JP5594237B2 - インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェットヘッドの製造方法に関し、インク流路を構成する流路部材間を接着する熱硬化性組成物によるインク流路の閉塞を防止するインクジェットヘッドの製造方法に関する。
従来、インクジェットヘッドとしては、インクに吐出圧を付与するためのチャネルが設けられたヘッドチップに対して、該チャネルにインクを供給するためのマニホールドや、該チャネルからのインクを吐出するノズルが形成されたノズルプレートを接着してなるものが知られている。
特許文献1には、マニホールドとヘッドチップ等を接着する接着部を、熱硬化性組成物を加熱硬化させることにより形成する技術が記載されている。
一方、特許文献2には、エポキシ系の弾性接着剤を用いてヘッドチップとノズルプレートを接着すると共に、該弾性接着剤を保護層により保護することで、弾性接着剤が外気の湿度やガス成分と反応して劣化することを防止している。
また、特許文献3には、熱硬化性を示すフッ素系のゴム組成物であって、主鎖中にフッ素化ポリエーテル骨格を有するポリマーを主成分として含む組成物が開示されている。さらに、特許文献4には、このような組成物に、表面処理剤で処理したシリカを配合して粘度を向上させることが記載されている。
特開2006−291167号公報 特開2003−326708号公報 特開平9−95615号公報 特開2006−52386号公報
熱硬化性組成物は、加熱することによってポリマー間が架橋されて硬化し、これにより接着性を発現する。
この過程について、更に詳述すると、熱硬化性組成物は、一般に、まず加熱開始(通常は室温)から一定の温度(硬化開始温度)に達するまでの間、粘性が低下する傾向にある。これは、熱エネルギーによりポリマーの運動が活発化されることによる。更に加熱を続け、熱硬化性組成物の温度が硬化開始温度を過ぎると、ポリマー間の架橋反応が始まり、粘度が不可逆的に増加していく。即ち硬化が開始される。
このように、熱硬化性組成物は、低粘度化した状態、即ち流動化した状態を経て硬化するため、流動化した際に濡れ広がりを生じ、マニホールドとヘッドチップとの間に塗布された熱硬化性組成物が、ヘッドチップに細幅に設けられるチャネル内に、毛細管現象によって流入し易い問題があった。特に、マニホールドとヘッドチップとの間からのインク流出を確実に封止するために熱硬化性組成物の塗布量を多くすると、流入は更に起こり易くなる。
一方、マニホールドとヘッドチップを接続する接着部には、温度変化により、両部材間の線膨張率の違いに起因する応力が働く。具体的には、例えば、加熱接着時の残留応力や、インク等の加熱・冷却に伴う応力などである。
これらの応力に対して、高硬度の接着剤を用いると、応力を吸収することができないため、両部材間に歪みが生じ、インクの吐出精度を低下させる場合があった。
そこで、本発明者は、弾性接着剤を用いることを検討したが、一般的な弾性接着剤は、湿度、溶剤や、酸又は塩基性を示すインクによって膨潤や溶出を起こしやすく、マニホールドとヘッドチップを接続する接着部のように、外気やインクに直接触れる箇所への使用は困難であった。
例えば、特許文献2のように、弾性接着剤を保護層によって外気から保護しても、エポキシ系の弾性接着剤は、溶剤や、酸又は塩基性を示すインクに対して耐久性が得られ難い。また、保護層を設けることは、工程が複雑化し、生産性を低下させる問題も生じる。
本発明者は、インクジェットヘッドにおいて、特にマニホールドとヘッドチップ間等の接着に適した弾性接着剤を探索した結果、熱硬化性を示すフッ素系のゴム組成物、中でも好ましくは、フッ素化ポリエーテル骨格を有するポリマーを主成分とする熱硬化性組成物が、湿度、溶剤や、酸又は塩基性を示すインクに対する耐性に優れることを見出した。
しかるに、熱硬化性を示すフッ素系のゴム組成物は、加熱硬化時の昇温に伴う流動化が比較的激しく、上述したように、昇温過程において、マニホールドとヘッドチップとの間に塗布された熱硬化性組成物が、チャネル内に流入する問題が著しいものとなることがわかった。特許文献4に記載されるように、表面処理剤で処理したシリカを配合して粘度を向上させても、流入の防止には限界があることがわかった。
チャネル内に熱硬化性組成物が流入するとインク流路が接着剤により塞がれてしまうため、インクの吐出不良を生じることになる。インク流路に流入した熱硬化性組成物を除去することは極めて困難であり、このような流入を未然に防止する技術が強く求められている。
また、マニホールドとヘッドチップとの間の接着の場合に限らず、インク流路を構成する流路部材間を、熱硬化性組成物を介して接着する場合は、加熱時の昇温に伴って流動化した熱硬化性組成物の流入により、インク流路が閉塞される問題が生じ易い。
そこで、本発明の課題は、インク流路を構成する流路部材間に設けられた熱硬化性組成物が、加熱硬化時の昇温に伴って流動化しても、インク流路側に流入することを防止できるインクジェットヘッドの製造方法を提供することにある。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
請求項1記載の発明は、インク流路を構成する2つの流路部材同士を互いに所定の接合位置に配置すると共に、該2つの流路部材の接合面間にインク流路側から外気側にかけて熱硬化性組成物部を形成する熱硬化性組成物部形成工程と、
前記熱硬化性組成物部形成工程の後に、前記熱硬化性組成物部を加熱して硬化させることによって、前記2つの流路部材間を接着すると共に、該2つの流路部材間において前記インク流路を密封する加熱工程とを有し、
前記熱硬化性組成物部は、前記加熱工程における前記加熱による昇温に伴って一時的に流動化した後に不可逆的に硬化する熱硬化性組成物から形成されており、
前記加熱工程において前記熱硬化性組成物が少なくとも流動化した状態にある際に、前記インク流路内に流体を流入することにより、前記インク流路側の圧力を前記外気側の圧力よりも高く保持し、
前記インク流路内に流入させる前記流体の温度と、前記外気の温度とを異ならせて、前記熱硬化性組成物部の前記加熱を行うことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項記載の発明は、前記加熱工程において、前記2つの流路部材のうち、何れか一方の流路部材から前記インク流路内に流体を流入し続けると共に、該インク流路を介して他方の流路部材から該流体を排出し続けることにより、前記インク流路側の圧力を前記外気側の圧力よりも高く保持することを特徴とする請求項記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項記載の発明は、前記加熱工程において、前記他方の流路部材はあらかじめノズルプレートを備えており、該ノズルプレートが有するノズルを介して前記流体を排出し続けることを特徴とする請求項記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項記載の発明は、前記流体は、空気又は窒素ガスであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項記載の発明は、前記インク流路内に流入させる前記流体の温度は前記熱硬化性樹脂の硬化開始温度未満であり、前記外気の温度は前記熱硬化性樹脂の硬化開始温度以上であり、前記外気によって前記熱硬化性組成物部の前記加熱を行うことを特徴とする請求項記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項記載の発明は、前記インク流路内に流入させる前記流体の温度は室温であることを特徴とする請求項記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項記載の発明は、前記インク流路内に流入させる前記流体の温度は前記熱硬化性樹脂の硬化開始温度以上であり、前記外気の温度は前記熱硬化性樹脂の硬化開始温度未満であり、前記流体によって前記熱硬化性組成物部の前記加熱を行うことを特徴とする請求項記