以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態の濾過システム1を示す構成図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態の濾過システム1は、地下水等の原水W1が流通する原水ラインL1と、原水ラインL1の下流側の端部に接続され、原水W1に含まれる懸濁物質を濾材(図示せず)により捕捉して濾過処理水としての第1濾過処理水W2aを製造する第1濾過処理装置2aと、第1濾過処理水W2aが流通する第1処理水ラインL2aと、第1処理水ラインL2aの下流側の端部に接続され、第1濾過処理水W2aに含まれる懸濁物質を濾材(図示せず)により捕捉して濾過処理水としての第2濾過処理水W2bを製造する第2濾過処理装置2bと、第2濾過処理水W2bが流通する第2処理水ラインL2bと、第2処理水ラインL2bの下流側の端部に接続され、第2濾過処理水W2bから硬度成分を除去して軟水化処理水W2cを製造する軟水化処理装置12と、軟水化処理水W2cが流通する第3処理水ラインL2cと、処理水タンク20と、処理水配給ラインL3と、逆洗水供給ラインL4と、逆洗水第1供給ラインL4a、逆洗水第2供給ラインL4b及び逆洗水第3供給ラインL4cと、制御装置30と、を主体に構成されている。
なお、本明細書でいう「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
以下、濾過システム1で最終的に製造される処理水を「処理水W2」という。また、第1濾過処理装置2aで製造される処理水W2を「第1濾過処理水W2a」ともいう。第2濾過処理装置2bで製造される処理水W2を「第2濾過処理水W2b」ともいう。軟水化処理装置12で製造される処理水W2を「軟水化処理水W2c」ともいう。
また、濾過システム1は、原水用濁度計7と、第1薬剤添加装置8a,処理水用第1濁度計9a,第2薬剤添加装置8b,処理水用第2濁度計9b,流量計17,硬度計18と、を備える。
原水ラインL1には、上流側から順に原水ポンプ5及び原水バルブ6が設けられている。原水ポンプ5は、原水W1を第1濾過処理装置2aに向けて送出する。原水ポンプ5は、制御装置30(後述)と電気的に接続されている。原水ポンプ5は、制御装置30(後述)によって運転(駆動及び停止)を制御される。原水バルブ6は、原水ラインL1において、接続点J2(後述)よりも上流側に設けられている。原水バルブ6は、原水ラインL1を開閉する。原水バルブ6は、制御装置30(後述)と電気的に接続されている。原水バルブ6は、制御装置30(後述)によって開閉を制御される。
原水用濁度計7は、原水ラインL1に接続点J1において接続されている。原水用濁度計7は、原水ラインL1に流通する原水W1の濁度を検出する。原水用濁度計7は、制御装置30(後述)と電気的に接続されている。原水用濁度計7によって計測された信号は、制御装置30に入力される。
第1薬剤添加装置8aは、原水ラインL1に接続点J3において接続されている。第1薬剤添加装置8aは、原水ラインL1に流通する原水W1に所定の薬剤を添加する。薬剤は、凝集剤や酸化剤であり、第1濾過処理装置2aの濾過方法に応じて、適宜選択される。薬剤の詳細については、後述する。第1薬剤添加装置8aは、制御装置30(後述)と電気的に接続されている。第1薬剤添加装置8aによる薬剤の添加量は、制御装置30(後述)によって制御される。
次に、第1濾過処理装置2aについて説明する。第1濾過処理装置2aは、原水ラインL1の下流側の端部に設けられ、原水W1に含まれる懸濁物質を濾材(図示せず)により捕捉することにより、第1濾過処理水W2a(処理水W2)を製造する。第1濾過処理装置2aは、内部に濾材を有する濾過塔3aと、第1コントロールバルブ4aと、排水ラインL5aと、を備える。第1濾過処理装置2aは、後述する制御装置30による制御によって、内部の濾材が洗浄(逆洗浄工程及び水洗工程を実施)されるようになっている。
逆洗浄工程時には、濾材に逆洗水供給ラインL4(後述)を介して洗浄水(本実施形態においては、処理水W2である。以下、適宜、「逆洗水」ということもある)が供給され、濾材によって捕捉された懸濁物質が洗浄水と共に系外へ排出される。水洗工程時には、逆洗浄された濾材を濯ぐために、濾材に濯ぎ水(本実施形態においては、処理水W2)が供給され、濾材を濯いだ濯ぎ水が系外へ排出される。
濾過塔3aは、懸濁物質を濾過するための濾材(図示せず)をその内部に有する。第1コントロールバルブ4aは、濾過塔3aに対して流入又は流出する水(原水W1、処理水W2、濾材洗浄時の逆洗水や濯ぎ水等)の流路を制御する。第1コントロールバルブ4aは、制御装置30(後述)と電気的に接続されている。第1コントロールバルブ4aは、制御装置30によって流路切り換えが制御される。第1コントロールバルブ4aは、洗浄手段として機能する。
排水ラインL5aは、第1コントロールバルブ4aに接続され、濾材洗浄時の逆洗水(処理水W2)や濾材水洗時の濯ぎ水(原水W1)等を系外に排出する。排水ラインL5aは、洗浄手段として機能する。
第1濾過処理装置2aは、処理水タンク20から逆洗水供給ラインL4(後述)及び逆洗水第1供給ラインL4a(後述)を介して供給される処理水W2によって、逆洗浄可能に構成されている。
第1濾過処理装置2aは、原水W1中の除去対象物質に応じて種々選択される。第1濾過処理装置2aの例として、例えば、次のような砂濾過装置又は除鉄除マンガン装置を挙げることができる。これらの装置は、いずれも原水W1に含まれる懸濁物質を濾材の篩効果により捕捉して除去可能なものである。
砂濾過装置は、原水W1に含まれる微粒子等の懸濁物質を濾材(図示せず)により捕捉して除去するものである。砂濾過装置としては、例えば、硅石等の粗粒濾材と、アンスラサイト、濾過砂等の細粒濾材と、から形成された濾材層(図示せず)を有する塔式のものが挙げられる。第1濾過処理装置2aとして、砂濾過装置が使用される場合には、原水W1に含まれる懸濁物質を凝集(フロック化)させて除去し易くする必要がある。そのため、濾過塔3aの上流側に配置された第1薬剤添加装置8aによって、凝集剤を添加する。凝集剤としては、例えば、無機系凝集剤を用いることができ、具体的には、ポリ塩化アルミニウム(PAC)や硫酸アルミニウム等が挙げられる。
