JP2018028988A - 発電システム及びその保護制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池の発電出力端よりも電力の供給先側で異常が検知された場合に、その異常解消から燃料電池の発電再開までの時間を短縮することを目的とする。【解決手段】発電システムは、SOFCと、SOFCを制御する制御装置60と、SOFCで発電された電力が供給される電力供給先とSOFCの発電出力端との間に配置されるパワーコンディショナとを備えている。制御装置60は、SOFCの発電出力端から電力供給先側に発生した異常を検知するPCS異常検知部140と、PCS異常検知部140によって異常が検知された場合に、SOFCの発電室を所定の発電可能温度以上に維持する発電スタンバイ状態に移行させる出力制御部142とを具備する。また、発電システムは、PCS異常検知部140によって異常が検知された場合に、SOFCが電力を出力しない無負荷状態とする。【選択図】図6

Description

本発明は、発電システム及びその保護制御方法に関するものである。
燃料電池は、電気化学反応による発電方式を利用した発電装置であり、燃料側の電極である燃料極と、空気(酸化剤ガス)側の電極である空気極と、これらの間にありイオンのみを通す電解質とにより構成されており、電解質の種類によって様々な形式が開発されている。
このうち、例えば、固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:以下「SOFC」という)は、電解質としてジルコニアセラミックスなどのセラミックスが用いられ、炭素質原料をガス化設備により製造した石炭ガス化ガス等のガス、水素、都市ガス、天然ガス、石油、メタノール等を燃料として運転される燃料電池である。このSOFCは、イオン伝導率を高めるために作動温度が約700〜1000℃程度と高く、高効率な高温型燃料電池として知られている。
このようなSOFCを例えば、マイクロガスタービン(以下「MGT」という。)等の内燃機関と組み合わせた複合発電システムが開発されている。MGTでは、圧縮機から吐出される圧縮空気をSOFCの空気極に供給するとともに、SOFCから排出される高温の排燃料ガスをMGTの燃焼器に供給して燃焼させ、燃焼器で発生した燃焼ガスを断熱膨張することでMGTのタービンを回転駆動させる。そして、タービンの回転駆動を発電機に伝達させることで発電機を発電させることにより、発電効率の高い発電が可能とされている。
このようなSOFCは、例えば、セル電圧の著しい低下、発電セルの急激な温度上昇などの何らかの異常が検知されると、安全上の観点から緊急停止するように設計されている。
例えば、特許文献1には、SOFCの停止を必要とする異常が発生した場合に、運転状態(例えば、ブロワ運転、不活性ガス供給の可否)に応じた適切な停止動作を行うことが開示されている。
また、例えば、特許文献2には、SOFCが緊急停止することにより負荷電流が停止した場合に、空気及び水の流量を低下させて発電セルの劣化を防ぐようにした緊急停止方法が開示されている。
また、特許文献3には、正常停止の場合または安全のための停止の場合に、発電装置内に蓄えられたエネルギーを減少させるエネルギー除去装置が開示されている。このエネルギー除去装置は、例えば、正常停止の場合、電力調整システム(PCS)が故障した場合、または発電装置の負荷を切り離した場合等に、抵抗器等によって燃料電池から電流を引き出すことによって発電装置内部の残留燃料を消費させ、燃料電池スタックの保護を行う。
特開2014−146476号公報 特開2012−216372号公報 特表2002−505509号公報
例えば、従来のSOFCでは、異常が検知された場合に、SOFCの運転を停止させるとともに、窒素等を用いた冷却処理等が行われる。このため、運転停止後から早い段階で異常が解消された場合でも、SOFCは停止処理と冷却処理とが一旦行われているため、運転を開始し発電を再開するのに相当な時間を要していた。すなわち、SOFCは起動時や再起動時において、SOFC発電室温度を発電が可能な温度まで上昇させる温度上昇工程が必要であり、発電室温度が発電可能な温度に到達した後に発電を開始する必要がある。運転停止からの経過時間が長いほど、発電室温度は低下するため、発電室の温度上昇工程に要する時間も長期間化する。とりわけ、発電室の温度が常温レベルまで冷却された後のコールドスタートから再起動させる場合には、起動完了までに1日以上を要する場合もあった。
また、SOFC本体の異常ではなく、SOFCで発電した電力の電力供給先である負荷設備や電力系統、あるいは、SOFCと電力系統との間に配置され、直流電力を交流電力に変換して電力系統へ供給するパワーコンディショナ等に異常が発生した場合には、同様にSOFCの運転を停止させているが、比較的早い時期にパワーコンディショナの異常が解消する場合がある。したがって、このような場合にまで、異常が発生する度にSOFCの運転を停止させてSOFCの冷却処置等が行われていたのでは、稼働率が低下し、より多くの発電電力を供給するという発電システムの目的に悖る結果となる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、燃料電池の発電出力端よりも電力の供給先側で異常が検知された場合に、その異常解消から燃料電池の発電再開までの時間を短縮することのできる発電システム及びその保護制御方法を提供することを目的とする。
本発明は、燃料極と、固体電解質と、空気極とを備える複数の燃料電池セルが配置された発電室を備える燃料電池と、前記燃料電池を制御する制御装置と、前記燃料電池で発電された電力が供給される電力供給先と前記燃料電池の発電出力端との間に配置される電力変換装置とを備え、前記制御装置は、前記燃料電池の発電出力端から前記電力供給先側に発生した異常を検知する異常検知部と、前記燃料電池の前記発電室を所定の発電可能温度以上に維持する発電スタンバイ状態に移行させる出力制御部とを備え、前記異常検知部によって前記異常が検知された場合に、前記燃料電池が電力を出力しない無負荷状態とする発電システムを提供する。
本発明の発電システムによれば、燃料電池本体よりも燃料電池の発電出力端から電力の供給先側に生じた異常が異常検知部によって検知された場合に、燃料電池が電力を出力しない無負荷状態とされるとともに、出力制御部によって燃料電池が発電スタンバイ状態に移行される。ここで、発電スタンバイ状態とは、燃料電池の発電室を所定の発電可能温度以上に維持する状態である。これにより、異常が解消された場合には、発電反応のための燃料ガスを燃料極に短時間に供給することができ、発電を開始させることが可能となる。この結果、異常解消から発電までに要する時間を従来に比べて短縮することが可能となる。
上記発電システムは、前記燃料電池の発電出力端と前記電力供給先との間に設けられた開閉器と、前記異常検知部によって前記異常が検知された場合に、前記開閉器を開とする接続制御部とを備えていてもよい。
このような構成によれば、異常検知部によって異常が検知された場合に、燃料電池を容易に無負荷状態にすることが可能となる。
上記発電システムにおいて、前記出力制御部は、前記発電スタンバイ状態において、酸化剤ガス及び第1燃料ガスを前記空気極に供給するとともに、第2燃料ガスを前記燃料極に供給することとしてもよい。
上記発電システムによれば、発電スタンバイ状態において、酸化剤ガスと第1燃料ガスとが空気極に供給される。これにより、触媒燃焼によって生じた熱により発電室温度を所定の発電可能温度以上に保持することが可能となる。また、燃料極に所定量の第2燃料ガスが供給されるので、燃料極を還元ガス雰囲気に保持することができ、燃料電池セルの劣化を防止することが可能となる。
ここで、第1燃料ガスと第2燃料ガスとは同じガスとされていてもよく、異なるガスとされていてもよい。
