JP5582978B2 - 反応室のガス排出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、反応室のガス排出装置に関するものである。
CVD装置、ごみ焼却炉、内燃機関などの高温ガスの化学反応を利用する装置において排ガスが放出されるが、その排気過程で、タール、ダイオキシン、窒素酸化物などの有害物質を含む化学合成物質が発生する。
例えば、排ガス中の有害物質を除去する方法としては、触媒により有害物質を分解する方法、フィルターにより有害物質を除去する方法、また排ガスに水噴霧などを行い急冷することにより有害物質が生成する温度領域を短時間で通過させる方法などがある。
温度領域を短時間で通過させる方法として、具体的には、カーボンナノチューブなどのカーボンナノ構造物を製造する際に、タール状物質の生成温度領域(300〜600℃)の範囲に入らないように、300℃以下に予熱した原料ガス(アセチレン)を一気に600℃以上の反応室に送り込むようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第3962773号
ところで、触媒を用いる場合には、触媒は貴金属で高価であるとともに資源に限りがあるという問題があり、フィルターを用いる場合には、フィルターに付着した有害物質を再処理する必要があるとともにその清掃や交換作業が必要になるという問題がある。
さらに、上述した特許文献1においては、反応室内でのタール状物質の生成を抑制する方法が開示されているが、排気部でのタール状物質の生成を抑制することの言及はない。
したがって、排気部において、タール状物質の生成を抑制しようとすると、排気部で温度制御を行う必要があり、装置のコストが高くつくという問題がある。
そこで、本発明は、タール状物質などの有害物質を含む化学合成物質の生成を排気部にて安価に抑制し得るガス排出装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る反応室のガス排出装置は、反応室内のガスを真空ポンプにて排出するための装置であって、
反応室と真空ポンプとの間の排ガス経路に、当該反応室の圧力よりも低い圧力にされた減圧部を配置し、且つ上記反応室をカーボンナノチューブの形成設備における熱化学気相蒸着用の加熱室としたものであり、
上記ガス排出装置において、反応室のガス排出部にオリフィスを設けることにより減圧部の圧力を低くするようにしたものであり、
または上記ガス排出装置において、減圧部に減圧室を設けるとともに当該減圧室の容積を反応室の容積の2倍以上にしたものである。
上記構成によると、反応室と真空ポンプとの間の排ガス経路に、当該反応室の圧力よりも低い圧力にされた減圧部を配置したので、排出されたガスは反応室からより稀薄な減圧部内に入るため、ガス中に浮遊している分子同士の衝突が減少して高分子化が抑制される。例えば、ガス中に炭化水素ガスが含まれている場合には、炭素分子の高分子化が抑制され、したがってタール状物質の生成が抑制されることになる。すなわち、安価な構成で、排気部でのタール状物質などの有害物質を含む化学合成物質の生成を抑制することができる。
本発明の実施例1に係る熱CVD装置の概略構成を示す模式的斜視図である。 同実施例1に係る熱CVD装置の要部を示す模式的斜視図である。 本発明の実施例2に係る熱CVD装置の要部を示す模式的斜視図である。
以下、本発明の実施の形態に係る反応室のガス排出装置について説明する。
このガス排出装置を概略的に説明すると、反応室内のガスを真空ポンプにて排出するための装置であって、反応室と真空ポンプとの間の排ガス経路に、当該反応室の圧力よりも低い圧力にされた減圧部を配置したもので、上記反応室のガス排出部にオリフィスを設けることにより減圧部の圧力を低くするようにしたものであり、または減圧部に減圧室を設けるとともに当該減圧室の容積を反応室の容積の2倍以上にしたものである。さらに、上記反応室がカーボンナノチューブの形成設備における熱CVD法を行う加熱室(カーボン反応室とも言える)とするものである。
以下、このガス排出装置の実施例1および実施例2を図面に基づき説明する。
この実施例1に係る反応室のガス排出装置は、カーボンナノチューブの形成設備、すなわちカーボンナノチューブ形成用の熱CVD装置に設けられるものである。
