以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(第1の実施形態:電子機器100)
図1は、第1の実施形態にかかる電子機器100の使用形態図であり、図2は、第1の実施形態にかかる電子機器100の概略的な構成を示した機能ブロック図である。本実施形態において、電子機器100は、テレビジョン受像機を例に挙げて説明するが、DVD(Digital Versatile Disc)プレイヤ/レコーダ、BD(Blu-ray Disc)プレイヤ/レコーダ、音楽プレイヤ/レコーダ、カーナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯電話、PHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ビデオカメラ、デジタルカメラ等、表示部を有する、または、表示部に映像を出力可能な様々な電子機器を用いることができる。
図1に示すように、本実施形態において、ユーザ102は、リモコンを利用せずとも、拍手音等の所定の音波を複数回連続して発生させるという行為を実行するだけで、例えば、受信したデジタル放送波の画像出力および音出力のオン/オフやメニュー機能を遂行するためのGUI(Graphical User Interface)の表示/選択等の電子機器100の様々な機能を遠隔から操作することができる。
図2に示すように、電子機器100は、制御部としての中央制御部110と、装置メモリ112と、番組受信部114と、表示部116と、D/Aコンバータ118と、出力アンプ120と、音声出力部122と、収音部124と、入力アンプ126と、A/Dコンバータ128とを含んで構成される。図2中、実線で示す矢印は映像信号や音信号等の本質的な信号を示し、破線で示す矢印は制御信号を示す。
中央制御部110は、中央処理装置(CPU)や信号処理装置(DSP:Digital Signal Processor)を含む半導体集積回路で構成され、所定のプログラムを用いて電子機器100全体を管理および制御する。
装置メモリ112は、RAM、フラッシュメモリ、HDD(Hard disk drive)等で構成され、中央制御部110で用いられるプログラムやその他のデータを保持する。なお、HDDは正確には装置であるが、説明の便宜上本説明では記録媒体と同義として扱う。
番組受信部114は、後述するモード切換制御部156の制御指令に従って、放送局の送信アンテナ106から送信されるデジタル放送波(トランスポートストリーム)を、アンテナ104を介して受信する。また、本実施形態において、番組受信部114は、チューナ回路およびOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)復調器等を含んで構成され、中央制御部110の制御指定に従い、任意の放送局を選局して、その放送局の番組の映像ストリーム(映像信号)および音声ストリーム(音信号)をデコード(復号)したり、その放送局のEPG(Electronic Program Guide)情報を取得したりする。
表示部116は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成され、後述する表示制御部150の制御指令に従って、番組受信部114が復号したデジタル放送波の映像信号や、EPG情報等を画像として表示する。
D/Aコンバータ118は、番組受信部114が復号したデジタル放送波の音信号をアナログの音信号に変換する。
出力アンプ120は、D/Aコンバータ118が変換したアナログの音信号を増幅する。
音声出力部122は、スピーカで構成され、後述する音声制御部152の制御指令に従って、出力アンプ120で増幅された音信号を音波に変換して出力する。
収音部124は、マイク等の音認識手段で構成され、音波を収音し、入力された(収音した)音波を、後述する入力音信号処理部154内で処理可能な音信号(電気信号)に変換(音響―電気変換)し、入力アンプ126に伝達する。
入力アンプ126は、収音部124が変換した音信号を増幅してA/Dコンバータ128に伝達する。
A/Dコンバータ128は、入力アンプ126が増幅した音信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。以下、A/Dコンバータ128がデジタル信号に変換した音信号を、単にデジタル化音信号と称する。
また、本実施形態において、中央制御部110は、表示制御部150、音声制御部152、入力音信号処理部154、モード切換制御部156としても機能する。
表示制御部150は、モード切換制御部156の制御指令に応じて、表示部116の機能をオン/オフする。
音声制御部152は、モード切換制御部156の制御指令に応じて、音声出力部122の機能をオン/オフする。
入力音信号処理部154は、すべての音波(音信号)に対して単にエッジパルスを生成するのみならず、収音部124が変換した音信号が所定の音信号を示す場合にエッジパルスを生成する。ここでは、所定の音信号として拍手音の音信号を例に挙げて説明する。
図3は、拍手音を説明するための説明図である。上述したように、収音部124が変換した音信号は、入力アンプ126で増幅され、A/Dコンバータ128でデジタル化される。図3に示すように、拍手音の音信号の波形130は、様々な周波数成分を含んで構成される。
A/Dコンバータ128がデジタル化した拍手音のデジタル化音信号は、A/Dコンバータ128のダイナミックレンジ(図3中DRで示す)内であって、無音時のレベルのオフセット成分(図3中OSで示す)に相当する振幅を中心に振動する波形である。
