JP6840347B2 - アルミニウム合金線の製造方法 - Google Patents

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本発明は、アルミニウム合金線、アルミニウム合金撚線、被覆電線、及び端子付き電線に関する。
電線用導体に適した線材として、特許文献1は、Al−Mg−Si系合金から構成される極細線であって、高強度で導電率も高く、伸びにも優れるアルミニウム合金線を開示する。
特開2012−229485号公報
電線に備える導体などに利用される線材として、耐衝撃性に優れる上に、疲労特性にも優れるアルミニウム合金線が望まれている。
自動車や飛行機などの機器に載置されるワイヤーハーネス、産業用ロボットなどといった各種の電気機器の配線、建築物などの配線といった各種の用途の電線には、機器の使用時や布設時などに衝撃や繰り返しの曲げなどが与えられることがある。具体的には以下の(1)から(3)などが挙げられる。
(1)自動車用ワイヤーハーネスに備える電線では、電線を接続対象に取り付ける際などで端子部近傍に衝撃が与えられること(特許文献1)、その他、自動車の走行状態によって突発的な衝撃が与えられること、自動車の走行時の振動によって繰り返しの曲げが与えられることなどが考えられる。
(2)産業用ロボットに配線される電線では、繰り返しの曲げや捻回などが与えられることなどが考えられる。
(3)建築物に配線される電線では、布設時に作業者が突発的に強く引っ張ったり、誤って落下させたりして衝撃が与えられること、コイル状に巻き取られた線材から巻き癖を除去するために波打つように振ることで繰り返しの曲げが与えられることなどが考えられる。
従って、電線に備える導体などに利用されるアルミニウム合金線には、衝撃だけでなく、繰り返しの曲げが与えられた場合でも、断線し難いことが望まれる。
そこで、耐衝撃性及び疲労特性に優れるアルミニウム合金線を提供することを目的の一つとする。また、耐衝撃性及び疲労特性に優れるアルミニウム合金撚線、被覆電線、端子付き電線を提供することを別の目的の一つとする。
本開示の一態様に係るアルミニウム合金線は、
アルミニウム合金から構成されるアルミニウム合金線であって、
前記アルミニウム合金は、Mgを0.03質量%以上1.5質量%以下、Siを0.02質量%以上2.0質量%以下含有し、質量比でMg/Siが0.5以上3.5以下であり、残部がAl及び不純物からなり、
前記アルミニウム合金線の横断面において、その表面から深さ方向に30μmまでの表層領域から、短辺長さが30μmであり、長辺長さが50μmである長方形の表層気泡測定領域をとり、前記表層気泡測定領域に存在する気泡の合計断面積が2μm以下である。
本開示の一態様に係るアルミニウム合金撚線は、
上記の本開示の一態様に係るアルミニウム合金線を複数撚り合わせてなる。
本開示の一態様に係る被覆電線は、
導体と、前記導体の外周を覆う絶縁被覆とを備える被覆電線であって、
前記導体は、上記の本開示の一態様に係るアルミニウム合金撚線を備える。
本開示の一態様に係る端子付き電線は、
上記の本開示の一態様に係る被覆電線と、前記被覆電線の端部に装着された端子部とを備える。
上記のアルミニウム合金線、上記のアルミニウム合金撚線、上記の被覆電線、上記の端子付き電線は、耐衝撃性及び疲労特性に優れる。
実施形態のアルミニウム合金線を導体に含む被覆電線を示す概略斜視図である。 実施形態の端子付き電線について、端子部近傍を示す概略側面図である。 気泡の測定方法を説明する説明図である。 アルミニウム合金線の製造工程を説明する説明図である。
本発明者らは、種々の条件でアルミニウム合金線を製造して、耐衝撃性、疲労特性(繰り返しの曲げに対する断線し難さ)に優れるアルミニウム合金線を検討した。Mg及びSiを特定の範囲で含むという特定の組成のアルミニウム合金から構成され、特に時効処理が施された線材は、高強度(例えば、引張強さや0.2%耐力が高い)であり、導電率が高く導電性にも優れる。この線材において、特に表層に気泡が少ないと、耐衝撃性に優れる上に、繰り返しの曲げによっても断線し難いとの知見を得た。表層に気泡が少ないアルミニウム合金線は、例えば鋳造に供するアルミニウム合金の溶湯温度を特定の範囲に制御することで製造できる、との知見を得た。本発明は、これらの知見に基づくものである。最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
[本発明の実施形態の説明]
(1)本発明の一態様に係るアルミニウム合金線は、
アルミニウム合金から構成されるアルミニウム合金線であって、
前記アルミニウム合金は、Mgを0.03質量%以上1.5質量%以下、Siを0.02質量%以上2.0質量%以下含有し、質量比でMg/Siが0.5以上3.5以下であり、残部がAl及び不純物からなり、
前記アルミニウム合金線の横断面において、その表面から深さ方向に30μmまでの表層領域から、短辺長さが30μmであり、長辺長さが50μmである長方形の表層気泡測定領域をとり、前記表層気泡測定領域に存在する気泡の合計断面積が2μm以下である。
アルミニウム合金線の横断面とは、アルミニウム合金線の軸方向(長手方向)に直交する面で切断した断面をいう。
上記のアルミニウム合金線(以下、Al合金線と呼ぶことがある)は、特定の組成のアルミニウム合金(以下、Al合金と呼ぶことがある)から構成されており、製造過程で時効処理などが施されることで、高強度であり、繰り返しの曲げが与えられた場合でも断線し難く、疲労特性に優れる。破断伸びが高く、高靭性である場合には耐衝撃性にも優れる。特に、上記のAl合金線は、表層に存在する気泡が少ない。そのため、衝撃や繰り返しの曲げを受けた場合などでも、気泡が割れの起点になり難く、気泡に起因する割れが生じ難い。表面割れが生じ難いことで、線材の表面から内部に割れが進展したり、破断に至ったりすることも低減できる。従って、上記のAl合金線は、耐衝撃性及び疲労特性に優れる。また、上記のAl合金線は、気泡に起因する割れが生じ難いことから、組成や熱処理条件などにもよるが、引張試験を行った場合に引張強さ、0.2%耐力、及び破断伸びから選択される少なくとも一つがより高い傾向にあり、機械的特性にも優れる。
(2)上記のAl合金線の一例として、
前記アルミニウム合金線の横断面において、短辺長さが30μmであり、長辺長さが50μmである長方形の内部気泡測定領域をこの長方形の中心が前記アルミニウム合金線の中心に重なるようにとり、前記表層気泡測定領域に存在する気泡の合計断面積に対する前記内部気泡測定領域に存在する気泡の合計断面積の比が1.1以上44以下である形態が挙げられる。
上記形態は、上述の合計断面積の比が1.1以上であるため、Al合金線の表層に比較して内部に存在する気泡が多いものの、上述の合計断面積の比が特定の範囲を満たすため、内部も気泡が少ないといえる。従って、上記形態は、衝撃や繰り返しの曲げを受けた場合などでも、気泡を介して線材の表面から内部に割れが進展し難く、より破断し難いため、耐衝撃性及び疲労特性により優れる。
(3)上記のAl合金線の一例として、
水素の含有量が8.0ml/100g以下である形態が挙げられる。
本発明者らは、気泡を含有するAl合金線について含有ガス成分を調べたところ、水素を含むとの知見を得た。従って、Al合金線内の気泡の一要因は、水素であると考えられる。上記形態は、水素の含有量が少ないことからも気泡が少ないといえ、気泡に起因する断線が生じ難く、耐衝撃性及び疲労特性に優れる。
(4)上記のAl合金線の一例として、
前記アルミニウム合金は、更に、Fe、Cu、Mn、Ni、Zr、Cr、Zn、及びGaから選択される1種以上の元素をそれぞれ0質量%以上0.5質量%以下、合計で0質量%以上1.0質量%以下含有する形態が挙げられる。
上記形態は、Mg及びSiに加えて上述の元素を特定の範囲で含有することで、更なる強度の向上や、結晶の微細化による靭性の向上などが期待できる。
(5)上記のAl合金線の一例として、
引張強さが150MPa以上であること、0.2%耐力が90MPa以上であること、破断伸びが5%以上であること、導電率が40%IACS以上であることから選択される一つ以上を満たす形態が挙げられる。
上記形態において、引張強さが150MPa以上であれば高強度であり、疲労特性に優れる。0.2%耐力が90MPa以上であれば、特に端子部を圧着などして取り付けた場合に端子部との固着性により優れる。破断伸びが5%以上であれば可撓性、靭性に優れ、耐衝撃性に優れる。導電率が40%IACS以上であれば導電性に優れて、各種の電線の導体に好適に利用できる。
