JP5023525B2 - 圧電アクチュエータ、液体移送装置、圧電アクチュエータの製造方法、及び、液体移送装置の製造方法。 - Google Patents

圧電アクチュエータ、液体移送装置、圧電アクチュエータの製造方法、及び、液体移送装置の製造方法。 Download PDF

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Description

本発明は、圧電アクチュエータ、圧電アクチュエータを備えた液体移送装置、並びに圧電アクチュエータ及び液体移送装置の製造方法に関する。
従来から、電界が作用したときの圧電材料の変形を利用して対象を駆動する圧電アクチュエータが種々の分野で広く用いられている。例えば、特許文献1(USP6,891,314B2号)には、インクに吐出圧力を付与する圧電アクチュエータを備えたインクジェットヘッドが記載されている。この圧電アクチュエータは、剛体に支持された金属製の基板と、この基板上に配置された複数の圧電素子(圧電層)と、これら複数の圧電素子の上下両面にそれぞれ形成された信号電極及び共通電極とを有する。信号電極は、基板が剛体に接合されていない変形領域(アクチュエータエリア)から、基板が剛体に接合されている接合領域(電気接合用エリア)まで引き出されており、接合領域において、信号電極には、可撓性を有する樹脂基材からなるフレキシブルプリント配線板(FPC)が電気的に接続されている。そして、このFPCを介して信号電極に駆動信号が供給される。
ここで、FPCの圧電素子側の面には、複数の信号電極にそれぞれ対応する複数の端子部が形成されている。さらに、各端子部には、コア材とこのコア材の表面を覆う導電性の接合材とからなる半球状のバンプが形成されている。そして、複数の信号電極にFPCを接続する際には、信号電極の接合領域まで引き出された部分とFPCのバンプとを位置合わせした状態で、バンプを加熱することにより接合材を溶融させて、この溶融した接合材により信号電極とFPCの端子部とを接合する。
USP6,891,314B2号(特開2003−69103に対応(図1〜図3))
ところで、前述の特許文献1に記載の圧電アクチュエータにおいて、信号電極とFPCの端子部を接合するために接合材を溶融させたときには、溶融した接合材の一部が周囲に流れ出す。このとき、接合材が信号電極を伝って変形領域まで流れ出してしまうと、接合材により変形領域における圧電素子の変形が阻害され、圧電アクチュエータが正常に動作しなくなる。また、溶融した導電性の接合材が隣接する別の信号電極まで流れ出してしまい、2つの信号電極間で短絡が発生する虞もある。
本発明の目的は、圧電層の表面の電極と配線部材とを導電性材料により接合する際に、溶融した導電性材料が周囲に流れ出すのを抑制することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の第1の態様に従えば、振動板と、前記振動板の変形を逃す変形逃し部及び前記振動板に接合される接合部を有する支持部材と、前記振動板の前記支持部材と反対側に配置された圧電層と、前記圧電層の前記振動板側の面に配置された第1電極、及び、前記圧電層の前記振動板と反対側の面の、前記変形逃し部と対向する領域に配置された第2電極と、前記圧電層の前記振動板と反対側の面において、第2電極から前記接合部と対向する領域まで延びる配線部と、この配線部の接点に導電性材料を介して接合される端子部を有し、第2電極に駆動電圧を供給する配線部材とを備え、前記振動板と前記接合部のうちの少なくとも一方の、第2電極と前記接点との間の前記配線部と対向する部分に空洞部が設けられた圧電アクチュエータが提供される。
本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記空洞部は、前記配線部と前記端子部を前記導電性材料により接合する際に冷媒が流通する孔であってもよく、さらに前記冷媒は液体又は気体であってもよい。
本発明の第1の態様によれば、この圧電アクチュエータにおいて、配線部材を介して第2電極に駆動電圧が供給されると、第1電極と第2電極との間の、変形逃し部に対向する圧電層の部分に電界が作用する。すると、電界が作用した圧電層の部分が変形し、さらに、この圧電層の変形に伴って振動板の変形逃し部に対向する部分が変形して対象を駆動する。ところで、第2電極に接続された配線部の接点と、配線部材の端子部は、導電性材料により接合されるが、その接合の際に導電性材料を溶融させたときに、この溶融した導電性材料の一部が、接点から配線部を伝って第2電極の表面まで流れ出す虞がある。しかし、本発明では、振動板と接合部の少なくとも一方の、第2電極と接点との間の配線部と対向する部分に空洞が設けられている。そのため、接点から第2電極に向けて流れ出す導電性材料が、空洞部、あるいは、例えば空洞部に充填された冷却用液体のような冷媒により冷却され、配線部の途中で導電性材料の粘度が上昇して固化が始まり、それ以上流れなくなる。従って、導電性材料が第2電極の表面に付着して圧電層の変形を阻害するのを防止できる。尚、本発明は、振動板と第1電極とが別部材で構成されている態様だけでなく、振動板が導電性を有し、この振動板の変形逃がし部と反対側の面が第1電極を兼ねている態様をも含む。
本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記変形逃がし部は複数の逃がし部を含み、平面に沿って隣接配置された複数の前記逃し部と、これら複数の前記逃し部に夫々対応する複数の第2電極とを備え、複数の第2電極に夫々対応して複数の前記空洞部が設けられ、これら複数の前記空洞部が互いに連通していてもよい。このように、複数の空洞部が互いに連通していると、複数の空洞部間で冷却用液体のような冷媒が流動しやすくなるため、溶融した導電性材料をより効果的に冷却することができる。
本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記各空洞部は、隣接する2つの第2電極に夫々対応する2つの前記配線部の接点間と対向する領域まで延びていてもよい。この構成では、ある配線部の接点から隣接する配線部の接点に向かって流れ出す導電性材料が、これら2つの接点間の領域に形成された空洞部内の冷却用液体のような冷媒により冷却されるため、2つの配線部間において短絡が生じるのを確実に防止できる。