拍手音は何ら器具を用いなくとも場所や時間に拘わらずユーザによって容易に生成され、また、図3に示すように、固有の周波数成分と振幅の推移から他の音との識別性も高い。
本実施形態において、所定の音信号として拍手音を用いているが、これに限定されず、叩音、破裂音(例えば、指をスナップさせることで発生する音等)、人間が意思を伝達するために口から発する音声等様々な音を利用することもできる。
図4は、第1の実施形態にかかる入力音信号処理部154の概略的な構成を示した機能ブロック図である。
図4に示すように、入力音信号処理部154は、オフセット成分除去部160と、絶対値化回路162と、所定音判定部164と、エッジ信号抽出部166と、エッジパルス生成部168とを含んで構成される。
オフセット成分除去部160は、ハイパスフィルタで構成され、A/Dコンバータ128から伝送されたデジタル化音信号(図4中、波形#1で示す)からオフセット成分(OS)を除去し、絶対値化回路162に伝達する。
絶対値化回路162は、オフセット成分除去部160から伝達されたデジタル化音信号を絶対値化する。図4中波形#2は、絶対値化回路162が絶対値化したデジタル化音信号を示す。
所定音判定部164は、絶対値化されたデジタル化音信号が所定の音信号(本実施形態では、拍手音の音信号)であるか否かを判定する。所定音判定部164は入力された音信号が予め定めた所定の音信号の条件を満たすか否かを判断し、入力された音信号が予め定めた条件を満たすと、所定の音信号が入力されたと判定する。したがって、音信号の条件を変更すれば、本実施形態で説明する拍手音以外の音信号でも電子機器を操作できる。
エッジ信号抽出部166は、絶対値化されたデジタル化音信号が拍手音の音信号であると判定された場合に、絶対値化されたデジタル化音信号からエッジ成分を抽出し、図4中波形#3に示すようなエッジ信号を生成する。
エッジパルス生成部168は、波形#3のエッジ信号をトリガとして、所定幅(所定長)のエッジパルス(図4中、波形#4で示す)を生成する。
モード切換制御部156は、入力音信号処理部154が生成したエッジパルスに基づいて電子機器100の動作を切換える。本実施形態においてモード切換制御部156は、第1の動作であるアクティブモード、第2の動作であるプレアクティブモード、第3の動作であるスタンバイモード、機能待機モードの4つの動作モードに電子機器100を切換える。
図5は、第1の実施形態にかかる電子機器100の動作モードを説明するための説明図であり、図6は、第1の実施形態にかかる動作モードの状態遷移にかかる移行時間を説明するための説明図である。図5に示すように、本実施形態の電子機器100の動作モードは、スタンバイモード、アクティブモード、プレアクティブモード、機能待機モードの4つのモードに分類される。
スタンバイモードは、少なくとも収音部124、入力アンプ126、A/Dコンバータ128、入力音信号処理部154、およびモード切換制御部156が動作するモードである。
アクティブモードは、少なくとも収音部124、入力アンプ126、A/Dコンバータ128、入力音信号処理部154、モード切換制御部156、番組受信部114、表示制御部150、音声制御部152、表示部116、および音声出力部122が動作するモードである。電子機器100がアクティブモードである場合に、表示制御部150は表示部116の機能をオンにし、音声制御部152は音声出力部122の機能をオンにする。したがって、表示部116は、表示制御部150の制御指令に従って、番組受信部114が復号した映像信号を画像として表示し、音声出力部122は、音声制御部152の制御指令に従って、番組受信部114が復号した音信号を音波に変換して出力する。
本実施形態において特徴的なプレアクティブモードは、上述したアクティブモードに即座に移行可能なモードであり、少なくとも収音部124、入力アンプ126、A/Dコンバータ128、入力音信号処理部154、モード切換制御部156、および番組受信部114が動作し、かかる番組受信部114は、前回ユーザが選局した放送局が送信するデジタル放送波を受信し、映像信号および音信号の復号まで実行しているモードである。電子機器100がプレアクティブモードである場合に、表示制御部150は、表示部116の機能をオフにし、音声制御部152は、音声出力部122の機能をオフにする。したがって、表示部116は、復号された映像信号を画像として表示せず、音声出力部122は、復号された音信号を音波に変換して出力しない。
機能待機モードは、少なくとも収音部124、入力アンプ126、A/Dコンバータ128、入力音信号処理部154、モード切換制御部156、および番組受信部114が動作するモードである。番組受信部114は、当該機能待機モードにおいて、前回ユーザが選局した放送局以外の放送局であってEPG情報を取得可能な放送局が送信するデジタル放送波を受信し、EPG情報を取得する。
本実施形態において、電子機器100の現在の動作モードがスタンバイモードまたは機能待機モードである場合に、モード切換制御部156は、アクティブモードに切換えるための第1の回数よりも少ない第2の回数の音波が収音部124に入力されると、すなわち、第1所定回数のエッジパルスを検出する前の第2所定回数のエッジパルスの検出をトリガとして、スタンバイモードからプレアクティブモードへの切換動作を開始する。その後、モード切換制御部156は、第1の回数の音波が収音部124に入力されると、すなわち、アクティブモードに切換えるための第1所定回数のエッジパルスを検出するとプレアクティブモードからアクティブモードへの切換動作を開始する。したがって、第1所定回数目のエッジパルスを検出してから初めてアクティブモードへの切換動作を開始する場合と比較して、アクティブモードへの切換えが完了する時間を短縮することができる。
