建築現場等で用いられる枠組足場には、例えば、建枠に筋違(すじかい)や手摺枠を取り付けてなる「建枠式足場」と、支柱部材やブレース材(斜材ともいう。)や手摺部材等の足場構成部材を緊結して組み立ててなる「緊結式足場」がある。
「建枠式足場」は、通常、横桟と縦柱から構成されるH形状や鳥居形状の建枠を複数個組み立てることによって形成される。すなわち、建枠の複数個を、所定の間隔で建物等の構造物とは直角に立設し、隣接する建枠の縦柱の間に筋違や手摺枠を取り付け固定して複数個の建枠を自立させた後、隣接する建枠の横桟の間に床付き布枠(布板ともいう。)を1枚又は2枚以上架け渡すことで、1単位の足場を形成する。次に、既に立設した建枠の上に、別途用意された建枠を立設し、同様にして筋違や手摺枠を隣接する建枠の間に取り付け固定した後、新たに立設した建枠の横桟の上に床付き布枠を1枚又は2枚以上架け渡すことによって一つ上の段の足場を形成する。これを順次繰り返すことによって、全体の枠組み足場を形成する。
この建枠として、鳥居形状の建枠(以下、「鳥居枠」という。)を用いて枠組足場を形成する一例を、図1に示す。(a)が正面図、(b)が右側面図である。
まず3個の鳥居枠4を建物14とは直角に等間隔に並べ、隣接する鳥居枠4との間に、建物とは反対側に筋違13をロック金具8bに取り付け、そして建物側にも筋違13をロック金具8aに取り付けて、1段目の鳥居枠4を自立させることによって、1段目の足場を形成する。その後、1段目の隣接する鳥居枠4の上部の横桟3の間に2段目の足場板となる床付き布枠11を架け渡した後、既に立設した1段目の鳥居枠4の縦柱2の上に、別途用意した鳥居枠4の縦柱2の下部を載置し、固定ピン(図示せず)で固定することによって、2段目の鳥居枠4を立設する。その後、1段目と同様にして、建物とは反対側に筋違13をロック金具8bに取り付け、そして、建物側にも筋違13をロック金具8aに取り付けて、2段目の鳥居枠4を自立させることによって、2段目の足場を形成する。その後、2段目の隣接する鳥居枠4の上部の横桟3の間に3段目の足場板となる床付き布枠11を架け渡した後、既に立設した2段目の鳥居枠4の縦柱2の上に、別途用意した鳥居枠4の縦柱2の下部を載置し、固定ピン(図示せず)で固定することによって、3段目の鳥居枠4を立設する。その後、2段目と同様にして、建物とは反対側に筋違13をロック金具8bに取り付け、そして、建物側にも筋違13をロック金具8aに取り付けて、3段目の鳥居枠4を自立させることによって、3段目の足場を形成する。このようにして、必要な段数になるまで枠組足場を形成する。
なお、ここでは筋違を用いることによって各段の枠組を自立させる手順を説明したが、筋違の一部を手摺枠に置き換えて各段の枠組を自立させてもよい。
また、建枠を用いる他の例として、H形状の建枠(以下、「H枠」という。)を用いて枠組足場を形成する1例を、図2に示す。(a)が正面図、(b)が右側面図である。
3個のH枠1を建物14とは直角に等間隔に並べ、隣接するH枠の間に、建物とは反対側に手摺枠10をロック金具6bに取り付けて、1段目のH枠1を自立させる。さらに、建物とは反対側に手摺枠10をロック金具7bに取り付け、そして建物側の筋違(斜材)13をロック金具7aに取り付けて固定する。その後、1段目の隣接するH枠1の横桟3の間に床付き布枠11を架け渡して、1段目の足場を形成する。次に、既に立設した1段目のH枠1の縦柱2の上に、別途用意したH枠1の縦柱2の下部を載置し、固定ピン(図示せず)で固定することによって、2段目のH枠1を立設する。その後、1段目と同様にして、建物とは反対側に手摺枠10をロック金具6bと7bに取り付け、そして、建物側に筋違13をロック金具7aに取り付けて固定し、その後、2段目のH枠1の横桟3に床付き布枠11を架け渡して、2段目の足場を形成する。3段目の足場も、2段目の足場と同じ手順で組み立てる。すなわち、建物とは反対側に手摺枠10を取り付け、そして、建物側に筋違13を取り付けて固定し、その後、3段目のH枠1の横桟3に床付き布枠11を架け渡して、3段目の足場を形成する。このようにして、必要な段数になるまで枠組足場を形成する。
なお、ここでは手摺枠と筋違を用いることによって各段の枠組を自立させる手順を説明したが、手摺枠を用いることなく筋違だけでも枠組を自立させることができる。
このように枠組足場においては、隣接する建枠の縦柱の間には筋違(すじかい)又は手摺枠が設けられている。
一方、「緊結式足場」は、「コマ」と呼ばれる取付部材が複数個設けられた支柱部材に、手摺部材、ブレース材、腕木部材等の足場構成部材をコマを介して取り付け、そして、コマにおいて楔等によってこれらの足場構成部材を緊結した後、床付き布枠を1枚又は2枚以上架け渡すことによって、組み立てられる。
図3に、緊結式足場の構造の一例を示す。(a)は緊結式足場の正面図、(b)は(a)において円で示されたコマの周辺の拡大図、そして、(c)は緊結式足場の右側面図である。
緊結式足場は、支柱50が建物側とその反対側に各3本が立設されている。各々の支柱50は、複数のコマ51を有する支柱部材52を縦に継ぎ足すことによって形成されている。建物側の隣接する支柱50の間には、コマ51を介してブレース材53が取り付けられ、また、建物とは反対側の隣接する支柱50の間には、コマ51を介して作業用手摺54が取り付けられ、コマ51において楔等で緊結される。さらに、建物側の支柱50と建物とは反対側の支柱50の間には、コマ51を介して腕木材55が取り付けられ、コマ51において楔等で緊結され、そして、隣接する腕木材55の間に、床付き布枠11を架け渡すことで、1段目の足場が形成される。なお、ブレース材53は建物とは反対側の支柱50の間に取り付ける場合もある。
2段目の足場は、1段目の足場と同様にして形成される。必要に応じて、1段目の足場の支柱50の上端に別途用意した支柱50を縦方向に継ぎ足した上で、ブレース材53、手摺部材15、腕木部材21をコマ51を介して取り付け緊結した後、床付き布枠11を架け渡すことによって、形成される。これを順次繰り返すことによって、複数段の緊結式足場が形成される。
しかしながら、図1に例示した鳥居枠からなる枠組足場においては、筋違13と床付き布枠11との間には大きな空間が形成されている。そのため、その空間から建築材料または工具等の物体が落下するおそれがある。また、図2に例示したH枠からなる枠組足場においては、建物14と反対側の縦柱2の間は手摺枠10が設けられているが、建物14側には手摺枠10が設けられていない。そのため、図2の枠組足場においても建物14側では、筋違13と床付き布枠11との間には大きな空間が形成されており、その空間から建築材料または工具等の物体が落下するおそれがある。また、必ずしも手摺枠10が設置されるとは限らず、図1と同様に、筋違13で代用される場合がある。この場合には、図1と同様に、筋違13と床付き布枠11との間には大きな空間が形成されている。また、図3に示した緊結式足場においても、作業用手摺54と床付き布枠11との間には大きな空間が形成されている。したがって、それらの空間から建築材料または工具等の物体が落下するおそれがある。また、作業者15が足を滑らせて、床付き布枠11の上から転落するおそれがある。
そこで、このような問題を解決するために、枠組足場に幅木を設置する場合がある。図4は、横桟3の間の道路側に幅木が設置された枠組足場の一例である。この枠組足場においては、床付き布枠11の縁に板状の幅木16が垂直に取り付けられている。なお、枠組足場の建物側にも幅木16が垂直に取り付けられてもよい。このように幅木16を垂直に設置することにより、床付き布枠11上で物体17が転がったり、作業者15が足を滑らしたりした場合でも、床付き布枠11上からその物体17が落下したり、作業者15が転落したりすることを防止することができる。
ところで、図4においては幅木16を簡略化して図示しているが、実際には、幅木16を枠組足場に安定して固定するための金具等が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
図5は、従来の幅木の一例を示す正面図(図4において作業者15とは反対側から見た図)である。また、図6は、図5の幅木16の左端部の拡大図であり、図7は、図5の幅木16の拡大左側面図である。なお、図5には、幅木16の他に、横桟3および床付き布枠11が示されている。
図5に示すように、この幅木16は、板状の主材16aおよびその主材16aの両端部に設けられる端部金具18からなる。図5〜図7に示すように、主材16aの上端部および下端部には、それぞれ鉤状の屈曲部16bが形成されている。端部金具18は、主材16aの両面にそれぞれ固定される固定プレート19を有する。固定プレート19は、ボルト20によって主材16aに固定されている。各固定プレート19の下端の外側には、略円弧状の湾曲部19aが形成されている。また、各固定プレート19の下端には、落下錠21が取り付けられている。図5に示すように、端部金具18の下端の外側の湾曲部19aを横桟3の上面側に係止させることにより、隣接する2つの横桟3の間に幅木16を垂直になるように容易に取り付けることができる。また、湾曲部19aを横桟3の上面側に係止させた状態で落下錠21を下方にずらすことにより、幅木16を横桟3に容易に固定(ロック)することができる。
