JP5586389B2 - 屋上におけるドレン周辺部およびその施工方法 - Google Patents

屋上におけるドレン周辺部およびその施工方法 Download PDF

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本発明は、屋上におけるドレン周辺部およびその施工方法に関し、特に、ドレン周りの段差をなくして、防水において要所であるドレン周りで水の滞留が生じないようにした、屋上におけるドレン周辺部およびその施工方法に関するものである。
従来、屋上の防水対策として、特許文献1のように防水シートを平場の上面から立上り壁にかけて配置し、その防水シートの所定位置を固定部材のフランジに接合一体化し、良好な排水性を得ることができるシート防水構造が提案されている。
また、特許文献2においては、屋根床面と立上り壁とからなる隅部の防水処理と変形歪みの解消を図る、コンクリート構築物用防水枠体を開示している。
また、特許文献3においては、屋根面板部又はバルコニー床の水下部と内樋との間を防水フランジで封じる構成のものが開示されている。
特開2001−32464号公報 特開平5−156756号公報 特開平7−331818号公報
さらに、図8から図14に示されるように、断熱材と防水シートとを組み合わせて、下地に断熱防水処理を施したものとして、屋上の平場Fpから端縁部の立ち上り壁Rwに亘ってのドレン周辺部1に対し、周知の断熱材2(例えば硬質ウレタンフォーム)を積層し、さらに優れた防水性と意匠性とを兼ね備えた塩化ビニールシート3(塩化ビニル樹脂に可塑剤、充填剤等を添加し、補強繊維を積層したもの)を積層する構成としている。
ドレン周辺部1には、所定範囲、下地4を剥き出して、掘り込み形成されたドレン設置部5が形成され、このドレン設置部5の中心部には、ドレンDが躯体を貫いて設けられ、この排水路にドレンホース(図示省略)が介装されている。
このようなドレン周辺部1においては、ドレン設置部5に向けて、断熱材2を切断して傾斜面6を形成し、その傾斜上端の断熱材2と、傾斜下端に接した下地4にビスBなどの固定金具Pを取り付け、固定金具Pに塩化ビニールシート3を固定していた。
しかしながら、このような、固定金具Pに塩化ビニールシート3を固定する方法では、固定金具P高さの段差が生じるため、防水において要所であるドレンD周りに水が滞留する状態を招来し、円滑な排水の妨げとなる虞があった。
また、断熱材2の切断面は塩化ビニールシート3の未接着箇所を生み出す要因となり、塩化ビニールシート3の納まりが悪く、仕上がり全体の外観をも損ねる結果となっていた。
さらに上述の工法では、固定金具Pの取り付けにおいて、断熱材2を貫通するビスBにて下地4に開けられた穴に固定しており、かかる固定用の穴を下地4に開けることにより下地4が損傷するおそれがある。
また、固定金具Pを下地4に取り付けるためには、下地4および断熱材2にドリルで穴を開ける穴あけ加工、並びにビスBで固定するという締め付け作業を伴うものであるから、手間がかかり、工事全体の作業効率も悪く、コスト高の要因ともなる。
本発明は、以上のような課題を改善するために提案されたものであって、ドレン周辺部に対し、現場での加工することがないように、ドレン設置部への下り勾配の傾斜面を形成し、この傾斜面に対し、防水シートを貼り付けることで、防水シートと断熱材との未接着部分をなくすことで納まりを向上させ、ドレン周辺部での固定金具による段差をなくして水の滞留の発生を防止し、また、下地の穴あけ加工を不要として、下地の損傷のない、良好な施工効果を奏することができる、屋上におけるドレン周辺部およびその施工方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明では、屋上に形成されたドレンの周囲に設置され、ドレンに向けて下り勾配の傾斜面を有するドレン設置部を備えた屋上におけるドレン周辺部において、ドレン設置部は、屋上の下地上に敷設され、ドレンを端縁部で取り囲むようにした外装材と、これら外装材の端縁部に添設して、傾斜面を形成する傾斜端縁部材と、を備え、前記傾斜端縁部材は、断面略三角形状の薄板部材で構成され、前記外装材の端縁部と下地間に介装可能な底面部と、該底面部に対し隙間を開けて前記外装材の端縁部に当接する側面部と、前記傾斜面を構成する斜面部と、を備えたことを特徴とする。
これにより、現場において、外装材の端縁部の切断加工などは不要であり、施工を容易化することができる。
これにより、傾斜端縁部材の底面部を外装材の端縁部と下地間に介装することで、ドレン設置部に向けて下り勾配の傾斜面を形成することができる。