また、本実施形態において、モード切換制御部156は、電子機器100の現在の動作モードがスタンバイモードである場合、所定時間ごとに機能待機モードへの切換動作を開始する。さらにモード切換制御部156は、現在の動作モードがアクティブモードであるときにユーザ102による番組の視聴を終了する旨の操作入力を受け付けた場合も、機能待機モードへの切換動作を開始する。そして、電子機器100の動作モードが機能待機モードに切換わると、番組受信部114はEPG情報の取得を開始し、かかるEPG情報の取得が完了すると、モード切換制御部156は、動作モードを機能待機モードからスタンバイモードへの切換動作を開始する。
このような動作モードの変換に費やす時間を説明すると、図6に示すように、モード切換制御部156が、動作モードをスタンバイモードからプレアクティブモードへ切換える際に切換開始から切換完了までにかかる移行時間ts1は約5秒である。一方、プレアクティブモードからアクティブモードへ切換える際に切換開始から切換完了までにかかる移行時間ts2は約0.2秒と短くなる。
機能待機モードからプレアクティブモードへ切換える際に切換開始から切換完了までにかかる移行時間ts3は約2秒であり、スタンバイモードからから機能待機モードへの切換開始から切換完了までの移行時間ts4は、約3秒であり、アクティブモードから機能待機モードへの切換開始から切換完了までの移行時間ts5は、約2秒である。また、アクティブモードからスタンバイモード、プレアクティブモードからスタンバイモード、機能待機モードからスタンバイモードへの切換開始から切換完了までの移行時間ts6、ts7、ts8は、約0.2秒である。
上述したようにモード切換制御部156は、現在の動作モードがアクティブモードになっていないとき、エッジパルスを第2所定回数検出すると、プレアクティブモードへの切換動作を開始し、第2所定回数より大きい第1所定回数エッジパルスを略等間隔(例えば、略1秒間隔)で連続して検出すると、アクティブモードへの切換動作を開始する。
ここでは、第1の回数、すなわち第1所定回数を3とし、第2の回数、すなわち第2所定回数を1とする。プレアクティブモードへの切換動作を開始するトリガとなるエッジパルスを1回目の拍手音に基づくエッジパルスとする構成により、最も早くプレアクティブへの切換動作を開始することができ、第1所定回数(ここでは、3回)のエッジパルスの検出すなわちアクティブモードへの切換動作を開始するためのトリガの検出とアクティブモードへの切換えの完了との差を短くすることが可能となる。
また、第1所定回数を3とする構成により、第1所定回数が3未満であることに起因する所定の音信号の誤検出の可能性を回避できる。また、第1所定回数が3より大きいと、第1所定回数目のエッジパルスの予測検出時刻を高精度に導出することはできるが、ユーザが音波を発生させる回数が増加してしまい、操作が煩雑になってしまうおそれが生じるため、第1所定回数は3が好ましい。
図7は、第1の実施形態にかかるモード切換制御部156の処理を説明するための説明図である。図7では、電子機器100の現在の動作モードがスタンバイモードになっている場合を例に挙げて説明する。
モード切換制御部156は、入力音信号処理部154が生成した図7(a)に示すようなエッジパルスP1を検出すると、図7(b)に示すように、プレアクティブモードへの切換動作を開始し、番組受信部114に開始信号を送信する。かかる開始信号を受信した番組受信部114は、デジタル放送波の受信を開始する。
そして、モード切換制御部156は、開始信号を送信するトリガとなった1回目のエッジパルスP1を検出してから、図7(a)に示す2回目のエッジパルスP2、3回目のエッジパルスP3のように連続して2回エッジパルスを検出すると、アクティブモードへの切換動作を開始し、図7(c)に示すように、表示制御部150および音声制御部152に連続信号を送信する。連続信号を受信した表示制御部150は、番組受信部114が復号した映像信号を画像として表示部116に表示させ、連続信号を受信した音声制御部152は、番組受信部114が復号した音信号を音波として音声出力部122に出力させる。本実施形態では、1回目のエッジパルスP1を検出した時刻をt1、2回目のエッジパルスP2を検出した時刻をt2、3回目のエッジパルスP3を検出した時刻をt3とする。
本実施形態において、モード切換制御部156は、上記した条件で連続信号を出力しているが、これに限るものではない。エッジパルスが第1所定回数以上、不必要に発生している場合にそれを第1所定回数のエッジパルスと認識しないように、モード切換制御部156は、エッジパルスを第1所定回数(ここでは3回)検出したとしてもすぐにアクティブモードへの切換動作を開始せず、3回目のエッジパルスP3以降、次のエッジパルスが検出されなかったことをもって連続信号を出力してもよい。
本実施形態では、スタンバイモードからプレアクティブモードへの切換開始時点からプレアクティブモードへの切換完了時点までにかかる移行時間をts1とした。スタンバイモードからプレアクティブモードへの切換開始時点は、1回目のエッジパルスP1を検出した時刻t1とする。また、プレアクティブモードからアクティブモードへの切換えにかかる移行時間をts2とした。
図7(d)は、移行時間ts1が1回目のエッジパルスP1を検出した時刻t1から3回目のエッジパルスP3を検出する時刻t3までの時間より短い(t3−t1>ts1)場合のモード切換制御部156による動作モードの切換えを示す。ここではt3−t1>ts1の場合をモード遷移Aとする。図7(d)に示すモード遷移Aの場合、3回目のエッジパルスP3を検出する時刻t3までに、プレアクティブモードへの切換えが完了しているため、3回目のエッジパルスP3が検出されると、検出された時刻t3から移行時間ts2が経過した後、速やかにアクティブモードへの切換えが完了する。
