JP5582766B2 - 記録ヘッドおよびこれを備える記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、発熱素子を覆う保護層を有している記録ヘッドおよびこれを備える記録装置に関する。
ファクシミリやレジスターなどのプリンタとしては、サーマルヘッドおよびプラテンローラを備えるサーマルプリンタが用いられている。このようなサーマルプリンタに搭載されるサーマルヘッドとしては、基板上に配列された複数の発熱素子と、この発熱素子上に位置するとともに発熱素子を保護する機能を有する保護層とを有するものがある。プラテンローラは、例えば感熱紙などの記録媒体を発熱素子上に位置する保護層に対して押し当てる機能を有するものである。このような構成のサーマルプリンタでは、所望の画像に応じて発熱素子を発熱させるとともに、発熱素子上に位置する保護層に対して記録媒体をプラテンローラで略均等に押圧することにより、発熱素子の発する熱を記録媒体に対して良好に伝達させている。記録媒体に対する所望の印画は、この処理を繰り返すことにより行われている。
このようなサーマルプリンタでは、従来、保護層の表面に記録媒体が付着し、スティッキングという現象が生じ、記録媒体を良好に搬送できなくなる場合があった。そこで、保護層の表面に摺動性の高い有機膜を形成したサーマルヘッドが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−301752号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたサーマルヘッドでは、有機膜が摩耗して保護層が露出した場合、保護層が有機膜で覆われた部位と、保護層が露出した部位とで記録媒体の搬送状態にバラツキが生じ、このため、スティッキングという現象が生じ、記録媒体を良好に搬送できなくなる場合があった。
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、記録媒体を良好に搬送することが可能な記録ヘッドおよびこれを備える記録装置を提供することを目的とする。
本発明の記録ヘッドは、基板と、該基板上に位置している発熱素子と、該発熱素子上に設けられている保護層とを有しており、該保護層は、第1層と、該第1層を覆うように設けられている第2層とを含んでおり、前記第1層は複数の突出部を有しており、前記第2層は、前記複数の突出部間に位置する部位の上面が前記突出部の上面より窪んでいるとともに、前記第2層の厚みは、前記突出部上に位置する部位より前記突出部間に位置する部位が薄いことを特徴としている。
本発明の記録ヘッドにおいて、前記第2層の厚みは、前記突出部上に位置する部位から前記複数の突出部間に位置する部位に向けて漸次薄くなっていることが望ましい。
本発明の記録ヘッドにおいて、前記第1層は、前記第2層に比べて硬度が高いことが好ましい。
本発明の記録ヘッドにおいて、前記第2層は、動摩擦係数が前記第1層の動摩擦係数に比べて小さいことが好ましい。
本発明の記録装置は、本発明の記録ヘッドと、記録媒体を搬送する搬送手段とを備えることを特徴としている。
本発明の記録ヘッドは、基板と、該基板上に位置している発熱素子と、該発熱素子上に設けられている保護層とを有しており、該保護層が、第1層と、該第1層を覆うように設けられている第2層とを含んでおり、第1層は複数の突出部を有しており、第2層は、複数の突出部間に位置する部位の上面が突出部の上面より窪んでいる。そのため、本発明の記録ヘッドでは、第2層が削れていき第1層が露出し、この第1層が次第に摩耗していく過程において、記録媒体と第2層との摺動面積が大きく変化することがなく、保護層の摺動特性が変動するのを低減することができる。したがって、本発明の記録ヘッドでは、記録媒体が保護層の表面をほぼ同じ条件で摺動し、記録媒体を良好に搬送することができる。また、第2層の厚みが、突出部上に位置する部位よりも複数の突出部間に位置する部位を薄く設定することにより、この第2層が次第に摩耗していく過程において、記録媒体と第2層との摺動面積の変化を小さくすることができ、保護層の摺動特性の変化を抑制できる。
