JP5590329B2 - 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐欠損性を備える表面被覆切削工具 - Google Patents
硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐欠損性を備える表面被覆切削工具 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5590329B2 JP5590329B2 JP2011021626A JP2011021626A JP5590329B2 JP 5590329 B2 JP5590329 B2 JP 5590329B2 JP 2011021626 A JP2011021626 A JP 2011021626A JP 2011021626 A JP2011021626 A JP 2011021626A JP 5590329 B2 JP5590329 B2 JP 5590329B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- pore size
- hard coating
- micropores
- chipping resistance
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)
- Chemical Vapour Deposition (AREA)
Description
(a)下部層が、いずれも化学蒸着形成された、Tiの炭化物(以下、TiCで示す)層、窒化物(以下、同じくTiNで示す)層、炭窒化物(以下、TiCNで示す)層、炭酸化物(以下、TiCOで示す)層および炭窒酸化物(以下、TiCNOで示す)層のうちの1層または2層以上からなるTi化合物層、
(b)上部層が、化学蒸着形成された酸化アルミニウム(以下、Al2O3で示す)層、
以上(a)および(b)で構成された硬質被覆層を形成してなる被覆工具が知られており、この被覆工具は、各種の鋼や鋳鉄などの切削加工に用いられていることが知られている。
(a)工具基体表面に、通常のTi化合物層からなる目標厚さの下部層を蒸着形成し、
(b)次いで、反応ガスとして、AlCl3−CO2−HCl−H2S−H2を用いて、化学蒸着法により上部層としてAl2O3層を形成し、
(c)前記(b)の成膜過程の後、上記反応ガスの導入を停止すると同時に、SF6系ガスを主として孔径が2〜10nmの微小空孔が生成するA条件(後述)で導入してSF6エッチングを行い、
(d)次いで、前記(b)の工程を再度行ない、
(e)前記(d)の成膜過程の後、上記反応ガスの導入を停止すると同時に、SF6系ガスを主として孔径が20〜50nmの微小空孔が生成するB条件(後述)で導入してSF6エッチングを行い、
(f)次いで、前記(b)の工程を再度行ない、
(g)前記(c)〜(f)の工程を繰り返し行なうことによって、上部層のAl2O3層中にバイモーダルな孔径分布を有する微小空孔を形成する。
「(1) 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に硬質被覆層を設けた表面被覆切削工具において、
前記硬質被覆層が下部層と上部層とからなり、
(a)前記下部層は、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、かつ、3〜20μmの合計平均層厚を有するTi化合物層、
(b)前記上部層は、1〜25μmの平均層厚を有する酸化アルミニウム層、
であり、
前記上部層が孔径2〜50nmの微小空孔を有し、該微小空孔の孔径分布がバイモーダルな分布をとることを特徴とする表面被覆切削工具。
(2) 前記微小空孔の孔径分布の第1ピークが、2〜10nmに存在し、孔径2nmごとにポアを数えたときのポア数密度が200〜500個/μm2であって、
前記微小空孔の孔径分布の第2ピークが、20〜50nmに存在し、孔径2nmごとにポアを数えたときのポア数密度が10〜50個/μm2であることを特徴とする(1)に記載の表面被覆切削工具。」
に特徴を有するものである。
下部層のTi化合物層:
Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上のTi化合物層からなる下部層は、通常の化学蒸着条件で形成することができ、それ自体が高温強度を有し、これの存在によって硬質被覆層が高温強度を具備するようになるほか、工具基体とAl 2 O 3 層からなる上部層のいずれにも強固に密着し、よって硬質被覆層の工具基体に対する密着性向上に寄与する作用をもつが、その合計平均層厚が3μm未満では、前記作用を十分に発揮させることができず、一方、その合計平均層厚が20μmを越えると、チッピングを発生しやすくなることから、その合計平均層厚を3〜20μmと定めた。
上部層のAl2O3層:
上部層を構成するAl2O3層が、高温硬さと耐熱性を備えることは既に良く知られているが、その平均層厚が1μm未満では、長期の使用に亘っての耐摩耗性を確保することができず、一方、その平均層厚が25μmを越えるとAl2O3結晶粒が粗大化し易くなり、その結果、高温硬さ、高温強度の低下に加え、高速断続切削加工時の耐チッピング性、耐欠損性が低下するようになることから、その平均層厚を1〜25μmと定めた。
上部層に形成する微小空孔:
本発明の孔径2〜50nmの微小空孔が所定の孔径分布で分散分布しているAl 2 O 3 層で構成された上部層は、切れ刃が高温に曝され、しかも、機械的・熱的衝撃を受ける高速断続切削加工においても、すぐれた高温強度、高温硬さを備え、同時に、すぐれた耐チッピング性、耐欠損性を発揮する。
孔径分布がバイモーダルな分布をとる微小空孔の形成:
本発明の微小空孔は、通常の化学蒸着条件で成膜した上部層の形成過程中に次の2つの条件によるエッチングを施すことによって形成することができる。
(A条件)
反応ガス組成(容量%):
SF6:5〜10%,
H2:残
反応雰囲気温度:800〜950℃、
反応雰囲気圧力: 4〜9kPa、
の条件で 7〜40分間SF6エッチングを行う。
(B条件)
反応ガス組成(容量%):
SF6:5〜10%,
H2:残
反応雰囲気温度:1000〜1050℃、
反応雰囲気圧力: 13〜27kPa、
の条件で 5〜40分間SF6エッチングを行う。
微小空孔の孔径分布形態:
図1に、前記のエッチング条件で形成された本発明の上部層中に形成された微小空孔の孔径分布図を示す。
(a)硬質被覆層の下部層として、表3に示される条件かつ表5に示される目標層厚でTi化合物層を蒸着形成する。
(b)次いで、硬質被覆層の上部層として、表3に示される条件でAl2O3層を蒸着形成する。
(c)次いで、(b)のAl2O3層成膜を停止し、表4に示されるA条件によるSF6エッチングを所定時間行い、さらに(b)の成膜工程を再度行ない、再度停止した後に表4に示されるB条件によるSF6エッチングを所定時間行い、さらに(b)の成膜工程を再度行なう。
(d)前記(c)の工程を繰り返し行い、表5に示される目標層厚のAl2O3層を蒸着形成する。