除鉄除マンガン装置は、原水W1に含まれる微粒子等の懸濁物質と共に、溶存鉄及び溶存マンガンを濾材(図示せず)により捕捉して除去するものであり、この濾材が充填された濾過塔を備えている。濾材には、通常、粒子状のマンガンシャモットやマンガンゼオライトが使用される。また、第1濾過処理装置2aとして、除鉄除マンガン装置が使用される場合には、原水W1に含まれる溶存鉄及び溶存マンガンを酸化してから除去する。そのため、濾過塔3aの上流側に配置された第1薬剤添加装置8aによって、酸化剤(例えば、次亜塩素酸ナトリウム)を添加する。
具体的には、原水W1に含まれる溶存鉄は、上記酸化剤の作用により酸化され、不溶性の水酸化第一鉄を経て水酸化第二鉄へと変化(すなわち、懸濁物質化)し、上記濾材によって濾過される。原水W1に含まれる溶存マンガンは、上記酸化剤の作用により上記濾材と接触したときに、酸化が進行し、濾材によって吸着され除去される。
以上のように構成される第1濾過処理装置2aの下流側には、第1処理水ラインL2aが接続されている。第1処理水ラインL2aの上流側の端部は、第1濾過処理装置2aに接続されている。第1処理水ラインL2aの下流側の端部は、第2濾過処理装置2bに接続されている。
第1処理水ラインL2aには、第1濾過処理水W2a(処理水W2)が流通する。第1処理水ラインL2aには、第1処理水ラインL2aを開閉する第1給水バルブ10が設けられている。第1給水バルブ10は、第1処理水ラインL2aにおいて、接続点J5(後述)よりも上流側に設けられている。第1給水バルブ10は、制御装置30(後述)と電気的に接続されている。第1給水バルブ10は、制御装置30によって開閉を制御される。
処理水用第1濁度計9aは、第1処理水ラインL2aに接続点J4において接続されている。処理水用第1濁度計9aは、第1処理水ラインL2aを流通する第1濾過処理水W2aの濁度(処理水濁度)を計測する。つまり、処理水用第1濁度計9aは、濁度計測手段として機能する。処理水用第1濁度計9aは、制御装置30(後述)と電気的に接続されている。処理水用第1濁度計9aによって計測された信号は、制御装置30に入力される。第1濾過処理水W2aの濁度は、制御装置30によって判定される。
次に、第2濾過処理装置2bについて説明する。第2濾過処理装置2bは、第1処理水ラインL2aの下流側の端部に設けられ、第1濾過処理水W2aに含まれる懸濁物質を濾材(図示せず)により捕捉することにより第2濾過処理水W2b(処理水W2)を製造する。第2濾過処理装置2bは、第1濾過処理装置2aと略同様に構成されているので、第1濾過処理装置2aに対応する構成要素に対して符号aを符号bに置換して、詳細な説明を省略する。第2濾過処理装置2bの例として、例えば、次のような活性炭濾過装置を挙げることができる。
活性炭濾過装置は、原水W1に含まれる懸濁物質と共に、有機物、色度成分及び臭気成分等の不純物を吸着材からなる濾材で除去するものであり、この吸着材が充填された濾過塔を備えている。吸着材には、通常、粒子状又は繊維状の活性炭が使用される。
第2濾過処理装置2bは、後述する制御装置30による制御によって、内部の濾材が洗浄(逆洗浄工程及び水洗工程を実施)されるようになっている。
第2処理水ラインL2bは、第1処理水ラインL2aと同様に構成されている。第2給水バルブ11は、第1給水バルブ10と同様に構成されている。第2給水バルブ11は、第2処理水ラインL2bにおいて、接続点J8(後述)よりも上流側に設けられている。第2薬剤添加装置8bは、第1薬剤添加装置8aと同様に構成されている。処理水用第2濁度計9bは、処理水用第1濁度計9aと同様に構成され、濁度計測手段として機能する。
次に、軟水化処理装置12について説明する。軟水化処理装置12は、第2処理水ラインL2bの下流側の端部に設けられる。軟水化処理装置12は、第2濾過処理水W2bをナトリウム型の陽イオン交換体(図示せず)に導入してイオン交換処理することにより、第2濾過処理水W2bから硬度成分を除去して軟水化処理水W2cを製造する。軟水化処理装置12は、内部に陽イオン交換体(図示せず)を有する交換塔13と、コントロールバルブ14と、排水ラインL6と、を備える。また、軟水化処理装置12には、再生手段としての塩水タンク15及び塩水ラインL7が接続されている。
コントロールバルブ14は、交換塔13に対して流入又は流出する水(例えば、陽イオン交換体を再生する塩水や濯ぎ水(処理水W2))の流路を制御する。コントロールバルブ14は、制御装置30(後述)と電気的に接続されている。コントロールバルブ14は、制御装置30によって流路切り換えが制御される。コントロールバルブ14は、再生手段として機能し、陽イオン交換体の再生時に、塩水タンク15(後述)の塩水を交換塔13に導入する。
排水ラインL6は、コントロールバルブ14に接続され、陽イオン交換体の再生後の塩水や陽イオン交換体の濯ぎ水(処理水W2)等を系外に排出する。排水ラインL6は、再生手段として機能する。
塩水タンク15は、再生剤としての塩水(塩化ナトリウム水溶液)を貯留する。塩水の調製には、処理水W2が用いられる。塩水ラインL7は、コントロールバルブ14に接続される。塩水ラインL7には、塩水タンク15からの塩水が流通する。
第3処理水ラインL2cの上流側の端部は、軟水化処理装置12のコントロールバルブ14に接続される。第3処理水ラインL2cの下流側の端部は、処理水タンク20に接続される。第3処理水ラインL2cには、軟水化処理水W2cが流通する。
第3処理水ラインL2cには、第3給水バルブ19が設けられている。第3給水バルブ19は、第3処理水ラインL2cの下流側に設けられている。第3給水バルブ19は、第3処理水ラインL2cを開閉する。第3給水バルブ19は、制御装置30(後述)と電気的に接続されている。第3給水バルブ19は、制御装置30(後述)によって開閉を制御される。