して、第2層の厚みが、突出部上に位置する部位から複数の突出部間に位置する部位に向けて漸次薄くなっている場合、記録媒体と第2層との摺動面積が漸次変化し、保護層の摺動特性の急激な変化を抑制できる。したがって、この記録ヘッドでは、保護層全体の摺動特性が変動するのをより低減することができ、記録媒体が保護層の表面をほぼ同じ条件で摺動し、記録媒体をより良好に搬送することができる。
本発明の記録ヘッドでは、第1層が、第2層に比べて硬度が高い場合、第2層が削れていき、硬度が高い第1層が徐々に露出していくため、保護層全体の摺動性が変動するのを低減することができるとともに、保護層の摩耗を抑制でき、記録媒体が保護層の表面をほぼ同じ条件で摺動し、記録媒体を良好に長期間搬送することができる。
本発明の記録ヘッドでは、第2層の動摩擦係数が、第1層の動摩擦係数に比べて小さい場合、第2層が削れていき第1層が露出していく過程において、記録媒体と動摩擦係数の小さい第2層との摺動面積が大きく変化することがないため、保護層全体の摺動性が変動するのを低減することができ、記録媒体が保護層の表面をほぼ同じ条件で摺動し、記録媒体を良好に搬送することができる。
本発明の記録装置は、上述の記録ヘッドを備えている。そのため、本発明の記録装置は、上述の記録ヘッドの有する効果を享受することができる。したがって、本発明の記録装置は、記録媒体を良好に搬送することができる。
本発明の記録ヘッドの実施形態の一例であるサーマルヘッドの概略構成を示す平面図である。 図1に示したサーマルヘッドの要部を拡大した平面図である。 図2のIIb−IIb線に沿った断面図である。 図3に示した保護層の要部をさらに拡大した断面図である。 本発明の記録ヘッドの保護層が摩耗していく状態を説明するための断面図である。 従来の記録ヘッドの保護層が摩耗していく状態を説明するための断面図である。 本発明の記録装置の実施形態の一例であるサーマルプリンタの概略構成を示す図である。
<記録ヘッド>
図1は、本発明の記録ヘッドの実施形態の一例であるサーマルヘッドXの概略構成を示す平面図である。
図2は、図1に示したサーマルヘッドXの要部を拡大した図である。
図3は、図2に示したIIb−IIb線に沿った断面図である。
サーマルヘッドXは、基板10と、蓄熱層20と、電気抵抗層30と、導電層40と、保護層50と、駆動IC60とを含んで構成されている。
基板10は、蓄熱層20と、電気抵抗層30と、導電層40と、保護層50と、駆動IC60とを支持する機能を有するものである。この基板10は、平面視において矢印方向D1,D2に延びる矩形状に構成されている。
蓄熱層20は、電気抵抗層30の後述する発熱素子Hにおいて発生する熱の一部を一時的に蓄積する機能を有するものである。すなわち、蓄熱層20は、発熱素子Hの温度を上昇させるのに要する時間を短くして、サーマルヘッドXの熱応答特性を高める役割を担うものである。この蓄熱層20は、基板10上に位置しており、矢印方向D1,D2に延びる帯状に構成されている。また、この蓄熱層20は、図3に示すように、矢印方向D1,D2に直交する矢印方向D3,D4における断面形状が略半楕円状に構成されている。
電気抵抗層30は、複数の発熱素子Hとして機能する部位を有するものである。この電気抵抗層30は、単位長さ当たりの電気抵抗値が導電層40の単位長さ当たりの電気抵抗値に比べて大きくなるように構成されている。この電気抵抗層30は、一部が蓄熱層20上に位置している。本実施形態では、導電層40から電圧が印加される電気抵抗層30のうち導体層40が上に形成されていない部位が発熱素子Hとして機能している。この電気抵抗層30を主として形成する材料としては、例えばTaN系材料と、TaSiO系材料と、TaSiNO系材料と、TiSiO系材料と、TiSiCO系材料と、NbSiO系材料とが挙げられる。
