JP5588520B2 - プラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Description
本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)に関するものである。
近年では、PDP用蛍光体としても種々のアルミン酸塩蛍光体が実用化されている。例えば、青色蛍光体としてはBaMgAl10O17:Euが使用され、緑色蛍光体としては(Y,Gd)Al3B4O12:TbがZn2SiO4:Mnとの混合体として使用されている。
しかしながら、緑色蛍光体としてZn2SiO4:MnあるいはZn2SiO4:Mnと(Y,Gd)Al3B4O12:Tbの混合体を用いると、残光時間が長くなるため、動きの速い映像を表示した場合にいわゆる「尾引き」が生じ、PDPにおける動画表示特性が低下する。また特に、立体映像を表現できる3D−PDPにおいては、使用される蛍光体の残光時間が長くなると、短時間で切り替え表示される左目画像と右目画像との間の重なりが生じる動画クロストークによって、良好な立体映像が表示できないという問題が生じる。このため、PDP用途では残光時間が短い緑色蛍光体が強く求められている。
これに対して、緑色蛍光体として、残光時間が著しく短いY3Al5O12:Ceを用いる技術が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、上記従来の技術では、緑色蛍光体の残光時間を短くすることができるものの、輝度が低下してしまう。また、Y3Al5O12:Ce蛍光体は、Zn2SiO4:Mn蛍光体、あるいは、(Y,Gd)Al3B4O12:Tb蛍光体と比較して色純度が悪いため、PDPに用いて良好な画像を表示するためには、色純度を改善する必要がある。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、残光時間が短く、高効率で輝度が高く、かつ、色純度が高い画像を表示することかできるPDPを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のPDPは、真空紫外線により可視光を発する緑色蛍光体層を備えたプラズマディスプレイパネルであって、前記緑色蛍光体層は、一般式aYO3/2・(3−a)CeO3/2・bAlO3/2・cGaO3/2・fWO3(2.80≦a≦2.99、3.00≦b≦5.00、0≦c≦2.00、0.003≦f≦0.020、ただし4.00≦b+c≦5.00)で表される蛍光体、または、一般式aYO3/2・(3−a)CeO3/2・bAlO3/2・cGaO3/2・gK2WO4(2.80≦a≦2.99、3.00≦b≦5.00、0≦c≦2.00、0.003≦g≦0.015、ただし4.00≦b+c≦5.00)で表される蛍光体のいずれかと、一般式dZnO・(2−d)MnO・eSiO2(1.80≦d≦1.90、1.00≦e≦1.02)で表される蛍光体を30重量%以上60重量%以下含むことを特徴とする。
本発明によれば、残光時間が短く、高効率で輝度が高く、かつ、色純度が高い画像を表示することができるPDPを提供することができる。
以下、本願で開示するPDPの一実施の形態として、交流面放電型PDPを例にその構成を説明する。
図1は、本実施の形態にかかる交流面放電型PDPの主要構造を示す斜視断面図である。なお、本実施形態として説明するPDPは、表示画面が42インチクラスの1024×768画素仕様のものを基準として各部の具体的な構成や大きさ等を示すが、本実施形態のPDPとして、他のサイズや仕様のものに適用してもよいことは勿論である。
図1で示すように、本実施形態にかかるPDP10は、フロントパネル20とバックパネル26とを有しており、それぞれの主面が対向するようにして配置されている。
このフロントパネル20は、前面基板としてのフロントパネルガラス21と、このフロントパネルガラス21の一方の主面に設けられた帯状の表示電極(X電極23、Y電極22)と、この表示電極を覆う厚さ約30μmの前面側誘電体層24と、この前面側誘電体層24の上に設けられた厚さ約1.0μmの保護層25とを含んでいる。
