JP5941742B2 - 固体酸化物形燃料電池システム - Google Patents
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Description
また、オフガス燃焼部から排出される処理ガス中には、微量の一酸化炭素や炭化水素などの燃焼しなかった残留物が含有され、それらの残留物を含有する処理ガスを燃焼触媒部で燃焼処理するようにしている。
また、判定した原料ガスの組成に基づき、最適なS/C値(原料ガス中に含まれる炭素原子数と水蒸気中の水分子との比)と、燃焼器に供給される可燃ガス量に対する燃焼空気量の比率を設定し、原料ガス供給器、水供給器、燃焼空気供給器の操作量を制御するようにしている(特許文献1参照)。
従来、燃焼触媒部に供給されるオフガスに含有される水素や一酸化炭素の量が微量のため、燃焼触媒部での触媒の早期劣化については何ら考慮されていなかったのが実情であった。
燃料ガスを水蒸気改質して水素と一酸化炭素とを含む改質ガスに変化させる改質器と、前記改質器からの改質ガスと空気とを反応させて発電するセルスタックと、前記セルスタックから排出されるオフガスを燃焼するオフガス燃焼部と、前記オフガス燃焼部で燃焼しなかった残留物を含有する処理ガスを燃焼処理する燃焼触媒部と、前記改質器と前記セルスタックとを内包するモジュールの温度を制御上の代表温度として計測するモジュール温度センサと、を備えた固体酸化物形燃料電池システムであって、
前記燃焼触媒部の触媒の温度を計測する1個の触媒温度センサと、
前記改質器への燃料ガス供給量が減少したことに基づいて前記燃焼触媒部の触媒の劣化を判定するタイミングであると判断する触媒劣化判定タイミング判断手段と、
前記触媒劣化判定タイミング判断手段で劣化判定タイミングであると判断したときに、その前後における前記触媒温度センサで計測された触媒温度の上昇幅を求める温度変化幅算出手段と、
前記温度変化幅算出手段で求めた上昇幅が設定値以下のときに触媒が劣化したと判定する触媒劣化判定手段と、
を備えたことを特徴としている。
改質器への燃料ガスの供給量が減少すると、セルスタックでの燃焼温度が低下してオフガス燃焼部に供給されるオフガスの量が増加し、それに伴って燃焼触媒部に供給される処理ガス中に含有される残留物の量も多くなって燃焼触媒部での触媒の温度が高くなる。これに対して、燃焼触媒部で触媒が劣化しているときには、燃焼触媒部での燃焼が不充分になって触媒の温度が高くならず、触媒の温度の上昇度合いが少なくなることを見出した。
請求項1に係る発明の固体酸化物形燃料電池システムの構成によれば、上記知見に着目し、改質器への燃料ガスの供給量が減少したことに基づいて燃焼触媒部の触媒の劣化を判定するタイミングであることを判断し、そのときの前後における触媒温度の上昇幅が設定値よりも少ないときに触媒が劣化したと判断する。
したがって、改質器への燃料ガスの供給量の減少に基づき、1個の温度センサによって触媒の温度を計測することにより触媒の劣化を判断することができ、例えば、燃焼触媒部から排出される排ガス中の一酸化炭素の濃度を測定して触媒が劣化していることを判定しようとする場合に比べ、極めて安価な温度センサを1個用いるだけで触媒の劣化を判定でき、燃焼触媒部での触媒の劣化を安価に検知できる。
また、一酸化炭素の濃度を測定するセンサの場合、そのセンサ自体が燃焼触媒部での高温により熱劣化していても一酸化炭素の濃度が測定されないことで正常であると誤判断し、燃焼触媒部の触媒が劣化したままの状態が不測に継続する虞があるが、温度センサであれば、温度が計測されなければセンサの異常であると即座にわかり、燃焼触媒部の触媒が劣化したままの状態が不測に継続することを回避でき、極めて有用である。
前記触媒劣化判定タイミング判断手段が、
システムの運転開始時でかつ前記モジュール温度センサで計測されたモジュール温度が設定温度を超えたことに基づいて劣化判定タイミングであることを判断するモジュール温度判断手段であることを特徴としている。
請求項2に係る発明の固体酸化物形燃料電池システムの構成によれば、システムの運転開始時には、モジュール温度が設定温度を超えるに伴い、改質器への燃料ガスの供給量を絞り、燃料ガスの供給量が減少することに着目し、改質器への燃料ガスの供給量の減少を、システムの運転開始時でかつモジュール温度が設定温度を超えることによって判断し、これに基づいて劣化判定タイミングであることを判断する。
したがって、システムを制御するために備えられているモジュール温度センサを利用して劣化判定タイミングを判断することができ、1個の温度センサによって触媒の温度を計測することと相俟って、燃焼触媒部での触媒の劣化を安価に検知できる。
前記セルスタックに要求される発電電力負荷を計測する負荷計測手段を備え、
前記触媒劣化判定タイミング判断手段が、