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項記載の発明は、前記外気の温度は室温であることを特徴とする請求項記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項記載の発明は、前記加熱工程において、あらかじめ前記熱硬化性組成物部形成工程において形成された前記熱硬化性組成物部の形状を保持する範囲で、前記インク流路側の圧力を前記外気側の圧力よりも高く保持することを特徴とする請求項1〜の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項10記載の発明は、前記熱硬化性組成物部形成工程において、前記2つの流路部材の接合面間に形成された前記熱硬化性組成物部は、互いに対向する前記接合面間からはみ出すフィレット部を有していることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項11記載の発明は、前記フィレット部は、前記互いに対向する前記接合面間から、前記インク流路側にはみ出すように形成されていることを特徴とする請求項10記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項12記載の発明は、前記2つの流路部材のうち、何れか一方の流路部材は、インクに吐出圧を付与するための圧力室を有するヘッドチップを備えており、該一方の流路部材の前記接合面には該圧力室が開口しており、他方の流路部材の前記接合面との間に形成される前記熱硬化性組成物部を、該圧力室の開口を取り囲むように形成することを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項13記載の発明は、前記他方の流路部材はマニホールドを備えており、該マニホールドが前記他方の流路部材の前記接合面を形成していることを特徴とする請求項12記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項14記載の発明は、前記熱硬化性組成物部形成工程において、前記他方の流路部材を前記一方の流路部材に対して所定の接合位置に配置した後、前記接合面間に対して前記外気側から前記熱硬化性組成物を付着させて前記熱硬化性組成物部を形成することを特徴とする請求項13記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項15記載の発明は、前記熱硬化性組成物部形成工程において、前記他方の流路部材が備える前記マニホールドに前記熱硬化性組成物を付着させた後、該他方の流路部材を前記一方の流路部材に対して所定の接合位置に配置すると共に、該熱硬化性組成物を前記一方の流路部材の接合面との間で挟持した後、更に、前記接合面間に対して前記外気側から追加の熱硬化性組成物を付着させて前記熱硬化性組成物部を形成することを特徴とする請求項13記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項16記載の発明は、前記熱硬化性組成物は、熱硬化性を示すフッ素系のゴム組成物であることを特徴とする請求項1〜15の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項17記載の発明は、前記熱硬化性を示すフッ素系のゴム組成物は、主鎖中にフッ素化ポリエーテル骨格を有するポリマーを主成分として含むことを特徴とする請求項16記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項18記載の発明は、前記フッ素化ポリエーテル骨格は、パーフルオロポリエーテルの繰り返し単位(−C2×aO−[aは1以上6以下の範囲の整数である。])を20以上600以下の範囲の整数回繰り返し含むパーフルオロポリエーテル骨格であることを特徴とする請求項17記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項19記載の発明は、前記熱硬化性組成物は、硬化開始温度が40℃以上120℃以下の範囲であることを特徴とする請求項1〜18の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項20記載の発明は、前記熱硬化性組成物は、表面処理剤により表面処理した微粉シリカを1重量部以上30重量部以下の範囲で含有することを特徴とする請求項1〜19の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項21記載の発明は、前記表面処理剤はシラン系表面処理剤であることを特徴とする請求項20記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
本発明によれば、インク流路を構成する流路部材間に設けられた熱硬化性組成物が、加熱硬化時の昇温に伴って流動化しても、インク流路側に流入することを防止できるインクジェットヘッドの製造方法を提供することができる。
本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法によって得られるインクジェットヘッドの一例の縦断面を示す斜視図 熱硬化性組成物部形成工程の第1態様を示す断面図 熱硬化性組成物部形成工程の第2態様を示す断面図 加熱工程の一例を説明する断面図 加熱硬化時における経過時間に伴う熱硬化性組成物部の粘度変化の一例を示す図 加熱硬化時における経過時間に伴う熱硬化性組成物部の粘度変化の他の例を示す図 図4の平面図 本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法によって得られるインクジェットヘッドの他の例を示す断面図 本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法によって得られるインクジェットヘッドの更なる他の例を示す断面図 本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法により接着可能な流路部材間の一例を示す断面図
本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法が適用可能なインクジェットヘッドは、互いに接着されることによってインク流路を構成する少なくとも2つの流路部材を含んで構成されるものであれば、その具体的な構造は問わない。
例えば、溝状に形成された多数のチャネルと多数の隔壁とが交互に並設されると共に、隔壁の少なくとも一部が圧電材料によって形成され、隔壁を圧電効果によって変形させることにより、チャネル内のインクをノズルから吐出するための圧力を付与する構造のインクジェットヘッド、インクを収容する圧力室の一壁面を振動板とし、該振動板上に圧電材料を積層し、該圧電材料の機械的な変形動作によって振動板を振動させることにより、圧力室内のインクをノズルから吐出するための圧力を付与する構造のインクジェットヘッド、インクを収容する圧力室内に電気熱変換素子を配置し、電気熱変換素子の通電によるインクの加熱によって気泡を生成させ、該気泡の破裂作用によって圧力室内のインクをノズルから吐出するための圧力を付与する構造のインクジェットヘッド等があり、本発明は何れのインクジェットヘッドを製造する場合にも適用できる。
本発明において、インク流路とは、このようなインクジェットヘッドの内部におけるインクの供給経路を指し、具体的には、インクジェットヘッド内部にインクが供給されるインク供給管から各チャネル又は各圧力室に対して共通にインクを供給するためのインク室を経て、各チャネル又は各圧力室に至り、更に該各チャネル又は各圧力室から各ノズルに亘って形成されるインクの流路を指す。
また、本発明において、流路部材とは、インクジェットヘッドにおいて、上記インク流路と接することによって該インク流路の壁面を構成する部材であり、具体的には、インク供給管、インク室を形成するための部材(以下、マニホールドという。)、チャネル又は圧力室を有するヘッドチップ、ノズルが形成されたノズルプレート等を例示することができる。また、ヘッドチップについて見ると、チャネル又は圧力室を構成する基板と、該チャネル又は圧力室の壁面を形成する基板もそれぞれを一つの流路部材と看做すことができる。