上記発電システムは、前記燃料電池からの排燃料および排空気が供給されるマイクロガスタービンを備え、前記制御装置は、前記異常検知部によって前記異常が検知された場合に、前記マイクロガスタービンの運転を継続して行うこととしてもよい。
上記発電システムによれば、異常検知部によって異常が検知された後においても、マイクロガスタービンの運転を継続して行わせるので、マイクロガスタービンの運転を停止させていた従来の発電システムに比べて、発電システム全体としての出力を増加させることが可能となる。
上記発電システムは、前記燃料電池の発電電力を送電する第1電力線と、前記マイクロガスタービンの発電電力を送電する第2電力線と、前記第1電力線と前記第2電力線とが連結する連系点と、前記連系点と前記電力供給先とを接続する第3電力線とを備え、前記開閉器は、前記第1電力線に設けられていてもよい。
このような構成によれば、開閉器を開状態とすることによって燃料電池と電力供給先との接続を容易に遮断することができるとともに、マイクロガスタービンによって発電された発電電力については継続して電力供給先に供給することが可能となる。
上記発電システムにおいて、前記制御装置は、前記異常検知部によって前記異常が検知された場合に、前記マイクロガスタービンの運転モードが、燃焼器への第3燃料ガスの供給量を予め設定された所定値以下に抑制する高効率運転モードであるか否かを判定する運転モード判定部と、前記運転モード判定部によって前記高効率運転モードであると判定された場合に、前記高効率運転モードを解除し、前記高効率運転モードよりも多くの前記第3燃料ガスを前記燃焼器に供給する他の運転モードに切り替える運転モード切替部とを具備することとしてもよい。
上記発電システムによれば、異常検知部によって異常が検知された場合であって、マイクロガスタービンの運転モードが燃費を向上させる高効率運転モードである場合には、高効率運転モードが解除され、高効率運転モードよりも多くの第3燃料ガスを燃焼器に供給する他の運転モードに切り替えられる。これにより、燃焼器における安定した燃焼を維持することが可能となる。
上記第3燃料ガスは、第1燃料ガス及び第2燃料ガスの少なくともいずれか一方と同じガスとされていてもよいし、いずれとも異なるガスとされていてもよい。
上記発電システムにおいて、前記出力制御部は、前記異常検知部によって前記異常が検知された場合に、前記燃料極に改質用水を供給することとしてもよい。
この場合において、前記出力制御部は、予め設定された最低流量の前記改質用水を前記燃料極に供給し、前記改質用水の供給開始から予め設定された所定の時間経過後に目標流量まで前記改質用水の供給量を増加させることとしてもよい。
上記発電システムによれば、異常検知部によって異常が検知された場合に、改質のための改質用水を燃料極に供給するので、改質に必要とされる改質用水を先行的に供給することが可能となる。更に、改質用水の供給開始時においては最小流量を供給し、改質用水の供給開始から所定の時間経過後に目標流量まで流量を増加させるので、改質用水の供給開始時に生ずる圧力変動や流量変動を抑制することが可能となる。
本発明は、発電室内に、燃料極と、固体電解質と、空気極とを備える複数の燃料電池セルが配置された燃料電池を具備する発電システムの保護制御方法であって、前記燃料電池の発電出力端から電力供給先側に発生した異常を検知する工程と、前記異常を検知した場合に、前記燃料電池が電力を出力しない無負荷状態とする工程と、前記異常を検知した場合に、前記燃料電池の前記発電室を所定の発電可能温度以上に維持する発電スタンバイ状態に移行させる工程とを含む発電システムの保護制御方法を提供する。
上記発電システムの保護制御方法は、前記異常が解消された場合に、前記燃料電池の発電室を目標温度まで上昇させ、前記燃料電池の出力を目標出力まで増加させる工程を更に含むこととしてもよい。
本発明によれば、SOFCの発電出力端よりも電力の供給先側で異常が検知された場合に、その異常解消からSOFCの発電再開までの時間を短縮することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る発電システムの概略構成を示した概略構成図である。 本発明の一実施形態に係るSOFCのセルスタックの一態様を示した図である。 本発明の一実施形態に係るSOFCモジュールの一態様を示した図である。 本発明の一実施形態に係るSOFCカートリッジの一態様の断面図である。 本発明の一実施形態に係るPCSの概略構成及び発電システムと電力系統との間の配線の一形態を示した図である。 本発明の一実施形態に係る制御装置が備える各種機能のうち、保護制御に関する機能を主に展開して示した機能ブロック図である。 本発明の一実施形態に係る発電システムの保護制御の手順を示したフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る発電システムによる保護制御と、従来の発電システムの緊急停止制御とを実行した場合の各種制御量の時間的推移を比較して示した図である。
以下に、本発明に係る発電システム及びその保護制御方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
〔発電システムの構成〕
まず、本発明の一実施形態に係る発電システムの概略構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る発電システム10の概略構成を示した概略構成図である。図1に示すように、発電システム10は、マイクロガスタービン(以下「MGT」という。)11、発電機12、SOFC13、及びパワーコンディショナ(電力変換装置、以下「PCS」という)120等を備えている。この発電システム10は、MGT11による発電と、SOFC13による発電とを組み合わせることで、高い発電効率を得るように構成されている。
MGT11は、圧縮機21、燃焼器22、タービン23を有しており、圧縮機21とタービン23とは回転軸24により一体回転可能に連結されている。後述するタービン23が回転することで圧縮機21が回転駆動する。
圧縮機21は、空気取り込みライン25から取り込んだ空気Aを圧縮する。燃焼器22には、第1空気供給ライン26を介して圧縮機21からの圧縮空気(以下、単に「空気」という。)Aの一部が供給されるとともに、第1燃料ガス供給ライン27を介して燃料ガスL1が供給される。第1空気供給ライン26には、燃焼器22へ供給する空気量を調整するための制御弁65が設けられ、第1燃料ガス供給ライン27には、燃焼器22へ供給する燃料ガス流量を調整するための制御弁70が設けられている。更に、燃焼器22には、後述するSOFC13の燃料ガス再循環ライン49を循環する排燃料ガスL3の一部が排燃料ガス供給ライン45を通じて供給される。排燃料ガス供給ライン45には、燃焼器22に供給する排燃料ガス量を調整するための制御弁47が設けられている。更に、燃焼器22には、後述する排空気供給ライン36を通じてSOFC13の空気極13Bで用いられた排空気A2の一部が供給される。
燃焼器22は、燃料ガスL1、空気Aの一部、排燃料ガスL3、及び排空気A2を混合して燃焼させ、燃焼ガスGを生成する。燃焼ガスGは燃焼ガス供給ライン28を通じてタービン23に供給される。タービン23は、燃焼ガスGが断熱膨張することにより回転し、排ガスが燃焼排ガスライン55から排出される。発電機12は、タービン23と同軸上に設けられており、タービン23が回転駆動することで発電する。
燃焼器22に供給する燃料ガスL1及び後述する燃料ガスL2は可燃性ガスであり、例えば、炭素質原料(石炭等)をガス化設備により製造した石炭ガス化ガス等のガス、一酸化炭素(CO)やメタン(CH)等の炭化水素ガス、液化天然ガス(LNG)、都市ガス、水素(H)、メタノール、石油等が用いられる。本実施形態での燃料ガスL1、L2は例えば都市ガスを使用し、メタンを主成分とする燃料ガスを用いている。燃料ガスL1と燃料ガスL2とは同じガスとされてもよいし、異なるガスとされてもよい。