一方、プレアクティブモードが設けられていない従来の状態遷移では、図7(e)に示すように、3回目のエッジパルスP3を検出してから、初めてモード切換えを制御する信号が出力されていた。したがって時刻t3よりスタンバイモードからアクティブモードへの切換動作が開始されるため、3回目のエッジパルスP3を検出した時刻t3から、移行時間ts1と移行時間ts2が経過した後アクティブモードへの切換えが完了することになる。
したがって、図7(d)に示すモード遷移Aの場合、図7(e)に示す従来の状態遷移と比較して、3回目のエッジパルスP3を検出してから、(ts1+ts2)−ts2=ts1分早くアクティブモードへの切換えを完了することができる。
図7(f)および図7(g)は、1回目のエッジパルスP1を検出した時刻t1から3回目のエッジパルスP3を検出する時刻t3までの時間が、移行時間ts1より短い(t3−t1≦ts1)場合を示す。ここではt3−t1≦ts1の場合をモード遷移Bとする。図7(g)に示すモード遷移Bでは、3回目のエッジパルスP3を検出した時刻t3までに、移行時間ts1が経過せず3回目のエッジパルスP3が検出されてもプレアクティブモードへの切換えは完了しない。しかし、図7(e)に示す従来と比較して、3回目のエッジパルスP3を検出してから、(ts1+ts2)−(ts1−(t3−t1)+ts2)=t3−t1分早くアクティブモードへの切換えを完了することができる。
上述したように、本実施形態にかかる電子機器100は、現在の動作モードが表示部116に画像が表示されるアクティブモードになっていない、例えばスタンバイモードのとき、アクティブモードに切換えるための第1所定回数(3回)のエッジパルスを検出する前の第2所定回数(1回)のエッジパルスの検出をトリガとして、プレアクティブモードへの切換動作を開始する。換言すれば、アクティブモードに切換えるための第1所定回数目のエッジパルスを検出したときには、すでに、プレアクティブモードへの切換動作中またはプレアクティブモードへの切換えが完了していることになる。
したがって、図7(d)に示すように、モード切換制御部156は、第1所定回数目のエッジパルスである3回目のエッジパルスP3を検出したときに、プレアクティブモードへの切換えが完了していれば、第1所定回数目のエッジパルスP3の検出をトリガとして、即座にアクティブモードへ切換えることができる。そうすると図7(e)に示す、第1所定回数目のエッジパルスである3回目のエッジパルスP3を検出してから初めてアクティブモードへの切換動作を開始する場合と比較して、アクティブモードへの切換えが完了する時間を前倒し(短縮)することが可能となる。つまり、ユーザが画像を表示させるために第1所定回数目の音波を発生させる前に、すでに電子機器100はプレアクティブモードになっているため、ユーザは、画像を表示させるための操作となる3回の音波を発生させてから、ほとんど待ち時間を感じずに画像を視認することができる。
また、図7(g)に示すように、第1所定回数目のエッジパルスである3回目のエッジパルスP3を検出した時刻t3に、プレアクティブモードへの切換えが完了していなくても、プレアクティブモードへの切換動作は開始されているため、上記同様、図7(e)に示す従来の場合と比較して、表示部116に早く画像を表示させることが可能となる。
上述したように、モード切換制御部156は、ユーザが途中でアクティブモードへの切換えを中止した場合や、所定の音信号ではない別の音信号を所定の音信号と誤って検出した場合であっても、第2所定回数(1回)のエッジパルスを検出するとプレアクティブモードへ移行してしまう。
そこで、モード切換制御部156は、現在の動作モードがアクティブモードでない場合において、複数回検出されたエッジパルスのうち、連続して検出されたエッジパルス間の時間間隔を求め、かかる時間間隔に基づいて、次回の音波が入力される第3の時刻、すなわち次にエッジパルスが検出される時刻を算出する。そして、モード切換制御部156は、算出した第3の時刻に基づく所定時間内に、次回の音波が入力(次回のエッジパルスが検出)されないと、プレアクティブモードへの切換動作を注視し、スタンバイモードへの切換動作を開始する。
例えば本実施形態であれば2回のエッジパルスを検出した後、その2回のエッジパルス間の時間間隔(以下、単に検出時間間隔と称する)から予測された、次回(3回目)のエッジパルスが検出される時刻(以下、単に予測検出時刻と称する)を設定し、予想検出時刻を基準とした所定時間内(以下、所定時間範囲と称する)に、3回目のエッジパルスが検出されたか否かに基づいてモードの切換開始または切換中止を判断する。3回目のエッジパルスが検出されなかった場合、すなわち、連続してエッジパルスが検出されなかった場合、モード切換制御部156は入力されたエッジパルスがアクティブモードへの切換えのトリガではないとみなして、そのプレアクティブモードへの切換動作を中止し、消費電力の最も小さいスタンバイモードに戻すべく、スタンバイモードへの切換動作を開始する。
図8は、モード切換制御部156の処理を説明するための説明図である。本実施形態において、モード切換制御部156は上述したように、略等間隔に3回エッジパルスを検出するとアクティブモードへの切換動作を開始するように予め設定されている。このため、モード切換制御部156は、1回目のエッジパルスP1を検出した時刻t1と2回目のエッジパルスP2を検出した時刻t2との検出時間間隔t2−t1から3回目のエッジパルスP3を検出する時刻(予測検出時刻)tpを予測することができる。具体的には、モード切換制御部156は、2回目のエッジパルスP2を検出すると、1回目のエッジパルスP1と2回目のエッジパルスP2の検出時間間隔t2−t1を導出し、3回目のエッジパルスP3が時刻t2から検出時間間隔t2−t1が経過した予測検出時刻tpの前後を含む所定時間範囲tg内に検出されると予測することが可能となる。