本発明は、インク流路を構成するために、このような2つの流路部材間を、熱硬化性組成物を使用して接着すると共に、該流路部材間においてインク流路を密封する場合に好適に適用されるものである。
以下、本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法の一例について説明する。ここでは、インクジェットヘッドとして、溝状に形成された多数のチャネルと多数の隔壁とが交互に並設されると共に、隔壁の少なくとも一部が圧電材料によって形成され、隔壁を圧電効果によって変形させることにより、チャネル内のインクをノズルから吐出するための圧力を付与する構造のインクジェットヘッドを例示して説明する。
図1は、インクジェットヘッドを縦断面で示す斜視図である。
図1において、H1はインクジェットヘッドであり、該インクジェットヘッドH1は、ヘッドチップ1と、ノズルプレート2と、マニホールド3とを一体に接合してなる。
ヘッドチップ1は、チャネル基板11と、カバー基板12とを備えている。
チャネル基板11は、インクに吐出圧を付与するための圧力室であるチャネル110と、隔壁111とを交互に備えている。
ここでは、PZT等の圧電材料からなる隔壁111が電気信号を受けて駆動することにより、チャネル110内にインクを吐出するための吐出圧が発生するようにしている。
カバー基板12は、チャネル基板11の上面に、チャネル110を覆うように積層されている。
カバー基板12は開口部120を備えている。チャネル110は、カバー基板12の開口部120の位置に、該チャネル110内にインクを導入するためのチャネル入口110aを形成している。
一方、チャネル110は、ヘッドチップ1の前面にインクを排出するチャネル出口110bを形成している。
ノズルプレート2は、インクを吐出するためのノズル21を備えている。ノズル21は、チャネル出口110bに隣接して設けられている。
このようにして、チャネル110内においてインクに吐出圧が印加されると、加圧されたインクが、チャネル出口110bを介してノズル21から吐出されるようにしている。
マニホールド3は、上壁31aと側壁31bとからなる箱状のマニホールド本体31と、該マニホールド本体31内のインク室32と、該インク室32内にインクを供給するためのインク供給口33とを備えている。34は、インク供給口33に接続され、該インク供給口33を介して、インク室32内にインクを供給するためのインク供給管である。
マニホールド3は、カバー基板12の開口部120から露出するインク導入口110aを覆うように、ヘッドチップ1に接着されている。ここでは、マニホールド3は、接着面である端面31cの全面をカバー基板12の上面12aに接着されている。これにより、ヘッドチップ1の上面側からインク導入口110aを介してチャネル110へインクが供給されるようにしている。
ここでは、2つの流路部材として、多数のチャネル110を有するヘッドチップ1と、このチャネル110に対して共通にインクを供給するためのインク室32を形成しているマニホールド3とを、熱硬化性組成物を使用して接着する場合について説明する。
図1において、Bは、それぞれ流路部材であるマニホールド3とヘッドチップ1とを接着する接着部であり、同時に、マニホールド3とヘッドチップ1との間からのインク流出を封止する機能を有している。
接着部Bは、熱硬化性組成物を加熱硬化させることにより形成されている。
まず、熱硬化性組成物を使用して接着部Bを形成するための熱硬化性組成物部形成工程の第1態様について、図2を参照して説明する。
図2(a)に示す通り、熱硬化性組成物部形成工程の第1態様では、まず、マニホールド3をヘッドチップ1上の所定の接合位置に位置合わせして配置する。
次いで、図2(b)に示す通り、マニホールド3の外側におけるカバー基板12の上面12aと側壁31bの外面との角を満たすように、マニホールド3の外側から熱硬化性組成物を塗布する。塗布された熱硬化性組成物は、毛細管現象により、マニホールド3の端面31cとカバー基板12の上面12aとの間に浸透する。
また、塗布された熱硬化性組成物の一部は、カバー基板12の上面12aから側壁31bの外面との角を満たすように、その表面が、カバー基板12の上面12aから側壁31bの外面にかけて滑らかな曲面を形成している。本明細書においては、このように、互いに対向する接合面間、つまり、ここではマニホールド3の端面31cとカバー基板12の上面12aとの間からはみ出す熱硬化性組成物の部分Cfをフィレット部と称する。
このようにして、マニホールド3とヘッドチップ1との間隙に、インク流路側から外気側にかけて熱硬化性組成物部Cを形成する。
熱硬化性組成物部Cがフィレット部Cfを有することにより、熱硬化性組成物部Cが硬化した後の接着部Bに、インク圧に対する耐圧性を好適に付与できる。即ち、マニホールド3とヘッドチップ1との間隙からのインク漏れをより確実に封止することができる効果を奏する。
上述の熱硬化性組成物部形成工程の第1態様では、接合面間から外気側にはみ出すフィレット部Cfを容易に形成できる効果を奏する。
次に、熱硬化性組成物部形成工程の第2態様について、図3を参照して説明する。
図3(a)に示す通り、熱硬化性組成物部形成工程の第2態様では、マニホールド3をヘッドチップ1上に配置する前に、あらかじめ、マニホールド3の端面31cから側壁31bの内面にかけて熱硬化性組成物を塗布する。
次いで、図3(b)に示す通り、マニホールド3をヘッドチップ1上の所定の接合位置に位置合わせして配置する。このとき、あらかじめ熱硬化性組成物がマニホールド3の端面31cから側壁31bの内面にかけて塗布されていることにより、マニホールド3のインク室32側におけるカバー基板12の上面12aと側壁31bの内面との角を満たすように、熱硬化性組成物が変形する。変形した熱硬化性組成物は、その表面が、カバー基板12の上面12aから側壁31bの内面にかけて滑らかな曲面を形成している。つまり、接合面間からインク流路側にはみ出すフィレット部Cfが形成される。
次いで、図3(c)に示す通り、マニホールド3の外側におけるカバー基板12の上面12aと側壁31bの外面との角を満たすように、マニホールド3の外側から熱硬化性組成物を塗布する。塗布された熱硬化性組成物は、毛細管現象により、マニホールド3の端面31cとカバー基板12の上面12aとの間に浸透する。
また、塗布された熱硬化性組成物の一部は、カバー基板12の上面12aから側壁31bの外面との角を満たすように、その表面が、カバー基板12の上面12aから側壁31bの外面にかけて滑らかな曲面を形成している。つまり接合面間から外気側にはみ出すフィレット部Cfが形成される。
このようにして、マニホールド3とヘッドチップ1との間隙に、インク流路側から外気側にかけて熱硬化性組成物部Cを形成する。
熱硬化性組成物部形成工程の第2態様では、接合面間からインク流路側にはみ出すフィレット部Cfをも容易に形成できるため、外気側にはみ出すフィレット部Cfと合わせて、接合面間の両側にフィレット部Cf、Cfを設けることが容易である。
熱硬化性組成物部Cが接合面間の両側にフィレット部Cf、Cfを有することにより、熱硬化性組成物部Cが硬化した後の接着部Bに、インク圧に対する耐圧性をより好適に付与できる。即ち、マニホールド3とヘッドチップ1との間隙からのインク漏れを更により確実に封止することができる効果を奏する。
熱硬化性組成物部形成工程の第1態様及び第2態様に説明したように、熱硬化性組成物部Cがフィレット部Cfを有している場合、インクの封止性には優れるものの、従来の技術では、加熱硬化時に流動化した熱硬化性組成物が、インク流路側に流入し易い問題を増加させる。特に、第2態様に説明したように、熱硬化性組成物部Cがインク流路側にはみ出すフィレット部Cfを有している場合は、更にインク流路側に流入し易いものとなる。