SOFC13は、圧力容器内に燃料極13Aと空気極13Bと固体電解質とが収容されて構成される。なお、SOFC13の詳細な構成については後述する。
SOFC13は、空気極13Bに酸化剤ガスが供給され、燃料極13Aに燃料ガス(還元剤ガス)が供給されることで、所定の作動温度にて反応して発電を行う。
酸化剤ガスは、例えば、酸素を略15%から30%含むガスであり、代表的には空気が好適であるが、空気以外にも燃焼排ガスと空気の混合ガスや、酸素と空気の混合ガスなどが使用可能である。本実施形態では、SOFC13に供給される酸化剤ガスとして、圧縮機21によって圧縮された空気Aの少なくとも一部(空気A1)を採用する場合を例示して説明する。
SOFC13には、第1空気供給ライン26から分岐した第2空気供給ライン31を通じて酸化剤ガスとして空気(酸化剤ガス)A1が空気極13Bの導入部である空気供給部に供給される。この第2空気供給ライン31には、供給する空気A1の流量を調整するための制御弁64が設けられている。また、第1空気供給ライン26において、第2空気供給ライン31の分岐点よりも空気A1の上流側(換言すると、圧縮機21側)には、熱交換器58が設けられている。熱交換器58において、空気Aは、燃焼排ガスライン55から排出される排ガスとの間で熱交換されて昇温される。更に、第2空気供給ライン31には、熱交換器58をバイパスするバイパスライン62が設けられている。バイパスライン62には、制御弁66が設けられ、空気Aのバイパス流量が調整可能とされている。制御弁64、66の開度が後述する制御装置60によって制御されることで、熱交換器58を通過する空気Aと熱交換器58をバイパスする空気Aとの流量割合が調整され、第2空気供給ライン31を通じてSOFC13に供給される空気A1の温度が調整される。
SOFC13に供給される空気A1の温度は、SOFC13を構成するSOFCカートリッジ203に空気A1を導入する空気供給部や空気供給枝管をはじめSOFCカートリッジ203の構成材料に損傷を与えないよう温度の上限が制限されている。
更に、第2空気供給ライン31には、可燃性ガスとして燃料ガスL2を供給する空気極燃料供給ライン80が接続されている。空気極燃料供給ライン80には、第2空気供給ライン31へ供給する燃料ガス量を調整するための制御弁82が設けられている。制御弁82の弁開度が後述する制御装置60によって制御されることにより、空気A1に添加される燃料ガスL2の供給量が調整される。空気A1に添加される燃料ガスL2の量は、可燃限界濃度以下で供給され、より好ましくは3体積%以下で供給される。
SOFC13には、空気極13Bで用いられた排空気A2を排出する排空気排出ライン34が接続されている。この排空気排出ライン34には、燃焼器22に排空気A2を供給するための排空気供給ライン36が接続されている。排空気供給ライン36には、SOFC13とガスタービン11との間の系統を切り離すための遮断弁38が設けられている。
また、排空気排出ライン34には、外部へ排出する排空気量を調整するための制御弁(もしくは遮断弁)37が設けられている。
SOFC13には、更に、燃料ガスL2を燃料極13Aの導入部である燃料ガス供給部207(図3参照)に供給する第2燃料ガス供給ライン41と、燃料極13Aで反応に用いられた後の排燃料ガスL3を排出する排燃料ガスライン43とが接続されている。第2燃料ガス供給ライン41には、燃料極13Aに供給する燃料ガスL2の流量を調整するための制御弁42が設けられ、排燃料ガスライン43には外部に排出する排燃料ガス量を調整するための制御弁(もしくは遮断弁)46が設けられている。排燃料ガスライン43の制御弁(もしくは遮断弁)46と、排空気排出ライン34の制御弁(もしくは遮断弁)37とにより過剰になった圧力を素早く調整することができる。また、SOFC13の燃料極13Aと空気極13Bの燃料空気差圧は、燃料極13A側が所定の圧力範囲で高くなるように制御弁47により制御される。また、排燃料ガスライン43には、排燃料ガスL3をSOFC13の燃料極13Aの入口へと再循環させるための燃料ガス再循環ライン49が接続されている。燃料ガス再循環ライン49には、排燃料ガスL3を再循環させるための再循環ブロワ50が設けられている。
更に、燃料ガス再循環ライン49には、燃料極13Aに燃料ガスL2を改質するための改質用水として純水を供給する純水供給ライン44が設けられている。純水供給ライン44にはポンプ48が設けられている。ポンプ48の吐出流量が制御装置60によって制御されることにより、燃料極13Aに供給される純水流量が調整される。
〔SOFCの構成〕
次に、図2から図4を参照してSOFC13の構成について説明する。
まず、本実施形態に係るSOFC複合発電システム(燃料電池複合発電システム)のSOFCに用いる円筒形セルスタックについて図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係るセルスタック101の一態様を示した図である。セルスタック101は、円筒形状の基体管103と、基体管103の外周面に複数形成された燃料電池セル105と、隣り合う燃料電池セル105の間に形成されたインターコネクタ107とを備える。燃料電池セル105は、燃料極13Aと固体電解質111と空気極13Bとが積層して形成されている。また、セルスタック101は、基体管103の外周面に形成された複数の燃料電池セル105の内、基体管103の長手軸方向において最も端の一端に形成された燃料電池セル105の空気極13Bに、インターコネクタ107を介して電気的に接続されたリード膜115を備え、最も端の他端に形成された燃料電池セル105の燃料極13Aに電気的に接続されたリード膜(不図示)を備える。
基体管103は、多孔質材料からなり、例えば、CaO安定化ZrO(CSZ)、CSZと酸化ニッケル(NiO)との混合物(CSZ+NiO)、又はY安定化ZrO2(YSZ)、又はMgAlなどを主成分とされる。この基体管103は、燃料電池セル105とインターコネクタ107とリード膜115とを支持すると共に、基体管103の内周面に供給される燃料ガスを基体管103の細孔を介して基体管103の外周面に形成される燃料極13Aに拡散させる。
燃料極13Aは、Niとジルコニア系電解質材料との複合材の酸化物で構成され、例えば、Ni/YSZが用いられる。燃料極13Aの厚さは50〜250μmである。この場合、燃料極13Aは、燃料極13Aの成分であるNiが燃料ガスに対して触媒作用を備える。この触媒作用は、基体管103を介して供給された燃料ガス、例えば、メタン(CH)と水蒸気との混合ガスを反応させ、水素(H)と一酸化炭素(CO)に改質する。また、燃料極13Aは、改質により得られる水素(H)及び一酸化炭素(CO)と、固体電解質111を介して供給される酸素イオン(O2−)とを固体電解質111との界面付近において電気化学的に反応させて水(HO)及び二酸化炭素(CO)を生成する。なお、燃料電池セル105は、この時、酸素イオンから放出される電子によって発電する。
固体電解質111は、ガスを通しにくい気密性と、高温で高い酸素イオン導電性とを備えるYSZとが主に用いられて構成されている。固体電解質111は、空気極13Bで生成される酸素イオン(O2−)を燃料極13Aに移動させる。燃料極13Aの表面上に位置する固体電解質111の膜厚は10〜100μmである。