流量計17は、第3処理水ラインL2cに接続点J9において接続されている。流量計17は、第3処理水ラインL2cを流通する軟水化処理水W2cの流量を計測する。流量計17は、制御装置30(後述)と電気的に接続されている。流量計17によって計測された信号は、制御装置30に入力される。
硬度計18は、第3処理水ラインL2cに接続点J10において接続されている。硬度計18は、第3処理水ラインL2cを流通する軟水化処理水W2cの硬度を計測する。つまり、硬度計18は、硬度計測手段として機能する。硬度計18は、制御装置30(後述)と電気的に接続されている。硬度計18によって計測された信号は、制御装置30に入力される。
処理水タンク20は、第3処理水ラインL2cの下流側の端部に接続され、軟水化処理水W2c(処理水W2)を貯留する。処理水タンク20は、水位計(図示せず)を備えている。水位計は、処理水タンク20に貯留された処理水W2の水位を計測する。水位計は、制御装置30(後述)と接続されている。水位計によって計測された信号は、制御装置30に入力され、この制御装置30によって、処理水タンク20の水位が算出されるようになっている。
処理水配給ラインL3は、処理水W2が流通可能に構成されている。処理水配給ラインL3の上流側の端部は、処理水タンク20に接続されている。処理水配給ラインL3の下流側の端部は、処理水W2の需要箇所(図示せず)に接続されている。
次に、逆洗水供給ラインL4について説明する。逆洗水供給ラインL4の上流側には、逆洗水を送出する逆洗水供給ポンプ24が設けられている。逆洗水供給ポンプ24は、逆洗水供給ラインL4において、分岐点J12(後述)よりも上流側に設けられている。逆洗水供給ポンプ24は、制御装置30(後述)と電気的に接続されている。逆洗水供給ポンプ24は、制御装置30によって運転(駆動及び停止)を制御される。逆洗水供給ポンプ24は、洗浄手段及び再生手段として機能する。
逆洗水供給ラインL4には、下流側から上流側に向かって分岐点J11及び分岐点J12が設けられる。逆洗水第1供給ラインL4a及び逆洗水第2供給ラインL4bは、逆洗水供給ラインL4から分岐点J11において分岐している。逆洗水第3供給ラインL4cは、逆洗水供給ラインL4から分岐点J12において分岐している。
逆洗水第1供給ラインL4aの下流側の端部は、原水ラインL1に接続点J2において接続されている。逆洗水第1供給ラインL4aには、第1逆洗バルブ25aが設けられている。第1逆洗バルブ25aは、逆洗水第1供給ラインL4aを開閉する。第1逆洗バルブ25aは、制御装置30(後述)と電気的に接続されている。第1逆洗バルブ25aは、制御装置30によって開閉を制御される。逆洗水第1供給ラインL4a及び第1逆洗バルブ25aは、洗浄手段として機能する。
逆洗水第2供給ラインL4bの下流側の端部は、第1処理水ラインL2aに接続点J5において接続されている。逆洗水第2供給ラインL4bには、第2逆洗バルブ25bが設けられている。第2逆洗バルブ25bは、逆洗水第2供給ラインL4bを開閉する。第2逆洗バルブ25bは、制御装置30(後述)と電気的に接続されている。第2逆洗バルブ25bは、制御装置30によって開閉を制御される。第2逆洗バルブ25bは、洗浄手段として機能する。
逆洗水第3供給ラインL4cの下流側の端部は、第2処理水ラインL2bに接続点J8において接続されている。逆洗水第3供給ラインL4cには、第3逆洗バルブ25cが設けられている。第3逆洗バルブ25cは、逆洗水第3供給ラインL4cを開閉する。第3逆洗バルブ25cは、制御装置30(後述)と電気的に接続されている。第3逆洗バルブ25cは、制御装置30によって開閉を制御される。第3逆洗バルブ25cは、再生手段として機能する。
次に、図2を参照して、本実施形態の濾過システム1の制御に係る機能について説明する。図2は、第1実施形態の濾過システム1の制御に係る機能ブロック図である。
制御装置30は、本実施形態の濾過システム1における各部を制御する。図2に示すように、制御装置30は、例えば、原水バルブ6、第1薬剤添加装置8a、第2薬剤添加装置8b、第1給水バルブ10、第2給水バルブ11、第3給水バルブ19、第1逆洗バルブ25a、第2逆洗バルブ25b、第3逆洗バルブ25c、逆洗水供給ポンプ24、第1コントロールバルブ4a、第2コントロールバルブ4b、コントロールバルブ14等に電気的に接続される。
また、制御装置30は、濾過システム1における各計測装置に電気的に接続され、各計測装置から計測情報を受信する。計測装置は、例えば、原水用濁度計7、処理水用第1濁度計9a、処理水用第2濁度計9b、流量計17及び硬度計18である。
制御装置30は、洗浄動作実施要求判定手段としての洗浄動作実施要求判定部31と、再生動作実施要求判定手段としての再生動作実施要求判定部32と、優先順位設定手段としての優先順位設定部33と、優先順位判定部34と、洗浄再生動作実施制御手段としての洗浄再生動作実施制御部35と、メモリ部40と、を備える。メモリ部40については、後述する。
洗浄動作実施要求判定部31は、第1濾過処理装置2a又は第2濾過処理装置2bにおいて、洗浄動作の実施要求がなされているか否かを判定する。洗浄動作の実施要求は、第1濾過処理水W2aの濁度又は第2濾過処理水W2bの濁度が所定値を超えた場合に、洗浄動作実施要求判定部31にそれぞれ入力される。また、洗浄動作実施要求判定部31は、第1濾過処理装置2aの洗浄動作の実施要求又は第2濾過処理装置2bの洗浄動作の実施要求を、それぞれの洗浄動作の終了後にクリアする。
再生動作実施要求判定部32は、軟水化処理装置12において、再生動作の実施要求がなされているか否かを判定する。再生動作の実施要求は、軟水化処理水W2cの硬度が所定値を超えた場合に、再生動作実施要求判定部32に入力される。また、再生動作実施要求判定部32は、軟水化処理装置12の再生動作の実施要求を再生動作の終了後にクリアする。
優先順位設定部33は、第1濾過処理水W2aの濁度、第2濾過処理水W2bの濁度、軟水化処理水W2cの硬度、洗浄動作の実施要求及び再生動作の実施要求に基づいて、第1濾過処理装置2a及び第2濾過処理水W2bの洗浄動作実施の優先順位を設定(セット)すると共に、軟水化処理装置12の再生動作実施の優先順位を設定(セット)する。優先順位のセットの具体的な方法については、後述する。
