JP5582805B2 - 遠心ポンプ - Google Patents
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Description
また、上述したポンプの中には遠心ポンプがあり、ケーシング内で羽根車を回転させることにより、流体に対して遠心力で半径方向に圧力エネルギーまたは速度エネルギーを与えるように構成されている。
また、羽根車の軸部に永久磁石を設け、ケーシング側に設けた回転磁界を発生する駆動装置により羽根車を回転させる人工心臓用遠心ポンプが知られている。この場合、羽根車はピボット軸受により支持されており、ピボット軸及びピボット受けの材質には、たとえばセラミックスと超高分子量ポリエチレンとの組合せのように、硬度の異なる材質を選択することが開示されている。(たとえば、特許文献2参照)
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、軸シール機構が不要で漏れのない遠心ポンプを提供することにある。特に、本発明の目的は、微粒子を含む薬液等の液体や固着しやすい薬液等の液体に好適であり、しかも、容易に小型化できる構造の遠心ポンプを提供することにある。
本発明に係る遠心ポンプは、液体の流入口及び流出口を備えたポンプ室を形成するケーシングと、前記ポンプ室の内部に配設されてピボット軸受により回転可能に支持されている羽根車と、前記羽根車に内蔵させた永久磁石を隔壁越しに回転駆動させる磁気カップリング装置とを備え、前記ケーシングに対して回転軸線方向に支持されている前記羽根車を前記磁気カップリング装置により駆動し、前記流入口を介して回転軸線方向の上方から導入した液体に圧力を与えて前記流出口から半径方向へ送出するように構成されたシールレス型の遠心ポンプにおいて、前記ピボット軸受が、前記羽根車の回転軸中心に位置するピボット軸と、前記流入口の軸中心線上に設けた前記ケーシング側の軸受部とを備え、かつ、前記磁気カップリング装置が回転軸中心へ向けて羽根車回転面から前記流入口側へ上向きに傾斜する線上に配置されていることを特徴とするものである。
また、磁気カップリング装置により駆動されて軸シール機構のない遠心ポンプは、液体中の微粒子が破損しにくい構造及び液体が固着しにくい構造となるので、微粒子を含む薬液等の液体や固着しやすい薬液等の液体に好適なポンプとなる。
図1に示す実施形態の遠心ポンプ1は、液体の流入口11及び流出口(不図示)を備えたポンプ室12を形成するケーシング10と、ポンプ室12の内部に配設されてピボット軸受20により回転可能に支持されている羽根車30と、羽根車30に内蔵させた永久磁石41をケーシング10の隔壁越しに回転駆動させる磁気カップリング装置40とを具備して構成される。
羽根車30側に支持部材23を介して固定支持されたピボット軸21には、たとえばアルミナセラミックスや浸炭窒化チタン合金等のように、低摩擦性能、水潤滑性能及び耐食性に優れた素材が採用されている。この場合の羽根車30は、ピボット軸21と羽根車30との間が支持部材23により連結されている。
一方、ケーシング10側に固定支持されている軸受部22には、たとえば超高分子量ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂材等のように、低摩擦性及び耐摩耗性に優れた素材が作用されている。
軸受支持部13は、羽根車30の回転軸線上でケーシング10の内面を流入口11側へ突出させた部分であり、羽根車30の中心部を略貫通する位置まで設けられている。
このように構成された羽根車30は、ケーシング10に対して、ピボット軸受20を介して回転軸線方向に支持され、かつ、後述する磁気カップリング装置40の駆動力により回転軸線を中心に回転可能に支持されている。
図示の構成例では、複数の永久磁石41が羽根車本体31の内部に周方向へ等ピッチに埋設されている。
駆動磁石42は、図示しない駆動源に連結された回転軸43と一体に回転するロータ44に対し、複数が周方向へ等ピッチに固定設置されている。
このため、磁力fは、磁力fの傾斜角度に応じて、回転軸線方向へピボット軸21を軸受部22に押圧するスラスト方向の分力(スラスト分力)fsと、羽根車回転面方向外向きに作用するラジアル方向の分力(ラジアル分力)frとに分解され、従って、ピボット軸受20に作用するスラスト力Fsは、磁力fを発生する永久磁石41及び駆動磁石42の数分だけスラスト分力fsを合計した値となる。