これに対して、熱硬化性組成物部形成工程の後に行われる加熱工程では、特に熱硬化性組成物部Cがフィレット部Cfを備えている場合であっても、熱硬化性組成物部形成工程において形成された熱硬化性組成物部Cの形状を好適に保持したまま、該熱硬化性組成物部Cを硬化させることができる。
以下の説明では、熱硬化性組成物部形成工程によって、ヘッドチップ1上の所定の接合位置にマニホールド3が位置合わせされた状態で配置されると共に、接合面間に熱硬化性組成物部Cが形成された状態の流路部材の集合体をインクジェットヘッド前駆体と称する場合がある。
以下に、加熱工程について図4を参照して説明する。
図4に示す通り、加熱工程においては、あらかじめ前段の熱硬化性組成物部形成工程によって、ヘッドチップ1上の所定の接合位置にマニホールド3が位置合わせされた状態で配置されると共に、接合面間に熱硬化性組成物部Cが形成された状態(インクジェットヘッド前駆体)とされている。加熱工程では、この状態において、加熱を開始して熱硬化性組成物部を硬化させる。なお、ここでは第2態様に係る熱硬化性組成物部形成工程によって、接合面間の両側に熱硬化性組成物によるフィレット部Cfを有するものを例示している。
加熱手段としては、熱硬化性組成物部Cを硬化開始温度以上まで加熱可能であれば格別限定されず、例えばベーク炉等を好ましく例示できる。
本発明では、加熱工程において、加熱中に、インク流路側の圧力を外気側の圧力よりも高く保持する。
これにより、インク室32内の圧力が外気側の圧力よりも高く保持された状態で、マニホールド3とヘッドチップ1との間が接着される。ここで外気側とは、インク流路の外側であり、マニホールド3及びヘッドチップ1を外部から取り囲む空間側を指しており、具体的には、ヘッドチップ1及びマニホールド3を収容したベーク炉の空間などを指す。
図示の例では、インク室32内に流体を流入させることにより、インク室32内の圧力を外気側の圧力よりも高くなるようにしている。
流体としては、格別限定されず、気体や液体を用いることができるが、気体を用いることが好ましい。気体であれば、流体中への熱硬化性組成物部Cの溶出を好適に防止でき、加熱工程後に乾燥工程を設ける必要がなくなる。
気体としては、格別限定されないが、空気、又は窒素やアルゴン等の不活性ガスを好ましく例示できる。空気を用いる場合は、好ましくは相対湿度が30%以下の乾燥空気を用いることにより、熱硬化性組成物部Cの濡れ広がりを防止できる効果が得られる。
インク室32内への流体の流入経路は格別限定されず、チャネル出口110b側からであっても、インク供給口33からであってもよいが、図示のように、インク供給口33からインク室32内に向けて流体を流入させることが好ましい。具体的には、インク供給口33に接続された不図示のインクチューブなどを介してインク室32内に流体を流入させることができる。
図5は、加熱硬化時における経過時間に伴う熱硬化性組成物部の粘度変化の一例を示す図である。
図中、Vで示される曲線は、熱硬化性組成物部Cの粘度変化を示している。
本発明において熱硬化性組成物部Cは、加熱することによってポリマー間が架橋されて硬化し、これにより接着性を有する接着部Bを形成する。
上述したが、この過程について、更に詳述すると、熱硬化性組成物は、一般に、まず加熱開始(通常は室温)から一定の温度(硬化開始温度)に達するまでの間、粘性が低下する、つまり流動化する傾向にある。これは、熱エネルギーによりポリマーの運動が活発化されることによる。更に加熱を続け、熱硬化性組成物の温度が硬化開始温度を過ぎると、ポリマー間の架橋反応が開始され、粘度が不可逆的に増加する。即ち硬化が開始される。
つまり、熱硬化性組成物は、曲線Vに示される通り、加熱の経過時間に伴って一時的に流動化した後に不可逆的に硬化する性質を示す。
従って、本発明によれば、上述したように、加熱中に、インク流路側の圧力を外気側の圧力よりも高く保持することにより、加熱硬化時の昇温過程において熱硬化性組成物部Cが流動化しても、インク室32内の圧力が外気側の圧力よりも高いために、熱硬化性組成物部はインク室32側から外気側に向けて押圧された状態となり、インク流路側への変形が防止されるため、熱硬化性組成物のチャネル110への流入が未然に防止される。
図5には、熱硬化性組成物が硬化開始温度に到達する時間をTsで示した。つまり、時間Tsにおいて、熱硬化性組成物が最も低粘度化し、即ち最も流動化することになる。
本発明においては、加熱を開始してから少なくとも時間Tsの近傍まで、インク流路側の圧力を外気側の圧力よりも高く保持することが好ましい。さらに、加熱を開始後に時間Ts経過してから少なくとも粘度が所定の値以下である間は、継続して、インク流路側の圧力を外気側の圧力よりも高く保持することがより好ましい。あるいは、加熱の開始から、加熱の終了まで継続してインク流路側の圧力を外気側の圧力よりも高く保持することも好ましいことである。なお、加熱終了後の冷却段階においては、必ずしもインク流路側の圧力を外気側の圧力よりも高く保持する必要はない。
本発明において、インク流路側の圧力と外気側の圧力との圧力差は、熱硬化性組成物部Cを形成する熱硬化性組成物の粘度等を考慮して、好ましくは熱硬化性組成物部Cの形状を保持できるように適宜設定された範囲で、インク流路側の圧力を外気側の圧力よりも高く保持することが好ましい。これにより、熱硬化性組成物部Cの変形や飛び散りによるインク流路の閉塞が防止できる効果が得られる。具体的には、インク流路への注入圧を、好ましくは0.01MPa以上0.20MPa以下の範囲とすることである。
本発明において、インク供給口33から流入させる流体の温度は、外気の温度に対して温度差を有するものであることが好ましい。これにより、インク室32側の熱硬化性組成物部Cinと、外気側の熱硬化性組成物部Coutとの間で、昇温のタイミングに差を設けることができる。この効果について、以下に説明する。
図6は、加熱硬化時における経過時間に伴う熱硬化性組成物部の粘度変化の他の例を示す図であり、インク供給口33から流入させる流体の温度が、外気の温度に対して温度差を有することによる効果を説明する図である。
図中、Vinで示される曲線は、インク室32側の熱硬化性組成物部Cinの粘度変化を示しており、Voutで示される曲線は、外気側の熱硬化性組成物部Coutの粘度変化を示している。
また、ここでは加熱インク供給口33から流入させる流体の温度が、外気の温度よりも低い場合を例に説明する。
つまり、加熱インク供給口33から流入させる流体の温度が、外気の温度よりも低いことにより、インク室32側の熱硬化性組成物部Cinの昇温のタイミングが、外気側の熱硬化性組成物部Coutに対して遅れを生じる。
その結果、図6に示す通り、曲線Vinは、曲線Voutよりも遅いタイミングで粘度変化を生じる。つまり、熱硬化性組成物部Cin及びCoutとの間で、低粘度状態(流動化状態)がタイミングをずらして交互に形成される。これにより、熱硬化性組成物部Cin及びCout全体が一斉に流動化することが防止され、熱硬化性組成物部Cin及びCoutの層厚み等の形状が、昇温過程において安定化し、濡れ広がりが防止され、流動化した熱硬化性組成物によるチャネル110への流入が更に未然に防止される。
以上の説明では、インク供給口33から流入させる流体の温度が、外気の温度よりも低い場合を例に説明したが、本発明においては、加熱インク供給口33から流入させる流体の温度が、外気の温度よりも高い場合であってもよい。つまり、何れの場合であっても、熱硬化性組成物部Cin及びCoutを硬化できればよい。
例えば、本発明においては、インク供給口33から流入させる流体の温度が、熱硬化性組成物の硬化開始温度未満であり、外気の温度が熱硬化性組成物の硬化開始温度以上であり、該外気によって熱硬化性組成物部Cの加熱を行うことが好ましい。このとき、インク供給口33から流入させる流体の温度は室温であることが好ましい。
あるいは、本発明においては、インク供給口33から流入させる流体の温度が、熱硬化性組成物の硬化開始温度以上であり、外気の温度が熱硬化性組成物の硬化開始温度未満であり、該流体によって熱硬化性組成物部Cの加熱を行うことも好ましいことである。このとき、外気の温度は室温であることが好ましい。