本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記空洞部は、前記配線部の接点を取り囲む環状に形成されていてもよい。従って、溶融した導電性材料が接点からその周囲へ流れ出すのをより確実に防止できる。
本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記配線部は、第2電極と前記接点との間において部分的に幅が狭くなっていてもよい。この構成では、配線部を伝って接点から第2電極へ向かって流れる導電性材料の量が少なくなることから、導電性材料が第2電極の表面に付着するのをより確実に防止できる。
本発明の第2の態様に従えば、振動板と、前記振動板の変形を逃す複数の逃し部及び前記振動板に接合される接合部を有する支持部材と、前記振動板の前記支持部材と反対側に配置された圧電層と、この圧電層の前記振動板側の面に配置された第1電極、及び、前記圧電層の前記振動板と反対側の面の、前記複数の逃し部と対向する領域に夫々配置された複数の第2電極と、前記圧電層の前記振動板と反対側の面において、複数の第2電極から前記接合部と対向する領域まで夫々延びる複数の配線部と、前記複数の配線部の接点に夫々導電性材料を介して接合される複数の端子部を有し、複数の第2電極に駆動電圧を供給する配線部材とを備え、前記振動板と前記接合部のうちの少なくとも一方の、隣接する2つの前記第2電極に夫々対応する2つの前記配線部の接点間の部分と対向する部分に空洞部が設けられている圧電アクチュエータが提供される。
本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記各空洞部は、前記配線部と前記端子部を前記導電性材料により接合する際に冷媒が流通する孔であってもよく、さらに前記冷媒は液体又は気体であってもよい。
本発明の第2の態様によれば、ある配線部の接点から隣接する配線部の接点に向かって流れ出す導電性材料が、これら2つの接点間の領域に形成された空洞部、又は、例えば空洞部内の冷却用液体のような冷媒により冷却されるため、2つの配線部間において短絡が生じるのを確実に防止できる。尚、本発明においても、振動板が導電性を有し、この振動板の圧力室と反対側の面が第1電極を兼ねている態様を含む。
本発明の第3の態様に従えば、平面に沿って配置された複数の圧力室を含む液体流路と、前記圧力室の容積を変化させて前記圧力室内の液体に圧力を付与する圧電アクチュエータとを備えた液体移送装置であって、前記圧電アクチュエータは、前記複数の圧力室が形成された圧力室プレートと、前記圧力室プレートの接合部において接合されて、前記複数の圧力室を覆う振動板と、前記振動板の前記圧力室プレートと反対側に配置された圧電層と、前記圧電層の前記振動板側の面に形成された共通電極、及び、前記圧電層の前記振動板と反対側の面において前記複数の圧力室と対向する領域に夫々配置された複数の個別電極と、前記圧電層の前記振動板と反対側の面において、前記個別電極から前記接合部と対向する領域まで夫々延びる複数の配線部と、前記複数の配線部の接点に夫々導電性材料を介して接合される複数の端子部を有し、前記複数の個別電極に駆動電圧を供給する配線部材とを備え、前記振動板と前記接合部のうちの少なくとも一方の、前記個別電極と前記接点との間の前記配線部と対向する各部分に空洞部が設けられている液体移送装置が提供される。
本発明の液体移送装置において、前記空洞部は、前記配線部と前記端子部を前記導電性材料により接合する際に冷媒が流通する孔であってもよく、さらに前記冷媒は液体又は気体であってもよい。
本発明の第3の態様によれば、配線部材を介して複数の個別電極に選択的に駆動電圧が供給されると、電圧が印加された個別電極と共通電極との間の圧電層の部分に電界が作用して圧電層が変形し、さらに、この変形に伴い振動板が変形して圧力室内の液体に圧力が付与される。ここで、個別電極に接続された配線部の接点と配線部材の端子部と導電性材料で接合するために、この導電性材料を溶融させたときには、溶融した導電性材料の一部は、配線部を伝って接点から個別電極に向かって流れ出す。しかし、この導電性材料は、空洞部により、又は例えば空洞部に充填された冷却用液体のような冷媒により冷却されるため、導電性材料が個別電極の表面に付着して圧電層の変形を阻害するのを防止できる。尚、本発明は、振動板が導電性を有し、この振動板の圧力室と反対側の面が共通電極を兼ねている態様を含む。
本発明の第4の態様に従えば、前記空洞部に冷却用液体を充填する充填工程と、前記導電性材料を加熱して、溶融した前記導電性材料により前記配線部と前記端子部とを接合する接合工程とを含む圧電アクチュエータの製造方法が提供される。接合工程において溶融した導電性材料は、配線部を伝って接点から第2電極に向かって流れ出すが、配線部の途中でこの導電性材料は空洞部に充填された冷却用液体により冷却されて、それ以上流れなくなるため、第2電極に導電性材料が付着するのを防止できる。
本発明の圧電アクチュエータの製造方法において、前記冷却用液体は、水が主成分であってもよい。このように、冷却用液体が、安価で、且つ、比熱の大きい水を主成分とするものであるため、製造コストを低く抑えつつ、溶融した導電性材料を効果的に冷却できる。
本発明の圧電アクチュエータの製造方法において、前記充填工程において、前記空洞部に充填された冷却用液体を強制的に流動させてもよい。このように、冷却用液体を強制的に流動させることにより、冷却用液体による導電性材料の冷却効果をさらに高めることができる。
本発明の第1実施形態について説明する。この第1実施形態は、液体移送装置として、ノズルから記録用紙にインクを吐出するインクジェットヘッドに本発明を適用した一例である。
まず、インクジェットヘッド1を備えたインクジェットプリンタ100について簡単に説明する。図1に示すように、インクジェットプリンタ100は、図1の左右方向に移動可能なキャリッジ101と、このキャリッジ101に設けられて記録用紙Pに対してインクを噴射するシリアル式のインクジェットヘッド1と、記録用紙Pを図1の前方へ搬送する搬送ローラ102を備えている。インクジェットヘッド1は、キャリッジ101と一体的に左右方向(走査方向)へ移動して、その下面のインク吐出面に形成されたノズル20(図4参照)の出射口から記録用紙Pに対してインクを噴射する。そして、インクジェットヘッド1により記録された記録用紙Pは、搬送ローラ102により前方(紙送り方向)へ排出される。
