燃料電池システムに係る基体は、収容室と、収容室に連通する換気入口および換気出口とをもつ。スタックは収容室に配置されており、カソードおよびアノードを有する。発電モジュールは、スタックを覆う断熱部とを有しており、且つ、200℃以上の高温の排ガスを発生させる。断熱部は、セラミックス材料でスタックを覆うように形成できる。排気通路は、発電モジュールの排ガスを筐体の外部に排出させる。換気ファンは収容室に配置されており、換気入口から収容室に吸引した空気を換気出口からの筐体の外部に排出させる。温度センサは、収容室のうち発電モジュールよりも外方の温度T1を検知する。制御部は、スタックの発電運転中において温度センサが検知する収容室の温度T1に基づいて、COを含み得る高温のガスが発電モジュールから収容室に洩れるガス洩れの有無を判定する。
本発明の一視点によれば、収容室の温度T1が第1所定温度以上であるとき、制御部は、ガス洩れの発生と判定する。収容室の温度T1が高温であれば、高温に維持される発電モジュール内の高温ガスが収容室に洩れていると考えられる。ここで、発電モジュールのガスが収容室に洩れずに、システムが正常に発電運転しているときにおいて第1温度センサが検知する収容室の温度をTkとする。温度Tkは、スタックに供給されるアノードガス(あるいは改質器が搭載される場合には、改質器に供給される燃料原料)の単位時間当たりの供給流量に基づいて調整される。従って、スタックに供給されるアノードガス(あるいは改質器に供給される燃料原料)の単位時間当たりの流量が増加すれば、収容室の温度Tkも昇温する。閾値としての第1所定温度は、発電モジュールのガスが収容室に洩れずに、システムが正常に発電運転しているときにおける収容室の温度Tkよりも高温に設定されている。第1所定温度は、スタックに供給されるアノードガス(あるいは改質器が搭載される場合には、改質器に供給される燃料原料)の単位時間当たりの供給流量に基づいて調整されることができる。
本発明の一視点によれば、好ましくは、収容室の温度T1は、収容室において換気出口の上流で且つ発電モジュールの下流の雰囲気温度とすることができる。発電モジュールから収容室にガスが洩れたときであっても、その洩れたガスは、筐体の換気出口から筐体の外部に排出される。従って収容室の温度T1が収容室において換気出口の上流で且つ発電モジュールの下流の雰囲気温度であれば、発電モジュールから洩れたガスによる温度上昇に対処し易い。この場合、ガス漏れの判定精度が高められる。
本発明の一視点によれば、発電モジュールの排ガスを排気通路を介して筐体の外部に排出させる前において排ガスに残留する可燃成分を触媒を用いて燃焼させる燃焼触媒部と、燃焼触媒部における温度T2を検知する温度センサとが設けられている。第2所定温度は、排気ガス中の有害ガス(CO,H2)を規定濃度以下に低減できる触媒性能より設定された値であり、システムが正常に発電運転しているときにおける燃焼触媒部の温度よりも低温に設定されている。この場合、収容室の温度T1が第1所定温度以上であり、且つ、温度T2が第2所定温度以下であるとき、制御部は、発電モジュールからガス洩れの発生と判定することができる。第2所定温度は、スタックに供給されるアノードガス(あるいは改質器が搭載される場合には、改質器に供給される燃料原料)の単位時間当たりの供給流量に基づいて調整される。
ここで、収容室の温度T1が第1所定温度以上の高温であれば、高温に維持される発電モジュール内の高温ガスが収容室に洩れていると考えられる。また燃焼触媒部の温度T2が第2所定温度以下であれば、発電モジュール内の高温のガスが収容室に洩れているため、CO等の可燃成分を含み得る高温のガスが燃焼触媒部に供給されにくくなっていると考えられる。この場合、発電モジュールの高温のガスが燃焼触媒部で再燃焼することが制限され、燃焼触媒部の温度T2が第2所定温度以下となっていると考えられる。この場合、収容室の温度T1および燃焼触媒部の温度T2の双方がパラメータとして用いられるため、ガス漏れの判定精度が高まる。
さて、発電モジュール内の高温のガスが収容室に洩れると、収容室の温度T1が上昇する他に、発電モジュール内の高温のガス量が低下するため、発電モジュール内の温度T3が低下するおそれがある。この点について本発明の一視点によれば、発電モジュール内の温度T3を検知する温度センサが設けられており、制御部は、収容室の温度T1に基づく他に、発電モジュール内の温度T3に基づいて、発電モジュールから収容室へのガス洩れの有無を判定する。このように収容室の温度T1に基づく他に、発電モジュール内の温度T3が考慮されるため、パラメータが複数となり、ガス洩れの判定精度が更に高められる。また、発電モジュール内の高温のガスが収容室に洩れると、スタックに供給されるアノードガスの単位時間当たりの流量が低下し、スタック自体の温度が低下するおそれがある。この場合、収容室の温度T1が上昇する他に、スタックの発電電圧が低下するおそれが高い。この点について本発明の一視点によれば、制御部は、収容室の温度T1に基づく他に、スタックの発電電圧の低下に基づいてガス洩れの発生と判定する。この場合、パラメータが増加するため、ガス洩れの判定精度が更に高められる。
(実施形態1)
図1はシステムの概念図を示す。図2はシステムの要部の概要を示す図である。図3は発電モジュールの概要を示す図である。これは固体酸化物形の燃料電池に適用している。図1に示すように、システムは、基本的には、固体酸化物形の多数の燃料電池を組み付けた形成されたスタック1と、改質器2と、制御部100と、筐体9とを有する。更に、システムは、筐体9の内部において、改質水系4と、燃料原料供給部(アノードガス供給部)5、カソードガス供給部6とを有する。またシステムは、発生した熱を温水として回収する貯湯系7を有する。なお図1および図2では、スタック1は模式化されて図示されている。スタック1は、発電モジュール3を構成する断熱材料で形成された断熱部30で区画された発電室32に収容されている。
図1に示すように、改質器2は、蒸発部20と、燃料原料として燃料原料ガス(13A)が供給される改質部22とを備えている。蒸発部20は、改質水系4から蒸発部20に供給される液相状の改質水を水蒸気化させる。改質部22は蒸発部20の下流に設けられており、改質触媒220を有しており、蒸発部20で生成された水蒸気で燃料原料ガスを水蒸気改質させてアノードガス(水素リッチのため還元性雰囲気)を生成させ、アノードガスをアノードガス通路14およびアノードガスマニホルド13を介してスタック1に供給させる。アノードガスは水素ガスまたは水素含有ガスである。
筐体9は、筐体9の収容室91をもつ他に、収容室91と外気とを連通させる換気入口92および換気出口93をもつ。発電モジュール3は筐体9の収容室91の内部に収容されており、前述したようにスタック1を収容する発電室32を形成する断熱材で形成された容器状の断熱部30(壁体)を有する。断熱部30の内部にスタック1および改質器2を燃焼用空間23を介して収容して形成されている。燃焼用空間23には着火用ヒータ23xが設けられている。発電モジュール3の発電室32では、スタック1の上側には改質器2(改質部22および蒸発部20)が配置されている。発電モジュール3の発電室32では、スタック1と改質器2(改質部22および蒸発部20)との間には、燃焼用空間23が形成されている。殊に、スタック1の上部と改質器2(改質部22および蒸発部20)の下部との間には、燃焼用空間23が形成されている。ここで、発電モジュール3は、断熱性を有する断熱部30で包囲されているため、高い蓄熱性、高い保温性をもつ。従って、システムの運転条件が変化したとしても、排ガスの温度の応答性は低い。このため燃焼用空間23で一部に未燃焼が発生したとしても、その温度検知は必ずしも容易ではない。