表示電極は、厚さ0.1μm、幅150μmの帯状の透明電極220(230)と、この透明電極上に重ね設けられた厚さ7μm、幅95μmのバスライン221(231)とを含んでいる。また、各対の表示電極(X電極23、Y電極22)は、x軸方向を長手方向として、y軸方向に複数組が並んで配置されている。
また、各対の表示電極(X電極23、Y電極22)は、それぞれフロントパネルガラス21の左右方向(y軸方向)の端部付近で、パネル駆動回路(図示せず)と電気的に接続されている。なお、Y電極22は一括してパネル駆動回路に接続され、X電極23はそれぞれ独立してパネル駆動回路に接続されている。パネル駆動回路を用いて、Y電極22と特定のX電極23とに給電すると、X電極23とY電極22との間隙(約80μm)に面放電(維持放電)が発生する。X電極23はスキャン電極として作動させることもでき、これにより、後述するアドレス電極28との間で書き込み放電(アドレス放電)を発生させることができる。
バックパネル26は、背面基板としてのバックパネルガラス27と、複数のアドレス電極28と、背面側誘電体層29と、隔壁30と、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかに対応する蛍光体層31〜33とを含んでいる。蛍光体層31〜33は、隣り合う2つの隔壁30の側壁とその間の背面側誘電体層29とに接して、Y軸方向が長手方向となるように設けられており、また、x軸方向に複数組が繰り返して配列されている。
緑色蛍光体層(G)は、本願で開示される緑色蛍光体、すなわち、一般式aYO3/2・(3−a)CeO3/2・bAlO3/2・cGaO3/2・fWO3(2.80≦a≦2.99、3.00≦b≦5.00、0≦c≦2.00、0.003≦f≦0.020、ただし4.00≦b+c≦5.00)で表される蛍光体、または、一般式aYO3/2・(3−a)CeO3/2・bAlO3/2・cGaO3/2・gK2WO4(2.80≦a≦2.99、3.00≦b≦5.00、0≦c≦2.00、0.003≦g≦0.015、ただし4.00≦b+c≦5.00)で表される蛍光体のいずれかと、一般式dZnO・(2−d)MnO・eSiO2(1.80≦d≦1.90、1.00≦e≦1.02)で表される蛍光体を30重量%以上60重量%以下含んで構成されている。また、赤色蛍光体層(R)、および、青色蛍光体層(B)はそれぞれ一般的な蛍光体で構成される。例えば、赤色蛍光体としては、Y(P,V)O4:EuやY2O3:Euあるいは(Y,Gd)BO3:Euが使用でき、青色蛍光体としては、BaMgAl10O17:Euが使用できる。
各蛍光体層は、蛍光体粒子を溶解させた蛍光体インクを、例えばメニスカス法やラインジェット法などの公知の塗布方法により、隔壁30および背面側誘電体層29に塗布し、これを乾燥や焼成(例えば500℃で10分)することにより形成できる。蛍光体インクは、例えば、体積平均粒径2μmの緑色蛍光体30質量%と、重量平均分子量約20万のエチルセルロース4.5質量%と、ブチルカルビトールアセテート65.5質量%とを混合して作製することができる。また、その粘度を、最終的に2000〜6000cps(2〜6Pas)程度となるように調整すると、隔壁30に対するインクの付着力を高めることができて好ましい。
アドレス電極28は、バックパネルガラス27の一方の主面に設けられている。また、背面側誘電体層29はアドレス電極28を覆うようにして設けられている。また、隔壁30は、一例として高さが約150μm、幅が約40μmであり、y軸方向を長手方向とし、隣接するアドレス電極28のピッチに合わせて、背面側誘電体層29の上に設けられている。
アドレス電極28は、それぞれが厚さ5μm、幅60μmであり、y軸方向を長手方向としてx軸方向に複数本が並んで配置されている。また、このアドレス電極28は、ピッチが一定間隔(約150μm)となるように配置されている。なお、複数のアドレス電極28は、それぞれ独立して上記パネル駆動回路に接続されている。それぞれのアドレス電極に個別に給電することによって、特定のアドレス電極28と特定のX電極23との間でアドレス放電を生じさせることができる。
