JP5589175B2 - アルミニウム基導電材料並びにそれを用いた電線及びケーブル - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、産業用ロボット、民生用ロボット、又は各種装置の配線において、特に駆動部分等の繰り返し曲げが負荷される配線に使用されるアルミニウム基導電材料並びにそれを用いた電線及びケーブルに関する。
例えば、産業用ロボットや民生用ロボットの駆動部分、例えばアーム部分の配線に使用するケーブルにはアームの駆動時に繰り返し曲げが負荷され、自動車のドア部分の配線に使用するケーブルにはドアの開閉時に繰り返し曲げが負荷される。このため、繰り返し曲げが負荷されるケーブルには、通常の導線ではなく繰り返し曲げに対して強い(破断し難い)導線が使用されている。また、導線も径が細くなると、繰り返し曲げに対しては破断し難くなるので、ケーブルの導線には、単線ではなく、複数本の細線から構成された縒り線が使用されている。
そして、例えば、特許文献1には、繰り返し曲げ負荷に対して強い、例えば常温におけるひずみ振幅±0.15%の繰り返し曲げを加えた場合の破断回数(疲労寿命)が50000回以上である導線として、鉄を0.1〜0.4質量%、銅を0.1〜0.3質量%、マグネシウムを0.02〜0.2質量%、シリコンを0.02〜0.2質量%、チタンとバナジウムを合わせて0.001〜0.01質量%含み、伸線方向の垂直断面における結晶粒径が5〜25μmであるアルミニウム合金線材が開示されている。
一方、軽量で耐熱性、引張り強度、及び導電性に優れたアルミニウム系の導電材料として、例えば特許文献2には、スカンジウムを0.1〜0.3質量%(重量%)含むアルミニウム合金が開示されている。
また、スカンジウムを含有するアルミニウム合金の耐熱性を更に向上させたものとして、例えば特許文献3には、ジルコニウムを0.1〜0.4質量%、スカンジウムを0.05〜0.3質量%含み、塑性加工後に熱処理を行って製造するアルミニウム合金が、例えば特許文献4には、ジルコニウムを0.1〜0.5質量%、スカンジウムを0.05〜0.5質量%含み、熱処理後に冷間加工を行って製造するアルミニウム合金が、例えば特許文献5には、ジルコニウムを0.1〜0.5質量%、スカンジウムを0.05〜0.5質量%含み、冷間加工した後に熱処理を行い、再度冷間加工を行って製造するアルミニウム合金がそれぞれ開示されている。
特開2010−163675号公報 特開平7−316705号公報 特開2001−348637号公報 特開2002−266043号公報 特開2002−302727号公報
特許文献1記載のアルミニウム合金線材は、疲労寿命を50000回以上としており、実際のロボットにおいては、一回の動作が2秒であるとすると、2日間に86400回動くことになって、繰り返し回数は最低寿命を超えてしまう。このため、特許文献1記載のアルミニウム合金線材をロボットに適用した場合、ロボットを長期間に亘って安定して稼動させることができないという虞がある。
特許文献2に記載されたアルミニウム合金として、例えばスカンジウムを0.1質量%含むアルミニウム合金を用いて線径が80μmの素線を作製し、この素線を用いて製造した断面積が0.2mm2のケーブルを試験体として左右繰り返し曲げ試験(試験体に荷重100gを負荷した状態で、曲げ半径が15mm、折り曲げ角度範囲が±90度)を行うと、ケーブル破断回数は、例えば30〜50万回の範囲となる。
特許文献3に記載されたアルミニウム合金として、例えばジルコニウムを0.1質量%、スカンジウムを0.1質量%含み、断面積減少率が85%の冷間加工を行って製造されたアルミニウム合金を用いて線径が80μmの素線を作製し、この素線を用いて製造した断面積が0.2mm2 のケーブルを試験体とし、同様の左右繰り返し曲げ試験を行うと、ケーブル破断回数は、例えば50〜80万回の範囲となる。
特許文献4に記載されたアルミニウム合金として、例えばジルコニウムを0.3質量%、スカンジウムを0.2質量%含み、断面積減少率90%の冷間加工を行って製造されたアルミニウム合金を用いて線径が80μmの素線を作製し、この素線を用いて製造した断面積が0.2mm2 のケーブルを試験体とし、同様の左右繰り返し曲げ試験を行うと、ケーブル破断回数は、例えば200〜300万回の範囲となる。
特許文献5に記載されたアルミニウム合金として、例えばジルコニウムを0.3質量%、スカンジウムを0.2質量%含み、断面積減少率30%で冷間加工し、次いで350℃で50時間の熱処理を行ってから、断面積減少率75%の冷間加工を施して製造されたアルミニウム合金を用いて線径が80μmの素線を作製し、この素線を用いて製造した断面積が0.2mm2 のケーブルを試験体とし、同様の左右繰り返し曲げ試験を行うと、ケーブル破断回数は、例えば300〜400万回の範囲となる。
したがって、スカンジウムを添加することにより破断回数100万回を超えるケーブルが得られるものの、高機能ロボット用ケーブルの要求特性に対しては必ずしも十分なものではない。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、ロボット又は各種装置の駆動部分の配線に使用され、実際の使用に十分耐えて、使用途中での断線が極めて少ない、例えば、300万回、500万回又は1000万回の動的駆動試験に耐えることが可能なアルミニウム基導電材料並びにそれを用いた電線及びケーブルを提供することを目的とする。
前記目的に沿う第1の発明に係るアルミニウム基導電材料は、0.1〜1.0質量%のスカンジウムを含み、残部がアルミニウムと不可避的不純物からなるアルミニウム合金から得られるアルミニウム基導電材料において、
時効処理された前記アルミニウム合金から形成されるワイヤを、ダイス伸線加工を行って、前記アルミニウムの結晶粒内及び粒界に存在している前記スカンジウムを金属間化合物として粒界に析出させ、平均粒径が2μm以下でかつ1μm以下のサイズのものが断面積率で15%以上含まれる結晶粒と、前記結晶粒の粒界に生成されピン止め効果を発揮する平均粒径が1〜60nmであるアルミニウム−スカンジウム系のナノ析出物とを有する金属組織で構成され、300万回の動的駆動試験に耐える。
第2の発明に係るアルミニウム基導電材料は、0.1〜1.0質量%(0.1〜0.3質量%を除く)のスカンジウムを含み、残部がアルミニウムと不可避的不純物からなるアルミニウム合金から得られるアルミニウム基導電材料において、
時効処理された前記アルミニウム合金から形成されるワイヤを、ダイス伸線加工を行って、前記アルミニウムの結晶粒内及び粒界に存在している前記スカンジウムを金属間化合物として粒界に析出させ、平均粒径が2μm以下でかつ1μm以下のサイズのものが断面積率で15%以上含まれる結晶粒と、前記結晶粒の粒界に生成されピン止め効果を発揮する平均粒径が1〜60nmであるアルミニウム−スカンジウム系のナノ析出物とを有する金属組織で構成され、300万回の動的駆動試験に耐える。
金属組織を構成している結晶粒の平均粒径を2μm以下とする方法としては、例えば、冷媒(例えば油)で冷却しながら加工度を5以上とする低温での圧延加工方法(ダイス引抜き方法を含む)がある。なお、加工度は、ln( S0 /S1)式で示され、S0 は加工前の断面積、S1 は加工後の断面積である。
結晶粒の平均粒径を2μm以下にすることで、発生したき裂が伝播する際の結晶粒との衝突が顕著となって、き裂の偏向とき裂の分岐を促進し、き裂が一方向に進展するのを抑制できる。また、結晶粒の粒界にナノ析出物を生成させることで、き裂がナノ析出物と衝突した際、き裂をピン止めして、き裂の進展を抑制することができる。ここで、スカンジウムの含有量が0.1質量%未満の場合、生成するナノ析出物の量が少なく、き裂のピン止め効果が顕著とならない。一方、スカンジウムの含有量が1.0質量%を超えると、アルミニウム基導電材料の導電率が低下し、導電材料としての機能が低下するので好ましくない。