図1に示すように、改質水系4は、改質部22における水蒸気改質において水蒸気として消費される改質水を改質部22に供給するものであり、水精製器40と改質器2の蒸発部20とを結ぶ改質水通路41と、改質水ポンプ42(改質水搬送源)と、給水バルブ43とを有する。水精製器40は、水を浄化させ得るイオン交換樹脂等の水精製材40aを有する。改質水通路41には、タンク44、改質水ポンプ42、給水バルブ43が設けられている。
図1に示すように、燃料原料供給部5は、炭化水素系等の燃料原料ガスを改質器2に供給させるために燃料源50に繋がる燃料原料供給通路51と、入口バルブ52と、流量計53、脱硫器54と、燃料原料ポンプ55(燃料原料搬送源)とを有する。燃料原料供給通路51には、入口バルブ52、流量計53、脱硫器54および燃料原料ポンプ55がこの順番に設けられているが、順番はこれに限定されるものではない。カソードガス供給部6は、空気であるカソードガスをスタック1のカソードに供給するカソードガス供給通路60と、除塵フィルタ61と、カソードガスポンプ62(カソードガス搬送源)と、流量計63とを有する。カソードガス供給通路60には、除塵フィルタ61、カソードガスポンプ62および流量計63がこの順番に配置されているが、この順番に限定されるものではない。除塵フィルタ61は、筐体9の収容室91に配置されている。カソードガスポンプ62が駆動すると、外気は換気入口92から収容室91に流入し、除塵フィルタ61およびカソードガス供給通路60を介してカソードガスとして発電モジュール3の発電室32に供給され、ひいてはスタック1に供給される。
図1に示すように、貯湯系7は、熱交換器74および貯湯槽70を循環する貯湯通路71と、貯湯通路71に設けられた貯湯ポンプ72(貯湯水搬送源)と、熱交換器74とを有する。貯湯通路71は、出水口70pから熱交換器74までの往路71aと、熱交換器74から入水口70iまでの復路71cとを有する。貯湯ポンプ72が作動すると、貯湯槽72の下部の水は出水口70pから吐出され、貯湯通路71の往路71aから熱交換器74に供給され、熱交換器74における排ガスとの熱交換により加熱される。加熱された水は復路71cを介して入水口70iから貯湯槽70に戻る。これにより貯湯槽70は温水を貯留させる。貯湯槽70には高さ方向に沿って複数個の温度センサ70tが配置されている。なお、貯湯槽70の温水が給湯通路70mから消費されると、消費された水量は給水通路70kから貯湯槽70に自動的に給水される。
図1に示すように、発電モジュール3の近傍には熱交換器74が設けられている。熱交換器74は、発電モジュール3から排出される排ガスが通過するガス通路74gと、貯湯系7の貯湯通路71の水が通過する水通路74wとをもつ。熱交換器74のガス通路74gを流れる排ガスの熱は、水通路74wに伝達され、更に貯湯系7の貯湯通路71の水に伝達される。熱交換器74のガス通路74gから排気通路75が筐体9の排気口76に向けて延設されている。発電モジュール3の発電室32の排ガスは、排気通路75を介して排気口76から外部に排出される。熱交換器74のガス通路74gから凝縮水通路77が水精製器40に向けて延設されている。この排ガスは、アノードオフガスとカソードオフガスが燃焼用空間23で燃焼した燃焼ガスである。従って排ガスに含まれている気相状の水分は、熱交換器74のガス通路74gにおいて水通路74wにより冷却されて凝縮水を生成する。凝縮水は凝縮水通路77から水精製器40を介して改質水タンク44に貯留される。
さて、スタック1の発電運転の開始前には、燃料原料ポンプ55が駆動し、燃料原料ガス(13A)が脱硫器54、燃料原料供給通路51、蒸発部20および改質部22を経てスタック1に供給され、スタック1を上向きに流れ、燃焼用空間23に供給される。またカソードガスポンプ62が駆動するため、収容室91内のカソードガス(空気)がカソードガス供給通路60を介して燃焼用空気として発電モジュール3の発電室32に供給される。この状態で、着火ヒータ23xが着火すると、可燃性の燃料原料ガスが燃焼用空間23において燃焼用空気により燃焼され、燃焼火炎24を燃焼用空間23において形成する。燃焼火炎24は蒸発部20および改質部22を高温に加熱させ、蒸発部22を水蒸気化可能温度以上に、改質部22を改質反応に適する温度領域に維持させる。
上記したように蒸発部20および改質部22が適温に加熱された後、スタック1の発電運転を開始する。この場合、前述同様に燃料原料ポンプ55が駆動しているため、燃料原料ガスが燃料原料供給通路51を介して改質器2の蒸発部20に供給され、ひいては改質部22に供給される。また改質水ポンプ42が駆動し、タンク44の液相状の改質水が改質水通路41を介して蒸発部20に供給される。ここで、蒸発部20は加熱されているため、蒸発部20は改質水を水蒸気化させる。水蒸気は改質部22に供給される。改質部22は燃料原料ガスを水蒸気改質させ、水素(アノード活物質)を主要成分(例えば20モル%以上)とするアノードガスを生成させる。ここで、燃料原料ガスがメタン系である場合には、水蒸気改質ではアノードガスの生成は、次の(1)式に基づくと考えられている。固体酸化物形のスタック1では、H2他にCOも燃料となりうる。
(1)…CH4+2H2O→4H2+CO2 CH4+H2O→3H2+CO
生成されたアノードガスは、アノードガス通路14およびアノードガスマニホルド13を介して、スタック1のアノードに供給され、アノード発電反応に使用される。また発電運転時には、カソードガスポンプ62が前述同様に駆動しているため、筐体9の外の空気がカソードガス(カソード活物質である酸素を含む)として収容室91に吸い込まれ、更に、除塵フィルタ61およびカソードガス供給通路60を介して発電モジュール3の発電室32に供給され、更にスタック1のカソードに供給され、カソード発電反応に使用される。これによりスタック1は発電する。
発電反応として、水素含有ガスで供給されるアノードでは基本的には(2)のアノード発電反応が発生すると考えられている。酸素が供給されるカソードでは基本的には(3)のカソード発電反応が発生すると考えられている。カソードにおいて発生した酸素イオン(O2−)がカソードからアノードに向けて電解質を伝導する。
(2)…H2+O2−→H2O+2e−
アノードガスにCOが含まれている場合には、CO+O2−→CO2+2e−
(3)…1/2O2+2e−→O2−
スタック1に供給されたアノードガスは、スタック1から燃焼用空間23に向けてアノードオフガスとして吐出される。アノードオフガスは発電反応に対して未反応の水素を含むため、可燃性をもつ。
カソードオフガスは未反応の酸素を含む。カソードオフガスは、スタック1の上方の燃焼用空間23に燃焼用空気として排出される。これによりアノードオフガスを燃焼させた燃焼火炎24が燃焼用空間23において形成される。上記したようにスタック1の上部からアノードオフガスが燃焼用空間23に吐出され、アノードオフガスが発電室32の燃焼用空気(カソードガス,カソードオフガス)により燃焼されて燃焼火炎24を形成し、改質部22および蒸発部20を加熱させる。なお、固体酸化物形のスタック1を搭載するシステムによれば、定常発電運転におけるスタック1の作動温度は400〜1100℃の範囲内、500〜800℃の範囲内が例示される。但しこれに限定されるものではない。発電モジュール3の断熱部30内の温度もそれに相当する温度域となる。
燃焼火炎24における燃焼反応において水素および酸素が反応するため、燃焼反応によりH2Oが生成される。燃焼した後のアノードオフガスおよびカソードオフガスは、排ガスとなり、熱交換器74のガス通路74gを経て排気通路75を流れ、更に、排気通路75の先端の排気口76から筐体9の外部に放出される。ここで、熱交換器74を流れる排ガスは、水分を含む。この水分は、上記した(2)におけるH2O、燃焼火炎24の燃焼反応により生成されたH2Oを含む。排ガスに含まれている水分は、熱交換器74のガス通路74gにおいて水通路74wにより冷却されて凝縮し、凝縮水を生成させる。熱交換器74のガス通路74gで生成された凝縮水は凝縮水通路77から水精製器40に供給され、水精製器40で精製される。精製された水は、タンク44に改質水44wとして貯留される。