フロントパネル20とバックパネル26とは、アドレス電極28と表示電極とが直交するように配置されている。フロントパネル20とバックパネル26とは、周辺部を取り囲むように配置された封着部材としてのフリットガラス封着部(図示せず)により、気密な状態で封着されている。
フリットガラス封着部によって密封された、フロントパネル20とバックパネル26との間の密閉空間には、He、Xe、Ne等の希ガス成分からなる放電ガスが所定の圧力(通常6.7×104〜1.0×105Pa程度)で封入されている。
なお、隣接する2つの隔壁30の間に対応する空間が、放電空間34となる。また、一対の表示電極と1本のアドレス電極28とが放電空間34を挟んで交叉する領域が、画像を表示するセルに対応している。なお、本実施形態にかかるPDP10では、x軸方向のセルピッチは約300μm、y軸方向のセルピッチは約675μmに設定されている。
また、PDP10の駆動時には、パネル駆動回路によって、特定のアドレス電極28と特定のX電極23とにパルス電圧を印加してアドレス放電を起こさせた後、一対の表示電極(X電極23、Y電極22)の間にパルスを印加し、維持放電を起こさせる。これにより発生させた短波長の紫外線(一例として、波長約147nmを中心波長とする共鳴線および172nmを中心波長とする分子線)を用いて、蛍光体層31〜33に含まれる蛍光体を可視光発光させることで、所定の画像をフロントパネル20側に表示することができる。
次に、本実施形態にかかるPDPに用いられている緑色蛍光体層について説明する。
本実施形態のPDP10に用いられる緑色蛍光体層は、第1の蛍光体として、一般式aYO3/2・(3−a)CeO3/2・bAlO3/2・cGaO3/2・fWO3(2.80≦a≦2.99、3.00≦b≦5.00、0≦c≦2.00、0.003≦f≦0.020、ただし4.00≦b+c≦5.00)で表される蛍光体を含んでいる。なお、上記一般式において、aは、輝度の観点から好ましい範囲は、2.97≦a≦2.99である。
また、第2の蛍光体として、一般式dZnO・(2−d)MnO・eSiO2(1.80≦d≦1.90、1.00≦e≦1.02)で表される蛍光体を、30重量%以上60重量%以下含んでいる。なお、上記一般式において、dは、輝度と残光時間の観点から好ましい範囲は、1.82≦d≦1.88である。
また、本実施形態のPDP10に用いられる緑色蛍光体層は、第1の蛍光体として、上記説明した組成の蛍光体に代えて、一般式aYO3/2・(3−a)CeO3/2・bAlO3/2・cGaO3/2・gK2WO4(2.80≦a≦2.99、3.00≦b≦5.00、0≦c≦2.00、0.003≦g≦0.015、ただし4.00≦b+c≦5.00)で表される蛍光体を含んでも良い。なお、上記一般式において、aは、輝度の観点から好ましい範囲は、2.97≦a≦2.99である。
また、この場合においても本実施形態にかかるPDP10に使用される緑色蛍光体層は、上記第1の蛍光体に、第2の蛍光体として、一般式dZnO・(2−d)MnO・eSiO2(1.80≦d≦1.90、1.00≦e≦1.02)で表される蛍光体を30重量%以上60重量%以下含んでいる。なお、上記一般式において、dは、輝度と残光時間の観点から好ましい範囲は、1.82≦d≦1.88である。
次に、本実施形態のPDPに使用される緑色蛍光体の製造方法について説明する。なお、以下の説明はあくまでも緑色蛍光体の製造方法の例示であって、本願で開示する緑色蛍光体の製造方法は、以下説明する方法に限られるものではない。
原料としては、使用される緑色蛍光体を構成する元素を含む高純度(純度99%以上)の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩など、焼成により酸化物になる化合物か、または、高純度(純度99%以上)の酸化物を用いることができる。
また、反応を促進するために、フッ化物(フッ化アルミニウム等)や塩化物(塩化亜鉛等)を少量添加することが好ましい。
蛍光体の製造は、上記の原料を混合し、焼成して行うが、原料の混合方法としては、溶液中での湿式混合でも乾燥粉体の乾式混合でもよく、工業的に通常用いられるボールミル、媒体撹拌ミル、遊星ミル、振動ミル、ジェットミル、V型混合機、攪拌機等の周知の撹拌混合手段を用いることができる。
