JP5588289B2 - ジカルボン酸モノエステル誘導体およびアクリル酸エステル誘導体の製造方法 - Google Patents
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近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化(高エネルギー化)が行われている。従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザーより短波長(高エネルギー)のF2エキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などを用いたリソグラフィーについても検討されている。
例えばポジ型の化学増幅型レジスト組成物としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(ベース樹脂)と、酸発生剤成分とを含有するレジスト組成物が一般的に用いられている。かかるレジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、レジストパターン形成時に選択的露光を行うと、露光部において、酸発生剤成分から酸が発生し、該酸の作用により樹脂成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大して、露光部がアルカリ現像液に対して可溶となる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、リソグラフィー特性に優れるレジスト材料に用いられる高分子化合物の原料となる(メタ)アクリル酸エステル誘導体を製造するにあたり、工業的に入手容易な原料を用い、安全で安価に工業的規模で製造することが可能となる合成中間体を提供すること、および該合成中間体を用いた(メタ)アクリル酸エステル誘導体の製造方法を提供することを課題とする。
[1]下記一般式(1)
で示されるジカルボン酸モノエステル誘導体。
[2]前記一般式(1)において、nが1である、上記[1]に記載のジカルボン酸モノエステル誘導体。
本発明のジカルボン酸モノエステル誘導体(以下、ジカルボン酸モノエステル誘導体(1)と称する。)は、下記一般式(1)で示される。
R2が表す、炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、各種プロピル基(「各種」とは、直鎖状およびあらゆる分岐鎖状を含むことを示し、以下同様である。)、各種ブチル基、各種ペンチル基が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基が好ましい。
R2が表す、炭素数3〜10の環状炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダンチル基、2−アダマンチル基などが挙げられる。これらの中でも、シクロペンチル基、2−アダマンチル基が好ましい。前記環状炭化水素基が有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
以上の中でも、R2としては、メチル基、エチル基、1−エチルシクロペンタン−1−イル基、1−イソプロピルシクロペンタン−1−イル基、2−メチルアダマンタン−2−イル基、2−エチルアダマンタン−2−イル基、2−イソプロピルアダマンタン−2−イル基が好ましい。
特に、R1としては、水素原子が好ましい。
ジカルボン酸モノエステル誘導体(1)中のZは、>C=O、>S=Oまたは>S(=O)2を表す。これらの中でも、Zとしては、>C=Oまたは>S(=O)2が好ましい。
ジカルボン酸モノエステル誘導体(1)中のnは、1〜3の整数を表す。nとしては1が好ましい。
本発明のジカルボン酸モノエステル誘導体(1)の製造方法に特に制限はないが、例えば、下記化学式中に示すアルコール誘導体(以下、アルコール誘導体(a)と称する。)とジカルボン酸無水物(以下、ジカルボン酸無水物(b)と称する。)とを、塩基性化合物の存在下に反応させることにより製造することができる。
ジカルボン酸無水物(b)の使用量は、アルコール誘導体(a)1モルに対して、0.7〜3モルが好ましく、後処理の容易さの観点から、1〜2モルがより好ましい。
有機塩基としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチレンテトラミン、トリエタノールアミン、ピペラジン、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどのアミン;ピリジン、2−メチルピリジン、2−メチル−5−エチルピリジン、2,6−ジメチルピリジンなどの含窒素複素環式芳香族化合物などが挙げられる。また、無機塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウムなどのアルカリ金属水素化物またはアルカリ土類金属水素化物などが挙げられる。これらの中でも、有機塩基が好ましく、アミンがより好ましい。
