被接合部位がより大きな面積で又は複数個所で1つの支持部材34Bに接合されることができる。したがって、サイドシル用補強部材40Bにおける1つの被接合部位当たりの安定性を向上させることができる。
サイドシル1Bによれば、フランジ部被接合部位42fにおいて鋼製の接合部材44によって鋼製のサイドシルアウター10の内面にスポット溶接で接合されることができる。すなわち、サイドシル用補強部材40Bは、サイドシルアウター10及びサイドシルインナー20が形成する内部空間R内において、車両上下方向Zの一方側は支持部材30Bによって支持され、他方側はサイドシルアウター10によって支持されることができる。
さらに、本発明は、図示されていないが、次のような変形例を含む。
本発明は、サイドシルが複数の支持部材及び複数の接合部材を有しているものに限定されず、1つの支持部材及び1つの接合部材のみを有しているものであってもよい。
すなわち、本発明は、サイドシルの内部空間内において、1つの支持部材が1つの接合部材に接合されて、サイドシル用補強部材を支持するものであってもよい。
すなわち、本発明は、被接合閉断面構造が、1つの被接合部位と、それと向かい合う1つの挿通穴形成部位と、を有しているものであってもよい。
また、本発明は、補強部材本体が有する複数の閉断面構造のうちの1つの閉断面構造のみを被接合閉断面構造とするものに限定されず、複数の閉断面構造を被接合閉断面構造とするものであってもよい。例えば、4つの閉断面構造のうち、2つの閉断面構造を被接合閉断面構造として、それぞれの被接合閉断面構造において、挿通穴が形成され接合部材がかしめられて留められて、支持部材によって支持されるものであってもよい。
また、本発明では、接合部材の形状は、被接合部位を有する挿通壁部を貫通することによってかしめられて留められる形状であればよく、円柱状に形成されているものに限定されない。
また、本発明では、挿通穴は、スポット溶接を行うためのスポット溶接用電極端子が挿通されることによって前記少なくとも1つの被接合部位に到達することを許容する位置に配置され、また、前記スポット溶接用電極端子が挿通可能な大きさを有するものであればよく、挿通穴の形状が丸穴形状に限定されず、また、挿通穴の配置が接合部材の直上であるものに限定されない。
また、本発明は、1つの挿通穴形成部位に1つの挿通穴が形成されているものに限定されず、1つの挿通穴形成部位に複数の挿通穴が形成されているものであってもよい。例えば、図9に示す変形例において、上壁部55aに形成されている1つの挿通穴72が、車両上下方向Zに向かい合う2つの接合部材44を覆うように形成されていたが、2つの接合部材44のそれぞれに車両上下方向Zに向かい合うように2つの挿通穴72が形成されていてもよい。
また、本発明は、支持部材が上下から挟み込むようにサイドシル用補強部材を支持するものに限定されず、また、支持部材が下側からサイドシル用補強部材を支持するものに限定されず、支持部材が上側からのみ吊り下げるようにサイドシル用補強部材を支持するおのであってもよい。この場合、上側支持部材の形態は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態に係る上側支持部材32及び上側支持部材32Aの形態に限定されず、例えば、図9の変形例で示した支持部材30Bのような形態であってもよい。
また、本発明は、補強部材本体が車両前後方向Xに見て複数の矩形の閉断面構造を車幅方向Yに並んで有するものに限定されず、複数の多角形の閉断面構造を略車幅方向Yに並んで有するものであってもよい。この場合において、被接合閉断面構造における上壁部は、被接合閉断面構造が閉じる閉空間の上側に位置する部分であり、被接合閉断面構造における下壁部は、前記閉空間の下側に位置する部分である。
本発明は、補強部材本体が押出形材で形成されたものに限定されず、他の成型方法によって形成されたものであってもよい。