ここでは、カーボンナノチューブを形成する基板として、ステンレス製の薄鋼板、すなわちステンレス鋼板(薄板材の一例であり、例えば箔材の場合は20〜300μm程度の厚さのものが用いられ、ステンレス箔ということもできる。また、板材である場合には、300μm〜数mm程度の厚さのものが用いられる。)を用いた場合で、しかも、このステンレス鋼板としては、所定幅で長いもの、つまり帯状のものを用いた場合について説明する。したがって、このステンレス鋼板はロールに巻き付けられており、カーボンナノチューブの形成に際しては、このロールから引き出されて連続的にカーボンナノチューブが形成されるとともに、このカーボンナノチューブが形成されたステンレス鋼板は、やはり、ロールに巻き取るようにされている。すなわち、一方の巻出しロールからステンレス鋼板を引き出し、この引き出されたステンレス鋼板の表面にカーボンナノチューブを形成した後、このカーボンナノチューブが形成されたステンレス鋼板を他方の巻取りロールに巻き取るようにされている。
以下、上述した帯状のステンレス鋼板(以下、主として、基板と称す)の表面に、カーボンナノチューブを形成するための熱CVD装置について説明する。
この熱CVD装置には、図1に示すように、炉本体2内にカーボンナノチューブを形成するための細長い処理用空間部が設けられて成る加熱炉1が具備されており、この炉本体2内に設けられた処理用空間部は、所定間隔おきに配置された区画壁3により、複数の、例えば5つの部屋に区画されて(仕切られて)いる。
すなわち、この炉本体2内には、ステンレス鋼板つまり基板Kが巻き取られた巻出しロール16が配置される基板供給室11と、この巻出しロール16から引き出された基板Kを導きその表面に前処理を施すための前処理室12と、この前処理室12で前処理が施された基板Kを導きその表面にカーボンナノチューブを形成するための加熱室(反応用容器における反応室に相当する)13と、この加熱室13でカーボンナノチューブが形成された基板Kを導き後処理を施すための後処理室14と、この後処理室14で後処理が施された基板Kを巻き取るための巻取りロール17が配置された基板回収室(製品回収室ということもできる)15とが具備されている。なお、上記各ロール16,17の回転軸心は水平方向にされており、したがって加熱室13内に引き込まれる(案内される)基板Kは水平面内を移動するとともに、基板Kの表面にカーボンナノチューブを形成するようにされている。
上記前処理室12では、基板Kの表面、特にカーボンナノチューブを形成する表面(カーボンナノチューブの生成面であり、後述するが、ここでは下面である)の洗浄、不動態膜の塗布、カーボンナノチューブ生成用の触媒微粒子、具体的には、鉄の微粒子(金属微粒子)の塗布が行われる。洗浄については、アルカリ洗浄、UVオゾン洗浄が用いられる。また、不動態膜の塗布方法としては、ロールコータ、LPDが用いられる。触媒微粒子の塗布方法としては、スパッタ、真空蒸着、ロールコータなどが用いられる。
また、後処理室14では、基板Kの冷却と、基板Kの表面、すなわち下面に形成されたカーボンナノチューブの検査とが行われる。
そして、基板回収室15では、基板Kの上面(裏面)に保護フィルムが貼り付けられ、この保護フィルムが貼り付けられたステンレス鋼板である基板Kが巻取りロール17に巻き取られる。なお、基板Kの上面に保護フィルムを貼り付けるようにしているのは、基板Kを巻き取った際に、その外側に巻き取られる基板Kに形成されたカーボンナノチューブを保護するためである。
上述したように、炉本体2内には、区画壁3により5つの部屋が形成されており、当然ながら、各区画壁3には、基板Kを通過させ得る連通用開口部(スリットともいう)3aがそれぞれ形成されている。
ところで、上記加熱室13においては、熱CVD法(熱化学気相蒸着法)により、カーボンナノチューブが形成(生成)されるが、当然ながら、内部はガス排出装置(後述する)により所定の真空度(負圧状態)に維持されるとともに、カーボンナノチューブの生成用ガスつまり原料ガス(例えば、アセチレン、メタン、ブタンなどの低級炭化水素ガスが用いられる)Gが供給されており、またこの原料ガスGが隣接する部屋に漏れないように考慮されている。例えば、加熱室13においては、ヘリウムガスなどの不活性ガスNと一緒に原料ガスGが下方から供給されるとともに上方から排出される(引き抜かれる)。この加熱室13以外の部屋、すなわち基板供給室11、前処理室12、後処理室14および製品回収室15についても、ヘリウムガスなどの不活性ガスNが下方から供給されるとともに上方から排出されて、不要なガスが入り込まないようにされている。なお、加熱室13の前後壁には、加熱室13と前処理室12、加熱室13と後処理室14とを密封遮断するために、基板であるステンレス鋼板を上下から挟むようにした上下一対のナイフ型板体からなるゲートバルブ18,19がそれぞれ設けられている。