次に、インクジェットヘッド1について図2〜図5を参照して詳細に説明する。図2〜図5に示すように、インクジェットヘッド1は、圧力室14を含む個別インク流路21(図4参照)が複数形成された流路ユニット2と、この流路ユニット2の上面に配置された圧電アクチュエータ3とを備えている。
まず、流路ユニット2について説明する。図4、図5に示すように、流路ユニット2はキャビティプレート10、ベースプレート11、マニホールドプレート12、及びノズルプレート13を備えており、これら4枚のプレート10〜13が積層状態で接合されている。このうち、キャビティプレート10、ベースプレート11及びマニホールドプレート12はステンレス鋼製の板であり、これら3枚のプレート10〜12に、後述するマニホールド17や圧力室14等のインク流路をエッチングにより容易に形成することができる。また、ノズルプレート13は、例えば、ポリイミドのような高分子合成樹脂材料により形成され、マニホールドプレート12の下面に接着される。あるいは、このノズルプレート13も、3枚のプレート10〜12と同様にステンレス鋼等の金属材料で形成されていてもよい。
図2〜図5に示すように、キャビティプレート10(圧力室プレート)には、平面に沿って隣接配置された複数の圧力室14が形成されており、これら複数の圧力室14は桁部10aにより区画されている。また、これら複数の圧力室14は上方へ開口している。さらに、複数の圧力室14は、紙送り方向(図2の上下方向)に2列に配列されている。各圧力室14は、平面視で走査方向(図2の左右方向)に長い、略楕円形状に形成されている。
図3、図4に示すように、ベースプレート11の、平面視で各圧力室14の長手方向両端部と重なる位置には、夫々連通孔15,16が形成されている。また、マニホールドプレート12には、紙送り方向(図2の上下方向)に延びるマニホールド17が形成されている。また、図2〜図4に示すように、マニホールド17は、平面視で、左側に配列された圧力室14の左半分、及び、右側に配列された圧力室14の右半分と夫々重なるように配置されている。そして、このマニホールド17は、後述の振動板30に形成されたインク供給口18が接続されており、インクタンク(図示省略)からインク供給口18を介してインクが供給される。また、マニホールドプレート12の、平面視で各圧力室14のマニホールド17と反対側の端部と重なる位置には、夫々、連通孔16に連なる連通孔19も形成されている。さらに、ノズルプレート13の、平面視で各連通孔19に夫々重なる位置には、ノズル20が夫々形成されている。これらのノズル20は、例えば、ポリイミドのような高分子合成樹脂の基板にエキシマレーザー加工を施すことにより形成される。
そして、図4に示すように、マニホールド17は各連通孔15を介して各圧力室14に連通し、さらに、この各圧力室14は、連通孔16,19を介してノズル20に連通している。このように、流路ユニット2内には、マニホールド17から各圧力室14を経て各ノズル20に至る複数の個別インク流路21が形成されている。
次に、圧電アクチュエータ3について説明する。図2〜図5に示すように、圧電アクチュエータ3は、キャビティプレート10の上面に配置された振動板30と、この振動板30の上面(圧力室14と反対側の面)に形成された圧電層31と、この圧電層31の上面に複数の圧力室14に夫々対応して形成された複数の個別電極32と、これら複数の個別電極32に駆動電圧を供給するフレキシブルプリント配線板(FPC)40とを備えている。尚、図2、図3においては、図面を見やすくするために、本来は実線で示されるべきFPC40は二点鎖線で示されている。また、流路ユニット2のキャビティプレート10は、振動板30を支持する支持部材に相当しており、このキャビティプレート10も圧電アクチュエータ3の一部を構成している。さらに、キャビティプレート10に形成された複数の圧力室14が、振動板30の変形を逃す逃し部に相当し、さらに、振動板30に接合される桁部10aが接合部に相当する。
振動板30は、平面視で略矩形状の金属材料からなる板であり、例えば、ステンレス鋼のような鉄系合金、銅系合金、ニッケル系合金、あるいは、チタン系合金などからなる。この振動板30は、キャビティプレート10の上面に複数の圧力室14を覆うように配設され、キャビティプレート10の桁部10aに接合されている。また、金属製の振動板30は導電性を有しており、振動板30は常にグランド電位に保持されている。そして、この振動板30と個別電極32との間に挟まれた圧電層31に電界を作用させる共通電極(第1電極)を兼ねている。
振動板30の上面には、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との固溶体であり強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電層31が配置されている。図2〜図5に示すように、この圧電層31は振動板30の上面において、複数の圧力室14に亙って連続的に形成されている。
圧電層31の上面には、圧力室14よりも一回り小さい楕円形の平面形状を有する複数の個別電極32(第2電極)が形成されている。これら複数の個別電極32は、平面視で、対応する圧力室14の中央部に重なる位置に夫々形成されている。即ち、図2に示すように、複数の個別電極32は、複数の圧力室14に夫々対応して紙送り方向(図2の上下方向)に2列に配列されている。また、個別電極32は金、銅、銀、パラジウム、白金、あるいは、チタンなどの導電性材料からなる。さらに、圧電層31の上面には、複数の個別電極32のマニホールド17側の端部から桁部10aに対向する領域まで、それぞれ、個別電極32の長手方向(図2の左右方向)と平行に延びる複数の配線部35も形成されている。
