JP6329118B2 - アルミニウム合金電線及びワイヤーハーネス - Google Patents

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Description

本発明は、アルミニウム合金電線及びワイヤーハーネスに関する。詳細には本発明は、機械特性及び導電性を向上させたアルミニウム合金電線、及び当該アルミニウム合金電線を用いたワイヤーハーネスに関する。
昨今、自動車の軽量化の流れに伴い、アルミニウム合金電線の細径化の要求が高まっている。つまり、近年、自動車内部においてアルミニウム合金電線の配線箇所がますます多くなり、配線による占有割合の増大が進んでいることから、アルミニウム合金電線の細径化及び軽量化が求められている。また、アルミニウム合金電線に対して、車載環境における信頼性の向上も要求されている。
通常、細電線に使用されるアルミニウム線は、日本工業規格JIS C3108に規定の電気用硬アルミニウム線などを主としている。しかし、アルミニウム線は銅線と比較すると屈曲性が著しく低く、自動車のドアヒンジ回りなど繰り返して屈曲する部位に適用することが困難であった。
そのため、従来、アルミニウムに金属元素を添加することで、屈曲性を高める試みが成されてきた。例えば、特許文献1では、所定量のFe、Cu及びMgを含有し、残部がアルミニウム及び不可避不純物から成る線径0.07〜1.50mmの自動車配線用アルミニウム導電線が開示されている。また、特許文献2では、所定量のFe、Zr及びCuを含有し、残部がアルミニウム及び不可避不純物からなり、所定の製法により得られた線径0.07〜1.50mmの自動車ワイヤーハーネス用アルミニウム導電線が開示されている。
特許第4927366号明細書 特許第4330005号明細書
しかしながら、特許文献1及び2の電線は引張強さが不十分であるため、断面積が0.75sq(mm)より小さい電線サイズ、例えば0.5sqや0.35sq、あるいはそれ以下の電線に適用することが困難であった。また、特許文献1及び2の電線は高温下での使用が想定されておらず、高温下での機械特性の向上が求められている。
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、機械特性を向上させ、細径化することが可能なアルミニウム合金電線及びそれを用いたワイヤーハーネスを提供することにある。
本発明の第1の態様に係るアルミニウム合金電線は、アルミニウム合金素線を有する。アルミニウム合金素線は、アルミニウムとマンガンを含み、さらに平均結晶粒径が3.1μm以下の結晶粒を有する。そして、アルミニウム合金素線における結晶粒の粒界及び当該粒界の近傍に、アルミニウムとマンガンとを含有する金属間化合物が分散している。
本発明の第2の態様に係るアルミニウム合金電線は、アルミニウム合金素線を有する。さらにアルミニウム合金素線は、Mg:2.2〜4.2質量%、Mn:x質量%、及びCr:y質量%を含み、残部がアルミニウム及び不可避不純物であるアルミニウム合金からなる。x及びyは、式(1)及び(2)の関係を満たす。
y≧−0.55x+0.18 (1)
y≦−0.55x+0.55 (2)
そして、アルミニウム合金素線は、平均結晶粒径が3.1μm以下の結晶粒を有し、さらに常温において、引張強さが230MPa以上であり、破断伸びが10%以上であり、かつ、導電率が30%IACS以上である。
本発明の第3の態様に係るアルミニウム合金電線は、第1又は第2の態様のアルミニウム合金電線に関し、アルミニウム合金素線の周縁を覆う絶縁体層をさらに有する。
本発明の第4の態様に係るワイヤーハーネスは、第1乃至第3のいずれか一つの態様に係るアルミニウム合金電線を備える。
本発明のアルミニウム合金電線によれば、アルミニウム合金を熱処理した際の結晶粒の成長が抑制されるため、電線の機械特性が向上し、細径化することが可能となる。
アルミニウム合金素線における結晶組織の一例を示す概略図である。 アルミニウム合金素線におけるアルミニウム中の添加元素の効果を説明するための概略図である。 本発明の実施形態に係るアルミニウム合金電線の一例を示す概略断面図である。 本発明の実施形態に係るアルミニウム合金電線の他の例を示す概略断面図である。 本発明の実施形態に係るケーブルの一例を示す概略断面図である。 実施例の試験片におけるマンガン含有量とクロム含有量との関係を示すグラフである。 実施例の試験片No.20〜24に関し、マグネシウムの含有量と常温時の引張強さとの関係を示すグラフである。 実施例の試験片No.20〜24に関し、マグネシウムの含有量と導電率との関係を示すグラフである。 