図2から理解できるように、筐体9の収容室91は、スタック1及び換気出口93を有する上側の第1収容室91fと、換気入口92を有する下側の第2収容室91sとに仕切壁91tにより仕切られている。第1収容室91fは、スタック1を収容するため、下側の第2収容室91sよりも高温となり易い。仕切壁91tは、第1収容室91fと第2収容室91sとを連通させる通気開口91wを有する。換気ファン98は下側の第2収容室91sに配置されている。換気ファン98が作動すると、筐体9の外部の空気は、換気入口92から第2収容室91sに矢印W1方向に沿って吸引され、矢印W2方向に沿って仕切壁91tの通気開口91wを通過し、第1収容室91fに流入し、更に、発電モジュール3の断熱壁30の外面に接触してこれを冷却しつつ、第1収容室91fの内部を流れ、換気出口93から筐体9の外部に矢印W4方向に沿って排出される。ここで、第1温度センサ110は収容室91内において換気出口93の上流で且つ発電モジュール3の下流に配置されているため、換気出口93から外部に排出される直前の空気に第1温度センサ110は接触できる。なお、仕切壁91tおよび換気ファン98は図2に図示されているものの、図1においては図略されている。
図3は発電モジュール3の内部を示す。図3に示すように、再燃焼部として機能する燃焼触媒部80が燃焼用空間23の下流に設けられている。燃焼触媒部80は、排気通路75の始端部に設けられており、アノードオフガスを燃焼用空間23で燃焼させた排ガスに含まれる可燃性の有害成分を燃焼させて低減させる部位であり、排ガスに含まれる可燃性の有害成分の燃焼を促進させる燃焼触媒を有する。触媒としては、排ガスに含まれる可燃性の有害成分を燃焼を促進させるものであればよく、白金、ロジウム、パラジウム、鉄、ニッケル等が例示される。触媒は、排ガスが流れる通路を形成するセラミックスなどの担体に担持されている。燃焼触媒部80にはヒータ85が配置されている。ヒータ85が発熱すると、燃焼触媒部80は加熱されて昇温する。ヒータ85は制御容易性を考慮すると電気ヒータが好ましい。なお、発電モジュール3の発電室32で発生した排ガスの全部は、基本的には、燃焼触媒部80を流れ、排気通路75を介して外方に排出される。従って、排ガスに含まれる可燃成分のうち未燃焼成分は、燃焼触媒部80において触媒のアシストにより燃焼される。
図4に示すように、制御部100は、入力処理回路100aと、出力処理回路100bと、CPU100cと、メモリ100mとを有する。制御部100は、ポンプ62,55,72,42,バルブ52,43、換気ファン98等を制御する。第1温度センサ110、第2温度センサ120、第3温度センサ130が設けられており、これらの検知信号は制御部100にそれぞれ入力される。スタック1の発電電圧Vcellを検知する電圧センサ1skが設けられており、電圧センサ1skの検知信号は制御部100に入力される。
図2に示すように、第1温度センサ110は、収容室91において発電モジュール3と換気出口93との間に配置されており、具体的には、収容室91において発電モジュール3の下流と換気出口93の上流との間に配置されている。第2温度センサ120は、燃焼触媒部80の内部に設けられており、具体的には燃焼触媒部80のうちこれの下流に設けられている。第3温度センサ130は、発電モジュール3の発電室32に配置されているスタック1の内部に設けられている。
さてスタック1が発電運転しているとき、前述したように、スタック1から吐出されたアノードオフガスは、燃焼用空気(カソードガス,カソードオフガス)により燃焼され、燃焼火炎24を燃焼用空間23において形成している。燃焼火炎24は蒸発部20および改質部22を加熱させている。これにより蒸発部20において改質水の蒸発工程が行われ、改質部22において水蒸気を利用した燃料原料ガスの改質反応が行われている。このとき、スタック1から燃焼用空間23に吐出されたアノードオフガスに含まれている可燃成分のうち一部が燃焼していないおそれも皆無ではない。特に、スタック1は、複数のセルを間隔を隔てて並設して形成されており、スタック1から吐出されたアノードオフガスを燃焼用空間23に吐出させる部位は、多数形成されているため、局部的な未燃焼、微視的な未燃焼が発生するおそれが皆無ではない。局部的な未燃焼、微視的な未燃焼とは、燃焼火炎24を形成するアノードオフガスに含まれている水素等の可燃成分が未燃焼であることをいう。局部的な未燃焼、微視的な未燃焼の程度が増加すると、可燃成分である水素や一酸化炭素が未燃焼のまま、排気通路75および排気口76から外方に排気されることになり、好ましくない。この点本実施形態によれば、図2に示すように、発電モジュール3の発電室32の燃焼用空間23と熱交換器74との間に燃焼触媒部80が設けられている。燃焼触媒部80は、スタック1から吐出された水素を主要成分とするアノードオフガスを燃焼用空間23で燃焼させて燃焼火炎24を形成した排ガスに含まれる可燃性成分を燃焼させて低減させる機能を有する。排ガスは水素,一酸化炭素、燃料原料ガス成分、酸素、水蒸気などを含むが、基本的には、水素および一酸化炭素が燃焼触媒部80において燃焼し、排ガスの温度を上昇させる。なお、燃焼触媒部80では、触媒が燃焼をアシストするため、燃焼条件が充分でないときであっても、燃焼性が確保される。その燃焼は有炎燃焼でもよいし、無炎燃焼でも良い。
ここで、燃焼用空間23において未燃焼が発生すると、燃焼用空間23における未燃焼の水素量が増加し、燃焼用空間23から燃焼触媒部80に流れる排ガスに含まれる未燃焼の水素量が増加する。このような未燃焼の水素が燃焼触媒部80に搬送されると、燃焼触媒部80の触媒のアシストにより未燃焼の水素(未燃焼の可燃成分)の燃焼が促進される。燃焼用空間23に吐出される排ガスには一酸化炭素も含まれ、未燃焼の一酸化炭素が燃焼触媒部80で燃焼される。
ところで、図1に示すように、前記したごとく、筐体9の収容室のうち発電モジュール3よりも外方の温度T1を検知する第1温度センサ110が設けられている。温度T1は、換気出口93の上流で且つ発電モジュール3の下流の雰囲気温度に相当する。温度T1は、具体的には、筐体9の換気出口93の上流で且つ発電モジュール3の下流において、換気出口93の直前の雰囲気温度に相当する。
本実施形態によれば、換気ファン98が換気する最低換気流量を規定した最低換気流量マップがメモリ100mのエリアに格納されている。最低換気流量マップは、改質器2で生成された改質ガスよりも温度が低い燃料原料ガス(13A)の全量が収容室91に、万一、洩れたときであっても、換気により燃料原料ガス濃度を既定値以下に希釈できるように、燃料原料ガス(13A)の単位時間当たり供給流量と、換気ファン98により換気される単位時間当たりの換気流量と、収容室91の温度T1との関係を規定している。具体的には、図5に示すように、そのマップは、燃料原料ガス(13A)の単位時間当たりの供給流量と、換気ファン98により換気される単位時間当たりの換気流量との関係を規定している。そして、制御部100は、収容室91の温度T1に応じて、換気ファン98により換気される単位時間当たりの換気流量を補正する。従って、収容室91の温度T1が相対的に高ければ、換気ファン98により換気される単位時間当たりの換気流量を増加させるように補正する。また、収容室91の温度T1が相対的に低ければ、最低換気量マップ以上の範囲において換気ファン98により換気される単位時間当たりの換気流量を減少させるように補正する。燃料原料ガス(13A)の供給流量は、例えば流量計53またはポンプ55の回転数に基づいて検知される。換気流量は換気ファン98に通電する電流のデューティ値(換気ファン98の電流値)に基づいて検知される。デューティ値は、換気ファン98の回転数に関する物理量に相当する。
