JP5577983B2 - ファブリペロー干渉計の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固定ミラー構造体と可動ミラー構造体とがギャップを介して対向配置され、可動ミラー構造体のギャップを架橋する部分がメンブレンとされるファブリペロー干渉計の製造方法に関するものである。
例えば特許文献1に示されるように、MEMS(MicroElectro Mechanical Systems)技術を利用したファブリペロー干渉計が提案されている。
特許文献1に示されるファブリペロー干渉計では、高屈折率層の間に低屈折率層を部分的に配置してなる一対のミラー構造体が、絶縁膜に設けたギャップ(空隙)を介して対向配置されており、絶縁膜に支持された一方のミラー構造体(以下、可動ミラー構造体と示す)のうち、ギャップを架橋する部分が可動可能なメンブレンとなっている。また、各ミラー構造体において、高屈折率層の間に低屈折率層が介在された部分が光学多層膜構造のミラーとなっており、可動ミラー構造体のメンブレンのうち、ミラーが形成された分光領域(透過領域)を取り囲む周辺領域では、低屈折率層が存在せず、高屈折率層同士が接触している。
特開2008−134388号公報
上記したファブリペロー干渉計では、各ミラー構造体の電極間に印加した電圧に基づいて生じる静電気力により、エアギャップ上に架橋された可動ミラー構造体のメンブレンを変位させ、エアギャップにおけるミラー間の対向距離に応じた波長の光を選択的に透過させるようになっている。したがって、透過波長の半値幅(FWHM)を抑制する、すなわち分解能を向上するには、ミラーが形成された分光領域の変形を抑制し、分光領域をできるだけ平坦としたままメンブレンを撓ませることが好ましい。
このように、分光領域の変形を抑制するには、メンブレンにおける周辺領域の膜厚を薄くして剛性を低下させ、周辺領域を変形しやすくすることが考えられる。しかしながら、周辺領域は、例えば多結晶シリコンからなる高屈折率層同士が接触する領域であるため、単にエッチングすることでメンブレンの周辺領域の膜厚を薄くすると膜厚を精度良く制御することができず、製品ごとの膜厚ばらつきが大きくなってしまう。すなわち、製品ごとの分解能のばらつきが大きくなってしまう。
本発明は上記問題点に鑑み、分光領域の変形を抑制して分解能を向上することができ、且つ、製品ごとの分解能のばらつきを低減することのできるファブリペロー干渉計の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成する為に、以下に記載のファブリペロー干渉計の製造方法は、
光学多層膜構造の固定ミラーを分光領域に有する固定ミラー構造体を、基板の一面上に形成する工程と、
犠牲層を、固定ミラー構造体の基板と反対の面上に形成する工程と、
光学多層膜構造の可動ミラーを分光領域に有する可動ミラー構造体を、犠牲層上に形成する工程と、
エッチングにより、分光領域及び該分光領域の周辺領域に対応する犠牲層の部分に、固定ミラー構造体と可動ミラー構造体とを対向させる空隙を設け、該空隙を架橋する可動ミラー構造体の部分を可動可能なメンブレンとする工程と、備える。
そして、請求項1に記載のファブリペロー干渉計の製造方法は、可動ミラー構造体を形成する工程として、
シリコンを含む半導体薄膜からなる第1高屈折率層を、犠牲層上に形成する第1高屈折率層形成工程と、
第1高屈折率層よりも屈折率の低い第1低屈折率層を、第1高屈折率層上における、分光領域の可動ミラー形成位置に形成する第1低屈折率層形成工程と、
シリコンを含む半導体薄膜からなり、第1低屈折率層よりも屈折率が高い第2高屈折率層を、第1低屈折率層を含んで第1高屈折率層を覆うように形成し、分光領域に第1高屈折率層、第1低屈折率層、及び第2高屈折率層からなる可動ミラーを形成する第2高屈折率層形成工程と、
第2高屈折率層上にマスクを形成し、該マスクの開口部から露出する周辺領域の部分を熱酸化して、第2高屈折率層の露出面から所定深さのシリコン部分を二酸化シリコンとする熱酸化工程と、