塩基性化合物の使用量は、アルコール誘導体(a)1モルに対して、0.7〜3モルが好ましく、後処理の容易さの観点から、1〜2モルがより好ましい。
本反応を溶媒の存在下に実施する場合、溶媒の使用量は、アルコール誘導体(a)1質量部に対して、0.5〜100質量部が好ましく、後処理の容易さの観点から、0.5〜20質量部がより好ましく、0.5〜10質量部がさらに好ましい。
反応時間は、アルコール誘導体(a)、酸無水物および塩基化合物の種類や使用量、反応温度などによっても異なるが、概ね1時間〜50時間が好ましい。
反応は、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下に実施することが好ましい。
例えば、反応終了後、得られた反応混合液を0〜5℃に冷却することによって固体を析出させ、該固体をろ取した後、溶媒(例えばニトリルなど)と水の混合溶液(質量比=1:3程度)などで固体を洗浄し、次いで乾燥させることによって、ジカルボン酸モノエステル誘導体(1)を得ることができる。さらに再結晶などの精製手段によって、ジカルボン酸モノエステル誘導体(1)の純度を高めることも可能である。
例えば、アルコール誘導体(a)の構造式において、R1が水素原子で、Zが>S(=O)2である5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンスルトンについては、次のようにして製造することができる。すなわち、シクロペンタジエンと系内で発生させたビニルスルホニルクロリドとをディールス−アルダー反応させて5−ノルボルネン−2−スルホニルクロリドを得、次いで水酸化ナトリウム水溶液を接触させることにより5−ノルボルネン−2−スルホン酸ナトリウム塩とし、さらに過ギ酸によるエポキシ化反応に供することにより、目的物を製造することができる(特開2010−83873号公報参照)。
他にも、アルコール誘導体(a)の構造式において、R1が水素原子で、Zが>C=Oであるものについては、「J.Chem.Soc., H.B.Henbestら、p.221−226(1959年)」に開示された方法により製造することができる。
以上の方法や公知の方法を参照することにより、そのほかのアルコール誘導体(a)も製造することができる。
本発明のジカルボン酸モノエステル誘導体(1)から、安全で安価に工業的規模にて、アクリル酸エステル誘導体(2)を容易に製造することができる(下記化学反応式参照)。具体的には、ジカルボン酸モノエステル誘導体(1)とヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させることにより、アクリル酸エステル誘導体(2)を製造することができる。より具体的には、下記の製造方法(A)や(B)が好ましい。
製造方法(A):触媒の存在下、ジカルボン酸モノエステル誘導体(1)をヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと反応させる方法。
製造方法(B):ジカルボン酸モノエステル誘導体(1)、塩基性化合物および活性化剤を反応[第1反応]させた後、塩基性化合物の存在下、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと反応[第2反応]させる方法。
なお、上記ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートは、以下の化学反応式中に記載した構造である。
以下、前記製造方法(A)について説明する。
製造方法(A)で使用する触媒としては、強酸が好ましく、例えば、塩化水素、硫酸などの鉱酸;p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの酸性有機化合物が挙げられる。これらの中でも、硫酸、p−トルエンスルホン酸が好ましい。酸性化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
酸性化合物の使用量は、ジカルボン酸モノエステル誘導体(1)1モルに対して、0.001〜2モルが好ましく、0.001〜1モルがより好ましく、後処理の容易さの観点から、0.01〜1モルがさらに好ましい。
溶媒の存在下に反応を実施する場合、溶媒の使用量は、アルコール誘導体(3)1質量部に対して、0.5〜100質量部が好ましく、後処理の容易さの観点から、0.5〜20質量部がより好ましく、0.5〜10質量部がさらに好ましい。
反応圧力に特に制限は無く、溶媒の種類や反応温度などによっても異なるが、1〜100kPaが好ましく、10〜60kPaがより好ましい。
反応時間は、反応温度、触媒の使用量によって異なるが、概ね1〜100時間が好ましく、重合等の副反応を抑制する観点から、1〜50時間がより好ましい。