一方、モード切換制御部156は、現在の動作モードがスタンバイモードである場合、図8(a)に示すような入力音信号処理部154が生成したエッジパルスP1を検出すると、プレアクティブモードへの切換動作を開始し、図8(b)に示すように番組受信部114に開始信号を送信する。そして開始信号を受信した番組受信部114は、デジタル放送波の受信を開始する。
続いて、図8(c)に示すように、モード切換制御部156は、開始信号を送信するトリガとなった1回目のエッジパルスP1と2回目のエッジパルスP2との検出時間間隔t2―t1から予測された、3回目のエッジパルスP3の予測検出時刻tpを基準とした所定時間範囲tg内に、3回目のエッジパルスP3が検出されるか否かを判定する。3回目のエッジパルスP3が検出された場合、モード切換制御部156はアクティブモードへの切換えを開始し、検出されない場合、モード切換制御部156は、動作モードをスタンバイモードへ戻すべく、スタンバイモードへの切換動作を開始し、連続信号を送信せず、図8(d)に示すように、中断信号を番組受信部114に送信する(図8(e))。
かかる構成により、プレアクティブモードを不用意に継続してしまうことに起因する、無駄な消費電力を削減することができる。
また、上述したようにモード切換制御部156は、画像を表示させるための所定の音信号ではない別の音信号を所定の音信号として誤って検出した場合であっても、プレアクティブモードへの切換動作を開始してしまう。
そこで、モード切換制御部156は後述する図9に示すように、任意の音波が入力されてから、すなわち任意のエッジパルス、例えば、1回目のエッジパルスP1を検出した時刻t1から所定時間(以下、タイムアウト時間ttと称する)内に次の音波が入力される(次のエッジパルスが検出される)か否かを判定する。タイムアウト時間ttを経過してもなお次のエッジパルスが検出されない場合、すなわち、検出したエッジパルスに連続性が無い場合、かかるエッジパルスP1を誤検出とみなして、そのプレアクティブモードへの切換動作を中止し、消費電力の最も小さいスタンバイモードへ戻すべく、スタンバイモードへの切換動作を開始する。
図9は、第1の実施形態にかかるモード切換制御部156の処理を説明するための説明図である。図9(a)に示すように、モード切換制御部156は、現在の動作モードがスタンバイモードである場合、入力音信号処理部154が生成したエッジパルスP1を検出すると、プレアクティブモードへの切換動作を開始し、図9(b)に示すように番組受信部114に開始信号を送信する。そして開始信号を受信した番組受信部114は、デジタル放送波の受信を開始する。
続いて、モード切換制御部156は、開始信号を送信するトリガとなった1回目のエッジパルスP1を検出した時刻t1から図9(e)に示す所定のタイムアウト時間ttを経過してもなお次の2回目のエッジパルスP2が検出されない場合、スタンバイモードへ戻すべく、スタンバイモードへの切換動作を開始し、連続信号を送信せず(図9(c))、図9(d)に示すように、中断信号を番組受信部114に送信する。
かかる構成により、プレアクティブモードを不用意に継続してしまうことに起因する、無駄な消費電力を削減することができる。
(制御方法)
また、上述した電子機器100を用いた制御方法も提供される。図10は、第1の実施形態にかかる電子機器100を制御する制御方法の具体的な処理を示したフローチャートである。ここでは、理解を容易にするため、アクティブモードへの切換え回数である第1所定回数を3回、プレアクティブモードへの切換え回数を1回としている。
電子機器100において、収音部124に音波が入力されると、収音部124は、入力された音波を音信号(電気信号)に変換する。そして、図10に示すように、中央制御部110の入力音信号処理部154は、収音部124が変換した音信号が拍手音の音信号を示す(S200のYES)場合にエッジパルスを生成し(S202)、モード切換制御部156は、電子機器100の現在の動作モードが既にアクティブモードになっているか否かを判定する(S204)。
電子機器100の現在の動作モードがアクティブモードになっていなければ(S204のNO)、モード切換制御部156は、エッジパルス生成ステップS202で生成されたエッジパルスの検出カウントをインクリメントする(S206)。そしてモード切換制御部156は、エッジパルスの検出カウントが3であるか否かを判定し(S208)、3でなければ(S208のNO)、今度は検出カウントが2であるか否かを判定し(S210)、2でなければ(S210のNO)、検出カウントが1であるか否かを判定する(S212)。エッジパルスの検出カウントが1である場合(S212のYES)、プレアクティブモードへの切換動作を開始し(S214)、1回目のエッジパルスP1が検出されたことを示すフラグを立てると共に2回目のエッジパルスP2のタイムアウト時間ttの終了時刻であるタイムアウト時刻toを設定して(S216)、音信号判定ステップS200へ戻る。