つぎに、前記本発明被覆工具1〜15および比較被覆工具1〜15について、表7に示す条件で切削加工試験を実施し、いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。
Claims (2)
- 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に硬質被覆層を設けた表面被覆切削工具において、
前記硬質被覆層が下部層と上部層とからなり、
(a)前記下部層は、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、かつ、3〜20μmの合計平均層厚を有するTi化合物層、
(b)前記上部層は、1〜25μmの平均層厚を有する酸化アルミニウム層、
であり、
前記上部層が孔径2〜50nmの微小空孔を有し、該微小空孔の孔径分布がバイモーダルな分布をとることを特徴とする表面被覆切削工具。 - 前記微小空孔の孔径分布の第1ピークが2〜10nmに存在し、孔径2nmごとにポアを数えたときの第1ピークにおけるポア数密度が200〜500個/μm2であって、
前記微小空孔の孔径分布の第2ピークが、20〜50nmに存在し、孔径2nmごとにポアを数えたときの第2ピークにおけるポア数密度が10〜50個/μm2であることを特徴とする請求項1記載の表面被覆切削工具。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011021626A JP5590329B2 (ja) | 2011-02-03 | 2011-02-03 | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐欠損性を備える表面被覆切削工具 |
CN201210006913.5A CN102626795B (zh) | 2011-02-03 | 2012-01-11 | 硬质包覆层具备耐崩刀性、耐缺损性的表面包覆切削工具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011021626A JP5590329B2 (ja) | 2011-02-03 | 2011-02-03 | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐欠損性を備える表面被覆切削工具 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012161847A JP2012161847A (ja) | 2012-08-30 |
JP5590329B2 true JP5590329B2 (ja) | 2014-09-17 |
Family
ID=46585292
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011021626A Active JP5590329B2 (ja) | 2011-02-03 | 2011-02-03 | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐欠損性を備える表面被覆切削工具 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5590329B2 (ja) |
CN (1) | CN102626795B (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5999362B2 (ja) * | 2013-03-12 | 2016-09-28 | 三菱マテリアル株式会社 | 表面被覆切削工具 |
RU2675190C2 (ru) * | 2014-01-30 | 2018-12-17 | Сандвик Интеллекчуал Проперти Аб | Покрытый оксидом алюминия режущий инструмент |
JP6198141B2 (ja) * | 2014-03-26 | 2017-09-20 | 三菱マテリアル株式会社 | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐欠損性を備える表面被覆切削工具 |
JP6423286B2 (ja) * | 2015-02-26 | 2018-11-14 | 三菱マテリアル株式会社 | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐摩耗性を発揮する表面被覆切削工具 |
JP6519952B2 (ja) * | 2015-07-30 | 2019-05-29 | 三菱マテリアル株式会社 | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 |
JP6761597B2 (ja) * | 2016-09-02 | 2020-09-30 | 三菱マテリアル株式会社 | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 |
JP7089038B2 (ja) * | 2018-09-05 | 2022-06-21 | 京セラ株式会社 | 被覆工具及び切削工具 |
Family Cites Families (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CA1174438A (en) * | 1981-03-27 | 1984-09-18 | Bela J. Nemeth | Preferentially binder enriched cemented carbide bodies and method of manufacture |
AU1026688A (en) * | 1987-01-20 | 1988-07-21 | Gte Laboratories Incorporated | A method for depositing composite coatings |
JP3087503B2 (ja) * | 1993-02-26 | 2000-09-11 | 三菱マテリアル株式会社 | 耐摩耗性および耐欠損性のすぐれた表面被覆炭化タングステン基超硬合金製切削工具の製造法 |
JP4534790B2 (ja) * | 2005-02-23 | 2010-09-01 | 三菱マテリアル株式会社 | 高速断続切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆サーメット製切削工具 |
JP4793750B2 (ja) * | 2005-04-19 | 2011-10-12 | 三菱マテリアル株式会社 | 高硬度鋼の高速断続切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆サーメット製切削工具 |