空気極13Bは、例えば、LaSrMnO系酸化物、又はLaCoO系酸化物で構成される。この空気極13Bは、固体電解質111との界面付近において、供給される空気等の酸化剤ガス中の酸素を解離させて酸素イオン(O2−)を生成する。空気極13Bは2層構成とすることもできる。この場合、固体電解質111側の空気極層(空気極中間層)は高いイオン導電性を示し、触媒活性に優れる材料で構成される。空気極中間層上の空気極層(空気極導電層)は、Sr及びCaドープLaMnOで表されるペロブスカイト型酸化物で構成されても良い。こうすることにより、発電性能をより向上させることができる。
インターコネクタ107は、SrTiO系などのM1−xTiO(Mはアルカリ土類金属元素、Lはランタノイド元素)で表される導電性ペロブスカイト型酸化物などから構成される。インターコネクタ107は、燃料ガスと空気とが混合しないように緻密な膜となっていて、酸化ガス雰囲気と還元ガス雰囲気との両雰囲気下で安定した耐久性と電気導電性を備える。このインターコネクタ107は、隣り合う燃料電池セル105において、一方の燃料電池セル105の空気極13Bと他方の燃料電池セル105の燃料極13Aとを電気的に接続し、隣り合う燃料電池セル105同士を直列に接続する。リード膜115は、電子伝導性を備えること、及びセルスタック101を構成する他の材料との熱膨張係数が近いことが必要であることから、Ni/YSZ等のNiとジルコニア系電解質材料との複合材で構成されている。このリード膜115は、インターコネクタにより直列に接続される複数の燃料電池セル105で発電された直流電力をセルスタック101の端部付近まで導出する。
次に、図3及び図4を参照して本実施形態に係るSOFCモジュール及びSOFCカートリッジについて説明する。図3は、本実施形態に係るSOFCモジュールの一態様を示した図、図4は、本実施形態に係るSOFCカートリッジの一態様の断面図である。
SOFCモジュール201は、図3に示すように、例えば、複数のSOFCカートリッジ203と、複数のSOFCカートリッジ203を収納する圧力容器205とを備える。なお、図3には円筒形のSOFCのセルスタックを例示しているが、必ずしもこの限りである必要はなく、例えば平板形のセルスタックであってもよい。圧力容器205は、内部の圧力が0.1MPa〜約1MPa、内部の温度が大気温度〜約550℃で運用されるので、耐力性と酸化剤ガス中に含まれる酸素などに対する耐食性を保有する材質が利用される。例えばSUS304などのステンレス系材が好適である。
SOFCモジュール201は、燃料ガス供給部207と複数の燃料ガス供給枝管207a及び燃料ガス排出部209と複数の燃料ガス排出枝管209aとを備える。更に、SOFCモジュール201は、空気供給部(不図示)と空気供給枝管(不図示)及び空気排出部(不図示)と複数の空気排出枝管(不図示)とを備える。
第2燃料ガス供給ライン41(図1参照)からの燃料ガスL2は、燃料ガス供給部207、複数の燃料ガス供給枝管207aを通じて複数のSOFCカートリッジ203に供給される。燃料ガス供給枝管207aは、燃料ガス供給部207を通じて供給される燃料ガスL2を複数のSOFCカートリッジ203に略均等の流量で導き、複数のSOFCカートリッジ203の発電性能を略均一化させる。
SOFCカートリッジ203から排出される排燃料ガスL3は、燃料ガス排出枝管209a及び燃料ガス排出部209を通じることにより、略均等の流量で排燃料ガスライン43(図1参照)に導かれる。
本実施形態においては、複数のSOFCカートリッジ203が集合化されて圧力容器205に収納される態様について説明しているが、これに限られず、例えば、SOFCカートリッジ203が集合化されずに圧力容器205内に収納される態様としてもよい。
SOFCカートリッジ203は、図4に示すように、複数のセルスタック101と、発電室215と、燃料ガス供給室217と、燃料ガス排出室219と、空気供給室221と、空気排出室223とを備えている。更に、SOFCカートリッジ203は、上部管板225aと、下部管板225bと、上部断熱体227aと、下部断熱体227bとを備えている。なお、本実施形態においては、SOFCカートリッジ203は、燃料ガス供給室217と燃料ガス排出室219と空気供給室221と空気排出室223とが図4のように配置されることで、燃料ガスと酸化剤ガスとしての空気とがセルスタック101の内側と外側とを対向して流れる構造とされているが、その態様は必ずしもこの例に限られず、例えば、セルスタックの内側と外側とを平行して流れる、または空気がセルスタックの長手軸方向と直交する方向へ流れるようにしても良い。
発電室215は、上部断熱体227aと下部断熱体227bとの間に形成された領域である。発電室215は、セルスタック101の燃料電池セル105が配置された領域であり、燃料ガスと空気とを電気化学的に反応させて発電を行う領域である。例えば、発電室215のセルスタック101の長手方向の中央部付近の温度は、SOFCモジュール201の定常運転時に、約700℃から1000℃の高温雰囲気となる。
燃料ガス供給室217は、SOFCカートリッジ203の上部ケーシング229aと上部管板225aとに囲まれた領域であり、上部ケーシング229aの上部に設けられた燃料ガス供給孔231aによって、燃料ガス供給枝管207aと連通されている。複数のセルスタック101は、上部管板225aとシール部材237aにより接合されており、燃料ガス供給室217は、燃料ガス供給枝管207aから燃料ガス供給孔231aを介して供給される燃料ガスを、複数のセルスタック101の基体管103の内部に略均一流量で導き、複数のセルスタック101の発電性能を略均一化させる。
燃料ガス排出室219は、SOFCカートリッジ203の下部ケーシング229bと下部管板225bとに囲まれた領域であり、下部ケーシング229bの下部に備えられた燃料ガス排出孔231bによって、燃料ガス排出枝管209aと連通されている。複数のセルスタック101は、下部管板225bとシール部材237bにより接合されており、燃料ガス排出室219は、複数のセルスタック101の基体管103の内部を通過して燃料ガス排出室219に供給される排燃料ガスL3を集約して、燃料ガス排出孔231bを介して燃料ガス排出枝管209aに導くことができる。
空気供給室221は、SOFCカートリッジ203の下部ケーシング229bと、下部管板225bと、下部断熱体227bとに囲まれた領域であり、下部ケーシング229bの側面に設けられた空気供給孔233aによって、図示しない空気供給枝管と連通されている。この空気供給室221は、図示しない空気供給枝管から空気供給孔233aを介して供給される所定流量の空気を、空気供給隙間235aを介して発電室215に略均一流量で導くことができる。
空気排出室223は、SOFCカートリッジ203の上部ケーシング229aと、上部管板225aと、上部断熱体227aとに囲まれた領域であり、上部ケーシング229aの側面に設けられた空気排出孔233bによって、図示しない空気排出枝管と連通されている。この空気排出室223は、発電室215から、空気排出隙間235bを介して空気排出室223に供給される排空気を、空気排出孔233bを介して図示しない空気排出枝管に導くことができる。
発電室215で発電された直流電力は、複数の燃料電池セル105に設けられたNi/YSZ等からなるリード膜115(図2参照)によりセルスタック101の端部付近まで導出した後に、SOFCカートリッジ203の集電棒(不図示)に集電板(不図示)を介して集電して、各SOFCカートリッジ203の外部へと取り出される。SOFCカートリッジ203の外部に導出された直流電力は、SOFCモジュール201の外部へと導出されて、後述するPCS(パワーコンディショナ)120(図5参照)によって交流電力へ変換されて、電力供給先へと供給される。電力供給先としては、例えば、電力系統及び負荷設備の少なくとも一方が挙げられる。