(6)上記のAl合金線の一例として、
前記アルミニウム合金の平均結晶粒径が50μm以下である形態が挙げられる。
上記形態は、気泡が少ないことに加えて、結晶粒が微細であり柔軟性に優れるため、耐衝撃性及び疲労特性により優れる。
(7)上記のAl合金線の一例として、
加工硬化指数が0.05以上である形態が挙げられる。
上記形態は、加工硬化指数が特定の範囲を満たすため、端子部を圧着などして取り付けた場合に加工硬化による端子部の固着力の向上が期待できる。従って、上記形態は、端子付き電線などの端子部が取り付けられる導体に好適に利用できる。
(8)上記のAl合金線の一例として、
前記アルミニウム合金線の表面酸化膜の厚さが1nm以上120nm以下である形態が挙げられる。
上記形態は、表面酸化膜の厚さが特定の範囲を満たすことで、端子部を取り付けた場合に端子部との間に介在する酸化物(表面酸化膜を構成するもの)が少なく、過度の酸化物の介在による接続抵抗の増大を防止できる上に、耐食性にも優れる。従って、上記形態は、端子付き電線などの端子部が取り付けられる導体に好適に利用できる。この場合、耐衝撃性及び疲労特性に優れる上に、低抵抗で耐食性にも優れる接続構造を構築できる。
(9)本発明の一態様に係るアルミニウム合金撚線は、
上記(1)から(8)のいずれか一つに記載のアルミニウム合金線を複数撚り合わせてなる。
上記のアルミニウム合金撚線(以下、Al合金撚線と呼ぶことがある)を構成する各素線は、上述のように特定の組成のAl合金で構成されると共に、表層に存在する気泡が少ないことで、耐衝撃性及び疲労特性に優れる。また、撚線は、一般に、同じ導体断面積を有する単線と比較して可撓性に優れ、衝撃や繰り返しの曲げを受けた場合などでも、各素線が破断し難く、耐衝撃性及び疲労特性に優れる。これらの点から、上記のAl合金撚線は、耐衝撃性及び疲労特性に優れる。各素線が上述のように機械的特性に優れることから、上記のAl合金撚線は、引張強さ、0.2%耐力、及び破断伸びから選択される少なくとも一つがより高い傾向にあり、機械的特性にも優れる。
(10)上記のAl合金撚線の一例として、
撚りピッチが前記アルミニウム合金撚線の層心径の10倍以上40倍以下である形態が挙げられる。
層心径とは、撚線が多層構造である場合、各層に含まれる全ての素線の中心を連ねる円の直径をいう。
上記形態は、撚りピッチが特定の範囲を満たすことで、曲げなどを行った際に素線同士が捻じれ難いため破断し難い上に、端子部を取り付ける場合にはばらけ難いため端子部を取り付け易い。従って、上記形態は、特に疲労特性に優れる上に、端子付き電線などの端子部が取り付けられる導体に好適に利用できる。
(11)本発明の一態様に係る被覆電線は、
導体と、前記導体の外周を覆う絶縁被覆とを備える被覆電線であって、
前記導体は、上記(9)又は上記(10)に記載のアルミニウム合金撚線を備える。
上記の被覆電線は、上述の耐衝撃性及び疲労特性に優れるAl合金撚線によって構成される導体を備えるため、耐衝撃性及び疲労特性に優れる。
(12)本発明の一態様に係る端子付き電線は、
上記(11)に記載の被覆電線と、前記被覆電線の端部に装着された端子部とを備える。
上記の端子付き電線は、上述の耐衝撃性及び疲労特性に優れるAl合金線やAl合金撚線によって構成される導体を備える被覆電線を構成要素とするため、耐衝撃性及び疲労特性に優れる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、適宜、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図中、同一符号は同一名称物を示す。以下の説明において元素の含有量は、質量%を示す。
[アルミニウム合金線]
(概要)
実施形態のアルミニウム合金線(Al合金線)22は、アルミニウム合金(Al合金)から構成される線材であり、代表的には、電線の導体2などに利用される(図1)。この場合、Al合金線22は、単線、又は複数のAl合金線22が撚り合わされてなる撚線(実施形態のAl合金撚線20)、又は撚線が所定の形状に圧縮成形されてなる圧縮撚線(実施形態のAl合金撚線20の別例)の状態で利用される。図1では7本のAl合金線22が撚り合わされたAl合金撚線20を例示する。実施形態のAl合金線22は、Al合金がMg及びSiを特定の範囲で含むという特定の組成を有すると共に、Al合金線22の表層に存在する気泡が少ないという特定の組織を有する。詳しくは、実施形態のAl合金線を構成するAl合金は、Mgを0.03%以上1.5%以下、Siを0.02%以上2.0%以下含有し、質量比でMg/Siが0.5以上3.5以下であり、残部がAl及び不純物からなるAl−Mg−Si系合金である。また、実施形態のAl合金線22は、その横断面において、その表面から深さ方向に30μmまでの表層領域からとった以下の領域(表層気泡測定領域と呼ぶ)に存在する気泡の合計断面積が2μm以下である。表気泡測定領域は、短辺長さが30μmであり、長辺長さが50μmである長方形の領域とする。上述の特定の組成を有すると共に特定の組織を有する実施形態のAl合金線22は、製造過程で時効処理などを受けることで高強度である上に、気泡に起因する破断も低減できるため、耐衝撃性、疲労特性にも優れる。
以下、より詳細に説明する。なお、気泡の大きさなどといった各パラメータの測定方法の詳細、上述の効果の詳細は試験例で説明する。
(組成)
実施形態のAl合金線22は、Al−Mg−Si系合金で構成されて、Mg及びSiが固溶して存在すると共に、晶出物及び析出物として存在することで強度に優れる。Mgは強度の向上効果が高い元素であり、Siと同時に特定の範囲で含有することで、具体的にはMgを0.03%以上かつSiを0.02%以上含有することで、時効硬化による強度の向上を効果的に図ることができる。Mg及びSiの含有量が高いほど、Al合金線の強度を高められ、Mgを1.5%以下かつSiを2.0%以下の範囲で含むことで、Mg及びSiの含有に起因する導電率や靭性の低下を招き難く、高い導電率や高い靭性などを有したり、伸線加工時に断線し難く、製造性にも優れたりする。強度、靭性、導電率のバランスを考慮して、Mgの含有量を0.1%以上2.0%以下、更に0.2%以上1.5%以下、0.3%以上0.9%以下、Siの含有量を0.1%以上2.0%以下、更に0.1%以上1.5%以下、0.3%以上0.8%以下とすることができる。
Mg及びSiの含有量を上述の特定の範囲とすると共に、MgとSiとの質量比を特定の範囲とすると、一方の元素が過剰にならず、Mg及びSiが晶出物や析出物の状態で適切に存在できることで、強度や導電性に優れて好ましい。具体的には、Siの質量に対するMgの質量の比(Mg/Si)が0.5以上3.5以下であることが好ましく、0.8以上3.5以下、更に0.8以上2.7以下であることがより好ましい。
実施形態のAl合金線22を構成するAl合金は、Mg,Siに加えて、Fe、Cu、Mn、Ni、Zr、Cr、Zn、及びGaから選択される1種以上の元素(以下、まとめて元素αと呼ぶことがある)を含有することができる。Fe,Cuは、導電率の低下が少なく、強度を向上できる。Mn,Ni,Zr,Crは、導電率の低下が大きいものの、強度の向上効果が高い。Znは、導電率の低下が少なく、強度の向上効果をある程度有する。Gaは強度の向上効果を有する。強度の向上により、疲労特性に優れる。また、Fe,Cu,Mn,Zr,Crは、結晶の微細化効果がある。微細な結晶組織を有すると、破断伸びといった靭性に優れたり、柔軟性に優れて曲げなどを行い易くなったりするため、耐衝撃性、疲労特性の向上が期待できる。列挙した各元素の含有量は0%以上0.5%以下、列挙した元素の合計含有量は0%以上1.0%以下が挙げられる。特に、各元素の含有量が0.01%以上0.5%以下、列挙した元素の合計含有量が0.01%以上1.0%以下であると、上述の強度の向上効果、耐衝撃性、疲労特性の向上効果などを得易い。各元素の含有量は、例えば以下が挙げられる。上記の合計含有量の範囲、及び以下の各元素の含有量の範囲において、多いほど強度を向上し易く、少ないほど導電率を高め易い傾向にある。
(Fe)0.01%以上0.25%以下、更に0.01%以上0.2%以下
(Cu,Mn,Ni,Zr,Cr,Znのそれぞれ)0.01%以上0.5%以下、更に0.01%以上0.3%以下
(Ga)0.005%以上0.1%以下、更に0.005%以上0.05%以下