ここで、加熱室13の構成について、加熱装置およびガス排出装置とともに詳しく説明する。
図1および図2に示すように、この加熱室13の底壁部2aの中心位置には、カーボンを含む原料ガスGを供給するガス供給口5が形成されるとともに、上記加熱室13内の中間部分の上方位置(基板の上方位置)には当該加熱室13内を加熱するための複数本の円柱形状(または棒状)の発熱体22よりなる加熱装置21が設けられ、さらに上壁部2bには、加熱室13内を所定の真空度にするためのガス排出装置23が接続されている。
また、加熱室13の底壁部2aと基板Kとの間には、原料ガスGを基板Kに導くための側面視がホッパー形状(逆台形状)のガス案内用ダクト体24が設けられている。なお、図示しないが、上記ガス案内用ダクト体24内に原料ガスを拡散させるための邪魔板を配置してもよく、またこのガス案内用ダクト体24の上端開口部に原料ガスの整流を行うパンチングメタルなどの整流板を配置してもよい。
上記発熱体22としては非金属の抵抗発熱体が用いられ、具体的には、炭化ケイ素、ケイ化モリブデン、ランタンクロマイト、ジルコニア、黒鉛などが用いられる。
上記ガス排出装置23は、上壁部2bに上下方向で挿通されるとともに下端壁31aにオリフィス32が形成されるとともに減圧室を有する筒状体(減圧部の一例で、減圧用容器ともいえる)31と、この筒状体31の上端壁31bに連通管33を介して接続されて当該筒状体31から導出されたガス、つまり排ガスを冷却する冷却室を有する冷却器(例えば、冷却室内に熱交換用のラジエータが配置されたもの)34と、この冷却器34にて冷却された排ガスを排出管35を介して排出(吸引)する真空ポンプ36と、上記筒状体31をバイパスして加熱室13内のガスを直接排出管35に導くためのバイパス経路であるバイパス管37と、上記排出管35途中に設けられてバイパス管37側に切り替えるための切替弁(例えば、三方切替弁が用いられる)38とから構成されている。なお、このバイパス管37は加熱室13内を短時間で真空引きする際に用いられるため、その口径はオリフィス32の穴径よりも太くされている。
そして、上記オリフィス32の穴径は、排ガスの流量Qと、加熱室13内の圧力Pと、筒状体31内の圧力P、すなわち減圧室の圧力により、下記(1)式に基づき決定される。
Q=C(PーP) ・・・(1)
但し、(1)式中、Cはオリフィスのコンダクタンスで、形状に関するパラメータつまり穴径を含んでおり、したがって(1)より、オリフィスの穴径を求めることができる。なお、オリフィスを円形として説明したが、所定の圧力差が得られるものであれば何でもよい。例えば、細長い矩形状の穴、隙間、多孔性材料で構成されたフィルターなどであってもよい。
また、上記筒状体31の加熱室13の外側部分は断熱材39に覆われて保温が行われており、当然ながら、加熱室13を形成する炉本体2の内壁面には所定厚さの断熱材4が貼り付けられている。
ここで、前処理室12での工程について説明する。
この前処理室12内では、基板Kが洗浄された後、シリカ、アルミナなどの不動態膜が塗布され、さらにこの不動態膜の上面に、金属例えば鉄(Fe)の触媒微粒子が塗布される。勿論、図示しないが、この前処理室12内には、基板Kの洗浄手段、不動態膜の塗布手段、および金属例えば鉄(Fe)の触媒微粒子の塗布手段が設けられている。
ところで、上述したように、基板Kとして、厚さが20〜300μm以下に圧延加工されてコイル状に巻き取られた薄いステンレス鋼板(ステンレス箔でもある)が用いられており、このような基板Kには、コイルの巻き方向に引張りの残留応力が存在するため、触媒の微粒化および熱CVD時に、残留応力の開放により、基板Kに反りが発生する。このような反りの発生を防止するために、コイル巻き方向で張力を付加する機構、具体的には、巻出しロールと巻取りロールとの間で張力を発生させて(例えば、両ロールの回転トルクを異ならせることにより張力を発生させる。具体的には、一方のモータで引っ張り、他方のモータにブレーキ機能を発揮させればよい。)基板Kを引っ張るようにしてもよい。また、巻取りロール側に錘を設けて引っ張るようにしてもよい。
そして、上記加熱炉1にて熱CVD法が行われる際には、加熱室13内が所定圧力にされる。