複数の発熱素子Hは、電圧印加により発熱するものである。これらの発熱素子Hは、導電層40からの電圧印加による発熱温度が例えば200[℃]以上550[℃]以下の範囲となるように構成されている。これらの発熱素子Hは、蓄熱層20の上に位置しており、矢印方向D1,D2に沿って配列されている。本実施形態では、これらの発熱素子Hの配列方向がサーマルヘッドXの主走査方向となる。
導電層40は、発熱素子Hに対して電圧を印加する機能を有するものである。この導電層40は、電気抵抗層30上に位置している。また、この導電層40は、第1導電層41と、第2導電層42とを含んで構成されている。導電層40を主として形成する材料としては、例えばアルミニウム、金、銀、銅のいずれか一種の金属またはこれらの合金が挙げられる。本実施形態の導電層40は、その矢印D5方向側の表面の表面粗さが大きくなるように構成されている。ここで「表面粗さ」としては、JIS規格B0601:2001に規定されるRaをいう。この導電層40のRaとしては、例えば5[nm]以上10[nm]以下の範囲が挙げられる。このような導電層40は、例えば保護層50の形成時に熱を加えながら成膜することによって形成することができる。
第1導電層41は、各々の一端部が複数の発熱素子Hのそれぞれの一端部に接続されている。第1導電層41は、各々の他端部が駆動IC60に接続されている。この第1導電層41は、発熱素子Hの矢印D4方向側に位置している。
第2導電層42は、その端部が複数の発熱素子Hの他端部、及び図示しない電源に対して接続されている。この第2導電層42は、発熱素子Hの矢印D3方向側に位置している。
図4は、図3に示した保護層50の要部をさらに拡大した断面図である。
保護層50は、発熱素子Hと、第1導電層41と第2導電層42とからなる導電層40とを保護する機能を有するものである。この保護層50は、発熱素子Hと、導電層40の一部とを覆うように形成されている。保護層50を主として形成する材料としては、例えばダイヤモンドライクカーボン材料と、SiC系材料と、SiN系材料と、SiCN系材料と、SiON系材料と、SiONC系材料と、SiAlON系材料と、SiO系材料と、Ta系材料と、TaSiO系材料と、TiC系材料と、TiN系材料と、TiO系材料と、TiB系材料と、AlC系材料と、AlN系材料と、Al系材料と、ZnO系材料と、BC系材料と、BN系材料とが挙げられる。ここで「ダイヤモンドライクカーボン材料」とは、sp混成軌道をとる炭素原子(C原子)の割合が1[原子%]以上100[原子%]未満の範囲である膜をいう。また、ここで「〜系材料」とは、SiC系材料を例に挙げると、Si原子と、C原子とからなる材料であって、化学量論的組成を有する材料は勿論のこと、異なる組成比率を有する材料であってもよい。また、「〜系材料を主とする材料」とは、主とする材料が全体に対して50[wt%]以上であるものをいい、例えば添加物を含んでいてもよい。本実施形態の保護層50は、下地層51と、第1層52と、第2層53とを含んで構成されている。
下地層51は、電気抵抗層30および導電層40と、第1層52および第2層53との間に介在している。この下地層51の有する機能としては、例えば電気抵抗層30および導電層40を外部から良好に封止する機能と、第1層52および第2層53から電気抵抗層30および導電層40を絶縁する機能とが挙げられる。ここで「絶縁」とは、電流が実質的に流れなくなる程度をいい、例えば電気抵抗率が1.0×1010[Ω・cm]以上であることをいう。また、本実施形態の下地層51は、SiN系材料により形成されており、これにより発熱素子Hおよび導電層40を外部から良好に封止している。ここで、「封止」とは、例えば記録媒体などに含まれるNaイオン等から導電層40を形成する材料の腐食を低減することを言う。下地層51の厚みは4.5〜7μmとされている。
第1層52は、主として摺動面として機能する役割を担っている。この第1層52は、第2層53を形成する材料に比べて耐摩耗性が良好な材料によって形成されている。ここで「耐摩耗性」とは、例えば記録媒体が保護層50の表面を摺動することによる摩耗に対する耐性を言う。この耐摩耗性の高い材料としては、ダイヤモンドライクカーボン材料、SiC、Cが挙げられる。この第1層52は、表面粗さが大きくなるように構成されている。ここで「表面粗さ」としては、JIS規格B0601:2001に規定されるRaをいう。この第1層52のRaとしては、例えば25[nm]以上60[nm]以下の範囲が挙げられる。