なお、原料に用いる純アルミニウムの成分分析を行い、原料に不純物としてMg,Si,元素αなどの元素を含む場合、これらの元素の含有量が所望の量となるように各元素の添加量を調整するとよい。即ち、上述の各添加元素における含有量は、原料に用いるアルミニウム地金自体に含まれる元素を含む合計量であり、必ずしも、添加量を意味しない。
実施形態のAl合金線22を構成するAl合金は、Mg及びSiに加えて、Ti及びBの少なくとも一方の元素を含有することができる。TiやBは、鋳造時において、Al合金の結晶を微細にする効果がある。微細な結晶組織を有する鋳造材を素材にすることで、鋳造以降に圧延や伸線などの加工や時効処理を含む熱処理などを受けても、結晶粒が微細になり易い。微細な結晶組織を有するAl合金線22は、粗大な結晶組織を有する場合に比較して、衝撃や繰り返しの曲げを受けた場合などに破断し難く、耐衝撃性や疲労特性に優れる。B単独の含有、Ti単独の含有、Ti及びBの双方の含有、という順に微細化効果が高い傾向にある。Tiを含む場合、その含有量が0%以上0.05%以下、更に0.005%以上0.05%以下であると、Bを含む場合、その含有量が0%以上0.005%以下、更に0.001%以上0.005%以下であると、結晶微細化効果が得られると共に、TiやBの含有に起因する導電率の低下を低減できる。結晶微細化効果と導電率とのバランスを考慮して、Tiの含有量を0.01%以上0.04%以下、更に0.03%以下、Bの含有量を0.002%以上0.004%以下とすることができる。
Mg及びSiに加えて、上述の元素αなどを含有する組成の具体例を以下に示す。以下の具体例において、質量比でMg/Siは0.5以上3.5以下が好ましい。
(1)Mgを0.03%以上1.5%以下、Siを0.02%以上2.0%以下、Feを0.01%以上0.25%以下含有し、残部がAl及び不純物。
(2)Mgを0.03%以上1.5%以下、Siを0.02%以上2.0%以下、Feを0.01%以上0.25%以下、Cu,Mn,Ni,Zr,Cr,Zn,及びGaから選択される1種以上の元素を合計で0.01%以上0.3%以下含有し、残部がAl及び不純物。
(3)上記(1)又は(2)において、0.005%以上0.05%以下のTi及び0.001%以上0.005%以下のBの少なくとも一方の元素を含有する。
(組織)
・気泡
実施形態のAl合金線22は、その表層に存在する気泡が少ない。具体的にはAl合金線22の横断面において、図3に示すようにその表面から深さ方向に30μmまでの表層領域220、即ち厚さ30μmの環状の領域をとる。この表層領域220から、短辺長さSが30μmであり、長辺長さLが50μmである長方形の表層気泡測定領域222をとる。短辺長さSは表層領域220の厚さに相当する。詳しくは、Al合金線22の表面の任意の点(接点P)について接線Tをとる。接点PからAl合金線22の内部に向かって、表面の法線方向に長さが30μmである直線Cをとる。Al合金線22が丸線であれば、この円の中心に向かって直線Cをとる。直線Cと平行な直線であって長さが30μmの直線を短辺22Sとする。接点Pを通り、接線Tに沿った直線であって、接点Pが中間点となるように長さが50μmである直線をとり、この直線を長辺22Lとする。表層気泡測定領域222にAl合金線22が存在しない微小な空隙(ハッチング部分)gが生じることを許容する。この表層気泡測定領域222に存在する気泡の合計断面積が2μm以下である。表層に気泡が少ないことで、衝撃や繰り返しの曲げを受けた場合などに気泡を起点とする割れを低減し易く、ひいては表層から内部への割れの進展も低減できて、気泡に起因する破断を低減できる。そのため、実施形態のAl合金線22は、耐衝撃性や疲労特性に優れる。一方、気泡の合計面積が大きければ、粗大な気泡が存在したり、微細な気泡が多数存在したりして、気泡が割れの起点となったり、割れが進展し易くなったりして、耐衝撃性や疲労特性に劣る。他方、気泡の合計断面積は、小さいほど気泡が少なく、気泡に起因する破断を低減して耐衝撃性や疲労特性に優れることから、1.9μm以下、更に1.8μm以下、1.2μm以下であることが好ましく、0に近いほど好ましい。気泡は、例えば、鋳造過程で湯温を低めにすると少なくなり易い。加えて鋳造時の冷却速度、特に後述する特定の温度域の冷却速度を速めるとより少なく、小さくなり易い。
実施形態のAl合金線22の一例として、表層に加えて内部に存在する気泡も少ないものが挙げられる。具体的にはAl合金線22の横断面において、短辺長さが30μmであり、長辺長さが50μmである長方形の領域(内部気泡測定領域と呼ぶ)をとる。この内部気泡測定領域は、この長方形の中心がAl合金線22の中心に重なるようにとる。Al合金線22が異形線の場合には、内接円の中心をAl合金線22の中心とする(以下同様)。表層気泡測定領域に存在する気泡の合計断面積Sfbに対する内部気泡測定領域に存在する気泡の合計断面積Sibの比(Sib/Sfb)が1.1以上44以下である。ここで、鋳造過程では、一般に、金属の表層から内部に向かって凝固が進む。そのため、溶湯に雰囲気中のガスが溶解すると、金属の表層ではガスが金属外部に逃げ易いものの、金属の内部ではガスが閉じ込められて残存し易い。このような鋳造材を素材に用いて製造された線材では、その表層に比較して内部に存在する気泡が多くなり易いと考えられる。上述のように表層の気泡の合計断面積Sfbが小さいため、上記比Sib/Sfbが小さい形態は、内部に存在する気泡も少ないため、衝撃や繰り返しの曲げを受けた場合などに割れの発生や割れの進展などを低減し易く、気泡に起因する破断を低減して、耐衝撃性や疲労特性に優れる。上記比Sib/Sfbは、小さいほど内部に存在する気泡が少なく、耐衝撃性や疲労特性に優れることから、40以下、更に30以下、20以下、15以下であることがより好ましい。上記比Sib/Sfbが1.1以上であれば、湯温を過度に低くしなくても、気泡が少ないAl合金線22を製造でき、量産に適すると考えられる。上記比Sib/Sfbが1.3から6.0ぐらいであると、量産し易いと考えられる。
・結晶粒径
実施形態のAl合金線22の一例として、Al合金の平均結晶粒径が50μm以下であるものが挙げられる。微細な結晶組織を有するAl合金線22は曲げなどを行い易く、柔軟性に優れて、衝撃や繰り返しの曲げを受けた場合などで破断し難い。実施形態のAl合金線22は、その表層に気泡が少ないことも相俟って、この形態は耐衝撃性、疲労特性に優れる。上記平均結晶粒径は、小さいほど曲げなどを行い易く、耐衝撃性、疲労特性に優れることから、45μm以下、更に40μm以下、30μm以下であることが好ましい。結晶粒径は、組成や製造条件にもよるが、例えば上述のようにTiやB、元素αのうち微細化効果がある元素を含むと、微細になり易い。
(水素含有量)
実施形態のAl合金線22の一例として、水素の含有量が8.0ml/100g以下であるものが挙げられる。気泡の一要因は、上述のように水素であると考えられる。Al合金線22について質量100gあたりに対する水素の含有量が8.0ml以下であれば、このAl合金線22は気泡が少なく、上述のように気泡に起因する破断を低減できる。水素の含有量は少ないほど、気泡が少ないと考えられることから、7.8ml/100g以下、更に7.6ml/100g以下、7.0ml/100g以下であることが好ましく、0に近いほど好ましい。Al合金線22中の水素は、大気雰囲気などの水蒸気を含む雰囲気で鋳造を行うことで雰囲気中の水蒸気が溶湯に溶解し、この溶存水素が残存していると考えられる。そのため、水素の含有量は、例えば、湯温を低めにして雰囲気からのガスの溶解を低減すると少なくなり易い。また、水素の含有量は、Cuを含有すると少なくなる傾向にある。
(表面酸化膜)
実施形態のAl合金線22の一例として、Al合金線22の表面酸化膜の厚さが1nm以上120nm以下であるものが挙げられる。時効処理などの熱処理が施されると、Al合金線22の表面に酸化膜が存在し得る。表面酸化膜の厚さが120nm以下と薄いことで、Al合金線22から構成される導体2の端部に端子部4(図2)を取り付けた場合に導体2と端子部4間に介在される酸化物を少なくできる。導体2と端子部4間に電気絶縁物である酸化物の介在量が少ないことで、導体2と端子部4間の接続抵抗の増大を低減できる。一方、表面酸化膜が1nm以上であれば、Al合金線22の耐食性を高められる。上記範囲で薄いほど上記接続抵抗の増大を低減でき、厚いほど耐食性を高められる。接続抵抗の増大抑制と耐食性とを考慮すると、表面酸化膜は、2nm以上115nm以下、更に5nm以上110nm以下、更に100nm以下とすることができる。表面酸化膜の厚さは、例えば、熱処理条件によって調整できる。例えば、雰囲気中の酸素濃度が高いと(例えば大気雰囲気)表面酸化膜を厚くし易く、酸素濃度が低いと(例えば不活性ガス雰囲気、還元ガス雰囲気など)表面酸化膜を薄くし易い。