本実施形態によれば、制御部100は、収容室91の温度T1が相対的に高温のときには、換気ファン98のデューティ値を増加させ、換気ファン98の単位時間当たりの回転数、つまり、換気量を増加させる。これにより新鮮な外気が換気入口92から収容室91に吸引される。且つ、収容室91内の熱をもつ空気が換気出口93から筐体1の外部に排出される。また、制御部100は、収容室91の温度T1が相対的に低温のときには、換気ファン98のデューティ値を減少させ、単位時間当たりの回転数を減少させて換気量を減少させる。これによりスタック1の発電運転中において収容室91の温度T1が目標温度としての第1所定温度T1aに維持されるように換気ファン98の回転数がフィードバック制御される。このように換気ファン98が制御されるとき、収容室91の温度T1が相対的に高温となる場合には、換気ファン98のデューティ値が増加する。従って、換気ファン98のデューティ値が所定値以上と高い場合には、ガス漏れにより収容室91の温度T1が過剰に高温となり、制御部100は、収容室91においてガス漏れ等の不具合が発生していると判定し、システムを停止させる。なお所定値は、改質器2に供給される燃料原料ガスの単位時間当たりの供給流量に応じて調整される。
更に、図1〜図3に示すように、前記したごとく、発電モジュール3の下流で且つ排気口76の上流において、燃焼触媒部80が設けられている。燃焼触媒部80は、発電モジュール3から排気口76へ筐体9の外部に向けて排出される排ガスを再燃焼させるものであり、排ガスに含まれている有害成分(CO,THC等)を再燃焼させて低減させる。燃焼触媒部80の温度T2を検知する第2温度センサ120が設けられている。温度T2は燃焼触媒部80のうちこれの下流側の温度に相当する。ここで、排ガスに含まれる有害成分CO、THC等の良好なる低減を図るには、燃焼触媒部80の温度T2については、基準となる第2所定温度としてT2a,T2bを採用している(T2a<T2b)。
燃焼触媒部80の温度T2は、T2a≦T2≦T2b、または、T2a<T2<T2bといった適温範囲に維持されることが好ましい。燃焼触媒部80の温度T2がこのような適温領域に維持されれば、燃焼触媒部80は過熱されず過冷却されず、活性温度領域に維持されている。よって、燃焼触媒部80において排ガスに含まれる有害成分(CO,THC等)を再燃焼させて低下させる浄化反応は良好となる。よって、排ガスに含まれる有害成分(CO、THC等)の低減を図り得る。
本実施形態によれば、収容室91の温度T1が第1所定温度T1aよりも高温(T1>T1a、T1≧T1a)となった場合には、収容室91へのガス漏れにより収容室91が過剰に高温となっていると考えられる。この場合、制御部100は、発電モジュール3から収容室91へのガス漏れと判断し、システムを停止させる。
さて本実施形態によれば、スタック1の発電運転中において、第1温度センサ110が検知する収容室91の温度T1と、第2温度センサ120が検知する燃焼触媒部80の温度T2とに基づいて、制御部100は、COを含み得る高温のガスが発電モジュール3から収容室91に洩れるガス洩れの有無を判定する。ここでスタック1の発電運転中において、i,ii,iiiの形態がある。なお本明細書によれば、必要に応じて、≦および<は互いに代えても良い。≧および>は互いに代えても良い。
i.T2<T2a、且つ、T1≦T1a
あるいは、T2≦T2a、且つ、T1<T1a
ii.T2<T2a、且つ、T1>T1a
あるいは、T2≦T2a、且つ、T1≧T1a
iii.T2>T2b、あるいは、T2≧T2b
ここで、上記した第1所定温度T1aは、システムが正常に発電運転しているときにおける収容室91の温度T1よりも高温に設定されており、メモリ100mのエリアに格納されている(T1a<T1a)。第2所定温度T2a,T2bは、システムが正常に発電運転しているときにおける燃焼触媒部80の温度T2よりも高温に設定されており、メモリ100mのエリアに格納されている(T2a<T2b)。ここで、改質器2に供給される燃料原料ガスの単位時間当たりの供給流量が増加すると、第1所定温度T1a、第2所定温度T2a,T2bは高温となるように調整されることができる。
上記したiの場合には、温度T1はT1aよりも低温であるため、発電モジュール3から収容室91へのガス洩れが発生していないと考えられる。且つ、燃焼触媒部80の温度T2が第2所定温度T2aよりも低いため、燃焼触媒部80の活性効果および浄化性能が低いと考えられる。この場合、筐体9の排気口76から筐体9の外部に排出されてしまう排ガスに含まれる有害成分(例えばCO,THC)の濃度が高くなってしまうと考えられ、好ましくない。そこで、制御部100は、燃焼触媒部80を暖機させて、燃焼触媒部80を活性温度域に昇温させる暖機制御を行うことが好ましい。上記した暖機制御として、改質器2に供給する単位時間当たりの燃料原料ガスを増加させて燃料利用率(Uf)を下げる方法が例示され、あるいは、ヒータが燃焼触媒部80に設けられている場合には、暖機用のヒータ85に通電して燃焼触媒部80を加熱させる方法が例示される。上記したように燃焼触媒部80を暖機させて加熱させた後において、既定時間後においても、燃焼触媒部80の温度T2について、温度T2がT2aよりも低温の関係が維持される場合には、燃焼触媒部80の温度T2が過剰に低く、排ガスに含まれる有害成分を浄化させる機能が低下していると考えられる。この場合、制御部100は、システム異常と判定し、システムを停止させることが好ましい。
上記したiiの場合には、収容室91の温度T1が第1所定温度T1aよりも高いため、収容室91の温度が過熱されている。この場合、発電モジュール3の発電室32から収容室91へ高温のガスの洩れが発生している可能性が高いと考えられる。更に、燃焼触媒部80の温度T2が第2所定温度T2aよりも低いため(T2<T2a、または、T2≦T2a)、発電モジュール3の発電室32から吐出された高温のガスが燃焼触媒部80まで充分に供給されておらず、燃焼触媒部80における燃焼熱が充分ではないと考えられる。そこで制御部100は、発電モジュール3の発電室32から収容室91への高温のガスが洩れていると判定し、システムを停止させることが好ましい。
上記したiiiの場合には、燃焼触媒部80の温度T2が第2所定温度T2bよりも高く(T2>T2b、または、T2≧T2b)、過剰に高温と考えられる。この場合、燃焼用空間23における燃焼火炎24の燃焼不良(燃焼火炎24が部分的に消える失火を含む)が発生しており、燃焼用空間23において燃焼しなかった未燃焼の過剰の可燃成分(CO,THC等の有害成分)が燃焼触媒部80で燃焼しており、燃焼触媒部80における燃焼熱が過剰である可能性が高い。この場合、制御部100は、燃焼用空間23における燃焼火炎24の燃焼不良(燃焼火炎24が部分的に消える失火を含む)と判定し、システムを停止させることが好ましい。
以上説明したように本実施形態によれば、発電モジュール3内の高温のガス(CO,H2等を含み得る改質ガス,燃焼用空間23で燃焼された燃焼排ガスといった高温のガス)が発電モジュール3から収容室91に漏れるおそれがある。しかしながらガス漏れが発生すると、収容室91の温度T1が上昇するため、収容室91の温度T1を第1温度センサ110で検知することで、ガス漏れの判定が可能となる。このため、高価なガスセンサおよびCOセンサを用いることなく、発電モジュール3から収容室91へのガス洩れを、第1温度センサ110の検出温度に基づいて判定することができる。よって、低コスト,高信頼性を確保できる。更に、ガスセンサおよびCOセンサが収容室91に設けられているときであっても、ガスセンサおよびCOセンサの検出結果と併せて、もしくは、ガスセンサおよびCOセンサの故障時等において、収容室91へのガス洩れを、第1温度センサ110の検出温度に基づいて検知することができ、より確実にガス洩れを検知できる。