実施例の試験片No.14の断面を透過型電子顕微鏡で観察した結果を示す写真である。 図9の符号Aの領域を拡大して示す透過型電子顕微鏡写真である。 図10の符号Bの領域を拡大して示す透過型電子顕微鏡写真である。 図10の符号Cの領域を拡大して示す透過型電子顕微鏡写真である。 図11に示すポイントP1をエネルギー分散型X線分光法で分析した結果を示すスペクトルである。 図12に示すポイントP2をエネルギー分散型X線分光法で分析した結果を示すスペクトルである。 実施例の試験片No.14の断面を透過型電子顕微鏡で観察した結果を示しており、(a)は観察結果を示す写真であり、(b)は当該試験片の断面の観察部位を説明するための概略断面図である。 図15に示す符号Dの領域に対し、エネルギー分散型X線分光法により元素分布(元素マッピング)を測定した結果を示す写真である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係るアルミニウム合金電線及びワイヤーハーネスについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
[アルミニウム合金電線]
一般に金属材料を加工すると加工硬化により強度は上がるが、延性は著しく低下する。そして、延性が低下した金属材料は、加工が困難となる。そのため、伸線加工により作製された金属細線を実用材料として使うには、焼鈍が必須となる。ただ、焼鈍により金属材料の加工性は回復するが、加工硬化による強度上昇効果は低減してしまう。したがって、基本的には、金属材料の機械的強度と延性とを両立させることは困難である。
一般にアルミニウムは、100〜200℃で、点欠陥の消滅や転位の再配列などが伴う回復及び再結晶を開始する。一般に回復と再結晶の進行に伴い、加工硬化した材料の強度は低下(軟化)するため、アルミニウムは100〜200℃の環境下において強度を要する用途には不向きである。
そのため、アルミニウムの強度及び耐熱性を向上させるためには、微細組織を形成する結晶粒が微細であること、さらには焼鈍時の再結晶で、隣接する結晶粒の融合・拡大を抑制することが求められる。なお、アルミニウムの強度を向上させるための基本的な対策として、合金化による固溶強化や析出強化が考えられる。しかしながら、アルミニウムを高温下で使用する場合、必ずしもこれらの強化機構が有効に働かないことがある。また、耐熱性を確保するためには、基本的な強化機構に加え、母相の結晶粒を熱的に安定させる何らかの処方が必要となる。
そこで、本実施形態に係るアルミニウム合金電線10は、Al−Mg系合金をベース材料とし、さらに次の処方の少なくとも一方を適用することにより、機械特性を向上させたものである。
1.図1に示すように、アルミニウム合金の母相1からなる結晶の粒界及び粒内に、熱的に安定な金属間化合物等の第二相を微細に析出させる。
2.図1及び図2に示すように、アルミニウム合金の母相1に、合金を構成するベース元素の内部において再結晶化温度付近での拡散係数の小さな添加元素を加える。
上記処方1のように、結晶粒界及び粒内に、熱的に安定な金属間化合物を配置することにより、図1に示すように、熱処理の際に金属間化合物2が障壁となり、隣接する結晶粒の成長を抑制する。そのため、アルミニウム合金の母相1は、微細な結晶粒を維持することが可能となる。
このようなアルミニウムと金属間化合物を作り、結晶粒界及び粒内に微細な析出物を形成する代表的な添加元素としては、マンガン(Mn)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)等が挙げられる。ただ、表1に示すように、マンガン以外の元素は、アルミニウムと金属間化合物を形成して微細に析出させるために、溶体化処理(熱処理による強制固溶処理)が必要となる。そのため、マンガン以外の元素の場合には、製造工程が増加してしまう。さらに表1に示すように、マンガン以外の元素とアルミニウムとの金属間化合物は、アルミニウムとの電位差が0.05V以上となってしまう。アルミニウムと当該金属間化合物との電位差が大きくなるにつれて、ガルバニック腐食が発生しやすくなるため、アルミニウム合金の耐食性が低下してしまう。そのため、本実施形態では、処方1の効果を得るために、溶体化処理なしでアルミニウムと容易に金属間化合物を形成し、さらに耐食性の低下を抑制できるマンガンを使用している。
さらに、処方2のように、アルミニウム合金の母相1に、再結晶化温度付近、つまり250〜300℃で拡散係数の小さい添加元素を添加することにより、結晶粒を熱的に安定化することが可能となる。つまり、図2に示すように、母相1を構成する複数のアルミニウム原子4の内部に、拡散係数の小さな添加元素3が固溶することにより、再結晶化温度付近でのアルミニウム原子4の結晶再配列を添加元素3が阻害する。そのため、再配列による結晶粒の粗大化を抑制することが可能となる。