(特性)
・加工硬化指数
実施形態のAl合金線22の一例として、加工硬化指数が0.05以上であるものが挙げられる。加工硬化指数が0.05以上と大きいことで、例えば複数のAl合金線22を撚り合わせた撚線を圧縮成形した圧縮撚線としたり、Al合金線22から構成される導体2(単線、撚線、圧縮撚線のいずれでもよい)の端部に端子部4を圧着したりするといった塑性加工を施した場合に、Al合金線22は加工硬化し易い。圧縮成形や圧着などの塑性加工によって断面積が減少した場合でも、加工硬化によって強度を高められ、導体2に端子部4を強固に固着できる。このように加工硬化指数が大きいAl合金線22は、端子部4の固着性に優れる導体2を構成できる。加工硬化指数は大きいほど、加工硬化による強度の向上が期待できることから、0.08以上、更に0.1以上が好ましい。加工硬化指数は、破断伸びが大きいほど大きくなり易い。そのため、加工硬化指数を大きくするには、例えば添加元素の種類や含有量、熱処理条件などを調整して破断伸びを高めることが挙げられる。晶出物が微細であり、平均結晶粒径が上述の特定の範囲を満たすという特定の組織を有するAl合金線22は、加工硬化指数が0.05以上を満たし易い。そのため、Al合金の組織を指標として、添加元素の種類や含有量、熱処理条件などを調整することでも、加工硬化指数を調整できる。
・機械的特性、電気的特性
実施形態のAl合金線22は、上述した特定の組成のAl合金で構成され、代表的には時効処理などの熱処理を施されることで、引張強さや0.2%耐力が高く強度に優れる上に導電率が高く導電性にも優れる。組成や製造条件などによっては、破断伸びが高く靭性にも優れるものとすることができる。定量的には、Al合金線22は、引張強さが150MPa以上であること、0.2%耐力が90MPa以上であること、破断伸びが5%以上であること、導電率が40%IACS以上であることから選択される一つ以上を満たすものが挙げられる。列挙する事項のうち二つの事項、更に三つの事項、特に四つ全ての事項を満たすAl合金線22は、耐衝撃性、疲労特性により優れたり、導電性にも優れたりする。このようなAl合金線22は、電線の導体として好適に利用できる。
引張強さが上記範囲で高いほど強度に優れ、上記の範囲で低いほど破断伸びや導電率を高め易い。これらのことから、上記引張強さを160MPa以上、更に180MPa以上、200MPa以上とすることができる。
破断伸びが上記範囲で高いほど可撓性、靭性に優れて曲げなどを行い易いため、上記破断伸びを6%以上、更に7%以上、10%以上とすることができる。
Al合金線22は、代表的には導体2に利用されることから導電率が高いほど好ましく、45%IACS以上、更に48%IACS以上、50%IACS以上であることがより好ましい。
Al合金線22は、0.2%耐力も高いことが好ましい。引張強さが同じである場合、0.2%耐力が高いほど端子部4との固着性に優れる傾向にあるからである。0.2%耐力を95MPa以上、更に100MPa以上、130MPa以上とすることができる。
Al合金線22は、引張強さに対する0.2%耐力の比が0.5以上であると、0.2%耐力が十分に大きく、高強度で破断し難い上に上述のように端子部4との固着性にも優れる。この比は大きいほど、高強度で、端子部4との固着性にも優れることから、0.55以上、更に0.6以上であることが好ましい。
引張強さ、0.2%耐力、破断伸び、導電率は、例えば、添加元素の種類や含有量、製造条件(伸線条件、熱処理条件など)を調整することで変更できる。例えば、添加元素が多いと引張強さや0.2%耐力が高くなる傾向にあり、添加元素が少ないと導電率が高くなる傾向にある。
(形状)
実施形態のAl合金線22の横断面形状は、用途などに応じて適宜選択できる。例えば、横断面形状が円形である丸線が挙げられる(図1参照)。その他、横断面形状が長方形などの四角形である角線などが挙げられる。Al合金線22が上述の圧縮撚線の素線を構成する場合には、代表的には円形が押し潰された異形状である。Al合金線22の横断面形状が所望の形状となるように、伸線ダイスの形状、圧縮成形用のダイスの形状などを選択するとよい。
(大きさ)
実施形態のAl合金線22の大きさ(横断面積、丸線の場合には線径(直径)など)は、用途などに応じて適宜選択できる。例えば、自動車用ワイヤーハーネスなどの各種のワイヤーハーネスに備えられる電線の導体に利用する場合、Al合金線22の線径は0.2mm以上1.5mm以下であることが挙げられる。例えば、建築物などの配線構造を構築する電線の導体に利用する場合、Al合金線22の線径は0.1mm以上3.6mm以下であることが挙げられる。Al合金線22は高強度線材であることから、線径が0.1mm以上1.0mm以下といったより細径の用途などにも好適に利用できると期待される。
[Al合金撚線]
実施形態のAl合金線22は、図1に示すように撚線の素線に利用できる。実施形態のAl合金撚線20は、複数のAl合金線22を撚り合わせてなる。Al合金撚線20は、同じ導体断面積を有する単線のAl合金線と比較して断面積が小さい複数の素線(Al合金線22)を撚り合わせて構成されるため、可撓性に優れ、曲げなどを行い易い。また、撚り合せられることで、各素線であるAl合金線22が細くても、撚線全体として強度に優れる。更に、実施形態のAl合金撚線20は、気泡が少ないという特定の組織を有するAl合金線22を素線とする。これらのことからAl合金撚線20は、衝撃や繰り返しの曲げを受けた場合などでも、各素線であるAl合金線22が破断し難く、耐衝撃性及び疲労特性に優れる。各素線であるAl合金線22が上述した水素の含有量、結晶粒径の大きさなどの事項が上述の特定の範囲を満たすと、耐衝撃性、疲労特性に更に優れる。
Al合金撚線20の撚り合せ本数は適宜選択でき、例えば、7,11,16,19,37本などが挙げられる。Al合金撚線20の撚りピッチは適宜選択できるが、撚りピッチをAl合金撚線20の層心径の10倍以上とすると、Al合金撚線20から構成される導体2の端部に端子部4を取り付ける際にばらけ難く、端子部4の取付作業性に優れる。一方、撚りピッチを上記層心径の40倍以下とすると、曲げなどを行った際に素線同士が捻じれ難いため破断し難く、疲労特性に優れる。ばらけ防止と捻じれ防止とを考慮すると、撚りピッチは上記層心径の15倍以上35倍以下、更に20倍以上30倍以下とすることができる。
Al合金撚線20は、更に圧縮成形が施された圧縮撚線とすることができる。この場合、単に撚り合わせた状態よりも線径を小さくしたり、外形を所望の形状(例えば円形)にしたりなどすることができる。各素線であるAl合金線22の加工硬化指数が上述のように大きい場合には、強度の向上、ひいては耐衝撃性、疲労特性の向上も期待できる。
Al合金撚線20を構成する各Al合金線22の組成、組織、表面酸化膜の厚さ、水素の含有量、機械的特性及び電気的特性などの仕様は、撚り合せ前に用いたAl合金線22の仕様を実質的に維持する。撚り合せ後に熱処理を施すことなどによっては、表面酸化膜の厚さ、機械的特性及び電気的特性が変化する場合がある。Al合金撚線20の仕様が所望の値となるように、撚り合せ条件を調整するとよい。
[被覆電線]
実施形態のAl合金線22や実施形態のAl合金撚線20(圧縮撚線でもよい)は、電線用導体に好適に利用できる。絶縁被覆を備えていない裸導体、絶縁被覆を備える被覆電線の導体のいずれにも利用できる。実施形態の被覆電線1は、導体2と、導体2の外周を覆う絶縁被覆3とを備え、導体2として、実施形態のAl合金線22、又は実施形態のAl合金撚線20を備える。この被覆電線1は、耐衝撃性、疲労特性に優れるAl合金線22やAl合金撚線20から構成される導体2を備えるため、耐衝撃性、疲労特性に優れる。絶縁被覆3を構成する絶縁材料は、適宜選択できる。上記絶縁材料は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)やノンハロゲン樹脂、難燃性に優れる材料などが挙げられ、公知のものが利用できる。絶縁被覆3の厚さは所定の絶縁強度を有する範囲で適宜選択できる。