そして、次の音信号が拍手音であり(S200のYES)、エッジパルスが生成される(S202)と、エッジパルスの検出カウントがインクリメントされ(S206)、検出カウントが2になる。したがって、検出カウント判定ステップS210で検出カウントが2であると判定され(S210のYES)、モード切換制御部156は2回目のエッジパルスP2が検出されたことを示すフラグを立て(S218)、1回目のエッジパルスP1を検出した時刻t1と2回目のエッジパルスP2を検出した時刻t2との検出時間間隔t2−t1から3回目のエッジパルスP3を検出する時刻(予測検出時刻)tpを算出し、予測検出時刻tpを含む所定時間範囲tgの開始時刻tg1と終了時刻tg2とを設定する(S220)。
さらに、次の音波の音信号が拍手音の音信号であり(S200のYES)、エッジパルスが生成される(S202)と、エッジパルスの検出カウントがインクリメントされ(S206)、検出カウントが3になる。したがって、検出カウント判定ステップS208で検出カウンタが3であると判定され(S208のYES)、続いて現時刻が開始時刻tg1より前か否かが判定される(S222)。現時刻が開始時刻tg1より前でなければ(S222のNO)、その3回目のエッジパルスは適切な時間に入力されたと判断され、モード切換制御部156は、アクティブモードへの切換動作を開始し(S224)、エッジパルスの検出カウントおよびエッジパルスP1、P2のフラグをクリアする(S226)。また、現時刻が開始時刻tg1より前と判定されると(S222のYES)、今回入力された3回目のエッジパルスP3を無効にするためエッジパルスの検出カウントをデクリメントする(S228)。ここでは、現時刻が開始時刻tg1より前と判定されると(S222のYES)、今回入力された3回目のエッジパルスP3を無効にするためエッジパルスの検出カウントをデクリメントする(S228)が、現時刻が開始時刻tg1より前と判定される場合(S222のYES)、エッジパルスの検出カウントをクリアにしてすべてのエッジパルスを無効にしてスタンバイモードへの切換えを開始してもよい。
収音部124が変換した音信号が拍手音の音信号を示さない場合(S200のNO)、モード切換制御部156は、2回目のエッジパルスP2がすでに検出されているか否かをフラグを通じて判断する(S230)。2回目のエッジパルスP2がすでに検出されていると(S230のYES)、現時刻が終了時刻tg2より後か否かを判定する(S232)。モード切換制御部156が、現時刻が終了時刻tg2より後であると判断すると(S232のYES)、スタンバイモードへの切換動作を開始し(S234)、エッジパルスの検出カウントおよびエッジパルスP1、P2のフラグをクリアする(S236)。そして、音信号判定ステップS200へ戻る。
また、2回目のエッジパルスP2検出済判定ステップ(S230)において、モード切換制御部156が、2回目のエッジパルスP2がまだ検出されていないと判断した場合(S230のNO)、1回目のエッジパルスP1がすでに検出されているか否かをフラグを通じて判断する(S238)。1回目のエッジパルスP1がすでに検出されていると(S238のYES)、モード切換制御部156は、現時刻がタイムアウト時刻toより後か否かを判定する(S240)。
モード切換制御部156が、現時刻がタイムアウト時刻toより後であると判断すると(S240のYES)、モード切換制御部156は、スタンバイモードへの切換動作を開始し(S242)、エッジパルスの検出カウントをクリアする(S236)。そして、音信号判定ステップS200へ戻る。
終了時刻tg2経過判定ステップ(S232)において、モード切換制御部156が、現時刻は終了時刻tg2より後ではないと判断した場合(S232のNO)、1回目のエッジパルスP1検出済判定ステップ(S238)において、モード切換制御部156が、1回目のエッジパルスP1がまだ検出されていないと判断した場合(S238のNO)、または、タイムアウト時刻to経過判定ステップ(S240)において、モード切換制御部156が、現時刻はタイムアウト時刻toより後ではないと判断した場合(S240のNO)、音信号判定ステップS200へ戻る。
上述したように、本実施形態にかかる電子機器100を制御する制御方法においても、別途特別な装置を付加することなく、スムーズに画像を表示部116に表示させることが可能となる。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態の電子機器100は、アクティブモードに切換えるための第1所定回数目のエッジパルスを検出したときには、すでに、プレアクティブモードへの切換動作中またはプレアクティブモードへの切換えが完了しているため、スムーズに画像を表示部116に表示させることができた。しかし、プレアクティブモードへの移行時間が固定であるのに対して、第2所定回数目のエッジパルスを検出してから第1所定回数目のエッジパルスを検出するまでの時間が不定なので、プレアクティブモードへの移行が早すぎて電力を費やす場合が生じうる。本実施形態では、スムーズな画像の表示を遂行しつつ、プレアクティブモードへの移行時間を調整することで、消費電力を低減させることができる電子機器300について説明する。
(電子機器300)
図11は、第2の実施形態にかかる電子機器300の概略的な構成を示した機能ブロック図である。図11に示すように、電子機器300は、制御部としての中央制御部310と、装置メモリ112と、番組受信部114と、表示部116と、出力アンプ120、音声出力部122と、収音部124と、入力アンプ126とを含んで構成される。なお、上述した第1の実施形態の電子機器100と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
中央制御部310は、中央処理装置(CPU)や信号処理装置(DSP)を含む半導体集積回路で構成され、所定のプログラムを用いて電子機器300全体を管理および制御する。
