以下、図面を参照しながら、本発明に係る継手を備えた汚水排出システムの実施形態について説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る汚水排出システム100の正面図である。図面中の符号Uは上を示し、符号Dは下を示す。また、符号Xは水平方向(例えば、左右方向)を示し、符号Yは鉛直方向を示す。符号GLは地面を示す。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、汚水排出システム100の設置態様を何ら限定するものではない。
汚水排出システム100は、建物5内に配置された汚水設備7から、外部の下水本管8に汚水を排出するシステムである。本実施形態では、汚水設備7側を上流側と称し、下水本管8側を下流側と称する。ここでは、「建物」とは、少なくとも壁を有する建築物のことであり、例えば住宅、商業施設、工場、校舎および倉庫などである。「建物内」には、屋根および壁に囲まれた床上の空間はもちろんのこと、床下の空間も含まれる。「汚水設備」とは、汚水を排出する設備のことであり、例えばトイレ、風呂、台所の流し台などである。「汚水」とは、トイレ、風呂、台所の流し台などから排出される水であり、そのままでは河川に放流させることができないものである。
図1に示すように、汚水排出システム100は、メイン流出管路10と、流路切替機能を有する継手20と、サブ流出管路60と、貯留槽70とを備えている。
メイン流出管路10は、汚水設備7と下水本管8とを繋ぐものである。メイン流出管路10の少なくとも一部は、水平に延びている。ここで、「水平」には、厳密に水平方向に延びている他に、多少の勾配が付けられた状態も含まれる。例えば、「水平」には、上流側から下流側に向かうに従って下方に傾斜するような勾配が付けられた状態が含まれる。なお、本実施形態では、「管路」とは、汚水などの排水を流通させる流路のことを意味する。「管路」は、一本の配管によって構成されていてもよく、複数本の配管とそれら配管を接続する他の継手とによって構成されていてもよい。上記他の継手とは、継手20とは異なるものである。
メイン流出管路10は、第1流出管路11と第2流出管路12とを備えている。第1流出管路11は、汚水設備7と継手20とを繋ぐものである。第1流出管路11は、第1管路部11aと、第2管路部11bとを有している。第1管路部11aは、第1流出管路11の上流側を構成している。第1管路部11aには、汚水設備7が接続されている。本実施形態では、第1管路部11aには、1つの汚水設備7が接続されているが、複数の汚水設備7が他の配管を介して接続されていてもよい。本実施形態では、第1管路部11aは、上下に延びているが、一部が水平に延びていてもよい。
第2管路部11bは、第1流出管路11の下流側を構成している。第2管路部11bは、第1管路部11aよりも下流側に配置されている。第2管路部11bは、第1管路部11aに接続されている。なお、第2管路部11bは、他の管路部を介して第1管路部11aに接続されていてもよい。第2管路部11bは、継手20に接続されている。本実施形態では、第2管路部11bは、水平に延びている。
第2流出管路12は、継手20と下水本管8とを繋ぐものである。第2流出管路12は、第1流出管路11よりも下流側に配置されている。第2流出管路12は、第3管路部12aと、第4管路部12bとを有している。第3管路部12aは、第2流出管路12の上流側を構成している。第3管路部12aは、継手20に接続されている。本実施形態では、第3管路部12aは、水平に延びている。
第4管路部12bは、第2流出管路12の下流側を構成している。第4管路部12bは、第3管路部12aよりも下流側に配置されている。第4管路部12bは、第3管路部12aに接続されている。なお、第4管路部12bは、他の管路部を介して第3管路部12aに接続されていてもよい。第4管路部12bは、下水本管8に接続されている。本実施形態では、第4管路部12bは、水平に延びている。しかしながら、第4管路部12bの一部が上下に延びていてもよい。
次に、継手20について説明する。本実施形態に係る継手20は、排水の一例である汚水の流路を切り替えることが可能なものである。具体的には、継手20は、第1流出管路11内の汚水を下水本管8に排出する状態と、第1流出管路11内の汚水を貯留槽70に排出する状態とに切替可能なものである。継手20は、メイン流出管路10の途中部分に設けられている。詳しくは、継手20は、メイン流出管路10の第1流出管路11と第2流出管路12との間に設けられている。
継手20は、建物5の床5a下のピット5b内に設置されている。ここで、床5aには、建物5の1階の床以外にも、建物5の2階以上の床も含まれる。「ピット」とは、管路を構成する配管が配置される空間である。ピット5bは、例えば建物5の1階の床5a下に配置される場合には、基礎梁で囲まれた空間である。ピット5bは、例えば建物5の2階以上の床5a下に配置される場合には、その階の床5aと、1つ下の階の天井との間の空間である。「ピット」とは、例えば、地下ピット、床下ピット、配管ピットと呼ばれるものである。本実施形態では、継手20は、ピット5b内の上部に設けられている。詳しくは、継手20は、ピット5b内において、継手20とピット5bの天面との距離が、継手20とピット5bの床との距離よりも短くなるような位置に配置されている。