発電モジュール3から収容室91へのガス漏れに起因して収容室91の温度T1が上昇すると、制御部100は、換気ファン98の単位時間当たりの回転数を増加させ、換気ファン98による単位時間当たりの換気量を増大させる。この場合、換気ファン98による換気量の増大に伴い、圧損が増大する。圧損の増大に伴い、換気ファン98の回転数が急速に増大する。このため制御部100は換気ファン98の回転数に関する物理量の増大を検知すれば、収容室91へのガス漏れを早期に検知可能となる。ここで、換気ファン98の回転数に関する物理量としては、例えば、換気ファン98の単位時間当たりの回転数、換気ファン98の電流値(デューティ値を含む)が例示される。従って、制御部100は、収容室91の温度T1と共に、換気ファン98の回転数に関する物理量とに基づいて、発電モジュール3から収容室91へのガス漏れを検知可能となる。場合によっては、制御部100は、換気ファン98の回転数(あるいは回転数に関する物理量)が所定値よりも大きいとき、発電モジュール3から収容室91へのガス漏れを検知可能となる。なお、所定値は、スタック1の発電量、または、改質器2に供給される燃料原料ガスの供給流量等に応じて調整される。
さて、上記した燃料利用率を低下させる暖機方法によれば、特に暖機構造を燃焼触媒部80に設けることなく、燃焼触媒部80の暖機が可能である。またヒータ85で燃焼触媒部80を暖機させる方法によれば、燃料利用率(Uf)を変更させる等といったスタック1の本来の発電性能に影響を与えるパラメータを調整させることなく、燃焼触媒部80の温度を適温に制御できる。更に、ヒータ85で燃焼触媒部80を暖機させれば、燃料利用率(Uf)を変更させる方法に比較して燃焼触媒部80の温度を早期に上昇させることが可能となる。燃焼触媒部80を暖機制御させた後であっても、燃焼触媒部80の温度T2が第2所定温度T2aよりも低温となるときには(T2<T2a、または、T2≦T2a)、制御部100は、燃焼触媒部80における暖機機能の異常等であると判定し、排ガスのCO濃度が高くならないように、システムを停止させる。暖機機能の異常とは、ヒータ85の断線等でヒータ85が発熱しない場合、燃料利用率(Uf)を変更させる変更範囲を超えた故障や劣化に基づいて、燃料原料ガス(13A)の流量が著しく減少している場合などである。
(実施形態2)
図6,図7は実施形態2を示す。本実施形態は前記した実施形態1と同様の構成および同様の作用効果を有する。本実施形態で実行される制御のフローチャートを図6および図7に示す。第1温度センサ110の温度T1についての閾値は、第1所定温度T1aとされている。第2温度センサ120の温度T2についての閾値である第2所定温度T2b,T2aについては、T2b>T2aとされている。システムの運転が開始されると、このフローチャートに示す制御が開始され、定期的に本制御が繰り返し行われる。まず、第1温度センサ110で検知された収容室91の温度T1に関する閾値として機能する第1所定温度T1a,T1aがメモリ100mのエリアから選択される(ステップS1)。更に、第2温度センサ120で検知された燃焼触媒部80の温度T2に関する閾値として機能する第2所定温度T2b,T2aが選択される(ステップS1)。
次に、収容室91の温度T1と第1所定温度T1aとを比較し、温度T1が第1所定温度T1a以下であるか否かが判定される(ステップS2)。収容室91の温度T1がT1aを高温側に超えている場合には(ステップ2のNO)、収容室91の温度T1が過剰に高温であり、発電モジュール3の発電室32から収容室91へのガス漏れが発生し、収容室91の温度T1が上昇したと判断される。このためシステムは停止されると共に、表示部にガス漏れの発生と表示する(ステップS3)。ステップ2において温度T1がT1a以下の場合には(ステップ2のYES)、発電モジュール3から収容室91へのガス漏れによる不具合は無いと、判定される。従って、ステップ4に移行し、燃焼触媒部80の温度T2について、T2≦T2bであるか否かが判断される。なお本明細書によれば、必要に応じて、≦および<は互いに代えても良く、≧および>は互いに代えても良い。従って、『以上』は『超え』でも良く、『超え』は『以上』でも良く。『以下』は『未満』としても良く、『未満』は『以下』としても良い。逆でも良い。
T2>T2bの場合には(ステップ4のNO)、燃焼触媒部80の温度T2が過剰に高温である。この場合、燃焼用空間23において燃焼火炎24が消える失火(燃焼用空間23における燃焼異常)が発生しており、燃焼触媒部80に送られた排ガスに含まれる可燃成分(例えばH2,CO等の有害成分)が異常な高濃度となっており、可燃成分の酸化熱の影響であると判断される。このためシステムが停止されると共に,燃焼用空間23において燃焼不良が発生していると表示部に表示する(ステップ5)。また、ステップS4における判定の結果、T2≦T2bの場合には(ステップ4のYES)、次に、燃焼触媒部80の温度T2が第2所定温度T2a以上であるか否かが判定される(ステップS6)。T2≧T2aの場合には(ステップ6のYES)、燃焼触媒部80の温度T2は高温側のT2bと低温側のT2aとの中間に位置している。この場合、燃焼触媒部80の温度T2が正常範囲にあると判断され、本制御は終了され、メインルーチンにリターンする。
一方、T2<T2aの場合には(ステップ6のNO)、燃焼触媒部80の温度T2が過剰に低温であり、これの活性温度以下であり、燃焼触媒部80による浄化作用があまり期待できないと判断される。よって、ステップ7において、燃焼触媒部80を暖機させて昇温させる暖機制御が開始される。暖機制御に関しては、図1においては、燃料利用率(Uf)に対してΔUfだけ、燃料利用率が低下される。すなわち、改質器2に供給される燃料原料ガス(13A)の単位時間当たりの流量が増加される。この結果、発電モジュール3における燃焼用空間23における燃焼量が増大され、燃焼用空間23において燃焼温度が上昇する。ひいては、発電モジュール3から燃焼触媒部80に投入される排ガスの温度が上昇する。これにより燃焼触媒部80が暖機される。また、燃焼触媒部80に暖機用のヒータ85が装備されている場合には、ヒータ85に通電して発熱させることで燃焼触媒部80が更に暖機される。なお、ステップ2において収容室91へのガス漏れが無きことが既に判定されている。このため、暖機制御によって燃料原料ガスの流量が増加されて燃料利用率(Uf)が低下したとしても、収容室91へのガス漏れ量の増大等は抑止されている。その後、暖機制御が既定時間tm1経過したか否かが判定される(ステップS8)。既定時間tm1が経過していない場合には(ステップ8のNO)、ステップ7に戻り、燃焼触媒部80の暖機加熱が継続される。
一方、暖機制御が既定時間tm1行われた場合には(ステップ8のYES)、燃焼触媒部80の温度T2が第2所定温度T2aよりも高温であるか否かが再度判断される(ステップS9)。T2>T2aの場合には(ステップ9のYES)、燃焼触媒部80の温度T2が適温域になっている。すなわち、上記した暖機制御により燃焼触媒部80の温度がこれの活性温度以上に復帰したと判断される。よって、本制御が終了される(ステップS10)。一方、上記した暖機制御が行われたとしても、燃焼触媒部80の温度T2の昇温が充分ではなく、T2≦T2aの場合には(ステップ9のNO)、暖機制御の異常と判断され、システムが停止される(ステップ11)。暖機制御の異常としては、燃料原料ガス(13A)が改質器に良好に供給されていない場合,あるいは、ヒータ85が断線等で発熱していない場合が挙げられる。