[端子付き電線]
実施形態の被覆電線1は、自動車や飛行機などの機器に載置されるワイヤーハーネス、産業用ロボットなどといった各種の電気機器の配線、建築物などの配線など、各種の用途の電線に利用できる。ワイヤーハーネスなどに備えられる場合、代表的には、被覆電線1の端部には端子部4が取り付けられる。実施形態の端子付き電線10は、図2に示すように実施形態の被覆電線1と、被覆電線1の端部に装着された端子部4とを備える。この端子付き電線10は、耐衝撃性、疲労特性に優れる被覆電線1を備えるため、耐衝撃性、疲労特性に優れる。図2では、端子部4として、一端に雌型又は雄型の嵌合部42を備え、他端に絶縁被覆3を把持するインシュレーションバレル部44を備え、中間部に導体2を把持するワイヤバレル部40を備える圧着端子を例示する。その他の端子部4として、導体2を溶融して接続する溶融型のものなどが挙げられる。
圧着端子は、被覆電線1の端部において絶縁被覆3が除去されて露出された導体2の端部に圧着されて、導体2と電気的及び機械的に接続される。導体2を構成するAl合金線22やAl合金撚線20が、上述のように加工硬化指数が高いものであると、導体2における圧着端子の取付箇所は、その断面積が局所的に小さくなっているものの、加工硬化によって強度に優れる。そのため、例えば端子部4と、被覆電線1の接続対象との接続時などに衝撃を受けても、更に接続後に繰り返しの曲げを受けても、導体2が端子部4近傍で破断することを低減でき、この端子付き電線10は耐衝撃性、疲労特性に優れる。
導体2を構成するAl合金線22やAl合金撚線20について上述のように表面酸化膜を薄くするなどすると、導体2と端子部4間に介在される電気絶縁物(表面酸化膜を構成する酸化物など)を低減でき、導体2と端子部4間の接続抵抗を小さくできる。従って、この端子付き電線10は、耐衝撃性、疲労特性に優れる上に、接続抵抗も小さい。
端子付き電線10は、図2に示すように、被覆電線1ごとに一つの端子部4が取り付けられた形態の他、複数の被覆電線1に対して一つの端子部(図示せず)を備える形態が挙げられる。複数の被覆電線1を結束具などによって束ねると、端子付き電線10を取り扱い易い。
[Al合金線の製造方法、Al合金撚線の製造方法]
(概要)
実施形態のAl合金線22は、代表的には、鋳造、(熱間)圧延や押出などの中間加工、伸線という基本工程に加えて、適宜な時期に熱処理(時効処理を含む)を行うことで製造できる。基本工程や時効処理の条件などは公知の条件などを参照できる。実施形態のAl合金撚線20は、複数のAl合金線22を撚り合わせることで製造できる。撚り合せ条件などは公知の条件を参照できる。
(鋳造工程)
特に、表層に気泡が少ない実施形態のAl合金線22は、例えば、鋳造過程において湯温を低めにすると製造し易い。溶湯に雰囲気中のガスが溶解することを低減でき、溶存ガスが少ない溶湯で鋳造材を製造できる。溶存ガスとしては、上述のように水素が挙げられ、この水素は雰囲気中の水蒸気が分解したもの、雰囲気中に含まれていたものと考えられる。溶存水素などの溶存ガスが少ない鋳造材を素材とすることで、圧延や伸線などの塑性加工、時効処理などの熱処理を施しても、鋳造以降においてAl合金に溶存ガスに起因する気泡が少ない状態を維持し易い。その結果、最終線径のAl合金線22の表層や内部に存在する気泡を上述の特定の範囲にすることができる。また、上述のように水素の含有量が少ないAl合金線22を製造できる。鋳造過程以降の工程、例えば、皮剥ぎ、塑性変形を伴う加工(圧延、押出、伸線など)を行うことで、Al合金の内部に閉じ込められた気泡の位置が変化したり、気泡の大きさがある程度小さくなったりすると考えられる。しかし、鋳造材に存在する気泡の合計含有量が多ければ、位置変動や大きさ変動があっても、最終線径のAl合金線において、表層や内部に存在する気泡の合計含有量や、水素の含有量が多くなり易い(実質的に維持されたままである)と考えられる。そこで、湯温を低くして、鋳造材自体に含まれる気泡を十分に少なくすることを提案する。
具体的な湯温として、例えばAl合金における液相線温度以上750℃未満が挙げられる。湯温が低いほど溶存ガスを低減でき、鋳造材の気泡を低減できることから、748℃以下、更に745℃以下が好ましい。一方、湯温がある程度高いと、添加元素を固溶し易いため、湯温を670℃以上、更に675℃以上とすることができる。このように湯温を低くすることで、大気雰囲気などの水蒸気を含む雰囲気で鋳造を行っても、溶存ガスを少なくでき、ひいては溶存ガスに起因する気泡の合計含有量や、水素の含有量を低減できる。
湯温を低くすることに加えて、鋳造過程の冷却速度、特に湯温から650℃までという特定の温度域の冷却速度をある程度速くすると、雰囲気中からの溶存ガスの増大を防止し易い。上記の特定の温度域は、主として液相域であり、水素などが溶解し易く、溶存ガスが増大し易いからである。一方、上記の特定の温度域における冷却速度が速過ぎないことで、凝固途中の金属内部の溶存ガスを外部である雰囲気中に排出し易いと考えられる。溶存ガスの増大抑制を考慮すると上記冷却速度は、1℃/秒以上、更に2℃/秒以上、4℃/秒以上が好ましい。上記金属内部の溶存ガスの排出促進を考慮すると、上記冷却速度は、30℃/秒以下、更に25℃/秒未満、20℃/秒以下、20℃/秒未満、15℃/秒以下、10℃/秒以下とすることができる。上記冷却速度が速過ぎないことで、量産にも適する。冷却速度によっては、過飽和固溶体とすることができる。この場合、鋳造以降の工程で溶体化処理を省略してもよいし、別途行ってもよい。
上述のように鋳造過程における特定の温度域の冷却速度をある程度速めにすると、微細な晶出物をある程度含むAl合金線22を製造できるとの知見を得た。ここで、上述のように上記の特定の温度域は、主として液相域であり、液相域での冷却速度を速くすれば、凝固時に生成される晶出物を小さくし易い。しかし、上述のように湯温を低くした場合に上記冷却速度が速過ぎると、特に25℃/秒以上であると、晶出物が生成され難くなり、添加元素の固溶量が多くなって導電率の低下を招いたり、晶出物による結晶粒のピン止め効果を得難くなったりすると考えられる。これに対し、上述のように湯温を低めにし、かつ上記温度域の冷却速度をある程度速めにすることで、粗大な晶出物を含み難く、微細で比較的均一的な大きさの晶出物をある程度の量含み易い。最終的に、表層に気泡が少なく、微細な晶出物をある程度含むAl合金線22を製造できる。晶出物の微細化を考慮すると、Mg及びSi,元素αなどの添加元素の含有量などにもよるが、上記冷却速度は1℃/秒超、更に2℃/秒以上が好ましい。
以上のことから、湯温を670℃以上750℃未満、かつ湯温から650℃までの冷却速度を20℃/秒未満とすることが好ましい。
更に、鋳造過程の冷却速度を上述の範囲で速めにすると、微細な結晶組織を有する鋳造材を得易い、添加元素をある程度固溶させ易い、DAS(Dendrite Arm Spacing)を小さくし易い(例えば、50μm以下、更に40μm以下)、といった効果も期待できる。
鋳造は、連続鋳造、金型鋳造(ビレット鋳造)のいずれも利用することができる。連続鋳造は、長尺な鋳造材を連続的に製造できる上に冷却速度を速め易く、上述のように気泡の低減、粗大な晶出物の抑制、結晶粒やDASの微細化、添加元素の固溶、冷却速度によっては過飽和固溶体の形成などの効果が期待できる。
(伸線までの工程)
鋳造材に、代表的には(熱間)圧延や押出などの塑性加工(中間加工)を施した中間加工材を伸線に供することが挙げられる。連続鋳造に連続して熱間圧延を行って、連続鋳造圧延材(中間加工材の一例)を伸線に供することもできる。上記塑性加工の前後に皮剥ぎや熱処理を行うことができる。皮剥ぎを行うことで、気泡や表面キズなどが存在し得る表層を除去できる。ここでの熱処理は、例えば、Al合金の均質化や溶体化などを目的とするものが挙げられる。均質化処理の条件は、例えば、雰囲気が大気又は還元雰囲気、加熱温度が450℃以上600℃以下程度(好ましくは500℃以上)、保持時間が1時間以上10時間以下(好ましくは3時間以上)、冷却速度が1℃/分以下の徐冷、が挙げられる。伸線前の中間加工材に上記の条件で均質化処理を行うと、破断伸びが高く、靭性に優れるAl合金線22を製造し易く、特に中間加工材を連続鋳造圧延材とすると、靭性により優れるAl合金線22を製造し易い。溶体化処理の条件は、後述の条件を利用できる。
(伸線工程)