上述したように、本実施形態に係るSOFC13では、燃料ガスL2と空気A1とがセルスタック101の内側と外側とを対向して流れるものとなっている。これにより、排空気A2は、基体管103の内部を通って発電室215に供給される燃料ガスL2との間で熱交換がなされ、金属材料から成る上部管板225a等が座屈などの変形をしない温度に冷却されて空気排出室223に供給される。また、燃料ガスL2は、発電室215から排出される排空気A2との熱交換により昇温され、発電室215に供給される。その結果、ヒーター等を用いることなく発電に適した温度に予熱昇温された燃料ガスL2を発電室215に供給することができる。更に、基体管103の内部を通って発電室215を通過した排燃料ガスL3は、発電室215に供給される空気A1との間で熱交換がなされ、金属材料から成る下部管板225b等が座屈などの変形をしない温度に冷却されて燃料ガス排出室219に供給される。また、空気A1は排燃料ガスL3との熱交換により昇温され、発電室215に供給される。その結果、ヒーター等を用いることなく発電に必要な温度に昇温された空気を発電室215に供給することができる。
また、図1に示すように、発電システム10の各所には、各種センサが設けられている。例えば、SOFC13には、燃料極13Aと空気極13Bとの差圧を計測する差圧センサ90、発電室温度を計測する温度センサ92等が設けられている。また、MGT11の圧縮機21の吸入口付近には、圧縮機21に吸引される空気Aの温度を外気温度として計測する外気温度センサ94が設けられている。
さらに、発電システム10には、第2空気供給ライン31を通じてSOFC13に供給される空気A1の温度(入口空気温度)を計測する温度センサ(不図示)、燃料ガス再循環ライン49を循環する排燃料ガスL3の温度を計測する温度センサ(不図示)等が設けられている。また、各制御弁には、弁開度を検出する弁開度検出部(不図示)が設けられている。
これら各種センサや弁開度検出部によって検出された計測データは、制御装置60に送信される。
制御装置60は、各種センサや弁開度検出部等によって計測された計測データを用いて、PCS120と連携しながらSOFC13やMGT11の制御を行う。具体的には、上述の計測データに基づいて演算処理を行い、要求負荷を満足するように発電システム10の各部の動作を制御する。また、制御装置60は、PCS120等に異常が発生した場合の保護制御を実行する。
図5は、PCS120の概略構成及び発電システム10のSOFC13の発電出力端と電力系統135との間の配線の一形態を示した図である。図5に示すように、PCS120は、半導体素子等を使用した電気回路であり、例えば、SOFC13から出力された直流電力を昇圧する昇圧回路122、昇圧回路122で昇圧された直流電力を交流電力に変換するインバータ123、インバータ123で変換された交流電力にフィルタ処理を施すフィルタ回路124、及びPCS内開閉器125等を備えている。
本実施形態では、PCS120から出力されたSOFC13の出力は所定の電力供給先である電力系統135に供給される。なお、本実施形態では、所定の電力供給先として電力系統135を例示しているが、これに代えてまたは加えて、特定の負荷設備に発電電力を供給することとしてもよい。
PCS120から出力される交流電力は電力線C1を通じて送電設備130に送られる。送電設備130では、電力線C1とMGT11の発電機12から発電電力を送電する電力線C2とが連系点Xにおいて連結されている。連系点Xと電力系統135との間の電力線C3には、例えば、系統開閉器131及び変圧器132等が設けられている。
このような構成により、例えば、SOFC13の発電電力は、PCS内の昇圧回路122によって送電設備130への出力に応じた電圧まで昇圧された後、インバータ123によって直流電力から交流電力に変換される。インバータ123から出力された電力は、フィルタ回路124によってフィルタ処理(例えば、平滑化処理等)が施され、閉状態とされたPCS内開閉器125を経て送電設備130へ供給される。PCS120からの交流電力及びMGT11からの交流電力は、送電設備130内の連系点Xにおいて重畳され、閉状態とされた系統開閉器131、及び変圧器132を通じて、電力系統135へ供給される。
上記PCS内開閉器125はSOFC13と電力系統135との系統連系及び解列を切り替えるための開閉器である。また、系統開閉器131は、発電システム10と電力系統135との系統連系及び解列を切り替えるための開閉器である。
具体的には、PCS内開閉器125は、SOFC13と電力系統135とが連系している場合に閉状態とされ、SOFC13が電力系統135と解列している場合に開状態とされる。また、系統開閉器131は、発電システム10と電力系統135とが連系している場合に閉状態とされ、発電システム10が電力系統135と解列している場合に開状態とされる。
PCS内開閉器125及び系統開閉器131の開閉制御は、制御装置60またはPCS120により行われる。
本実施形態において、PCS内開閉器125は、PCS内に設けられているが、この配置に限られない。すなわち、SOFC13と電力系統135との系統連系及び解列を切り替えるための開閉器は、SOFC13の発電出力端と連系点Xとを接続する電力線C1に設けられていればよく、例えば、SOFC13の発電出力端とPCS120との間に設けられていてもよいし、PCS120と連系点Xとの間に設けられていてもよい。
〔発電システムの保護制御〕
次に、上記構成を備える発電システム10において、PCS異常が発生した場合に、制御装置60によって実行される保護制御について説明する。PCS異常は、後述するようにSOFC13の発電出力を電力の供給先(本実施形態では、電力系統135)に対して正常に送電できなくなるような異常である。
制御装置60は、例えば、コンピュータやシーケンサーであり、CPUと、CPUが実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)と、各プログラム実行時のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)等を備えている。後述の各種機能を実現するための一連の処理の過程は、プログラムの形式で記録媒体等に記録されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。
図6は、制御装置60が備える各種機能のうち、保護制御に関する機能を主に展開して示した機能ブロック図である。図6に示すように、制御装置60は、PCS異常検知部140、接続制御部141、出力制御部142、運転モード判定部143、及び運転モード切替部144を備えている。
PCS異常検知部140は、PCS異常の発生を検知する。PCS異常とは、SOFC13の発電出力端から電力を供給する側にあたる電力供給先側に発生する異常である。PCS異常は、本実施形態では、例えば、電力系統異常やPCS故障や送電・連系の機器故障を含む。電力系統異常として、電力系統135の停電、瞬停、所定幅以上の周波数変動、所定値以上の電圧変動、所定値以下への電圧低下等が一例として挙げられる。また、PCS故障として、PCS120を構成する各素子や各部品の故障や断線、PCS120と制御装置60との間の通信異常(例えば、PCS120に対して送信したリクエストに対するPCS120からのアンサーが受信できないPCSアンサーバック異常)等が一例として挙げられる。また、送電・連系の機器故障として、PCS120と電力系統135との間に設置された送電設備130、系統開閉器131、変圧器132などの各機器や電力線の故障や破損等が一例として挙げられる。PCS異常は上記例に限定されず、SOFC13の発電電力を電力系統135に対して正常に送電できないような様々な異常であって、その異常を検知しSOFCの保護制御を行う必要性のある異常をいう。