混合粉体の焼成方法は、蛍光体の組成系により異なる。本実施形態における緑色蛍光体層を構成する第1の蛍光体のうち、一般式aYO3/2・(3−a)CeO3/2・bAlO3/2・cGaO3/2・fWO3で表される蛍光体の焼成は、窒素ガス、あるいは、0〜50体積%の窒素を含む炭酸ガス等による特定酸素分圧雰囲気で、1200〜1400℃の温度範囲で1〜50時間程度焼成を行う。また、本実施形態における緑色蛍光体層を構成する第2の蛍光体の焼成は、0〜50体積%の窒素を含む炭酸ガス中において、1100〜1300℃の温度範囲で1〜10時間程度行う。
なお、第1の蛍光体として用いられる一般式aYO3/2・(3−a)CeO3/2・bAlO3/2・cGaO3/2・gK2WO4で表される蛍光体の場合は、まず、大気中において1100〜1300℃の温度範囲で1〜50時間程度の焼成を行い、さらに、窒素ガスあるいは0〜50体積%の窒素を含む炭酸ガス等による特定酸素分圧雰囲気で、1200〜1400℃の温度範囲で1〜50時間程度の焼成を行う。
焼成に用いる炉は、工業的に通常用いられる炉を用いることができ、プッシャー炉等の連続式の電気炉、または、バッチ式の電気炉、さらに、ガス炉を用いることができる。
焼成の結果得られた蛍光体粉末を、ボールミルやジェットミルなどを用いて再度粉砕し、さらに必要に応じて洗浄あるいは分級することにより、蛍光体粉末の粒度分布や流動性を調整することができる。
本願で開示するPDPに用いられる緑色蛍光体層は、上記のように、第1の蛍光体として一般式aYO3/2・(3−a)CeO3/2・bAlO3/2・cGaO3/2・fWO3で表される蛍光体、または、一般式aYO3/2・(3−a)CeO3/2・bAlO3/2・cGaO3/2・gK2WO4で表される蛍光体を用い、さらに、第2の蛍光体として、一般式dZnO・(2−d)MnO・eSiO2で表される蛍光体を30重量%以上60重量%以下含んでいる。このため、従来のY3Al5O12:Ce等の緑色蛍光体が使用される蛍光体層を緑色蛍光体層として備えたPDPと比較して、輝度および色純度が高く、高効率であり、かつ、立体映像を表現できる3D−PDPにも対応可能な短残光の緑色蛍光体層を備えることができる。
以下、本実施形態にかかるPDPに用いられる緑色蛍光体層について、第1の蛍光体、第2の蛍光体それぞれにおける組成と、第1の蛍光体と第2の蛍光体との混合比率とを変更した場合に得られる特性について、具体的な実施例と、これと比較するための比較例を挙げて詳細に説明する。
<第1の蛍光体試料の作製>
[一般式aYO3/2・(3−a)CeO3/2・bAlO3/2・cGaO3/2・fWO3で表される蛍光体]
出発原料として、Y2O3、Al2O3、Ga2O3、CeO2、WO3を用い、これらを所定の組成になるよう秤量し、ボールミルを用いて純水中で湿式混合した。この混合物を乾燥させた後、0〜50体積%の窒素を含む炭酸ガス中、1200〜1400℃で4時間焼成して蛍光体を得た。
[一般式aYO3/2・(3−a)CeO3/2・bAlO3/2・cGaO3/2・fWO3で表される蛍光体]
出発原料として、Y2O3、Al2O3、Ga2O3、CeO2、WO3を用い、これらを所定の組成になるよう秤量し、ボールミルを用いて純水中で湿式混合した。この混合物を乾燥させた後、0〜50体積%の窒素を含む炭酸ガス中、1200〜1400℃で4時間焼成して蛍光体を得た。
さらに、得られた蛍光体粉末を、ボールミルを用いて再度粉砕し、粒度分布を調整した。
上記一般式における、a、b、c、fの数値を異ならせた、実施例と比較例とに相当する蛍光体試料について、その輝度(Y)と、色度(x、y)を測定した。なお、輝度Yは、それぞれの蛍光体試料に真空中で波長146nmの真空紫外光を照射し、可視領域の発光を測定することで測定した。
作製した蛍光体の組成比と、輝度(Y)および色度(x、y)の測定結果を表1に示す。
なお、Yは国際照明委員会XYZ表色系における輝度Yであり、試料番号1として作成した、a=2.80、b=5.00、c=0、f=0である蛍光体におけるYの値を100とした相対値である。表1において、試料番号に*印を付した試料は、本願で開示する緑色蛍光体の組成の範囲から外れた比較例に相当する蛍光体であることを示している。