この圧力値としては、数千Pa〜大気圧の範囲に維持される。例えば、5000Pa〜20000Paに維持される。この装置では、減圧して排気を行うため、排気部でのタールの発生が抑制され、したがって加熱室13(炉本体)内では、高圧でもってCVDを行うことができる。また、加熱炉1における加熱室13の内部は高温に保たれており、煤以外のCVDに悪影響を与える物質が付着することはない。なお、煤は定期的に焼いて洗浄される。
また、加熱室13以外の他の処理室、すなわち基板供給室11、前処理室12、後処理室14および製品回収室15については詳しくは説明しなかったが、これら各室11,12,14,15についても圧力を制御した状態にされるとともに、加熱室13に空気などのカーボンナノチューブの形成に悪影響を及ぼすガスが流入するのを防止するために、図1に示すように、それぞれの底壁部2aにはヘリウムガスなどの不活性ガスを供給するためのガス供給口5′が設けられるとともに、上壁部2bにはガス排出口6が設けられて不活性ガスを排出するようにしている。また、これら他の処理室内の圧力は、圧力の制御は真空ポンプとの間に配置された自動圧力調節弁(図示せず)により加熱室13と同じ圧力となるように制御される。なお、加熱室13におけるガス排出口としては、筒状体31に設けられたオリフィス32が相当することになる。すなわち、このオリフィス32は排ガス経路の始端側に配置されていることになる。また、オリフィス32の位置はタールの生成温度より高温部であればよい。
また、上記連通管33および排出管35はガスを排出するためのもので、所謂、排ガス経路を構成する。
なお、図1は熱CVD装置の概略構成を示し、その内部が分かるように、手前側の側壁部および断熱材4については省略している。
次に、上記熱CVD装置によるカーボンナノチューブの形成方法について説明する。
まず、巻出しロール16から基板Kを引き出し、前処理室12、加熱室13および後処理室14における各区画壁3の連通用開口部3aを挿通させ、その先端を巻取りロール17に巻き取らせる。このとき、基板Kには張力が付与されて真っ直ぐな水平面となるようにされている。
そして、前処理室12内では基板Kの洗浄が行われた後、不動態膜が上下面全体に亘って塗布され、この不動態膜の表面に鉄の触媒微粒子が塗布(付着)される。なお、この触媒微粒子は、カーボンナノチューブの形成面(生成面)に塗布される。
この前処理が済むと、基板Kは所定長さ分だけ、つまりカーボンナノチューブが形成される長さ分だけ、巻取りロール17により巻き取られる。したがって、前処理室12で前処理が行われた部分が、順次、加熱室13内のガス案内用ダクト体24の上方に移動される。
そして、加熱装置21、すなわち発熱体22により、基板Kの温度を所定温度例えば700〜800℃に加熱するとともに、断熱材により加熱室13の外壁温度が80℃またはそれ以下(好ましくは、50℃以下)となるようにする。
上記温度になると、ガス供給口5より原料ガスとしてアセチレンガス(C)を供給して所定の反応を行わせることにより、基板K下面に、カーボンナノチューブを生成(成長)させる。
そして、所定時間が経過して所定高さのカーボンナノチューブが得られると、同じく、所定長さだけ移動されて、このカーボンナノチューブが形成された基板Kが後処理室14内に移動される。
この後処理室14内では、基板Kの冷却と検査とが行われる。
この後処理が済むと、基板Kは製品回収室15内に移動されて、その上面に保護フィルムが貼り付けられるとともに、巻取りロール17に巻き取られる。すなわち、カーボンナノチューブが形成された基板Kが製品として回収されることになる。なお、カーボンナノチューブが形成された基板Kが全て巻取りロール17に巻き取られると、外部に取り出されることになる。
ここで、ガス排出装置23の作用について詳しく説明する。
加熱室13内のガスは、真空ポンプ36の作動により、筒状体31および冷却器34を介して外部に排出されて、加熱室13内が所定の真空度に維持される。