接続制御部141は、PCS異常検知部140によってPCS異常の発生が検知された場合に、PCS内開閉器125を閉状態から開状態に切り替え、SOFC13を電力系統135から解列する。換言すると、SOFC13と電力供給先とを非接続状態とする。これにより、SOFC13は負荷が接続されていない無負荷状態となる。SOFC13は発電の出力電流がゼロとなり、開放端起電力が生じている状態となる。
出力制御部142は、PCS異常検知部140によってPCS異常が検知された場合に、SOFC13を発電スタンバイ状態とする。ここで、発電スタンバイ状態とは、発電室温度を所定の発電可能温度以上に維持する状態であり、仮に、負荷が接続された場合には、短時間で発電を開始できる状態をいう。
具体的には、出力制御部142は、発電スタンバイ状態において、制御弁82の開度及び制御弁64、66の弁開度を調整することにより、燃料ガスL2及び空気(酸化剤ガス)A1を空気極13Bに供給する。これにより、発電室内で触媒燃焼を行わせ、触媒燃焼によって生じた熱を用いて発電室温度を所定の発電可能温度以上に維持する。燃料電池セル105が十分な温度に達していないとき、換言すると、固体電解質111(図2参照)が高抵抗状態のときに燃料極13A側に燃料ガスL2を投入して、燃料電池セル105を発電させると、電極構成材料が組織変化して劣化し、燃料電池セル105の性能低下の要因になるからである。ここで、発電可能温度とは、例えば、750℃以上をいう。
発電室温度は、燃料電池セル105の性能低下を防止するために、例えば定格時運転温度の80%以上に設定され、具体的には、発電室目標温度は、SOFC13が発電による発熱による自己発熱で温度が維持できる温度以上であり、例えば定格時運転温度の85%以上100%以下の温度範囲で設定される。
更に、出力制御部142は、発電スタンバイ状態において、制御弁42を全閉状態に近い微開状態まで絞ることにより、燃料極13Aへの燃料ガスL2の供給を定格運転時の流量に比べて大幅に低減させた微小流量とする。ここで、制御弁42を全閉状態として燃料極13Aへの燃料ガスL2の供給を停止してしまうと、空気極13Bから侵入してくる酸素があった場合には燃料極13Aが酸化ガス雰囲気となってしまい、燃料電池セル105が劣化してしまうおそれがあるためである。燃料電池セル105の劣化を防止するために、燃料極13Aに微小流量の燃料ガスL2を供給し、微小流量の燃料ガスL2に相応した改質用水である純水を純水供給ライン44から供給することで、微小流量の燃料ガスL2は水素が多く含まれるガスに改質され、この水素ガスなどの改質ガスと空気極13Bから侵入してくる酸素を反応させることで燃料極13Aを還元ガス雰囲気に維持する。
燃料極13Aに供給する燃料ガスL2は、燃料極13Aを還元ガス雰囲気に維持するのに必要な最低限の流量またはその流量に所定の裕度を持たせた流量とされ、例えば、SOFC13の定格運転時の流量に対して数%以上10%以下の範囲で設定される。
なお、排燃料ガスライン43には、微小流量の燃料ガスL2の改質ガスと酸素と反応した水蒸気などが排燃料ガスとして排出され、この微小流量の排燃料ガスL3はSOFC13の燃料極13Aの入口へと、燃料ガス再循環ライン49と再循環ブロワ50により再循環される。
更に、出力制御部142は、PCS異常検知部140によってPCS異常が検知された場合に、燃料極13Aに純水を供給する。この純水は改質に必要とされる水である。ここで、通常の負荷降下時では、SOFC13の出力が所定値以下となった場合に純水の供給を開始させる。これは、出力が所定値以上の負荷領域では、発電反応によって生成される水蒸気の量が多いため、燃料ガス再循環ライン49を通じてSOFC13に再循環される水蒸気によって、改質に必要な水蒸気を賄うことができるからである。SOFC13の出力が低下すると、発電反応で生成される水蒸気の量が減少するため、燃料ガス再循環ライン49を循環する水蒸気量が減少し、改質に必要な水蒸気を賄いきれなくなる。そのため、SOFC13の出力が所定値以下(例えば、所定値は定格出力の40%以上50%以下の範囲で設定される)の場合には、外部から純水供給ライン44を経由して純水を供給し、水蒸気の不足分を補充する。
本実施形態において、PCS異常が発生したときにおいて、SOFC13の出力が所定値以上の出力となる状態では、純水を供給する必要性はない。しかしながら、PCS異常発生時には、SOFC13を電力系統135から解列するために、SOFC13の出力は急速に低下し、所定値の出力(例えば、定格出力の40%以上50%以下)を経過して無負荷状態になり、SOFC13の出力はゼロになる。したがって、この状況を見越して、本実施形態では、PCS異常の発生が検知された場合に、先行的に純水の供給を開始することとしている。
また、出力制御部142は、純水供給開始時において、急な純水供給を安定して開始するための最低流量の純水を燃料極13Aに供給する。純水は、燃料ガス再循環ライン49に設けられているスプレーノズルから噴霧されるが、このスプレーノズルは燃料ガス再循環ライン49を循環するガスによって高温に熱せられている。このような高温のスプレーノズルに対して相当量の純水を急激に供給すると、圧力変動や流量変動が生じたり、スプレー自体などの補機に損傷が発生する可能性がある。このような圧力変動や流量変動およびスプレーの損傷などの発生を防止するために、純水の供給開始時においては最低流量の純水をスプレーノズルに供給し、純水の供給開始から所定期間(例えば数分間)が経過してスプレーノズルがある程度冷やされてから、純水流量を目標純水流量まで徐々に増加させる。ここで、本実施形態での純水の最低流量は、例えば、SOFC13の出力が所定値未満となる運転時に供給される純水流量の数%以上約20%以下の範囲で設定される。また、目標純水流量は、燃料極13Aに供給する燃料ガスL2の改質反応を適切に行わせて、炭素析出が起こらないような流量以上に設定され、例えば、S/C(スチームカーボン比)が約3以上5以下の範囲をとるような値に設定される。
運転モード判定部143は、PCS異常検知部140によって異常が検知された場合に、現在のMGT11の運転モードが、高効率運転モードであるか否かを判定する。ここで、高効率運転モードとは、第1燃料ガス供給ライン27(図1参照)を介して燃焼器22に供給される燃料ガスL1を極力使用せずに、排燃料ガス供給ライン45を通じて供給される排燃料ガスL3を燃料として最大限利用となるよう、燃料ガスL1の流量を予め設定された所定値以下になるように設定して燃費を向上させる運転モードである。
運転モード切替部144は、運転モード判定部143によって現在の運転モードが高効率運転モードであると判定された場合に、高効率運転モードを解除し、高効率運転モードよりも多くの燃料ガスL1を燃焼器22に供給する他の運転モードに切り替える。例えば、運転モード切替部144は、外気温度センサ94によって計測された外気温度及び燃料電池負荷(=0A)に基づいて圧縮機21から供給する空気Aの流量を決定し、MGT11の出力制御を行う運転モードに切り替える。
このように、PCS異常が検知された場合には、燃料ガスL1を抑制して燃費を向上させる高効率運転を解除し、燃焼器22に供給する燃料ガスL1の供給量を増加させる運転モードに切り替えることで、燃焼器22の安定した燃焼を維持することが可能となる。
次に、本実施形態に係る制御装置60によって実行される保護制御の手順について図7を参照して説明する。図7は、本実施形態に係る発電システムの保護制御の手順を示したフローチャートである。