製造方法(A)の反応は、塩基性化合物を添加することによって停止することができる。該塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどのアルカリ金属炭酸塩またはアルカリ土類金属炭酸塩などが挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属水酸化物が好ましい。なお、該塩基性化合物は、必要に応じて水と混合し、水溶液として用いてもよい。
以下、前記製造方法(B)の第1反応、第2反応について順に説明する。
−第1反応−
製造方法(B)の第1反応で使用される塩基性化合物としては、有機塩基、無機塩基のいずれも使用できる。有機塩基としては、例えばトリエチルアミン、トリオクチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンテトラミン、トリエタノールアミン、ピペラジン、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどのアミン;ピリジン、2−メチルピリジン、2−メチル−5−エチルピリジン、2,6−ジメチルピリジンなどの含窒素複素環式芳香族化合物が挙げられる。無機塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物などが挙げられる。これらの中でも、有機塩基が好ましく、トリエチルアミン、ピリジンがより好ましい。
塩基性化合物の使用量は、ジカルボン酸モノエステル誘導体(1)1モルに対して、0.7〜3モルが好ましく、1〜2モルがより好ましい。
活性化剤の使用量は、ジカルボン酸モノエステル誘導体(1)1モルに対して、0.7〜3モルが好ましく、1〜2モルがより好ましい。
溶媒の存在下に反応を実施する場合、溶媒の使用量は、ジカルボン酸モノエステル誘導体(1)1質量部に対して、0.5〜100質量部が好ましく、後処理の容易さの観点から、0.5〜20質量部がより好ましく、0.5〜10質量部がさらに好ましい。
製造方法(B)の第1反応の反応圧力に特に制限は無く、反応温度などによっても異なるが、実施における操作の簡便性の観点から、常圧が好ましい。
製造方法(B)の第1反応の反応時間は、反応温度、使用する活性化剤の種類によって異なるが、概ね0.1〜50時間が好ましく、0.5〜30時間がより好ましい。
第1反応は、窒素、アルゴンなどの不活性ガスの雰囲気下に実施することが好ましい。
以上のようにして得られる反応混合液を、そのまま製造方法(B)の第2反応の原料とすることが好ましい。
製造方法(B)の第2反応で使用されるヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとしては、具体的には、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートが挙げられる。
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの使用量は、第1反応で使用するジカルボン酸モノエステル誘導体(1)1モルに対して、1〜10モルが好ましく、1〜5モルがより好ましい。
塩基性化合物の使用量は、第1反応で使用するジカルボン酸モノエステル誘導体(1)1モルに対して、1〜3モルが好ましく、1〜2モルがより好ましい。製造方法(B)の第1反応で使用する塩基性化合物と同じ塩基性化合物を選択することが、さらに好ましい。
溶媒の存在下に反応を実施する場合、溶媒の使用量は、第1反応で使用するジカルボン酸モノエステル誘導体(1)に対して、0.5〜100質量部が好ましく、後処理の容易さの観点から、0.5〜20質量部がより好ましく、0.5〜10質量部がさらに好ましい。
製造方法(B)の第2反応の反応圧力に特に制限は無く、反応温度などによっても異なるが、実施における操作の簡便性の観点から、常圧が好ましい。
製造方法(B)の第2反応の反応時間は、反応温度、使用する活性化剤の種類によって異なるが、概ね0.1〜50時間が好ましく、0.5〜30時間がより好ましい。
第2反応は、窒素、アルゴンなどの不活性ガスの雰囲気下に実施することが好ましい。
なお、製造方法(B)の第2反応では、水を添加することによって反応を停止することができる。
例えば、反応終了後、得られた反応混合液を有機層と水層とに分液し、水層をトルエンで抽出し、前記有機層と合わせ、濃縮することでアクリル酸エステル誘導体(2)が得られる。次いで、酢酸エチルとジイソプロピルエーテルの混合溶媒などを用いて再結晶することにより、純度の高いアクリル酸エステル誘導体(2)を得ることができる。
攪拌装置、温度計を取り付けた内容積1Lの四つ口フラスコに、フェノチアジン0.40g、テトラヒドロフラン(THF)1154.0g、シクロペンタジエン87.0g(1.32mol)を仕込み、攪拌しながら5℃以下に冷却した。次いで、別々の滴下ロートに、2−クロロエタンスルホニルクロリド195.7g(1.20mol)、トリエチルアミン146.0g(1.45mol)をそれぞれ入れ、内温5〜10℃で3時間かけて同時に滴下を行った。