また、本実施形態において、中央制御部310は、表示制御部150、音声制御部152、入力音信号処理部154、電力調整部320、モード切換制御部356としても機能する。ここでも、上述した第1の実施形態の中央制御部110と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
電力調整部320は、複数かつ第1の回数(ここでは3)未満の回数入力された音波のうち連続して入力された音波間の時間間隔を求め、かかる時間間隔に基づいて、第1の回数の音波が入力される第1の時刻を算出する。本実施形態において電力調整部320は、複数のエッジパルスを検出したときに、その複数のエッジパルスの検出時間間隔から、第1の時刻として、第1所定回数目のエッジパルスの予測検出時刻tpを算出する。そして電力調整部320は、算出した予測検出時刻tpと、予め定めたプレアクティブモードへの切換えの完了に要する時間に基づくプレアクティブモードへの切換えが完了する時刻の予測値である予測完了時刻tcとが異なる場合、予測完了時刻tcが第1所定回数目のエッジパルスの予測検出時刻tp近傍の任意の時刻になるように、電子機器300に消費させる電力、例えば、中央制御部310のクロックの速度を調整する。
図12は、第2の実施形態にかかる電力調整部320の処理を説明するための説明図である。
本実施形態においてモード切換制御部356は、現在の動作モードがスタンバイモードである場合、入力音信号処理部154が生成した図12(a)に示すようなエッジパルスP1を時刻t1で検出すると、図12(b)に示すように、プレアクティブモードへの切換動作を開始し、番組受信部114に開始信号を送信する。そして開始信号を受信した番組受信部114は、デジタル放送波の受信を開始する。
また、モード切換制御部356は、現在の動作モードがスタンバイモードである場合、入力音信号処理部154が生成した1回目のエッジパルスP1を検出すると、開始信号を電力調整部320にも送信する。
そして、モード切換制御部356は、開始信号を送信するトリガとなった1回目のエッジパルスP1を検出してから、第2所定回数より大きく第1所定回数未満の第3所定回数(本実施形態では2回)目のエッジパルスP2を検出すると、図12(c)に示すように、電力調整部320に調整信号を送信する。
電力調整部320は、開始信号の受信時刻t1と調整信号の受信時刻t2とから1回目のエッジパルスP1と2回目のエッジパルスP2の検出時間間隔(t2−t1)を導出する。そして、アクティブモードへの切換動作を開始するためのトリガである3回目のエッジパルスP3の予測検出時刻tpを、検出時刻t2から検出時間間隔t2−t1が経過した時刻と予測する。
続いて、電力調整部320は、予め定められたスタンバイモードからプレアクティブモードへの切換えに要する移行時間ts1に基づいて、プレアクティブモードへの切換えが完了する時刻の予測値である予測完了時刻tc(ここでは、t1+ts1、図6参照)を導出する。そして電力調整部320は、予測完了時刻tcと予測検出時刻tpとが異なるか否かを判定し、予測完了時刻tcが予測検出時刻tp近傍の任意の時刻になるように、電子機器300に消費させる電力を調整する。本実施形態では予測検出時刻tpは、3回目のエッジパルスP3が検出される時刻とし、tp≒t1+2×(t2−t1)で求める。
図12(d)および(e)は、予測完了時刻tcが予測検出時刻tpよりも早い場合の電力調整部320の処理を説明するための説明図である。図12(a)に示すような間隔でエッジパルスが入力されると、図12(d)に示すように、予測完了時刻tcが予測検出時刻tpよりも早い時刻となり、予測検出時刻tpになる前にプレアクティブモードへの切換えが完了してしまう。
ここで消費電力について説明すると、電子機器300の各動作モードにおける消費電力は、スタンバイモード、プレアクティブモード、アクティブモードの順に大きい。本実施形態における電子機器300においては、例えば、スタンバイモードは約0.2W、プレアクティブモードは約20W、アクティブモードは約200Wである。また、機能待機モードはプレアクティブモードと略等しい消費電力である。
したがって、図12(d)に示すように、予測完了時刻tcが予測検出時刻tpよりも早い場合、プレアクティブモードへの移行が完了してから第1所定回数目(3回目)のエッジパルスを待つだけの期間が生じてしまい、かかる期間で無駄な電力消費が発生する。
そのため、電力調整部320は電子機器300に消費させる電力を調整して、予測完了時刻tcを予測検出時刻tpに近づけることが好ましい。そこで、電力調整部320は、下記の式1を用いて、2回目のエッジパルスP2の検出に基づく調整信号を受信した時刻t2においてプレアクティブモードへの切換動作がどの程度遂行されているのかを示す進行率αを導出する。
α=(t2−t1)/ts1 (式1)
ここで、ユーザは略等間隔で音波を発生させると仮定するとt2−t1≒tp−t2であるから、予測完了時刻tcを予測検出時刻tpの近傍にするために、電力調整部320は、2回目のエッジパルスP2を検出した時刻t2から予測検出時刻tpまでのプレアクティブモードへの切換えの処理速度を、1回目のエッジパルスP1を検出した時刻t1から2回目のエッジパルスP2を検出した時刻t2の処理速度に(1−α)/αを乗じた速度となるように電子機器300に消費させる電力を小さく調整すればよい。