前記負荷計測手段で計測される発電電力負荷の減少に基づいて劣化判定タイミングであることを判断する負荷減少判断手段であることを特徴としている。
請求項3に係る発明の固体酸化物形燃料電池システムの構成によれば、セルスタックに要求される発電電力負荷が減少するに伴い、改質器への燃料ガスの供給量を絞り、燃料ガスの供給量が減少することに着目し、改質器への燃料ガスの供給量の減少を、セルスタックに要求される発電電力負荷の減少によって判断し、これに基づいて劣化判定タイミングであることを判断する。
したがって、セルスタックに要求される発電電力負荷の変動を計測するために備えられている負荷計測手段を利用して劣化判定タイミングを判断することができ、1個の温度センサによって触媒の温度を計測することと相俟って、燃焼触媒部での触媒の劣化を安価に検知できる。
しかも、システムの運転状態において、セルスタックに要求される発電電力負荷が減少するたびに触媒の劣化を判断でき、触媒の劣化を早期に検知できる。
前記改質器への燃料ガス供給量を計測するガス供給量センサを備え、
前記触媒劣化判定タイミング判断手段が、
前記ガス供給量センサで計測される燃料ガス供給量の設定時間における減少量が設定量以上のときに劣化判定タイミングであることを判断するガス量減少判断手段であることを特徴としている。
請求項4に係る発明の固体酸化物形燃料電池システムの構成によれば、改質器への燃料ガスの供給量をガス供給量センサによって直接計測し、改質器への燃料ガス供給量の設定時間における減少量が設定量以上になったことに基づいて劣化判定タイミングであることを判断する。
したがって、1個の温度センサによって触媒の温度を計測することができ、燃焼触媒部での触媒の劣化を安価に検知できる。
しかも、システムの運転状態において、改質器への燃料ガス供給量の設定時間における減少量が設定量以上になるたびに触媒の劣化を判断でき、不測に多量の不純物が混入して触媒が急激に劣化したような場合でも早期に劣化を検知でき、有用である。
前記触媒劣化判定手段で触媒が劣化したとの判定に基づいて触媒劣化を報知する触媒劣化報知手段を備えていることを特徴としている。
請求項5に係る発明の固体酸化物形燃料電池システムの構成によれば、触媒が劣化したことを知ることができ、それに基づいてシステムの運転停止や発電の停止などを促し、更には、触媒の交換を促すなど適切に対処して、燃焼触媒部の触媒が劣化したままの状態が不測に継続することを迅速に回避することができる。
前記触媒劣化判定手段で触媒が劣化したとの判定に基づいて前記セルスタックによる発電を停止する発電停止手段を備えていることを特徴としている。
ここでの発電停止手段は、触媒が劣化したとの判定に基づいてセルスタックによる発電を即座に停止する場合に限らず、触媒が劣化したとの判定後、セルスタックやモジュールの温度が所定温度以下になってからセルスタックによる発電を停止するように構成する場合も含む。
請求項6に係る発明の固体酸化物形燃料電池システムの構成によれば、触媒が劣化したときに発電を自動的に停止し、燃焼触媒部の触媒が劣化したままの状態が不測に継続することを確実に回避することができる。
燃焼触媒部4は、ハニカムやボールなどにプラチナなどの触媒を担持させて構成されている。
これにより、燃料ガス中の付臭成分である硫黄分を除去した後に改質器1に供給し、燃料ガスを水蒸気改質して水素と一酸化炭素とを含む改質ガスに変化させ、セルスタック2において改質ガスと空気とを反応させて発電し、発電電力をパワーコンディショナー9で安定した交流電流にして出力するようになっている。
熱交換器5では、オフガス燃焼部10から燃焼触媒部4を通じて排出される高温排気ガスの熱を回収し、その回収排熱を改質器1などに供給するようになっている。
また、触媒劣化判定手段17で触媒が劣化したとの判定に基づいてブザー21を起動し、触媒劣化を報知するようになっている。
また、上昇幅と比較する設定値としては、特定の温度幅でも良いが、例えば、システムの運転開始時でかつ劣化判定タイミングであると判断したときに温度変化幅算出手段16に入力される触媒温度の5%や10%などの値を用いるようにしても良い。これらの構成は、後述する実施例2および実施例3でも同様である。
通常、システムの運転を開始してモジュール温度が設定温度T1やT2に到達した場合、安定運転に移行するために、燃料ガス流量(D)および空気流量(E)を絞るために、燃焼温度(B)が一時的に低下するが、セルスタック2からのオフガス量が多くなり、それに伴いオフガス燃焼部10から燃焼触媒部4に供給される残留物の量も多くなって触媒温度(C)が上昇する(Z1やZ2)。
このとき、燃焼触媒部4の触媒が劣化していると、その触媒温度(C)の上昇幅が減少することになる。このことに着目し、システムの運転開始時でかつ劣化判定タイミングであると判断したとき(設定温度がT1やT2に到達したとき)の前後における触媒温度の上昇幅に基づいて、上昇幅が設定値より小さいときに触媒が劣化したと判断するように構成している。