このような、アルミニウム原子4の結晶再配列を抑制する添加元素3としては、アルミニウム原子4中において、再結晶化温度付近での拡散係数が小さい元素を用いることが好ましい。このような元素としては、例えばクロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、スズ(Sn)、コバルト(Co)、及びベリリウム(Be)等が挙げられる。この中で、250℃での拡散係数が最も小さい元素は、表2に示すようにクロムである。そのため、本実施形態では、処方2の効果を得るためにクロムを使用している。
上述の検討結果より、本実施形態に係るアルミニウム合金電線10は、図3に示すようにアルミニウム合金素線11を有する。さらに、処方1及び処方2の少なくとも一方を適用するために、アルミニウム合金素線11は、Mg:2.2〜4.2質量%、Mn:x質量%、及びCr:y質量%を含み、残部がアルミニウム及び不可避不純物であるアルミニウム合金からなる。そして、x及びyは、式(1)及び(2)の関係を満たす。
y≧−0.55x+0.18 (1)
y≦−0.55x+0.55 (2)
なお、式(1)及び式(2)において、x≧0かつy≧0の関係を満たす。
アルミニウム合金素線11を構成するアルミニウム合金は、母材となるアルミニウム地金に少なくともマグネシウム(Mg)を含有させている。マグネシウムは固溶強化によりアルミニウムの強度を高める作用があるため、母相1としてAl−Mg合金を使用することにより、アルミニウム合金電線10の機械的強度、耐力、高サイクル疲労性を高めることが可能となる。
アルミニウム合金素線11を構成するアルミニウム合金において、マグネシウムの添加量は、2.2〜4.2質量%とすることが好ましい。マグネシウムの添加量が2.2質量%未満の場合には固溶強化効果が生じ難くなり、アルミニウム合金の強度が低下する可能性がある。また、マグネシウムの添加量が4.2質量%を超える場合には、アルミニウム合金の標準電極電位が低下することに起因した孔食が発生しやすくなる。つまり、マグネシウムの添加量が4.2質量%を超える場合には、アルミニウム合金の耐食性が低下する恐れがある。なお、固溶強化効果を発揮しつつも導電性の低下を抑制する観点から、アルミニウム合金におけるマグネシウムの添加量は、2.4〜3.2質量%とすることがより好ましい。
マグネシウムを添加するアルミニウム地金は特に限定されないが、例えば純度99.7質量%以上の純アルミニウムを用いることが好ましい。すなわち、JIS H2102(アルミニウム地金)に規定される純アルミニウム地金のうち、1種アルミニウム地金以上の純度のものを好ましく用いることができる。具体的には、純度99.7質量%の1種アルミニウム地金、純度99.85質量%以上の特2種アルミニウム地金、及び純度99.90質量%以上の特1種アルミニウム地金が挙げられる。
なお、Al−Mg二元系合金は、焼鈍の際に結晶粒が急激に増大し、強度が低下してしまう。そのため、焼鈍時の再結晶による結晶粒の拡大及び融合を抑制するために、処方1及び処方2の少なくとも一方を適用すべく、上記アルミニウム合金はマンガン及びクロムの少なくとも一方を含有する。
上述のように、アルミニウム合金素線11において、x質量%で表されるマンガンの添加量は、式(1)及び式(2)で表される範囲内にあることが好ましい。マンガンの添加量が上記範囲内にある場合、圧延・線引き加工で付加される圧縮応力に起因した反応促進作用により、アルミニウム合金中で微細なAl−Mn系金属間化合物を形成し、結晶粒内及び粒界に分散させることができる。なお、このようなAl−Mn系金属間化合物としては、Al12Mn、AlMn、及びこれらに準じる比率を有する化合物が挙げられる。
具体的には、後述するように、アルミニウム合金素線11を得るために、圧延及び線引き加工が行われる。この際、アルミニウム合金線の軸中心に向けて径方向に圧力を付加した後に加熱する処理が行われる。これにより、化学量論組成から大きくずれた希薄強制固溶状態のAl−Mn系合金においても、上述の金属間化合物に変化する反応が起こりやすくなる。そして、生成した金属間化合物が結晶の粒界及び粒内に微細に分散する。そのため、アルミニウム合金を熱処理した際の結晶粒の成長を、金属間化合物によるピン止め効果により抑制することが可能となる。