本実施形態の第1層52は、他の部位に比べて矢印D5方向に突出する複数の突出部521を含んで構成されている。これらの突出部521と他の部位との矢印方向D5,D6における高低差としては、例えば50[nm]以上1[μm]以下の範囲が挙げられる。第1層52の厚みは2〜4.6μmとされている。
第2層53は、サーマルヘッドXの初期摺動面として機能する役割を担っている。この第2層53は、第1層52を覆うように構成されている。この第2層53は、第1層52を形成する材料に比べて摺動性が良好な材料によって形成されている。ここで「摺動性が良好」とは、例えば記録媒体が保護層50の表面を摺動する際の動摩擦係数が小さいことをいう。この摺動性の高い材料としては、SiON系材料、SiN系材料、SiCN系材料が挙げられる。これらのSiON系材料、SiN系材料、SiCN系材料を第2層53として採用した場合、第2層53は、第1層52に比べて硬度が低くなる。この第2層53の厚みとしては、例えば15[nm]以上1[μm]未満の範囲が挙げられる。
本実施形態の第2層53は、複数の突出部521間に位置する部位の上面53aが突出部521の上面521aより矢印D6方向に窪むように構成されている。これは、隣接する第1層52の突出部521の頂点に対して接線を引くことにより確認することができる。 また、この第2層53は、複数の突出部521間に位置する部位の厚みT53aが突出部521上に位置する部位の厚みT53bに比べて薄くなるように構成されている。厚みT53bは上記接線が接する頂点における第2層53の厚みであり、厚みT53aは、上記接線を下方に平行移動させて最も低い位置で接する頂点における第2層の厚みである。
さらに、この第2層53の厚みは、突出部521上に位置する部位から突出部521間に位置する部位に向かって漸次薄くなるように構成されている。
駆動IC60は、複数の発熱素子Hの電力供給状態を制御する機能を有するものである。この駆動IC60は、第1導電層41の他端部に対して電気的に接続されている。このような構成とすることにより、発熱素子Hを選択的に発熱させることができる。また、この駆動IC60には、外部接続用部材61が電気的に接続されている。
外部接続用部材61は、発熱素子Hを駆動するための電気信号を供給する機能を有するものである。この外部接続用部材61としては、例えばフレキシブルケーブルおよびコネクタの組み合わせが挙げられる。
サーマルヘッドXは、基板10と、該基板10上に位置している発熱素子Hと、該発熱素子H上に設けられている保護層50とを有しており、該保護層50が、第1層52と、該第1層52を覆うように設けられている第2層53とを含んでおり、第1層52は、複数の突出部521を有しており、複数の突出部521間に位置する部位の第2層53の上面53aが突出部521の上面521aより窪んでいる。そのため、サーマルヘッドXでは、記録媒体が保護層50上を摺動する際に、第2層53が削れていき第1層52が露出していく過程において、記録媒体と第2層53との摺動面積が大きく変化することがなく、保護層50の摺動特性の変動を低減できる。したがって、サーマルヘッドXでは、記録媒体が保護層50の表面をほぼ同じ条件で摺動し、記録媒体を良好に搬送することができる。
図5は保護層50が摩耗していく状態を説明するもので、使用当初には、図5(a)に示すように、記録媒体Pが第2層53の突出部上面に当接し、摺動しており、動摩擦係数が小さく柔らかい第2層53が記録媒体Pの摺動により摩耗し、図5(b)に示すように、硬い第1層52に当接して摩耗するようになるが、複数の突出部521間に位置する第2層53の上面53aが突出部521の上面521aより窪んでいるため、この間では、殆ど同じ条件で第2層53が記録媒体Pの摺動により摩耗しており、記録媒体Pと第2層53との摺動面積は大きく変動せず、このため保護層50上を摺動する記録媒体Pの摺動特性は大きく変動しない。