また、圧電層31及び複数の個別電極32の上側にはFPC40(配線部材)が配設されている。このFPC40は、ポリイミドのような合成樹脂材料からなり可撓性を有する基材41と、この基材41の下面(圧電層31側の面)に複数の個別電極32に夫々対応して形成された複数の配線部42とを有する。また、図4に示すように、各配線部42の端部には夫々端子部42aが設けられている。そして、各端子部42aは、圧電層31の上面に形成された各配線部35の、各個別電極32と反対側の端部に設けられた接点35aに、半田や導電ペースト等からなる導電性材料45を介して接合されている。さらに、FPC40は、駆動回路であるドライバIC(図示省略)と接続されている。つまり、ドライバICと複数の配線部35とがFPC40により電気的に接続されており、このFPC40を介して、ドライバICから複数の個別電極32へ選択的に駆動電圧が印加される。
次に、圧電アクチュエータ3のインク吐出動作時における作用について説明する。所望の個別電極32に対してドライバICから選択的に駆動電圧が印加されると、駆動電圧が供給された圧電層31上側の個別電極32と、グランド電位に保持されている圧電層31下側の共通電極としての振動板30の電位が異なる状態となり、駆動電圧が供給された個別電極32と振動板30との間に挟まれた圧電層31の駆動部分に上下方向の電界が生じる。すると、圧電層31の駆動部分がその分極方向である上下方向と直交する水平方向に収縮する。ここで、振動板30は、キャビティプレート10の桁部10aに接合されているため、圧電層31の駆動部分の収縮に伴って振動板30が圧力室14側に凸となるように変形する。従って、圧力室14内の容積が減少して圧力室14内のインクに圧力が付与され、圧力室14に連通するノズル20からインクの液滴が吐出される。
ところで、後述するように、圧電アクチュエータ3の製造工程において、半田や導電ペーストのような導電性材料45を、配線部35の接点35aの表面で溶融させて、この溶融した導電性材料45によりFPC40の複数の端子部42aと複数の配線部35の接点35aとを接合する。ここで、個別電極32と同じく導電性材料からなる複数の配線部35の表面は濡れ性がよく、接点35aの表面で溶融した半田のような導電性材料45は、配線部35を伝って個別電極32まで流れやすい。そして、個別電極32の表面まで導電性材料45が流れ出してしまうと、この導電性材料45により、個別電極32に駆動電圧が印加されたときの圧電層31の変形が阻害されるため、圧電アクチュエータ3が正常に動作しなくなる。また、溶融した導電性材料45が、個別電極32の配列方向(図3の上下方向)に隣接する別の配線部35まで流れ出して、2つの配線部35の間で短絡が発生する虞もある。
そこで、本実施形態の圧電アクチュエータ3においては、キャビティプレート10の桁部10aの上面に、溶融した導電性材料45を冷却するための冷却用液体60(図6(c)参照)を注入(充填)可能な冷却流路46が、振動板30により上方が塞がれる溝状に形成されている。つまり、溝状の冷却流路46が振動板30により上方を塞がれることによって、空洞部が形成されている。図2、図3に示すように、この冷却流路46は、各個別電極32と接点35aとの間の配線部35と対向する領域から、この配線部35とこれに隣接する配線部35の2つの接点35a間と対向する領域まで、円弧状に延びる個別冷却流路47(液体充填部に相当する)を有する。即ち、各個別冷却流路47は、個別電極32と接点35aとの間の配線部35を横切り、さらに、対応する配線部35の接点35aの図2における上下両側の領域まで延びて、この接点35aを個別電極32側から囲むように形成されている。
また、紙送り方向(図2の上下方向)に2列に配列された複数の個別電極32に夫々対応する左右2列の個別冷却流路47は、それらの間で紙送り方向に延びる連通流路48を介して互いに連通している。さらに、左右2列の個別冷却流路47は、圧力室14と対向しない図2の上端側の領域において走査方向(図2の左右方向)に延びる連通流路49を介して連通している。従って、冷却流路46の全ての個別冷却流路47が連通流路48,49を介して互いに連通している。さらに、この冷却流路46の両端は図2の下方へ引き出され、振動板30に形成された注入口50及び排出口51に夫々接続されている。従って、注入口50から冷却流路46内に冷却用液体60が注入されると、この冷却用液体60は、複数の個別冷却流路47を順に流れて排出口51から排出される。
そして、FPC40の端子部42aと配線部35の接点35aとを導電性材料45により接合する際に、冷却流路46内に冷却用液体60を流しながら導電性材料45を溶融する。すると、各個別冷却流路47内を流れる冷却用液体60により、接点35aの表面から周囲へ流れ出す導電性材料45が冷却される。このように、導電性材料45が冷却されるとその粘度が上昇してそれ以上流れなくなるため、導電性材料45が接点35aの表面から周囲へ流れ出すのが抑制される。このFPC40と配線部35の接合工程については、次述の製造方法の説明でさらに詳しく述べる。
次に、インクジェットヘッド1の製造方法について説明する。まず、流路ユニット2を構成する4枚のプレート10〜13に、エッチングなどにより、マニホールド17や、それぞれがノズル20と圧力室14を含む複数の個別インク流路21を形成する。また、このとき、キャビティプレート10の桁部に、複数の個別冷却流路47を含む前述の冷却流路46を同時に形成する。そして、図6(a)に示すように、流路ユニット2を構成する4枚のプレート10〜13と、振動板30とを積層させてから、接着剤による接合や拡散接合などにより接合する。
次に、図6(b)に示すように、振動板30の上面に圧電層31を形成する。ここで、この圧電層31は、例えば、非常に小さな圧電材料の粒子を基板に吹き付けて高速で衝突させ、基板に堆積させるエアロゾルデポジション法(AD法)を用いて形成することができる。あるいは、スパッタ法、化学蒸着法(CVD法)、ゾルゲル法、溶液塗布法、あるいは、水熱合成法により形成することもできる。また、PZTのグリーンシートを焼成して得られた圧電シートを振動板30に貼り付けることにより圧電層31を形成することも可能である。さらに、圧電層31の上面に、スクリーン印刷などにより複数の個別電極32及び複数の配線部35を形成する。