以上の制御により、発電モジュール3の発電室32から収容室91へのガス漏れが発生しており、不具合が発生する可能性がある場合には、システムを停止させることが可能である。また、外乱等で燃焼触媒部80の温度T2が過剰に低い場合には、暖機制御により燃焼触媒部80が暖機されて積極的に加熱されるため、燃焼触媒部80による排ガス浄化効率が向上し、スタック1の発電運転の継続が可能となる。上記により、ガス漏れや高CO濃度の排出に対して、高価なガスセンサやCOセンサを用いることなく、対処することが可能となる。また、システムの継続運転が可能な場合には発電運転することが可能となり、システムの起動および停止の回数の増大が抑制される。ひいてはシステムの総合効率の低下が抑制される。
図7に関しては、スタック1の発電運転中において、収容室91の温度T1が第1所定温度T1aを目標温度として維持されるように、換気ファン98のデューティ値(換気量に相当)が制御される場合におけるフローチャートを示す。この制御では、図6に示す制御と同様に、システムの運転が始まると、本制御が開始され、定期的に繰り返し実施される。まず、換気ファン98の最低デューティ値A1は確保された上で、収容室91の温度T1が目標温度である第1所定温度T1aに維持されるようにフィードバック制御が行なわれる(ステップSB2)。具体的には、収容室91の温度T1が第1所定温度T1aよりも相対的に高いときには、換気ファン98のデューティ値は増加され、換気ファン98の回転数(rpm)が増加し、換気ファン98による単位時間当たりの換気量が増加するように、フィードバック制御が行なわれる。また、収容室91の温度T1が第1所定温度T1aよりも相対的に低いときには、最低デューティA1以上のデューティ範囲において、換気ファン98のデューティ値は減少され、換気ファン98の回転数(rpm)が減少し、換気ファン98による単位時間当たりの換気量が減少するように、フィードバック制御が行なわれる。更に、換気ファン98のデューティ値がA2以上であるか否かが判定される(ステップS3B)。換気ファン98のデューティ値がA2以上である場合には(ステップ3BのYES)、デューティ値が過剰に高い。この場合、システム内でガス漏れが発生し、収容室91の温度T1が上昇しているため、換気ファン98のデューティ値が過剰に高くなり、換気ファン98による換気量が過剰となっているものと判断される。この場合、システムの運転が停止される(ステップB4)。なお、換気ファン98のデューティ値がA2以下である場合には(ステップ3BのNO)、デューティ値は正常であり、メインルーチンにリターンする。なお、デューティ値A2は、環境温度等の影響を考慮して制御範囲が設定されていることが好ましい。上記したフローチャートによる制御により、高価なガスセンサやCOセンサ等を用いることなく、発電モジュール3から収容室91へのガス漏れが検知可能となる。勿論、ガスセンサやCOセンサ等が収容室91に配置されている場合においても、発電モジュール3から収容室91へのガス洩れが検知可能となる。更に、改質器2に供給される前の燃料原料ガス(13A)は低温であるものの、燃料原料ガスの漏れに対しては、換気ファン98による最低換気量が確保されることで、収容室91に漏れた燃料原料ガスが換気空気で希釈される。なお、図6,図7のフローチャートを別々で示したが、同一制御内で行うことも可能であることは勿論である。
(実施形態3)
図8は実施形態3を示す。本実施形態は前記した各実施形態と同様の構成および同様の作用効果を有する。但し、燃焼触媒部80には暖機用のヒータが設けられていない。このため、暖機制御は、燃料原料ガス(13A)を改質器2に供給する単位時間当たりの流量を増加させることにより、燃料利用率(Uf)を低下させる。
(実施形態4)
本実施形態は前記した各実施形態と同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図3を準用できる。発電モジュール3内の温度T3を検知する第3温度センサ130が設けられている。具体的には、第3温度センサ130は、発電モジュール3の発電室32内に配置されているスタック1の内部に設けられており、スタック1の内部の温度T3を検知する。制御部100は、収容室91の温度T1に基づく他に、発電モジュール3の発電室32内のスタック1の温度T3に基づき、発電モジュール3から収容室91へのガス洩れの発生を判定する。
ここで、改質器2に供給される燃料原料ガスの供給流量が既知であるとき、その供給量に対応する第1所定温度T1a、第3所定温度Tvが閾値として選択される。具体的には、発電モジュール3の発電室32内の高温のガスが収容室91へ洩れている場合には、収容室91の温度T1について、T1≧T1aの関係、あるいは、T1>T1aの関係が得られる。更に、前記したガス洩れが発生している場合には、発電モジュール3の発電室32内のガスの流量が低下しているため、発電モジュール3の発電室32内のスタック1の発電量が制限される。この場合、スタック1に装備されている第3温度センサ130の温度T3が第3所定温度Tcよりも低下する。ここで、改質器2に供給される燃料原料ガスの供給流量が既知であるとき、その供給量に対応するT1a、Tcが選択される。そして温度T1について、T1≦T1aが検知され、第3温度T3について、T3<Tcが検知されるとき、制御部100は、発電モジュール3の高温のガスが収容室91へ洩れていると検知することができる。
ここで、第3温度T3の閾値である第3所定温度Tcは、発電モジュール3から収容室91にガス漏れがないときにおける発電モジュール3内のスタック1の温度に相当するものである。第3所定温度Tcは、改質器2に供給される燃料原料ガスの供給流量またはスタック1の発電量に応じて調整され、メモリ100mのエリアに格納されている。
ところで本実施形態によれば、実施形態1と同様に、収容室91の温度T1が相対的に高ければ、制御部100は、換気ファン98により換気される単位時間当たりの換気流量を増加させるように補正する。このように収容室91の温度T1が相対的に高ければ換気流量を増加させる場合には、換気条件によっては、発電モジュール3から収容室91へのガス洩れが検知されにくくなるおそれがある。このため本実施形態のように、スタック1に装備されている第3温度センサ130で検知する温度T3の低下をパラメータとして併用すれば、ガス洩れの判定精度を高めることができる。
(実施形態5)
本実施形態は前記した各実施形態と同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図3を準用できる。発電モジュール3の発電室32内に配置されているスタック1の温度T3を検知する第3温度センサ130が設けられている。具体的には、第3温度センサ130は、発電モジュール3内に配置されているスタック1の内部に設けられており、スタックの内部の温度T3を検知する。制御部100は、収容室91の温度T1、燃焼触媒部80の温度T2に基づく他に、発電モジュール3内の温度T3に基づき、発電モジュール3から収容室91へのガス洩れの発生を判定する。
ここで、改質器2に供給される燃料原料ガスの供給流量が既知であるとき、その供給量に対応する第1所定温度T1a、第2所定温度T2b(またはT2a)が閾値として選択される。そして、発電モジュール3の高温のガスが収容室91へ洩れている場合には、収容室91の温度T1については、T1≧T1aの関係となる。発電モジュール3の高温のガスが収容室91へ洩れている場合には、発電モジュール3の発電室32内のガスが燃焼触媒部80に供給されにくくなるため、燃焼触媒部80における可燃成分の燃焼量が低下する。この場合、燃焼触媒部80の温度T2は第2所定温度T2aよりも低くなり、T2<T2aの関係、または、T2≦T2aの関係となる。