上述の圧延などの塑性加工を経た素材(中間加工材)に、所定の最終線径になるまで(冷間)伸線加工を施し、伸線材を形成する。伸線加工は、代表的には伸線ダイスを用いて行う。伸線加工度は、最終線径に応じて適宜選択するとよい。
(撚合工程)
Al合金撚線20を製造する場合には、複数の線材(伸線材、又は伸線後に熱処理を施した熱処理材)を用意し、これらを所定の撚りピッチ(例えば、層心径の10倍〜40倍)で撚り合わせる。Al合金撚線20を圧縮撚線とする場合には、撚り合せ後に所定の形状に圧縮成形する。
(熱処理)
伸線途中及び伸線工程以降の任意の時期の伸線材などに熱処理を行うことができる。伸線途中に行う中間熱処理は、例えば、伸線加工時に導入された歪みを除去し、加工性を高めることを目的とするものが挙げられる。伸線工程以降の熱処理は、溶体化処理を目的とするもの、時効処理を目的とするものなどが挙げられる。少なくとも時効処理を目的とする熱処理を行うことが好ましい。時効処理によって、Al合金中のMgやSi、組成によっては元素α(例えばZrなど)といった添加元素を含む析出物をAl合金中に分散させて、時効硬化による強度の向上、及び固溶元素の低減による導電率の向上を図ることができるからである。その結果、高強度及び高靭性で、耐衝撃性、疲労特性にも優れるAl合金線22やAl合金撚線20を製造できる。熱処理を行う時期は、伸線途中、伸線後(撚線前)、撚線後(圧縮成形前)、圧縮成形後の少なくとも一つの時期が挙げられる。複数の時期に熱処理を行ってもよい。溶体化処理を行う場合、溶体化処理は、時効処理よりも前(直前でなくてもよい)に行う。伸線途中や撚線前に上述の中間熱処理や溶体化処理などを行うと、加工性を高められて、伸線加工や撚り合せなどを行い易い。熱処理後の特性が所望の範囲を満たすように熱処理条件を調整するとよい。例えば破断伸びが5%以上を満たすように熱処理を行うことで、加工硬化指数が上述の特定の範囲を満たすAl合金線22を製造することもできる。
熱処理は、パイプ炉や通電炉などの加熱容器に熱処理対象を連続的に供給して加熱する連続処理でも、雰囲気炉などの加熱容器に熱処理対象を封入した状態で加熱するバッチ処理でもいずれも利用できる。連続処理では、例えば、非接触式の温度計によって線材の温度を測定し、熱処理後の特性が所定の範囲となるように制御パラメータを調整することが挙げられる。バッチ処理の具体的な条件は、例えば、以下が挙げられる。
(溶体化処理)加熱温度が450℃以上620℃以下程度(好ましくは500℃以上6000℃以下)、保持時間が0.005秒以上5時間以下(好ましくは0.01秒以上3時間以下)、冷却速度が100℃/分以上、更に200℃/分以上の急冷
(中間熱処理)加熱温度が250℃以上550℃以下、加熱時間が0.01秒以上5時間以下
(時効処理)加熱温度が100℃以上300℃以下、更に140℃以上250℃以下、保持時間が4時間以上20時間以下、更に16時間以下
熱処理中の雰囲気は、例えば、大気雰囲気といった酸素含有量が比較的多い雰囲気、又は酸素含有量が大気よりも少ない低酸素雰囲気が挙げられる。大気雰囲気とすると、雰囲気制御が不要であるものの、表面酸化膜が厚く形成され易い(例えば、50nm以上)。そのため、大気雰囲気とする場合には、保持時間を短くし易い連続処理とすると、表面酸化膜の厚さが上述の特定の範囲を満たすAl合金線22を製造し易い。低酸素雰囲気は、真空雰囲気(減圧雰囲気)、不活性ガス雰囲気、還元ガス雰囲気などが挙げられる。不活性ガスは、窒素やアルゴンなどが挙げられる。還元ガスは、水素ガス、水素と不活性ガスとを含む水素混合ガス、一酸化炭素と二酸化炭素との混合ガスなどが挙げられる。低酸素雰囲気では雰囲気制御が必要であるものの、表面酸化膜を薄くし易い(例えば、50nm未満)。そのため、低酸素雰囲気とする場合には、雰囲気制御を行い易いバッチ処理とすると、表面酸化膜の厚さが上述の特定の範囲を満たすAl合金線22、好ましくは表面酸化膜の厚さがより薄いAl合金線22を製造し易い。
上述のようにAl合金の組成を調整すると共に(好ましくはTi及びBの双方、元素αのうち微細化効果がある元素などを添加)、連続鋳造材又は連続鋳造圧延材を素材に用いると、結晶粒径が上述の範囲を満たすAl合金線22を製造し易い。特に、連続鋳造材に圧延などの塑性加工を施した素材又は連続鋳造圧延材から最終線径の伸線材となるまでの伸線加工度を80%以上とし、最終線径の伸線材、又は撚線、又は圧縮撚線に破断伸びが5%以上となるように熱処理(特に時効処理)を行うと、結晶粒径が50μm以下であるAl合金線22を更に製造し易い。この場合に、伸線途中にも熱処理を行ってもよい。このような結晶組織の制御及び破断伸びの制御を行うことで、加工硬化指数が上述の特定の範囲を満たすAl合金線22を製造することもできる。
(その他の工程)
その他、表面酸化膜の厚さの調整方法として、最終線径の伸線材を高温高圧の熱水の存在下に曝すこと、最終線径の伸線材に水を塗布すること、大気雰囲気の連続処理で熱処理後に水冷する場合に水冷後に乾燥工程を設けることなどが挙げられる。熱水に曝したり、水を塗布したりすることで表面酸化膜が厚くなる傾向にある。上記の水冷後に乾燥させることで、水冷に起因するベーマイト層の形成を防止して、表面酸化膜が薄くなる傾向にある。
[被覆電線の製造方法]
実施形態の被覆電線1は、導体2を構成する実施形態のAl合金線22又はAl合金撚線20(圧縮撚線でもよい)を用意し、導体2の外周に絶縁被覆3を押出などによって形成することで製造できる。押出条件などは公知の条件を参照できる。
[端子付き電線の製造方法]
実施形態の端子付き電線10は、被覆電線1の端部において、絶縁被覆3を除去して導体2を露出させ、端子部4を取り付けることで製造できる。
[試験例1]
Al合金線を種々の条件で作製して特性を調べた。また、このAl合金線を用いてAl合金撚線を作製し、更にこのAl合金撚線を導体とする被覆電線を作製し、その端部に圧着端子を取り付けて得られた端子付き電線の特性を調べた。
この試験では、図4に示すように製法Aから製法Gに示す工程を順に行い、ワイヤーロッド(WR)を作製して最終的に時効材を製造する。具体的な工程は以下の通りである。各製法は、図4の第一欄に示す工程に対して、チェック印を付した工程を行う。
(製法A)WR⇒伸線⇒熱処理(溶体化)⇒時効
(製法B)WR⇒熱処理(溶体化)⇒伸線⇒時効
(製法C)WR⇒熱処理(溶体化)⇒伸線⇒熱処理(溶体化)⇒時効
(製法D)WR⇒皮剥ぎ⇒伸線⇒中間熱処理⇒伸線⇒熱処理(溶体化)⇒時効
(製法E)WR⇒熱処理(溶体化)⇒皮剥ぎ⇒伸線⇒中間熱処理⇒伸線⇒熱処理(溶体化)⇒時効
(製法F)WR⇒伸線⇒時効
(製法G)WR⇒熱処理(溶体化、バッチ)⇒伸線⇒時効
試料No.1からNo.71,No.101からNo.106,No.111からNo.115は製法Cで製造した試料である。試料No.72からNo.77は順に、製法A,B,DからGで製造した試料である。以下、製法Cの具体的な製造過程を説明する。製法C以外の各製法において、製法Cと同じ工程は同様の条件とする。製法D,Eの皮剥ぎは、線材表面から厚さ150μm程度を除去、中間熱処理は、高周波誘導加熱方式の連続処理である(線材温度:300℃程度)。製法Gの溶体化処理の条件は、540℃×3時間のバッチ処理である。
ベースとして純アルミニウム(99.7質量%以上Al)を用意して溶解し、得られた溶湯(溶融アルミニウム)に表1から表4に示す添加元素の含有量が、表1から表4に示す量(質量%)となるように投入して、Al合金の溶湯を作製する。成分調整を行ったAl合金の溶湯は、水素ガス除去処理や異物除去処理を行うと、水素の含有量を低減したり、異物を低減したりし易い。
用意したAl合金の溶湯を用いて、連続鋳造圧延材、又はビレット鋳造材を作製する。連続鋳造圧延材は、ベルト−ホイール式の連続鋳造圧延機と、用意したAl合金の溶湯とを用いて鋳造及び熱間圧延を連続的に行って作製し、φ9.5mmのワイヤーロッドとする。ビレット鋳造材は、所定の固定鋳型にAl合金の溶湯を注湯して冷却して作製する。ビレット鋳造材に均質化処理を施した後、熱間圧延を行って、φ9.5mmのワイヤーロッド(圧延材)を作製する。表5から表8に、鋳造法の種別(連続鋳造圧延材は「連続」、ビレット鋳造材は「ビレット」と示す)、溶湯温度(℃)、鋳造過程の冷却速度(湯温から650℃までの平均冷却速度、℃/秒)を示す。冷却速度は、水冷機構などを用いて、冷却状態を調整することで変化させた。
上記のワイヤーロッドに530℃×5時間の条件で溶体化処理(バッチ処理)を施した後、冷間伸線加工を施して、線径φ0.3mmの伸線材、線径φ0.25mmの伸線材、線径φ0.32mmの伸線材を作製する。