次に、図6(c)に示すように、注入口50に、冷却用液体60を加圧するポンプのような加圧装置(図示省略)を接続し、この加圧装置により、冷却流路46内に常温(例えば、15℃程度)の冷却用液体60を加圧して注入(充填)する(充填工程)。ここで、複数の配線部35(接点35a)に夫々対応して設けられた、冷却流路46の複数の個別冷却流路47は全て互いに連通しているため、注入口50から注入された冷却用液体60は、複数の個別冷却流路47を順に流れて排出口51から排出される。従って、加圧装置により冷却用液体60を連続的に加圧注入することにより、冷却用液体60は、冷却流路46(複数の個別冷却流路47)内において強制的且つ連続的に流されることになる。ここで、冷却用液体60としては、比熱が大きく、且つ、安価な水を主成分とする液体を使用することが好ましい。また、冷却用液体60が、エチレングリコールや、水にエチレングリコールを混合した不凍液であってもよく、あるいは、ハイドロクロロフルオロカーボンやハイドロフルオロカーボンのような代替フロンであってもよい。
次に、圧電層31の上側に、複数の配線部35の接点35aとFPC40の端子部42aとの間に半田や導電ペースト等の導電性材料45を介在させた状態でFPC40を配置する。そして、導電性材料45を所定の溶融温度(例えば、200℃以上)に加熱して、溶融した導電性材料45によりFPC40の端子部42aと配線部35の接点35aとを接合する(接合工程)。この接合工程においては、例えば、図6(c)に示すように、FPC40の上側とノズルプレート13の下側に1対のヒートブロック52,53を設置し、これら上下1対のヒートブロック52,53により導電性材料45を加熱して、導電性材料45を溶融させながら、FPC40を配線部35側へ押圧することにより、FPC40と配線部35とを接合することができる。あるいは、FPC40側からイオンビームや赤外線、あるいは、レーザー光等を照射して導電性材料45を溶融させながら、治具によりFPC40を配線部35側へ押圧することにより、FPC40と配線部35とを接合することもできる。
このとき、溶融した状態の導電性材料45の一部は、接点35aの表面から周囲に流れ出そうとする。しかし、キャビティプレート10の桁部10aに複数の個別電極32(配線部35)に夫々対応して形成された複数の個別冷却流路47内には、冷却用液体60が連続的に流されている。そして、各個別冷却流路47は、対応する個別電極32と接点35aとの間の配線部35に対向しており、この配線部35を横切るように配置されている。そのため、接点35aの表面から配線部35を伝って個別電極32に向かって流れ出す高温の導電性材料45の熱が、個別冷却流路47内を流れる低温の冷却用液体60により奪われて、配線部35の途中で導電性材料45は急速に冷却される。そのため、導電性材料45の粘度が急激に上昇して固化が始まり、それ以上流れなくなる。従って、導電性材料45が個別電極32の表面に付着して圧電層31の変形が阻害されるのを確実に防止できる。
また、個別冷却流路47に連なる連通流路48は、個別電極32の配列方向(図3の左右方向)に隣接する2つの配線部35の接点35a間の領域に形成されている。そのため、ある配線部35の接点35aの表面から、隣接する配線部35の接点35aに向かって流れ出す導電性材料45は、隣接する接点35aとの間に形成された連通流路48内を流れる低温の冷却用液体60により急速に冷却される。そのため、ある接点35aから隣接する配線部35まで導電性材料45が流れることがなく、配線部35の間の短絡を防止できる。
複数の配線部35に夫々対応する複数の個別冷却流路47が全て連通しており、これら複数の個別冷却流路47に強制的且つ連続的に冷却用液体60を流しながら、導電性材料45を溶融させて接合工程を行うことから、冷却用液体60を流動させない場合に比べて、この冷却用液体60による導電性材料45の冷却効果がさらに高まる。従って、導電性材料45が接点35aからその周囲へ流れ出すのをより確実に抑制できる。また、冷却用液体60として、比熱が高く、且つ、安価な水を主成分とする液体を使用することにより、製造コストを低く抑えつつ、溶融した導電性材料45を効果的に冷却できる。
次に、前記第1実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記第1実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
<第1変更形態>
振動板30が共通電極を兼ねている必要は必ずしもなく、図7に示すように、共通電極34(第1電極)が振動板30とは別に設けられていてもよい。但し、振動板30が金属板である場合には、共通電極34が形成される振動板30の上面に、絶縁材料層が形成されるなどして、振動板30の上面が絶縁性を備えている必要がある。振動板30がシリコン材料からなる場合には、振動板30の上面に酸化処理を施して絶縁性を有するようにしてもよい。また、振動板30が、セラミックス材料、あるいは、合成樹脂材料等の絶縁材料からなる場合には、振動板30の上面に直接共通電極34が形成されることになる。
<第2変更形態>
図8に示すように、配線部35Bが、個別電極32と接点35aとの間において部分的に幅が狭くなるように形成されていてもよい。この構成では、濡れ性のよい配線部35Bを伝って、接点35aから個別電極32へ向かって流れる導電性材料45の量が少なくなることから、導電性材料45が個別電極32の表面に付着するのをより確実に防止できる。
<第3変更形態>
図9に示すように、冷却流路46Cの各個別冷却流路47Cが、平面視で、配線部35の接点35aを取り囲むように環状に形成されていてもよい。この場合には、導電性材料45が接点35aからその周囲へ流れ出すのをより確実に防止できる。
<第4変更形態>
隣接する2つの配線部35の接点間距離が十分に離れているなど、接点35a間の短絡が生じる虞があまりない場合には、前記第1実施形態のように冷却流路が隣接する2つの配線部35の接点35a間にまで形成されている必要は特になく、導電性材料45が接点35aから配線部35を伝って個別電極32へ流れるのを主に防止できる構成であればよい。例えば、図10に示すように、冷却流路46Dが、個別電極32と接点35aとの間において複数の配線部35を横切って、個別電極32の配列方向(図10の上下方向)に延びるように形成されていてもよい。