また、第3の発明に係るアルミニウム基導電材料は、0.1〜1.0質量%のスカンジウム及び0を超え(好ましくは0.05質量%以上)0.2質量%以下のジルコニウムを含み、残部がアルミニウムと不可避的不純物からなるアルミニウム合金から得られるアルミニウム基導電材料において、
時効処理された前記アルミニウム合金から形成されるワイヤを、加工度5以上のダイス伸線加工を行って、前記アルミニウムの結晶粒内及び粒界に存在している前記スカンジウムを金属間化合物として粒界に析出させ、平均粒径が2μm以下でかつ1μm以下のサイズのものが断面積率で15%以上含まれる結晶粒と、前記結晶粒の粒界に生成されピン止め効果を発揮する平均粒径が1〜60nmであるアルミニウム−スカンジウム系のナノ析出物とを有する金属組織で構成され、300万回の動的駆動試験に耐える。
ここで、前記ナノ析出物は、前記結晶粒の粒内にも生成することができる。
結晶粒の平均粒径を2μm以下とする方法としては、第1の発明に係るアルミニウム基導電材料の場合と同様の方法を採用することができる。
また、結晶粒の平均粒径を2μm以下にすることの作用、スカンジウムの含有量を0.1〜1.0質量%の範囲とすることの作用は、第1の発明に係るアルミニウム基導電材料の場合と同一なので説明は省略する。
ジルコニウムは、一部が結晶粒に固溶し、残部は結晶粒の粒界に存在し、高温下での結晶粒及び粒界の変形を抑制し、アルミニウム基導電材料の高温の熱履歴後の引張り強度の低下を防止する。ここで、高温強度の改善効果は、ジルコニウムの含有量の増加に伴って増加するが、含有量が0.05質量%以上で顕著となる。一方、ジルコニウムの含有量が0.2質量%を超えると、アルミニウム基導電材料の導電率の低下が顕著となり、導電材料としての機能が低下するので好ましくない。またジルコニウムの過剰な固溶は金属組織の動的柔軟性を損ない(動的駆動試験の耐久性が低下し)、これにより、繰り返し曲げ負荷に対する耐屈曲性(破断までの繰り返し曲げ回数、即ち破断回数)が低下するために好ましくない。
第1〜第3の発明に係るアルミニウム基導電材料において、前記ナノ析出物の平均粒径は1〜60nmである。
ここで、前記ナノ析出物の平均粒径は5〜50nmであることがより好ましい。
アルミニウム基導電材料の組織観察から、含有されるスカンジウムは、ほぼ全量がナノ析出物として存在することが確認できるので、ナノ析出物の粒径が大きくなると、ナノ析出物の個数は減少する。また、ナノ析出物によりき裂のピン止め作用は、ナノ析出物の粒径が大きいほど顕著となる。したがって、アルミニウム基導電材料中に発生したき裂が進展する際に、き裂がナノ析出物によりピン止めされる効果は、ナノ析出物の個数とナノ析出物の粒径に依存することになって、ナノ析出物の平均粒径が1nm未満ではナノ析出物の個数が多くなってき裂のピン止め発生の頻度は高まるが、ナノ析出物によるき裂のピン止め作用は大きくなく、き裂のピン止め効果は顕著とならない。一方、ナノ析出物の平均粒径が60nmを超えると、ナノ析出物によるき裂のピン止め作用は大きくなるが、ナノ析出物の個数が少なくなってき裂のピン止め発生の頻度は低下し、き裂のピン止め効果は顕著とならない。このため、ナノ析出物の平均粒径の範囲を1〜60nmとした。
そして、ナノ析出物によるき裂のピン止め発生の頻度とナノ析出物によるき裂のピン止めの作用を共に増大させるナノ析出物の平均粒径の範囲は、5〜50nmである。
第1〜第3の発明に係るアルミニウム基導電材料において、前記金属組織には、1μm以下の前記結晶粒が断面積率で15%以上含まれている。
ここで、前記金属組織には、1μm以下の前記結晶粒が断面積率で20%以上含まれると、少なくとも1000万回の動的駆動試験に耐えることができる。
金属組織中に、1μm以下の結晶粒が断面積率で15%以上含まれるようにするには、例えば、冷媒(例えば油)で冷却しながら加工度を3.0以上とする低温での圧延加工方法(ダイス引抜き方法を含む)を用いることができ、1μm以下の結晶粒が断面積率で20%以上含まれるようにするには、冷媒で冷却しながら加工度を3.5以上とする低温での圧延加工方法を用いることができる。
金属組織中に、1μm以下の結晶粒が断面積率で15%以上とすることで、発生したき裂が伝播する際の結晶粒との衝突を顕著とすることができ、き裂の偏向とき裂の分岐を促進することができ、1μm以下の結晶粒が断面積率で20%以上とすることで、発生したき裂が伝播する際の結晶粒との衝突を更に顕著とすることができ、き裂の偏向とき裂の分岐を更に促進することができる。
前記目的に沿う第4の発明に係る電線は、第1〜第3の発明に係るアルミニウム基導電材料を、線径が0.05mm以上0.5mm以下の導体素線に使用している。そして、該電線を機器内配線用の電線に使用することができる。
前記目的に沿う第5の発明に係るケーブルは、第1〜第3に係る明に係るアルミニウム基導電材料を導体素線に使用している。ここで、前記導体素線径は、0.05mm以上0.5mm以下とすることが好ましい。
そして、該ケーブルを急速充電スタンド機のコネクターケーブル又は電気溶接機のキャブタイヤケーブルに使用することができる。
更に、該ケーブルを機器内配線用のケーブルに使用することもできる。
第1〜第3の発明に係るアルミニウム基導電材料においては、結晶粒の平均粒径が2μm以下なので、発生したき裂は、伝播する際に結晶粒と頻繁に衝突し、き裂の偏向とき裂の分岐が促進され、き裂が一方向に進展する際の速度が低下する。また、アルミニウム−スカンジウム系のナノ析出物が生成しているので、発生したき裂の先端がナノ析出物によりピン止めされてき裂の進展停止、又はき裂の進展速度低下が更に促進される。これにより、アルミニウム基導電材料は、動的駆動試験に耐えることができ、例えば、ロボットのアームや各種装置の駆動部分等の繰り返し曲げが負荷される部分に使用される電線やケーブルの素材として使用すると、電線やケーブルの使用時の断線を防止することができ、ロボットや各種装置の信頼性を向上させることができる。更に、ロボットや各種装置のメンテナンス負担を軽減することができ、運用コストの低減を図ることができる。
第3の発明に係るアルミニウム基導電材料において、ナノ析出物が、結晶粒の粒内にも生成する場合、き裂が結晶粒の粒内を伸展する際、き裂の先端がナノ析出物によりピン止めされてき裂の進展停止、又はき裂の進展速度低下が促進され、結晶粒の粒内破壊を抑制できる。
第1〜第3の発明に係るアルミニウム基導電材料において、ナノ析出物の平均粒径が1〜60nmであるので、ナノ析出物によるき裂のピン止め効果により、き裂の進展停止やき裂の進展速度低下を図ることができる。
また、ナノ析出物の平均粒径が5〜50nmである場合、ナノ析出物によるき裂のピン止め発生の頻度とナノ析出物によるき裂のピン止めの作用を共に増大させることができ、ナノ析出物によるき裂のピン止め効果を効果的に生じさせることができる。
第1〜第3の発明に係るアルミニウム基導電材料において、金属組織に、1μm以下の結晶粒が断面積率で15%以上含まれているので、発生したき裂が金属組織内を伝播する際に、結晶粒との衝突頻度を向上させ、き裂の偏向、き裂の分岐を促進することができ、き裂の進展に伴う抵抗が大きくなって、き裂の進展速度を低下させることができる。
また、金属組織に、1μm以下の結晶粒が断面積率で20%以上含まれている場合、発生したき裂が金属組織内を伝播する際に、結晶粒との衝突頻度を更に向上させ、き裂の偏向、き裂の分岐を更に促進することができ、き裂の進展に伴う抵抗が更に大きくなって、き裂の進展速度を更に低下させることができる。これにより、少なくとも1000万回の動的駆動試験に耐えることが可能になる。
第4の発明に係る電線においては、第1〜第3の発明に係るアルミニウム基導電材料を使用するので、例えば、繰り返し曲げが負荷される部分に使用することが可能な電線を作製することができる。これにより、電線の使用時の早期断線を防止して、この電線を使用した各種装置の信頼性を向上させることができると共に、各種装置のメンテナンス負担を軽減することができる。