得られた線径φ0.3mmの伸線材に溶体化処理を施した後、時効処理を施して時効材(Al合金線)を作製する。溶体化処理は、高周波誘導加熱方式の連続処理であり、非接触式の赤外温度計にて線材温度を測定し、線材温度が300℃以上となるように通電条件を制御する。時効処理は、箱型炉を用いたバッチ処理であり、表5から表8に示す温度(℃)、時間(時間(H))、雰囲気で行う。試料No.113は、大気雰囲気での時効処理後にベーマイト処理(100℃×15分)を行う(表8では雰囲気の欄に「*」を付している)。
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(機械的特性、電気的特性)
得られた線径φ0.3mmの時効材について、引張強さ(MPa)、0.2%耐力(MPa)、破断伸び(%)、加工硬化指数、導電率(%IACS)を測定した。また、引張強さに対する0.2%耐力の比「耐力/引張」を求めた。これらの結果を表9から表12に示す。
引張強さ(MPa)、0.2%耐力(MPa)、破断伸び(%)は、JIS Z 2241(金属材料引張試験方法、1998年)に準拠して、汎用の引張試験機を用いて測定した。加工硬化指数とは、引張試験の試験力を単軸方向に適用したときの塑性ひずみ域における真応力σと真ひずみεとの式σ=C×εにおいて、真ひずみεの指数nとして定義される。上記式において、Cは強度定数である。上記の指数nは、上記の引張試験機を用いて引張試験を行ってS−S曲線を作成することで求められる(JIS G 2253、2011年も参照)。導電率(%IACS)は、ブリッジ法により測定した。
(疲労特性)
得られた線径φ0.3mmの時効材について、屈曲試験を行い、破断までの回数を測定した。屈曲試験は、市販の繰り返し曲げ試験機を用いて測定した。ここでは、各試料の線材に0.3%の曲げ歪みが加えられる治具を使用して、12.2MPaの負荷を印加した状態で繰り返しの曲げを行う。試料ごとに3本以上の屈曲試験を行い、その平均(回)を表9から表12に示す。破断までの回数が多いほど、繰り返しの曲げによって破断し難く、疲労特性に優れるといえる。
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得られた線径φ0.25mm又は線径φ0.32mmの伸線材(上述の時効処理、及び時効直前の溶体化処理を施してないもの、製法B,F,Gは時効処理を施していないもの)を用いて撚線を作製する。ここでは、線径φ0.25mmの線材を7本用いた撚線を作製する。また、線径φ0.32mmの線材を7本用いた撚線を更に圧縮成形した圧縮撚線を作製する。撚線の断面積、及び圧縮撚線の断面積はいずれも、0.35mm(0.35sq)である。撚りピッチは、20mm(線径φ0.25mmの伸線材を用いた場合では層心径の約40倍、線径φ0.32mmの伸線材を用いた場合では層心径の約32倍)である。
得られた撚線、圧縮撚線に溶体化処理、時効処理を順に施す(製法B,F,Gは時効処理のみ)。いずれの熱処理条件も上述の0.3mmの伸線材に施した熱処理条件と同様とし、溶体化処理は高周波誘導加熱方式の連続処理、時効処理は表5から表8に示す条件で行うバッチ処理である(試料No.113の*は上述参照)。得られた時効撚線を導体とし、導体の外周に絶縁材料(ここでは、ハロゲンフリー絶縁材料)によって絶縁被覆(厚さ0.2mm)を形成して、被覆電線を作製する。試料No.112は、時効温度を300℃、保持時間を50時間とし、他の試料よりも高温長時間の時効とする。
(組織観察)
・気泡
得られた各試料の被覆電線について、横断面をとり、導体(Al合金線から構成される撚線又は圧縮撚線、以下同様)を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、表層及び内部の気泡、結晶粒径を調べた。ここでは、導体を構成する各Al合金線について、その表面から深さ方向に30μmまでの表層領域から、短辺長さ30μm×長辺長さ50μmである長方形の表層気泡測定領域をとる。つまり、一つの試料について、撚線を構成していた7本のAl合金線のそれぞれから、一つの表層気泡測定領域をとり、合計7個の表層気泡測定領域をとる。そして、各表層気泡測定領域に存在する気泡の合計断面積を求める。試料ごとに、合計7個の表層気泡測定領域における気泡の合計断面積を調べる。この合計7個の測定領域における気泡の合計断面積を平均した値を合計面積(μm)として、表13から表16に示す。
なお、気泡の合計断面積の測定は、観察像に二値化処理などの画像処理を施して、処理像から気泡を抽出すると容易に行える。
上記横断面において、導体を構成する各Al合金線について、短辺長さ30μm×長辺長さ50μmである長方形の内部気泡測定領域をとる。内部気泡測定領域は、上記長方形の中心が各Al合金線の中心に重なるようにとる。そして、表層気泡測定領域に存在する気泡の合計断面積に対する内部気泡測定領域に存在する気泡の合計断面積の比「内部/表層」を求める。試料ごとに、合計7個の表層気泡測定領域及び内部気泡測定領域をとって比「内部/表層」を求める。この合計7個の測定領域における比「内部/表層」を平均した値を比「内部/表層」として、表13から表16に示す。
・結晶粒径
また、上記横断面において、JIS G 0551(鋼−結晶粒度の顕微鏡試験方法、2013年)に準拠して、SEM観察像に試験線を引き、各結晶粒において、試験線を分断する長さを結晶粒径とする(切断法)。試験線の長さは、この試験線によって10個以上の結晶粒が分断される程度とする。一つの横断面に対して、3本の試験線を引いて、各結晶粒径を求め、これらの結晶粒径を平均した値を平均結晶粒径(μm)として、表13から表16に示す。
(水素含有量)
得られた各試料の被覆電線について、絶縁被覆を除去して導体のみとし、導体100gあたりの水素の含有量(ml/100g)を測定した。その結果を表13から表16に示す。水素の含有量は、不活性ガス溶融法によって測定する。詳しくは、アルゴン気流中で黒鉛るつぼ中に試料を投入し、加熱溶融して水素を他のガスと共に抽出する。抽出したガスを分離カラムに通して水素を他のガスと分離し、熱伝導度検出器で測定して、水素の濃度を定量することで水素の含有量を求める。
(表面酸化膜)
得られた各試料の被覆電線について、絶縁被覆を除去して導体のみとし、導体を構成する撚線又は圧縮撚線を解いて、各素線の表面酸化膜を以下のようして測定した。ここでは、各素線(Al合金線)の表面酸化膜の厚さを調べる。試料ごとに合計7本の素線における表面酸化膜の厚さを調べ、この合計7本の素線における表面酸化膜の厚さを平均した値を表面酸化膜の厚さ(nm)として、表13から表16に示す。クロスセクションポリッシャー(CP)加工を施して、各素線の断面をとり、断面をSEM観察する。50nm程度を超える比較的厚い酸化膜については、このSEM観察像を用いて厚さを測定する。SEM観察において、50nm程度以下の比較的薄い酸化膜を有する場合には、別途、X線光電子分光分析(ESCA)によって深さ方向の分析(スパッタリングとエネルギー分散型X線分析(EDX)による分析とを繰り返す)を行って測定する。
(耐衝撃性)
得られた各試料の被覆電線について、特許文献1を参照して、耐衝撃性(J/m)を評価した。概略を述べると、評点間距離が1mである試料の先端に錘を取り付け、この錘を1m上方に持ち上げた後、自由落下させ、試料が断線しない最大の錘の質量(kg)を測定する。この錘の質量に重力加速度(9.8m/s)と落下距離1mとをかけた積値を落下距離(1m)で除した値を耐衝撃性の評価パラメータ(J/m又は(N・m)/m)とする。求めた耐衝撃性の評価パラメータを導体断面積(ここでは0.35mm)で除した値を単位面積当たりの耐衝撃性の評価パラメータ(J/m・mm)として、表13から表16に示す。
(端子固着力)
得られた各試料の端子付き電線について、特許文献1を参照して、端子固着力(N)を評価した。概略を述べると、端子付き電線の一端に取り付けられた端子部を端子チャックで挟持し、被覆電線の他端の絶縁被覆を除去して、導体部分を導体チャックで挟持する。両チャックで両端を挟持した各試料の端子付き電線について、汎用の引張試験機を用いて破断時の最大荷重(N)を測定し、この最大荷重(N)を端子固着力(N)として評価する。求めた最大荷重を導体断面積(ここでは0.35mm)で除した値を単位面積当たりの端子固着力(N/mm)として、表13から表16に示す。