マンガンの添加量が式(1)及び式(2)の範囲内を超えて過剰に添加される場合には金属間化合物が粗大化するため、粒界に対して金属間化合物粒子の数が少なくなり、ピン止め効果が十分に得られなくなる可能性がある。また、金属間化合物が粗大化するため、アルミニウム合金素線11の延性も低下する恐れがある。そのため、アルミニウム合金素線11におけるマンガンの含有量は、ピン止め効果を発揮させるために必要な金属間化合物を十分に生成する観点から、0.18質量%以上とすることが好ましい。また、マンガンの含有量は、金属間化合物の粗大化を防ぎ、さらにアルミニウム合金素線11の延性の低下を防ぐ観点から、0.8質量%以下とすることが好ましい。
アルミニウム合金素線11において、y質量%で表されるクロムの添加量も、式(1)及び式(2)で表される範囲内にあることが好ましい。クロムの添加量が上記範囲内にある場合、クロム原子がアルミニウム合金の母相に固溶することで、アルミニウム合金を熱処理した際の結晶粒の粗大化を抑制することが可能となる。なお、クロムの添加量が式(1)及び式(2)の範囲内を超えて過剰に添加される場合には、クロムとアルミニウムとが金属間化合物が生成してしまい、アルミニウム合金素線11の延性が低下する恐れがある。そのため、アルミニウム合金素線11におけるクロムの含有量は、アルミニウム合金の結晶粒の拡大を効果的に抑制する観点から、0.05質量%以上とすることが好ましい。また、クロムの含有量は、アルミニウム合金素線11の延性の低下を防ぐ観点から、0.25質量%以下とすることが好ましい。
なお、アルミニウム合金素線11において、マンガンの添加量は0.55質量%以下であることも好ましい。また、クロムの添加量は0.4質量%以下であることも好ましい。マンガン及びクロムの添加量がこの範囲内であることにより、導電率を30%IACS以上にしやすくなるため、導電性をより向上させることが可能となる。
アルミニウム合金素線11における結晶粒の平均結晶粒径は3.1μm以下であることが好ましい。つまり、図1に示す金属組織において、金属間化合物2で覆われている結晶粒の平均結晶粒径は3.1μm以下であることが好ましい。当該平均結晶粒径がこの範囲内であることにより、素線の耐高サイクル疲労性及び耐振動性をより向上させることが可能となる。アルミニウム合金素線11における結晶粒の平均結晶粒径は2μm以下であることがより好ましく、1.5μm以下であることが特に好ましい。なお、結晶粒の平均結晶粒径は、JIS H0501(伸銅品結晶粒度試験方法、ISO2624)に定められる切断法により求めることができる。
本実施形態に係るアルミニウム合金素線11は、図1に示すように、アルミニウム合金の母相1の内部にクロムからなる添加元素3が分散していることが好ましい。さらに、母相1にクロムが分散した結晶粒の周囲全体が金属間化合物2からなる第二相で覆われていることが好ましい。これにより、上述の処方1及び処方2の両方の効果により、高温時でも結晶粒の成長を抑制し、微細な結晶粒を維持することが可能となる。ただ、本実施形態は結晶粒の周囲全体を金属間化合物2で覆う必要はなく、少なくとも結晶粒の粒界に金属間化合物2が存在していればよい。これにより、処方1の効果で粒成長を抑制することができる。
なお、上述のように、本実施形態に係るアルミニウム合金素線11は、処方1のみを適用することによっても、金属間化合物2の効果により、隣接する結晶粒の成長を抑制することができる。そのため、アルミニウム合金素線11は、アルミニウムとマンガンとを含み、アルミニウム合金素線11における結晶粒の粒界及び当該粒界の近傍に、アルミニウム及びマンガンを含有する金属間化合物2が分散している構成であってもよい。このような構成により、隣接する結晶粒の間に金属間化合物2が配置され、その結果、金属間化合物2が障壁となり、熱処理した場合でも結晶粒の成長を抑制する。そのため、アルミニウム合金の母相1は、微細な結晶粒を維持することが可能となる。
本実施形態で用いられるアルミニウム合金に含まれる可能性がある不可避不純物としては、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、バナジウム(V)、ガリウム(Ga)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)などが挙げられる。これらは本発明の効果を阻害せず、アルミニウム合金の特性に格別な影響を与えない範囲で不可避的に含まれるものであり、使用する純アルミニウム地金に予め含有されている元素も、ここでいう不可避不純物に含まれる。