しかしながら、上記の端部金具18を有する幅木16においても、以下のような問題がある。
図8および図9は、端部金具18によって横桟3に固定された幅木16を取り外す際の様子を示す図である。なお、図8において(a)は、端部金具18のロック解除前の状態を示し、(b)は、ロック解除後の状態を示している。
図8の(a)および(b)に示すように、横桟3に固定された幅木16を取り外す際には、まず作業者は、自分の指22によって落下錠21を上方にずらすことにより落下錠21のロックを解除する。そして、落下錠21のロックを解除した状態で幅木16を上方に持ち上げることにより、横桟3から幅木16を取り外すことができる。
ここで、上述したように、固定プレート19は主材16aの両側面にそれぞれ固定されており、各固定プレート19にはそれぞれ落下錠21が取り付けられている。そのため、図9に示すように、幅木16の外側(床付き布枠11とは反対側)の落下錠21のロックを解除する際には、作業者15は、一方の腕を幅木16の外側面に伸ばして作業しなければならない。この際、作業者15は、幅木16の外側面の落下錠21の位置等を正確に把握するために幅木16の外側面に身を乗り出す必要があり、バランス等を崩した場合には床付き布枠11上から転落するおそれがある。
また、図9に示すように、落下錠21は床付き布枠11よりも下側に位置するので、落下錠21のロックを解除するためには、作業者15は、足元よりも下側に手を伸ばす必要がある。そのため、作業者15はしゃがんで作業をする必要があり、作業効率が低下する。さらに、落下錠21は複数個設ける必要があるので、枠組足場のコストが増加する。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、枠組足場における作業者の安全性および作業効率の向上ならびに枠組足場のコスト低減を可能にする幅木およびその幅木を備えた枠組足場を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような問題点を解決するために種々の検討を重ねた。その結果、次の(a)〜(j)に示す知見を得た。
(a)作業者の安全性を確保するためには、作業者が幅木の外側面に身を乗り出すことなく幅木を横桟または腕木材(以下、横桟等と記す。)に固定およびその解除を行うことができればよい。そのためには、落下錠等を用いることなく幅木を横桟等に固定およびその解除を行うことができる構成にすればよい。
(b)落下錠等を用いることなく幅木を横桟等に固定およびその解除を行うためには、幅木の主材の両端に端部金具を取り付け、端部金具の少なくとも一方は、その上端部と下端部の2個所で上記主材の端部に取り付け、そのうちの1個所は端部金具を上記主材の端部に対して回動可能であるとともに、他の1個所は端部金具を上記主材の端部に取り付け可能かつ取り外し可能な構成にすればよい。
ここで、端部金具は、幅木の主材の両端に直接に取り付けてもよいが、連結金具を介して幅木の主材の両端に取り付けてもよい。そして、この連結金具において、そのうちの1個所はこの主材の端部に対して回動可能であり、そして、他の1個所はこの主材の端部に取り付け可能かつ取り外し可能な構成にしてもよい。換言すれば、連結金具を組み込んだ端部金具であって、この連結金具の上端部と下端部の2個所で主材の端部に取り付け、そのうちの1個所でこの主材の端部に対して回動可能であり、そして、他の1個所でこの主材の端部に取り付け可能かつ取り外し可能な機能を持たせても良い。
したがって、作業者は立ったまま、主材の端部に取り付けられた一方の端部金具を、回動させるだけで幅木を横桟に固定およびその解除を行うことができる。したがって、作業者が幅木の外側面に身を乗り出す必要はないし、しゃがんで作業を行う必要もないので、安全性が向上するとともに作業効率も向上する。また、落下錠等の複雑なロック機構を設ける必要が無いので、コストを低減することができる。
(c)端部金具の少なくとも一方を、幅木の主材の端部に対して回動可能にするためには、ボルト・ナットまたはピン等からなる回動保持部材を端部金具に形成して、この端部金具を幅木の主材の端部に取り付ければよい。ここで、端部金具を幅木の主材の端部に対して回動可能にするために、回動保持部材を端部金具に形成する代わりに、回動保持部材を有する連結金具を介して端部金具を幅木の主材の端部に取り付けてもよい。言い換えれば、端部金具の一部として連結金具を組み込み、この連結金具の一端に回動保持部材を設けてもよい。
たとえば、幅木の主材の上端部又は下端部に貫通孔を穿ち、一方、端部金具(または端部金具の一部としての連結金具)の上端部又は下端部にも貫通孔を穿ち、両方の貫通孔をボルト・ナットまたはピン等で連結することによって、端部金具を幅木の主材に対して回動自在に取り付けることができる。
(d)幅木を横桟又は腕木材に確実に固定するためには、端部金具はいずれも枠組足場を構成する横桟又は腕木材に係止可能な形状を有することが好ましい。
(e)枠組足場において作業者の足場となる領域を広くするためには、幅木の主材の下部に枠組足場を構成する床付き布枠に向けて突出する突出材を取り付けるか、幅木の主材の下部に床付き布枠に向けて突出する突出部を形成することが好ましい。また、運搬時および収納時に幅木をコンパクトにするためには、上記突出材は主材に回動可能に取り付けられることが好ましい。
(f)幅木の端部金具の下端部はいずれも、床付き布枠の端部金具を収容可能な略U字形状であることが好ましい。この場合、横桟に固定されている床付き布枠の掴み金具の両側を覆うように端部金具を横桟に固定することができる。したがって、床付き布枠の掴み金具と幅木の端部金具とを横桟の同じ位置に固定することができるので、幅木を床付き布枠に近接して設置することができる。この場合、幅木と床付き布枠との間に隙間が形成されることを防止することができるので、床付き布枠上から物体が落下することを確実に防止することができる。
(g)端部金具(または端部金具の一部としての連結金具)が、その一端で幅木の主材の端部に対して回動可能であることに加えて、その他端で取り付け可能かつ取り外し可能となる構成は格別に限定されるものではないが、たとえば、他端に押しボタン(押しピン)を有する板バネを適用することができる。ここで、端部金具は、連結金具を介して端部金具を幅木の主材の端部に取り付け、この連結金具の一端に回動保持部材を、そして、他端にたとえば押しボタン(押しピン)を有する板バネを適用してもよい。言い換えれば、端部金具の一部として連結金具を組み込み、その連結金具の一端で幅木の主材の端部に対して回動可能であることに加えて、その他端で取り付け可能かつ取り外し可能となる構成としてもよい。
図10に、押しボタンを有する板バネの一例を示す。(a)が正面図、(b)が平面図である。
これは、板厚0.4〜1.2mmの薄鋼板を板バネ31cとし、一端に固定孔26を有し、他端に直径6〜12mmの押しボタン(押しピン)27を設けてなるものである。
図11は、この押しボタン27を有する板バネ31cを、その一端の固定孔26においてリベット等の固定ピン31dで幅木の主材31の端部に固定した状態を示す正面図である。
板バネ31cの一端の固定孔26をリベット等の固定ピン31dで幅木の主材31に固定することによって、幅木の主材31にリベット等の固定ピン31dで固定された板バネ31cの一端を反力点として、板バネ31cの他端まで板バネ全体が幅木の主材31と平行になるように、板バネ31cの力により側方に向けて付勢される。なお、幅木の主材31の端部には、板バネ31cの他端に設けられた押しボタン27に対応する位置に貫通孔31b(図12参照)が穿たれている。
したがって、主材31の端部に板バネ31cを固定ピン31dで固定した後、板バネ31cの他端に設けられた押しボタン27の頭を主材31の側面方向に指で押すという操作をすると、押しボタン27の設けられている板バネ部分を板バネの付勢力に抗して、主材31の側面方向に曲げることになる。押しボタン27の頭をさらに主材31の側面方向に指で押し込むと、押しボタン27の全体が幅木30の主材31の側面から外側に飛び出した状態になる。
一方、端部金具32には、上記押しボタンに嵌合する貫通孔32cを設けておく。そして、押しボタン27の頭を主材の側面方向に指で押したまま、端部金具32をスライドさせ、この貫通孔32cの位置に上記の押しボタン27の位置を合わせると、板バネ31cの付勢力によって押しボタン27が貫通孔32cに嵌合されるので、端部金具32を幅木の主材31の端部に取り付けることができる。なお、端部金具の一部として連結金具を組み込み、その連結金具に上記押しボタンに嵌合する貫通孔32cを設けてもよい。
図12は、図11の矢視部Aにおける断面図(平面図)であり、この押しボタン27を有する板バネ31cを用いて、端部金具32を幅木の主材31の端部に取り付けるまでの操作の手順を示す。