更に、収容室91へのガス洩れが発生している場合には、発電モジュール3内のガスの流量が低下しているため、発電モジュール3内の第3温度センサ130の温度T3が第3所定温度Tcよりも低下する。このため、T1≧T1aが検知され、且つ、T2≦T2b(またはT2≦T2a)が検知され、且つ、T3<Tcが検知される。この場合、制御部100は、発電モジュール3の高温のガスが収容室91へ洩れていると判定することができる。このように本実施形態によれば、収容室91の温度T1,燃焼触媒部80の温度T2,発電モジュール3内のスタック1の温度T3をパラメータとして、発電モジュール3から収容室91へのガス洩れの発生を判定するため、判定精度を高めるのに有利である。
(実施形態6)
本実施形態は前記した各実施形態と同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図3を準用できる。スタック1の発電電圧Vcellを検知する電圧センサ1skが設けられている。本実施形態によれば、制御部100は、収容室91の温度T1に基づく他に、スタックの発電電圧Vcellに基づき、発電モジュール3から収容室91へのガス洩れの発生を判定する。ここで、改質器2に供給される燃料原料ガスの供給流量が既知であるとき、その供給量に対応する第1所定温度T1a、所定電圧Vcが選択される。具体的には、発電モジュール3の発電室32内の高温のガスが収容室91へ洩れている場合には、前述したように、収容室91の温度T1について、T1≧T1aの関係が得られる。更に、スタック1の発電電圧Vcellも低下する。このため、T1≧T1aの関係が検知され、且つ、Vcell<Vcの関係が検知されると、制御部100は、発電モジュール3の高温のガスが収容室91へ洩れていると検知することができる。なお、所定電圧Vcは、改質器2に供給される燃料原料ガスの単位時間当たりの供給流量、または、スタック1のアノードに供給されるアノードガスの単位時間当たりの供給流量に基づくものであり、メモリ100mのエリアに格納されている。
ところで本実施形態によれば、実施形態1と同様に、収容室91の温度T1が相対的に高ければ、制御部100は、換気ファン98により換気される単位時間当たりの換気流量を増加させるように補正する。このように収容室91の温度T1が相対的に高ければ換気流量を増加させる場合には、換気条件によっては、発電モジュール3から収容室91へのガス洩れが検知されにくくなるおそれがある。このため本実施形態のように、スタック1の発電電圧Vcellの低下をパラメータとして併用すれば、ガス洩れの判定精度を高めるのに有利である。
(実施形態7)
本実施形態は前記した各実施形態と同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図3を準用できる。発電モジュール3内の温度T3を検知する第3温度センサ130が設けられている。具体的には、第3温度センサ130は、発電モジュール3内に配置されているスタック1の内部に設けられており、スタック1の内部の温度T3を検知する。制御部100は、収容室91の温度T1、燃焼触媒部80の温度T2に基づく他に、発電モジュール3内の温度T3に基づき、発電モジュール3の発電室32から収容室91へのガス洩れの発生を判定する。ここで、改質器2に供給される燃料原料ガスの供給流量が既知であるとき、その供給量に対応する第1所定温度T1a、第2所定温度T2b(またはT2a)、所定電圧Vcが閾値として選択される。具体的には、発電モジュール3の高温のガスが収容室91へ洩れている場合には、収容室91の温度T1は第1所定温度T1a以上の関係(T1≧T1a)となる。またガス漏れにより、発電モジュール3の発電室32内のガスが燃焼触媒部80に供給されにくくなるため、燃焼触媒部80における可燃成分の燃焼量が低下する。この場合、燃焼触媒部80の温度T2は第2所定温度T2a以下となり、T2≦T2aの関係、または、T2≦T2bの関係となる。前記したガス漏れが発生しているときには、発電モジュール3の発電室32内のガスの流量が低下しているため、スタック1の発電電圧Vcellが所定電圧値Vcよりも低下する。
そこで、制御部100は、収容室91の温度T1および燃焼触媒部80の温度T2に基づく他に、スタックの発電電圧Vcellに基づき、発電モジュール3から収容室91へのガス洩れの発生を判定することができる。更に、発電モジュール3内のガスの流量が低下しているため、発電モジュール3内の第3温度センサ130の温度T3が第3所定温度Tcよりも低下する。このため、T1≧T1aが検知され、且つ、Vcell<Vcが検知されると、制御部100は、発電モジュール3の高温のガスが収容室91へ洩れていると判定することができる。なお、第3所定温度Tc,所定電圧値Vcは、改質器2に供給される燃料原料ガスの単位時間当たりの供給流量またはスタック1の発電量に基づいて調整され、メモリ100mのエリアに格納されている。本実施形態によれば、収容室91の温度T1の他に,燃焼触媒部80の温度T2,発電モジュール3内のスタックの発電電圧Vcellといった複数のパラメータを用いて、発電モジュール3から収容室91へのガス洩れの発生を判定するため、判定精度を高めることができる。
(実施形態8)
本実施形態は前記した各実施形態と同様の構成を有するため、図1〜図8を準用できる。本実施形態によれば、第1温度センサ110が設けられているものの、前記した第2温度センサ120,第3温度センサ130が設けられていない。発電モジュール3内の高温のガス(CO,H2等を含み得る改質ガス,燃焼用空間23で燃焼された燃焼排ガスといった高温のガス)が発電モジュール3から収容室91に漏れるおそれがある。ガス漏れが発生すると、収容室91の温度T1が上昇するため、収容室91の温度T1を第1温度センサ110で検知することで、ガス漏れの判定が可能となる。このため、高価なガスセンサおよびCOセンサを用いることなく、発電モジュール3から収容室91へのガス洩れを、第1温度センサ110の検出温度に基づいて判定することができる。よって、低コスト,高信頼性を確保できる。更に、ガスセンサおよびCOセンサが収容室91に設けられているときであっても、ガスセンサおよびCOセンサの検出結果と併せて、もしくは、ガスセンサおよびCOセンサの故障時等において、収容室91へのガス洩れを、第1温度センサ110の検出温度に基づいて検知することができる。
(実施形態9)
本実施形態は前記した実施形態1と同様の構成を有するため、図1〜図3を準用できる。本実施形態によれば、実施形態1と同様に、収容室91の温度T1が相対的に高ければ、制御部100は、換気ファン98により換気される単位時間当たりの換気流量を増加させるように補正する。このように収容室91の温度T1が相対的に高ければ換気流量を増加させる場合には、換気条件の如何によっては、発電モジュール3から収容室91へガス洩れが発生しているときであっても、換気量が大きいため、ガス漏れが検知されにくいおそれがある。そこで本実施形態によれば、換気ファン98の単時間あたりの回転数Nが所定回転数Na以上となり、換気量が増加したときには、制御部100は、ガス換気に支障がない範囲内で、換気ファン98の回転数を、短時間または瞬間的に、且つ、間欠的に(定期的にまたは不定期的に)をΔN回転数低下させることができる。これにより収容室91の換気に支障がない範囲内で、収容室91の温度T1が昇温され易くなり、第1温度センサ110で収容室91の昇温を検知し易くなる。
(実施形態10)