ところで、筒状体31の下端壁31aにはオリフィス32が設けられており、排出されるガス(排ガス)はこのオリフィス32を介して筒状体31内に引き込まれるが、このときの排気側の真空度は、加熱室13内の真空度よりも低くされている(例えば、1000Pa以下にされている)。すなわち、筒状体31内は、加熱室13内よりも稀薄状態にされているとともに、オリフィス32を通過して稀薄状態の空間内に入るため、ガス中に浮遊している異物すなわち炭化水素分子同士の衝突が減少して炭化水素分子の高分子化または重合反応が抑制され、したがってタールの生成が抑制される。そして、この後、ガスは冷却器34に入り、ここで冷却されて外部に排出される。なお、冷却器34内も減圧状態であるため、冷却過程でタールが生成する温度領域を通過するが、筒状体31の内部と同様、反応する分子同士の衝突回数が僅少であるため、タールは形成されず、比較的低分子の状態で排気される。許容できるタールの量によっては、減圧室と冷却室を分離せず、減圧されたガスを配管に当てて自然冷却してもよい。
このように、加熱室13内のガスを真空ポンプ36により排出する際に、オリフィス32を介して、より稀薄な状態の筒状体31内に導くようにしたので、炭素分子の高分子化が抑制され、すなわち安価な構成で、排気部でのタール状物質の生成を抑制することができる。
言い換えれば、熱CVD反応を高圧力で実施した場合、すなわち多くの原料ガスを供給した場合でも、タールの生成が抑制され、したがって多くの原料ガスの供給(高生産性)とタール生成の抑制とを両立させることができる。
さらに、タールの生成が抑制されるため、真空ポンプの寿命およびメンテナンス期間を延ばし得るとともに、フィルターなどの省略も可能となる。
なお、減圧室である筒状体31は、加熱室13の上壁部2bを貫通して、つまり高温部と低温部とを貫通して配置されており、しかも、高温部側では熱の伝わりやすい構造にされるとともに、低温部側は断熱材39で覆われて筒状体31内部の排ガスが暖められる構造にされている。すなわち、排ガスが減圧される境界部においても、タールが生成する温度よりも高温に保たれる構造にされている。
また、減圧境界部において、排ガスがタールの生成温度まで下がる場合には、減圧室である筒状体31のオリフィス32をヒータにより十分加熱し得る構造とすることにより、タールを熱分解するようにしてもよい。
さらに、加熱室13内におけるタール生成の問題も無く大きなガス流量を必要とするが、オリフィス32により効率よく作業ができない場合には、切替弁38によりバイパス管37側に切り替えて、ガスを大流量にて流すことにより、加熱室13の真空引きを短時間に行うことができる。
簡単に言うと、オリフィスによりタールなどが生成せずに、高圧のCVDが可能となり、生成物の質や生産性が向上する。
ところで、この実施例1においては、減圧室の下流側に冷却室を配置したが、配管自体で減圧状態でガスが冷却されれば、タールを抑制することができる。すなわち、配管そのものを冷却室として利用することができる。
次に、本発明の実施例2に係る反応室のガス排出装置を図3に基づき説明する。
上述した実施例1におけるガス排出装置における減圧室として、筒状体(減圧部)を加熱室の上壁部に挿通して設けたが、この実施例2においては、加熱室に接続された排出管の途中に設けるようにしたものである。言い換えれば、加熱室とは別個に減圧室としての減圧用容器(減圧部)が具備されたものである。また減圧部に減圧室を設けるとともに当該減圧室の容積を加熱室(反応室)の容積の2倍以上にしたものである。
なお、本実施例2においては、ガス排出装置以外の部分については、実施例1と同じ構成であるため、実施例1と同一の構成部材には、同一の部材番号を付してその説明を省略する。
すなわち、図3に示すように、本実施例2に係るガス排出装置41は、加熱室13の上壁部2bに連通管43を介して接続されるとともに減圧室を有する減圧用容器42と、一端側がこの減圧用容器42に接続されるとともに他端側に真空ポンプ44が設けられた排出管45と、この排出管45の途中に且つ減圧用容器42側から順番に配置された冷却室を有する冷却器(例えば、冷却室内に熱交換用のラジエータが配置されたもの)46および圧力自動調節弁47とから構成されている。また、減圧用容器42の減圧室の容積が加熱室13の容積の2倍以上にされている。なお、上記連通管43には、途中に水素透過膜を有する水素導出部材49が設けられたバイパス管48が接続されている。また、上記連通管43およびバイパス管48には、加熱室13から排出されるガスを選択的に導くための第1排気弁(開閉弁)51および第2排気弁(開閉弁)52がそれぞれ設けられている。なお、第1排気弁51および水素導出部材49については、断熱材50により覆われている。また、実施例1と同様に、上記連通管43および排出管45はガスを排出するためのもので、所謂、排ガス経路を構成する。