本実施形態のアルミニウム合金電線10では、導体として、1本のアルミニウム合金素線11で構成された単線を用いてもよく、複数のアルミニウム合金素線11を撚り合わせて構成された撚り線を用いてもよい。撚り線も、1本又は数本の素線を中心とし、その周囲に素線を同心状に撚り合わせた同心撚り線;複数の素線を一括して同方向に撚り合わせた集合撚り線;複数の集合撚り線を、同心状に撚り合わせた複合撚り線のいずれも使用することができる。
本実施形態に係るアルミニウム合金電線10は、図3に示すように、アルミニウム合金素線11を備える裸線であってもよい。また、図4に示すように、本実施形態におけるアルミニウム合金電線10は、アルミニウム合金素線11と、アルミニウム合金素線11の周縁を覆う、被覆材としての絶縁体層12とを備えてもよい。
アルミニウム合金電線10の外周を被覆する絶縁体層12は、アルミニウム合金電線10に対する電気絶縁性を確保できるならば、材料及び厚さは特に限定されない。絶縁体層12を構成する樹脂材料としては、例えば、塩化ビニル、耐熱塩化ビニル、架橋塩化ビニル、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、発泡ポリエチレン、架橋発泡ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、天然ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、シリコーンゴムを用いることができる。これらの材料は一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態のアルミニウム合金電線10におけるアルミニウム合金素線11は、常温(5〜35℃)において、引張強さが230MPa以上であり、破断伸びが10%以上であり、かつ、導電率が30%IACS以上であることが好ましい。アルミニウム合金素線11の引張強さ及び破断伸びがこのような値であることにより、機械的強度が向上し、車体への取り付け時や取り付け後に断線し難くなる。そのため、自動車のドアヒンジ回りなど繰り返して屈曲する部位や、エンジンルームなど振動する部位へ適用することが可能となる。また、導電率が30%IACS以上であることにより、自動車用電線として適用することが可能となる。なお、常温での引張強さ及び破断伸びは、JIS Z2241(金属材料引張試験方法)に準じて測定することができる。また、導電率は、JIS H0505(非鉄金属材料の体積抵抗率及び導電率測定方法)に準じて測定することができる。
本実施形態のアルミニウム合金電線10におけるアルミニウム合金素線11は、120℃における引張強さが180MPa以上であることが好ましい。アルミニウム合金素線11の高温時の引張強さがこのような値であることにより、自動車の高温振動部位に好適に使用することができる。なお、高温時の引張強さは、JIS G0567(鉄鋼材料及び耐熱合金の高温引張試験方法)に準じて測定することができる。
本実施形態のアルミニウム合金電線10におけるアルミニウム合金素線11の最終線径は、特に限定されない。ただ、本実施形態に係るアルミニウム合金素線11は、引張強さや伸び率などの機械特性が高く、細径化することが可能であることから、最終線径は例えば0.1mm〜1.0mmとすることができる。
このように、本実施形態のアルミニウム合金電線10は、アルミニウム合金素線11を有する。また、アルミニウム合金素線11はアルミニウムとマンガンとを含み、さらに平均結晶粒径が3.1μm以下の結晶粒を有する。そして、アルミニウム合金素線11における結晶粒の粒界及び当該粒界の近傍に、アルミニウム及びマンガンを含有する金属間化合物2が分散している。
また、本実施形態のアルミニウム合金電線10は、アルミニウム合金素線11を有する。そして、アルミニウム合金素線11は、Mg:2.2〜4.2質量%、Mn:x質量%、及びCr:y質量%を含み、残部がアルミニウム及び不可避不純物であるアルミニウム合金からなる。x及びyは、式(1)及び(2)の関係を満たす。
y≧−0.55x+0.18 (1)
y≦−0.55x+0.55 (2)
そして、アルミニウム合金素線11は、平均結晶粒径が3.1μm以下の結晶粒を有する。さらにアルミニウム合金素線11は、常温において、引張強さが230MPa以上であり、破断伸びが10%以上であり、かつ、導電率が30%IACS以上である。
このようなアルミニウム合金電線は、高い機械特性を有しているため、断面積が0.75sq(mm)より小さい電線サイズに適用することができる。つまり、本実施形態のアルミニウム合金電線は、例えば0.5sq、0.35sq、あるいはそれ以下の電線に適用することができる。さらに当該アルミニウム合金電線は、耐高サイクル疲労性、高温強度及び耐高温クリープ性を有するため、自動車の高温振動部位に好適に使用することができる。