請求項に記載の発明では、ドレン設置部には接着によって敷設された第1の防水シートと、ドレン設置部周囲の外装材から傾斜端縁部材の傾斜面を介し接着によって敷設して、ドレン設置部上の第1防水シートの周縁部に積層してなる第2の防水シートとを備えたことを特徴とする。
これにより、固定具などは不要であり、ドレン設置部に向けての段差のない、下り勾配の傾斜面を形成することができる。
請求項に記載の発明では、請求項1または2に記載の屋上におけるドレン周辺部の施工方法であって、ドレン周囲の屋上の下地に敷設される外装材の端縁部に、端縁部に沿って傾斜端縁部材を配置して、ドレン設置部の傾斜面として形成する工程と、ドレン設置部に第1防水シートを積層する工程と、ドレン設置部周囲の外装材上面から、傾斜端縁部材を介してドレン設置部における第1防水シートにかけて第2の防水シートを積層する工程と、を具備することを特徴とする。
これにより、現場にての切断加工や穴あけなどの加工は、一切不要であり、ビスなどの固定具は使用しないので、ドレン周辺部は段差のない、傾斜面として形成することができ、水の滞留などは起きることはなく、排水の妨げとなることはない。
請求項記載の発明では、ドレン設置部に第1の防水シートを積層する工程において、第1防水シートをドレン設置部に接着によって固定することを特徴とする。
これにより、現場にて、一切、切断加工や穴あけなどの加工は不要となる。
請求項記載の発明では、傾斜端縁部材と第2防水シートとは、熱風によって固定することを特徴とする。
これにより、傾斜端縁部材と第2防水シートとは、熱風により第2防水シートが傾斜端縁部材表面へ熱融着することによって、満遍なく一様に接触全面を一体化結合することができる。
請求項に記載の発明では、傾斜端縁部材と第2防水シートとは、溶剤によって固定することを特徴とする。
これにより、傾斜端縁部材と第2防水シートとは、満遍なく一様に接触全面を一体化結合することができる。
さらに請求項に記載の発明では、第1または第2防水シートは塩化ビニールシートである、ことを特徴とする。
これにより、ドレン周辺部は、優れた防水性と意匠性をも兼ね備えたものとすることができる。
本発明によれば、屋上のドレン周辺部において、外装材の端縁部に傾斜端縁部材を配設することによって、傾斜面を構成することができるので、作業現場において外装材を切断加工し、傾斜面を形成する必要がない。
また、防水シートの固定は、傾斜端縁部材の傾斜面で行うため、防水シートの未接着部分がなくなり、納まりが向上する。
また、ドレン周辺部で、固定のための金具は不要であり、段差が生ずることはなく、ドレン周囲での水の滞留が生ずることはない。
さらには、下地の穴あけ加工は不要であるので、下地が損傷することはなく、良好な施工効率を実現することができ、水滞留のない、ドレン周辺部を構成することができる。
本発明にかかる屋上におけるドレン周辺部の斜視説明図である。 図1に示すドレン周辺部の、模式的な断面図である。 図1に示すドレン周辺部の、平面説明図である。 図1に示すドレン周辺部において、下り勾配の傾斜面で構成された傾斜部を構成する傾斜端縁部材の配置図である。 図1に示すドレン周辺部に対し、第1、第2防水シートを接着した状態を示した、模式的な断面説明図である。 図5に示すドレン周辺部の、平面説明図である。 本発明にかかる屋上におけるドレン周辺部の施工方法による、納まり例を示した、模式的な断面図である。 従来の屋上におけるドレン周辺部を施工する工程を示した、模式的な断面図である。 図8に示す工程図の、平面説明図である。 図8に示すドレン周辺部のドレン設置部に対し、防水シートを接着する工程を示した、模式的な断面説明図である。 図10に示す工程図の、平面説明図である。 図10に示すドレン周辺部のドレン設置部に向けて、防水シートを接着する工程を示した、模式的な断面説明図である。 図12に示す工程図の、平面説明図である。 従来の屋上におけるドレン周辺部の施工方法による、納まり例を示した、模式的な断面図である。
図1に、本発明にかかるドレン周辺部の施工方法によって施工される、屋上におけるドレン周辺部10を模式的に示す。なお、ここでの屋上は、平場Fpとして下地11に外装材として、周知の断熱材12(例えば硬質ウレタンフォーム)を積層し、さらに防水シート(後述)を積層する構成としている。
ドレン周辺部10は、屋上の平場Fpから端縁部の立ち上り壁Rwに亘っての基部箇所の所定の位置に設けられ、所定範囲、下地11を剥き出して、掘り込み形成されたドレン設置部13が形成されている。ドレン設置部13には、ドレン設置部13の下地11に向けて下り勾配の傾斜面で構成された傾斜部14を有している。