すなわち、パワーコンディショナー9と、それに接続される負荷31との間に、セルスタック2に要求される発電電力負荷を計測する負荷計測手段としての電流計32が付設され、その電流計32にコントローラ33が接続されている。
また、触媒劣化判定手段37で触媒が劣化したとの判定に基づいてブザー21を起動し、触媒劣化を報知するようになっている。他の構成は実施例1と同じであり、同一図番を付してその説明は省略する。
すなわち、燃料ポンプ8に、回転数によって改質器1への燃料ガス供給量を計測するガス供給量センサ41が付設され、そのガス供給量センサ41にコントローラ42が接続されている。ガス供給量センサ41としては、燃料ポンプ8と改質器1とを接続する配管を流れる燃料ガスの流量を計測するものでも良い。
また、触媒劣化判定手段46で触媒が劣化したとの判定に基づいてブザー21を起動し、触媒劣化を報知するようになっている。他の構成は実施例1と同じであり、同一図番を付してその説明は省略する。
2…セルスタック
3…モジュール
4…燃焼触媒部
10…オフガス燃焼部
11…モジュール温度センサ
12…触媒温度センサ
14…モジュール温度判断手段(触媒劣化判定タイミング判断手段)
16…温度変化幅算出手段
17…触媒劣化判定手段
21…ブザー(触媒劣化報知手段)
32…電流計(負荷計測手段)
34…負荷減少判断手段(触媒劣化判定タイミング判断手段)
36…温度変化幅算出手段
37…触媒劣化判定手段
41…ガス供給量センサ
43…ガス量減少判断手段(触媒劣化判定タイミング判断手段)
45…温度変化幅算出手段
46…触媒劣化判定手段
Claims (6)
- 燃料ガスを水蒸気改質して水素と一酸化炭素とを含む改質ガスに変化させる改質器と、前記改質器からの改質ガスと空気とを反応させて発電するセルスタックと、前記セルスタックから排出されるオフガスを燃焼するオフガス燃焼部と、前記オフガス燃焼部で燃焼しなかった残留物を含有する処理ガスを燃焼処理する燃焼触媒部と、前記改質器と前記セルスタックとを内包するモジュールの温度を制御上の代表温度として計測するモジュール温度センサと、を備えた固体酸化物形燃料電池システムであって、
前記燃焼触媒部の触媒の温度を計測する1個の触媒温度センサと、
前記改質器への燃料ガス供給量が減少したことに基づいて前記燃焼触媒部の触媒の劣化を判定するタイミングであると判断する触媒劣化判定タイミング判断手段と、
前記触媒劣化判定タイミング判断手段で劣化判定タイミングであると判断したときに、その前後における前記触媒温度センサで計測された触媒温度の上昇幅を求める温度変化幅算出手段と、
前記温度変化幅算出手段で求めた上昇幅が設定値以下のときに触媒が劣化したと判定する触媒劣化判定手段と、
を備えたことを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。 - 前記触媒劣化判定タイミング判断手段が、
システムの運転開始時でかつ前記モジュール温度センサで計測されたモジュール温度が設定温度を超えたことに基づいて劣化判定タイミングであることを判断するモジュール温度判断手段である請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池システム。 - 前記セルスタックに要求される発電電力負荷を計測する負荷計測手段を備え、
前記触媒劣化判定タイミング判断手段が、
前記負荷計測手段で計測される発電電力負荷の減少に基づいて劣化判定タイミングであることを判断する負荷減少判断手段である請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池システム。 - 前記改質器への燃料ガス供給量を計測するガス供給量センサを備え、
前記触媒劣化判定タイミング判断手段が、
前記ガス供給量センサで計測される燃料ガス供給量の設定時間における減少量が設定量以上のときに劣化判定タイミングであることを判断するガス量減少判断手段である請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池システム。 - 前記触媒劣化判定手段で触媒が劣化したとの判定に基づいて触媒劣化を報知する触媒劣化報知手段を備えている請求項1〜4のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池システム。
- 前記触媒劣化判定手段で触媒が劣化したとの判定に基づいて前記セルスタックによる発電を停止する発電停止手段を備えている請求項1〜5のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池システム。
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