したがって、上記構成において、加熱室13内のガスを排出する場合、真空ポンプ44の駆動状態において、第1排気弁51を開けばよい。
すると、加熱室13内のガスは連通管43を介して減圧用容器42内に入り、ここでガスつまり排ガスが稀薄化されて減圧状態となりタールの生成が抑制される。そして、この減圧用容器42に入った排ガスは冷却器46で冷却された後、排出管45より外部に排出される。
その他の作用については、実施例1で説明したものと同様であるが、熱CVDプロセスについて簡単に説明しておく。
なお、ガス供給口5には、第1供給弁(開閉弁)66が設けられて炭化水素などの原料ガスを供給する原料ガス供給管61、第2供給弁(開閉弁)67が設けられて水素ガス(H2)を供給する水素ガス供給管62および第3供給弁(開閉弁)68が設けられてヘリウム(He)などの不活性ガスを供給する不活性ガス供給管63が接続されている。
すなわち、熱CVDを行う場合、第1排気弁51を開くとともに、第2供給弁67および第3供給弁68を開いて水素ガスおよびヘリウムガスを一定時間供給して基板Kの表面に付着された鉄の微粒子化を行う。
次に、第2供給弁67および第3供給弁68を閉じて水素ガスおよびヘリウムガスの供給を停止する。なお、第1排気弁51は開いたままにしておき、加熱室13内のガスを排気して高真空にする。勿論、加熱室13の前後はゲートバルブ18,19が閉じられて真空度が維持されている。
次に、第1排気弁51を閉じるとともに、第1供給弁66を開いて原料ガスとして炭化水素ガス、具体的にはアセチレンガスを必要量供給する。
次に、第1供給弁66を閉じて原料ガスの供給を停止し、原料ガス量によって決まる圧力で一定時間熱化学気相蒸着を行う。このとき、第2排気弁52を開いて排ガスを水素導出部材49に導き、蒸着により発生した水素ガスだけを排出する。これにより、水素の増加によるアセチレンガスの分解効率の低下が防止される。
そして、最後に、第2排気弁52を閉じた後、第1排気弁51を開いて、加熱室13内の残留しているガスを排出する。この第1排気弁51を開いたとき、減圧用容器42が接続されているため、第1排気弁51より出口に近い側は減圧用容器42すなわち減圧室の容積と真空ポンプ44の排気量および第1排気弁51による圧損によって決まる低い圧力に保持される。この低い圧力の保持により、つまりガスが減圧されてタールの生成が抑制される。勿論、減圧用容器(減圧室)42の容積は、排気側の圧力が分解した原料ガスが再合成してタールが生成する圧力よりも低くなるように設計されている。
なお、減圧された排ガスは必要に応じて冷却器46で冷却されて圧力自動調節弁47を経由して真空ポンプ44により排出される。
なお、第1排気弁51および水素導出部材49を断熱材50で覆うようにしているのは、保温することにより、これらの機器の炉本体側にタールなどが付着するのを防止するためである。
上述したように、安価な構成で、その排気部においてタール状物質の生成を抑制し得るという効果は、実施例1と同様である。
また、減圧用容器42を配置しているため、真空ポンプ44については、比較的、低排気容量のものを用いることができる。すなわち、減圧用容器(減圧室)42の容積が加熱室13の容積の2倍にされていることにより、定常状態では、排気側圧力はCVD圧力の1/3以下となる。
1 加熱炉
2 炉本体
13 加熱室
21 加熱装置
23 ガス排出装置
31 筒状体
32 オリフィス
33 連通管
34 冷却器
35 排出管
36 真空ポンプ
37 バイパス管
41 ガス排出装置
42 減圧用容器
43 連通管
44 真空ポンプ
45 排出管
46 冷却器
48 バイパス管

Claims (3)

  1. 反応室内のガスを真空ポンプにて排出するための装置であって、
    反応室と真空ポンプとの間の排ガス経路に、当該反応室の圧力よりも低い圧力にされた減圧部を配置し、
    且つ上記反応室がカーボンナノチューブの形成設備における熱化学気相蒸着用の加熱室であることを特徴とする反応室のガス排出装置。
  2. 反応室のガス排出部にオリフィスを設けることにより減圧部の圧力を低くするようにしたことを特徴とする請求項1に記載の反応室のガス排出装置。
  3. 減圧部に減圧室を設けるとともに当該減圧室の容積を反応室の容積の2倍以上にしたことを特徴とする請求項1に記載の反応室のガス排出装置。
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