更に、本発明においては、インク室32内の流体を、インク供給口33からの新たな流体で置換しながら、加熱により熱硬化性組成物部Cを硬化させることが、より好ましい。例えば、図4に示したように、インク供給口33から流体を流入させると共に、チャネル出口110b側から流体を排出させることにより、インク室32内の流体を、インク供給口33からの新たな流体により置換することができる。図示の例では、ノズル21を介して流体を排出するようにしている。
このような置換を行うことにより、外気の温度がインク室32内に伝播しても、インク室32内の流体と外気との温度差を好適に保持することが可能となる。これにより、チャネル110への熱硬化性組成物の流入が更に未然に防止される効果を奏する。
本発明において、インク室32内に形成される圧力は、主に2つの圧力要素から形成することができる。即ち、流体自体の圧力と、流体の流速に依存する圧力である。
流体自体の圧力は、例えば、インク室32からチャネル110を介してノズル21までに亘って形成されるインク流路において、流体が受ける抵抗によって、流体自体が加圧されることにより生じる。この流体自体の圧力は、例えばノズル21を何らかの封止手段で封止することにより流体の流速を実質的にゼロにした状態であっても、形成することができる。以下、かかる流体自体の圧力を静圧と称する場合がある。
一方、流体の流速に依存する圧力は、流体の流速がゼロの状態では生じず、流速の増加に伴って増加する圧力である。つまり、質量を有する流体の運動エネルギーに起因して生じる圧力である。以下、かかる流体の流速に依存する圧力を動圧と称する場合がある。
本発明においては、インク室32内の圧力を外気側の圧力よりも高くできれば、それが静圧によるものであっても、または、動圧によるものであってもよい。
なお、インク供給口33から流入された流体は、流れやすい方向に向かって流れる性質を有するため、インク室32内の場所によって流速にバラつきが生じ易い。そのため、インク室32内において、静圧に対して動圧が占める割合が高いと、インク室32内における圧力が不均一化し易くなる。また、動圧は、流体の流れ方向に大きく作用し、流体の流れ方向と直交する方向に小さく作用するため、このこともインク室32内における圧力の不均一化の原因となる。
従って、流動化した熱硬化性組成物部Cを押圧する観点からは、流体の流速を低下させて、主に静圧によって、インク室32内の圧力を外気側の圧力よりも高くすることが好ましい。これにより、インク室32内に露出する熱硬化性組成物部Cの全周に亘って、これを押圧する圧力を均一化することが可能となる。
しかるに、本発明において、流動化した熱硬化性組成物部Cを押圧するだけでなく、上述したように、インク室32内の流体と外気との温度差を確保することも加味した観点からは、流体にある程度の流速を維持した状態で、インク室32内の流体を置換することが好ましい。
つまり、本発明においては、流体の動圧に対して静圧が占める割合を高めると共に、インク室32内の流体置換のためのある程度の流速を維持することが好ましい。
これを好適に実現する上で、本発明においては、ヘッドチップ1にノズルプレート2があらかじめ貼着された状態で、加熱による熱硬化性組成物部Cの硬化を行うことが好ましい。つまり、図4に示したように、インク供給口33から流入した流体が、比較的小径に形成されたノズル21を介して排出される状態にしておくことが好ましい。
ここで、ヘッドチップ1とノズルプレート2とは、接着剤によって接着されることによってあらかじめ貼着されていてもよいし、硬化前の熱硬化性組成物の粘着力によってあらかじめ貼着されていてもよい。流体からの圧力に対する安定性を得る上では、加熱工程の前にあらかじめ両者が接着剤によって接着されていることが好ましい。あらかじめ両者が、熱硬化性組成物の硬化によって接着されていることも好ましいことである。
図7は、図4の平面図であり、インク供給口33から流入した流体が、ノズル21を介して排出されることによる効果を説明する図である。図7に示すように、ヘッドチップ1に形成された複数のチャネル110は、そのチャネル出口110bに、ノズル21を有している。
細幅に形成されたチャネル110の幅よりも更に小径に形成されたノズル21は、チャネル110から移送されてくる流体に対して流路抵抗となるため、インク供給口33から流入させる流体の流速を低下させた状態であっても、インク室32内の流体を加圧することが可能となる。つまり、動圧に対して、静圧が占める割合を高めることが可能となる。
更に、流速を低減できることにより、インク室32内の場所による流速のバラつきの範囲も小とすることが可能となる。この結果、静圧をも均一化することが可能となる効果が得られる。
特に、本発明においては、複数のチャネル110毎に設けられるノズル21の形状が互いに同一であることにより、複数のチャネル110毎に、流体に対する抵抗が等しく発生する。その結果、複数のチャネル入口110aから各チャネル110に流入する流体の量が均一化する。これにより、静圧が更に均一化される。
これらの結果、インク室32内の全体に亘って圧力を均一化した状態で、インク室32内を加圧することが可能となる。これにより、熱硬化性組成物部Cの全周に亘って、これを押圧する圧力を精度良く均一化することが可能となる。つまり、局所的に熱硬化性組成物部Cに対して強い圧力が働くことを防止できるため、熱硬化性組成物のチャネル110への流入を顕著に防止する効果が得られる。
更に、これらの効果と同時に、ノズル21から流体が排出されることにより、インク室32内の流体が置換され、インク室32内の流体と外気との温度差が確保されるため、熱硬化性組成物部Cin及びCoutとの間で、低粘度状態(流動化状態)がタイミングをずらして交互に形成され、熱硬化性組成物のチャネル110への流入は更に防止される。
また、ヘッドチップ1がノズルプレート2を備えていることにより、流速を遅くしても加圧が容易となるため、熱硬化性組成物部Cが流体の衝突によって変形したり、又は飛び散ったりすることを防止できる。その結果、熱硬化性組成物部Cの形状を、熱硬化性組成物部形成工程において形成された形状に好適に保持できる効果が得られる。特に、熱硬化性組成物部Cがインク室32内にフィレット部Cfを備える場合は、変形や飛び散りが比較的生じやすくなるが、このような場合でも、ヘッドチップ1がノズルプレート2を備えていれば変形や飛び散りを好適に防止できる。
以上の説明では、マニホールド3が、ヘッドチップ1が有するカバー基板12の上面12aのみに接着されてなるインクジェットヘッドH1の場合について示したが、本発明によって得られるインクジェットヘッドは、これに限定されるものではない。
例えば、図8に示すように、マニホールド3が、カバー基板12の端から露出するチャネル入口110aを覆うように、カバー基板12の上面12aと圧電基板11の上面11aとに亘って接着されてなるインクジェットヘッドH2の製造方法においても、本発明を好ましく適用でき、上述したインクジェットヘッドH1の場合と同様の効果を奏する。
また、以上の説明では、ヘッドチップ1の上面側に設けられたインク導入口110aを介してチャネル110に対し、該チャネル110の長さ方向と交叉する方向からインクが供給されるタイプのインクジェットヘッドH1又はH2の場合について示したが、例えば、図9に示すように、チャネル110の長さ方向に沿ってインクが供給される所謂ハーモニカタイプのインクジェットヘッドH3を製造する場合においても好適に適用でき、上述したインクジェットヘッドH1又はH2の場合と同様の効果を奏する。
即ち、図9に示す通り、ハーモニカタイプのインクジェットヘッドH3では、ヘッドチップ1の後面にチャネル入口110aが形成されている。
また、ヘッドチップ1の後面には、チャネル入口110aに対応する位置に開口部40を有する配線基板4が接着されている。配線基板40には、チャネル110毎に駆動電位を印加するための配線(不図示)を備えている。
マニホールド3は、配線基板4の開口部40から露出するチャネル入口110aを覆うように、配線基板4の上面4aに接着される。つまり、マニホールド3は、配線基板4を介して、ヘッドチップ1に対して接着される。