継手20の構成は特に限定されない。図2は、継手20の斜視図である。図3は、継手20の斜視図であり、後述する蓋体23が取り外された状態を示す図である。図4は、後述する第2流出口34側から継手20を見た図である。図5は、図4のV-V断面における継手20の断面図である。図6は、図4のVI-VI断面における継手20の断面図である。図5および図6は、切替プラグ22の後述する第1プラグ40が継手本体21内に挿入された状態を示す図である。図7は、切替プラグ22の後述する第2プラグ50が継手本体21内に挿入された状態を示す図5相当図である。図8は、第2プラグ50が継手本体21内に挿入された状態を示す図6相当図である。
本実施形態では、図2に示すように、継手20は、継手本体21と、切替プラグ22(図3参照)と、蓋体23とを備えている。図5に示すように、継手本体21は、内部に空間30を有している。図6に示すように、継手本体21には、切替口31と、流入口32と、第1流出口33と、第2流出口34とが形成されている。切替口31は、継手本体21の側部に形成されており、側方に向かって開口している。ここでは、切替口31を形成する継手本体21の部位のことを拡径部36という。
流入口32は、継手本体21の側部に形成されており、側方に向かって開口している。本実施形態では、継手本体21は、側部において水平に延びた流入筒状部21aを備えている。流入口32は、流入筒状部21aに形成されている。図2に示すように、流入口32には、第1流出管路11の第1管路部11bが接続されている。図6に示すように、第1流出口33は、継手本体21の側部に形成されており、側方に向かって開口している。本実施形態では、継手本体21は、側部において水平に延び、流入筒状部21aと対向した位置に形成された第1流出筒状部21bを備えている。第1流出口33は、第1流出筒状部21bに形成されている。第1流出口33は、流入口32と水平方向に並んで配置されている。第1流出口33は、流入口32と対向している。ここでは、第1流出口33側から見たとき、流入口32と第1流出口33とは重なっている。図2に示すように、第1流出口33には、第2流出管路12の第3管路部12aが接続されている。
図4に示すように、第2流出口34は、継手本体21の側部に形成されており、側方に向かって開口している。本実施形態では、図6に示すように、継手本体21は、切替口31と対向する位置において側方に延びた第2流出筒状部21cを備えている。第2流出口34は、第2流出筒状部21cに形成されている。第2流出筒状部21cは、本発明の「筒状部」の一例である。第2流出口34は、切替口31と対向するように、継手本体21における切替口31と対向する部位に形成されている。本実施形態では、切替口31側から見たとき、第2流出口34は切替口31と重なっている。図2に示すように、第2流出口34には、サブ流出管路60が接続されており、サブ流出管路60を介して貯留槽70(図1参照)に接続されている。
本実施形態では、図6に示すように、切替口31と、流入口32と、第1流出口33と、第2流出口34とは、継手本体21の空間30を通じて互いに連通している。切替口31の開口面積は、流入口32の開口面積よりも大きく、第1流出口33の開口面積よりも大きく、第2流出口34の開口面積よりも大きい。言い換えると、本実施形態では、切替口31の径は、流入口32の径よりも大きく、第1流出口33の径よりも大きく、かつ、第2流出口34の径よりも大きい。ここでは、流入口32の開口面積と、第1流出口33の開口面積と、第2流出口34の開口面積とは同じである。言い換えると、流入口32の径と、第1流出口33の径と、第2流出口34の径とは同じである。しかしながら、流入口32、第1流出口33および第2流出口34のそれぞれの開口面積の何れかは、他の開口面積よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
本実施形態では、流入口32の径と、第2管路部11bの流入口32側の部位の径とは、略同じであり、第1流出口33の径と、第3管路部12aの第1流出口33側の部位の径とは略同じであり、第2流出口34の径、サブ流出管路60の第2流出口34側の部位の径とは略同じである。ここでは、汚水が流れる流路の径は、小さくならない。例えば、特許文献1に開示されたような切替弁では、汚水が流れる流路の径が、切替弁に接続される管路の径よりも小さくなる。このように、本実施形態に係る継手20と、切替弁とは、流路の径が異なる。
本実施形態では、継手本体21の空間30には、対向面37が設けられている。対向面37は、継手本体21の切替口31側の部位に設けられている。図3に示すように、対向面37は、継手本体21の内周面から内方に向かって延びている。ここでは、対向面37は、継手本体21の拡径部36の上下に沿った面である。
切替プラグ22は、継手本体21内の汚水の流路を切り替えるものである。切替プラグ22は、切替口31から継手本体21の空間30に挿入可能である。切替プラグ22は、第1の状態S1(図6参照)と、第2の状態S2(図8参照)とに切替可能である。ここで、第1の状態S1とは、図6に示すように、継手本体21内において、流入口32から第2流出口34に汚水が流れないように流入口32と第1流出口33とを連通させている状態である。第2の状態S2とは、図8に示すように、流入口32から第1流出口33に汚水が流れないように流入口32と第2流出口34とを連通させる状態である。本実施形態では、切替プラグ22は、第1プラグ40(図6参照)と、第2プラグ50(図8参照)とを備え、2つの部材によって構成されている。ここでは、図6に示すように、第1の状態S1は、第1プラグ40によって実現される。第1プラグ40は、第1の状態S1のときに継手本体21の空間30に配置される。第1プラグ40は、第1の状態S1のとき、第2流出口34を閉鎖する。図8に示すように、第2の状態S2は、第2プラグ50によって実現される。第2プラグ50は、第2の状態S2のときに継手本体21の空間30に配置される。第2プラグ50は、第2の状態S2のとき、第1流出口33を閉鎖する。
図9は、第1プラグ40の斜視図である。図9に示すように、第1プラグ40は、第1プラグ本体41と、第1嵌合部42と、第1フランジ43とを有している。第1プラグ本体41は、内部に空間を有している。第1プラグ本体41は、継手本体21の内周面に対応した形状を有している。図6に示すように、第1プラグ本体41には、第1流入連通口45、第1流出連通口46、および、第1インバート47が形成されている。
第1流入連通口45は、第1プラグ本体41の側部に形成され、側方に向かって開口している。第1プラグ40が継手本体21の空間30に挿入されている状態において、第1流入連通口45は、流入口32と連通している。第1流出連通口46は、第1プラグ本体41の側方に形成され、側方に向かって開口している。本実施形態では、第1流出連通口46は、第1流入連通口45と対向している。第1プラグ40が継手本体21の空間30に挿入されている状態において、第1流出連通口46は、第1流出口33と連通している。ここでは、第1流出連通口46の径は、第1流入連通口45の径と同じであるが、第1流入連通口45の径より大きくてもよいし、小さくてもよい。第1インバート47は、第1プラグ本体41の内部に設けられており、第1流入連通口45と第1流出連通口46を繋ぐ。本実施形態では、第1インバート47は、水平に延びた筒状の空間である。
以下の第1プラグ40に関する説明では、第1プラグ40は、継手本体21の空間30に挿入されている状態である。図5に示すように、第1嵌合部42は、第2流出口34が形成された第2流出筒状部21cに嵌合するものである。第1嵌合部42は、第1プラグ本体41の第2流出口34側の部位に設けられている。第1嵌合部42は、第1プラグ本体41から第2流出口34に向かって突出している。第1フランジ43は、継手本体21の対向面37と対向する面である。第1フランジ43は、第1プラグ本体41の切替口31側の端から外方に向かって延びている。
本実施形態では、第1プラグ本体41の切替口31側の部位には、第1プラグ本体41から切替口31に向かって突出した第1突出部48が設けられている。第1突出部48は、蓋体23を継手本体21に取り付けたとき、蓋体23に接触するものである。本実施形態では、第1突出部48は、棒状の部位であり、第1フランジ43に囲まれるような位置に配置されている。本実施形態では、第1突出部48は、第1プラグ40を継手本体21に着脱する際の持ち手としての役割を担っている。
図10は、第2プラグ50の斜視図である。図10に示すように、第2プラグ50は、第2プラグ本体51と、第2嵌合部52と、第2フランジ53とを有している。第2プラグ本体51は、内部に空間を有しており、継手本体21の内周面に対応した形状を有している。図8に示すように、第2プラグ本体51には、第2流入連通口55、第2流出連通口56、および、第2インバート57が形成されている。
以下の第2プラグ50に関する説明では、第2プラグ50は、継手本体21の空間30に挿入されている状態である。第2流入連通口55は、第2プラグ本体51の側部に形成され、側方に向かって開口している。第2プラグ50が継手本体21の空間30に挿入されている状態において、第2流入連通口55は、流入口32と連通している。第2流出連通口56は、第2プラグ本体51の側部に形成され、側方に向かって開口している。第2流出連通口56は、第2流入連通口55と対向していない。ここでは、第2流出連通口56の中心軸と、第2流入連通口55の中心軸とは、直交している。第2流出連通口56は、第2プラグ本体51の第2流出口34側の部位に形成されている。第2プラグ50が継手本体21の空間30に挿入されている状態において、第2流出連通口56は、第2流出口34と連通している。ここでは、第2流出連通口56の径は、第2流入連通口55の径と同じであるが、第2流入連通口55の径より大きくてもよいし、小さくてもよい。
第2インバート57は、第2プラグ本体51の内部に設けられており、第2流入連通口55と第2流出連通口56を繋ぐ。本実施形態では、第2インバート57は、筒状の空間であり、一部が湾曲している。
第2嵌合部52は、第2流出口34が形成された第2流出筒状部21cに嵌合するものである。第2嵌合部52は、第2プラグ本体51の第2流出口34側の部位に設けられている。第2嵌合部52は、第2プラグ本体51から第2流出口34に向かって突出している。本実施形態では、第2嵌合部52の内部に、第2流出連通口56が形成されている。図7に示すように、第2フランジ53は、継手本体21の対向面37と対向する面である。第2フランジ53は、第2プラグ本体51の切替口31側の端から外方に向かって延びている。
本実施形態では、第2プラグ本体51の切替口31側の部位には、第2プラグ本体51から切替口31に向かって突出した第2突出部58が設けられている。第2突出部58は、蓋体23を継手本体21に取り付けたとき、第1突出部48と同様に、蓋体23に接触するものである。本実施形態では、第2突出部58は、棒状の部位であり、第2フランジ53に囲まれるような位置に配置されている。第2突出部58は、第2プラグ50を継手本体21に着脱する際の持ち手としての役割を担っている。
本実施形態では、図6に示すように、継手本体21の空間30に第1プラグ40が挿入されている状態において、第1嵌合部42と継手本体21の第2流出筒状部21cとの間には、第1シール部材49aが設けられている。第1シール部材49aは、リング状の部材であり、弾性の部材によって形成されている。第1シール部材49aは、例えばゴム製である。本実施形態では、第1嵌合部42の外周面には、リング状の溝が形成されており、その溝に第1シール部材49aが取り付けられている。すなわち、第1シール部材49aは、第1嵌合部42に設けられている。しかしながら、第1シール部材49aは、継手本体21の第2流出筒状部21cに設けられていてもよい。第1シール部材49aは、第1嵌合部42と第2流出筒状部21cに挟まれていてもよい。
図8に示すように、継手本体21の空間30に第2プラグ50が挿入されている状態において、第2嵌合部52と第2流出筒状部21cとの間には、第2シール部材59aが設けられている。第2シール部材59aは、第1シール部材49aと同様に、リング状であり、ゴム製の部材である。本実施形態では、第2嵌合部52の外周面には、第2シール部材59aが取り付けられるリング状の溝が形成されている。このように、ここでは、第2シール部材59aは、第2嵌合部52に設けられている。しかしながら、第2シール部材59aは、継手本体21の第2流出筒状部21cに設けられていてもよい。この場合、第1シール部材49aと第2シール部材59aとは、同一の部材である。また、第2シール部材59aは、第2嵌合部52と第2流出筒状部21cに挟まれていてもよい。
本実施形態では、図6に示すように、継手本体21の空間30に第1プラグ40が挿入されている状態において、第1フランジ43と継手本体21の対向面37との間には、第3シール部材49bが設けられている。第3シール部材49bは、リング状の部材であり、弾性の部材、例えばゴムによって形成されている。本実施形態では、第3シール部材49bは、第1フランジ43に設けられている。しかしながら、第3シール部材49bは、継手本体21の対向面37に設けられていてもよい。第3シール部材49bは、第1フランジ43と対向面37とに挟まれていてもよい。
図8に示すように、継手本体21の空間30に第2プラグ50が挿入されている状態において、第2フランジ53と対向面37との間には、第4シール部材59bが設けられている。第4シール部材59bは、第3シール部材49bと同様に、リング状であり、ゴム製の部材である。本実施形態では、第4シール部材59bは、第2フランジ53に設けられている。しかしながら、第4シール部材59bは、継手本体21の対向面37に設けられていてもよい。この場合、第3シール部材49bと第4シール部材59bとは、同一の部材である。また、第4シール部材59bは、第2フランジ53と対向面37とに挟まれていてもよい。
蓋体23は、継手本体21の切替口31に着脱可能な部材である。本実施形態では、蓋体23は、第1プラグ40および第2プラグ50の一方を継手本体21に圧着させる機能を有する。ここでは、図6に示すように、継手本体21の空間30に第1プラグ40が挿入されているとき、蓋体23は、第2流出筒状部21cに第1嵌合部42が嵌合するように、第1プラグ40を第2流出口34側に押し付けるように構成されている。また、図8に示すように、空間30に第2プラグ50が挿入されているとき、蓋体23は、第2流出筒状部21cに第2嵌合部52が嵌合するように、第2プラグ50を第2流出口34側に押し付けるように構成されている。
本実施形態では、蓋体23は、切替口31に取り付けられているとき、切替口31に対して固定されるように構成されている。ここでは、蓋体23と切替口31とは、螺合可能な構造を有してる。本実施形態では、図7に示すように、蓋体23の側周面には、雄ねじ23aが形成されている。切替口31の内周面には、雄ねじ23aと螺合する雌ねじ31aが形成されている。この蓋体23の雄ねじ23aと、切替口31の雌ねじ31aが螺合するように、蓋体23を切替口31に対して回転させることで、蓋体23は切替口31に固定される。ここでは、雄ねじ23aと、雌ねじ31aとが螺合可能な構造の一例である。
蓋体23は、接触部25を備えている。接触部25は、第1プラグ40が継手本体21内に挿入されているとき、第1突出部48と接触する部位であり、第2プラグ50が継手本体21内に挿入されているとき、第2突出部58と接触する部位である。ここでは、接触部25は、蓋体23の継手本体21側の面の中央部分に設けられている。本実施形態では、接触部25の周囲には、継手本体21側に突出した周囲凸部26が設けられている。この周囲凸部26の中に、第1プラグ40の第1突出部48、または、第2プラグ50の第2突出部58が入り込む。図6に示すように、第1プラグ40が継手本体21の空間30に配置されているとき、蓋体23の接触部25は、第1プラグ40の第1突出部48と接触し、第1突出部48を第2流出口34側に押し付ける。このことで、第1プラグ40は、継手本体21に圧着された状態となる。同様に、図8に示すように、第2プラグ50が継手本体21の空間30に配置されているとき、蓋体23の接触部25は、第2プラグ50の第2突出部58と接触し、第2突出部58を第2流出口34側に押し付ける。このことで、第2プラグ50は、継手本体21に圧着された状態となる。
次に、サブ流出管路60について説明する。図1に示すように、サブ流出管路60は、継手20と貯留槽70とを繋ぐ管路である。ここでは、図2に示すように、サブ流出管路60の上流端は、継手20の第2流出口34に接続されている。図1に示すように、サブ流出管路60の下流端は、貯留槽70に接続されている。
貯留槽70は、汚水設備7から排出された汚水を貯留する槽である。貯留槽70は、タンクによって構成されており、内部に密封された空間を有している。貯留槽70の側面上部には、汚水口71が形成されている。汚水口71には、サブ流出管路60の下流端が接続されており、サブ流出管路60を介して継手20の第2流出口34に接続されている。
本実施形態では、貯留槽70の上面には、鉛直方向に円筒78が突設されている。円筒78は、上端が地面と略同一の高さになるようにして、貯留槽70の上面に設けられている。作業者は、円筒78を通じて、貯留槽70の内部を保守および点検することができる。なお、通常時において、円筒78の上部は蓋79によって閉塞されている。
以上、汚水排出システム100の構成について説明した。次に、汚水排出システム100の利用方法について説明する。汚水排出システム100は、通常時では、汚水設備7から排出された汚水を下水本管8に排出するように用いられる。また、汚水排出システム100は、地震または津波などの災害が発生して下水本管8が破損したときには、継手20によって汚水の流路を切り替えて、汚水設備7から排出された汚水を貯留槽70に排出するように用いられる。以下の説明では、通常時の利用態様を通常時モードといい、災害時に利用態様を災害時モードという。
通常時モードでは、図6に示すように、第1プラグ40が継手本体21の空間30に挿入されており、汚水の切替状態が第1の状態S1である。通常時モードでは、第1プラグ40の第1流入連通口45と継手20の流入口32とが連通し、第1流出連通口46と継手20の第1流出口33とが連通し、第2流出口34が閉鎖されている状態である。継手20において、蓋体23が切替口31に嵌合しており、第1プラグ40は、蓋体23によって第2流出口34側に押し付けられることで、継手本体21に圧着されている状態である。
通常時モードにおいて、図1に示すように、汚水設備7から排出された汚水は、第1流出管路11を流れた後、継手20の流入口32から継手本体21に流入する。図6に示すように、継手本体21に流入した汚水は、第1プラグ40の第1インバート47を通り、第1流出口33から継手本体21の外へ流出する。第1流出口33から流出した汚水は、図1に示すように、第2流出管路12を流れ、下水本管8に排出される。なお、下水本管8に流れた汚水は、汚水処理場などに導かれ、浄化処理される。
災害時モードでは、継手20の切替プラグ22の交換作業を行う。ここでは、継手20の切替口31から蓋体23が取り外される。そして、作業者は、切替口31から継手本体21の空間30に手を挿入し、第1プラグ40を継手本体21から引き抜く。次に、作業者は、図8に示すように、切替口31を通じて第2プラグ50を通じて継手本体21の空間30に挿入し、汚水の切替状態を第1の状態S1から第2の状態S2に変更する。その後、蓋体23を切替口31に螺合させる。このように、交換作業では、作業者が工具などを用いることなく、汚水の流路を切り替えることができる。本実施形態では、配管作業をすることなく、汚水の流路を切り替えることができる。ここで、配管作業とは、工具などを用いて、継手を配管に接続したり取り外したりする作業のことをいう。災害時モードでは、図8に示すように、第2プラグ50の第2流入連通口55と継手20の流入口32とが連通し、第2流出連通口56と継手20の第2流出口34とが連通し、第1流出口33が閉鎖されている状態である。継手20において、蓋体23が切替口31に嵌合しており、第2プラグ50は、蓋体23によって第2流出口34側に押し付けられることで、継手本体21に圧着されている状態である。
災害時モードでは、図1に示すように、汚水設備7から排出された汚水は、第1流出管路11に流れた後、継手20の流入口32から継手本体21に流入する。継手本体21に流入した汚水は、図8に示すように、第2プラグ50の第2インバート57を通り、第2流出口34から継手本体21の外へ流出する。第2流出口34から流出した汚水は、サブ流出管路60を流れ、汚水口71を通じて貯留槽70に排出される。
以上、本実施形態では、作業者は、切替口31を通じて切替プラグ22を第1の状態S1から第2の状態S2に切り替える、または、切替プラグ22を第2の状態S2から第1の状態S1に切り替えることで、汚水の流路を切り替えることができる。よって、継手を管路に接続し直すという配管作業をすることなく、汚水の流路を切り替えることができる。また、作業者は、継手本体21内を確認しながら、切替プラグ22を操作して汚水の流路を切り替えることができる。よって、汚水の流路を切り替えることが容易である。本実施形態では、継手本体21内に固形物が詰まった場合、作業者は、切替口31を通じて継手本体21内の固形物を取り除くことができる。よって、配管作業をすることなく、継手本体21内の固定物を取り除くことができるため、メンテナンスが容易である。
本実施形態では、図6に示すように、第1プラグ40を継手本体21の空間30に挿入して、切替プラグ22の状態を、流入口32と第1流出口33とを連通させる第1の状態S1にすることで、汚水設備7から排出された汚水を下水本管8に排出することができる。また、図8に示すように、第2プラグ50を継手本体21の空間30に挿入して、切替プラグ22の状態を、流入口32と第2流出口34とを連通させる第2の状態S2にすることで、汚水設備7から排出された汚水を貯留槽70に排出することができる。よって、切替プラグ22の状態を切り替えることで、汚水設備7から排出された汚水の排出先を、下水本管8にするか貯留槽70にするかを選択することができる。
また、本実施形態では、本実施形態では、継手本体21の空間30に挿入するプラグを第1プラグ40にするか第2プラグ50にするかという簡単な手順で、汚水の流路を容易に切り替えることができる。
本実施形態では、継手20に流入する汚水の量や速度によっては、汚水が継手20にぶつかることで、継手本体21の空間30に配置された第1プラグ40および第2プラグ50のうちの何れかのプラグと、継手本体21との位置がずれるおそれがある。しかしながら、本実施形態では、図6に示すように、継手本体21の空間30に第1プラグ40が挿入されているとき、継手本体21の第2流出筒状部21cに第1プラグ40の第1嵌合部42が嵌合するようにして、第1プラグ40は、蓋体23によって第2流出口34側に押し付けられる。よって、第1プラグ40を継手本体21に圧着させることができる。また、図8に示すように、継手本体21の空間30に第2プラグ50が挿入されているとき、継手本体21の第2流出筒状部21cに、第2プラグ50の第2嵌合部52が嵌合するようにして、第2プラグ50は、蓋体23によって第2流出口34側に押し付けられる。よって、第2プラグ50を継手本体21に圧着させることができる。このように、第1プラグ40および第2プラグ50は、継手本体21内に配置されているとき、継手本体21に圧着されているため、汚水がぶつかっても継手本体21に対して位置がずれ難くすることができる。
本実施形態では、蓋体23の側面には、雄ねじ23aが形成されている。切替口31には、雄ねじ23aと螺合する雌ねじ31aが形成されている。このことによって、蓋体23の雄ねじ23aと切替口31の雌ねじ31aとを螺合させながら、蓋体23を切替口31に取り付けることで、第1プラグ40または第2プラグ50を第2流出口34側に押し付けることができる。よって、蓋体23の雄ねじ23aと切替口31の雌ねじ31aとを螺合させることで、第1プラグ40または第2プラグ50を継手本体21に圧着させることができる。
本実施形態では、図6に示すように、第1プラグ40の第1突出部48と蓋体23の接触部25とが接触するように、蓋体23を切替口31に取り付けることで、第1突出部48が接触部25によって第2流出口34側に押し付けられ、第1プラグ40を継手本体21に圧着させることができる。図8に示すように、第2プラグ50の第2突出部58と接触部25とが接触するように、蓋体23を切替口31に取り付けることで、第2突出部58が接触部25によって第2流出口34側に押し付けられ、第2プラグ50を継手本体21に圧着させることができる。
本実施形態では、図6に示すように、第1プラグ40の第1嵌合部42と継手本体21の第2流出筒状部21cとの間には、第1シール部材49aが設けられている。この第1シール部材49aによって、第1プラグ40の第1嵌合部42と継手本体21の第2流出筒状部21cとのシール性が向上する。よって、継手本体21の空間30に第1プラグ40を配置したとき、第1嵌合部42と第2流出筒状部21cとの間から汚水が漏れ難くすることができる。本実施形態では、図8に示すように、第2プラグ50の第2嵌合部52と第2流出筒状部21cとの間には、第2シール部材59aが設けられている。第2シール部材59aによって、第2嵌合部52と第2流出筒状部21cとのシール性が向上する。よって、継手本体21の空間30に第2プラグ50を挿入したとき、第2嵌合部52と第2流出筒状部21cとの間から汚水が漏れ難くすることができる。
本実施形態では、図6に示すように、第1プラグ40の第1フランジ43と継手本体21の対向面37との間には、第3シール部材49bが設けられている。第3シール部材49bによって、第1プラグ40の第1フランジ43と継手本体21の対向面37とのシール性が向上する。よって、継手本体21の空間30に第1プラグ40を挿入したとき、第1フランジ43と対向面37との間から汚水が漏れ難くすることができる。本実施形態では、図8に示すように、第2プラグ50の第2フランジ53と継手本体21の対向面37との間には、第4シール部材59bが設けられている。第4シール部材59bによって、第2プラグ50の第2フランジ53と継手本体21の対向面37とのシール性が向上する。よって、継手本体21の空間30に第2プラグ50を挿入したとき、第2フランジ53と対向面37との間から汚水が漏れ難くすることができる。
本実施形態では、切替口31の開口面積は、流入口32、第1流出口33および第2流出口34のそれぞれの開口面積よりも大きい。このことによって、継手本体21内に固形物が詰まった場合、作業者は、切替口31を通じて継手本体21内の固形物を見つけ易い。作業者は、切替口31を通じて継手本体21内の固形物を取り除き易いため、メンテナンスがより容易である。
図1に示すように、継手20は、ピット5b内の天面近くに配置されている。仮に、継手20の切替口31が上方に向かって開口している場合、切替口31の上方の空間が狭いため、作業者は、切替口31を通じて切替プラグ22を操作して汚水の流路を切り替えることが困難となる。本実施形態では、切替口31は、側方に向かって開口している。よって、継手20が天面近くに配置されている場合であっても、切替口31を通じて汚水の流路を切り替え易い。また、継手20がピット5b内の天面近くに配置されることで、継手20の第2流出口34に接続される貯留槽70の汚水口71の位置を、継手20の位置に併せて地面の近くの位置となるように、貯留槽70を地中に配置することができる。よって、貯留槽70を地中の比較的に深い位置に配置しなくてもよい。
以上、第1実施形態に係る継手20を備えた汚水排出システム100について説明した。次に、第2実施形態に係る継手120について説明する。なお、以下の説明において、既に説明した構成と同様の構成には同じ符号を使用し、その説明は適宜省略する。
<第2実施形態>
図11は、第2実施形態に係る継手120の平面断面図であり、切替プラグ122が第1の状態S1の位置に配置されている図である。図12は、切替プラグ122が第2の状態S2の位置に配置されている図11相当図である。図13は、切替プラグ122の平面断面図である。
図示は省略するが、継手120は、建物5のピット5b(図1参照)内に配置されるものである。図11に示すように、継手120は、継手本体121と、切替プラグ122と、蓋体123とを備えている。継手本体121は、内部に空間130を有している。継手本体121には、切替口131と、流入口132と、第1流出口133と、第2流出口134とが形成されている。切替口131は、継手本体121の側部に形成され、側方に向かって開口している。
継手本体121は、互いに対向し、側方に延びた流入筒状部121aおよび第1流出筒状部121bと、切替口131と対向し、側方に延びた第2流出筒状部121cとを備えている。流入口132は、流入筒状部121aに形成され、第1流出管路11の第1管路部11bに接続されている。第1流出口133は、第1流出筒状部121bに形成され、第2流出管路12の第3管路部12aに接続されている。流入口132と第1流出口133とは互いに対向している。第2流出口134は、第2流出筒状部121cに形成され、サブ流出管路60を介して貯留槽70(図1参照)に接続されている。第2流出口134と切替口131とは互いに対向している。本実施形態では、切替口131の開口面積は、流入口132の開口面積よりも大きく、第1流出口133の開口面積よりも大きく、第2流出口134の開口面積よりも大きい。本実施形態では、継手本体121の切替口131側の部位には、第1実施形態の対向面37と同様の対向面137が設けられている。
切替プラグ122は、1つの部材によって構成されており、継手本体121に対する位置を変更することで、流入口132と第1流出口133とを連通させる第1の状態S1(図11参照)と、流入口132と第2流出口134とを連通させる第2の状態S2(図12参照)とに切替可能である。図13に示すように、切替プラグ122は、プラグ本体161と、嵌合部162と、フランジ163とを有している。
以下の切替プラグ122に関する説明では、切替プラグ122は、継手本体121の空間130に挿入されている状態である。プラグ本体161は、内部に空間を有している。本実施形態では、図11に示すように、プラグ本体161は、第1本体部161aと、第1本体部161aの第2流出口134側に設けられた第2本体部161bと有している。ここでは、プラグ本体161には、第1流入連通口145、第1流出連通口146、第1インバート147、第2流入連通口155、第2流出連通口156および第2インバート157が形成されている。
第1流入連通口145、第1流出連通口146および第1インバート147は、プラグ本体161の第1本体部161aに形成されている。第1流入連通口145および第1流出連通口146は、互いに対向するように第1本体部161aに形成され、側方に向かって開口している。図11に示すように、切替プラグ122が第1の状態S1の位置に配置されているとき、第1流入連通口145は流入口132と連通し、第1流出連通口146は第1流出口133と連通する。第1インバート147は、第1本体部161aの内部に設けられており、第1流入連通口145と第1流出連通口146を繋ぐ。
第2流入連通口155、第2流出連通口156および第2インバート157は、プラグ本体161の第2本体部161bに形成されている。第2流入連通口155および第2流出連通口156は、第2本体部161bに形成され、側方に向かって開口している。ここでは、第2流入連通口155と第2流出連通口156は対向しておらず、第2流入連通口155の中心軸と第2流出連通口156の中心軸とは、直交している。第2流入連通口155は、第1流入連通口145が形成された側のプラグ本体161の部位に形成され、第1流入連通口145と並んで配置されている。第2流出連通口156は、第2本体部161bの第2流出口134側の部位に形成されている。図12に示すように、切替プラグ122が第2の状態S2の位置に配置されているとき、第2流入連通口155は流入口132と連通し、第2流出連通口156は第2流出口134と連通する。第2インバート157は、第2本体部161bの内部に設けられており、第2流入連通口155と第2流出連通口156を繋ぐ。
本実施形態では、図11に示すように、嵌合部162は、第2流出筒状部121cに嵌合するものであり、第2本体部161bの第2流出口134側の部位に設けられている。嵌合部162は、第2本体部161bから第2流出口134に向かって突出している。嵌合部162に、第2流出連通口156が形成されている。フランジ163は、切替プラグ122が第1の状態S1の位置に配置されているとき、継手本体121の対向面137と対向する面である。フランジ163は、第1本体部161aの切替口131側の端から外方に向かって延びている。ここでは、第1本体部161aの切替口131側の部位には、第1本体部161aから切替口131に向かって突出した棒状の突出部164が設けられている。突出部164は、切替プラグ122が第1の状態S1の位置に配置されているとき、蓋体123に接触する。
本実施形態では、嵌合部162の第2流出口134側の外周面には、リング状かつゴム製のシール部材166aが設けられている。シール部材166aは、切替プラグ122が第1の状態S1または第2の状態S2の位置に配置されているとき、継手本体121の第2流出筒状部121cと嵌合部162との間に配置される。また、本実施形態では、第1インバート147と第2インバート157との間のプラグ本体161の外周面には、リング状かつゴム製の他のシール部材166bが設けられている。図11に示すように、他のシール部材166bは、切替プラグ122が第1の状態S1の位置に配置されているとき、継手本体121の第2流出筒状部121cとプラグ本体161との間に配置される。また、図12に示すように、他のシール部材166bは、切替プラグ122が第2の状態S2の位置に配置されているとき、継手本体121の切替口131側の内周面とプラグ本体161との間に配置される。なお、図示は省略するが、切替プラグ122が第1の状態S1の位置に配置されているとき、フランジ163と継手本体121の対向面137との間には、第1実施形態の第3シール部材49bや第4シール部材59bと同様のシール部材が設けられていてもよい。
なお、本実施形態に係る蓋体123は、第1実施形態に係る蓋体23と同じ構造を有しているため、ここでの詳しい説明は省略する。本実施形態に係る蓋体123は、図11に示すように、切替プラグ122が第1の状態S1には、切替口131に取り付けられ、切替プラグ122を継手本体121に圧着させる。図12に示すように、切替プラグ122が第2の状態S2のときには、蓋体123は切替口131から取り外される。
次に、継手120の利用方法について簡単に説明する。通常時モードでは、図11に示すように、切替プラグ122を第1の状態S1の位置に配置する。通常時モードでは、切替プラグ122の第1流入連通口145と流入口132とが連通し、第1流出連通口146と第1流出口133とが連通し、第2流出口134が閉鎖されている状態である。このとき、プラグ本体161の第1本体部161aは、流入口132と第1流出口133との間に配置され、第2本体部161bの全体は、第2流出筒状部121cに嵌合している状態である。通常時モードでは、蓋体123が切替口131に取り付けられており、切替プラグ122は、蓋体123によって第2流出口134側に押し付けられることで、継手本体121に圧着されている状態である。
災害時モードでは、切替プラグ122の位置を変更する。まず、切替口131から蓋体123が取り外される。そして、作業者は、切替口131から継手本体121の空間130に手を挿入し、切替プラグ122を切替口131側に引っ張り、図12に示すように、切替プラグ122を第2の状態S2の位置に配置する。災害時モードでは、切替プラグ122の第2流入連通口155と流入口132とが連通し、第2流出連通口156と第2流出口134とが連通し、第1流出口133が閉鎖されている状態である。このとき、プラグ本体161の第1本体部161aは、一部が外部に露出するように、切替口131側の継手本体121内に配置されてる。第2本体部161bは、流入口132と第1流出口133との間に配置されている。災害時モードでは、継手120は、蓋体123が切替口131から取り外された状態で使用される。なお、災害時モードでは、継手本体121の切替口131側の内周面と、プラグ本体161とは、他のシール部材166bによってシール性が向上しているため、切替口131から汚水が漏れ難い。
本実施形態であっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。本実施形態では、継手本体121に対する切替プラグ122の位置を変更することで、汚水の流路を切り替えることができる。よって、継手を管路に接続し直すという配管作業をすることなく、汚水の流路を切り替えることができる。また、本実施形態であっても、継手本体121内に固形物が詰まった場合、作業者は、切替口131を通じて継手本体121内の固形物を取り除くことができる。よって、配管作業をすることなく、継手本体121内の固定物を取り除くことができるため、メンテナンスが容易である。
上記各実施形態では、蓋体23の雄ねじ23aと、切替口31の雌ねじ31aとを螺合させることで、蓋体23が第1プラグ40または第2プラグ50を継手本体21に圧着させていた。しかしながら、第1プラグ40または第2プラグ50を継手本体21に圧着させる構造は、特に限定されない。例えば、蓋体23と、第1プラグ40または第2プラグ50との間には、第1プラグ40または第2プラグ50に弾性力を付勢するバネが設けられていてもよい。このバネによって、第1プラグ40または第2プラグ50は、第2流出口34側に押し付けられ、第1プラグ40または第2プラグ50を継手本体21に圧着させることができる。例えば、蓋体23は、切替口31に対してボルトによって締め付けられることで、切替口31に取り付けられていてもよい。このボルトが締め付けられることで、第1プラグ40または第2プラグ50は、第2流出口34側に押し付けられ、第1プラグ40または第2プラグ50を継手本体21に圧着させることができる。
上記第1実施形態では、継手20は、蓋体23を備えており、蓋体23は、第1プラグ40および第2プラグ50に対して別体であった。しかしながら、蓋体23は、第1プラグ40に設けられていてもよい。蓋体23は、第2プラグ50に設けられていてもよい。例えば、蓋体23が2つ存在し、第1プラグ40と1つの蓋体23が一体的に形成されていてもよいし、第2プラグ50と他の1つの蓋体23が一体的に形成されていてもよい。
上記各実施形態では、継手20には、汚水が流れ、継手20は、汚水の流路を切り替えることが可能であった。しかしながら、本発明に係る継手は、排水の流路を切り替えることが可能なものである。ここで、排水には、汚水および雨水が含まれる。雨水とは、降雨などの自然現象に起因する水であり、そのまま河川に放流させることができるものである。そのため、継手20には、雨水が流れてもよい。継手20は、雨水の流路を切り替えることが可能なものであってもよい。