また、優先順位設定部33は、第1濾過処理装置2aの洗浄動作実施の優先順位及び第2濾過処理水W2bの洗浄動作実施の優先順位を、それぞれの洗浄動作が終了した後にリセットする。また、優先順位設定部33は、軟水化処理装置12の再生動作実施の優先順位を、軟水化処理装置12の再生動作が終了した後にリセットする。
優先順位判定部34は、優先順位設定部33によって設定された第1濾過処理装置2aの優先順位、第2濾過処理水W2bの優先順位及び軟水化処理装置12の優先順位を判定する。
洗浄再生動作実施制御部35は、第1濾過処理装置2aにおいて、洗浄動作を実施させるように、逆洗水供給ポンプ24、第1逆洗バルブ25a、第1コントロールバルブ4aを制御する。また、洗浄再生動作実施制御部35は、第2濾過処理装置2bにおいて、洗浄動作を実施させるように、逆洗水供給ポンプ24、第2逆洗バルブ25b、第2コントロールバルブ4bを制御する。洗浄動作は、予め定められた逆洗浄時間及び水洗時間に基づいて実施される。
また、洗浄再生動作実施制御部35は、軟水化処理装置12において、再生動作を実施させるように、逆洗水供給ポンプ24、第3逆洗バルブ25c及びコントロールバルブ14を制御する。再生動作は、予め定められた再生時間に基づいて実施される。
また、洗浄再生動作実施制御部35は、第1濾過処理装置2aの洗浄動作又は第2濾過処理水W2bの洗浄動作が終了したか否かを判定する。また、洗浄再生動作実施制御部35は、軟水化処理装置12の再生動作が終了したか否かを判定する。
メモリ部40は、濾過システム1の制御に必要な制御プログラムや各種データ等を記憶する。具体的には、メモリ部40は、濾過システム1の制御に必要な各種機能を動作させる制御プログラム、前記各計測装置によって計測された各種計測データ(例えば、原水用濁度計7、処理水用第1濁度計9a、処理水用第2濁度計9bによって計測された濁度データ、流量計17によって計測された流量データ、硬度計18によって計測された硬度データ、洗浄動作を実施する濁度の閾値、再生動作を実施する硬度の閾値等)、洗浄動作の優先順位及び再生動作の優先順位が設定されたテーブル(後述する表1及び表2)等を記憶する。
次に、洗浄動作の優先順位及び再生動作の優先順位を設定する際の基本的な考え方について説明する。第1濾過処理装置2a又は第2濾過処理装置2bにおいて、洗浄動作の実施要求がなされると、洗浄動作に先立って、洗浄動作に必要な処理水W2(第1濾過処理水W2a又は第2濾過処理水W2b)を予め製造し、この処理水W2を処理水タンク20に供給(以下、「洗浄前補水」という)しておく必要がある。また、軟水化処理装置12において、再生動作の実施要求がなされると、再生動作に先立って、再生動作に必要な処理水W2(軟水化処理水W2c)を予め製造し、処理水W2を処理水タンク20に供給(以下、「洗浄前補水」という)しておく必要がある。
つまり、洗浄動作の実施要求及び/又は再生動作の実施要求がなされた場合には、濁質漏れが発生した状態及び/又は硬度漏れが発生した状態で、処理水タンク20へ補水する必要がある。そのため、濁質成分及び/又は硬度成分が、処理水タンク20に所定量漏出してしまう虞がある。従って、処理水タンク20に漏出する濁質成分量(以下、「漏出濁質成分量」という)及び処理水タンク20に漏出する硬度成分量(以下、「漏出硬度成分量」という)が最小となるように、洗浄動作の優先順位及び再生動作の優先順位を設定する必要がある。
具体的には、補水時における漏出硬度成分量や漏出濁質成分量を次のようにして算出する。先ず、第1濾過処理装置2aの洗浄動作又は第2濾過処理装置2bの洗浄動作を実施し、その後、軟水化処理装置12の再生動作を実施する場合について説明する。この場合の漏出硬度成分量は、各機器の洗浄前補水の量(洗浄前補水量)と処理水硬度とに基づいて、次式(1)により算出することができる。また、漏出濁質成分量は、各機器の洗浄前補水量と処理水濁度とに基づいて、次式(2)により算出することができる。
以下の説明においては、説明の便宜上、第1濾過処理装置2aを「機器1」と表示し、第2濾過処理装置2bを「機器2」と表示し、軟水化処理装置12を「機器3」と表示することもある。また、機器1及び/又は機器2を「濾過処理装置」という場合もある。
漏出硬度成分量=(機器1の洗浄前補水量+機器2の洗浄前補水量+機器3の再生前補水量)×処理水硬度・・・(1)
漏出濁質成分量=(機器1の洗浄前補水量+機器2の洗浄前補水量)×処理水濁度・・・(2)
次に、軟水化処理装置12の再生動作を実施し、その後、第1濾過処理装置2aの洗浄動作又は第2濾過処理装置2bの洗浄動作を実施する場合について説明する。この場合の漏出硬度成分量は、次式(3)により算出することができる。また、漏出濁質成分量は、次式(4)により算出することができる。
漏出硬度成分量=(機器3の再生前補水量)×処理水硬度・・・(3)
漏出濁質成分量=(機器1の洗浄前補水量+機器2の洗浄前補水量+機器3の再生前補水量)×処理水濁度・・・(4)
次に、前記式(1)から式(4)を用いて、洗浄動作の優先順位及び再生動作の優先順位を設定する方法について説明する。ここで、機器1、機器2及び機器3において、洗浄前補水量及び再生前補水量を、それぞれ一定の量であるQと仮定する。また、補水中の処理水硬度は、再生動作の実施要求がなされたときの水質(処理水硬度)であって、一定と仮定する。また、補水中の処理水濁度は、洗浄動作の実施要求がなされたときの水質であって、一定と仮定する。
以下、機器1、機器2及び機器3において、洗浄動作の実施要求のタイミング又は再生動作の実施要求のタイミングに応じて、場合分けして説明する。また、以下の(A−1)、(A−2)及び(C)においては、漏出硬度成分量を最小にする優先順位の設定方法を示す。また、(B−1)、(B−2)及び(C)においては、漏出濁質成分量を最小にする優先順位の設定方法を示す。
(A−1)機器1又は機器2と、機器3の2台が同時に要求している場合
機器1又は機器2から洗浄動作を実施する場合には、式(1)より、
漏出硬度成分量=補水量2Q×処理水硬度・・・(a)
となる。