エッチングにより、周辺領域の二酸化シリコンの部分を除去する二酸化シリコン除去工程と、を含み、
第2高屈折率層形成工程後であって熱酸化工程の前に、第2高屈折率層上にマスクを形成し、該マスクの開口部から露出する周辺領域の部分に不純物を注入する注入工程を備え、
注入工程では、熱酸化により二酸化シリコンとする周辺領域の部分のうち、分光領域側の端部から所定の範囲には不純物を注入せず、所定の範囲を除く領域に不純物を注入して、これにより、熱酸化工程で形成される二酸化シリコンの厚みが、所定の範囲を除く領域で、所定の範囲の領域よりも厚くなるようにし、
二酸化シリコン除去工程では、二酸化シリコンの除去により、周辺領域において、所定の範囲を除く領域の膜厚を、所定の範囲の領域の膜厚よりも薄くすることを特徴とする。
このように、熱酸化してなる周辺領域の二酸化シリコンの部分を除去するため、二酸化シリコンが除去された部分の膜厚を薄くすることができる。したがって、第1高屈折率層と第2高屈折率層とが接する従来の構造に比べて、メンブレンにおける周辺領域の剛性を低くし、周辺領域を変形しやすくすることができる。これにより、分光領域の変形を抑制することができる。
また、エッチングレートの差を利用して、周辺領域のうち、熱酸化してなる二酸化シリコンの部分を選択的に除去するので、製品ごとの膜厚ばらつきを抑制し、ひいては製品ごとの分解能のばらつきを抑制することができる。以上から、本発明によれば、分光領域の変形を抑制して分解能を向上することができ、且つ、製品ごとの分解能のばらつきを低減することができる。
また、本発明では、熱酸化の熱量(温度、加熱時間)によって、第2高屈折率層の露出面からの二酸化シリコンの深さを制御することができる。したがって、周辺領域の膜厚を任意で調整することが可能である。例えば、第2高屈折率層の露出面から第1高屈折率層の所定深さの部分までを二酸化シリコンとし、除去することもできる。
特に、不純物濃度が高いほど、二酸化シリコンの成膜レートが早くなる。すなわち、不純物を注入した部分は、注入しない部分に比べて熱酸化されやすくなる。したがって、本発明によれば、周辺領域において、分光領域から離れるほど膜厚が薄くすることができる。これにより、分光領域を平坦としつつメンブレンを撓ませやすくなる。
請求項2に記載のように、可動ミラー構造体は、分光領域及び周辺領域の少なくとも一方に、第1高屈折率層及び第2高屈折率層が互い接してなる接触部分と、該接触部分を貫通する犠牲層エッチング用の貫通孔を有し、
犠牲層は、二酸化シリコンからなり、
第2高屈折率層形成工程後であって二酸化シリコン除去工程の前に、犠牲層エッチング用の貫通孔を接触部分に形成し、
二酸化シリコン除去工程において、周辺領域の二酸化シリコンを除去するとともに、犠牲層に空隙を設けて該空隙を架橋する可動ミラー構造体の部分を可動可能なメンブレンとすることが好ましい。
これによれば、熱酸化による二酸化シリコン部分の除去と犠牲層のエッチングを同時に行うので、製造工程を簡素化することができる。
次に、請求項3に記載の発明は、可動ミラー構造体を形成する工程として、
第1高屈折率層を、犠牲層上に形成する第1高屈折率層形成工程と、
第1高屈折率層よりも屈折率の低い第1低屈折率層を、第1高屈折率層上における、分光領域の可動ミラー形成位置に形成する第1低屈折率層形成工程と、
第1低屈折率層よりも屈折率が高い第2高屈折率層を、第1低屈折率層を含んで第1高屈折率層を覆うように形成し、分光領域に第1高屈折率層、第1低屈折率層、及び第2高屈折率層からなる可動ミラーを形成する第2高屈折率層形成工程と、
第2高屈折率層上にマスクを形成し、該マスクの開口部から露出する周辺領域の部分に不純物を注入して、第2高屈折率層の露出面から所定深さの部分をアモルファスとするアモルファス化工程と、
エッチングにより、周辺領域のアモルファスの部分を除去するアモルファス除去工程と、を含むことを特徴とする。