滴下終了後、反応混合物を5〜10℃で3時間攪拌した後、析出している塩を減圧ろ過し、続いてろ別した塩にTHF600.0gを注いで、ろ液1632.8gを得た(該ろ液を「ろ液(A)」と称する)。該ろ液(A)をガスクロマトグラフィーで分析したところ、5−ノルボルネン−2−スルホニルクロリドを178.2g(0.925mol)含んでいた(2−クロロエタンスルホニルクロリドに対して収率77.1%)。
攪拌装置、温度計を取り付けた内容積3Lの三つ口フラスコに、水920gを入れ、20℃以下に冷却した。攪拌しながら、水酸化ナトリウム80.30g(2.01mol)を内温が20℃以下になるように入れた。ここに、「ろ液(A)」1300g(5−ノルボルネン−2−スルホニルクロリドは、141.9g、0.737mol)を、内温20〜25℃で、4時間かけて滴下した。
滴下終了から1時間後に反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、5−ノルボルネン−2−スルホニルクロリドは完全に消失していた。反応混合液を減圧下に濃縮し、THFを除去した後、2Lの分液ロートに移してトルエン300gで3回洗浄し、5−ノルボルネン−2−スルホン酸ナトリウム塩を含む水溶液1065.3gを得た(該水溶液を「水溶液(A)」と称する)。
攪拌装置、温度計を取り付けた内容積3Lの三つ口フラスコに、「水溶液(A)」を全て入れ、10℃に冷却した。99%ギ酸93.27g(2.01mol)を内温11〜15℃で滴下した後、加熱して内温を50〜53℃としたところに、30%過酸化水素水162.50g(1.43mol)を3時間かけて滴下した。滴下終了後も内温を50℃前後に維持し、滴下終了から17時間後に反応混合液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析したところ、5−ノルボルネン−2−スルホン酸の変換率は98.7%であった。
反応混合液を15℃まで冷却後、亜硫酸ナトリウム36.55g(0.29mol)を内温15〜18℃でゆっくり加え、デンプン紙により過酸化水素が検出されないことを確認し、炭酸水素ナトリウム140.95g(1.68mol)を内温15〜17℃でゆっくり加え、反応混合液のpHを7.3とした。酢酸エチル900gで2回抽出を行い、得られた有機層を合わせて減圧下に濃縮し、黄白色の固体69.15gを得た。この固体を酢酸エチル140gに50℃で溶解させた後、10℃までゆっくり冷却し、析出した結晶をろ過した。ろ別した結晶を5℃の酢酸エチル30gで洗浄し、40℃で2時間減圧下に乾燥することで、下記構造の5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンスルトン53.9g(純度99.1%、0.28mol)を得た(5−ノルボルネン−2−スルホニルクロリドに対して収率38.1%)。
攪拌装置および温度計を取り付けた内容積2000mLの四つ口フラスコに、5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンスルトン180.0g(946.3mmol)、無水コハク酸104.2g(1041.2mmol)、アセトニトリル274.7gを仕込んだ。続いて、攪拌しながら内温39〜45℃で、トリエチルアミン58.0g(567.4mmol)を30分かけて滴下した。その後、39〜45℃で1時間攪拌した後、内温45〜34℃で、0.676mol/kgの塩酸820.6g(556.4mmol)を23分かけて滴下した。
内温を40℃とし、系内が均一溶液であるのを確認した後、4時間かけて内温を1℃まで降下することで、固体を析出させた。その後、1℃にて3時間攪拌した後、濾紙でろ過を行った。アセトニトリルと水の混合溶液(アセトニトリル/水=1/3(質量比))274.8gで固体を洗浄した後、40℃にて8時間かけて固体を乾燥させ、下記、4−オキサ−5−チアトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−5,5−ジオキシド−2−イル=スクシナートの白色固体221.4g(収率80.6%)を取得した。
攪拌装置および温度計を取り付けた内容積100mLの四つ口フラスコに、フラン48.0g(0.705mol)およびアクリル酸メチル20.0g(0.232mol)を入れ、−20℃に冷却した。そこへ、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体3.0mLを、内温−15〜−18℃を保持しながら滴下した。滴下終了後、内温0〜5℃で14時間攪拌を継続した。反応混合液を減圧下に濃縮し、得られた濃縮物を酢酸エチル300gに溶解し、水50g、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50g、飽和食塩水50gで順次洗浄した後、減圧下に濃縮することにより油状物28.3gを得た。