そしてこのドレン設置部13の中心部には、ドレンDが躯体を貫いて設けられ、この排水路に例えば塩化ビニル樹脂製のドレンホースDhが介装されている。
断熱材12は、屋上下地11に接着材によって貼り付けられ、ドレン周辺部10の平場Fp側において、ドレン設置部13の下地11を三方から垂直端縁部で取り囲むように配置されている。
そして、かかる三方からの断熱材12の垂直端縁部に向かって、傾斜部14を構成する傾斜端縁部材15が配置されている(図4参照)。
傾斜端縁部材15は、薄鋼板を例えば金切りばさみ等で切断して、断面略三角形状に折り曲げ加工されたものである。すなわち、傾斜端縁部材15は、断熱材12の端縁部と下地11間に介装可能な底面部15aと、該底面部15aに対し隙間を開けて断熱材12の端縁部に当接する側面部15bと、傾斜面を構成する斜面部15cと、を備えている。底面部15aは、安定性と強度確保のために、表面積を斜面部15cのそれと比較して大としており、断熱材12の端縁部に向かって配置する際、先端側を下地11と断熱材12間に略半分ほど介装させるようにしている。
また、傾斜端縁部材15の高さ寸法、すなわち、断熱材12の端縁部に当接する側面部15bの頂部の高さ寸法は、断熱材12の厚さと略同一としている。
さらに、斜面部15cの傾斜角度はおおむね45度としている。しかしながら、傾斜角度を調整することで、現場での断熱材12の厚さに、側面部15bの頂部の高さ寸法を合わせることができるようにしている。
以上のようなドレン周辺部10には、図5に示すように、ドレン設置部13に防水シート16が積層される。防水シート16には、優れた防水性と意匠性をも兼ね備えた、例えば第1の塩化ビニールシート16(以下、第1塩ビシート16)が好ましい。第1塩ビシート16は、塩化ビニル樹脂に可塑剤、充填剤等を添加し、補強繊維を積層したもので構成される。防水シート16は、塩化ビニールシートに限定されるものではなく、他には熱可塑性エラストマー系シート、熱可塑性ポリオレフィン系シート、熱可塑性ポリエーテル系ポリウレタンシート、エチレン酢酸ビニル樹脂系シートも用いることができる。
さらに、ドレン周辺部10には、周囲の断熱材12から傾斜部14を介し、ドレン設置部13上の第1塩ビシート16に接着によって第2の塩ビシート17が積層される。この場合、第2塩ビシート17は、接着材として好ましくはアクリロニトリルブタジエンゴムが用いられるが、他にはエポキシ系、アクリル系、シリコン系、変性シリコン系、ポリサルファイド系、ポリウレタン系などの接着材により接着固定するようにしている。
次に、以上説明したドレン周辺部10を施工するために、次のような工程で施工される。以下、図を参照しながら説明する。
躯体として完成した、施工現場である屋上に対し、防水処理を施すと共に、すでに躯体側に組み込まれたドレンDを中心とするドレン設置部13に対し、雨水の滞留を防止して良好に排水がなされるように施工を行う。
すなわち、施工図に基づいて、ドレン設置部13は、所定範囲、下地11を剥き出してある。
先ず、ドレン設置部13に対しては、屋上の平場Fpから端縁部の立ち上り壁Rwに亘る所定の位置のうち、平場Fp側の下地11を残して、屋上下地11全体に所定厚さの断熱材12である硬質ウレタンフォームを接着材によって貼り付ける工程を実行する。
これによりドレン設置部13の周囲は、三方を断熱材12の垂直端縁部で取り囲んだ状態となる。
次に、かかる三方の断熱材12の垂直端縁部に対し、端縁部に沿って対応する傾斜端縁部材15をそれぞれ配置して、ドレン周辺部10の傾斜部14として形成する工程を行う。
この工程において、傾斜端縁部材15の接地面積の大な底面部15aを、断熱材12の端縁部と下地11間に介装するようにする。これにより、底面部15aに対し隙間を開けて形成された側面部15bが断熱材12の端縁部に当接し、斜面部15cがドレン周辺部10の傾斜部14として形成される。底面部15aは、表面積を斜面部15cのそれと比較して大としており、断熱材12の端縁部に向かって配置する際、底面部15aの先端側が下地11と断熱材12間に略半分ほど介装されるので、ドレン周辺部10の傾斜部14は安定性も強度上も、問題のないものとすることができる。
なお、傾斜端縁部材15の高さ寸法、すなわち、断熱材12の端縁部に当接する側面部15bの頂部の高さ寸法は、断熱材12の厚さと略同一としているので、断熱材12の端縁部から、傾斜端縁部材15の斜面部15cにかけて、連続的な段差のないものとすることができる。