まず、発電システムの運転時(例えば、定格運転、部分負荷運転等)において、PCS異常を検知した場合(ステップSA1において「YES」)、PCS内開閉器125を閉状態から開状態に切り替えることにより、SOFC13を電力系統135から解列する(ステップSA2)。またSOFC13が電力を出力しない無負荷状態とし、これにより、SOFC13の出力はゼロとなる。なお、PCS異常を検知しない場合には(ステップA1で「NO」)、発電システムの運転(例えば、定格運転、部分負荷運転など)を継続する。
続いて、発電スタンバイ状態へ移行するために各制御弁等の制御を行う(ステップSA3)。具体的には、制御弁42を閉状態に近づけ微開状態とすることにより、燃料極13Aへの燃料ガスL2の供給量を目標流量まで減少させる。この目標流量は、例えば、定格運転時の流量に対して数%以上10%以下の範囲で設定されている。また、この燃料ガスL2の減少に伴い、空気極13Bに供給される空気A1の流量も減少させる。空気A1の流量は、例えば、制御弁64、66の弁開度制御によって行われる。また、制御弁82を開くことにより、空気A1に燃料ガスL2を添加し、燃料ガスL2が添加された空気A1を空気極13Bに供給することで、触媒燃焼による発熱により発電室温度を所定温度以上に維持する。
続いて、MGT11の現在の運転モードが高効率運転モードであるか否かを判定し(ステップSA4)、高効率運転モードである場合には(ステップSA4において「YES」)、高効率運転モードを解除し、他の運転モード、例えば、SOFC負荷(0A)と外気温度センサ94により取り込んだ外気温度とから、圧縮機21から供給する空気Aの流量を決定し、目標MGT出力を設定する運転モードに切り替える(ステップSA5)。
続いて、純水の供給を開始する(ステップSA6)。具体的には、安定した純水供給のための最低流量にて純水供給を開始し、その後、所定期間後(例えば、3〜4分後)において目標流量まで純水を増加させる。
なお、ステップSA4において、MGT11の現在の運転モードが高効率運転モードでないと判定した場合には(ステップSA4において「NO」)、運転モードの切り替えは行わずに、ステップSA6に移行し、純水の供給を開始する。
このようにして、各種処理が実行されることにより、PCS異常が検知された場合において、SOFC13については、発電スタンバイ状態が維持され、MGT11については、外気温度とSOFC負荷(=0A)とに基づくMGT11の出力制御が継続して行われる。これにより、SOFC13は発電を再開する場合に短時間で発電を開始できる状態に維持され、また、MGT11の発電機12によって発電された発電電力は電力系統135に供給されてもよい。
そして、上記の状態において、PCS異常が解消されると、制御装置60はSOFC13の発電を開始させる。例えば、制御装置60は、要求負荷に応じた目標出力電流を設定し、この目標出力電流に基づいて各制御系の制御指令を設定する。そして、設定した各種制御指令に基づいて各種制御系を制御する。例えば、各制御系の制御指令としては、燃料極13Aに供給する燃料ガスL2の流量指令、空気極13Bに供給する空気A1の入口空気温度指令、燃料極13Aと空気極13Bとの差圧指令、再循環ブロワ50の回転数指令、燃料極13Aに供給する純水の流量指令、MGT出力指令等が挙げられる。
このように、目標出力電流に基づいて各種制御系の制御指令が設定され、設定された各種制御指令に各種制御系の出力を一致させる制御(例えば、フィードバック制御やフィードフォワード制御)が行われることにより、各制御系のうち少なくとも二つ以上の制御系の制御量を制御指令に向けてほぼ一斉に変化させて、発電室温度など各制御の対象を短い時間で整定させることが可能となる。この結果、SOFC出力及び発電室温度を目標出力、目標温度に向けて速やかに上昇させることができ、またSOFC13の出力上昇に伴い、MGT出力も増加させることが可能となる。
図8は、本実施形態に係る発電システムによる保護制御(以下、単に「保護制御」という。)と、従来の発電システムの緊急停止制御(以下、単に「緊急停止制御」という。)とを実行した場合の各種制御量の時間的推移を比較して示した図である。各種制御量の時間的推移は、本実施形態の保護制御のものを太線で、従来の発電システムの緊急停止制御のものを細線で示している。
図8(a)には、SOFC出力、発電室温度、MGT出力の時間的推移の一例が示されている。また、図8(b)〜(d)には、空気極13Bに供給される空気A1の空気流量、燃料極13Aに供給される燃料ガスL2の燃料流量、及び燃料極13Aに供給される純水流量の時間的推移の一例がそれぞれ示されている。
図8に示すように、SOFC13が定格出力で運転している場合に、時刻t1でPCS異常が検知されると、保護制御及び緊急停止制御ともに、SOFC13が電力系統135と解列し、SOFC13が電力を出力しない無負荷状態とすることにより、SOFC出力はゼロとなる。
PCS異常の発生後、緊急停止制御では、SOFC13及びMGT11の運転を停止させる。これにより、図8(a)に示すようにMGT出力はゼロとなり、また、図8(b)、(c)に示すように、空気流量は所定の流量に向けて短時間で低下し、燃料流量も所定値まで短時間で低下する。
そして、緊急停止制御では、PCS異常が検知された場合に、SOFC13の運転を停止させて冷却処理へ移行できるように準備するので、図8(a)の時刻t1〜t2に示すように、発電室温度は継続して低下する。そして、時刻t2において、PCS異常が解消すると、緊急停止制御では、発電室温度を発電可能温度まで上昇させるために、空気流量を増加させる(図8(b)参照)。続いて、緊急停止制御では、時刻t3において、空気極13Bに供給する燃料流量を増加させ(図8(c)参照)、触媒燃焼を生じさせて発電室温度を昇温させる(図8(a)参照)。そして、時刻t6において、発電室温度が発電可能温度に到達すると発電を開始させる(図8(a)参照)。これにより、時刻t6以降において、SOFC出力が増加する。更に、緊急停止制御では、時刻t3における空気極13Bへの燃料ガスL2の流量増加開始後において、純水流量を徐々に低下させる(図8(d)参照)。その後、緊急停止制御では、時刻t7において、SOFC出力が燃料の改質の為に純水供給が不要となる所定出力に到達し、続く時刻t8にてSOFC13の出力が定格負荷に到達する。
このように、従来の発電システムでの緊急停止制御では、発電スタンバイ状態を実施しないため、PCS異常が時刻t2の早い段階で解消された場合においても、発電室温度を発電可能温度まで上昇させる温度上昇工程を要するので、PCS異常が解消されてから発電開始までに時間がかかる(例えば、図8の時刻t2〜t6までの時間を要する)。
これに対し、本実施形態の保護制御では、時刻t1においてPCS異常が検知されると、SOFC13が発電スタンバイ状態で維持される。すなわち、図8(b)に示すように、空気流量はPCS異常の発生時において一定流量まで短時間に低下するものの、発電室温度を発電可能温度以上に保持するために必要な流量で一定とされ、また、図8(c)に示すように、燃料流量についても燃料電池セルの燃料極13Aの劣化を防止するために、所定流量が維持される。また、改質に必要な純水についても短時間に供給が開始される(図8(d)参照)。また、MGT11の発電運転については、発電出力を低下させた状態で発電が継続される。このとき、高効率運転モードよりも多くの燃料ガスL1を燃焼器22に供給する他の運転モードが採用され、燃焼器22における安定した燃焼が維持される。
続いて、時刻t2において、PCS異常が解消すると、保護制御では、SOFC13の出力増加に合わせて純水流量が徐々に低下する。そして、時刻t4において、SOFC出力が燃料の改質の為に純水供給が不要となる所定出力に到達と純水流量はゼロとされ、続く時刻t5にてSOFC出力が定格出力に到達する。