また、本発明のインクジェットヘッドの製造方法により接着される流路部材は、上述したマニホールド3とヘッドチップ1の場合に限定されるものではない。
図10は、本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法により接着可能な流路部材間の一例を示す断面図である。
図示の例では、加熱工程の様子を示しており、2つのヘッドチップ1、1が、各々のチャネル基板11、11の背面同士を対向させるように配置されている。また、それぞれのヘッドチップ1、1の前面(図示の例では下方に配向した面)には、両ヘッドチップ1、1の各々のチャネル110列に対応する位置に1列ずつノズル21を有する1枚のノズルプレート2が配置されている。
そして、各々のヘッドチップ1、1に対しては、インク入口110aを覆うように、マニホールド3、3が配置されている。
即ち、図示の例では、2列のノズル21列を備えるインクジェットヘッドH4の製造方法の一例を示している。
さらに、5は、インクジェットヘッドH4を固定して収納するための箱状の筐体であり、例えばアルミ等から形成されている。
図示の例では、熱硬化性組成物が、あらかじめ前段の熱硬化性組成物部形成工程において、マニホールド3とヘッドチップ1との間だけでなく、他の流路部材間にも形成されている。
即ち、まず、図中、C1、C1は、マニホールド3とヘッドチップ1との間に形成された熱硬化性組成物部を示している。
この例において、熱硬化性組成物部C1、C1は、マニホールド3とヘッドチップ1との間から、マニホールド3と筐体5の内面との間にかけて連続的に形成されている。つまり、熱硬化性組成物部C1、C1は、それぞれマニホールド3とヘッドチップ1との間を接着してインク封止すると共に、インクジェットヘッドH4を筐体5に固定して収納するために設けられている。
また、C2は、ヘッドチップ1、1とノズルプレート2との間に形成された熱硬化性組成物部を示している。
また、C3、C3は、マニホールド3のインク供給口33とインク供給管34に形成された熱硬化性組成物部を示している。
更に、C4、C4は、ヘッドチップ1を構成するチャネル基板11とカバー基板12との間に形成された熱硬化性組成物部を示している。
これら流路部材間に設けられた熱硬化性組成物部C1〜C4の加熱硬化は、あらかじめ全ての熱硬化性組成物部C1〜C4を形成した後に行ってもよいし、ヘッドチップH4の組み立ての段階で、1又は2以上の流路部材間ごとに、順次熱硬化性組成物部を設けた後、加熱硬化させて接着し、これを繰り返すことにより全ての熱硬化性組成物部C1〜C4を加熱硬化させるようにしてもよい。
このように、マニホールド3とヘッドチップ1との間以外の場合であっても、インク流路側の圧力を、外気側の圧力よりも高く保持した状態で、加熱による熱硬化性組成物部Cの硬化を行うことにより、インク流路側への熱硬化性組成物の流入を防止する効果が得られる。
特に、図示したように、熱硬化性組成物部C1を、マニホールド3とヘッドチップ1との間から、マニホールド3と筐体5との間にかけて連続的に形成する場合は、熱硬化性組成物の付着量が多くなるため、従来、インク流路側への流入が生じやすくなるが、本発明によれば、このような場合であっても好適に流入を防止できる効果が得られる。
また、図9に示したハーモニカタイプのヘッドチップH3の場合であれば、ヘッドチップ1と配線基板4との間の接着についても、上述した熱硬化性組成物部C1〜C4の場合と同様に、本発明を好適に適用することができ、インク流路側、特に、チャネル110内への熱硬化性組成物の流入を防止する効果が得られる。
本発明において、熱硬化性組成物としては、格別限定されないが、上述したように、昇温に伴って低粘度化した後に硬化する性質を示す熱硬化性組成物であれば、本発明の硬化を顕著に得ることができるため好ましい。
このような熱硬化性組成物として、熱硬化性を示すフッ素系のゴム組成物を用いることにより、硬化後の接着剤層に、弾性を付与でき、更に、湿度や溶剤、酸・塩基性インクに対する耐性を付与することができるため好ましい。
フッ素系ゴム組成物としては、格別限定されないが、主鎖中にフッ素化ポリエーテル骨格を有するポリマーを主成分とするものが、硬化後の弾性に優れ、且つ湿度や溶剤、酸・塩基性インクに対する高い耐性を付与することができるため、特に好適である。
フッ素化ポリエーテル骨格としては、パーフルオロポリエーテルの繰り返し単位(−C2×aO−[aは1以上6以下の範囲の整数である。])を20以上600以下の範囲の整数回繰り返し含むパーフルオロポリエーテル骨格等を好ましく例示できる。このようなフッ素化ポリエーテル骨格を有するポリマーを主成分とする熱硬化性組成物としては、市販品では、例えば、信越化学工業社製「SIFEL2614」、信越化学工業社製「X−71−6046」等を好ましく用いることができる。
熱硬化性組成物は、ポリマー内に架橋反応基を有することにより、加熱硬化して接着性を発現する。架橋反応基としては、加熱によってポリマー間を架橋可能であれば格別限定されず、例えば、ヒドロシリル基等のケイ素含有基、ビニル基等のアルケニル基等の1種又は2種以上を含むことができる。
本発明において、熱硬化性組成物は、加熱硬化工程を短縮する上で、高温で硬化するものが好ましく用いられるが、高温で硬化させると、当該圧電材料で脱分極が生じて当該圧電材料の性能が低下する。その為、具体的には、硬化開始温度が40℃以上120℃以下の範囲であることが好ましい。これにより、工程に要する時間を短縮でき、生産性を向上する効果が得られる。
また、本発明においては、硬化開始温度が室温以下の熱硬化性組成物を用いることもできる。この場合、限定されるものではないが、例えば、インク流路内に、室温以下の冷却流体又は室温以上の加熱流体を流入させながら、室温下にて熱硬化性組成物を硬化させることで、本発明を好適に適用することができる。
本発明において、熱硬化性組成物は、微粉シリカを1重量部以上30重量部以下の範囲で含有することが好ましい。これにより、熱硬化性組成物部の濡れ広がりや、変形、飛び散りを防止する効果が得られる。
微粉シリカとしては、表面処理が施されたものを好ましく用いることができる。特に、シラン系表面処理剤を用いて表面処理された微粉シリカであれば、熱硬化性組成物の凝集力を高め、変形、熱硬化性組成物部の飛び散りを防止すると共に、インク流路への流れ込みを防止する効果を奏する。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はかかる実施例によって限定されない。
(実施例1)
<熱硬化性組成物部形成工程>
熱硬化性組成物として信越化学工業社製「SIFEL2614」(フッ素化ポリエーテル骨格を有するポリマーを主成分とし、該フッ素化ポリエーテル骨格は、(−C2×aO−[aは3である。])で示されるパーフルオロポリエーテルの繰り返し単位を88回繰り返し含む。微粉シリカ配合量:1重量部未満、粘度:20[Pa・s]、硬化開始温度:100℃)を用い、図2に示した熱硬化性組成物部形成工程の第1態様に従って、外気側にフィレット部を有する熱硬化性組成物部を、あらかじめノズルプレートが貼着されたヘッドチップとマニホールドとの間に形成し、ヘッドチップ前駆体を得た。
<加熱工程>
得られたヘッドチップ前駆体を、図4に示したように、100℃に維持されたオーブン内に入れ、マニホールド3のインク供給口からインク流路内に、常温(25℃)の空気を10L/minの流量で、注入圧.0.1MPaで流入させると共にノズルから排出させながら、4時間加熱して熱硬化性組成物部を硬化させ、インクジェットヘッドを得た。
[評価方法]
1.出射試験
得られたインクジェットヘッドについて、色材を含まない出射評価用のダミーインク(酢酸2−ブトキシエチル90重量%とシクロヘキサノン10重量%とからなる。)を用いて出射試験を行い、インクジェットヘッドが備える複数のノズルからの各出射速度を測定した。
1−1.評価基準