すなわち、(a)は板バネ31aの全体が幅木の主材31と平行になる方向に板バネの力により付勢されている状態、(b)は押しボタン27の頭を主材31の側面方向に指で押し込むという操作を開始した状態、(c)は押しボタン27の全体が幅木の主材31の側面から外側に飛び出したときに、端部金具32をスライドさせる操作を開始した状態、そして、(d)は端部金具32の貫通孔32cの位置を押しボタンの位置に合わせて、板バネの付勢力によって押しボタン27が貫通孔32cに嵌合された状態を、それぞれ示す。この一連の操作によって、端部金具32を幅木の主材31の端部に取り付けることができる。
次に、図10に示される板バネを用いた場合に、端部金具32を幅木の主材31の端部から取り外すときは、取り付けるときとは逆の操作を順に行えばよい。すなわち、端部金具32を幅木の主材31の端部から取り外すときは、まず、押しボタン27の頭を主材31の側面方向に指で押し込むという操作をして、板バネの付勢力に抗して押しボタン27を貫通孔32cに嵌合された状態から外し、次いで端部金具32を回動させて幅木の主材31の端部から離し、その後、押しボタン27の頭から指を離すと、板バネの付勢力によって板バネ31aの全体が幅木の主材31と平行になることで、端部金具32が幅木の主材31の端部から取り外された状態に戻る。
(h)端部金具32が、幅木の主材31の端部に取り付け可能かつ取り外し可能となる構成としては、上記の押しボタン27を有する板バネに代えて、押しボタンの頭が斜め切りされた押しボタン28を有する板バネを適用してもよい。
(i)このように、押しボタンを有する板バネを用いた場合には、端部金具32(または連結金具32a)を幅木の主材31の端部に向けて回動させることによって、幅木の主材31の端部に取り付けることができる。
図13に、図11に示される板バネを用いて連結金具32aを幅木の主材31に取り付けた状態を示す。(a)が正面図、(b)がB−B矢視断面図(側面図)、(c)が(b)のうち、端部金具のみのB−B矢視断面図(側面図)、(d)が(b)のうち、幅木主材のみのB−B矢視断面図(側面図)である。
ところが、幅木の主材31は、その板厚が通常0.8〜1.2mmと薄く、その板幅が約150mm程度のものである上に、図13(d)に見るごとく、軽量化を目的とした開放断面を設けているため、曲がりやすい。また、連結金具32a(または端部金具32)をスムーズに回動させる目的で、図14にみるごとく、幅木主材31の外側と連結金具32aの間に隙間29を設けることもある。
その結果、端部金具32を幅木の主材31の端部に向けて回動させようとするときに、図15にみるごとく、幅木主材31に曲がりが生じることによって、幅木主材31と連結金具32a(または端部金具32)とが接触するおそれがある。あるいは、連結金具32a(または端部金具32)と幅木主材31の間に遊びがあるために、幅木主材31と連結金具32a(または端部金具32)とが接触するおそれがある。このため、幅木主材31の端部を押したり引いたりすることによって、接触を回避しながら連結金具32a(または端部金具32)を幅木の主材31に取り付けるという手間がかかる。
図16に、幅木主材と連結金具とが接触して、スムーズに回動できない一例を示す。(a)が正面図、(b)が(a)のC−C矢視断面図(側面図)を示す。
幅木主材31が曲がっているため、連結金具32a(または端部金具32)が幅木主材31に接触して、スムーズに回動できないことが判る。
図17は、幅木主材に連結金具32aを押し込んだことを示す図である。(a)が正面図、(b)が(a)のC−C矢視断面図(側面図)を示す。
これは、図16のように連結金具32a(または端部金具32)が幅木主材31に接触して、スムーズに回動できないときに、作業者が幅木主材の端部を手で押したり引いたりすることによって、接触を回避しながら、連結金具32a(または端部金具32)を幅木の主材31に取り付けることができた結果である。
このように、端部金具32(または連結金具32a)を幅木の主材31の端部に向けて回動させようとする際に、スムーズに回動できないおそれがある。このとき、作業者が幅木主材の端部を手で押したり引いたりすることによって、接触を回避しながら、端部金具32(または連結金具32a)を幅木の主材31に取り付けなければならないという手間が生じる。
(j)この問題を解決するためには、端部金具32(または連結金具32a)を幅木の主材31の端部に向けて回動させようとする際に、端部金具32(または連結金具32a)にあるいは幅木の主材31の端部に、補助ガイド60を設けておけばよいことを着想した。
すなわち、「端部金具(または連結金具)の少なくとも一方は、その上端部と下端部の2個所で上記主材の端部に取り付けられていて、そのうちの1個所は上記端部金具(または連結金具)を上記主材の端部に対して回動可能であり、そして、他の1個所は上記端部金具(または連結金具)を上記主材の端部に取り付け可能かつ取り外し可能であるとともに取り付けるための補助ガイドを上記端部金具(または連結金具)あるいは上記主材に有する」という構成を採用すれば、端部金具32を(または連結金具32a)幅木の主材31の端部に向けて回動させようとする際に、スムーズに回動できることが判った。
補助ガイド60は、斜面を有する形状の鋼板、たとえば、略台形又は略三角形の形状の鋼板を、端部金具32(または連結金具32a)内に約1.2〜3mmの幅木主材を収納できる隙間29を持たせて、たとえば、溶接等で接合すればよい。あるいは、略台形又は略三角形の形状の鋼板を、幅木の主材31の端部内にたとえば、溶接等で接合すればよい。
このような補助ガイド60を、端部金具32(または連結金具32a)にあるいは幅木の主材31の端部に設けると、端部金具32(または連結金具32a)を幅木の主材31の端部に向けて回動させようとする際に、幅木主材の曲がりや、端部金具32(または連結金具32a)との間の遊びがあっても、幅木主材は端部金具32(または連結金具32a)に接触する前に補助ガイドの斜面に接触し、その斜面に沿って動くから、スムーズに回動できることになる。
図18は、補助ガイド60を隙間29を持たせて接合した連結金具32aを幅木の主材31の端部に回動自在に取り付けた状態を示す。(a)が正面図、(b)が側面図である。
そして、図19は、図18に示された連結金具32aを幅木の主材31の端部に向けて回動させたときの推移を示す。
図18に示された、補助ガイド60を隙間29を持たせて接合した連結金具32aを幅木の主材31の端部に向けて回動させると、補助ガイド60の斜面に幅木主材31の端が当たる。次に、連結金具32aをさらに回動させると、幅木主材31の端は補助ガイド60の斜面に沿って移動し、連結金具32aと補助ガイド60の間に設けられた隙間29に嵌ることによって、連結金具32aが幅木主材31に取り付けられることになる。
したがって、作業者が幅木主材の端部を手で押したり引いたりすることによって、接触を回避しながら、連結金具32a(または端部金具32)を幅木の主材31に取り付けるという手間を掛けることなく、連結金具32a(または端部金具32)を幅木の主材31の端部に向けて回動させて、幅木主材31の端に補助ガイド60の斜面を当てるという操作をすることによって、連結金具32a(または端部金具32)を幅木の主材31の端部に取り付けることができる。
本発明は、上記の知見に基づいて完成したものであって、その要旨は下記の(1)〜(14)の幅木および(15)の枠組足場にある。以下、総称して、本発明という。
(1) 長尺状の主材と、その主材の両端部に端部金具が取り付けられてなる幅木であって、上記端部金具の少なくとも一方は、その上端部と下端部の2個所で上記主材の端部に取り付けられていて、その上端部は取り外し可能であるとともにその上端部を取り外したときにその下端部を支点として回動可能であり、かつ、斜面を有する形状の鋼板からなる補助ガイドを上記端部金具又は上記主材に有することを特徴とする幅木。
(2) 前記端部金具の少なくとも一方は回動保持部材によって前記主材の端部に対して回動可能に取り付けられていることを特徴とする、上記(1)の幅木。
(3) 前記端部金具の少なくとも一方は、取り外し機能を有する操作部を操作することによって前記主材の端部から取り外し可能であることを特徴とする、上記(1)又は(2)の幅木。
(4) 長尺状の主材と、その主材の両端部に連結金具を介して端部金具が取り付けられてなる幅木であって、上記連結金具の少なくとも一方は、その上端部と下端部の2個所で上記主材の端部に取り付けられていて、その上端部は取り外し可能であるとともにその上端部を取り外したときにその下端部を支点として回動可能であり、かつ、斜面を有する形状の鋼板からなる補助ガイドを上記連結金具又は上記主材に有することを特徴とする幅木。
(5) 前記連結金具の少なくとも一方は回動保持部材によって前記主材の端部に対して回動可能に取り付けられていることを特徴とする、上記(4)の幅木。
(6) 前記連結金具の少なくとも一方は操作部を操作することによって前記主材の端部から取り外し可能であることを特徴とする、上記(4)又は(5)の幅木。
(7) 長尺状の主材と、その主材の一端部には連結金具を介して端部金具が取り付けられ、他端部には直接に端部金具が取り付けられてなる幅木であって、
上記連結金具の少なくとも一方は、その上端部と下端部の2個所で上記主材の端部に取り付けられていて、その上端部は取り外し可能であるとともにその上端部を取り外したときにその下端部を支点として回動可能であり、かつ、斜面を有する形状の鋼板からなる補助ガイドを上記連結金具又は上記主材に有することを特徴とする幅木。
(8) 前記連結金具の少なくとも一方は回動保持部材によって前記主材の端部に対して回動可能に取り付けられていることを特徴とする、上記(7)の幅木。
(9) 前記連結金具の少なくとも一方は操作部を操作することによって前記主材の端部から取り外し可能であることを特徴とする、上記(7)又は(8)の幅木。 (10) 前記端部金具はいずれも枠組足場を構成する横桟又は腕木材に係止可能な形状を有することを特徴とする、上記(1)〜(9)のいずれかの幅木。
(11) 枠組足場を構成する床付き布枠に向けて突出する突出材が前記主材の下部に取り付けられていることを特徴とする、上記(1)〜(10)のいずれかの幅木。
(12) 前記突出材は前記主材に対して回動可能に取り付けられていることを特徴とする、上記(11)の幅木。
(13) 枠組足場を構成する床付き布枠に向けて突出する突出部が前記主材の下部に形成されていることを特徴とする、上記(1)〜(10)のいずれかの幅木。
(14) 前記端部金具の下端部はいずれも、床付き布枠の掴み金具を収容可能な略U字形状であることを特徴とする、上記(1)〜(13)のいずれかの幅木。
(15) 上記(1)〜(10)のいずれかの幅木を備えてなる枠組足場。
本発明によれば、枠組足場における作業者の安全性および作業効率の向上ならびに枠組足場のコスト低減を可能にする。
以下、本発明の実施の形態に係る幅木および枠組足場について説明する。
図20は、本発明に係る幅木が設置された枠組足場を示す斜視図である。なお、図20に示した枠組足場は、幅木30を除いて図1および図4に示した枠組足場と同一の構成を有する。また、図20は、枠組足場の道路側に幅木30が設置される例を示しているが、建物側にも幅木30が設置されてもよい。図11は、図20に示した幅木の正面図(図20において床付き布枠11が架けられた作業用通路とは反対側から見た図)である。
図20および図11に示すように、本例に係る幅木30は、長尺状の主材31、主材31の一端部に設けられる端部金具32および主材31の他端部に設けられる端部金具33からなる。
図22は、図11の幅木の主材31を示す正面図であり、図23は、図11の端部金具32,33を示す正面図である。
図23(a)は幅木の主材31の左側の端部金具32を示し、図23(b)は幅木30の右側の端部金具33を示す。図24は、図11の幅木30の両端部を示す拡大正面図である。
図24(a)は、幅木30の左側の端部を示し、図24(b)は、幅木30の右側の端部を示す。なお、図24には、図20の枠組足場の横桟3および床付き布枠11が示されている。
図25は、図11の幅木30の両端部を示す拡大平面図である。図25(a)は、幅木30の左側の端部を示し、図25(b)は、幅木30の右側の端部を示す。
図22に示すように、主材31の上端部および下端部には、図7の屈曲部16bと同様の形状の屈曲部31aが形成されている。図22および図25に示すように、主材31の正面側および背面側の四隅には、それぞれ貫通孔31bが形成されている。主材31の上側の屈曲部31aの一端側(左側)の内面には、板バネ31cが取り付けられている。図25に示すように、板バネ31cの一端は固定ピン31dによって屈曲部31aの内面に固定されており、他端は自由端となっている。図22に示すように、板バネ31cの他端部には操作ボタンとして押しボタン27が取り付けられている。押しボタン27は、主材31の正面側の貫通孔31b内を進退可能に設けられている。なお、本例においては、操作ボタンとして押しボタン27が、取り外し機能を有する操作部に相当する。図23および図25に示すように、連結金具32a内には、台形状の補助ガイド60が、たとえば、溶接により接合されている。なお、この台形状の補助ガイド60は連結金具32aとの間に隙間29を持たせて接合されている。
図11、図23および図24に示すように、左側の端部金具32は、連結金具32aおよび係止金具32bからなり、右側の端部金具33は、連結金具33aおよび係止金具33bからなる。連結金具32aおよび係止金具32bならびに連結金具33aおよび係止金具33bは、たとえば、溶接により接合されている。図25に示すように、連結金具32a,33aおよび係止金具32b,33bは、平面視において略U字状の形状を有する。連結金具32aは、主材31の一端(左側の端部)に連結され、連結金具33aは、主材31の他端(右側の端部)が連結される。
図23(a)に示すように、連結金具32aの上端部および下端部には、貫通孔32cが形成されており、図23(b)に示すように、連結金具33aの上端部および下端部には、貫通孔33cが形成されている。
図11、図23および図24に示すように、係止金具32bの下部には、下方に向かって突出する突出部32dが形成されている。突出部32dは、略円弧状に湾曲する湾曲部32eを有する。同様に、係止金具33bの下部にも、湾曲部33eを有する突出部33dが形成されている。なお、図11、図23および図24では、端部金具32,33の正面側が示されているが、端部金具32,33の背面側にも正面側と同様に突出部32d,33dが形成されている。
図25および図26に示すように、連結金具32aの下端は、ボルト34およびナット35によって主材31の一端部の下部に回動可能に取り付けられている。そして、連結金具32aの上端は、押しボタン27によって主材31の一端部の上部に取り付けられる。具体的には、貫通孔31b(図25参照)および貫通孔32c内に押しボタン27が挿通されることにより、連結金具32aの上端は主材31の上部に取り付けられる。
図26は、本発明に係る連結金具32aが幅木主材31の左端部に回動自在に取り付けられた状況を示す一例である。(a)は正面図、(b)は(a)のC−C矢視断面図を示す。
連結金具32a内には、台形状の補助ガイド60が連結金具32aとの間に隙間29を持たせて、たとえば、溶接により接合されている。また、連結金具32aの下端は、回動自在に保持されているが、ここでは、回動保持部材として、ボルト34およびナット35が用いられている。
このような補助ガイド60を、端部金具32(または連結金具32a)にあるいは幅木の主材31の端部に設けると、端部金具32(または連結金具32a)を幅木の主材31の端部に向けて回動させようとする際に、幅木主材の曲がりや、端部金具32(または連結金具32a)との間の遊びがあっても、幅木主材は端部金具32(または連結金具32a)に接触する前に補助ガイドの斜面に接触し、その斜面に沿って動くから、スムーズに回動できることになる。
図27は、図26に示された連結金具32aのC−C矢視断面図を示し、連結金具32aを幅木の主材31の端部に向けて回動させたときの推移を示す。
図26に示された、補助ガイド60を隙間29を持たせて接合した連結金具32aを幅木の主材31の端部に向けて回動させると、補助ガイド60の斜面に幅木主材31の端が当たる。次に、連結金具32aをさらに回動させると、幅木主材31の端は補助ガイド60の斜面に沿って移動し、連結金具32aと補助ガイド60の間に設けられた隙間29に嵌ることによって、連結金具32aが幅木主材31に取り付けられることになる。
このように、連結金具32a(または端部金具32)を幅木の主材31の端部に向けて回動させて、幅木主材31の端に補助ガイド60の斜面を当てるという操作をするだけで、連結金具32a(または端部金具32)を幅木の主材31の端部にスムーズに取り付けることができる。
図28は、連結金具32aの上端を主材31の上部から取り外して、連結金具32aを回動可能な状態にする際の様子を示す平面図である。図28に示すように、押しボタン27を屈曲部31aの内面側に押し込むことにより連結金具32aの上端が主材31の上部から取り外される。それにより、図26に示すように、ボルト34を回転中心として連結金具32aを回動させることができる。
なお、連結金具32aの下端を主材31の一端部の下部に回動自在に取り付けるためのナット35としては、例えば、回り止めが設けられたロックナット(ナイロンナット)等を用いることができる。また、ボルト34およびナット35の代わりにリベット等を端部金具32の回動保持部材として用いてもよい。
一方、図24(b)に示すように、端部金具33の連結金具33aは、上下端とも主材31の他端部(右側端部)にボルト34およびナット35によって取り付けられているので回動しない。連結金具33aの上下端を主材31に取り付けるためのナット35としては、例えば、回り止めが設けられたロックナット(ナイロンナット)等を用いることができる。ボルト34およびナット35に加えてスプリングワッシャー等を用いてもよい。また、ボルト34およびナット35の代わりにリベット等によって連結金具33aを主材31に取り付けてもよい。
なお、幅木30を枠組足場に設置した場合に、湾曲部32e,33e(図24)の水平方向に対する傾斜角度α(図24参照)は30〜60度であることが好ましく、略45度であることがさらに好ましい。