これに対して、複数の突出部521間に位置する部位の第2層53の上面53aが、突出部521の上面521aより上に位置する場合には、図6(a)に示すように、使用当初には、記録媒体Pが第2層53の頂面に当接し、摺動しており、動摩擦係数が小さく柔らかい第2層53が記録媒体Pの摺動により摩耗し、次の段階では、図6(b)に示すように、記録媒体Pが第2層53の全面に当接し、柔らかい第2層のみが摩耗していき、記録媒体Pの摺動特性が最大となり、摩耗も大きくなり、次の段階では、図6(c)に示すように、硬い第1層52に当接し、この第1層52も摩耗し、記録媒体Pの全体が第1層52と第2層53に当接し、記録媒体Pと第2層53との摺動面積は大きく変動し、使用当初から保護層の摺動特性の変化が大きくなる。
サーマルヘッドXにおいて、第2層53は、突出部521上に位置する部位の厚みT53bに比べて突出部521間に位置する部位の厚みT53aが薄くなっており、突出部521上に位置する部位から複数の突出部521間に位置する部位に向かって厚みが漸次薄くなっているので、第2層53が削れていき第1層52が露出していく過程において、第2層53上を記録媒体Pが摺動する面積が大きくなるのを低減でき、保護層50の摺動特性の変化をさらに小さくすることができる。
したがって、このサーマルヘッドXでは、保護層50全体の摺動特性が変動するのをより低減することができ、保護層50の表面に記録媒体Pを摺動させた場合でも記録媒体をより良好に搬送することができる。
サーマルヘッドXでは、第1層52が第2層53に比べて硬度が高い場合、記録媒体Pが保護層50上を摺動し、第2層53が削れていき第1層52が露出していく過程において、保護膜全体の硬度の変動が少ないため、サーマルヘッドXと記録媒体とのなじみがよくスティッキングを抑制することができるとともに、保護層50の摩耗を抑制でき、保護層50の表面に記録媒体を摺動させた場合でも記録媒体Pを良好に長期間搬送することができる。
サーマルヘッドXでは、第2層53の動摩擦係数が第1層52の動摩擦係数に比べて小さい場合、第2層53が削れていき第1層52が露出していく過程において、記録媒体と動摩擦係数の小さい第2層との摺動面積が大きく変化することがないため、保護層全体の摺動特性が変動するのを低減することができ、保護層50の表面に記録媒体を摺動させた場合でも記録媒体を良好に搬送することができる。
本発明の記録ヘッドの製法について説明する。
先ず、基板10上に、蓄熱層20と、電気抵抗層30と、導電層40とを形成し、これに保護層50を形成する。保護層50の下地層51、第1層52、第2層53は、特開平2−221369号公報に開示されたようなスパッタ装置を用いて成膜する。このスパッタ装置は、回転駆動軸にトレーが取り付けられ、このトレーには、回転駆動軸を中心として円周上に基板が取り付け可能に構成されている。このスパッタ装置では、トレーに取り付けられた基板が回転駆動軸を中心に公転するとともに、基板がトレーに対して自転するように構成されている。
保護層50は、先ず、下地層51を形成する。下地層51は、スパッタリング法により、基板10を回転駆動軸を中心に公転させるとともに自転させながら、スパッタ圧を0.66〜4Pa(5〜30mTorr)として成膜する。
次に、下地層51上に第1層52を形成する。第1層52は、スパッタリング法により、基板10を回転駆動軸を中心に公転させるとともに自転させながら、スパッタ圧を0.66〜4Pa(5〜30mTorr)として成膜する。この第1層52には、導電層40の位置に対応する位置に突出部521が形成されている。
次に、第1層52の上面に第2層53を形成する。第2層53は、基板10の公転および自転を停止させ、基板10を静止させた状態で、かつ、スパッタ圧を0.13〜0.4Pa(1〜3mtorr)と小さくして成膜する。静止させた状態で成膜することにより、基板の一面に対して垂直方向に入射する原子を主とし、またスパッタ圧を低くすることで平均自由工程が長くなるため、斜め方向に入射する原子を抑制でき、これにより、第1層52の複数の突出部521間に位置する部位の第2層53の上面が、第1層52の突出部521の上面より窪んでいる保護層50を形成することができる。