まず、インクジェットヘッドが備える複数のノズルからの出射速度が、各ノズル間で最大と最小の差が8%以内の場合のヘッドを合格、それを超える場合のヘッドを不合格と判定する。得られた10個のインクジェットヘッドについて判定を行う。
◎:10個中10個のヘッドが合格である。
○:10個中8〜9個のヘッドのみ合格である。
△:10個中5〜7個のヘッドのみ合格である。
×:10個中5個未満のヘッドのみ合格である。
2.加圧・リーク試験
得られたインクジェットヘッドが備えるマニホールドのインク供給口より、0.2MPaの圧力を加えて水を導入し、全ノズル穴より水を1分間流出させた。
次いで、インク流路内の水を空気で押し出し乾燥させた後、ノズルプレートに粘着テープを貼り、全ノズル穴を塞いだ。
インク供給口にゴムチューブを介してシリンジを取り付け、シリンジのピストンを目盛5mlまで引張り流路内部を減圧させた後、該ピストンを放し、シリンジがもとの位置目盛0mlまで戻るか否かについて確認し、リークの有無を調べた。
2−1.評価基準
○:リーク無し(シリンジがもとの位置まで戻った。)
×:リーク発生(シリンジがもとの位置まで戻らなかった。)
3.溶剤耐久性試験
得られたインクジェットヘッドのインク流路内に、N−メチルピロリジノン(NMP)のみからなるインクを導入した。
マニホールドのインク供給口に栓をし、更に、ノズルプレートに蓋をしてノズルを閉塞し、60℃のオーブン内で1カ月間保管した。
1カ月後、インク供給口の栓とノズルプレートの蓋を外し、インク供給口より0.2MPaの圧力で水を導入し、全ノズル穴より水を1分間流出させた。
次いで、インク流路内の水を空気で押し出し乾燥させた後、ノズルプレートに粘着テープを貼って、全ノズル穴を塞いだ。
インク供給口にゴムチューブを介してシリンジを取り付け、シリンジのピストンを目盛5mlまで引張り流路内部を減圧させた後、該ピストンを放し、シリンジがもとの位置目盛0mlまで戻るか否かについて観察し、リークの有無を調べた。
以上の操作を、60℃での保管期間が6カ月になるまで6回繰り返した。
3−1.評価基準
◎◎:6カ月後までリーク無し
◎:6カ月目でリーク発生
○:5カ月目でリーク発生
△:3〜4カ月目でリーク発生
×:1〜2カ月目でリーク発生
以上の評価結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、熱硬化性組成物部形成工程の第1態様に代えて、図3に示した熱硬化性組成物部形成工程の第2態様に従って、外気側とインク流路側の両側にフィレット部を有する熱硬化性組成物部を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェットヘッドを得、実施例1と同様の評価方法で評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、熱硬化性組成物として信越化学工業社製「X−71−6046」(フッ素化ポリエーテル骨格を有するポリマーを主成分とし、該フッ素化ポリエーテル骨格は、(−C2×aO−[aは3である。])で示されるパーフルオロポリエーテルの繰り返し単位を90回繰り返し含む。微粉シリカ配合量:5重量部、粘度:220[Pa・s]、硬化開始温度:100℃)を用いたこと、及び、熱硬化性組成物部形成工程の第1態様に代えて、図3に示した熱硬化性組成物部形成工程の第2態様に従って、外気側とインク流路側の両側にフィレット部を有する熱硬化性組成物部を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェットヘッドを得、実施例1と同様の評価方法で評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、熱硬化性組成物として信越化学工業社製「X−71−6046」を用いたこと、及び、熱硬化性組成物部形成工程の第1態様に代えて、図3に示した熱硬化性組成物部形成工程の第2態様に従って、外気側とインク流路側の両側にフィレット部を有する熱硬化性組成物部を形成したこと、及び、インク供給口から流入する流体として空気に代えて窒素を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェットヘッドを得、実施例1と同様の評価方法で評価した。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、加熱中にインク供給口から空気を流入させなかったこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェットヘッドを得、実施例1と同様の評価方法で評価した。評価結果を表1に示す。
(参考例1)*溶剤耐久性比較
実施例1において、熱硬化性組成物としてジャパンエポキシレジン社製「エピコート807」(組成:ビスフェノールF型エポキシ樹脂)60重量%とジャパンエポキシレジン社製「エピコート152」(組成:フェノールノボラック型エポキシ樹脂)40重量%との混合物にイミダゾール系硬化剤を添加してなるエポキシ系接着剤(粘度:25[Pa・s]、硬化開始温度40℃)を用いたこと、及び、オーブン内の温度を60℃としたこと、及び、加熱中にインク供給口から空気を流入させなかったこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェットヘッドを得、実施例1と同様の溶剤耐久性試験で評価した。評価結果を表1に示す。
(参考例2)*溶剤耐久性比較
実施例1において、熱硬化性組成物として信越化学工業社製「FE−61」(フッ素化されたシリコーン(フロロシリコーン)を主成分とする。粘度:60[Pa・s]、硬化開始温度:100℃)を用いたこと、及び、加熱中にインク供給口から空気を流入させなかったこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェットヘッドを得、実施例1と同様の溶剤耐久性試験で評価した。評価結果を表1に示す。
(参考例3)*溶剤耐久性比較
実施例1において、熱硬化性組成物として信越化学工業社製
「KE4895」(シリコーン接着剤。粘度:5[Pa・s]、常温硬化型)を用いたこと、及び、硬化を常温で行ったこと、及び、硬化中にインク供給口から空気を流入させなかったこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェットヘッドを得、実施例1と同様の溶剤耐久性試験で評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 0005594237
<評価>
表1の出射試験の結果より、加熱硬化中にインク供給口から流体を流入させた実施例1〜4では、流入を行わなかった比較例1に比べて、インク出射の速度異常を生じることが防止されることがわかる。このことから、熱硬化性組成物のインク流路側への流入が好適に防止されていることがわかる。
また、熱硬化性組成物部形成工程の第2態様に従って、外気側とインク流路側の両側にフィレット部を有する熱硬化性組成物部を形成した実施例2〜4では、溶剤耐久性に優れることがわかる。
さらに、熱硬化性組成物が微粉シリカを5重量部配合してなる実施例3、4では、微粉シリカの配合量が1重量部未満の実施例1、2に比べて、出射試験において更に良好な結果を示すことがわかる。
一方、表1より、何れも加熱中に流体の流入を行わなかった比較例1及び参考例1〜3について、溶剤耐久性を対比してみると、フッ素化ポリエーテル骨格を有するポリマーを主成分とする熱硬化性組成物を用いた比較例1では、他の熱硬化性組成物(参考例1:エポキシ系、参考例2:フッ素化シリコーン、参考例3:シリコーン)を用いた参考例1〜3に対して、溶剤耐久性が向上することがわかる。
本発明によれば、このようなフッ素化ポリエーテル骨格を有するポリマーを主成分とする熱硬化性組成物が有する溶剤耐久性を、実施例1〜3に示される通り、極めて効果的に利用することができ、且つ、インク流路への熱硬化性組成物の流入を顕著に防止することができる効果を奏する。
1:ヘッドチップ(流路部材)
11:チャネル基板
110:チャネル(圧力室、インク流路)
110a:チャネル入口
110b:チャネル出口