図9は実施形態10を示す。本実施形態は前記した各実施形態と同様の構成を有するため、図1〜図8を準用できる。図9はスタック1の概念図の一例を示す。スタック1は、発電室32において、カソードガスが通過できる通路32rを介して複数のセル10を並設して形成されている。セル10は、アノードガスが供給される燃料極として機能するアノード11と、カソードガスが供給される酸化剤極として機能するカソード12と、アノード11およびカソード12で挟まれた固体酸化物を母材とする電解質15と、アノードガスを通過させる通路11rをもつ多孔性導電部11wと、導電コネクタ10xとを有する。カソード12は、カソードガスが流れる通路32rに対面しており、カソードガスが供給される。電解質5を構成する固体酸化物は、酸素イオン(O2−)を伝導させる性質をもつものであり、イットリアを添加した安定化ジルコニア系、ランタンガレート系が例示される。多孔質導電部11wは、通路11rに供給されたアノードガスをアノード11に供給するとともにアノード11、電解質15、カソード12およびコネクタ10xを支持するものである。これの材質としてはガス透過性および導電性を有するものが挙げられ、金属および希土類酸化物の複合体が例示される。コネクタ10xは隣接するセル10のカソード12と図示しない導電部材によって電気的に接続されている。アノード11は、ニッケル等の金属相とジルコニアとが混在するサーメットが例示される。カソード12は、サマリウムコバルタイト、ランタンマンガナイトが例示される。コネクタ10xは、ガス不透過性と導電性を有し、通路11rから多孔質導電部26に拡散されたアノードガスと、カソードガスの通路32rに供給されたカソードガスを遮断するものであり、ペロブスカイト型酸化物が例示される。材質は上記に限定されるものではない。なお、スタック1の下部には、アノードガス通路14を介して供給されたアノードガスをスタック1の入口に案内するアノードガスマニホルド13が配置されている。アノードガスマニホルド13を介してスタック1の通路11rに供給されたアノードガスは、多孔質導電部11wを透過してアノード11に至る。また、前述したようにカソードガスポンプが駆動すると、カソードガスが発電室32に供給されてカソード12に供給される。このようにスタック1のアノード11にアノードガスが供給され、カソード12にカソードガスが供給され、スタック1は発電する。
スタック1の通路11rの上部から燃焼用空間23に向けて吐出されるガスは、アノードオフガスである。アノードオフガスは、アノードガスがスタック1から排出されたガスを意味し、未反応の水素(可燃成分)を含有して燃焼可能である。カソードガスは未反応の酸素を含有しており、燃焼用空気として機能できる。スタック1から燃焼用空間23に排出されたアノードオフガスは、酸素を含むカソードガスまたはカソードオフガス(燃焼用空気に相当)により燃焼され、燃焼火炎24を燃焼用空間23において形成する。燃焼用空間23において燃焼火炎24を形成したガスは、排ガスとなる。ここで、燃焼用空間23における燃焼火炎24は改質部22および蒸発部20の双方を加熱させ、改質部22の温度を改質反応温度領域に維持させ、蒸発部20を水蒸気化可能温度に維持させる。本実施形態は前記した各実施形態と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。
(その他)
上記した実施形態1によれば、スタック1の発電運転中において収容室91の温度T1が目標温度としての第1所定温度T1aに維持されるように換気ファン98の回転数がフィードバック制御される。従って収容室91の温度T1が相対的に高温となる場合には、換気ファン98のデューティ値が増加する。但しこれに限定されるものではなく、換気ファン98の電流値またはデューティ値を固定値としても良い。上記した実施形態によれば、熱交換器74で生成された凝縮水を、水精製機能をもつ水精製器40に溜めて精製させた後にタンク44に貯留させているが、これに限らず、熱交換器74で生成された凝縮水をタンク44に貯留させた後、水精製器40から改質器2に向けて搬送させても良い。改質する燃料原料として、燃料原料ガスが採用されているが、これに限らず、液状の燃料原料(アルコール、ガソリン、灯油等)を改質させることにしても良い。スタック1は、固体酸化物形の多数の燃料電池を組み付けて形成されているが、これに限られるものではなく、要するに200℃以上、あるいは、300℃以上、あるいは400℃以上の高温の排ガスを発生させるものであれば良い。固体酸化物形燃料電池のタイプとして実施形態以外に下記のものが考えられる。スタックそのもので改質する内部改質タイプのもの。改質器が断熱壁の外部に設けられているもの。オフガス燃焼器が断熱壁の外部に設けられ、その排ガスを断熱壁の内部に導入してスタック加熱に使用されるもの。上記のどのタイプでも本発明が適用できる。本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。上記した記載から次の技術的思想も把握できる。
[付記項1]収容室、換気入口および換気出口をもつ筐体と、収容室に配置され、カソードガスおよびアノードを有するスタックとスタックを覆う断熱部とを有し且つ200℃以上の高温の排ガスを発生させる発電モジュールと、発電モジュールの排ガスを筐体の外部に排出させる排気通路と、収容室に配置された換気ファンと、燃焼触媒部の温度T2を検知する温度センサと、スタックの発電運転中において温度センサが検知する温度T2に基づいて発電モジュールから収容室に洩れるガス洩れの発生を判定する制御部とを具備する燃料電池システム。発電モジュールから収容室へのガス洩れが存在すると、燃焼触媒部の温度T2が低下する。発電モジュールから収容室に洩れるガス洩れの有無を温度T2に基づいて判定することができる。
[付記項2]収容室、換気入口および換気出口をもつ筐体と、収容室に配置され、カソードガスおよびアノードを有するスタックとスタックを覆う断熱部とを有し且つ200℃以上の高温の排ガスを発生させる発電モジュールと、発電モジュールの排ガスを筐体外に排出させる排気通路と、収容室に配置された換気ファンと、収容室の温度T1を検知する温度センサと、スタックの発電運転中において収容室の温度T1が基準温度範囲内となるように、換気ファンによる単位時間当たりの換気量を制御する制御部とを具備する燃料電池システム。この場合、収容室の温度T1が基準温度範囲内に維持される。
[付記項3]付記項2において、制御部は、換気ファンの単位時間当たりの回転数に関する物理量(例えば換気ファンの回転数、換気ファンの電流値、換気ファンのデューティ値等)に基づいて、発電モジュールから収容室へのガス洩れの発生と判定することができる。燃料電池システム。発電モジュールのガスが収容室へ洩れると、収容室が昇温する。収納室の過剰な昇温を抑制すべく、換気ファンの単位時間当たりの回転数が増加し、回転数に関する物理量も調整される。従って、発電モジュールから収容室へのガス洩れの発生の有無を当該物理量に基づいて判定できる。
[付記項4]付記項3において、制御部は、収容室の温度T1と、換気ファンの単位時間当たりの回転数に関する物理量とに基づいて、発電モジュールから収容室へのガス洩れの発生と判定する燃料電池システム。発電モジュールのガスが収容室へ洩れると、換気ファンの回転数を高めて換気量を増加させる。このため収容室の温度T1と、換気ファンの単位時間当たりの回転数に関する物理量とに基づいて、ガス漏れの有無が判定される。
[付記項5]付記項4において、発電モジュール内の温度T3を検知する温度センサが設けられており、制御部は、収容室の温度T1と、発電モジュール内の温度T3とに基づいて、発電モジュールから収容室へのガス洩れの発生と判定する燃料電池システム。発電モジュールから収容室へのガス洩れが発生していると、収容室の温度T1が昇温し、発電モジュール内の温度T3が降温するため、温度T1,T2に基づいてガス洩れの発生と判定することができる。
[付記項6]付記項1〜5において、制御部は、収容室の温度T1とスタックの発電電圧とに基づいて、発電モジュールから収容室へのガス洩れの発生と判定する。発電モジュールから収容室へのガス洩れが発生していると、収容室の温度T1が昇温し、スタックの発電電圧が下降するため、温度T1,スタックの発電電圧に基づいてガス洩れの発生と判定することができる。