また、機器3から再生動作を実施する場合には、式(3)より、
漏出硬度成分量=補水量Q×処理水硬度・・・(b)
となる。
式(a)及び式(b)で示される漏出硬度成分量を比較すると、(a)>(b)である。つまり、機器3から再生動作を実施した方が、漏出硬度成分量が少なくなる。そのため、機器3から再生動作を実施し、その後、機器1又は機器2の洗浄動作を実施するように、優先順位を設定する。機器1又は機器2の優先順位は、洗浄動作の実施要求がなされている方を高く設定する。
(A−2)機器1〜3の3台が同時に要求している場合
機器1及び機器2から洗浄動作を実施する場合には、式(1)より、
漏出硬度成分量=補水量3Q×処理水硬度・・・(c)
となる。
また、機器3から再生動作を実施する場合には、式(3)より、
漏出硬度成分量=補水量Q×処理水硬度・・・(d)
となる。
式(c)及び式(d)で示される漏出硬度成分量を比較すると、(c)>(d)である。つまり、機器3から再生動作を実施した方が、漏出硬度成分量が少なくなる。そのため、機器3から再生動作を実施するように、優先順位を設定する。また、機器1及び機器2の両方において、洗浄動作の実施要求がなされているので、上流側に配置されている機器1の優先順位を高く設定する。上流側に配置された濾過処理装置ほど、懸濁物質の捕捉量が多く、濾過処理能力が低下し易いからである。従って、機器3から再生動作を実施し、その後、機器1、機器2の順に洗浄動作を実施するように、優先順位を設定する。
(B−1)機器1又は機器2と、機器3の2台が同時に要求している場合
機器1及び機器2から洗浄動作を実施する場合には、式(2)より、
漏出濁質成分量=補水量Q×処理水濁度・・・(e)
となる。
また、機器3から再生動作を実施する場合には、式(4)より、
漏出濁質成分量=補水量2Q×処理水濁度・・・(f)
となる。
式(e)及び式(f)で示される漏出濁質成分量を比較すると、(f)>(e)である。つまり、機器1又は機器2から洗浄動作を実施し、その後、機器3の再生動作を実施するように、優先順位を設定する。機器1又は機器2の優先順位は、洗浄動作の実施要求がなされている方を高く設定する。洗浄動作の実施要求がなされていない機器は、機器3よりも優先順位を低く設定する。
(B−2)機器1〜3の3台が同時に要求している場合
機器1及び機器2から洗浄動作を実施する場合には、式(2)より、
漏出濁質成分量=補水量Q×処理水濁度・・・(g)
となる。
また、機器3から再生動作を実施する場合には、式(4)より、
漏出濁質成分量=補水量3Q×処理水濁度・・・(h)
となる。
式(g)及び式(h)で示される漏出濁質成分量を比較すると、(h)>(g)である。つまり、機器1及び機器2から洗浄動作を実施し、その後、機器3の再生動作を実施するように、優先順位を設定する。ここでは、機器1及び機器2の両方において、洗浄動作の実施要求がなされているので、上流側に配置されている機器1の優先順位を高く設定する。従って、機器1、機器2、機器3の順に優先順位を高く設定する。
(C)機器1〜3のいずれか1台が要求している場合
この場合には、「要求あり」の機器の優先順位を最上位に設定する。「要求なし」の機器間での優先順位は、上流側の優先順位を上位に設定する。
以上のように設定される洗浄動作の優先順位及び再生動作の優先順位を、表1及び表2にまとめて示す。ここで、表1は、漏出硬度成分量を最小にする各機器の優先順位を示す。また、表2は、漏出濁質成分量を最小にする各機器の優先順位を示す。
次に、本実施形態の濾過システム1の基本動作について図1を参照しながら説明する。通常運転時の濾過工程の場合、第1濾過処理装置2aの第1コントロールバルブ4a及び第2濾過処理装置2bの第2コントロールバルブ4bは、濾過工程用の流路に設定されている。処理水W2の配給要求があると、制御装置30によって処理水配給ポンプ22が稼働されることにより、処理水タンク20に貯留された処理水W2が下流側の需要箇所に送出される(配給開始)。
そして、処理水タンク20の所定量の減水が検出されると、制御装置30によって、原水ポンプ5、第1薬剤添加装置8a及び第2薬剤添加装置8bが稼働されると共に、原水バルブ6が開弁される。また、制御装置30によって、第1給水バルブ10、第2給水バルブ11及び第3給水バルブ19が開弁される。この場合、逆洗水供給ラインL4における逆洗水供給ポンプ24は、稼働されず、第1逆洗バルブ25a、第2逆洗バルブ25b及び第3逆洗バルブ25cは閉弁されたままとなっている。
原水W1は、原水ポンプ5によって原水ラインL1に送出される。そして、原水ラインL1においては、原水用濁度計7によって原水W1の濁度が計測される。この濁度情報は、制御装置30によって受信される。また、第1薬剤添加装置8aによって原水W1に所定の薬剤が添加される。
薬剤が添加された原水W1は、第1濾過処理装置2aの濾過塔3aの内部に導入される。濾過塔3aにおいては、原水W1が上記濾材層に対して下降するように流される。これにより、原水W1に含まれる懸濁物質が濾材により捕捉され、第1濾過処理水W2aが製造される。製造された第1濾過処理水W2aは、第1処理水ラインL2aに流通され、第2濾過処理装置2bに導入される。
第1処理水ラインL2aにおいては、処理水用第1濁度計9aによって第1濾過処理水W2aの濁度が計測されると共に、第2薬剤添加装置8bによって第1濾過処理水W2aに所定の薬剤が添加される。この濁度情報は、制御装置30によって受信される。
薬剤が添加された第1濾過処理水W2aは、第2濾過処理装置2bの濾過塔3bの内部に導入される。濾過塔3bにおいては、第1濾過処理水W2aが上記吸着材からなる濾材に対して下降するように流される。これにより、第1濾過処理水W2aに含まれる懸濁物質、有機物、色度成分及び臭気成分等の不純物が濾材により吸着(捕捉)され、第2濾過処理水W2bが製造される。製造された第2濾過処理水W2bは、第2処理水ラインL2bに流通され、軟水化処理装置12に導入される。
第2処理水ラインL2bにおいては、処理水用第2濁度計9bによって第2濾過処理水W2bの濁度が計測される。この濁度情報は、制御装置30によって受信される。