[アルミニウム合金素線の製造方法]
次に、本実施形態に係るアルミニウム合金電線に用いられるアルミニウム合金素線の製造方法について説明する。まず、アルミニウム合金を鋳造し、さらに連続鋳造圧延法等により所定の径の荒引線を作製する。荒引線の直径は特に限定されず、例えばφ3mmやφ8mmなどの任意の径とすることができる。なお、アルミニウム合金は、上述のアルミニウム地金に所定量のマグネシウム、マンガン及びクロムを添加し、通常の製法に従って鋳造することができる。
そして、加工硬化による内部のひずみを取り除き、組織を軟化させて細線する際の加工性を向上させるために、荒引線に中間焼鈍処理を施す。焼鈍処理は、バッチ焼鈍炉を用いて行うことができる。焼鈍温度は200〜400℃とすることが好ましく、250〜350℃とすることがより好ましい。焼鈍時間は1時間以上とすることが好ましいが、上記温度範囲における焼鈍であれば、長時間熱処理したとしても特性に悪い影響を及ぼさない。なお、焼鈍後の冷却条件は特に限定されない。
中間焼鈍処理では、連続焼鈍も利用することができる。例えば荒引線を所定速度で搬送して加熱炉中を通過させ、所定区間において加熱することにより、焼鈍することができる。加熱手段としては、例えば高周波加熱炉等が挙げられる。
ここで、上述の圧延加工によって、荒引線には圧縮応力が付加される。そして、この状態で中間焼鈍を行うことにより、アルミニウム合金線中では、Al−Mnを含む固溶状態から金属間化合物(Al12Mn、AlMn及びそれに準じる組成を有する化合物)に変化する反応が生じる。その結果、生成した金属間化合物が結晶の粒界及び粒内に微細に分散する。そのため、後述する最終熱処理を施したとしても、金属間化合物によるピン止め効果により、結晶粒の成長を抑制することが可能となる。
次に、中間焼鈍後の荒引線に対して線引き加工を行う。具体的には、当該荒引線に対して、ダイスを用いて伸線することで素線を作製する。素線の直径は、例えばφ0.1mm〜1.0mmの範囲で適宜調整することができる。なお、細線加工は、アルミニウム合金の強度、得られる加工硬化度、ダイスの形状、用いる伸線油の潤滑性によってその条件が決定される。
そして、細線加工を施した素線に対し、結晶組織制御及び加工硬化による内部のひずみ除去のため、最終熱処理を施す。最終熱処理の条件は、素線径、及び素線の金属組成により調整する必要があるが、例えば250〜350℃で1時間以上とすることが好ましい。また、連続焼鈍も利用でき、例えば当該素線を所定速度で搬送して加熱炉中を通過させ、所定区間において加熱することにより、最終熱処理を施すことができる。加熱手段としては、例えば高周波加熱炉等が挙げられる。このような最終熱処理を施すことにより、本実施形態のアルミニウム合金素線を得ることができる。
[ケーブル]
次に、本実施形態に係るケーブルについて説明する。本実施形態に係るケーブル20は、図5に示すように、束ねられた複数のアルミニウム合金電線10(10a,10b,10c)と、束ねられた複数のアルミニウム合金電線10の周縁を覆う、被覆材としてのシース21とを備える。なお、シース21の材料は特に限定されず、上述の絶縁体層12と同様のものを使用することができる。なお、このようなアルミニウム合金電線10及びケーブル20は、高い強度、耐久性及び導電性が要求される自動車用のワイヤーハーネスに用いることが好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[試験片の作製]
JIS H2102のAl99.7を用い、ここに所定量のマグネシウム、マンガン及びクロムを添加することにより、表3に示す成分組成のアルミニウム合金を得た。これを常法により溶解し鋳造することで、直径が25mmで長さが200mmの鋳造塊を得た。
得られた鋳造塊を圧延後、350℃で1時間加熱することにより、中間焼鈍処理を施した。次に、この中間焼鈍処理を施した鋳造塊を、連続伸線機を用いて最終線径φ0.32mmまで伸線し、線材を得た。さらに、この線材に対し、表3に示す温度で1時間の最終熱処理を施すことで、No.1〜No.19のアルミニウム合金細線(試験片)を得た。なお、図6のグラフでは、No.1〜No.19の各試験片におけるマンガン含有量とクロム含有量との関係を示している。
同様に、JIS H2102のAl99.7を用い、ここに所定量のマグネシウム、マンガン及びクロムを添加することにより、表4に示す成分組成のアルミニウム合金を得た。これを常法により溶解し鋳造することで、直径が25mmで長さが200mmの鋳造塊を得た。