表1から明らかなように、組成比が本願で開示する緑色蛍光体の組成範囲内にある、実施例としての蛍光体(試料番号5〜9)は、真空紫外光励起による輝度が高く、また、緑色発光の色純度が改善されている(色度のx値が小さく、y値が大きい)ことが確認できる。中でも、組成比が2.97≦a≦2.99の組成範囲内にある蛍光体(試料番号6〜9)では、特に輝度が高い。
なお、試料番号5〜9の実施例である蛍光体試料に対し、真空中で波長146nmの真空紫外光をパルス照射し、可視領域の発光強度が1/10に減衰する時間(1/10残光時間)を測定したところ、いずれも0.5ミリ秒以下の優れた残光特性であることが確認できた。
[一般式aYO3/2・(3−a)CeO3/2・bAlO3/2・cGaO3/2・gK2WO4で表される蛍光体]
出発原料として、Y2O3、Al2O3、Ga2O3、CeO2、K2WO4を用い、これらを所定の組成になるよう秤量し、ボールミルを用いて純水中で湿式混合した。この混合物を乾燥させた後、大気中において1200℃の温度で4時間焼成し、さらに、窒素ガスあるいは0〜50体積%の窒素を含む炭酸ガス中で、1200〜1400℃の温度範囲で4時間焼成して蛍光体を得た。
出発原料として、Y2O3、Al2O3、Ga2O3、CeO2、K2WO4を用い、これらを所定の組成になるよう秤量し、ボールミルを用いて純水中で湿式混合した。この混合物を乾燥させた後、大気中において1200℃の温度で4時間焼成し、さらに、窒素ガスあるいは0〜50体積%の窒素を含む炭酸ガス中で、1200〜1400℃の温度範囲で4時間焼成して蛍光体を得た。
得られた蛍光体粉末を、ボールミルを用いて再度粉砕し、粒度分布を調整した。
上記一般式における、a、b、c、gの数値を異ならせた、実施例と比較例とに相当する蛍光体試料について、その輝度(Y)と、色度(x、y)を測定した。
作製した蛍光体の組成比と、輝度(Y)および色度(x、y)の測定結果を表2に示す。なお、Yは表1における試料番号1の蛍光体の輝度Yに対する相対値であり、表2において*印を付した試料は、本願で開示する緑色蛍光体の組成の範囲から外れた比較例に相当する蛍光体であることを示している。
表2から明らかなように、組成比が本願で開示する緑色蛍光体の組成範囲内にある、実施例としての蛍光体(試料番号19〜23)は、真空紫外光励起による輝度が高く、緑色発光の色純度が改善されている(色度x値が小さく、y値が大きい)。中でも、組成比が2.97≦a≦2.99の組成範囲内にある蛍光体(試料番号20〜23)では、特に輝度が高い。
なお、試料番号19〜23の実施例である蛍光体試料に対し、真空中で波長146nmの真空紫外光をパルス照射し、可視領域の発光強度が1/10に減衰する時間(1/10残光時間)を測定したところ、いずれも0.5ミリ秒以下の優れた残光特性であることが確認できた。
<第2の蛍光体試料の作製>
出発原料として、ZnO、MnCO3、SiO2を用い、これらを所定の組成になるよう秤量し、ボールミルを用いて純水中で湿式混合した。この混合物を乾燥させた後、0〜50体積%の窒素を含む炭酸ガス中において、1100〜1300℃の温度範囲で4時間焼成して蛍光体を得た。
出発原料として、ZnO、MnCO3、SiO2を用い、これらを所定の組成になるよう秤量し、ボールミルを用いて純水中で湿式混合した。この混合物を乾燥させた後、0〜50体積%の窒素を含む炭酸ガス中において、1100〜1300℃の温度範囲で4時間焼成して蛍光体を得た。
作製した蛍光体の数値d、eとして表される組成比と、上述した測定方法での試料の輝度(Y)および1/10残光時間の測定結果を表3に示す。なお、Yは、表1および表2と同様に、表1において試料番号1として示した蛍光体の輝度Yに対する相対値である。また、表3においても、本願で開示する緑色蛍光体の組成の範囲から外れた比較例に相当する蛍光体については、試料番号に*印を付している。
表3から明らかなように、組成比が本願で開示する緑色蛍光体の組成範囲内にある実施例としての蛍光体(試料番号14〜17)は、真空紫外光励起による輝度が高く、1/10残光時間が比較的短い。