JP4756454B2 (ja) * | 2005-06-02 | 2011-08-24 | 三菱マテリアル株式会社 | 厚膜化α型酸化アルミニウム層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆サーメット製切削工具 |
JP4942326B2 (ja) * | 2005-10-28 | 2012-05-30 | 京セラ株式会社 | 表面被覆部材および表面被覆部材を用いた切削工具 |
JP2008178942A (ja) * | 2007-01-24 | 2008-08-07 | Mitsubishi Materials Corp | 表面被覆切削工具 |
JP2008200778A (ja) * | 2007-02-16 | 2008-09-04 | Mitsubishi Materials Corp | 表面被覆切削工具 |
JP5590327B2 (ja) * | 2011-01-11 | 2014-09-17 | 三菱マテリアル株式会社 | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐欠損性を備える表面被覆切削工具 |
JP5818159B2 (ja) * | 2011-02-03 | 2015-11-18 | 三菱マテリアル株式会社 | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐欠損性を備える表面被覆切削工具 |
-
2011
- 2011-02-03 JP JP2011021626A patent/JP5590329B2/ja active Active
-
2012
- 2012-01-11 CN CN201210006913.5A patent/CN102626795B/zh not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
CN102626795B (zh) | 2015-09-02 |
CN102626795A (zh) | 2012-08-08 |
JP2012161847A (ja) | 2012-08-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5818159B2 (ja) | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐欠損性を備える表面被覆切削工具 | |
JP5590335B2 (ja) | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐欠損性を備える表面被覆切削工具 | |
JP5590329B2 (ja) | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐欠損性を備える表面被覆切削工具 | |
JP6198141B2 (ja) | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐欠損性を備える表面被覆切削工具 | |
JP5590327B2 (ja) | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐欠損性を備える表面被覆切削工具 | |
JP5321094B2 (ja) | 表面被覆切削工具 | |
JP2013139065A (ja) | 高速断続切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 | |
JP2009006426A (ja) | 高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆切削工具 | |
JP5246518B2 (ja) | 硬質被覆層がすぐれた靭性、耐チッピング性を備える表面被覆切削工具 | |
JP5023896B2 (ja) | 表面被覆切削工具 | |
JP5003308B2 (ja) | 表面被覆切削工具 | |
JP5850402B2 (ja) | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 | |
JP5831704B2 (ja) | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐欠損性を備える表面被覆切削工具 | |
JP5838805B2 (ja) | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 | |
JP2013116548A (ja) | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 | |
JP4936211B2 (ja) | 硬質被覆層が高速切削ですぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆切削工具 | |
JP5636971B2 (ja) | 硬質被覆層がすぐれた靭性、耐チッピング性を備える表面被覆切削工具 | |
JP5838806B2 (ja) | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 | |
JP5892335B2 (ja) | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を備える表面被覆切削工具 | |
JP5686294B2 (ja) | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 | |
JP5928807B2 (ja) | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 | |
JP5928806B2 (ja) | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 | |
JP2013208698A (ja) | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 | |
JP5019257B2 (ja) | 表面被覆切削工具 | |
JP2013208697A (ja) | 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20130927 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20140626 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Effective date: 20140702 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140715 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Ref document number: 5590329 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |