図1は分岐栓と混合水栓とを示した側面図、図2は分岐栓の平面図、図3は分岐栓の平面断面図、図4分岐栓の正面断面図、図5は分岐栓に蓋部材を設けた状態を示した平面断面図、図6は分岐栓の平面断面図、図7は分岐栓の正面断面図、図8は分岐栓に蓋部材を設けた状態を示した平面断面図、図9は分岐栓の平面断面図、図10は分岐栓の正面断面図、図11は分岐栓のA―A断面図である。なお、図1、図4、図7、図10、および、図11においては、図示上方を上方と、図示下方を下方と、図示左方を左方と、図示右方を右方とする。図2、図3、図5、図6、図8、および、図9においては、図示上方を前方と、図示下方を後方と、図示左方を左方と、図示右方を右方とする。
分岐栓の第一実施形態について、図1から図5を用いて説明する。図1に示す如く、混合水栓70に用いられる分岐栓1Aは、混合水栓70に供給される湯または水を分岐して取り出すものであり、混合水栓本体2とカートリッジ3との間に配置され、図示しない浄水器や整水器や食洗機等の接続対象物にホース等を介して接続される。そして、混合水栓本体2から分岐栓1Aに流入した湯または水は、分岐栓1A内で分岐され、前記接続対象物に流出される。
なお、一般に、通常の使用状態における混合水栓70は、台所の流し台に混合水栓本体2が固定して設けられ、当該混合水栓本体2の上部にはカートリッジ3とカバーナット4とハンドルレバー5とが配置されて構成されている。混合水栓本体2内には、ボイラー等と接続される湯側流路管と、水道管と接続される水側流路管と、湯、水、また、湯水混合液が流通する混合流路管と、が設けられている。分岐栓1Aが装着された混合水栓70においては、カートリッジ3と前記湯側流路管、水側流路管、および混合流路管とが分岐栓1Aを介して接続されており、カートリッジ3により、前記湯側流路管および水側流路管から供給される湯および水の前記混合流路管への、吐水および止水の切り替えや、湯および水の吐水量の調節が行われる。カートリッジ3による吐水および止水の切り替えや、湯および水の吐水量の調節は、ハンドルレバー5の操作により行われる。混合水栓本体2の上下中途部の外周部には、混合流路管と連通し、前記湯水混合液等を外部に流出するためのスパウトが設けられている。混合水栓本体2における上部の外周面には、雌ネジが形成されている。
図2から図4に示す如く、分岐栓1Aは、分岐栓本体10Aと、外装部材20Aと、第一分岐接続部材30とを具備する。
図2から図4に示す如く、分岐栓本体10Aは、金属素材からなる部材であって、軸心方向を上下方向とする円柱形状に形成されている。分岐栓本体10Aにおける上下中途部の外周面には、半径方向外側に突出する周状(フランジ状)の突部17が設けられている。分岐栓本体10Aには、湯側流路12と、水側流路11と、戻り流路13と、横孔14Aとが形成され、また、分岐栓本体10Aは、第一開口部15を備えている。
湯側流路12は、混合水栓本体2の前記湯側流路管に接続されており、湯側流路管から流入される湯を流通させ、カートリッジ3に流出させる流路である。湯側流路12は、分岐栓本体10Aの軸心方向に貫通され、図2、図3に示す平面視において開口部が前右方に配置されるように形成されている。水側流路11は、混合水栓本体2の前記水側流路管に接続されており、水側流路管から流入される水を流通させ、カートリッジ3に流出させる流路である。水側流路11は、分岐栓本体10Aの軸心方向に貫通され、図2、図3に示す平面視において開口部が前左方に配置されるように形成されている。また、水側流路11の径は、湯側流路12より大きい径となるように形成されている。戻り流路13は、カートリッジ3から流入される、湯、水、または、湯水混合液を流通させ、混合水栓本体2に流出させる流路である。戻り流路13は、分岐栓本体10Aの軸心方向に貫通され、図2、図3に示す平面視において開口部が後方に配置されるように形成されている。湯側流路12、水側流路11、および、戻り流路13のそれぞれの下端部(分岐栓本体10Aの湯側流路管、水側流路管、および混合流路管との接続部)には、水漏れ防止用の環状のパッキンが設けられている。
横孔14Aは、湯側流路12に連通され、湯側流路12を流通する湯を湯側流路12から分岐させる流路、または、水側流路11に連通され、水側流路11を流通する水を水側流路11から分岐させる流路である。横孔14Aは、分岐栓本体10Aの軸心方向に対して略直角に、図2、図3に示す分岐栓本体10Aの左方の外周面から水側流路11の後方まで形成されている。つまり、横孔14Aは、水側流路11と連通し且つ分岐栓本体10Aの外周面に開口するように形成されている。また、横孔14Aの外周面近傍の径は、水側流路11側の径に比べて、大きい径となるように形成されている。当該横孔14Aにおける大径部分の内周面には、雌ネジが形成されている。また、横孔14Aが、周方向に開口するように分岐栓本体10Aに形成されることで、分岐栓本体10Aの外周面に第一開口部15が形成されている。
外装部材20Aは、金属素材からなる部材であって、外装本体21Aと、フクロナット22と、を具備している。外装本体21Aは、その内径が、分岐栓本体10Aを収納可能なように分岐栓本体10Aの外径と略同一の、軸心方向を上下方向とする筒形状に形成されている。また、外装本体21Aにおける上部の外径が、下部の外径に比べて小径に形成されている。外装本体21Aにおける前記下部には、内周面から外周面にわたって貫通する第一貫通孔25が形成されている。フクロナット22は、その外径が、外装本体21Aにおける下部の外径と略同一の、軸心方向を上下方向とする筒状に形成されている。また、フクロナット22の内径は、外装本体21Aの内径より大きい内径、つまり、分岐栓本体10Aとの間に所定の隙間を有した状態で、分岐栓本体10Aを収納可能なように形成されている。フクロナット22の上端部には、分岐栓本体10Aをその内部に配置した際に分岐栓本体10Aに設けられた突部17と係合するように、半径方向内側に突出する周状の突部23が設けられている。フクロナット22における下部の内周面には、雌ネジが形成されている。外装本体21Aの下方にフクロナット22が配置されることによって、外装部材20Aは、全体として筒形状に構成され、また、その内部に分岐栓本体10Aが設けられる。なお、外装部材20Aの内部に分岐栓本体10Aが設けられる構成は、例えば、分岐栓本体10Aに上方からフクロナット22を嵌装して、分岐栓本体10Aの突部17とフクロナット22の突部23とを係合させた後、さらに分岐栓本体10Aに上方から外装本体21Aを嵌合することで実現することができる。
第一分岐接続部材30は、六角ボルト形状の部材に、当該六角ボルト形状の部材の軸心方向に貫通する第一分岐流路35が形成された部材である。具体的には、第一分岐接続部材30は、一端が、円柱形状に形成された挿入部31と、他端が、六角柱形状に形成された六角部32とから構成されている。そして、第一分岐接続部材30は、挿入部31と六角部32との互いの軸心を一致させるように、挿入部31の一方の底面に六角部32を一体的に設け、且つ、前記軸心方向に貫通する第一分岐流路35が形成されている。また、第一分岐接続部材30における挿入部31の外径は、分岐栓本体10Aに形成された横孔14Aにおける外周面近傍の径(大きい径)と略同一の外径となるように形成されている。第一分岐接続部材30における挿入部31の外周面には、雄ネジが形成されている。第一分岐流路35の径は、分岐栓本体10Aに形成された横孔14Aにおける水側流路11側の径(小さい径)の径と略同一となるように形成されている。また、第一分岐接続部材30における六角部32の各角には、雄ネジが形成されている。
以上のようにして構成された、分岐栓本体10A、外装部材20A、および、第一分岐接続部材30を組み合わせることによって、分岐栓1Aが構成される。以下において、当該組み合わせの手順について具体的に説明する。分岐栓本体10Aの上方からフクロナット22をかぶせて、分岐栓本体10Aとフクロナット22とを嵌合させる。そして、斯る状態の分岐栓本体10Aの上方から外装本体21Aをかぶせて、分岐栓本体10Aと外装本体21Aとを嵌合させる。この場合、分岐栓本体10Aが具備する第一開口部15の位置と、外装本体21Aに形成された第一貫通孔25の位置とを一致させた状態で両者を嵌合させる。さらに、第一分岐接続部材30の一端である挿入部31を第一貫通孔25に挿入し、且つ、当該第一分岐接続部材30の挿入部31と第一開口部15とを直接接合する。前記第一分岐接続部材30の挿入部31と第一開口部15との接合は、第一分岐接続部材30に形成された雄ネジと、分岐栓本体10Aにおける横孔14Aに形成された雌ネジとを螺合させることによって行う。この場合、第一分岐接続部材30の雄ネジと横孔14Aの雌ネジとの間は、接着剤等のシール材を介装するなどして水密的にシールされる。このようにして、分岐栓本体10A、外装部材20A、および、第一分岐接続部材30によって、分岐栓1Aは構成される。
分岐栓1Aは、混合水栓本体2とカートリッジ3との間に配置される。以下において、混合水栓本体2とカートリッジ3との間に分岐栓1Aを配置する際の手順について具体的に説明する。まず、混合水栓本体2の上に分岐栓1Aを載置する。この際、混合水栓本体2内に設けられた前記湯側流路管と分岐栓本体10Aに形成された湯側流路12との位置を、混合水栓本体2内に設けられた前記水側流路管と分岐栓本体10Aに形成された水側流路11との位置を、および、混合水栓本体2内に設けられた前記混合液流路管と分岐栓本体10Aに形成された戻り流路13との位置を、それぞれ一致させるようにして、混合水栓本体2の上に分岐栓1Aを載置する。斯るように混合水栓本体2の上に分岐栓1Aを載置することで、前期湯側流路管と湯側流路12とが、前記水側流路管と水側流路11とが、および、前記混合液流路管と戻り流路13とが、それぞれ連通されることとなる。次に、フクロナット22を分岐栓本体10Aに対して回転してフクロナット22における下部の内周面に形成された雌ネジと、混合水栓本体2の上部に形成された雄ネジとを螺合さていく。当該雌ネジと雄ネジとを螺合させることにより、分岐栓本体10Aに形成された突部17と、フクロナット22に形成された突部23とが係合され、分岐栓1Aは、下方に押圧され混合水栓本体2に固定されることとなる。そして、当該岐栓1Aの上方に、カートリッジ3を載置し、さらにハンドルレバー5が取り付けられたカバーナット4をカートリッジ3にかぶせて、カバーナット4を外装本体21Aの上端部に螺合することで、分岐栓1Aが混合水栓70に装着される。
以上のようにして、分岐栓1Aにおいては、分岐栓本体10Aは外装部材20A内に設けられる。そして、斯る状態において、分岐栓本体10Aが具備する第一開口部15と、第一分岐接続部材30の一端部とが水密的に直接接合されることによって、分岐栓本体10Aに形成された横孔14Aと、第一分岐接続部材30に形成された第一分岐流路35と、が連通されることとなる。このため、分岐栓1Aは、分岐栓本体10Aの外周面(分岐栓本体10Aが具備する第一開口部15の上下)にシール部材を介装する必要がない。したがって、分岐栓本体10Aと外装本体21Aとを嵌合する際にシール部材の破損を気にかける必要がなく作業に熟練を要することもないため作業が容易をとなり、分岐栓1Aの水密性を確実に確保することができる。さらに、分岐栓本体10Aにシール部材を配置するためのスペースを確保する必要もなく、分岐栓本体10Aの長さを短く構成することができ、全体的に高さ寸法を抑えた分岐栓1Aを構成することが可能となる。
また、分岐栓1Aにおいては、第一開口部15と第一分岐接続部材30の一端部とが直接接合されることにより、横孔14Aと第一分岐流路35とが連通される。このため、分岐栓1Aにおいては、第一開口部15(横孔14A)と連通する横溝を分岐栓本体10Aに形成することなく、第一分岐流路35に水を分岐させることができる。したがって、分岐栓本体10Aに横溝を形成する工程を省略することができ、ひいては、分岐栓の製造コストを低減させることができる。
ここで、従来の分岐栓においては、外装部材内に分岐栓本体を設けた状態で、フクロナットと混合水栓本体2とを螺合させた場合に、フクロナットと外装本体とが係合するような構成のものがあった。このような構成では、フクロナットを混合水栓本体2に螺合して外装部材を混合水栓本体2に固定した状態でも、外装部材内で分岐栓本体10Aが容易に移動し得るため、混合水栓本体2とカートリッジ3との間に分岐栓を配置する際に、その配置作業を煩雑なもとする可能性があった。しかしながら、分岐栓1Aにおける分岐栓本体10Aの外周面には、半径方向外側に突出する周状(フランジ状)の突部17が形成されている。また、分岐栓1Aにおける外装部材20Aのフクロナット22には、分岐栓本体10Aに形成された突部17と係合するように、半径方向内側に突出する周状の突部23が設けられている。このため、フクロナット22と混合水栓本体2とにそれぞれに形成されたネジを螺合して、外装部材20Aを混合水栓本体2に固定すると、分岐栓本体10Aに形成された突部17と、フクロナット22に形成された突部23とが係合して、分岐栓本体10Aは混合水栓本体2に固定されることとなり動くことがない。したがって、混合水栓本体2とカートリッジ3との間に分岐栓1Aを配置する配置作業を簡便なものとすることができる。
分岐栓1Aにおいては、分岐栓本体10Aが具備する第一開口部15に第一分岐接続部材30の挿入部31を螺合挿入して、第一開口部15と挿入部31とを直接接合するものである。つまり、第一分岐接続部材30が分岐栓本体10Aに接合される周方向の位置は、分岐栓本体10Aが具備する第一開口部15の周方向の位置によって決定されている。このため、分岐栓1Aにおいては、混合水栓本体2とカートリッジ3との間に分岐栓1Aを装着する際に、分岐接続部材の周方向の位置を調整する作業を、特に要さないこととなる。したがって、混合水栓本体2とカートリッジ3との間に分岐栓1Aを配置する配置作業を良好なものとすることができる。
図5に示す如く、第一分岐接続部材30の他端側に形成された第一分岐流路35の開口部分は、盲栓などの蓋部材50を用いて閉塞することが可能である。具体的には、蓋部材50は、第一分岐接続部材30における六角部32の外郭線と略同一の内径を備える、椀形状の部材である。また、蓋部材50の外周面は六角ナット形状に形成され、また、蓋部材50の内周面は雌ネジが形成されている。そして、蓋部材50の内部に、水漏れ防止用の環状のパッキン51を設け、第一分岐接続部材30の六角部32に形成された雄ネジと、蓋部材50に形成された雌ネジとを螺合させる。このようにして、第一分岐接続部材30に接続対象物を接続しないような場合には、前記第一分岐流路35の開口部分を閉塞して、湯または水の誤流出等を防止することができる。
なお、分岐栓1Aにおいては、分岐栓本体10Aに形成された横孔14Aは水側流路11と連通されているが、当該横孔14Aは、湯側流路12に連通される構成でも良いものとする。
分岐栓の第二実施形態について、図6から図11を用いて説明する。なお、第二実施形態に係る分岐栓1Bは分岐栓1Aと同様の構成を有する部分があるため、分岐栓1Bの説明は、分岐栓1Aと同様の構成の部分については適宜省略し、分岐栓1Aの構成と異なる部分を中心に説明する。
図6および図7に示す如く、分岐栓1Bは、分岐栓本体10Bと、外装部材20Bと、第一分岐接続部材30と、第二分岐接続部材40とを具備する。
図6および図7に示す如く、分岐栓本体10Bには、横孔14Bが形成されている。横孔14Bは、軸心方向に対して略直角に、湯側流路12と戻り流路13との間を通るように、分岐栓本体10Bの外周面を左右方向に貫通し、且つ、水側流路11後方と連通するように形成されている。つまり、横孔14Bは、水側流路11と連通し、且つ、分岐栓本体10Bの外周面に二箇所で開口するように形成されている。また、横孔14Bの外周面近傍の各々の径は、いずれも、水側流路11側の径に比べて、大きい径となるように形成されている。当該横孔14Bにおける大径部分の内周面には、雌ネジが形成されている。
また、分岐栓本体10Bは、第一開口部15および第二開口部16を備えている。横孔14Bが、外周面に二箇所で開口するように分岐栓本体10Bに形成されることで、分岐栓本体10Bの外周面には、第一開口部15に加えて、第二開口部16が形成されている。第一開口部15と第二開口部16とは、それぞれ、軸心方向において同一の高さに、且つ、周方向において左右対称となる位置に形成されている。
外装部材20Bは、略円筒形状の外装本体21Bを具備している。外装本体21Bにおける外周が大径に形成される下部には、内周面から外周面にむけて貫通される第一貫通孔25と第二貫通孔26が形成されている。第一貫通孔25と第二貫通孔26とは、それぞれ、上下方向において同一の高さに、且つ、周方向において左右対称となる位置に形成されている。
第二分岐接続部材40は、六角ボルト形状の部材に、当該六角ボルト形状の軸心方向に貫通する第二分岐流路46が形成された部材である。具体的には、第二分岐接続部材40は、一端が、円柱形状に形成された挿入部41と、他端が、六角柱形状に形成された六角部42とから構成されている。そして、第二分岐接続部材40は、挿入部41と六角部42との互いの軸心を一致させるように、挿入部41の一方の底面に六角部42を一体的に設け、且つ、前記軸心方向に貫通する第二分岐流路46が形成されている。また、第二分岐接続部材40における挿入部41の外径は、分岐栓本体10Bに形成された横孔14Bにおける外周面近傍の径(大きい径)と略同一の外径となるように形成されている。第二分岐接続部材40における挿入部41の外周面には、雄ネジが形成されている。第二分岐流路46の径は、分岐栓本体10Bに形成された横孔14Bにおける水側流路11側の径(小さい径)と略同一となるように形成されている。また、第二分岐接続部材40における六角部42の各角には、雄ネジが形成されている。
以上のようにして構成された、分岐栓本体10B、外装部材20B、第一分岐接続部材30、および、第二分岐接続部材40を組み合わせることによって、分岐栓1Bが構成される。以下において、当該組み合わせの手順について具体的に説明する。分岐栓本体10Bの上方からフクロナット22をかぶせて、分岐栓本体10Bとフクロナット22とを嵌合させる。そして、斯る状態の分岐栓本体10Bの上方から外装本体21Aをかぶせて、分岐栓本体10Bと外装本体21Bとを嵌合させる。この場合、分岐栓本体10Bが具備する第一開口部15の位置と外装本体21Aに形成された第一貫通孔25の位置とを、および、分岐栓本体10Bが具備する第二開口部16の位置と外装本体21Aに形成された第二貫通孔26の位置とを、それぞれ一致させた状態で両者を嵌合させる。さらに、第二分岐接続部材40の一端である挿入部41を第二貫通孔26に挿入し、且つ、当該第二分岐接続部材40の挿入部41と第二開口部16とを直接接合する。前記第二分岐接続部材40の挿入部41と第二開口部16との接合は、第二分岐接続部材40に形成された雄ネジと、分岐栓本体10Bにおける横孔14Bに形成された雌ネジとを螺合させることによって行う。この場合、第二分岐接続部材40の雄ネジと横孔14Bの雌ネジとの間は、接着剤等のシール材を介装するなどして水密的にシールされる。なお、第1分岐接続分岐部材と第一開口部15との接合については、上記の説明と同様にして行うため、その説明を省略する。また、分岐栓1Bを、混合水栓本体2とカートリッジ3との間に配置する際の手順は、分岐栓1Aの場合と同様であるため、その説明を省略する。
以上のようにして、分岐栓1Bにおいては、分岐栓本体10Bが外装部材20B内に設けられる。そして、斯る状態において、分岐栓本体10Bが具備する第二開口部16と、第二分岐接続部材40の一端部とが水密的に直接接合されることによって、分岐栓本体10Bに形成された横孔14Bと、第二分岐接続部材30に形成された第二分岐流路36と、が連通されることとなる。このため、分岐栓1Bは、分岐栓本体10Bの外周面(分岐栓本体10Bが具備する第二開口部16の上下)にシール部材を介装する必要がない。したがって、分岐栓本体10Bと外装本体21Bとを嵌合する際にシール部材の破損を気にかける必要がなく作業に熟練を要することもないため作業が容易をとなり、分岐栓1Bの水密性を確実に確保することができる。さらに、分岐栓本体10Bにシール部材を配置するためのスペースを確保する必要もなく、分岐栓本体10Bの長さを短く構成することができ、全体的に高さ寸法を抑えた分岐栓1Bを構成することが可能となる。
ここで、昨今の台所設備事情においては、分岐水栓の接続対象物が2台(例えば、整水器と食洗機の2台)となる場合がある。もっとも、従来における分岐栓は、分岐接続部材を1つしか具備していなかったため、接続対象物が2台ある場合においても、同時に当該2台の接続対象物と接続することができず、台所作業を煩雑なものとしていた。しかしながら、分岐栓1Bは、第一分岐接続部材30と第二分岐接続部材40とを具備している。このため、接続対象物が2台あるような場合においても、第一分岐接続部材30および第二分岐接続部材40と当該2台の接続対象物とを同時に接続することができ、台所作業を良好に行うことができる。
分岐栓1Bにおいては、第一開口部15と第二開口部16とは、それぞれ、周方向において左右対称となる位置に形成されている。第一貫通孔25と第二貫通孔26とは、それぞれ、周方向において左右対称となる位置に形成されている。このため、第一分岐接続部材30と第一開口部15を、および、第二分岐接続部材40と第二開口部16とをそれぞれ接合した際には、第一分岐接続部材30および第二分岐接続部材40とは、平面視で左右対称に、外装部材20Bからそれぞれ延出することとなる。したがって、左右のいずれの方向に接続対象物が配置されていている場合であっても、第一分岐接続部材30または第二分岐接続部材40と当該接続対象物とを容易に接続することができる。
第一開口部15と第二開口部16とは、それぞれ、上下方向において同一の高さに形成されている。第一貫通孔25と第二貫通孔26とは、それぞれ、軸心方向において同一の高さに形成されている。このため、第一分岐接続部材30と第一開口部15、および、第二分岐接続部材40と第二開口部16とをそれぞれ接合した際には、第一分岐接続部材30および第二分岐接続部材40とは、正面視で軸心方向において同一の高さで、外装部材20Bからそれぞれ延出することとなる。したがって、分岐栓1Bのように、分岐栓の軸心方向の長さを長く構成することなく、また、分岐接続部材を2つ具備する分岐栓を実現することができる。
また、分岐栓1Bにおいては、図8に示す如く、分岐栓1Aと同様に、蓋部材50を用いて、第二分岐接続部材40の他端側に形成された第二分岐流路46の開口部分を閉塞することが可能である。このように、接続対象物が、第一分岐接続部材30または第二分岐接続部材40のいずれか一方にしか接続されない場合には、蓋部材50を用いて、第一分岐接続部材30の他端側に形成された第一分岐流路35の開口部分、または、前記第二分岐流路46の開口部分を閉塞して、接続対象物と接続されない側の分岐接続部材から、湯または水が流出することを防止することができる。
ここで、分岐栓本体10Bの横孔14Bは、湯側流路12と水側流路11とのいずれにも連通するように、分岐栓本体10Bに形成される場合がある。例えば、混合水栓の径が小さいため、それに合わせて分岐栓の径を小さく構成する必要があって、湯側流路12および水側流路11の何れかと連通しないように横孔14Bを形成するだけのスペースがない場合や、3台以上の接続先との接続を想定して、分岐栓本体10Bに横孔14Bとは別の横孔14を形成するような場合である。このように、分岐栓本体10Bの横孔14Bが、湯側流路12と水側流路11とのいずれにも連通するような場合には、そのままでは分岐接続部材から流出させる液体は湯と水の混合液となってしまい、湯または水を分岐させてその一方のみを接続対象物に流出させることはできない。もっとも、以上のような場合においても、湯側流路12または水側流路11を閉塞する閉塞部材60を、湯側流路12または水側流路11に挿入することによって、湯側流路12または水側流路11のいずれか一方のみに横孔14Bが連通される構成にすることができる。このように構成することによって、分岐栓本体10Bに形成された横孔14Bが、湯側流路12および水側流路11に連通するような場合でも、湯または水のみを容易に分岐して第一分岐接続部材30および第二分岐接続部材40から流出させることができる。
具体的には、図9から図11に示す如く、分岐栓本体10Bに形成される湯側流路12の上方部12aは、その径が、水側流路11の径と略同一の径となるように、且つ、上方部12aの上下中途部において横孔14Bの後方と連通するように形成されている。また、湯側流路12の下方部12bは、その径が、前記上方部12aの径より小さい径となるように形成されている。
閉塞部材60は、湯側流路12の上方部12aに挿入可能なように、その外径が、湯側流路12の上方部12aの内径と略同一の、また、その内径が、湯側流路12の下方部12bの内径と略同一の筒形状に形成されている。閉塞部材60の軸心方向の長さは、湯側流路12の上方部12aの長さと略同一の長さとなるように形成されている。閉塞部材60の上下中途部、即ち、湯側流路12の上方部12aに閉塞部材60を挿入した際における横孔14Bと湯側流路12とが連通する部分に相当する部分には、周状に凹溝62が形成されている。閉塞部材60には、凹溝62の上下部に、図示しない位置決め溝が各々形成されており、当該位置決め溝にOリング61・61が嵌装されている。
以上のように構成された閉塞部材60が、湯側流路12の上方部12aに挿入されると、横孔14Bと湯側流路12との連通は遮断、つまり、湯側流路12は横孔14Bに対して閉塞されることとなる。そして、横孔14Bは、湯側流路12に連通されず、水側流路11にのみ連通されることとなる。したがって、閉塞部材60によって、分岐栓本体10Bに形成された横孔14Bが、湯側流路12および水側流路11に連通するような場合でも、水のみを分岐させることができる。
なお、閉塞部材60によって、水側流路11を遮断する構成としてもよいものとする。また、水側流路11と湯側流路12との形状を、ともに閉塞部材60を挿入可能な形状に形成した場合には、湯側流路12と水側流路11とのいずれか一方を選択して遮断することが可能となる。
また、凹溝62が形成されていない閉塞部材を、湯側流路12また水側流路11に挿入した場合には、分岐栓本体10Bの構成によっては、第一開口部15と第二開口部16との間は当該閉塞部材により遮断されることとなる場合がある。例えば、横孔14Bの径が湯側流路12の径より小さく、当該横孔14Bの軸心と当該湯側流路12の軸心とが交差しているような場合である。しかしながら、閉塞部材60には凹溝62が形成されているため、閉塞部材60を湯側流路12また水側流路11に挿入しても、第一開口部15と第二開口部16との間を遮断することなく、第一開口部15と第二開口部16との間は、凹溝62を介して連通することとなる。このため、閉塞部材60を、湯側流路12また水側流路11に挿入しても、第一分岐接続部材30と第二分岐接続部材40とのいずれにも、水を分岐させることができる。
第一開口部15と第二開口部16とが、また、第一貫通孔25と第二貫通孔26とが、それぞれ上下方向において同一の高さに形成されることに特に限定するものではない。また、第一開口部15と第二開口部16とが、また、第一貫通孔25と第二貫通孔26とが、周方向において左右対称となる位置に形成されることに特に限定するものではない。
外装部材20A・20Bは、金属素材からなるが、樹脂素材からなる構成としてもよいものとする。外装部材20A・20Bは、外装本体21Aとフクロナット22とを一体的に構成する場合でも良いものとする。分岐栓本体10A・10Bを、混合水栓本体2に固定する方法として、フクロナット22によって係合させて固定する方法に特に限定するものではない。
第一・第二分岐接続部材30・40と第一・第二開口部15・16との接合は、第一・第二分岐接続部材30・40の挿入部31・41と横孔14A・14Bとの間に接着剤等のシール材を介在させた状態で、第一・第二分岐接続部材30・40に形成された雄ネジと、分岐栓本体10A・10Bにおける横孔14A・14Bに形成された雌ネジとを螺合させることに特に限定するものではない。つまり、例えば第一・第二分岐接続部材30・40と第一・第二開口部15・16との接合は、第一・第二分岐接続部材30・40の挿入部31・41と横孔14A・14Bとの間に接着剤等のシール材を介在させた状態で、当該挿入部31・41を第一・第二開口部15・16から横孔14A・14Bに圧入するなど挿入して、挿入部31・41と横孔14A・14Bを接合させてもよいものとする。また、上述したようにネジの螺合によってのみ、第一・第二分岐接続部材30・40と第一・第二開口部15・16とを接合してもよいものとする。