得られた鋳造塊を圧延後、275℃で1時間加熱することにより、中間焼鈍処理を施した。次に、この中間焼鈍処理を施した鋳造塊を、連続伸線機を用いて最終線径φ0.32mmまで伸線し、線材を得た。さらに、この線材に対し、表4に示す温度で1時間の最終熱処理を施すことで、No.20〜No.24のアルミニウム合金細線(試験片)を得た。
[機械特性及び導電率の評価]
得られたアルミニウム合金細線について、常温時の引張強さ、高温時(120℃)の引張強さ、常温時の0.2%耐力、高温時(120℃)の0.2%耐力、常温時の破断伸び、及び高温時(120℃)の破断伸びを測定した。なお、常温時の引張強さ、0.2%耐力及び破断伸びはJIS Z2241に準拠して測定し、高温時の引張強さ、0.2%耐力及び破断伸びはJIS G0567に準拠して測定した。さらに、得られたアルミニウム合金細線について、JIS H0505に準拠して導電率を測定した。また、得られたアルミニウム合金細線における結晶粒の平均結晶粒径を、JIS H0501に定められる切断法に準拠して測定した。これらの測定結果を表3及び表4に合わせて示す。なお、参考までに、軟銅における常温時の引張強さ、高温時の引張強さ、常温時の0.2%耐力、高温時の0.2%耐力、常温時の破断伸び、及び高温時の破断伸びの測定結果を表3に合わせて示す。
そして、アルミニウム合金細線の引張強さが230MPa以上であり、破断伸びが10%以上であり、かつ、導電率が30%IACS以上である場合を「○」と評価した。また、アルミニウム合金細線の引張強さが230MPa未満、破断伸びが10%未満、又は、導電率が30%IACS未満の場合を「×」と評価した。
表3より、実施例に係る試験片No.3〜4及びNo.7〜18は、常温時の引張強さ、破断伸び及び導電率のいずれも良好な値を示した。これに対し、マンガン及びクロムの添加量が過少な試験片No.1〜2及びNo.5〜6は、引張強さが不十分な結果となった。また、マンガン及びクロムが過大の試験片19は、導電率が悪化する結果となった。なお、マンガン及びクロムを含有しない試験片No.1は結晶粒の平均結晶粒径が10μmを超えているが、実施例に係る試験片No.3,7,9,12及び15は結晶粒の平均結晶粒径が3.1μm以下となる結果となった。
この結果より、マンガン及びクロムの含有量が式(1)及び式(2)の関係を満たすことにより結晶粒が微細化され、引張強さ及び破断伸び等の機械特性だけでなく、導電性も高いアルミニウム合金電線が得られることが分かる。さらに実施例に係る試験片は120℃おける引張強さが200MPa以上となっていることから、耐熱性にも優れることが分かる。
また、表4より、実施例に係る試験片No.20〜24は、常温時の引張強さ、破断伸び及び導電率のいずれも良好な値を示した。
ここで、図7では、試験片No.20〜24に関し、マグネシウムの含有量と常温時の引張強さとの関係を示している。図7に示すように、最小二乗法で得られた近似直線より、マグネシウムの含有量が2.2質量%以上であれば、引張強さが230MPa以上となることが分かる。
図8では、試験片No.20〜24に関し、マグネシウム含有量と導電率との関係を示している。図8に示すように、最小二乗法で得られた近似直線より、マグネシウムの含有量が4.2質量%以下であれば、導電率が30%IACS以上となることが分かる。
図7及び図8より、マンガン及びクロムの含有量が式(1)及び式(2)の関係を満たし、さらにマグネシウムの含有量を2.2〜4.2質量%とすることにより、引張強さ及び破断伸び等の機械特性だけでなく、導電性も高いアルミニウム合金電線が得られる。なお、図7及び図8より、マグネシウムの含有量を2.4〜3.2質量%とすることにより、アルミニウム合金素線の常温時の引張強さを250MPa以上とし、導電率を32%IACS以上とすることが可能となる。
[顕微鏡観察]
No.14の試験片の断面を、透過型電子顕微鏡(TEM−EDX)により観察した。図9は、当該試験片の断面の透過型電子顕微鏡写真であり、図10は、図9中の符号Aの領域を拡大して示す透過型電子顕微鏡写真である。図11は図10中の符号Bの領域を拡大して示す透過型電子顕微鏡写真であり、図12は図10中の符号Cの領域を拡大して示す透過型電子顕微鏡写真である。
図9に示すように、No.14の試験片は、複数の結晶粒30が集合してなることが分かる。そして、図10に示すように、結晶粒30の粒界31及び当該粒界31の近傍に、析出物32が分散していることが分かる。