次に、幅木30の設置方法および取り外し方法について説明する。図29〜図32は、幅木30を枠組足場に設置する際の様子を示す図であり、図22は、図20に矢印Aで示す部分の拡大平面図である。また、図34および図35は、幅木30を枠組足場から取り外す際の様子を示す図である。なお、図29〜図32、図34および図35においては、枠組足場のうち横桟3および床付き布枠11のみを簡略化して図示している。また、図22においては、端部金具32,33のうち係止金具32b,33bのみを図示している。
まず、幅木30を設置する場合について説明する。図29に示すように、枠組足場の2つの横桟3の間に幅木30を設置する際には、作業者15は、端部金具33の突出部33dの湾曲部33eを一方の横桟3に係止させる。次に、図30および図31に示すように、端部金具32の上端を主材31の上部から取り外して、端部金具32を回動(傾斜)させて、湾曲部32eを他方の横桟3に近接させる。次に、図32に示すように、湾曲部32eを横桟3に係止させた状態で突出部32dの湾曲部32eが横桟3の上面側および下方側の両方を覆うように端部金具32を回動させる。これにより、端部金具32,33の上下方向の移動が横桟3によって規制される。最後に、押しボタン27によって端部金具32の上端を主材31の上部に取り付ける。これにより、隣接する横桟3の間に幅木30が固定され、設置作業が完了する。
ここで、図20に示すように、床付き布枠11は掴み金具24によって横桟3に取り付けられている。また、図25で説明したように、端部金具32,33の係止金具32b,33bは、平面視において略U字状の形状を有する。幅木30を設置する際には、図22に示すように、略U字状の係止金具32b,33b内に掴み金具24を収容することができる。この場合、幅木30を床付き布枠11に近接して設置または幅木30を床付き布枠11上に設置することができるので、幅木30と床付き布枠11との間に隙間が形成されることを防止することができる。それにより、床付き布枠11上から物体が落下することを確実に防止することができる。
次に、幅木30を取り外す場合について説明する。図34に示すように、幅木30を取り外す際には、作業者15は、まず、端部金具32の上端を主材31の上部から取り外し、突出部32dの湾曲部32eが横桟3の下面側を覆わない位置まで端部金具32を回動させる。これにより、端部金具32の上方への移動が可能になるので、幅木30の端部金具32側を上方に持ち上げることができる。次に、図35に示すように、幅木30の端部金具32側を持ち上げた状態で、幅木30の端部金具33側を引き抜く。これにより、幅木30の取り外し作業が完了する。
以上のように、本発明に係る幅木30においては、作業者15は、端部金具32(または連結金具32a)を主材31に対して回動させることにより、幅木30の設置およびその取り外しを行うことができる。したがって、作業者15は、幅木30の設置および取り外し作業を立ったままの状態でかつ幅木30の外側に身を乗り出すことなく行うことができる。また、操作ボタンとしての押しボタン27を操作することにより、端部金具32(または連結金具32a)の上端を主材31に取り付けることおよび取り外すことができるので、作業者15は容易に幅木30の設置および取り外しを行うことができる。これらの結果、作業者15の安全性および作業効率が向上する。また、本発明に係る幅木30においては、複数個の落下錠等を設ける必要がないので、コストを低減することができる。
実施例2は、実施例1において用いた台形状の補助ガイド60に代えて、ほぼ三角形状の補助ガイドを用いた点でのみ異なる。
図36は、連結金具32aが幅木主材31の左端部に回動自在に取り付けられた状況を示す他の例である。(a)は正面図、(b)は(a)のC−C矢視断面図を示す。
連結金具32a内には、ほぼ三角形状の補助ガイド60が連結金具32aとの間に隙間29を持たせて、たとえば、溶接により接合されている。また、連結金具32aの下端は、回動自在に保持されているが、ここでは、回動保持部材として、ボルト34およびナット35が用いられている。
このような補助ガイド60を、端部金具32(または連結金具32a)にあるいは幅木の主材31の端部に設けると、実施例1と同様に、端部金具32(または連結金具32a)を幅木の主材31の端部に向けて回動させようとする際に、幅木主材の曲がりや、端部金具32(または連結金具32a)との間の遊びがあっても、幅木主材は端部金具32(または連結金具32a)に接触する前に補助ガイドの斜面に接触し、その斜面に沿って動くから、スムーズに回動できることになる。
すなわち、実施例1と同様に、補助ガイド60を隙間29を持たせて接合した連結金具32aを幅木の主材31の端部に向けて回動させると、補助ガイド60の斜面に幅木主材31の端が当たる。次に、連結金具32aをさらに回動させると、幅木主材31の端は補助ガイド60の斜面に沿って移動し、連結金具32aと補助ガイド60の間に設けられた隙間29に嵌ることによって、連結金具32aが幅木主材31に取り付けられることになる。
このように、連結金具32a(または端部金具32)を幅木の主材31の端部に向けて回動させて、幅木主材31の端に補助ガイド60の斜面を当てるという操作をするだけで、連結金具32a(または端部金具32)を幅木の主材31の端部にスムーズに取り付けることができる。
したがって、実施例1と同様に、実施例2においても、作業者15は、端部金具32(または連結金具32a)を幅木主材31に対して回動させることにより、幅木30の設置およびその取り外しを行うことができる。作業者15は、幅木30の設置および取り外し作業を立ったままの状態でかつ幅木30の外側に身を乗り出すことなく行うことができる。また、操作ボタンとしての押しボタン27を操作することにより、端部金具32(または連結金具32a)の上端を主材31に取り付けることおよび取り外すことができるので、作業者15は容易に幅木30の設置および取り外しを行うことができる。これらの結果、作業者15の安全性および作業効率が向上する。また、本発明に係る幅木30においては、複数個の落下錠等を設ける必要がないので、コストを低減することができる。
実施例3は、実施例1において用いた押しボタン27を有する板バネに代えて、押しボタンの頭が斜め切りされた押しボタン28を有する板バネを用いた点でのみ異なる。
図37は、押しボタンの頭が斜め切りされた押しボタンを有する板バネを示す。(a)が正面図、(b)が平面図である。
この押しボタン28は、頭が斜め切りされている点に特徴がある。0.4〜1.2mmの薄鋼板を板バネ31cとし、一端に固定孔26を有し、他端に底部直径6〜12mmであってその頭が斜め切りされた押しボタン28を設けてなるものである。
図38は、この押しボタン28を有する板バネ31cを、その一端の固定孔においてリベット等の固定ピン31dで幅木の主材31の端部に固定し、連結金具32aを回動自在に取り付けた状態を示す正面図である。
実施例1の板バネと同様に、板バネ31cの他端まで板バネ全体が常に幅木の主材31と平行になるように、板バネ31cの力により側方に向けて付勢される。なお、幅木の主材31の端部には、板バネ31cの他端に設けられた押しボタン28に対応する位置に貫通孔31b(図39参照)が穿たれている。なお、連結金具32aを介さずに、直接に端部金具32を幅木の主材31の端部に取り付けてもよい。このときは、端部金具32に上記押しボタン28に嵌合する貫通孔32cを設けることになる。
連結金具32a内には、台形形状の補助ガイド60が連結金具32aとの間に隙間29を持たせて、たとえば、溶接により接合されている。また、連結金具32aの下端は、回動自在に保持されているが、ここでは、回動保持部材として、ボルト34およびナット35が用いられている。
連結金具32aの上端部を主材31の端部方向に回動させ、もって板バネ31cの他端に設けられた押しボタン28の斜面に連結金具32aの縁を当てるという操作をすると、その押しボタン28の設けられている板バネ部分が板バネの付勢力に抗して、主材31の側方に曲がることになる。連結金具32aの上端部をさらに主材31の端部方向に回動させることによって、その押しボタン28がさらに主材31の側面方向に押されると、押しボタン28の全体が幅木の主材31の側面から外側に飛び出した状態になる。
一方、実施例1の板バネ方式と同様に、連結金具32aには、上記押しボタン28に嵌合する貫通孔32cを設けておく。そして、押しボタン28の斜面に連結金具32aを当てるという操作をすることによって、その押しボタン28の設けられている板バネ部分を、板バネの付勢力に抗して、主材31の側方に曲げて、連結金具32aの貫通孔32cの位置をこの押しボタン28の位置に合わせると、板バネの付勢力によってこの押しボタン28が貫通孔32cに嵌合されるので、連結金具32aを幅木の主材31の端部に取り付けることができる。
図39は、押しボタン28を有する板バネを用いて、連結金具32aを幅木の主材31の端部に取り付けるまでの操作の手順を示す。
すなわち、(a)は板バネ31cの全体が幅木の主材31と平行になる方向に板バネの力により付勢されている状態であって、連結金具32aを回動させて連結金具32aを、押しボタン28に近接させた状態を示す。(b)は連結金具32aをさらに回動させて、連結金具32aが押しボタン28の斜面に当たっている状態であり、連結金具32aを回動させて、この斜面に当てるという操作をすることによって、この押しボタン28を主材31の側面方向に移動させることになることを示す。(c)は連結金具32aをさらに回動させて、連結金具32aを押しボタン28の斜面を超えた状態を示し、そして、(d)は連結金具32aをさらに回動させて、連結金具32aの貫通孔32cの位置に押しボタン28の位置が合わさった状態であり、このとき、板バネの付勢力によって押しボタン28が貫通孔32cに嵌合されることを示す。このように、殊更に押しボタンの頭を主材31の側面方向に指で押し込むという操作をしなくても、連結金具32aを回動させて、押しボタン28の斜面に当てるという操作をすることによって、連結金具32aを幅木の主材31の端部に取り付けることができる。
また、補助ガイド60が、連結金具32aに設けられているので、実施例1と同様に、連結金具32aを幅木の主材31の端部に向けて回動させようとする際に、幅木主材の曲がりや、連結金具32aとの間の遊びがあっても、幅木主材は連結金具32aに接触する前に補助ガイドの斜面に接触し、その斜面に沿って動くから、スムーズに回動できることになる。
すなわち、実施例1と同様に、補助ガイド60を隙間29を持たせて接合した連結金具32aを幅木の主材31の端部に向けて回動させると、補助ガイド60の斜面に幅木主材31の端が当たる。次に、連結金具32aをさらに回動させると、幅木主材31の端は補助ガイド60の斜面に沿って移動し、連結金具32aと補助ガイド60の間に設けられた隙間29に嵌ることによって、連結金具32aが幅木主材31に取り付けられることになる。
次に、連結金具32aを幅木の主材31の端部から取り外すときは、まず、押しボタン28の頭を主材31の側面方向に指で押し込むという操作をして、板バネの付勢力に抗して押しボタン28を貫通孔32cに嵌合された状態から外し、次いで連結金具32aを回動させて幅木の主材31の端部から離し、その後、押しボタン28から指を離すと、板バネの付勢力によって板バネ31cの全体が幅木の主材31と平行になることで、連結金具32aが幅木の主材31の端部から取り外された状態に戻る。
このように、連結金具32aを主材31に対して回動させることにより、幅木の主材への取り付けおよびその取り外しの作業を容易に行うことができることに加えて、幅木の主材31の端部への取り付けおよび取り外し作業を容易に行うことができる。もちろん、実施例1に示される幅木を用いる場合と同様に、作業者は、幅木30の設置および取り外し作業を立ったままの状態でかつ幅木30の外側に身を乗り出すことなく行うことができる。また、押しボタン28を操作することにより、連結金具32aの上端を主材31に取り付けることおよび取り外すことができるので、作業者は容易に幅木30の設置および取り外しを行うことができる。これらの結果、作業者の安全性および作業効率が向上する。また、この幅木30においては、複数個の落下錠等を設ける必要がないので、コストを低減することができる。
実施例4は、実施例3において用いた、頭が斜め切りされた押しボタン28を有する板バネに代えて、押しボタン27と頭が斜め切りされた押しボタン28とを有する板バネを用いた点でのみ異なる。
図40は、押しボタン27と頭が斜め切りされた押しボタン28とを有する板バネを示す。(a)が正面図、(b)が平面図である。
この板バネは、2つの押しボタンを有する点に特徴がある。ここでは、0.4〜1.2mmの薄鋼板を板バネ31cとし、一端に固定孔26を有し、他端に押しボタン27と頭が斜め切りされた押しボタン28の2つを有する板バネを用いる。押しボタンの底部直径はいずれも6〜12mmである。
図41は、この押しボタン27と頭が斜め切りされた押しボタン28とを有する板バネ31cを、その一端の固定孔においてリベット等の固定ピン31dで幅木の主材31の端部に固定し、連結金具32aを回動自在に取り付けた状態を示す正面図である。
実施例3の板バネと同様に、板バネ31cの他端まで板バネ全体が常に幅木の主材31と平行になるように、板バネ31cの力により側方に向けて付勢される。なお、幅木の主材31の端部には、板バネ31cの他端に設けられた押しボタン28および押しボタン27に対応する位置に貫通孔31bおよび第2の貫通孔31f(図42参照)が穿たれている。なお、連結金具32aを介さずに、直接に端部金具32を幅木の主材31の端部に取り付けてもよい。このときは、端部金具32に上記押しボタン28に嵌合する貫通孔32cを設けることになる。
連結金具32a内には、台形形状の補助ガイド60が連結金具32aとの間に隙間29を持たせて、たとえば、溶接により接合されている。また、連結金具32aの下端は、回動自在に保持されているが、ここでは、回動保持部材として、ボルト34およびナット35が用いられている。
連結金具32aの上端部を主材31の端部方向に回動させ、もって板バネ31cの他端に設けられた押しボタン28の斜面に連結金具32aの縁を当てるという操作をすると、その押しボタン28および押しボタン27の設けられている板バネ部分が板バネの付勢力に抗して、主材31の側方に曲がることになる。連結金具32aの上端部をさらに主材31の端部方向に回動させることによって、その押しボタン28がさらに主材31の側面方向に押されると、押しボタン28の全体が幅木の主材31の側面から外側に飛び出した状態になる。
一方、実施例1の板バネ方式と同様に、連結金具32aには、上記押しボタン28に嵌合する貫通孔32cを設けておく。そして、押しボタン28の斜面に連結金具32aを当てるという操作をすることによって、その押しボタン28の設けられている板バネ部分を、板バネの付勢力に抗して、主材31の側方に曲げて、連結金具32aの貫通孔32cの位置をこの押しボタン28の位置に合わせると、板バネの付勢力によってこの押しボタン28が貫通孔32cに嵌合されるので、連結金具32aを幅木の主材31の端部に取り付けることができる。
図42は、押しボタン28を有する板バネを用いて、連結金具32aを幅木の主材31の端部に取り付けるまでの操作の手順を示す。
すなわち、(a)は板バネ31cの全体が幅木の主材31と平行になる方向に板バネの力により付勢されている状態であって、連結金具32aを回動させて連結金具32aを、押しボタン28に近接させた状態を示す。(b)は連結金具32aをさらに回動させて、連結金具32aが押しボタン28の斜面に当たっている状態であり、連結金具32aを回動させて、この斜面に当てるという操作をすることによって、この押しボタン28および押しボタン27を主材31の側面方向に移動させることになることを示す。(c)は連結金具32aをさらに回動させて、連結金具32aを押しボタン28の斜面を超えた状態を示し、そして、(d)は連結金具32aをさらに回動させて、連結金具32aの貫通孔32cの位置に押しボタン28の位置が合わさった状態であり、このとき、板バネの付勢力によって押しボタン28が貫通孔32cに嵌合されることを示す。このように、殊更に押しボタンの頭を主材31の側面方向に指で押すという操作をしなくても、連結金具32aを回動させて、押しボタン28の斜面に当てるという操作をすることによって、連結金具32aを幅木の主材31の端部に取り付けることができる。
また、補助ガイド60が、連結金具32aに設けられているので、実施例1と同様に、連結金具32aを幅木の主材31の端部に向けて回動させようとする際に、幅木主材の曲がりや、連結金具32aとの間の遊びがあっても、幅木主材は連結金具32aに接触する前に補助ガイドの斜面に接触し、その斜面に沿って動くから、スムーズに回動できることになる。
すなわち、実施例1と同様に、補助ガイド60を隙間29を持たせて接合した連結金具32aを幅木の主材31の端部に向けて回動させると、補助ガイド60の斜面に幅木主材31の端が当たる。次に、連結金具32aをさらに回動させると、幅木主材31の端は補助ガイド60の斜面に沿って移動し、連結金具32aと補助ガイド60の間に設けられた隙間29に嵌ることによって、連結金具32aが幅木主材31に取り付けられることになる。
次に、連結金具32aを幅木の主材31の端部から取り外すときは、まず、押しボタン28の頭ではなく、押しボタン27の頭を主材31の側面方向に指で押すという操作をして、板バネの付勢力に抗して押しボタン28を貫通孔32cに嵌合された状態から外し、次いで連結金具32aを回動させて幅木の主材31の端部から離し、その後、押しボタン27から指を離すと、板バネの付勢力によって板バネ31cの全体が幅木の主材31と平行になることで、連結金具32aが幅木の主材31の端部から取り外された状態に戻る。
このように、押しボタンを2個備えた板バネを用いると、端部金具を幅木の主材の端部から取り外すときに、押しボタンを主材の側方から押し込むという操作が不要となるから、好ましい。このことを、押しボタンを1個のみ備えた板バネを用いるときと比較して、押しボタンを2個備えた板バネを用いるときの利点を、以下に説明する。
図43は、図37に示す押しボタン28を1個だけを設けてなる板バネを用いて、連結金具32aを幅木の主材の端部から取り外すときの操作の手順を示したものである。
図43(a)は斜め切りされている押しボタン28の頭を主材31の側面方向に指22の腹で押すという操作を開始した状態を示す。次に、図43(b)はその操作を継続しようとしたが、指22の腹が連結金具32aの縁に当たってしまって、それ以上はその押しボタン28の頭を主材31の側面方向に押すことができない状態を示す。そして、図43(c)はその押しボタン28の頭を主材31の側面方向に押し込むために、指22の先を貫通孔32cの中に突っ込んだ状態を示し、これでやっとその押しボタン28を貫通孔32cに嵌合された状態から外せるようになる。この後は、連結金具32aを回動させて幅木の主材31の端部から離し、押しボタン27から指を離すと、板バネの付勢力によって板バネ31cの全体が幅木の主材31と平行になることで、連結金具32aが幅木の主材31の端部から取り外された状態に戻る。
ここでは、貫通孔32cの中に指22の先を突っ込むことによって、連結金具32aを幅木の主材31の端部から取り外すことができたが、作業用の軍手を指に嵌めていると、貫通孔32cの中に指先が入りきらない場合があり、このときには、その都度、軍手を脱いで作業するという手間がかかる。なお、軍手を指に嵌めていても貫通孔32cの中に指22の先を突っ込めるように、貫通孔32cの孔径を大きくすることが考えられるが、その場合には貫通孔内の押しボタンの移動量が大きくなり、設置後の幅木自体の遊びが大きくなりすぎるという新たな問題が生じるおそれがある。
このように、押しボタンを1個のみ備えた板バネを用いると、端部金具を幅木の主材の端部から取り外すときは、押しボタンを主材の側方から押し込むという操作が必要となる。
これに対して、図44に、図40の押しボタン27と頭が斜め切りされた押しボタン28とを有する板バネを用いて、連結金具32aを幅木の主材の端部から取り外すときの操作の手順を示す。
図44(a)は、押しボタン28の頭ではなく、押しボタン27の頭を主材31の側面方向に指22の腹で押すという操作を開始した状態を示す。次に、図44(b)はその操作を継続する途中の段階であり、指22の腹が連結金具32aの縁に当たることはない。そして、図44(c)はその操作を継続して、板バネの付勢力に抗して押しボタン28を貫通孔32cに嵌合された状態から外し、次いで連結金具32aを回動させて幅木の主材31の端部から離した段階である。この後は、押しボタン27から指を離すと、板バネの付勢力によって板バネ31cの全体が幅木の主材31と平行になることで、連結金具32aが幅木の主材31の端部から取り外された状態に戻る。
したがって、押しボタンを2個備えた板バネを用いると、端部金具を幅木の主材の端部から取り外すときに、押しボタンを主材の側方から押し込むという操作が不要となるから、好ましい。
このように、連結金具32aを主材31に対して回動させることにより、幅木の主材への取り付けおよびその取り外しの作業を容易に行うことができることに加えて、幅木の主材31の端部への取り付けおよび取り外し作業を容易に行うことができる。もちろん、実施例1に示される幅木を用いる場合と同様に、作業者は、幅木30の設置および取り外し作業を立ったままの状態でかつ幅木30の外側に身を乗り出すことなく行うことができる。また、押しボタン28を操作することにより、連結金具32aの上端を主材31に取り付けることおよび取り外すことができるので、作業者は容易に幅木30の設置および取り外しを行うことができる。これらの結果、作業者の安全性および作業効率が向上する。また、この幅木30においては、複数個の落下錠等を設ける必要がないので、コストを低減することができる。
実施例5は、実施例1において用いた台形状の補助ガイド60を、端部金具32(または連結金具32a)ではなく、幅木主材側に設けた点でのみ異なる。
図45は、台形状の補助ガイド60が幅木主材31の左端部に接合された一例を示す。(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は(b)のE−E矢視断面図を示す。
幅木主材31の上端部には、押しボタン27を有する板バネ31が幅木主材31の上端部に固定ピン31で固定されていて、板バネ全体が幅木主材31と平行になるように、板バネ31の力により側方に向けて付勢されている。一方、幅木主材31の下端部には、貫通孔31bが穿たれている。
そして、台形状の補助ガイド60が、たとえば、溶接により幅木主材31の上端部の近傍に接合されている。
このような補助ガイド60を有する幅木主材31は、端部金具32(または連結金具32a)を幅木の主材31の端部に向けて回動させようとする際に、実施例1と同様に、幅木主材の曲がりや、端部金具32(または連結金具32a)との間の遊びがあっても、幅木主材が端部金具32(または連結金具32a)に接触する前に補助ガイドの斜面が接触し、その斜面に沿って動くから、スムーズに回動できることになる。
すなわち、実施例1と同様に、端部金具32(または連結金具32a)を、補助ガイド60を接合した幅木主材31に向けて回動させると、補助ガイド60の斜面に、端部金具32(または連結金具32a)の端が当たる。次に、連結金具32aをさらに回動させると、端部金具32(または連結金具32a)の端は補助ガイド60の斜面に沿って移動することによって、連結金具32aが幅木主材31に取り付けられることになる。
このように、連結金具32a(または端部金具32)を幅木の主材31の端部に向けて回動させて、補助ガイド60の斜面を当てるという操作をするだけで、連結金具32a(または端部金具32)を幅木の主材31の端部にスムーズに取り付けることができる。
したがって、作業者15は、端部金具32(または連結金具32a)を幅木主材31に対して回動させることにより、幅木30の設置およびその取り外しを行うことができる。作業者15は、幅木30の設置および取り外し作業を立ったままの状態でかつ幅木30の外側に身を乗り出すことなく行うことができる。また、操作ボタンとしての押しボタン27を操作することにより、端部金具32(または連結金具32a)の上端を主材31に取り付けることおよび取り外すことができるので、作業者15は容易に幅木30の設置および取り外しを行うことができる。これらの結果、作業者15の安全性および作業効率が向上する。また、本発明に係る幅木30においては、複数個の落下錠等を設ける必要がないので、コストを低減することができる。
実施例6は、実施例5におけるのと同様に、補助ガイド60を端部金具32(または連結金具32a)ではなく、幅木主材側に設けた点で同じであるが、補助ガイドは幅木主材の幅に匹敵する長さを有する長方形の板状である点が異なる。
図46は、長方形の板状の補助ガイド60が幅木主材31の左端部に接合された一例を示す。(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は(b)のF−F矢視断面図を示す。
幅木主材31の上端部には、押しボタン27を有する板バネ31が幅木主材31の上端部に固定ピン31で固定されていて、板バネ全体が幅木主材31と平行になるように、板バネ31の力により側方に向けて付勢されている。一方、幅木主材31の下端部には、貫通孔31bが穿たれている。
そして、長方形の板状の補助ガイド60が、たとえば、溶接により幅木主材31の左端部全体に幅木主材31との間に隙間29を開けた状態で接合されている。
このような補助ガイド60を有する幅木主材31は、端部金具32(または連結金具32a)を幅木の主材31の端部に向けて回動させようとする際に、実施例1と同様に、幅木主材の曲がりや、端部金具32(または連結金具32a)との間の遊びがあっても、端部金具32(または連結金具32a)の縁がこの隙間29に嵌るから、スムーズに回動できることになる。
すなわち、実施例1と同様に、端部金具32(または連結金具32a)を、補助ガイド60を接合した幅木主材31に向けて回動させると、端部金具32(または連結金具32a)の縁がこの隙間29に嵌ることによって、連結金具32aが幅木主材31に取り付けられることになる。
このように、連結金具32a(または端部金具32)を幅木の主材31の端部に向けて回動させて、端部金具32(または連結金具32a)の縁をこの隙間29に嵌めるという操作をするだけで、連結金具32a(または端部金具32)を幅木の主材31の端部にスムーズに取り付けることができる。
したがって、作業者15は、端部金具32(または連結金具32a)を幅木主材31に対して回動させることにより、幅木30の設置およびその取り外しを行うことができる。作業者15は、幅木30の設置および取り外し作業を立ったままの状態でかつ幅木30の外側に身を乗り出すことなく行うことができる。また、操作ボタンとしての押しボタン27を操作することにより、端部金具32(または連結金具32a)の上端を主材31に取り付けることおよび取り外すことができるので、作業者15は容易に幅木30の設置および取り外しを行うことができる。これらの結果、作業者15の安全性および作業効率が向上する。また、本発明に係る幅木30においては、複数個の落下錠等を設ける必要がないので、コストを低減することができる。
実施例7は、端部金具32(または連結金具32a)内に台形状の補助ガイド60を接合する点は実施例1と変わりなく、床付き布枠11側に向かって突出する板状の突出材37を有する点でのみ異なる。