濁度が計測された第2濾過処理水W2bは、軟水化処理装置12の交換塔13の内部に導入される。交換塔13の内部において、第2濾過処理水W2bは、陽イオン交換体(図示せず)によってイオン交換処理されることにより、硬度成分(カルシウムイオン及びマグネシウムイオン)が除去される。これにより、軟水化処理水W2cが製造される。製造された軟水化処理水W2cは、第3処理水ラインL2cに流通され、処理水タンク20に貯留される。
第3処理水ラインL2cにおいては、流量計17によって軟水化処理水W2cの流量が計測される。また、硬度計18によって軟水化処理水W2cの硬度が計測される。これらの計測情報も、制御装置30によって受信される。
処理水W2の配給要求がなくなると、制御装置30によって処理水配給ポンプ22が停止される(配給停止)。続いて、処理水タンク20の満水が検出されると、制御装置30によって、原水ラインL1における原水ポンプ5、第1薬剤添加装置8a及び第2薬剤添加装置8bが停止されると共に、原水バルブ6、第1給水バルブ10、第2給水バルブ11及び第3給水バルブ19が閉弁される。
次に、第1濾過処理装置2aの洗浄動作(逆洗浄工程及び水洗工程)について説明する。逆洗浄工程時には、制御装置30によって、原水バルブ6が閉弁され、かつ、第1濾過処理装置2aの第1コントロールバルブ4aが逆洗浄工程用の流路に設定される。また、制御装置30によって、第1給水バルブ10が閉弁されると共に、逆洗水供給ラインL4における逆洗水供給ポンプ24が稼働され、第1逆洗バルブ25aが開弁される。これにより、第1濾過処理装置2aの濾過塔3aにおいて、処理水W2が上記濾材層に対して上昇するように流され、濾材が展開される。洗浄後の逆洗水は、排水ラインL5aを介して、系外に排出される。
また、水洗工程時には、制御装置30によって、原水バルブ6が閉弁され、かつ、第1コントロールバルブ4aが水洗工程用の流路に設定される。また、制御装置30によって、第1給水バルブ10が閉弁状態を維持されると共に、逆洗水供給ラインL4における逆洗水供給ポンプ24が稼働され、第1逆洗バルブ25aが開弁される。これにより、第1濾過処理装置2aの濾過塔3aにおいて、濯ぎ水としての処理水W2が上記濾材層に対して下降するように流され、濾材が濯がれる。水洗後の濯ぎ水は、排水ラインL5aを介して、系外に排出される。
次に、第2濾過処理装置2bの洗浄動作(逆洗浄工程及び水洗工程)について説明する。逆洗浄工程時には、制御装置30によって、第1給水バルブ10、第1逆洗バルブ25a及び第2給水バルブ11が閉弁され、かつ、第2濾過処理装置2bの第2コントロールバルブ4bが逆洗浄工程用の流路に設定される。また、制御装置30によって、第2逆洗バルブ25bが開弁され、逆洗水供給ラインL4における逆洗水供給ポンプ24が稼働される。これにより、第2濾過処理装置2bの濾過塔3bにおいて、処理水W2が上記濾材層に対して上昇するように流され、濾材が展開される。洗浄後の逆洗水は、排水ラインL5bを介して、系外に排出される。
また、水洗工程時には、制御装置30によって、第1給水バルブ10、第1逆洗バルブ25a及び第2給水バルブ11の閉弁状態と第2逆洗バルブ25bの開弁状態とが維持され、かつ、第2コントロールバルブ4bが水洗工程用の流路に設定される。また、制御装置30によって、逆洗水供給ラインL4における逆洗水供給ポンプ24が稼働される。これにより、第2濾過処理装置2bの濾過塔3bにおいて、濯ぎ水としての処理水W2が上記濾材層に対して下降するように流され、濾材が濯がれる。水洗後の濯ぎ水は、排水ラインL5bを介して、系外に排出される。
以上のような洗浄動作は、第1濾過処理装置2a及び第2濾過処理装置2bのそれぞれにおいて、定期的(例えば、所定の時刻に1日1回)に行われると共に、第1濾過処理水W2a又は第2濾過処理水W2bの濁度が所定値を超えた場合に、実施される。また、第1濾過処理装置2a及び第2濾過処理装置2bにおいて、同時に洗浄動作の実施要求がなされた場合には、後述する優先順位に基づいて実施される。
次に、軟水化処理装置12の再生動作について説明する。再生動作は、塩水タンク15で製造された塩水を、塩水ラインL7、コントロールバルブ14を介して交換塔13の内部に供給することにより、陽イオン交換体(図示せず)の交換能力を回復させるものである。
具体的には、硬度計18により計測された軟水化処理水W2cの硬度が所定値以上になった場合には、制御装置30によって、第2給水バルブ11及び第3給水バルブ19が閉弁され、かつ、コントロールバルブ14が再生動作用の流路に設定される。そして、塩水タンク15の塩水が、塩水ラインL7を介して交換塔13の内部に導入される。これにより、陽イオン交換体(図示せず)の交換能力(硬度成分の捕捉能力)が再生される。
再生後の塩水は、排水ラインL6を介して系外に排出される。また、塩水を導入する動作が終了した後は、制御装置30によって、第3逆洗バルブ25cが開弁されると共に、逆洗水供給ポンプ24が駆動される。そして、処理水タンク20の処理水W2が交換塔13の内部に導入され、余分な塩水が排水ラインL6を介して系外に排出される。更に、消費された塩水を再び調製するために、処理水タンク20の処理水W2が、塩水ラインL7を介して塩水タンク15に供給される。
次に、本実施形態の濾過システム1の特徴的な制御方法について図3から図5を参照しながら説明する。図3から図5は、本実施形態の濾過システム1の制御を示すフローチャートである。図3から図5においては、説明の便宜上、第1濾過処理装置2aを機器1と表示し、第2濾過処理装置2bを機器2と表示し、軟水化処理装置12を機器3と表示する。
本実施形態においては、ステップST1が開始される前に、第1処理水ラインL2aにおける第1濾過処理水W2aの濁度(処理水濁度)が、処理水用第1濁度計9aによって検出(計測)されているものとする。また、第2処理水ラインL2bにおける第2濾過処理水W2bの濁度(処理水濁度)が、処理水用第2濁度計9bによって検出(計測)されているものとする。また、第3処理水ラインL2cにおける軟水化処理水W2cの硬度(処理水硬度)が、硬度計18によって検出(計測)されているものとする。また、第3処理水ラインL2cにおける軟水化処理水W2cの流量が、流量計17によって検出(計測)されているものとする。また、後述するステップST2において、優先順位設定部33が参照する表1又は表2は、予めいずれかが管理者により選択されているものとする。