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Mg及びSiを特定の範囲で含み、適宜特定の元素αなどを特定の範囲で含むという特定の組成のAl−Mg−Si系合金から構成され、時効処理が施された試料No.1からNo.77(以下、まとめて、時効試料群と呼ぶことがある)のAl合金線は、特定の組成外である試料No.101からNo.106(以下、まとめて比較試料群と呼ぶことがある)のAl合金線に比較して、表13から表15に示すように耐衝撃性の評価パラメータ値が高く、4J/m以上である。かつ、時効試料群のAl合金線は、表9から表11に示すように破断伸びが高く、屈曲回数も高い水準にある。このことから、時効試料群のAl合金線は、比較試料群のAl合金線に比較して、優れた耐衝撃性と優れた疲労特性とをバランスよく有することが分かる。また、時効試料群は、機械的特性や電気的特性に優れること、即ち引張強さが高く、導電率も高い上に、破断伸びも高いこと、ここでは更に0.2%耐力も高い。定量的には、時効試料群のAl合金線は、引張強さが150MPa以上、0.2%耐力が90MPa以上、破断伸びが5%以上、導電率が40%IACS以上を満たす。その上、引張強さと0.2%耐力との比「耐力/引張」も高く、0.5以上である。更に、時効試料群のAl合金線は、表13から表15に示すように、端子部との固着性にも優れることが分かる(40N以上)。この理由の一つとして、時効試料群のAl合金線は、加工硬化指数が0.05以上と大きいため(表9から表11)、圧着端子を圧着した際の加工硬化による強度向上効果を良好に得られたためと考えられる。
特に、表13から表15に示すように時効試料群のAl合金線は、表層に存在する気泡の合計面積が2.0μm以下であり、表16に示す試料No.111,No.114,No.115のAl合金線に比較して少ない。この表層の気泡に着目して、同じ組成である試料No.20と試料No.111、試料No.47と試料No.114、試料No.71と試料No.115とを比較する。気泡が少ない試料No.20,No.47,No.71の方が、耐衝撃性に優れる上に(表14,表15)、屈曲回数が多く疲労特性にも優れることが分かる(表10,表11)。この理由の一つとして、表層に気泡が多い試料No.111,No.114,No.115のAl合金線では、衝撃や繰り返しの曲げを受けた場合に気泡が割れの起点となって破断し易くなったと考えられる。このことから、Al合金線の表層において、気泡を低減することで、耐衝撃性及び疲労特性を向上できるといえる。また、表13から表15に示すように時効試料群のAl合金線は、水素の含有量が表16に示す試料No.111,No.114,No.115のAl合金線に比較して少ない。このことから、気泡の一要因は水素であると考えられる。試料No.111,No.114,No.115では湯温が高く、溶湯中の溶存ガスが多く存在し易いと考えられ、この溶存ガスに由来する水素が多くなったと考えられる。これらのことから、上記表層の気泡を低減するには、鋳造過程で湯温を低めにすること(ここでは750℃未満)が効果的であるといえる。
その他、試料No.10(表13)と試料No.22からNo.24(表14)との比較などによって、Cuを含有すると、水素を低減し易いことが分かる。
更に、この試験から以下のことがいえる。
(1)表13から表15に示すように、時効試料群のAl合金線は、表層だけでなく内部に存在する気泡も少ない。定量的には、気泡の合計面積の比「内部/表層」が44以下、ここでは35以下であり、多くの試料が20以下、更に10以下である。同じ組成である試料No.20と試料No.111とを比較すると、比「内部/表層」が小さい試料No.20の方が屈曲回数が多く(表10,表12)、耐衝撃性のパラメータ値も高い(表14,表16)。この理由の一つとして、内部に気泡が多い試料No.111のAl合金線では、繰り返しの曲げなどを受けた場合に気泡を介して、表層から内部に割れが進展して破断し易くなったと考えられる。このことから、Al合金線の表層及び内部において、気泡を低減することで、耐衝撃性や疲労特性を向上できるといえる。また、この試験から、冷却速度が大きいほど比「内部/表層」が小さくなり易いといえる。従って、上記内部の気泡を低減するには、鋳造過程で湯温を低めにすると共に650℃までの温度域における冷却速度をある程度速めにすること(ここでは0.5℃/秒超、更に1℃/秒以上、好ましくは25℃/秒未満、更に20℃/秒未満)が効果的であるといえる。
(2)表13から表15に示すように時効試料群のAl合金線は、結晶粒径が小さい。定量的には、平均結晶粒径が50μm以下であり、多くの試料は35μm以下であり、更に30μm以下であり、20μm以下の試料もあり、試料No.112(表16)よりも小さい。同じ組成である試料No.20(表10)と試料No.112(表12)とを比較すると、試料No.20の方が屈曲回数が2倍程度多い。従って、結晶粒径が小さいことは、特に疲労特性の向上に寄与すると考えられる。その他、この試験から、例えば、時効温度を低めにしたり、保持時間を短めにしたりすると、結晶粒径を小さくし易いといえる。
(3)表13から表15に示すように時効試料群のAl合金線は、表面酸化膜を有するものの薄く(表16の試料No.113と比較参照)、120nm以下である。そのため、これらのAl合金線は、端子部との接続抵抗の増大を低減でき、低抵抗な接続構造を構築できると考えられる。また、時効試料群の端子付き電線について、絶縁被覆を除去して導体のみとし、塩水噴霧試験を行って、腐食の有無を目視確認にて調べたところ、腐食が無かった。塩水噴霧試験の条件は、5質量%濃度のNaCl水溶液を用い、試験時間を96時間とする。このことから、表面酸化膜を適切な厚さで備えることで(ここでは1nm以上)、耐食性の向上に寄与すると考えられる。その他、この試験から、時効処理などの熱処理を大気雰囲気としたり、ベーマイト層が形成され得る条件としたりすると表面酸化膜が厚くなり易く、低酸素雰囲気とすると薄くなり易いといえる。
(4)表11,表15に示すように製法A,B,DからGに変更した場合(試料No.72からNo.77)でも、表層に気泡が少なく、耐衝撃性及び疲労特性に優れるAl合金線が得られるといえる。特に、鋳造時の溶湯温度を適切にすることで、以降の工程を種々変更しても表層に気泡が少なく、耐衝撃性及び疲労特性に優れるAl合金線が製造でき、製造条件の自由度が高い。
上述のように特定の組成のAl−Mg−Si系合金からなり、時効処理を施したAl合金線であって、表層に存在する気泡が少ないものは、高強度、高靭性、高導電率であり、端子部との接続強度にも優れる上に、耐衝撃性及び疲労特性にも優れる。このようなAl合金線は、被覆電線の導体、特に端子部が取り付けられる端子付き電線の導体に好適に利用できると期待される。
本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、試験例1の合金の組成、線材の断面積、撚線の撚り合せ数、製造条件(湯温、鋳造時の冷却速度、熱処理時期、熱処理条件など)を適宜変更できる。
1 被覆電線
10 端子付き電線
2 導体
20 アルミニウム合金撚線
22 アルミニウム合金線(素線)
220 表層領域
222 表層気泡測定領域
22S 短辺
22L 長辺
P 接点
T 接線
C 直線
g 空隙
3 絶縁被覆
4 端子部
40 ワイヤバレル部
42 嵌合部
44 インシュレーションバレル部

Claims (1)

  1. Mgを0.03質量%以上1.5質量%以下、Siを0.02質量%以上2.0質量%以下含有し、質量比でMg/Siが0.5以上3.5以下であり、残部がAl及び不可避不純物からなるアルミニウム合金の溶湯を鋳造して、鋳造材を製造する工程と、
    前記鋳造材に塑性加工を施して中間加工材を製造する工程と、
    前記中間加工材に伸線加工を施して、最終線径が1.0mm以下である伸線材を製造する工程と、
    前記伸線加工の途中又は前記伸線材を製造する工程以降に熱処理を施す工程とを備え、
    前記鋳造材を製造する工程において、前記溶湯の温度を液相線温度以上750℃未満とすると共に、前記溶湯の温度から650℃までの冷却速度を1℃/秒以上25℃/秒未満とする、
    アルミニウム合金線の製造方法。
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