したがって、実施例1と同様に、補助ガイド60を隙間29を持たせて接合した連結金具32aを幅木の主材31の端部に向けて回動させると、補助ガイド60の斜面に幅木主材31の端が当たる。次に、連結金具32aをさらに回動させると、幅木主材31の端は補助ガイド60の斜面に沿って移動し、連結金具32aと補助ガイド60の間に設けられた隙間29に嵌ることによって、連結金具32aが幅木主材31に取り付けられることになる。よって、連結金具32a(または端部金具32)を幅木の主材31の端部に向けて回動させて、幅木主材31の端に補助ガイド60の斜面を当てるという操作をするだけで、連結金具32a(または端部金具32)を幅木の主材31の端部にスムーズに取り付けることができる。
図47は、実施例5で用いる幅木が設置された枠組み足場を示す斜視図であり、図48は、図47のA−A線拡大断面図である。
図48に示すように、この幅木36は、床付き布枠11側に向かって突出する板状の突出材37を有し、突出材37の一端部は主材31の下端に溶接またはボルト・ナット等により固定され、他端部は床付き布枠11上に載置されている。
この幅木36を用いる場合、作業者15は、床付き布枠11だけでなく突出材37も足場として利用することができる。すなわち、この幅木36を用いることにより作業者15の足場を拡大することができる。それにより、作業者の作業効率を向上させることができる。
もちろん、実施例1と同様に、作業者15は、端部金具32(または連結金具32a)を幅木主材31に対して回動させることにより、幅木30の設置およびその取り外しを行うことができる。作業者15は、幅木30の設置および取り外し作業を立ったままの状態でかつ幅木30の外側に身を乗り出すことなく行うことができる。また、操作ボタンとしての押しボタン27を操作することにより、端部金具32(または連結金具32a)の上端を主材31に取り付けることおよび取り外すことができるので、作業者15は容易に幅木30の設置および取り外しを行うことができる。これらの結果、作業者15の安全性および作業効率が向上する。また、本発明に係る幅木30においては、複数個の落下錠等を設ける必要がないので、コストを低減することができる。
上述した実施例1〜7では、操作ボタンとしての押しボタン27(図26および図28参照)が幅木30の正面側(床付き布枠11からなる通路側とは反対側)に設けられているが、押しボタン27が幅木30の背面側に設けられてもよい。
また、上記の例では、端部金具32(または連結金具32a)のみが主材31に対して回動可能な構成になっているが、端部金具33(または連結金具33a)も主材31に対して回動可能な構成にしてもよい。
また、実施例1〜7では、屈曲部31a(図24および図25参照)が幅木30の正面側(床付き布枠11からなる通路側とは反対側)に形成されているが、屈曲部31aが幅木30の背面側(床付き布枠11からなる通路側)に形成されていてもよい。
また実施例1〜7では、主材31の一端部の上部に操作ボタンとしての押しボタン27(図24および図25参照)が設けられているが、主材31の一端部の下部に押しボタン27が設けられてもよい。すなわち、端部金具32(または連結金具32a)の上端が主材31の一端部の上部にボルト34およびナット35によって回動可能に取り付けられ、端部金具32(または連結金具32a)の下端が押しボタン27によって主材31の一端部の下部に取り付けられてもよい。端部金具32(または連結金具32a)の上端が主材31の一端部の上部に回動可能に取り付けられる場合には、端部金具32(または連結金具32a)の下端側が主材31側に回動できる構成にすることが好ましい。この場合、連結金具32aの下端側を主材31側に回動させることにより、横桟3(図24参照)から突出部32d(図24参照)を容易に離間させることができる。それにより、幅木30を容易に取り外すことができる。
また、実施例1〜7では、端部金具33(または連結金具33a)(図11参照)はボルト34(図11参照)およびナット35(図11参照)によって主材31(図11参照)に取り付けられているが、溶接等の他の方法によって端部金具33(または連結金具33a)が主材31に取り付けられてもよい。
また、実施例1〜7では、端部金具32(または連結金具32a)と端部金具33(または連結金具33a)のそれぞれに、1つの突出部32d,33d(図23)を有しているが、端部金具32(または連結金具32a)と端部金具33(または連結金具33a)のの形状は上記の例に限定されない。
図49は、連結金具32a、33aの他の例を示す正面図である。なお、図49(a)は連結金具32aを示し、図49(b)は連結金具33aを示す。
図49に示す連結金具32a、33aが図23に示す連結金具32a、33aと異なるのは以下の点である。すなわち、この連結金具32a、33aは、係止金具32b,33bの下端において側方に突出しかつ略円弧状に湾曲する突出部32f,33fを有している。このような端部金具32、33(または連結金具32a、33a)を用いる場合、突出部32f,33fが横桟3(図20参照)の上面側に係止されるので、幅木30の安定性を十分に向上させることができる。
また、実施例1〜7では、端部金具32において、連結金具32aおよび係止金具32bが別個の部材として構成されていたが、これらに限定されない。図50は、さらに他の例を示す図である。なお、図50において、(a)は端部金具32の平面図であり、(b)は正面図である。図50に示す端部金具32においては、連結金具32aおよび係止金具32bが一体形成されている。このように連結金具32aおよび係止金具32bを一体形成することにより、端部金具32の強度を向上させることができる。なお、端部金具33においても連結金具33aおよび係止金具33bを一体形成してもよい。
また、連結金具32aの形状は上記の例に限定されず、図51に示すように、連結金具32aが上部と下部に分割された構成でもよい。同様に、連結金具33aも上部と下部に分割された構成でもよい。
また、係止金具32bの形状は上記の例に限定されず、突出部32dが形成されていればよく、例えば、図52に示すように、係止金具32bの上下方向の長さが連結金具32aよりも短くてもよい。同様に、係止金具33bの上下方向の長さが連結金具33aよりも短くてもよい。また、係止金具32bの上下方向の長さを短くする場合、図53に示すように、係止金具32bの上端に隙間隠し材38を取り付けてもよい。同様に、係止金具33bにも隙間隠し材を取り付けてもよい。
また、上記の例では、連結金具32a(図24参照)の上端は、板バネ31c(図25参照)および押しボタン27(図25参照)によって主材31(図24参照)の上部に取り付けられているが、連結金具32aの上端を主材31に取り付けるための構成は上記の例に限定されない。図54および図55は、連結金具32aの上端を主材31の上部に取り付けるための構成の他の例を示す平面図である。図54に示す例では、結部32aの上端は、取り外し機能を有する操作部としての略L字状のピン39によって主材31の上部に取り付けられている。この場合、作業者15は、ピン39を抜くことにより、連結金具32aの上端を主材31の上部から容易に取り外すことができる。
また、図55に示す例では、連結金具32aの上端は、ボルト40およびナット41によって主材31の上部に取り付けられている。この場合、作業者15は、取り外し機能を有する操作部としてのボルト40およびナット41を取り外すことにより、連結金具32aの上端を主材31の上部から容易に取り外すことができる。
また、連結金具32a,33aが設けられていなくてもよい。この場合、係止金具32b,33bに貫通孔32c,33c(図23参照)を形成し、係止金具32b,33bを幅木30に直接取り付ければよい。
また、実施例7においては、主材31の下部に突出材37(図48参照)を設けた場合について説明したが、突出材37の形状は上記の例に限定されない。図56〜図58は、突出材37の他の例を示す側面図である。図56に示す例では、略三角形状に折れ曲がった板状の突出材37が主材31の下部に固定されている。図57に示す例では、略L字状の突出材37が主材31の下部に固定されている。また、図58に示す例では、突出材37は、保持部材42を介して主材31の下部に回動可能に取り付けられている。この場合、幅木30を運搬または倉庫等に収納する際に、突出材37を主材31側に回動させることにより、幅木30をコンパクトにまとめることができる。それにより、幅木30の運搬効率および収納効率を向上させることができる。
また、突出材37を設ける代わりに、図59〜図62(主材31の側面図)に示すように、主材31の下部に突出部43を形成してもよい。
また、上記においては、鳥居枠を有する枠組足場に幅木30,36を用いた場合について説明したが、H枠を有する枠組足場に幅木30,36を用いてもよい。
また、上記においては、建枠式足場に幅木30,36を設置する場合について説明したが、緊結式足場に幅木30,36を設置してもよい。なお、緊結式足場に設置される場合には、幅木30,36は端部金具を介して腕木材に固定される。