<第5変更形態>
逆に、配線部35が長く、個別電極32と接点35a間の距離が十分に離れているなど、接点35aから配線部35を伝って流れる導電性材料45が個別電極32まで達する虞があまりない場合には、前記第1実施形態のように冷却流路が個別電極32と接点35aとの間の配線部35と対向する領域に形成されている必要は特になく、隣接する接点35a間の短絡を主に防止できる構成であればよい。例えば、図11に示すように、冷却流路46Eの各個別冷却流路47Eが、個別電極32と接点35aの間の配線部35と対向する領域には形成されておらず、接点35aの両側の領域(2つの配線部35の接点35a間と対向する領域)において配線部35と平行に延びて、配線部35の接点35aを個別電極32と反対側から取り囲むように形成されていてもよい。
<第6変更形態>
導電性材料45が、配線部35の接点35aから、個別電極32と反対側に流れ出すことを防止する必要がある場合には、例えば、図12に示すように、冷却流路46Fが、接点35aの個別電極32と反対側において、個別電極32の配列方向(図12の上下方向)に延びるように形成されていてもよい。
<第7変更形態>
冷却流路は、キャビティプレートに形成されている必要は必ずしもなく、図13に示すように、冷却流路46G(個別冷却流路47G)が、振動板30Gのキャビティプレート10Gと接合される部分に形成されていてもよい。あるいは、振動板とキャビティプレートに亙って形成されていてもよい。
<第8変更形態>
図14〜図16に示すように、キャビティプレート10Hに、複数の配線部35に夫々対応する複数の液体充填部46Hが形成され、その下のベースプレート11Hに、これら複数の液体充填部46Hを連通させる連通流路48Hが形成されていてもよい。各液体充填部46Hは、個別電極32と接点35aとの間の配線部35と対向する領域において、平面視で、紙送り方向(図14の上下方向)に長い略楕円の平面形状を有する貫通孔により形成されている。この液体充填部46Hの長手方向の長さは配線部35の幅に略等しく、また、液体充填部46Hの短手方向の長さ(幅)は連通流路48Hの幅に略等しい。また、連通流路48Hは、ベースプレート11Hの上面側の、紙送り方向に延びる溝により形成されている。そして、FPC40の端子部42aと配線部35の接点35aを接合する際には、連通流路48Hに冷却用液体60を連続的に流して、この連通流路48Hから複数の液体充填部46Hに冷却用液体60を充填しながら、導電性材料45を加熱して溶融させる。この変更形態8においても、接点35aから配線部35を伝って個別電極32へ向かって流れ出す導電性材料45が、液体充填部46Hに充填された冷却用液体60により冷却されるため、導電性材料45が個別電極32の表面に付着するのを防止できる。
本実施形態及び各変更形態において、導電性材料45を冷却するために冷却用液体60を使用したが、冷却用液体60の代わりに例えば空気、窒素、ヘリウムガス、フロンガスのような気体、又は、エアロゾル等の冷媒を使用してもよい。このとき、ポンプ等の加圧装置を用いて、個別冷却流路47等の空洞部内の冷媒を強制的に流動させることによって、効率的に導電性材料45を冷却することができる。また、冷媒として空気を利用する際には、加圧装置を用いる代わりに、対流によって生じる空気の流れによって、空洞部内の空気を流動させることもできる。この場合には、接合工程の際に空洞部内に冷媒を加圧注入する加圧装置を省くことができ、製造設備を簡略化することができる。また、冷媒として空気を使用しているため、別途冷媒を用意する必要がなく、製造コストを抑えることができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態のインクジェットヘッド71は、前記第1実施形態と比較して、冷却用液体60を流すための冷却流路46(図2〜図4参照)が形成されていない点で異なるが、その他の構成は同じである。そのため、前記第1実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
図17〜図19に示すように、この第2実施形態のインクジェットヘッド71は、複数の圧力室14を含むインク流路が形成された流路ユニット72と、この流路ユニット72の上面に配置された圧電アクチュエータ3とを備えている。
流路ユニット72は、キャビティプレート80、ベースプレート11、マニホールドプレート12、及びノズルプレート13を備えており、これら4枚のプレート80,11,12,13が積層状態で接合されている。キャビティプレート80には複数の圧力室14が形成されており、前記第1実施形態のキャビティプレート10とほぼ同様の構成を有するが、冷却流路46(図2〜図4参照)が形成されていない点で異なる。また、ベースプレート11、マニホールドプレート12、及び、ノズルプレート13は、前記第1実施形態と同様のものであり、その説明は省略する。そして、この流路ユニット72内には、マニホールド17から圧力室14を経てノズル20に至る個別インク流路21が形成されている。
圧電アクチュエータ3は、前記第1実施形態と同様の構成を有するものであり、振動板30、圧電層31、複数の個別電極32及び複数の配線部35、FPC40等を有する。そして、圧電層31の上面に形成された複数の配線部35の接点35aに、半田等の導電性材料45を介してFPC40の端子部42aが接合されている。
次に、この第2実施形態のインクジェットヘッド71の製造方法について説明する。但し、FPC40の端子部42aと配線部35の接点35aとを接合するまでの工程は前記第1実施形態と同様であるため(図6(a),(b)参照)、FPC40と配線部35とを接合する工程について特に説明する。
インク供給口18(図17参照)とポンプ等の加圧装置を接続してから、図20に示すように、この加圧装置により、流路ユニット72内に形成されたマニホールド17、及び、このマニホールド17から圧力室14を経てノズル20に至る個別インク流路21内に、常温(例えば、15℃程度)の冷却用液体60を加圧して注入(充填)する(充填工程)。また、この冷却用液体60をノズル20から噴射させて、個別インク流路21内で冷却用液体60を連続的に流しておく。