このように、図8(a)の時刻t1〜t2に示すように、保護制御では、発電室温度を発電可能温度以上に維持することが可能となる。この結果、例えば、時刻t2において、PCS異常が解消した場合には、空気流量及び燃料流量を速やかに増加させることにより(図8(b)、(c)参照)、SOFC13の発電を速やかに開始させることが可能となる(図8(a))。このように、保護制御では、従来の緊急停止制御が要していた温度上昇工程を不要とすることができ、短時間に発電を開始させることが可能となる。よって、目標負荷に到達するまでの時間を緊急停止制御に比べて短くすることが可能となる。更に、保護制御によれば、図8(a)の時刻t1〜t2に示すように、PCS異常が検知された場合でも、MGT11の運転を継続して行うので、MGT出力を電力系統135に継続して供給することが可能となる。
以上、説明してきたように、本実施形態に係る発電システム10及びその保護制御方法によれば、PCS異常が検知された場合に、SOFC13を電力系統135から解列するとともに、発電スタンバイ状態に移行させる。発電スタンバイ状態では、空気極13Bに空気A1と燃料ガスL2とを供給することにより触媒燃焼を生じさせ、この熱でSOFC13の発電室温度を発電可能温度以上に保持するとともに、燃料極13Aに燃料ガスL2を供給することにより、燃料極13Aを還元ガス雰囲気に保持し、燃料電池セル105の劣化を防止する。このような発電スタンバイ状態を維持することにより、PCS異常が解消された場合には、発電を短時間に開始させることが可能となる。これにより、緊急停止制御を行っていた従来のシステムに比べて、PCS異常の解消から発電開始までに必要となる時間を短縮することが可能となる。
更に、本実施形態によれば、PCS異常が検知された場合でもMGT11の運転を維持するので、MGT出力(例えば、数十kW程度)を電力系統135に供給しつづけることが可能となる。また、この場合において、MGT11が高効率運転モードで運転されていた場合には、この高効率運転モードを解除し、より多くの燃料ガスL1が燃焼器22に供給される運転モードに切り替えるので、燃焼器22において安定した燃焼を維持させてMGT11の運転を安定させることが可能となる。
更に、従来の緊急停止制御では、PCS異常が検知された後において、SOFC13を一旦冷却させるために、窒素を空気極13Bに供給する場合もあったが、本実施形態に係る発電システム10によれば、窒素を用いたSOFC13の冷却を行わず、SOFC13を発電スタンバイ状態で保持する。これにより、窒素を不要にできる。窒素は、都市ガス等と異なり、タンクなどに貯蔵された状態で設置されて使用されるため、タンク交換などの維持作業が必要となる。本実施形態によれば、窒素の消費を抑制することができるので、窒素タンクの交換頻度を下げることができ、タンク交換等に伴う作業を軽減することが可能となる。
また、本実施形態によれば、PCS異常が検知された場合に、SOFC13は発電を停止するが、運転を停止しない発電スタンバイ状態とするので、SOFC13のヒートサイクルの回数を減少させることができる。これにより、セルスタックの劣化を抑制することができ、長寿命化を図ることが可能となる。
10 :発電システム
11 :MGT(マイクロガスタービン)
12 :発電機
13 :SOFC(燃料電池)
13A :燃料極
13B :空気極
60 :制御装置
105 :燃料電池セル
111 :固体電解質
120 :パワーコンディショナ(PCS:電力変換装置)
125 :PCS内開閉器(開閉器)
135 :電力系統
140 :PCS異常検知部(異常検知部)
141 :接続制御部
142 :出力制御部
143 :運転モード判定部
144 :運転モード切替部(運転モード解除部)
215 :発電室
C1 :電力線(第1電力線)
C2 :電力線(第2電力線)
C3 :電力線(第3電力線)
X :連系点
L1 :燃料ガス(第3燃料ガス)
L2 :燃料ガス(第1燃料ガス、第2燃料ガス)

Claims (10)

  1. 燃料極と、固体電解質と、空気極とを備える複数の燃料電池セルが配置された発電室を備える燃料電池と、
    前記燃料電池を制御する制御装置と、
    前記燃料電池で発電された電力が供給される電力供給先と前記燃料電池の発電出力端との間に配置される電力変換装置と
    を備え、
    前記制御装置は、
    前記燃料電池の発電出力端から前記電力供給先側に発生した異常を検知する異常検知部と、
    前記異常検知部によって前記異常が検知された場合に、前記燃料電池の前記発電室を所定の発電可能温度以上に維持する発電スタンバイ状態に移行させる出力制御部と
    を備え、
    前記異常検知部によって前記異常が検知された場合に、前記燃料電池が電力を出力しない無負荷状態とする発電システム。
  2. 前記燃料電池の発電出力端と前記電力供給先との間に設けられた開閉器と、
    前記異常検知部によって前記異常が検知された場合に、前記開閉器を開とする接続制御部と
    を備える請求項1に記載の発電システム。
  3. 前記出力制御部は、前記発電スタンバイ状態において、酸化剤ガス及び第1燃料ガスを前記空気極に供給するとともに、第2燃料ガスを前記燃料極に供給する請求項1または請求項2に記載の発電システム。
  4. 前記燃料電池からの排燃料および排空気が供給されるマイクロガスタービンを備え、
    前記制御装置は、
    前記異常検知部によって前記異常が検知された場合に、前記マイクロガスタービンの運転を継続して行う請求項1から請求項3のいずれかに記載の発電システム。
  5. 前記燃料電池の発電電力を送電する第1電力線と、
    前記マイクロガスタービンの発電電力を送電する第2電力線と、
    前記第1電力線と前記第2電力線とが連結する連系点と、
    前記連系点と前記電力供給先とを接続する第3電力線と
    を備え、
    前記開閉器は、前記第1電力線に設けられている請求項2に従属する請求項4に記載の発電システム。
  6. 前記制御装置は、
    前記異常検知部によって前記異常が検知された場合に、前記マイクロガスタービンの運転モードが、燃焼器への第3燃料ガスの供給量を予め設定された所定値以下に抑制する高効率運転モードであるか否かを判定する運転モード判定部と、
    前記運転モード判定部によって前記高効率運転モードであると判定された場合に、前記高効率運転モードを解除し、前記高効率運転モードよりも多くの前記第3燃料ガスを前記燃焼器に供給する他の運転モードに切り替える運転モード切替部と
    を具備する請求項4または請求項5に記載の発電システム。
  7. 前記出力制御部は、前記異常検知部によって前記異常が検知された場合に、前記燃料極に改質用水を供給する請求項1から請求項6のいずれかに記載の発電システム。
  8. 前記出力制御部は、前記異常検知部によって前記異常が検知された場合に、予め設定された最低流量の前記改質用水を前記燃料極に供給し、前記改質用水の供給開始から予め設定された所定の時間経過後に目標流量まで前記改質用水の供給量を増加させる請求項7に記載の発電システム。
  9. 発電室内に、燃料極と、固体電解質と、空気極とを備える複数の燃料電池セルが配置された燃料電池を具備する発電システムの保護制御方法であって、
    前記燃料電池の発電出力端から電力供給先側に発生した異常を検知する工程と、
    前記異常を検知した場合に、前記燃料電池が電力を出力しない無負荷状態とする工程と、
    前記異常を検知した場合に、前記燃料電池の前記発電室を所定の発電可能温度以上に維持する発電スタンバイ状態に移行させる工程と
    を含む発電システムの保護制御方法。
  10. 前記異常が解消された場合に、前記燃料電池の発電室を目標温度まで上昇させ、前記燃料電池の出力を目標出力まで増加させる工程を含む請求項9に記載の発電システムの保護制御方法。
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