なお、表3に示した試料番号14〜17として示した実施例としての蛍光体試料の色度(x、y)は、いずれも(0.230、0.700)から(0.240、0.710)の範囲内であり、色純度が極めて高いことが確認できた。
<パネルの輝度、色度、残光時間の測定>
緑色蛍光体層を構成する第1の蛍光体として、表1における試料番号1、試料番号7、試料番号9として示した蛍光体、表2における試料番号21、試料番号23として示した蛍光体から選択して使用し、また、第2の蛍光体として表3における試料番号17として示した蛍光体を使用し、さらに混合割合を変更して、図1として例示した構成の交流面放電型PDPの緑色蛍光体層を作製した。作製したPDPについて、パネル初期輝度と色度、および、1/10残光時間を測定した。
緑色蛍光体層を構成する第1の蛍光体として、表1における試料番号1、試料番号7、試料番号9として示した蛍光体、表2における試料番号21、試料番号23として示した蛍光体から選択して使用し、また、第2の蛍光体として表3における試料番号17として示した蛍光体を使用し、さらに混合割合を変更して、図1として例示した構成の交流面放電型PDPの緑色蛍光体層を作製した。作製したPDPについて、パネル初期輝度と色度、および、1/10残光時間を測定した。
測定結果を表4に示す。なお、パネル初期輝度については、試料番号1のみの蛍光体を用いて緑色蛍光体層を構成した場合における輝度を100として、相対値で表している。また、パネルは緑色1色の固定表示として測定した。なお、表4においても、*印を付した試料は、本願で開示する緑色蛍光体の組成の範囲から外れた比較例に相当する蛍光体であることを示している。
表4から明らかなように、緑色蛍光体層を、第1の蛍光体に加えて、第2の蛍光体を30重量%以上60重量%以下の範囲で混合して形成することで、色純度と残光特性を著しく悪化させずに、パネル輝度が改善されていることが確認された。特に、一般式aYO3/2・(3−a)CeO3/2・bAlO3/2・cGaO3/2・gK2WO4で表される蛍光体に対して、一般式dZnO・(2−d)MnO・eSiO2で表される第2の蛍光体を混合して使用することで、パネル輝度が顕著に改善されていることが確認できた。
なお、第2の蛍光体の混合量が10重量%以下の場合、色純度の改善効果が認められないため、好ましくない。また、第2の蛍光体の混合量が80重量%以上の場合、パネル輝度が著しく悪化するため、やはり好ましくない。
本願で開示するように、緑色蛍光体層に、第1の蛍光体として一般式aYO3/2・(3−a)CeO3/2・bAlO3/2・cGaO3/2・fWO3で表される蛍光体、または、一般式aYO3/2・(3−a)CeO3/2・bAlO3/2・cGaO3/2・gK2WO4で表される蛍光体を用い、さらに、第2の蛍光体として、一般式dZnO・(2−d)MnO・eSiO2で表される蛍光体を30重量%以上60重量%以下含むことにより、残光時間が短く、輝度と色純度が高い高効率のプラズマディスプレイパネルを提供することができる。
Claims (1)
- 真空紫外線により可視光を発する緑色蛍光体層を備えたプラズマディスプレイパネルであって、前記緑色蛍光体層は、一般式aYO3/2・(3−a)CeO3/2・bAlO3/2・cGaO3/2・fWO3(2.80≦a≦2.99、3.00≦b≦5.00、0≦c≦2.00、0.003≦f≦0.020、ただし4.00≦b+c≦5.00)で表される蛍光体、または、一般式aYO3/2・(3−a)CeO3/2・bAlO3/2・cGaO3/2・gK2WO4(2.80≦a≦2.99、3.00≦b≦5.00、0≦c≦2.00、0.003≦g≦0.015、ただし4.00≦b+c≦5.00)で表される蛍光体のいずれかと、一般式dZnO・(2−d)MnO・eSiO2(1.80≦d≦1.90、1.00≦e≦1.02)で表される蛍光体を30重量%以上60重量%以下含む緑色蛍光体で構成されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
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