JP5582978B2 - 反応室のガス排出装置 - Google Patents
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したがって、排気部において、タール状物質の生成を抑制しようとすると、排気部で温度制御を行う必要があり、装置のコストが高くつくという問題がある。
反応室と真空ポンプとの間の排ガス経路に、当該反応室の圧力よりも低い圧力にされた減圧部を配置し、且つ上記反応室をカーボンナノチューブの形成設備における熱化学気相蒸着用の加熱室としたものであり、
上記ガス排出装置において、反応室のガス排出部にオリフィスを設けることにより減圧部の圧力を低くするようにしたものであり、
または上記ガス排出装置において、減圧部に減圧室を設けるとともに当該減圧室の容積を反応室の容積の2倍以上にしたものである。
このガス排出装置を概略的に説明すると、反応室内のガスを真空ポンプにて排出するための装置であって、反応室と真空ポンプとの間の排ガス経路に、当該反応室の圧力よりも低い圧力にされた減圧部を配置したもので、上記反応室のガス排出部にオリフィスを設けることにより減圧部の圧力を低くするようにしたものであり、または減圧部に減圧室を設けるとともに当該減圧室の容積を反応室の容積の2倍以上にしたものである。さらに、上記反応室がカーボンナノチューブの形成設備における熱CVD法を行う加熱室(カーボン反応室とも言える)とするものである。
ここでは、カーボンナノチューブを形成する基板として、ステンレス製の薄鋼板、すなわちステンレス鋼板(薄板材の一例であり、例えば箔材の場合は20〜300μm程度の厚さのものが用いられ、ステンレス箔ということもできる。また、板材である場合には、300μm〜数mm程度の厚さのものが用いられる。)を用いた場合で、しかも、このステンレス鋼板としては、所定幅で長いもの、つまり帯状のものを用いた場合について説明する。したがって、このステンレス鋼板はロールに巻き付けられており、カーボンナノチューブの形成に際しては、このロールから引き出されて連続的にカーボンナノチューブが形成されるとともに、このカーボンナノチューブが形成されたステンレス鋼板は、やはり、ロールに巻き取るようにされている。すなわち、一方の巻出しロールからステンレス鋼板を引き出し、この引き出されたステンレス鋼板の表面にカーボンナノチューブを形成した後、このカーボンナノチューブが形成されたステンレス鋼板を他方の巻取りロールに巻き取るようにされている。
この熱CVD装置には、図1に示すように、炉本体2内にカーボンナノチューブを形成するための細長い処理用空間部が設けられて成る加熱炉1が具備されており、この炉本体2内に設けられた処理用空間部は、所定間隔おきに配置された区画壁3により、複数の、例えば5つの部屋に区画されて(仕切られて)いる。
そして、基板回収室15では、基板Kの上面(裏面)に保護フィルムが貼り付けられ、この保護フィルムが貼り付けられたステンレス鋼板である基板Kが巻取りロール17に巻き取られる。なお、基板Kの上面に保護フィルムを貼り付けるようにしているのは、基板Kを巻き取った際に、その外側に巻き取られる基板Kに形成されたカーボンナノチューブを保護するためである。
図1および図2に示すように、この加熱室13の底壁部2aの中心位置には、カーボンを含む原料ガスGを供給するガス供給口5が形成されるとともに、上記加熱室13内の中間部分の上方位置(基板の上方位置)には当該加熱室13内を加熱するための複数本の円柱形状(または棒状)の発熱体22よりなる加熱装置21が設けられ、さらに上壁部2bには、加熱室13内を所定の真空度にするためのガス排出装置23が接続されている。
上記ガス排出装置23は、上壁部2bに上下方向で挿通されるとともに下端壁31aにオリフィス32が形成されるとともに減圧室を有する筒状体(減圧部の一例で、減圧用容器ともいえる)31と、この筒状体31の上端壁31bに連通管33を介して接続されて当該筒状体31から導出されたガス、つまり排ガスを冷却する冷却室を有する冷却器(例えば、冷却室内に熱交換用のラジエータが配置されたもの)34と、この冷却器34にて冷却された排ガスを排出管35を介して排出(吸引)する真空ポンプ36と、上記筒状体31をバイパスして加熱室13内のガスを直接排出管35に導くためのバイパス経路であるバイパス管37と、上記排出管35途中に設けられてバイパス管37側に切り替えるための切替弁(例えば、三方切替弁が用いられる)38とから構成されている。なお、このバイパス管37は加熱室13内を短時間で真空引きする際に用いられるため、その口径はオリフィス32の穴径よりも太くされている。
但し、(1)式中、Cはオリフィスのコンダクタンスで、形状に関するパラメータつまり穴径を含んでおり、したがって(1)より、オリフィスの穴径を求めることができる。なお、オリフィスを円形として説明したが、所定の圧力差が得られるものであれば何でもよい。例えば、細長い矩形状の穴、隙間、多孔性材料で構成されたフィルターなどであってもよい。
この前処理室12内では、基板Kが洗浄された後、シリカ、アルミナなどの不動態膜が塗布され、さらにこの不動態膜の上面に、金属例えば鉄(Fe)の触媒微粒子が塗布される。勿論、図示しないが、この前処理室12内には、基板Kの洗浄手段、不動態膜の塗布手段、および金属例えば鉄(Fe)の触媒微粒子の塗布手段が設けられている。