<記録装置>
図7は、本発明の記録装置の実施形態の一例であるサーマルプリンタYの概略構成を示す図である。
サーマルプリンタYは、サーマルヘッドXと、搬送機構70と、制御機構80とを有している。
搬送機構70は、記録媒体Pを矢印D3方向に搬送しつつ、該記録媒体PをサーマルヘッドXの発熱素子H側に押圧する機能を有するものである。この搬送機構70は、プラテンローラ71と、搬送ローラ72,73,74,75とを含んで構成されている。
プラテンローラ71は、記録媒体Pを発熱素子H側に押し付ける機能を有するものである。このプラテンローラ71は、発熱素子H上に位置する保護層50に接触した状態で回転可能に支持されている。このプラテンローラ71は、円柱状の基体の外表面を弾性部材により被覆した構成を有している。この基体は、例えばステンレスなどの金属により形成されており、この弾性部材は、例えば厚みの寸法が3[mm]以上15[mm]以下の範囲のブタジエンゴムにより形成されている。
搬送ローラ72,73,74,75は、記録媒体Pを搬送する機能を有するものである。すなわち、搬送ローラ72,73,74,75は、サーマルヘッドXの発熱素子Hとプラテンローラ71との間に記録媒体Pを供給するとともに、サーマルヘッドXの発熱素子Hとプラテンローラ71との間から記録媒体Pを引き抜く役割を担うものである。これらの搬送ローラ72,73,74,75は、例えば金属製の円柱状部材により形成してもよいし、例えばプラテンローラ71と同様に円柱状の基体の外表面を弾性部材により被覆した構成であってもよい。
制御機構80は、駆動IC60に画像情報を供給する機能を有するものである。つまり、制御機構80は、外部接続用部材61を介して発熱素子Hを選択的に駆動する画像情報を駆動IC60に供給する役割を担うものである。
サーマルプリンタYは、サーマルヘッドXを備えている。そのため、サーマルプリンタYは、サーマルヘッドXの有する効果を享受することができる。したがって、サーマルプリンタYは、サーマルヘッドXの保護層50上に記録媒体Pを摺動させても、良好に搬送することができる。
以上、本発明の具体的な実施形態を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の要旨から逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
本実施形態では、保護層50の第2層53を形成する材料として絶縁性を有する無機物材料を列挙しているが、このような材料に限られるものではなく、金属材料であっても、有機材料であってもよい。
本実施形態では、保護層50が下地層51を含んで構成されているが、第1層が絶縁性の膜の場合は、このような構成に限るものでなく、電気抵抗層30および導電層40上に第1層52が形成されていてもよい。第1層が導電性の膜である場合は、隣接する電気抵抗層30および導電層40の絶縁を確保するために保護層50に下地層51を形成する必要がある。
ヘッド基体として、幅9mm、長さ168mm、厚み1mmのアルミナ基板を用いた。この基板の長さ方向には発熱素子列が形成され、それぞれの発熱素子に電気的に接続するアルミニウムからなる回路導体が基板に形成されていた。
この基板に、スパッタ法により、下地層、第1層、第2層からなる3層構造の保護膜を形成した。先ず、スパッタ圧0.66〜0.93Pa(5〜7mTorr)で、基板を回転駆動軸を中心に公転させながら自転させ、SiNを4.5μm成膜して下地層を形成し、この後、スパッタ圧1.33〜4Pa(10〜30mtorr)で、基板を回転駆動軸を中心に公転させながら自転させ、SiC(硬度1800Hv、動摩擦係数0.33)を3.0μm成膜して第1層を形成し、その後、基板の公転および自転を停止させ、蒸発源の正面に基板を静止させた状態で、スパッタ圧0.13〜0.4Pa(1〜3mtorr)でSiON(硬度1200Hv、動摩擦係数0.15)を成膜して第2層を形成した。動摩擦係数はレスカ製摩擦摩耗試験機FPR−2100(摩擦摩耗試験条件:100g、50rpm、試料ボールAl)にて測定した。