図3に示すように、ステップST1において、洗浄動作実施要求判定部31は、第1濾過処理装置2a又は第2濾過処理装置2bにおいて、洗浄動作の実施要求がなされているか否かを判定する。また、再生動作実施要求判定部32は、軟水化処理装置12において、再生動作の実施要求がなされているか否かを判定する。
第1濾過処理装置2a、第2濾過処理装置2b及び軟水化処理装置12のいずれかにおいて、洗浄動作の実施要求又は再生動作の実施要求がなされている(YES)場合には、ステップST2に進む。
一方、第1濾過処理装置2a及び第2濾過処理装置2bにおいて洗浄動作の実施要求がなされておらず、かつ、軟水化処理装置12において再生動作の実施要求がなされていない(NO)場合には、ステップST1に戻る。
ステップST2において、優先順位設定部33は、前述した表1又は表2に基づいて、第1濾過処理装置2aの優先順位、第2濾過処理装置2bの優先順位及び軟水化処理装置12の優先順位を設定(セット)し、ステップST3に進む。
ステップST3において、優先順位判定部34は、第1濾過処理装置2aの優先順位が、第2濾過処理装置2bの優先順位よりも高いか否かを判定する。第1濾過処理装置2aの優先順位が、第2濾過処理装置2bの優先順位よりも高い(YES)場合には、ステップST4に進む。
一方、第1濾過処理装置2aの優先順位が、第2濾過処理装置2bの優先順位よりも低い(NO)場合には、ステップST9に進む。ステップST9における動作については、後述する。
ステップST4において、優先順位判定部34は、第1濾過処理装置2aの優先順位が、軟水化処理装置12の優先順位よりも高いか否かを判定する。第1濾過処理装置2aの優先順位が、軟水化処理装置12の優先順位よりも高い(YES)場合には、ステップST5(図4参照)に進む。つまり、第1濾過処理装置2aの優先順位が他の機器よりも最も高い場合には、ステップST5に進む。
一方、第1濾過処理装置2aの優先順位が、軟水化処理装置12の優先順位よりも低い(NO)場合には、ステップST13(図5参照)に進む。ステップST13における動作については、後述する。
図4に示すように、ステップST5において、洗浄再生動作実施制御部35は、第1濾過処理装置2aの洗浄動作を開始し、ステップST6に進む。第1濾過処理装置2aの洗浄動作は、予め定められた逆洗浄時間及び水洗時間に基づいて実施される。
ステップST6において、洗浄再生動作実施制御部35は、第1濾過処理装置2aの洗浄動作が終了したか否かを判定する。第1濾過処理装置2aの洗浄動作が終了した(YES)場合には、ステップST7に進む。つまり、第1濾過処理装置2aの濾過能力が回復した場合には、洗浄動作実施要求判定部31は、第1濾過処理装置2aの洗浄動作の実施要求をクリアする。また、優先順位設定部33は、第1濾過処理装置2aの洗浄動作実施の優先順位をリセットし、ステップST8に進む。
一方、ステップST6において、第1濾過処理装置2aの洗浄動作が終了していない(NO)場合には、ステップST6に戻り、第1濾過処理装置2aの洗浄動作を継続する。
ステップST8において、第1濾過処理装置2a、第2濾過処理装置2b及び軟水化処理装置12のいずれかにおいて、洗浄動作の実施要求又は再生動作の実施要求がなされているか否かが判定される。つまり、洗浄動作実施要求判定部31は、第1濾過処理装置2a又は第2濾過処理装置2bのいずれかにおいて、洗浄動作の実施要求がなされているか否かを判定する。
この場合、第1濾過処理装置2aの洗浄動作の実施要求は、ステップST7において既にクリアされているため、洗浄動作実施要求判定部31は、第2濾過処理装置2bにおいて洗浄動作の実施要求がなされているか否かを判定することとなる。また、再生動作実施要求判定部32は、軟水化処理装置12において再生動作の実施要求がなされているか否かを判定する。
これらの判定の結果、第2濾過処理装置2bにおいて洗浄動作の実施要求がなされておらず、かつ、軟水化処理装置12において再生動作の実施要求がなされていない(NO)場合には、本制御を終了する。
一方、ステップST8において、第2濾過処理装置2b又は軟水化処理装置12のいずれかにおいて、洗浄動作の実施要求又は再生動作の実施要求がなされている(YES)場合には、ステップST3(図3参照)に戻る。第1濾過処理装置2aの洗浄動作実施の優先順位は、ステップST7において既にリセットされている。そのため、ステップST3は、NOの判定となり、ステップST9(図3参照)に進む。
図3に示すように、ステップST9において、優先順位判定部34は、第2濾過処理装置2bの優先順位が、軟水化処理装置12の優先順位よりも高いか否かを判定する。第2濾過処理装置2bの優先順位が、軟水化処理装置12の優先順位よりも高い(YES)場合には、ステップST10(図4参照)に進む。
一方、第2濾過処理装置2bの優先順位が、軟水化処理装置12の優先順位よりも低い(NO)場合には、ステップST13(図5参照)に進む。ステップST13における動作については、後述する。
図4に示すように、ステップST10において、洗浄再生動作実施制御部35は、第2濾過処理装置2bの洗浄動作を開始し、ステップST11に進む。第2濾過処理装置2bの洗浄動作は、予め定められた逆洗浄時間及び水洗時間に基づいて実施される。
ステップST11において、洗浄再生動作実施制御部35は、第2濾過処理装置2bの洗浄動作が終了したか否かを判定する。第2濾過処理装置2bの洗浄動作が終了した(YES)場合には、ステップST12に進む。一方、ステップST11において、第2濾過処理装置2bの洗浄動作が終了していない(NO)場合には、ステップST11に戻り、第2濾過処理装置2bの洗浄動作を継続する。
ステップST12において、洗浄動作実施要求判定部31は、第2濾過処理装置2bの洗浄動作の実施要求をクリアする。また、優先順位設定部33は、第2濾過処理装置2bの洗浄動作実施の優先順位をリセットし、ステップST8に進む。