この圧力値としては、数千Pa〜大気圧の範囲に維持される。例えば、5000Pa〜20000Paに維持される。この装置では、減圧して排気を行うため、排気部でのタールの発生が抑制され、したがって加熱室13(炉本体)内では、高圧でもってCVDを行うことができる。また、加熱炉1における加熱室13の内部は高温に保たれており、煤以外のCVDに悪影響を与える物質が付着することはない。なお、煤は定期的に焼いて洗浄される。
なお、図1は熱CVD装置の概略構成を示し、その内部が分かるように、手前側の側壁部および断熱材4については省略している。
まず、巻出しロール16から基板Kを引き出し、前処理室12、加熱室13および後処理室14における各区画壁3の連通用開口部3aを挿通させ、その先端を巻取りロール17に巻き取らせる。このとき、基板Kには張力が付与されて真っ直ぐな水平面となるようにされている。
この後処理が済むと、基板Kは製品回収室15内に移動されて、その上面に保護フィルムが貼り付けられるとともに、巻取りロール17に巻き取られる。すなわち、カーボンナノチューブが形成された基板Kが製品として回収されることになる。なお、カーボンナノチューブが形成された基板Kが全て巻取りロール17に巻き取られると、外部に取り出されることになる。
加熱室13内のガスは、真空ポンプ36の作動により、筒状体31および冷却器34を介して外部に排出されて、加熱室13内が所定の真空度に維持される。
なお、減圧室である筒状体31は、加熱室13の上壁部2bを貫通して、つまり高温部と低温部とを貫通して配置されており、しかも、高温部側では熱の伝わりやすい構造にされるとともに、低温部側は断熱材39で覆われて筒状体31内部の排ガスが暖められる構造にされている。すなわち、排ガスが減圧される境界部においても、タールが生成する温度よりも高温に保たれる構造にされている。
ところで、この実施例1においては、減圧室の下流側に冷却室を配置したが、配管自体で減圧状態でガスが冷却されれば、タールを抑制することができる。すなわち、配管そのものを冷却室として利用することができる。
上述した実施例1におけるガス排出装置における減圧室として、筒状体(減圧部)を加熱室の上壁部に挿通して設けたが、この実施例2においては、加熱室に接続された排出管の途中に設けるようにしたものである。言い換えれば、加熱室とは別個に減圧室としての減圧用容器(減圧部)が具備されたものである。また減圧部に減圧室を設けるとともに当該減圧室の容積を加熱室(反応室)の容積の2倍以上にしたものである。
すると、加熱室13内のガスは連通管43を介して減圧用容器42内に入り、ここでガスつまり排ガスが稀薄化されて減圧状態となりタールの生成が抑制される。そして、この減圧用容器42に入った排ガスは冷却器46で冷却された後、排出管45より外部に排出される。
なお、ガス供給口5には、第1供給弁(開閉弁)66が設けられて炭化水素などの原料ガスを供給する原料ガス供給管61、第2供給弁(開閉弁)67が設けられて水素ガス(H2)を供給する水素ガス供給管62および第3供給弁(開閉弁)68が設けられてヘリウム(He)などの不活性ガスを供給する不活性ガス供給管63が接続されている。
次に、第1供給弁66を閉じて原料ガスの供給を停止し、原料ガス量によって決まる圧力で一定時間熱化学気相蒸着を行う。このとき、第2排気弁52を開いて排ガスを水素導出部材49に導き、蒸着により発生した水素ガスだけを排出する。これにより、水素の増加によるアセチレンガスの分解効率の低下が防止される。
なお、第1排気弁51および水素導出部材49を断熱材50で覆うようにしているのは、保温することにより、これらの機器の炉本体側にタールなどが付着するのを防止するためである。
また、減圧用容器42を配置しているため、真空ポンプ44については、比較的、低排気容量のものを用いることができる。すなわち、減圧用容器(減圧室)42の容積が加熱室13の容積の2倍にされていることにより、定常状態では、排気側圧力はCVD圧力の1/3以下となる。
2 炉本体
13 加熱室
21 加熱装置
23 ガス排出装置
31 筒状体
32 オリフィス
33 連通管
34 冷却器
35 排出管
36 真空ポンプ
37 バイパス管
41 ガス排出装置
42 減圧用容器
43 連通管
44 真空ポンプ
45 排出管
46 冷却器
48 バイパス管
Claims (3)
- 反応室内のガスを真空ポンプにて排出するための装置であって、
反応室と真空ポンプとの間の排ガス経路に、当該反応室の圧力よりも低い圧力にされた減圧部を配置し、
且つ上記反応室がカーボンナノチューブの形成設備における熱化学気相蒸着用の加熱室であることを特徴とする反応室のガス排出装置。 - 反応室のガス排出部にオリフィスを設けることにより減圧部の圧力を低くするようにしたことを特徴とする請求項1に記載の反応室のガス排出装置。
- 減圧部に減圧室を設けるとともに当該減圧室の容積を反応室の容積の2倍以上にしたことを特徴とする請求項1に記載の反応室のガス排出装置。
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