本実施形態にかかる電子機器300は、アクティブモードへの切換開始のトリガが生じる前にプレアクティブモードへの切換動作を開始しておくことを目的としている。しかし、上述したようにプレアクティブモードは、アクティブモードほどではないが番組受信部114が動作しないスタンバイモードより100倍程度消費電力が大きくなる。このようなプレアクティブモードに不用意に早く移行してしまうと、プレアクティブモードへの切換えが完了した後、第1所定回数目のエッジパルスが生じるまでの間、無駄な電力を消費してしまう。ここでは、調整信号の受信をトリガとして電力調整部320が、電子機器300に消費される電力を調整して、プレアクティブモードへの切換完了とアクティブモードへの切換開始との時刻を合わせることで、プレアクティブモードを維持している時間を削減し、消費電力の総合的な低減を図ることが可能となる。
図12(f)、(g)および(h)は、予測完了時刻tcが予測検出時刻tpよりも遅い場合の電力調整部320の処理を説明するための説明図である。図12(f)に示すような間隔でエッジパルスが入力されると、図12(g)に示すように、予測完了時刻tcが予測検出時刻tpよりも遅い時刻となり、予測検出時刻tpにはプレアクティブモードへの切換えが完了しない。そのため、ユーザがアクティブモードへ切換えるための第1所定回数目(3回目)の拍手音を発生させてから、電子機器300がアクティブモードに切り換わるまでに時間がかかる。
そこで、図12(h)に示すように、予測完了時刻tcが予測検出時刻tpよりも遅い場合、電力調整部320は、上記の式1を用いて、予測完了時刻tcを予測検出時刻tpの近傍にするために、電力調整部320は、検出時刻t2から予測検出時刻tpまでのプレアクティブモードへの切換えの処理速度を、1回目のエッジパルスP1を検出した時刻t1から2回目のエッジパルスP2を検出した時刻t2の処理速度に(1−α)/αを乗じた速度となるように電子機器300に消費させる電力を大きく調整すればよい。
また、電力調整部320が、予め、予測完了時刻tcが予測検出時刻tpよりも遅くなるように電力を下げておけば、予測完了時刻tcと予測検出時刻tpが略等しい場合と比較して、ユーザが途中でアクティブモードへの切換えの中止を試みた場合や、所定の音信号ではない別の音信号を所定の音信号と誤って検出した場合に、電子機器300に消費させる電力を削減することが可能となる。
(第3の実施形態:電子機器400)
図13は、第3の実施形態にかかる電子機器400の概略的な構成を示した機能ブロック図である。図13に示すように、電子機器400は、制御部としての中央制御部410と、メモリ412と、番組受信部114と、表示部116と、出力アンプ120、音声出力部122と、収音部124と、入力アンプ126とを含んで構成される。なお、上述した第1の実施形態の電子機器100と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
中央制御部410は、中央処理装置(CPU)や信号処理装置(DSP)を含む半導体集積回路で構成され、所定のプログラムを用いて電子機器400全体を管理および制御する。
装置メモリ412は、RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成される。本実施形態において、装置メモリ412は、後述する電力調整部420が求めた、過去における第2所定回数目のエッジパルスの実際の検出時刻から第1所定回数目のエッジパルスの実際の検出時刻までの実検出時間の履歴(以下、単に検出時間履歴と称する)を保持する。かかる検出時間履歴は、過去の第2所定回数目のエッジパルスの検出時刻から第1所定回数目のエッジパルスの検出時刻までの実検出時間の平均値、第2所定回数目のエッジパルスの検出時刻から第1所定回数目のエッジパルスの検出時刻までの実検出時間の前回値等である。
また、本実施形態において、中央制御部410は、表示制御部150、音声制御部152、入力音信号処理部154、モード切換制御部356、電力調整部420としても機能する。ここでも、上述した第1および第2の実施形態の中央制御部110、310と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
電力調整部420は、過去における第2の回数の音波が入力された時刻(本実施形態では、第2所定回数目のエッジパルスの実際の検出時刻)から第1の回数の音波が入力された時刻(本実施形態では、第1所定回数目のエッジパルスの実際の検出時刻)までの時間間隔(検出時間履歴)を予め求めて、装置メモリ412に保持させる。そして、電力調整部420は、かかる検出時間履歴に基づいて、第1の回数の音波が入力される第1の時刻、すなわち第1所定回数目のエッジパルスの予測検出時刻を算出する。本実施形態において電力調整部420は、モード切換制御部356が送信した開始信号を受信すると、装置メモリ412が保持する検出時間履歴に基づいて、第1所定回数目のエッジパルスの今回の検出時刻である予測検出時刻を算出し、予め定めたプレアクティブモードの切換え完了に要する時間に基づくプレアクティブモードへの切換えが完了する時刻の予測値である予測完了時刻(第2の時刻)が第1所定回数目のエッジパルスの予測検出時刻(第1の時刻)近傍の任意の時刻になるように、電子機器400に消費させる電力を調整する。
ユーザの音波の発生動作は習慣的な動作となることが多い。したがって、開始信号の受信をトリガとして電力調整部420が、かかる検出時間履歴に基づいて、電子機器400に消費させる電力を調整し、プレアクティブモードへの切換えを完了することで、アクティブモードへの切換開始とプレアクティブモードへの切換完了とを近づけることができる。したがって、プレアクティブモードを維持している時間を削減し、消費電力の総合的な低減を図ることが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
なお、本明細書の制御方法における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。