第4の発明に係る電線においては、第1〜第3の発明に係るアルミニウム基導電材料を導体素線に使用するので、例えば、ロボットのアームや各種装置の駆動部分のように、繰り返し曲げが負荷される部分の配線に使用することにより早期断線を防止して、ロボットや各種装置の信頼性を向上させることができると共に、ロボットや各種装置のメンテナンス負担を軽減することができる。
第4の発明に係る電線において、導体素線径が、0.05mm以上0.5mm以下であるので、電線に繰り返し曲げが負荷された際に導体素線に生じるひずみを小さくすることができ、導体素線(電線)の早期断線を更に防止することができる。
また、電線を機器内配線用の電線に使用する場合、機器の軽量化を図ることができる。
第5の発明に係るケーブルにおいては、第1、第2の発明に係るアルミニウム基導電材料を導体素線に使用するので、例えば、ロボットのアームや各種装置の駆動部分のように、繰り返し曲げが負荷される部分の配線に使用することにより早期断線を防止して、ロボットや各種装置の信頼性を向上させることができると共に、ロボットや各種装置のメンテナンス負担を軽減することができる。
第5の発明に係るケーブルにおいて、導体素線径が、0.05mm以上0.5mm以下である場合、ケーブルに繰り返し曲げが負荷された際に導体素線に生じるひずみを小さくすることができ、導体素線(ケーブル)の早期断線を更に防止することができる。
ここで、ケーブルを急速充電スタンド機のコネクターケーブルに使用する場合、アルミニウム基導電材料で構成されているためコネクターケーブルが軽量となって、操作性を向上できる。
また、ケーブルを電気溶接機のキャブタイヤケーブルに使用する場合、アルミニウム基導電材料で構成されているためキャブタイヤケーブルが軽量となって、大型構造物の作製を行う際にキャブタイヤケーブルが長尺になっても、キャブタイヤケーブルの移動を比較的容易に行うことができ、溶接の作業性を向上させることができる。
更に、ケーブルを機器内配線用のケーブルに使用する場合、機器の軽量化を図ることができる。
本発明の第1の実施例に係るアルミニウム基導電材料の組織の説明図である。 本発明の第2の実施例に係るアルミニウム基導電材料の組織の説明図である。
続いて、添付した図面を参照しながら、本発明を具体化した実施例について説明する。
本発明の第1の実施例に係るアルミニウム基導電材料は、図1に示すように、0.1〜1.0質量%のスカンジウムを含み、残部がアルミニウムと不可避的不純物(不可避的不純物の含有量は、例えば0.1〜0.35質量%)からなり、平均粒径が2μm以下のアルミニウムの結晶粒11と、結晶粒11の粒界12に生成したアルミニウム−スカンジウム系の金属間化合物であるAl3 Scのナノ析出物13とを有する金属組織10で構成されている。そして、結晶粒11は、1μm以下のサイズのものが断面積率で15%以上、好ましくは20%以上含まれており、ナノ析出物13の平均粒径は1〜60nm、好ましくは5〜50nmである。なお、不可避的不純物の一部は結晶粒11内に固溶し、残部は粒界12に存在している。以下、詳細に説明する。
純度が99.9質量%以上のアルミニウムと、純度が99質量%以上のスカンジウムを用いて、スカンジウムが0.1〜1.0質量%含有されるアルミニウム合金を鋳造して、導電材料ブロックを作製する。次いで、250〜450℃で0.5〜30時間、例えば350℃で1時間の時効処理を行った導電材料ブロックから、例えば直径が10mmのワイヤロッドを切削加工により作製する。そして、ワイヤロッドをスエージング機により所定の直径に至るまで回転鍛造加工を実施してワイヤとし、300〜500℃で0.1〜5時間、例えば450℃で1時間の熱処理を行う。スエージング加工後に熱処理を行うことにより、等軸晶の形成を促進し、平均結晶粒の微細化並びに1μm以下の微細な結晶粒の形成確率を向上させることができる。
なお、アルミニウム基導電材料から、例えばケーブルを製造する場合は、熱処理後のワイヤに対して、ダイス伸線加工を行って伸線材(80〜120μm)を形成し、伸線材を導体素線として縒り線を形成しケーブルを作製する。
ここで、スエージング機を用いて加工したワイヤの最終仕上がり直径を、例えば1.5mmとした後に、等軸晶形成を促進するための熱処理を行い、その後、直径が80ミクロンに至るまで加工度が5.9となるダイス伸線加工を行うことにより金属組織10を構成する結晶粒11の平均粒径が2μm以下で、1μm以下の結晶粒11が存在する割合が断面積率で15%以上となる。
また、スエージング機を用いて加工したワイヤの最終仕上がり直径を、例えば2.0mmとした後に、等軸晶形成を促進するための熱処理を行い、その後、直径が80ミクロンに至るまで加工度が6.4となるダイス伸線加工を行うことにより金属組織10を構成する結晶粒11の平均粒径が2μm以下で、1μm以下の結晶粒11が存在する割合が断面積率で20%以上となる。そして、ワイヤの最終仕上がり直径を、例えば3.0mmとし、その後、直径が80ミクロンに至るまで、加工度が7.2となるダイス伸線加工を行うことにより金属組織10を構成する結晶粒11の平均粒径が2μm以下で、1μm以下の結晶粒11が存在する割合が断面積率で50%以上となる。
結晶粒11の平均粒径を2μm以下にすることで、単位体積の金属組織10に含まれる結晶粒11の個数が多くなって、例えば繰り返し曲げ負荷によってき裂が発生すると、き裂が伝播する際にき裂は結晶粒11と頻繁に衝突する。このため、き裂が進展する際、き裂の偏向とき裂の分岐が促進され、き裂が一方向に進展する際の速度を低下させることができる。その結果、繰り返し曲げ負荷に対する耐屈曲性(破断までの繰り返し曲げ回数、即ち破断回数)を向上させることができる。
ここで、1μm以下の結晶粒11が、断面積率で15%以上であると、単位体積の金属組織10に含まれる結晶粒11の個数を増大させることができ、き裂と結晶粒11との衝突が顕著になって、き裂の偏向及びき裂の分岐を促進させることができる。更に、1μm以下の結晶粒11が、断面積率で20%以上であると、単位体積の金属組織10に含まれる結晶粒11の個数を更に増大させることができ、き裂と結晶粒11との衝突が更に顕著になって、き裂の偏向及びき裂の分岐がより促進され、少なくとも1000万回の動的駆動試験に耐えることが可能になる。
そして、時効処理中に、アルミニウムの結晶粒11内及び粒界12に存在しているスカンジウムはアルミニウムと反応して、金属間化合物であるAl3 Scのナノ析出物13として粒界12に析出する。なお、時効処理温度及び時効処理時間の範囲内で、温度及び時間を選択することで、ナノ析出物13の平均粒径を1〜60nmの範囲で調整できる。
粒界12にナノ析出物13が生成していると、粒界12に沿って進展するき裂の先端がナノ析出物13に衝突し、き裂の先端がナノ析出物13によりピン止めされてき裂の進展停止が起こり、き裂の進展速度低下が更に促進される。ここで、スカンジウムの含有量が0.1質量%未満では、生成するナノ析出物13の量が少なくなって、き裂のピン止め効果が低下する。一方、スカンジウムの含有量が1.0質量%を超えると、粒界12に存在するナノ析出物13が多くなって、き裂のピン止め効果は向上するが、導電性が低下し、導電材料としての機能が低下する。このため、スカンジウムの含有量を0.1〜1.0質量%の範囲とした。
生成するナノ析出物13の総量はスカンジウムの含有量で決まるので、ナノ析出物13の個数が増加するとナノ析出物13の粒径は減少し、ナノ析出物13の個数が減少するとナノ析出物13の粒径は増加することになる。一方、金属組織10中に発生したき裂が進展する際に、き裂がナノ析出物13によりピン止めされる効果は、ナノ析出物13の個数が多くなるほど、ナノ析出物13の粒径が大きくなるほど増加する。