12:カバー基板
12a:上面(接合面)
120:開口部(インク流路)
2:ノズルプレート
21:ノズル
3:マニホールド(流路部材)
31:マニホールド本体
31a:上壁
31b:側壁
31c:端面(接合面)
32:インク室(流路部材)
33:インク供給口
34:インク供給管
4:筐体
B:接着部
C:熱硬化性組成物部
H1〜H4:インクジェットヘッド

Claims (21)

  1. インク流路を構成する2つの流路部材同士を互いに所定の接合位置に配置すると共に、該2つの流路部材の接合面間にインク流路側から外気側にかけて熱硬化性組成物部を形成する熱硬化性組成物部形成工程と、
    前記熱硬化性組成物部形成工程の後に、前記熱硬化性組成物部を加熱して硬化させることによって、前記2つの流路部材間を接着すると共に、該2つの流路部材間において前記インク流路を密封する加熱工程とを有し、
    前記熱硬化性組成物部は、前記加熱工程における前記加熱による昇温に伴って一時的に流動化した後に不可逆的に硬化する熱硬化性組成物から形成されており、
    前記加熱工程において前記熱硬化性組成物が少なくとも流動化した状態にある際に、前記インク流路内に流体を流入することにより、前記インク流路側の圧力を前記外気側の圧力よりも高く保持し、
    前記インク流路内に流入させる前記流体の温度と、前記外気の温度とを異ならせて、前記熱硬化性組成物部の前記加熱を行うことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  2. 前記加熱工程において、前記2つの流路部材のうち、何れか一方の流路部材から前記インク流路内に流体を流入し続けると共に、該インク流路を介して他方の流路部材から該流体を排出し続けることにより、前記インク流路側の圧力を前記外気側の圧力よりも高く保持することを特徴とする請求項記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  3. 前記加熱工程において、前記他方の流路部材はあらかじめノズルプレートを備えており、該ノズルプレートが有するノズルを介して前記流体を排出し続けることを特徴とする請求項記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  4. 前記流体は、空気又は窒素ガスであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  5. 前記インク流路内に流入させる前記流体の温度は前記熱硬化性樹脂の硬化開始温度未満であり、前記外気の温度は前記熱硬化性樹脂の硬化開始温度以上であり、前記外気によって前記熱硬化性組成物部の前記加熱を行うことを特徴とする請求項記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  6. 前記インク流路内に流入させる前記流体の温度は室温であることを特徴とする請求項記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  7. 前記インク流路内に流入させる前記流体の温度は前記熱硬化性樹脂の硬化開始温度以上であり、前記外気の温度は前記熱硬化性樹脂の硬化開始温度未満であり、前記流体によって前記熱硬化性組成物部の前記加熱を行うことを特徴とする請求項記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  8. 前記外気の温度は室温であることを特徴とする請求項記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  9. 前記加熱工程において、あらかじめ前記熱硬化性組成物部形成工程において形成された前記熱硬化性組成物部の形状を保持する範囲で、前記インク流路側の圧力を前記外気側の圧力よりも高く保持することを特徴とする請求項1〜の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  10. 前記熱硬化性組成物部形成工程において、前記2つの流路部材の接合面間に形成された前記熱硬化性組成物部は、互いに対向する前記接合面間からはみ出すフィレット部を有していることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  11. 前記フィレット部は、前記互いに対向する前記接合面間から、前記インク流路側にはみ出すように形成されていることを特徴とする請求項10記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  12. 前記2つの流路部材のうち、何れか一方の流路部材は、インクに吐出圧を付与するための圧力室を有するヘッドチップを備えており、該一方の流路部材の前記接合面には該圧力室が開口しており、他方の流路部材の前記接合面との間に形成される前記熱硬化性組成物部を、該圧力室の開口を取り囲むように形成することを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  13. 前記他方の流路部材はマニホールドを備えており、該マニホールドが前記他方の流路部材の前記接合面を形成していることを特徴とする請求項12記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  14. 前記熱硬化性組成物部形成工程において、前記他方の流路部材を前記一方の流路部材に対して所定の接合位置に配置した後、前記接合面間に対して前記外気側から前記熱硬化性組成物を付着させて前記熱硬化性組成物部を形成することを特徴とする請求項13記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  15. 前記熱硬化性組成物部形成工程において、前記他方の流路部材が備える前記マニホールドに前記熱硬化性組成物を付着させた後、該他方の流路部材を前記一方の流路部材に対して所定の接合位置に配置すると共に、該熱硬化性組成物を前記一方の流路部材の接合面との間で挟持した後、更に、前記接合面間に対して前記外気側から追加の熱硬化性組成物を付着させて前記熱硬化性組成物部を形成することを特徴とする請求項13記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  16. 前記熱硬化性組成物は、熱硬化性を示すフッ素系のゴム組成物であることを特徴とする請求項1〜15の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  17. 前記熱硬化性を示すフッ素系のゴム組成物は、主鎖中にフッ素化ポリエーテル骨格を有するポリマーを主成分として含むことを特徴とする請求項16記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  18. 前記フッ素化ポリエーテル骨格は、パーフルオロポリエーテルの繰り返し単位(−C2×aO−[aは1以上6以下の範囲の整数である。])を20以上600以下の範囲の整数回繰り返し含むパーフルオロポリエーテル骨格であることを特徴とする請求項17記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  19. 前記熱硬化性組成物は、硬化開始温度が40℃以上120℃以下の範囲であることを特徴とする請求項1〜18の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  20. 前記熱硬化性組成物は、表面処理剤により表面処理した微粉シリカを1重量部以上30重量部以下の範囲で含有することを特徴とする請求項1〜19の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  21. 前記表面処理剤はシラン系表面処理剤であることを特徴とする請求項20記載のインクジェットヘッドの製造方法。
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