該油状物に10%水酸化ナトリウム水溶液93.6g(0.234mol)を加え、室温にて24時間攪拌した後、濃塩酸でpHを2.0とした。酢酸エチル300gで3回抽出した後、得られた抽出層を合わせて減圧下にて濃縮することにより固体21.5gを得た。
攪拌装置、温度計および滴下漏斗を取り付けた内容積200mLの四つ口フラスコに、上記で得られた固体全量を入れ、88%ギ酸12.0g(0.232mol)を20〜30℃で混合した後、加熱して内温を45〜46℃とした。次いで、30%過酸化水素水26.1g(0.232mol)を6時間かけて滴下した。滴下終了後内温を45℃前後に保ちながら20時間攪拌した。反応混合液を15℃まで冷却後、亜硫酸ナトリウム9.7gを内温15〜20℃で添加し、デンプン紙により過酸化水素が検出されなくなることを確認した後、20%水酸化ナトリウム水溶液で反応混合液のpHを7.8とした。酢酸エチル400gで3回抽出を行い、得られた有機層を合わせて減圧下に濃縮した。得られた固体にエタノール30gを添加し、加温して固体が完全に溶解してから0℃までゆっくりと冷却し、析出した結晶をろ過した。ろ別した結晶を0℃のエタノール10gで洗浄し、40℃で2時間減圧下に乾燥することで、下記構造の5−ヒドロキシ−2,6−(7−オキサノルボルナン)カルボラクトン10.8g(純度98.9%、0.068mol)を得た。
攪拌装置および温度計を取り付けた内容積1000mLの四つ口フラスコに、5−ヒドロキシ−2,6−(7−オキサノルボルナン)カルボラクトン73.2g(468.8mmol)、無水コハク酸51.6g(515.7mmol)、アセトニトリル162.5gを仕込んだ。続いて、攪拌しながら内温15〜30℃で、トリエチルアミン28.4g(281.3mmol)を5分かけて添加した。その後、43℃で1時間攪拌した後、内温43〜28℃で、0.577mol/kgの塩酸487.8g(281.3mmol)を7分かけて滴下した。
内温を43℃とし、系内が均一溶液であるのを確認した後、4時間かけて内温を1℃まで降下することで、固体を析出させた。その後、1℃にて1時間攪拌した後、濾紙でろ過を行った。アセトニトリルと水の混合溶液(アセトニトリル/水=1/3(質量比))120gで固体を洗浄した後、41℃にて2.5時間かけて固体を乾燥させ、下記構造の、5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル=スクシナートの白色固体98.1g(81.6%)を取得した。
ディーンスターク、攪拌装置および温度計を取り付けた内容積500mlの四つ口フラスコに、実施例1で得た4−オキサ−5−チアトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−5,5−ジオキシド−2−イル=スクシナート2.9g(10mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物1.0g(5mmol)、トルエン10gおよびヒドロキシエチルメタクリレート1.4g(11mmol)を仕込み、系内を33.2kPaに減圧した。
続いて内温を80℃に昇温し、ディーンスタークに溜まった水を適宜抜き取りながら30時間加熱を続けた。
内温を25℃に冷却した後、減圧を解除し、10質量%−水酸化ナトリウム水溶液2.2g(5.5mmol)を添加した。反応混合物を分液ロートに移送し、分液した。水層をトルエン10gによって抽出し、有機層と抽出液とを混合した後、減圧下に濃縮した。
得られた濃縮物に酢酸エチル10gおよびジイソプロピルエーテル20gを添加し、内温を50℃に昇温して結晶を溶解させた。続いて内温を5時間かけて0℃まで冷却し、0℃にて2時間攪拌した後、析出した結晶をグラスフィルターによってろ別した。
得られた結晶を0.3kPa、40℃の条件下で乾燥することによって、下記構造の2’−メタクリロイルオキシエチル−4−オキサ−5−チアトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−5,5−ジオキシド−2−イル=スクシナート3.3g(白色固体、収率82.0%)を取得した。
Claims (4)
- 前記一般式(1)において、nが1である、請求項1に記載のジカルボン酸モノエステル誘導体。
- 下記一般式(1)
で示されるジカルボン酸モノエステル誘導体と、下記一般式(2)
で示されるヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させることを特徴とする、下記一般式(3)
で示されるアクリル酸エステル誘導体の製造方法。 - 前記一般式(1)および(3)において、nが1である、請求項3に記載のアクリル酸エステル誘導体の製造方法。
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