この状態で、圧電層31の上側にFPC40を配設するとともに、このFPC40の端子部42aと複数の配線部35の接点35aとの間に半田や導電ペースト等の導電性材料45を配置する。そして、導電性材料45を所定の溶融温度(例えば、200℃以上)まで加熱し、溶融した導電性材料45によりFPC40の端子部42aと配線部35の接点35aとを接合する(接合工程)。ここで、導電性材料45の加熱方法としては、図20に示すように、FPC40とノズルプレート13に夫々接触する上下1対のヒーターブロック81,82を用いる方法や、イオンビームや赤外線、あるいは、レーザー光を照射する方法など、種々の方法を採用できる。
ここで、接合工程において溶融した導電性材料45の一部は、接点35aの表面から周囲に流れようとするが、この導電性材料45は、個別インク流路21内を連続的に流れる低温の冷却用液体60により熱を奪われて冷却されるため、その粘度が急激に上昇して固化が始まる。従って、導電性材料45が接点35aから周囲に流れ出すのを抑制できる。また、この第2実施形態では、前記第1実施形態とは異なり、マニホールド17や個別インク流路21などのインク流路に冷却用液体60を流しながら接合工程を行うことから、冷却用液体60を流すための特別な流路(前記第1実施形態の冷却流路46等)をインク流路とは別に形成する必要がなく、製造コスト面で有利である。
本実施形態では、導電性材料45を冷却するための冷媒として冷却用液体60を用いているが、冷媒は液体に限られず、例えば空気、窒素、フロンガス、ヘリウムのような気体又はエアロゾル等の冷媒を使用してもよい。
尚、以上説明した第1実施形態及び第2実施形態では、冷却用液体60を強制的且つ連続的に流しながら接合工程を行っている。導電性材料45を効率的に冷却するという点では冷却用液体60を強制的に流動させることは好ましいが、冷却用液体60を強制的に流動させなくても導電性材料45の冷却は可能である。例えば、第1実施形態の冷却流路46(図2参照)の排出口51、あるいは、第2実施形態の個別インク流路21のノズル20を封止し、これらの流路46,21内に冷却用液体60を充填した状態で(外部へ排出せずに)、接合工程を行ってもよい。この場合には、冷却用液体60を強制的に流動させる場合に比べて冷却効率は低下するが、冷却用液体60を加圧注入する加圧装置などが不要になるため、製造設備を簡略化することが可能になる。
以上、本発明をインクジェットヘッドに適用した形態について第1実施形態及び第2実施形態を例に挙げて説明したが、本発明を適用可能な形態は、これら第1実施形態及び第2実施形態に限られるものではない。例えば、インク以外の液体を移送する種々の液体移送装置に本発明を適用することも可能である。さらには、本発明を適用可能なアクチュエータは、液体に圧力を付与するために用いられるアクチュエータに限らない。つまり、支持部材の接合部に接合された振動板を変形させることにより対象を駆動するものであれば、他の用途に用いられるアクチュエータにも適用することが可能である。この場合、支持部材に設けられた逃がし部は、必ずしも支持部材に形成された穴である必要はなく、逃がし部は振動板の変形を阻害しない形状であればよい。一例として、図4に示されたインクジェットヘッドの流路ユニット2を、支持部材110に置き換えた構成を有する圧電アクチュエータ103を図21に示す。支持部材110の振動板30側の面の、平面視で個別電極32と重なる領域には、個別電極32と略同一の形状であって、振動板30側の面に開口している溝状の逃げ部110Bが形成されている。このように支持部材110に逃げ部110Bが形成されることによって、桁部110Aが画成されている。支持部材の桁部110Aには、第1実施形態と同じ形状の冷却水路46が形成されている。支持部材の逃げ部110Bの厚さは桁部110Aの厚さと比べて薄く形成されており、振動板30の駆動により発生した圧力波によって、逃げ部110Bの底面110Cを振動させることができる。この例に示したように、逃がし部は支持部材に設けられた凹部であってもよい。
図1は本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。 図2はインクジェットヘッドの平面図である。 図3は図2の一部拡大図である。 図4は図3のIV-IV線断面図である。 図5は図3のV-V線断面図である。 図6は第1実施形態の圧電アクチュエータの製造工程を示す図であり、図6(a)は流路ユニットと振動板とを接合する工程、図6(b)は圧電層、個別電極及び配線部を形成する工程、図6(c)は圧電層上面の配線部とFPCの端子部とを接合する工程を夫々示す。 図7は第1実施形態の変更形態1に係る図4相当の断面図である。 図8は第1実施形態の変更形態2に係る図3相当の拡大平面図である。 図9は第1実施形態の変更形態3に係る図3相当の拡大平面図である。 図10は第1実施形態の変更形態4に係る図3相当の拡大平面図である。 図11は第1実施形態の変更形態5に係る図3相当の拡大平面図である。 図12は第1実施形態の変更形態6に係る図3相当の拡大平面図である。 図13は第1実施形態の変更形態7に係る図4相当の断面図である。 図14は第1実施形態の変更形態8に係る図3相当の拡大平面図である。 図15は図14のXV-XV線断面図である。 図16は図14のXVI-XVI線断面図である。 図17は本発明の第2実施形態に係るインクジェットヘッドの平面図である。 図18は図17の一部拡大図である。 図19は図18のXIX-XIX線断面図である。 図20は圧電層上面の配線部とFPCの端子部とを接合する工程を示す図である。 図21は溝状の逃げ部を有する支持部材を備えた圧電アクチュエータの図4相当の断面図である。
符号の説明
1 インクジェットヘッド
2 流路ユニット
3 圧電アクチュエータ
10,10G,10H キャビティプレート
10a 桁部
14 圧力室
21 個別インク流路
30,30G 振動板
31 圧電層
32 個別電極(第2電極)
34 共通電極(第1電極)
35B 配線部
35a 接点
40 フレキシブルプリント配線板(FPC)
42a 端子部
45 導電性材料
46,46C,46D,46E,46F,46G 冷却流路
46H 液体充填部
47,47C,47E,47G 個別冷却流路
60 冷却用液体
71 インクジェットヘッド
72 流路ユニット