さらに、図11に示すポイントP1及び図12に示すポイントP2の部分を、エネルギー分散型X線分光法(EDX)により分析した。図13はポイントP1の分析結果を示すスペクトルであり、図14はポイントP2の分析結果を示すスペクトルである。図13及び図14に示すように、ポイントP1及びP2の析出物32は、アルミニウムが主成分であり、さらにマンガン、マグネシウム及びクロムを含有していることが分かる。
図15(a)は、No.14の試験片の断面を、透過型電子顕微鏡(TEM−EDX)により観察した結果である。具体的には、図15(b)に示すように、図15(a)は、試験片の外周より深さ35μm付近の領域を観察した結果である。図15(a)より、結晶粒30の粒界31に沿って、ナノサイズの析出物32が存在していることが分かる。
図16は、図15に示す符号Dの領域に対し、EDXを用いて元素分布(元素マッピング)を測定した結果を示す。(a)は、走査透過型電子顕微鏡(STEM)像であり、(b)はマグネシウムの元素マッピングを示し、(c)はアルミニウムの元素マッピングを示し、(d)はクロムの元素マッピングを示し、(e)はマンガンの元素マッピングを示す。図15の(a)、(d)及び(e)より、析出物のSTEMコントラストと、マンガン及びクロムの元素コントラストとが明確に対応していることが分かる。
また、図15の(b)より、マグネシウムは、結晶粒(母相)及び析出物においてコントラストに差がなく、結晶粒(母相)及び析出物中の含有量に差異がないことが分かる。図15の(c)より、アルミニウムは、結晶粒に比べて析出物中の含有量が少ないことが分かる。図15の(d)より、クロムは、結晶粒(母相)に固溶し、さらに析出物にも含有していることが分かる。図15の(e)より、マンガンは、析出物に多く含まれ、析出物中の添加物の主成分であることが分かる。これらのことから、析出物はAl−Mn−Cr系化合物であり、当該化合物が結晶粒の粒成長を抑制するピン止め効果を発揮していることが分かる。また、アルミニウム合金の母相にクロムが固溶することにより、アルミニウム原子の結晶再配列を阻害し、結晶粒の粗大化を抑制していることが分かる。
以上、本発明を実施例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
10(10a、10b、10c) アルミニウム合金電線
11 アルミニウム合金素線
12 絶縁体層

Claims (4)

  1. アルミニウム合金素線を有するアルミニウム合金電線であって、
    前記アルミニウム合金素線は、
    Mg:2.2〜4.2質量%、
    Mn:x質量%、及び
    Cr:y質量%
    を含み、残部がアルミニウム及び不可避不純物であるアルミニウム合金からなり、
    前記x及びyは、式(1)及び(2)の関係を満たし、
    y≧−0.55x+0.18 (1)
    y≦−0.55x+0.55 (2)
    前記アルミニウム合金素線は、アルミニウムとマンガンを含み平均結晶粒径が3.1μm以下の結晶粒を有し、さらに、前記アルミニウム合金素線における結晶粒の粒界及び当該粒界の近傍に、アルミニウムとマンガンとを含有する金属間化合物が分散しており、
    常温において、引張強さが230MPa以上であり、破断伸びが10%以上であり、かつ、導電率が30%IACS以上であることを特徴とするアルミニウム合金電線。
  2. アルミニウム合金素線を有するアルミニウム合金電線であって、
    前記アルミニウム合金素線は、
    Mg:2.2〜4.2質量%、
    Mn:x質量%、及び
    Cr:y質量%
    を含み、残部がアルミニウム及び不可避不純物であるアルミニウム合金からなり、
    前記x及びyは、式(1)及び(2)の関係を満たし、
    y≧−0.55x+0.18 (1)
    y≦−0.55x+0.55 (2)
    前記アルミニウム合金素線におけるクロムの含有量は、0.25質量%以上であり、
    前記アルミニウム合金素線は、平均結晶粒径が3.1μm以下の結晶粒を有し、さらに、前記結晶粒では、前記アルミニウム合金の母相の内部にクロムが分散しており、
    常温において、引張強さが230MPa以上であり、破断伸びが10%以上であり、かつ、導電率が30%IACS以上であることを特徴とするアルミニウム合金電線。
  3. 前記アルミニウム合金素線の周縁を覆う絶縁体層をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミニウム合金電線。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアルミニウム合金電線を備えるワイヤーハーネス。
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