ここで、ナノ析出物13の平均粒径が1nm未満では、ナノ析出物13の個数が多くなってき裂のピン止め発生の頻度は高まるが、ナノ析出物13によるき裂のピン止め作用は大きくなく、き裂のピン止め効果は顕著とならない。一方、ナノ析出物13の平均粒径が60nmを超えると、ナノ析出物13によるき裂のピン止め作用は大きくなるが、ナノ析出物13の個数が少なくなってき裂のピン止め発生の頻度は低下し、き裂のピン止め効果は顕著とならない。このため、ナノ析出物13の総量が一定の場合、ナノ析出物13の平均粒径を1〜60nmにすることで、ナノ析出物13によるき裂のピン止め効果により、き裂の進展停止やき裂の進展速度低下を図ることができる。そして、ナノ析出物13の平均粒径を5〜50nmにすることで、ナノ析出物13によるき裂のピン止め発生の頻度を高位に維持しながらナノ析出物13によるき裂のピン止めの作用も高位に維持することができ、ナノ析出物13によるき裂のピン止め効果を向上させることができる。
本発明の第1の実施例に係るアルミニウム基導電材料では、1μm以下の結晶粒11が断面積率で15%以上含まれるように組織制御を行うと、金属組織10中にき裂が発生しても、金属組織10中の粒界12をき裂が進展する際に生じるき裂の偏向及びき裂の分岐と、き裂がナノ析出物13に衝突した際のき裂のピン止め効果が相乗することになって、金属組織10中をき裂が一方向に進展するのに要する時間が長くなる。その結果、長期間の動的駆動試験(例えば繰り返し曲げ試験)に耐えることが可能になる。そして、1μm以下の結晶粒が断面積率で20%以上含まれるように組織制御を行うと、少なくとも1000万回の動的駆動試験に耐えることができる。
このため、本発明の第1の実施例に係るアルミニウム基導電材料からなり、導体素線径が0.05mm以上0.5mm以下の導体素線を使用した電線又はケーブルを、例えば、エレベータの昇降部やロボットのアーム部分等の駆動部の配線(機器内配線用の電線又はケーブルの一例)に使用することにより、電線又はケーブルに繰り返し曲げが負荷されても、導体素線に生じるひずみを小さくすることができ、導体素線(電線又はケーブル)の早期断線を更に防止することができる。その結果、アルミニウム合金系の特徴である軽量化及び高柔軟性に加えて、高耐久性(電線又はケーブルの早期における断線防止)を達成することができ、装置を長期間に亘って安定して稼動させることができ、装置の信頼性を向上させると共に、メンテナンスの負担を軽減することができる。
また、本発明の第1の実施例に係るアルミニウム基導電材料からなり、導体素線径が0.05mm以上0.5mm以下の導体素線を使用したケーブルを、電気自動車の急速充電スタンド機用のコネクターケーブルや電気溶接機のキャブタイヤケーブル等のように使用時に引張り、曲げ、及び捩れが加わる用途に使用することで、アルミニウム合金系の特徴である軽量化及び高柔軟性に加えて、高耐久性(ケーブルの早期における断線防止)を達成することができ、装置を長期間に亘って安定して稼動させることができ、装置の信頼性を向上させると共に、メンテナンスの負担を軽減することができる。
本発明の第2の実施例に係るアルミニウム基導電材料は、図2に示すように、0.1〜1.0質量%のスカンジウム及び0を超え0.2質量%以下のジルコニウムを含み、残部がアルミニウム及び不可避的不純物(不可避的不純物の含有量は、例えば0.1〜0.35質量%)からなり、平均粒径が2μm以下のアルミニウムの結晶粒15と結晶粒15の粒界16に生成したアルミニウム−スカンジウム系の金属間化合物であるAl3 Scのナノ析出物17とを有する金属組織14で構成されている。そして、結晶粒15は、1μm以下のサイズのものが断面積率で15%以上、好ましくは20%以上含まれており、ナノ析出物17の平均粒径は1〜60nm、好ましくは5〜50nmである。ここで、ナノ析出物の一部を、アルミニウムの結晶粒界に加えて、アルミニウムの結晶粒内にも存在させることができる。
なお、ジルコニウムの一部は結晶粒15内に固溶し、残部は粒界16に存在する。不可避的不純物の一部は結晶粒15内に固溶し、残部は粒界16に存在している。以下、詳細に説明する。
純度が99.9質量%以上のアルミニウムと、純度が99質量%以上のスカンジウムと、純度が99質量%以上のジルコニウムを用いて、スカンジウムが0.1〜1.0質量%、ジルコニウムが0を超え0.2質量%以下含有されるアルミニウム合金を鋳造して導電材料ブロックを作製する。次いで、250〜450℃で0.5〜30時間、例えば350℃で24時間の時効処理を行った導電材料ブロックから、例えば直径が10mmのワイヤロッドを切削加工により作製する。そして、ワイヤロッドをスエージング機により所定の直径に至るまで回転鍛造加工を実施してワイヤとし、300〜500℃で0.1〜5時間、例えば450℃で1時間の熱処理を行う。スエージング加工後に熱処理を行うことにより、等軸晶の形成を促進し、平均結晶粒の微細化並びに1μm以下の微細な結晶粒の形成確率を向上させることができる。
なお、アルミニウム基導電材料から、例えばケーブルを製造する場合は、熱処理後のワイヤに対して、ダイス伸線加工を行って伸線材(80〜120μm)を形成し、伸線材を導体素線として縒り線を形成しケーブルを作製する。
ここで、スエージング機を用いて加工したワイヤの最終仕上がり直径を、例えば1.5mmとした後に、等軸晶形成を促進するための熱処理を行い、その後、直径が80ミクロンに至るまで加工度が5.9となるダイス伸線加工を行うことにより金属組織14を構成する結晶粒15の平均粒径が2μm以下で、1μm以下の結晶粒15が存在する割合が断面積率で15%以上となる。また、スエージング機を用いて加工したワイヤの最終仕上がり直径を、例えば2.0mmとした後に、等軸晶形成を促進するための熱処理を行い、その後、直径が80ミクロンに至るまで加工度が6.4となるダイス伸線加工を行うことにより金属組織14を構成する結晶粒15の平均粒径が2μm以下で、1μm以下の結晶粒15が存在する割合が断面積率で20%以上となる。そして、ワイヤの最終仕上がり直径を、例えば3.0mmとし、その後、直径が80ミクロンに至るまで、加工度が7.2となるダイス伸線加工を行うことにより金属組織14を構成する結晶粒15の平均粒径が2μm以下で、1μm以下の結晶粒15が存在する割合が断面積率で50%以上となる。
結晶粒15の平均粒径を2μm以下にすることで、単位体積の金属組織14に含まれる結晶粒15の個数が多くなって、例えば繰り返し曲げ負荷によってき裂が発生すると、き裂が伝播する際にき裂は結晶粒15と頻繁に衝突する。このため、き裂が進展する際、き裂の偏向とき裂の分岐が促進され、き裂が一方向に進展する際の速度を低下させることができる。その結果、繰り返し曲げ負荷に対する耐屈曲性(破断に到るまでに加えた繰り返し曲げ回数、即ち破断回数)を向上させることができる。
ここで、1μm以下の結晶粒15が、断面積率で15%以上であると、単位体積の金属組織14に含まれる結晶粒15の個数を増大させることができ、き裂と結晶粒15との衝突が顕著になって、き裂の偏向及びき裂の分岐を促進させることができる。更に、1μm以下の結晶粒15が、断面積率で20%以上であると、単位体積の金属組織14に含まれる結晶粒15の個数を更に増大させることができ、き裂と結晶粒15との衝突が更に顕著になって、き裂の偏向及びき裂の分岐がより促進され、少なくとも1000万回の動的駆動試験に耐えることが可能になる。
そして、時効処理中に、アルミニウムの結晶粒15の粒界16に存在しているスカンジウムはアルミニウムと反応してナノ析出物17として粒界16に析出する。なお、時効処理温度及び時効処理時間の範囲内で、温度及び時間を選択することで、ナノ析出物17の平均粒径を1〜60nmの範囲で調整できる。
ここで、スカンジウムをアルミニウムの結晶粒の粒界及び粒内にそれぞれ存在させると、スカンジウムはアルミニウムとそれぞれ反応して、結晶粒の粒界及び粒内にそれぞれナノ析出物として析出する。
粒界16にナノ析出物17が生成すると、粒界16に沿って進展するき裂の先端がナノ析出物17に衝突し、き裂の先端がナノ析出物17によりピン止めされてき裂の進展停止が起こり、き裂の進展速度低下が更に促進される。ここで、スカンジウムの含有量が0.1質量%未満では、生成するナノ析出物17の量が少なくなって、き裂のピン止め効果が低下する。一方、スカンジウムの含有量が1.0質量%を超えると、粒界16に存在するナノ析出物17が多くなって、き裂のピン止め効果は向上するが、導電性が低下し、導電材料としての機能が低下する。このため、スカンジウムの含有量を0.1〜1.0質量%の範囲とした。
なお、ナノ析出物がアルミニウムの結晶粒の粒内にも生成する場合、即ち、金属組織がアルミニウムの結晶粒と、アルミニウムの結晶粒の粒界に存在するナノ析出物と、アルミニウムの結晶粒の粒内に存在するナノ析出物とを有する場合、金属組織内を進展するき裂は、結晶粒の粒界に沿って進展する際は粒界に存在するナノ析出物と衝突して、結晶粒の粒内を進展する際は粒内に存在するナノ析出物とそれぞれ衝突してピン止めされる。このため、金属組織内を進展するき裂の進展停止、又はき裂の進展速度低下が促進される。
生成するナノ析出物17の総量は、スカンジウムの含有量で決まるので、ナノ析出物17の個数が増加するとナノ析出物17の粒径は減少し、ナノ析出物17の個数が減少するとナノ析出物17の粒径は増加することになる。一方、金属組織14中に発生したき裂が進展する際に、き裂がナノ析出物17によりピン止めされる効果は、ナノ析出物17の個数が多くなるほど、ナノ析出物17の粒径が大きくなるほど増加する。
ここで、ナノ析出物17の平均粒径が1nm未満では、ナノ析出物17の個数が多くなってき裂のピン止め発生の頻度は高まるが、ナノ析出物17によるき裂のピン止め作用は大きくなく、き裂のピン止め効果は顕著とならない。一方、ナノ析出物17の平均粒径が60nmを超えると、ナノ析出物17によるき裂のピン止め作用は大きくなるが、ナノ析出物17の個数が少なくなってき裂のピン止め発生の頻度は低下し、き裂のピン止め効果は顕著とならない。このため、ナノ析出物17の総量が一定の場合、ナノ析出物17の平均粒径を1〜60nmにすることで、ナノ析出物17によるき裂のピン止め効果により、き裂の進展停止やき裂の進展速度低下を図ることができる。そして、ナノ析出物17の平均粒径を5〜50nmにすることで、き裂のピン止め発生の頻度を高位に維持しながらナノ析出物17によるき裂のピン止め作用も高位に維持することができ、ナノ析出物17によるき裂のピン止め効果を更に向上させることができる。
また、ジルコニウムが結晶粒15内及び粒界16に存在することで、高温の熱履歴後の引張り強度の低下を防止できる。例えば、スカンジウムを0.3質量%含有するアルミニウム基導電材料から形成した線材の常温における引張り強度σRTは300MPa、260℃で1時間加熱直後における引張り強度σ260は294MPaとなって、引張り強度は低下する。ここで、線材の耐熱性を、(σ260/σRT)×100で評価すると、スカンジウムを0.3質量%含有するアルミニウム基導電材料の耐熱性は98%となる。
一方、ジルコニウムを0.01質量%、スカンジウムを0.3質量%含有するアルミニウム基導電材料から形成した線材の常温における引張り強度σRTは300MPa、260℃で1時間加熱直後における引張り強度σ260は294MPa(耐熱性98%)で、ジルコニウムを含まない場合と大差ない。ところが、ジルコニウムを0.05質量%、スカンジウムを0.3質量%含有するアルミニウム基導電材料から形成した線材の常温における引張り強度σRTは305MPa、260℃で1時間加熱直後における引張り強度σ260は303MPa(耐熱性99%)、ジルコニウムを0.1質量%、スカンジウムを0.3質量%含有するアルミニウム基導電材料から形成した線材の常温における引張り強度σRTは310MPa、260℃で1時間加熱直後における引張り強度σ260は309MPa(耐熱性100%)となって、ジルコニウムが含有されることにより、260℃で1時間加熱直後における引張り強度を改善(引張り強度の低下を防止)できる。したがって、アルミニウム基導電材料の高温の熱履歴を受けた直後においても線材としての強度を確保することができる。
なお、アルミニウム基導電材料の高温下での引張り強度改善効果は、ジルコニウム含有量が0.05質量%以上で顕著となる。一方、ジルコニウムの含有量が0.2質量%を超えると、熱履歴後の引張り強度改善効果は増大するが、導電性が低下し、導電材料としての機能が低下する。このため、ジルコニウムの含有量は0.05質量%以上であることが好ましく、上限は0.2質量%とした。
本発明の第2の実施例に係るアルミニウム基導電材料では、1μm以下の結晶粒15が断面積率で15%以上含まれるように組織制御を行うと、金属組織14中にき裂が発生しても、金属組織14中の粒界16をき裂が進展する際に生じるき裂の偏向及びき裂の分岐と、き裂がナノ析出物16に衝突した際のき裂のピン止め効果が相乗することになって、金属組織14中をき裂が一方向に進展するのに要する時間が長くなる。その結果、長期間の動的駆動試験(例えば繰り返し曲げ試験)に耐えることが可能になる。そして、1μm以下の結晶粒が断面積率で20%以上含まれるように組織制御を行うと、少なくとも1000万回の動的駆動試験に耐えることができる。
このため、本発明の第2の実施例に係るアルミニウム基導電材料からなり、導体素線径が0.05mm以上0.5mm以下の導体素線に使用した電線又はケーブルを、例えば、エレベータの昇降部やロボットのアーム部分等の駆動部の配線(機器内配線用の電線又はケーブルの一例)、に使用することにより、電線又はケーブルに繰り返し曲げが負荷されても、導体素線に生じるひずみを小さくすることができ、導体素線(電線又はケーブル)の早期断線を更に防止することができる。その結果、アルミニウム合金系の特徴である軽量化及び高柔軟性に加えて、高耐久性(電線又はケーブルの早期における断線防止)を達成することができ、装置を長期間に亘って安定して稼動させることができ、装置の信頼性を向上させると共に、メンテナンスの負担を軽減することができる。
また、本発明の第2の実施例に係るアルミニウム基導電材料からなり、導体素線径が0.05mm以上0.5mm以下の導体素線を導体素線に使用したケーブルを、電気自動車の急速充電スタンド機用のコネクターケーブルや電気溶接機のキャブタイヤケーブル等のように使用時に引張り、曲げ、及び捩れが加わる用途に使用することで、アルミニウム合金系の特徴である軽量化及び高柔軟性に加えて、高耐久性(ケーブルの早期における断線防止)を達成することができ、装置を長期間に亘って安定して稼動させることができ、装置の信頼性を向上させると共に、メンテナンスの負担を軽減することができる。
また、ジルコニウムの一部が結晶粒15内に固溶し、残部が粒界16に存在するので、第2の実施例に係るアルミニウム基導電材料では、高温の熱履歴後の引張り強度の低下が防止でき、高温の熱履歴後を受けたアルミニウム基導電材料の耐屈曲性の低下を防止できる。このため、例えば、電気自動車の急速充電スタンド機用のコネクターケーブル、電気溶接機のキャブタイヤケーブルのように使用時に大きな電流が流れて一時的に温度が上昇するケーブル、太陽光発電モジュールの接続用ケーブル(機器内配線用のケーブルの一例)のように環境変化により温度が大きく変化するケーブル、工場や災害現場等の高温環境下に曝される可能性のあるロボットの駆動部分( アーム部分)の配線用ケーブル(機器内配線用のケーブルの一例)の導体素線を、第2の実施例に係るアルミニウム基導電材料を使用して作製すると、一時的高熱下に曝された際の引張り強度ひいては耐久性をも確保することができ、ケーブルを長期間に亘って安定して使用することができる。その結果、ケーブルや装置の信頼性を向上させると共に、メンテナンスの負担を軽減することができる。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実験例(比較例も含む)について、以下に説明する。
(比較例1)
純度が99.95質量%のアルミニウムのインゴットから直径が10mmのワイヤロッドを切削加工により取出し、取出したワイヤロッドをスエージング機により直径2mmのワイヤに成形した。次いで、ワイヤを450℃で1時間の熱処理を施した後、ダイス伸線加工を行って直径80μmの伸線材を作製した。伸線材の金属組織観察から、金属組織を構成している結晶粒の平均結晶粒径は2μmであり、1μm以下の結晶粒の割合は断面積率で20%であった。
得られた伸線材の導電率を測定し、伸線材から断面積が0.2mm2 のケーブルを作製して常温でケーブル屈曲試験を行った。なお、ケーブル屈曲試験では、ケーブルに荷重100gを負荷した状態で、曲げ半径が15mm、折り曲げ角度範囲が±90度の左右繰り返し曲げを加えた。導電率の値及びケーブル屈曲試験の結果(ケーブルの破断回数)を表1に示す。
Figure 0005589175
(実験例1〜6、比較例2〜4)
純度が99.95質量%のアルミニウムと、純度が99質量%のスカンジウムを用いて、スカンジウムが0.05〜5.0質量%含有されるアルミニウム合金をそれぞれ鋳造して導電材料ブロックを作製した。次いで、導電材料ブロックに350℃で1時間の時効処理を行った後に、直径が10mmのワイヤロッドを切削加工により取出し、取出したワイヤロッドをスエージング機により直径2mmのワイヤに成形した。次いで、ワイヤを450℃で1時間の熱処理を施した後、ダイス伸線加工を行って直径80μmの伸線材を作製した。伸線材の金属組織観察から、金属組織を構成している結晶粒の平均結晶粒径は2μmであり、1μm以下の結晶粒の割合は断面積率で20%であった。また、スカンジウムが0.05〜2.0質量%含有される場合、比較例3、実験例2〜6では、結晶粒の粒界に粒径が20nmのAl3 Scのナノ析出物が存在し、比較例2では検出されず(ND)、実験例1では2nmのAl3 Scのナノ析出物が存在する。スカンジウムが5.0質量%含有される場合(比較例4)は、結晶粒の粒界には粒径が100nmのAl3Scのナノ析出物が存在している。
得られた伸線材の導電率を測定し、伸線材から断面積が0.2mm2のケーブルを作製して比較例1と同様のケーブル屈曲試験を行った。導電率の値及びケーブル屈曲試験の結果を表1に示す。
比較例2、実験例1〜4の各伸線材はスカンジウムの含有量が0.4質量%以下で、導電率は61%IACSであり、アルミニウム(比較例1)の導電率と同一の値を示した。そして、スカンジウムの含有量が0.4質量%を超えると、導電率は徐々に低下し、実験例5、6、比較例3、4(スカンジウムの含有量が0.6、1.0、2.0、5.0質量%)では、それぞれ60、59、57、53%IACSであった。ケーブル屈曲試験では、スカンジウムの含有量が0.05〜2.0質量%の範囲では、金属組織を構成している結晶粒の平均結晶粒径が2μm、1μm以下の結晶粒の割合が断面積率で20%、ナノ析出物の粒径が20nm以下となっているため、比較例2、実験例1〜3では、スカンジウムの含有量の増加に伴って破断回数が増大するが、スカンジウムの含有量が0.4質量%以上の実験例4〜6、比較例3では破断回数はほぼ一定となった。一方、比較例3、4では、ケーブルの破断回数はそれぞれ1200万回、900万回と高い値を示すが、アルミニウム−スカンジウム系の金属間化合物であるAl3Scのナノ析出物が粒界に多く析出するため導電率が低下し、比較例3、4の各伸線材からなる導体素線を用いて電線又はケーブルを形成するのは問題がある。
また、スカンジウムの含有量が0.3質量%の実験例3の伸線材については、260℃で1時間加熱直後における引張り強度σ260及び常温での引張強度σRTを求め、線材の耐熱性(σ260/σRT)×100を求めた。その結果、耐熱性は98%であった。
なお、スカンジウムの含有量が5.0質量%の比較例4では破断回数が低下した。これは、結晶粒の粒界に100nmのナノ析出物が存在することにより、伸線材の強度が低下したためと考えられる。
(実験例7)
純度が99.95質量%のアルミニウムと、純度が99質量%のスカンジウムを用いて、スカンジウムが0.3質量%含有されるアルミニウム合金を鋳造して導電材料ブロックを作製した。次いで、導電材料ブロックに対して350℃で1時間の時効処理を行った後に、直径が10mmのワイヤロッドを切削加工により取出し、次いでスエージング機により直径1mmのワイヤに成形した。そのワイヤを450℃で1時間の熱処理を施した後、ダイス伸線加工を行って直径80μmの伸線材を作製した。伸線材の金属組織観察から、金属組織を構成している結晶粒の平均結晶粒径は2μmであり、1μm以下の結晶粒の割合は断面積率で20%であった。また、結晶粒の粒界には粒径が20nmのAl3Scのナノ析出物が存在した。得られた伸線材の導電率を測定し、伸線材から断面積が0.2mm2のケーブルを作製して比較例1と同様のケーブル屈曲試験を行った。導電率の値及びケーブル屈曲試験の結果を表1に示す。伸線材の導電率は61%IACS、ケーブル屈曲試験の破断回数は950万回であった。
(実験例8)
純度が99.95質量%のアルミニウムと、純度が99質量%のスカンジウムを用いて、スカンジウムが0.3質量%含有されるアルミニウム合金を鋳造して導電材料ブロックを作製した。そして、350℃で1時間の時効処理を行った後に、導電材料ブロックから直径が10mmのワイヤロッドを切削加工により取出し、取出したワイヤロッドをスエージング機により直径1.5mmのワイヤに成形した。次いで、ワイヤを450℃で0.5時間の熱処理を施した後、ダイス伸線加工を行って直径80μmの伸線材を作製した。伸線材の金属組織観察から、金属組織を構成している結晶粒の平均結晶粒径は2μmであり、1μm以下の結晶粒の割合は断面積率で15%であった。また、結晶粒の粒界には粒径が20nmのAl3Scのナノ析出物が存在した。
得られた伸線材の導電率を測定し、伸線材から断面積が0.2mm2のケーブルを作製して比較例1と同様のケーブル屈曲試験を行った。導電率の値及びケーブル屈曲試験の結果を表1に示す。伸線材の導電率は61%IACS、ケーブル屈曲試験の破断回数は970万回であった。
(実験例9、10)
純度が99.95質量%のアルミニウムと、純度が99質量%のスカンジウムを用いて、スカンジウムが0.3質量%含有されるアルミニウム合金を鋳造して導電材料ブロックを作製した。次いで、350℃で8分間、120時間の時効処理をそれぞれ行った後に、導電材料ブロックから、直径が10mmのワイヤロッドを切削加工により取出し、取出したワイヤロッドをスエージング機により直径1.5mmのワイヤに成形した。次いで、ワイヤを450℃で1時間の熱処理をそれぞれ施した後、ダイス伸線加工を行って直径80μmの伸線材を作製した。伸線材の金属組織観察から、金属組織を構成している結晶粒の平均結晶粒径は2μmであり、1μm以下の結晶粒の割合は断面積率で20%であった。また、350℃で8分間の時効処理を行った実験例9では、結晶粒の粒界には粒径が3nmのAl3Scのナノ析出物が、350℃で120時間の時効処理を行った実験例10では、結晶粒の粒界には粒径が60nmのAl3Scのナノ析出物が存在した。
得られた伸線材の導電率を測定し、伸線材から断面積が0.2mm2のケーブルを作製して比較例1と同様のケーブル屈曲試験を行った。導電率の値及びケーブル屈曲試験の結果を表1に示す。実験例9の伸線材の導電率は61%IACS、ケーブル屈曲試験の破断回数は1050万回、実験例10の伸線材の導電率は61%IACS、ケーブル屈曲試験の破断回数は900万回であった。実験例3と比較して、実験例9の破断回数が1050万回と低下したのは、ナノ析出物の粒径が小さいため、ナノ析出物によるき裂のピン止め作用が低下したためと考えられる。
(実験例11〜14)
純度が99.95質量%のアルミニウムと、純度が99質量%のスカンジウムを用いて、スカンジウムが0.3質量%含有されるアルミニウム合金をそれぞれ鋳造して導電材料ブロックを作製した。次いで、導電材料ブロックに325℃で1時間、300℃で1時間、300℃で30分間、300℃で8分間の時効処理をそれぞれ行った後に、直径が10mmのワイヤロッドを切削加工により取出し、取出したワイヤロッドをスエージング機により直径2mmのワイヤに成形した。次いで、ワイヤをそれぞれ325℃で1時間、325℃で1時間、250℃で1時間、250℃で1時間の熱処理を施した後、ダイス伸線加工を行って直径80μmの伸線材を作製した。伸線材の金属組織観察から、金属組織を構成している結晶粒の平均結晶粒径は2μmであり、1μm以下の結晶粒の割合は断面積率で20%であった。また、325℃で1時間の時効処理を行った場合、結晶粒の粒界に粒径が8nmのAl3Scのナノ析出物が存在し(実験例11)、300℃で1時間の時効処理を行った場合、粒界に平均粒径が5nmのナノ析出物が存在し(実験例12)、300℃で30分間の時効処理を行った場合、粒界に平均粒径が2nmのナノ析出物が存在し(実験例13)、300℃で8分間の時効処理を行った場合、粒界に平均粒径が1nmのナノ析出物が存在している(実験例14)。
得られた伸線材の導電率を測定し、伸線材から断面積が0.2mm2のケーブルを作製して比較例1と同様のケーブル屈曲試験を行った。導電率の値及びケーブル屈曲試験の結果を表1に示す。
実験例11〜14の各伸線材の導電率は61%IACSであった。また、比較例1と同様のケーブル屈曲試験を行うと、ナノ析出物の平均粒径が8nm(実験例11)、5nm(実験例12)の場合、破断回数は1300万回を超えたが、ナノ析出物の平均粒径が2nm(実験例13)に減少すると破断回数は1050万回に低下し、ナノ析出物の平均粒径が1nm(実験例14)に減少すると破断回数は850万回となった。これは、ナノ析出物の平均粒径が1nmでは、ナノ析出物の粒成長が不十分なため、ナノ析出物によるき裂のピン止め効果が低下したためと考えられる。従って、ナノ析出物の平均粒径は5〜50nmがより好ましいことが判る。
(実験例15)
純度が99.95質量%のアルミニウムと、純度が99質量%のスカンジウムを用いて、スカンジウムが0.3質量%含有されるアルミニウム合金を鋳造して導電材料ブロックを作製した。そして、350℃で1時間の時効処理を行った後に、導電材料ブロックから直径が10mmのワイヤロッドを切削加工により取出し、取出したワイヤロッドをスエージング機により直径3mmのワイヤに成形した。次いで、ワイヤを450℃で1時間の熱処理を施した後、ダイス伸線加工を行って直径80μmの伸線材を作製した。伸線材の金属組織観察から、金属組織を構成している結晶粒の平均結晶粒径は2μmであり、1μm以下の結晶粒の割合は断面積率で30%であった。また、結晶粒の粒界には粒径が20nmのAl3Scのナノ析出物が存在した。
得られた伸線材の導電率を測定し、伸線材から断面積が0.2mm2のケーブルを作製して比較例1と同様のケーブル屈曲試験を行った。導電率の値及びケーブル屈曲試験の結果を表1に示す。伸線材の導電率は61%IACS、ケーブル屈曲試験の破断回数は1300万回であった。
(実験例16〜19、比較例5〜7)
純度が99.95質量%のアルミニウム、純度が99質量%のスカンジウム、及び純度が99質量%のジルコニウムを用いて、スカンジウムが0.3質量%、ジルコニウムが0.01〜1.0質量%含有されるアルミニウム合金をそれぞれ鋳造して導電材料ブロックを作製した。次いで、350℃で24時間の時効処理を行った後に、導電材料ブロックから、直径が10mmのワイヤロッドを切削加工により取出し、取出したワイヤロッドをスエージング機により直径1.5mmのワイヤに成形した。次いで、ワイヤを450℃で1時間の熱処理を施した後、ダイス伸線加工を行って直径80μmの伸線材を作製した。伸線材の金属組織観察から、金属組織を構成している結晶粒の平均結晶粒径は2μmであり、1μm以下の結晶粒の割合は断面積率で20%であった。また、結晶粒の粒界には粒径が20nmのAl3Scのナノ析出物が存在している。
得られた伸線材の導電率を測定し、伸線材から断面積が0.2mm2のケーブルを作製して比較例1と同様のケーブル屈曲試験を行い、実験例3と同様の方法で線材の耐熱性を評価した。導電率の値、ケーブル屈曲試験結果、及び耐熱性の評価結果を表2に示す。
Figure 0005589175
実験例16〜19、比較例5〜7の各伸線材の導電率は、ジルコニウムの含有量の増加に伴って低下し、ジルコニウムの含有率が0.3質量%以上の比較例5〜7では、それぞれ55、52、44%IACSと大きく減少した。
室温におけるケーブル屈曲試験では、破断回数はジルコニウムの含有量が0.01質量%から1.0質量%まで増加するのに伴って、1300万回から700万回まで低下した。ここで、比較例5〜7では、ケーブルの破断回数はそれぞれ950万回、800万回、及び700万回と高い値を示すが、ジルコニウムが金属組織の粒界及び粒内に存在するため導電率が低下し、比較例5〜7の各伸線材からなる導体素線を用いて電線又はケーブルを形成するのは問題がある。
また、線材の耐熱性を評価すると、ほぼ100%となった。一方、ジルコニアを添加しない実験例3の線材の耐熱性は98%であるので、ジルコニアを添加することにより、耐熱性低下を防止できることが確認できた。
(実験例20)
純度が99.9質量%のアルミニウム、純度が99質量%のスカンジウム、及び純度が99質量%のジルコニウムを用いて、スカンジウム及びジルコニウムがそれぞれ0.3及び0.1質量%含有されるアルミニウム合金を鋳造して導電材料ブロックを作製した。次いで、350℃で24時間の時効処理を行った後に、導電材料ブロックから、直径が10mmのワイヤロッドを切削加工により取出し、取出したワイヤロッドをスエージング機により直径1.5mmのワイヤに成形した。次いで、ワイヤを450℃で1時間の熱処理を施した後、ダイス伸線加工を行って直径80μmの伸線材を作製した。伸線材の金属組織観察から、金属組織を構成している結晶粒の平均結晶粒径は2μmであり、1μm以下の結晶粒の割合は断面積率で20%であった。また、結晶粒の粒界には粒径が20nmのAl3Scのナノ析出物が存在した。
得られた伸線材の導電率を測定し、伸線材から断面積が0.2mm2のケーブルを作製して比較例1と同様のケーブル屈曲試験を行った。導電率の値及びケーブル屈曲試験の結果を表2に示す。伸線材の導電率は60%IACS、ケーブル屈曲試験の破断回数は940万回であった。
(実験例21)
純度が99.95質量%のアルミニウムと、純度が99質量%のスカンジウム、及び純度が99質量%のジルコニウムを用いて、スカンジウム及びジルコニウムがそれぞれ0.3及び0.1質量%含有されるアルミニウム合金を鋳造して導電材料ブロックを作製した。次いで、350℃で24時間の時効処理を行った後に、導電材料ブロックから、直径が10mmのワイヤロッドを切削加工により取出し、取出したワイヤロッドをスエージング機により直径1.5mmのワイヤに成形した。次いで、ワイヤを450℃で0.5時間の熱処理を施した後、ダイス伸線加工を行って直径80μmの伸線材を作製した。伸線材の金属組織観察から、金属組織を構成している結晶粒の平均結晶粒径は2μmであり、1μm以下の結晶粒の割合は断面積率で15%であった。また、結晶粒の粒界には粒径が20nmのAl3Scのナノ析出物が存在した。
得られた伸線材の導電率を測定し、伸線材から断面積が0.2mm2のケーブルを作製して比較例1と同様のケーブル屈曲試験を行った。導電率の値及びケーブル屈曲試験の結果を表2に示す。伸線材の導電率は60%IACS、ケーブル屈曲試験の破断回数は950万回であった。
(実験例22、23)
純度が99.95質量%のアルミニウムと、純度が99質量%のスカンジウム、及び純度が99質量%のジルコニウムを用いて、スカンジウムが0.3質量%、ジルコニウムが0.1質量%含有されるアルミニウム合金を鋳造して導電材料ブロックを作製した。次いで、350℃で8分間、120時間の時効処理をそれぞれ行った後に、導電材料ブロックから、直径が10mmのワイヤロッドを切削加工により取出し、取出したワイヤロッドをスエージング機により直径1.5mmのワイヤに成形した。次いで、ワイヤを450℃で1時間の熱処理をそれぞれ施した後、ダイス伸線加工を行って直径80μmの伸線材を作製した。伸線材の金属組織観察から、金属組織を構成している結晶粒の平均結晶粒径は2μmであり、1μm以下の結晶粒の割合は断面積率で20%であった。また、350℃で8分間の熱処理を行った実験例22では、結晶粒の粒界には粒径が3nmのAl3Scのナノ析出物が、350℃で120時間の熱処理を行った実験例23では、結晶粒の粒界には粒径が60nmのAl3Scのナノ析出物が存在した。
(実験例24)
純度が99.95質量%のアルミニウム、純度が99質量%のスカンジウム、及び純度が99質量%のジルコニウムを用いて、スカンジウムが0.3質量%、ジルコニウムが0.1質量%含有されるアルミニウム合金を鋳造して導電材料ブロックを作製した。次いで、325℃で5時間の時効処理を行った後に、導電材料ブロックから、直径が10mmのワイヤロッドを切削加工により取出し、取出したワイヤロッドをスエージング機により直径2.0mmのワイヤに成形した。次いで、ワイヤを325℃で1時間の熱処理をそれぞれ施した後、ダイス伸線加工を行って直径80μmの伸線材を作製した。伸線材の金属組織観察から、金属組織を構成している結晶粒の平均結晶粒径は2μmであり、1μm以下の結晶粒の割合は断面積率で20%であった。また、結晶粒の粒界には粒径が8nmのAl3Scのナノ析出物が存在している。
得られた伸線材の導電率を測定し、伸線材から断面積が0.2mm2のケーブルを作製して比較例1と同様のケーブル屈曲試験を行い、実験例3と同様の方法で線材の耐熱性を評価した。導電率の値、ケーブル屈曲試験結果、及び耐熱性の評価結果を表2に示す。
伸線材の導電率は60%IACS、ケーブル屈曲試験の破断回数は1100万回、線材の耐熱性はほぼ100%となった。
本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でその構成を変更することもできる。
例えば、アルミニウム合金を鋳造して導電材料ブロックを作製し、次いでこの導電材料ブロックの時効処理を行ったが、作製した導電材料ブロックの溶体化処理(例えば550〜600℃)を施した後に時効処理を行ってもよい。
また、導体素線を構成する導体素線径(伸線材の線径)を、80〜120μmとしたが、電線又はケーブルの使用箇所、使用状態に応じて、伸線材の線径は0.05mm以上0.5mm以下の範囲で任意に選択できる。
本発明のアルミニウム基導電材料並びにそれを用いた電線及びケーブルは、少なくとも300万回(より好ましくは、500万回、更に好ましくは1000万回)の動的駆動試験(例えば繰り返し曲げ)にも耐えるので、例えば、産業用ロボット、民生用ロボット、又は各種装置の配線において、特に駆動部分等の繰り返し曲げが負荷される配線に使用することができ、電線やケーブルの使用時の断線を防止することができ、ロボットや各種装置の信頼性を向上させることができる。その結果、ロボットや各種装置のメンテナンス負担を軽減することができ、運用コストの低減を図ることができる。
10:金属組織、11:結晶粒、12:粒界、13:ナノ析出物、14:金属組織、15:結晶粒、16:粒界、17:ナノ析出物

Claims (13)

  1. 0.1〜1.0質量%のスカンジウムを含み、残部がアルミニウムと不可避的不純物からなるアルミニウム合金から得られるアルミニウム基導電材料において、
    時効処理された前記アルミニウム合金から形成されるワイヤを、ダイス伸線加工を行って、前記アルミニウムの結晶粒内及び粒界に存在している前記スカンジウムを金属間化合物として粒界に析出させ、平均粒径が2μm以下でかつ1μm以下のサイズのものが断面積率で15%以上含まれる結晶粒と、前記結晶粒の粒界に生成されピン止め効果を発揮する平均粒径が1〜60nmであるアルミニウム−スカンジウム系のナノ析出物とを有する金属組織で構成され、300万回の動的駆動試験に耐えることを特徴とするアルミニウム基導電材料。
  2. 0.1〜1.0質量%(0.1〜0.3質量%を除く)のスカンジウムを含み、残部がアルミニウムと不可避的不純物からなるアルミニウム合金から得られるアルミニウム基導電材料において、
    時効処理された前記アルミニウム合金から形成されるワイヤを、ダイス伸線加工を行って、前記アルミニウムの結晶粒内及び粒界に存在している前記スカンジウムを金属間化合物として粒界に析出させ、平均粒径が2μm以下でかつ1μm以下のサイズのものが断面積率で15%以上含まれる結晶粒と、前記結晶粒の粒界に生成されピン止め効果を発揮する平均粒径が1〜60nmであるアルミニウム−スカンジウム系のナノ析出物とを有する金属組織で構成され、300万回の動的駆動試験に耐えることを特徴とするアルミニウム基導電材料。
  3. 請求項1記載のアルミニウム基導電材料において、前記金属組織には、1μm以下の前記結晶粒が断面積率で20%以上含まれ、1000万回の動的駆動試験に耐えることを特徴とするアルミニウム基導電材料。
  4. 請求項2記載のアルミニウム基導電材料において、前記金属組織には、1μm以下の前記結晶粒が断面積率で20%以上含まれ、1000万回の動的駆動試験に耐えることを特徴とするアルミニウム基導電材料。
  5. 0.1〜1.0質量%のスカンジウム及び0を超え0.2質量%以下のジルコニウムを含み、残部がアルミニウムと不可避的不純物からなるアルミニウム合金から得られるアルミニウム基導電材料において、
    時効処理された前記アルミニウム合金から形成されるワイヤを、加工度5以上のダイス伸線加工を行って、前記アルミニウムの結晶粒内及び粒界に存在している前記スカンジウムを金属間化合物として粒界に析出させ、平均粒径が2μm以下でかつ1μm以下のサイズのものが断面積率で15%以上含まれる結晶粒と、前記結晶粒の粒界に生成されピン止め効果を発揮する平均粒径が1〜60nmであるアルミニウム−スカンジウム系のナノ析出物とを有する金属組織で構成され、300万回の動的駆動試験に耐えることを特徴とするアルミニウム基導電材料。
  6. 請求項5記載のアルミニウム基導電材料において、前記金属組織には、1μm以下の前記結晶粒が断面積率で20%以上含まれ、1000万回の動的駆動試験に耐えることを特徴とするアルミニウム基導電材料。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム基導電材料において、前記ワイヤは熱処理された後、ダイス伸線加工が行われていることを特徴とするアルミニウム基導電材料。
  8. 請求項1又は3記載のアルミニウム基導電材料を、線径が0.05mm以上0.5mm以下の導体素線に使用することを特徴とする電線。
  9. 請求項2又は4記載のアルミニウム基導電材料を、線径が0.05mm以上0.5mm以下の導体素線に使用することを特徴とする電線。
  10. 請求項5又は6記載のアルミニウム基導電材料を、線径が0.05mm以上0.5mm以下の導体素線に使用することを特徴とする電線。
  11. 請求項1又は3記載のアルミニウム基導電材料を導体素線に使用することを特徴とするケーブル。
  12. 請求項2又は4記載のアルミニウム基導電材料を導体素線に使用することを特徴とするケーブル。
  13. 請求項5又は6記載のアルミニウム基導電材料を導体素線に使用することを特徴とするケーブル。
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