もし、現場での接着層の厚さが加わることで断熱材12の厚さ(高さ)にばらつきが生じたことに起因して、段差ができるようであったら、側面部15bの頂部の高さ寸法を、適宜な工具で、斜面部15cおよび側面部15bに対し、外力を加えて、斜面部15cの傾斜角度を調整することで段差を解消することができる。
次に、ドレン設置部13に対し、第1塩ビシート16を適宜な接着材を用いてドレン設置部13に積層する工程を行う。
そして、ドレン周辺部10には、周囲の断熱材12から傾斜部14を介し、ドレン設置部13上の第1塩ビシート16に接着によって第2塩ビシート17が積層されることで一応の施工が完了する。この場合、周囲の断熱材12には接着材としてアクリロニトリルブタジエンゴムが塗布され、断熱材12から傾斜部14、第1塩ビシート16にかけて未接着部分なく、第2塩ビシート17を接着固定することができる。
このように、本発明のドレン周辺部への施工においては、断熱材に対して、傾斜部を形成するための傾斜端縁部材を用いたことで、現場において、これまでのような断熱材の切断によって傾斜面を形成するような施工工程は不要となる。
また、断熱材を固定するためにビス等の固定金具を用いることがないので、固定金具による段差の発生はなく、ドレン周りで円滑な排水の妨げとなる水の滞留が生じることはない。
さらには、断熱材を固定するためのビス等の固定金具は不要であるので、下地にビス穴を開ける必要はなく、下地の損傷をなくすことができ、穴あけなどの作業を省くことができ、作業工程の簡便化、工期の短縮化につながる。
10 ドレン周辺部
11 下地
12 断熱材
13 ドレン設置部
14 傾斜部
15 傾斜端縁部材
15a 底面部
15b 側面部
15c 斜面部
16 第1塩ビシート
17 第2塩ビシート
Fp 平場
Rw 立ち上り壁
Dh ドレンホース

Claims (7)

  1. 屋上に形成されたドレンの周囲に設置され、前記ドレンに向けて下り勾配の傾斜面を有するドレン設置部を備えた屋上におけるドレン周辺部において、
    前記ドレン設置部は、屋上の下地上に敷設され、前記ドレンを端縁部で取り囲むようにした外装材と、
    これら外装材の端縁部に添設して、前記傾斜面を形成する傾斜端縁部材と、
    を備え
    前記傾斜端縁部材は、断面略三角形状の薄板部材で構成され、前記外装材の端縁部と下地間に介装可能な底面部と、該底面部に対し隙間を開けて前記外装材の端縁部に当接する側面部と、前記傾斜面を構成する斜面部と、を備えたことを特徴とする屋上におけるドレン周辺部。
  2. 前記ドレン設置部には接着によって敷設された第1の防水シートと、前記ドレン設置部周囲の外装材から前記傾斜端縁部材の傾斜面を介し接着によって敷設して、前記ドレン設置部上の第1防水シートの周縁部に積層してなる第2の防水シートとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の屋上におけるドレン周辺部。
  3. 請求項1または2に記載の屋上におけるドレン周辺部の施工方法であって、
    ドレン周囲の屋上の下地に敷設される前記外装材の端縁部に、端縁部に沿って前記傾斜端縁部材を配置して、ドレン設置部の傾斜面として形成する工程と、
    前記ドレン設置部に第1防水シートを積層する工程と
    前記ドレン設置部周囲の外装材上面から、前記傾斜端縁部材を介してドレン設置部における第1防水シートにかけて第2の防水シートを積層する工程と、
    を具備することを特徴とする屋上におけるドレン周辺部の施工方法。
  4. 前記ドレン設置部に第1の防水シートを積層する工程において、
    前記第1防水シートを前記ドレン設置部に接着によって固定することを特徴とする請求項に記載の屋上におけるドレン周辺部の施工方法。
  5. 前記傾斜端縁部材と第2の防水シートとは、熱風によって固定することを特徴とする請求項に記載の屋上におけるドレン周辺部の施工方法。
  6. 前記傾斜端縁部材と第2防水シートとは、溶剤によって固定することを特徴とする請求項に記載の屋上におけるドレン周辺部の施工方法。
  7. 前記第1または第2の防水シートは塩化ビニールシートである、ことを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の屋上におけるドレン周辺部の施工方法。
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