Claims (19)

  1. 振動板と、
    前記振動板の変形を逃す変形逃し部及び前記振動板に接合される接合部を有する支持部材と、
    前記振動板の前記支持部材と反対側に配置された圧電層と、
    前記圧電層の前記振動板側の面に配置された第1電極、及び、前記圧電層の前記振動板と反対側の面の、前記変形逃し部と対向する領域に配置された第2電極と、
    前記圧電層の前記振動板と反対側の面において、第2電極から前記接合部と対向する領域まで延びる配線部と、
    この配線部の接点に導電性材料を介して接合される端子部を有し、第2電極に駆動電圧を供給する配線部材とを備え、
    前記振動板と前記接合部のうちの少なくとも一方の、第2電極と前記接点との間の前記配線部と対向する部分に空洞部が設けられたことを特徴とする圧電アクチュエータ。
  2. 前記空洞部は、前記配線部と前記端子部を前記導電性材料により接合する際に冷媒が流通する孔であることを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
  3. 前記冷媒は液体であることを特徴とする請求項2に記載の圧電アクチュエータ。
  4. 前記冷媒は気体であることを特徴とする請求項2に記載の圧電アクチュエータ。
  5. 前記変形逃がし部は複数の逃がし部を含み、平面に沿って隣接配置された複数の前記逃し部と、これら複数の前記逃し部に夫々対応する複数の第2電極とを備え、
    複数の第2電極に夫々対応して複数の前記空洞部が設けられ、
    これら複数の前記空洞部が互いに連通していることを特徴とする請求項2〜4に記載の圧電アクチュエータ。
  6. 前記各空洞部は、隣接する2つの第2電極に夫々対応する2つの前記配線部の接点間と対向する領域まで延びていることを特徴とする請求項5に記載の圧電アクチュエータ。
  7. 前記空洞部は、前記配線部の接点を取り囲む環状に形成されていることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の圧電アクチュエータ。
  8. 前記配線部は、第2電極と前記接点との間において部分的に幅が狭くなっていることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の圧電アクチュエータ。
  9. 振動板と、
    前記振動板の変形を逃す複数の逃し部及び前記振動板に接合される接合部を有する支持部材と、
    前記振動板の前記支持部材と反対側に配置された圧電層と、
    この圧電層の前記振動板側の面に配置された第1電極、及び、前記圧電層の前記振動板と反対側の面の、前記複数の逃し部と対向する領域に夫々配置された複数の第2電極と、
    前記圧電層の前記振動板と反対側の面において、複数の第2電極から前記接合部と対向する領域まで夫々延びる複数の配線部と、
    前記複数の配線部の接点に夫々導電性材料を介して接合される複数の端子部を有し、複数の第2電極に駆動電圧を供給する配線部材とを備え、
    前記振動板と前記接合部のうちの少なくとも一方の、隣接する2つの前記第2電極に夫々対応する2つの前記配線部の接点間の部分と対向する部分に空洞部が設けられていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  10. 前記各空洞部は、前記配線部と前記端子部を前記導電性材料により接合する際に冷媒が流通する孔であることを特徴とする請求項9に記載の圧電アクチュエータ。
  11. 前記冷媒は液体であることを特徴とする請求項10に記載の圧電アクチュエータ。
  12. 前記冷媒は気体であることを特徴とする請求項10に記載の圧電アクチュエータ。
  13. 平面に沿って配置された複数の圧力室を含む液体流路と、前記圧力室の容積を変化させて前記圧力室内の液体に圧力を付与する圧電アクチュエータとを備えた液体移送装置であって、
    前記圧電アクチュエータは、
    前記複数の圧力室が形成された圧力室プレートと、
    前記圧力室プレートの接合部において接合されて、前記複数の圧力室を覆う振動板と、
    前記振動板の前記圧力室プレートと反対側に配置された圧電層と、
    前記圧電層の前記振動板側の面に形成された共通電極、及び、前記圧電層の前記振動板と反対側の面において前記複数の圧力室と対向する領域に夫々配置された複数の個別電極と、
    前記圧電層の前記振動板と反対側の面において、前記個別電極から前記接合部と対向する領域まで夫々延びる複数の配線部と、
    前記複数の配線部の接点に夫々導電性材料を介して接合される複数の端子部を有し、前記複数の個別電極に駆動電圧を供給する配線部材とを備え、
    前記振動板と前記接合部のうちの少なくとも一方の、前記個別電極と前記接点との間の前記配線部と対向する各部分に空洞部が設けられていることを特徴とする液体移送装置。
  14. 前記空洞部は、前記配線部と前記端子部を前記導電性材料により接合する際に冷媒が流通する孔であることを特徴とする請求項13に記載の液体移送装置。
  15. 前記冷媒は液体であることを特徴とする請求項14に記載の液体移送装置。
  16. 前記冷媒は気体であることを特徴とする請求項14に記載の液体移送装置。
  17. 請求項3に記載の圧電アクチュエータの製造方法であって、
    前記空洞部に冷却用液体を充填する充填工程と、
    前記導電性材料を加熱して、溶融した前記導電性材料により前記配線部と前記端子部とを接合する接合工程とを含むことを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法。
  18. 前記冷却用液体は、水が主成分であることを特徴とする請求項17に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  19. 前記充填工程において、前記空洞部に充填された冷却用液体を強制的に流動させることを特徴とする請求項17に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
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