すなわち、磁気カップリング装置40を回転軸中心へ向けて流入口側へ傾斜する線上に配置したことにより、軸シール機構が不要なピボット軸受20を採用して、羽根車30の安定した回転により液体を昇圧させることができる。換言すれば、磁気カップリング装置40を回転軸中心へ向けて流入口11側へ傾斜する線上に配置し、磁気カップリング装置40の磁力が回転軸線方向にピボット軸21を押圧するスラスト力Fsを生じるように構成したので、ピボット軸受20に作用するスラスト力Fsが羽根車30の回転を安定させることにより、従来の軸シール機構を用いることなく漏れのない遠心ポンプ1を提供することができる。
しかし、本実施形態の遠心ポンプ1では、羽根車30に傾きが発生しても、磁気カップリング装置40の磁力により、傾きを正常位置に戻そうとする復元力が作用する。このため、運転中に羽根車30が傾くようなことがあっても、すぐに復元力が作用して正常位置に戻すため、羽根車30がケーシング10と干渉することを防止できる。
この復元力Rは、羽根車30が傾斜して下がった羽根車30の右側において、駆動磁石42より下方に位置する永久磁石41が磁力f1によって上方(矢印r1の方向)へ引き上げられ、同時に、羽根車30が傾斜して上がった羽根車30の左側において、駆動磁石42より上方に位置する永久磁石41が磁力f2によって下方(矢印r2の方向)に引き下げられることにより、反時計回りの回転力が作用するものである。
なお、ピボット軸受20の位置については、冷却効果のみを考えるとピボット軸受20の全体を液体流速の高い領域に配置すればよいが、たとえば羽根車30の安定した回転支持の条件等を考慮して、現実的な最適位置を選択すればよい。
低摩擦処理層50の好適な具体例としては、たとえば表面にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート層のようなフッ化炭素樹脂層を形成することが上げられる。なお、ポリテトラフルオロエチレンは、化学的に安定したフッ素樹脂であり、耐熱性や耐薬品性に優れるとともに、摩擦係数の小さい物質である。
このような低摩擦処理を施すことにより、特にポンプ室12内に液体のない状態から始動される空運転時において、羽根車30をスムーズに回転させて遠心ポンプ1を始動することができる。
また、磁気カップリング装置40により駆動される軸シール機構のない遠心ポンプ1とすれば、液体中の微粒子を破損させる原因や液体を固着させる原因となる軸シール機構がないため、微粒子を含む薬液等の液体(混合流体)や固着しやすい薬液等の液体等を昇圧させる好適なポンプとなる。
また、羽根車30は、ピボット軸受20へのスラスト荷重を軽減させるため、クローズドインペラを採用することが望ましい。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
10 ケーシング
11 流入口
12 ポンプ室
20 ピボット軸受
21 ピボット軸
22 軸受部
30 羽根車
40 磁気カップリング装置
41 永久磁石
42 駆動磁石
50 低摩擦処理層
Claims (3)
- 液体の流入口及び流出口を備えたポンプ室を形成するケーシングと、前記ポンプ室の内部に配設されてピボット軸受により回転可能に支持されている羽根車と、前記羽根車に内蔵させた永久磁石を隔壁越しに回転駆動させる磁気カップリング装置とを備え、前記ケーシングに対して回転軸線方向に支持されている前記羽根車を前記磁気カップリング装置により駆動し、前記流入口を介して回転軸線方向の上方から導入した液体に圧力を与えて前記流出口から半径方向へ送出するように構成されたシールレス型の遠心ポンプにおいて、
前記ピボット軸受が、前記羽根車の回転軸中心に位置するピボット軸と、前記流入口の軸中心線上に設けた前記ケーシング側の軸受部とを備え、かつ、前記磁気カップリング装置が羽根車回転面から回転軸中心へ向けて前記流入口側へ上向きに傾斜する線上に配置されていることを特徴とする遠心ポンプ。 - 前記ピボット軸受は、少なくとも前記ピボット軸の一部が前記羽根車より前記流入口側へ突出していることを特徴とする請求項1に記載の遠心ポンプ。
- 前記羽根車及び前記ケーシングの対向面は、停止状態で接触する可能性を有する領域に対し少なくとも一方の表面に低摩擦処理が施されていることを特徴とする請求項1または2に記載の遠心ポンプ。
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