第1層は、複数の突出部を有しており、第2層は、複数の突出部間に位置する部位の上面が突出部の上面より窪んでいた。第2層は、突出部上に位置する部位の厚みT53bが0.2μmであったが、複数の突出部間に位置する部位の厚みT53aが0.19μmであり、第2層の厚みは、突出部上に位置する部位より複数の突出部間に位置する部位が薄くなっていた。
比較例として、上記基板に、スパッタ法により、下地層、第1層、第2層からなる3層構造の保護膜を形成した。先ず、スパッタ圧0.66〜0.93Pa(5〜7mTorr)で、基板を回転駆動軸を中心に公転させながら自転させ、SiNを4.5μm成膜して下地層を形成し、この後、スパッタ圧1.33〜4Pa(10〜30mTorr)で、基板を回転駆動軸を中心に公転させながら自転させ、SiC(硬度1800Hv、動摩擦係数0.33)を3.0μm成膜して第1層を形成し、その後、スパッタ圧0.66〜0.93Pa(5〜7mtorr)で、基板を回転駆動軸を中心に公転させながら自転させ、SiON(硬度1200Hv、動摩擦係数0.15)を成膜して第2層を形成した。
第1層は、複数の突出部を有しており、第2層は、複数の突出部間に位置する部位の上面が第1層の突出部の上面より上に位置していた。第2層は、突出部上に位置する部位の厚みT53aが0.2μmであり、複数の突出部間に位置する部位の厚みT53aも0.2μmであった。
この後、基板に駆動ICを搭載し、外部接続用部材を接着し、これに放熱体を取り付け、サーマルヘッドを作製した。作製したサーマルヘッドを実機に搭載し、走行距離6kmの走行試験を行い、スティッキングの有無を確認し、その結果を表1に記載した。
スティッキングは、全黒印字の際に副走査方向に白抜けが発生した時をスティッキング有りと判断し、表中に×と記載した。
Figure 0005582766
この表1から、本発明の保護層の場合には、走行距離6kmでもスティッキングは発生しなかったのに対して、比較例の保護層では、2km走行時にスティッキングが発生することがわかる。
X サーマルヘッド
Y サーマルプリンタ
10 基板
20 蓄熱層
30 電気抵抗層
40 導電層
41 第1導電層
42 第2導電層
50 保護層
51 下地層
52 第1層
521 突出部
53 第2層
60 駆動IC
61 外部接続用部材
70 搬送機構
71 プラテンローラ
72,73,74,75 搬送ローラ
80 駆動機構
P 記録媒体
H 発熱素子

Claims (5)

  1. 基板と、
    該基板上に位置している発熱素子と、
    該発熱素子上に設けられている保護層とを有しており、
    該保護層は、第1層と、該第1層を覆うように設けられている第2層とを含んでおり、
    前記第1層は複数の突出部を有しており、
    前記第2層は、前記複数の突出部間に位置する部位の上面が前記突出部の上面より窪んでいるとともに、前記第2層の厚みは、前記突出部上に位置する部位より前記突出部間に位置する部位が薄いことを特徴とする記録ヘッド。
  2. 前記第2層の厚みは、前記突出部上に位置する部位から前記複数の突出部間に位置する部位に向けて漸次薄くなっていることを特徴とする請求項に記載の記録ヘッド。
  3. 前記第1層は、前記第2層に比べて硬度が高いことを特徴する請求項1または2に記載の記録ヘッド。
  4. 前記第2層は、動摩擦係数が前記第1層の動摩擦係数に比べて小さいことを特徴とする請求項1乃至のうちいずれかに記載の記録ヘッド。
  5. 請求項1乃至のうちいずれかに記載の記録ヘッドと、記録媒体を搬送する搬送部とを備えることを特徴とする記録装置。
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