ステップST8において、第1濾過処理装置2a、第2濾過処理装置2b及び軟水化処理装置12のいずれかにおいて、洗浄動作の実施要求又は再生動作の実施要求がなされているか否かが判定される。
この場合、第1濾過処理装置2aの洗浄動作の実施要求は、ステップST7において既にクリアされ、第2濾過処理装置2bの洗浄動作の実施要求は、ステップST12において既にクリアされている。そのため、再生動作実施要求判定部32は、軟水化処理装置12において再生動作の実施要求がなされているか否かを判定することとなる。その判定の結果、軟水化処理装置12において再生動作の実施要求がなされていない(NO)場合には、本制御を終了する。一方、軟水化処理装置12において再生動作の実施要求がなされている(YES)場合には、再び、ステップST3に戻る。
ステップST3においては、第1濾過処理装置2aの洗浄動作の実施要求及び第2濾過処理装置2bの洗浄動作の実施要求は、前述したように、既にクリアされている。従って、ステップST3は、NOの判定となり、ステップST9に進む。ステップST9においても、NOの判定となり、ステップST13(図5参照)に進む。
図5に示すように、ステップST13において、洗浄再生動作実施制御部35は、軟水化処理装置12の再生動作を開始し、ステップST14に進む。軟水化処理装置12の再生動作は、予め定められた再生時間に基づいて実施される。
ステップST14において、洗浄再生動作実施制御部35は、軟水化処理装置12の再生動作が終了したか否かを判定する。軟水化処理装置12の再生動作が終了した(YES)場合には、ステップST15に進む。一方、ステップST14において、軟水化処理装置12の再生動作が終了していない(NO)場合には、ステップST14に戻り、軟水化処理装置12の再生動作を継続する。
ステップST15において、再生動作実施要求判定部32は、軟水化処理装置12の再生動作の実施要求をクリアする。また、優先順位設定部33は、軟水化処理装置12の再生動作実施の優先順位をリセットし、ステップST8に進む。
ステップST8において、第1濾過処理装置2a、第2濾過処理装置2b及び軟水化処理装置12のいずれかにおいて、洗浄動作の実施要求又は再生動作の実施要求がなされているか否かが判定される。
この場合、第1濾過処理装置2aの洗浄動作の実施要求及び第2濾過処理装置2bの洗浄動作の実施要求は、前述したように、既にクリアされている。また、軟水化処理装置12の再生動作の実施要求も、ステップST15において、既にクリアされている。つまり、第1濾過処理装置2a及び第2濾過処理装置2bの濾材(図示せず)は、既に洗浄され、軟水化処理装置12の陽イオン交換体(図示せず)も既に再生されている。従って、ステップST8において、NOの判定となり、本制御を終了する。
以上のように制御することにより、洗浄動作又は再生動作を実施する必要性(優先順位)が高いものから、洗浄動作又は再生動作を実施することができる。
以上に説明した本実施形態の濾過システム1によれば、以下に示す各効果が奏される。
本実施形態の濾過システム1は、濾過処理装置としての第1濾過処理装置2a及び第2濾過処理装置2bにおいて洗浄動作の実施要求がなされているか否かを判定する洗浄動作実施要求判定部31と、軟水化処理装置12において再生動作の実施要求がなされているか否かを判定する再生動作実施要求判定部32と、洗浄動作実施要求判定部31により濾過処理装置2a,2bにおいて洗浄動作の実施要求がなされていると判定され、かつ、再生動作実施要求判定部32により軟水化処理装置12において再生動作の実施要求がなされていると判定された場合に、原水用濁度計7、処理水用第1濁度計9a及び処理水用第2濁度計9bにより計測された濁度と硬度計18により計測された硬度とに基づいて、洗浄動作又は再生動作を実施する優先順位を設定する優先順位設定部33と、優先順位設定部33により設定された優先順位に基づいて、洗浄動作を実施させるように逆洗水供給ポンプ24、第1逆洗バルブ25a、第1コントロールバルブ4a、第2逆洗バルブ25b及び第2コントロールバルブ4bを制御し、又は再生動作を実施させるように逆洗水供給ポンプ24、第3逆洗バルブ25c及びコントロールバルブ14を制御する洗浄再生動作実施制御部35と、を備える。
そのため、第1濾過処理装置2a、第2濾過処理装置2b及び軟水化処理装置12において、洗浄動作又は再生動作を実施するタイミングが重なった場合であっても、洗浄動作又は再生動作を実施する必要性(優先順位)が高いものから、これらの動作を実施することができ、処理水W2への漏出濁質成分量及び漏出硬度成分量を低減することができる。従って、本実施形態の濾過システム1によれば、安定した水質の処理水W2を製造することができる。
また、本実施形態の濾過システム1においては、濾過処理装置(第1濾過処理装置2a及び第2濾過処理装置2b)は、上流から下流に向けて直列に2台接続されており、優先順位設定部33は、上流側に配置された濾過処理装置ほど優先順位を高く設定する。
上流側に配置された濾過処理装置ほど、懸濁物質の捕捉量が多く、濾過処理能力が低下し易い。そのため、濾過処理能力が低下し易い濾過処理装置(第1濾過処理装置2a)の洗浄動作を優先して実施することができ、漏出濁質成分量を更に効果的に低減することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、洗浄動作の優先順位及び再生動作の優先順位を設定する場合に、第1濾過処理装置2a、第2濾過処理装置2b及び軟水化処理装置12において、洗浄前補水量及び再生前補水量がそれぞれ一定の量であると仮定して説明したが、これに制限されない。例えば、洗浄前補水量及び再生前補水量を流量計17により実測してもよい。
また、前記実施形態の濾過システム1においては、2台の濾過処理装置(第1濾過処理装置2a及び第2濾過処理装置2b)と1台の軟水化処理装置12とを直列に接続するものとして説明したが、これに制限されない。例えば、3台以上の濾過処理装置及び/又は2台以上の軟水化処理装置を直列に接続してもよい。