このように、周辺領域のアモルファス部分を除去するため、アモルファスが除去された部分の膜厚を薄くすることができる。したがって、第1高屈折率層と第2高屈折率層とが接する従来の構造に比べて、メンブレンにおける周辺領域の剛性を低くし、周辺領域を変形しやすくすることができる。これにより、分光領域の変形を抑制することができる。
また、エッチングレートの差を利用して、周辺領域のうち、アモルファスの部分を選択的に除去するので、製品ごとの膜厚ばらつきを抑制し、ひいては製品ごとの分解能のばらつきを抑制することができる。以上から、本発明によれば、分光領域の変形を抑制して分解能を向上することができ、且つ、製品ごとの分解能のばらつきを低減することができる。
また、本発明では、不純物注入の飛程により、第2高屈折率層の露出面からのアモルファスの深さを制御することができる。したがって、周辺領域の膜厚を任意で調整することが可能である。
第1実施形態に係るファブリペロー干渉計の概略構成を示す平面図である。 図1のII−II線に沿う断面図である。 (a)〜(d)は、ファブリペロー干渉計の製造工程を示す断面図である。 第2実施形態に係るファブリペロー干渉計の概略構成を示す断面図である。 (a)〜(c)は、ファブリペロー干渉計の製造工程を示す断面図である。 (a)〜(c)は、ファブリペロー干渉計の製造工程の変形例を示す断面図である。 ファブリペロー干渉計の製造工程の変形例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に示す各実施形態において、共通乃至関連する要素には同一の符号を付与するものとする。
(第1実施形態)
本実施形態では、光学多層膜構造のミラーM1,M2を有するファブリペロー干渉計100の一例として、エアミラーを有するファブリペロー干渉計を示す。このようなエアミラー構造のファブリペロー干渉計100については、本出願人による特開2008−134388号公報に示されているため、ミラーM1,M2などの詳細構造については説明を割愛し、異なる部分を重点的に説明する。
また、空隙の変化方向(電圧を印加した際のメンブレンMEMの変位方向)、換言すれば基板10に対する固定ミラー構造体30の積層方向、を単に変位方向と示す。また、変位方向に垂直な方向を単に垂直方向と示す。また、平面形状とは、特に断りのない限り、上記垂直方向に沿う形状を示すものとする。
また、ミラーM1,M2の対向領域を分光領域S1とし、可動ミラー構造体70のメンブレンMEMに対応する領域であって、分光領域S1を除く領域を周辺領域X1とする。この周辺領域X1は、垂直方向に沿う少なくとも一方向において分光領域S1を挟むように設けられれば良く、本実施形態では、図1に示すように、分光領域S1を取り囲むように周辺領域X1が設定されている。また、図1においては、便宜上、エッチング用の貫通孔を省略して図示している。
図2に示すように、本実施形態に係るファブリペロー干渉計100では、基板10として、例えば単結晶シリコンからなる平面矩形状の半導体基板を採用している。この基板10の一面側表層には、不純物がドーピングされてなる吸収領域11が、垂直方向において、固定ミラーM1及び可動ミラーM2による分光領域S1を除く領域に選択的に設けられている。これにより、分光領域外での光の透過を抑制するようになっている。また、基板10の一面上には、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの絶縁膜12が略均一の厚みをもって形成されている。そして、絶縁膜12を介して、基板10の一面上に固定ミラー構造体30が配置されている。
固定ミラー構造体30は、空気よりも屈折率の高い材料、例えばシリコン及びゲルマニウムの少なくとも一方を含む半導体薄膜からなり、基板10の一面全面に絶縁膜12を介して積層された高屈折率下層31と、該高屈折率下層31に同じくシリコンなどの高屈折率材料からなり、高屈折率下層31上に積層された高屈折率上層32とにより構成されている。本実施形態においては、高屈折率層31,32が、ともにポリシリコンからなる。なお、高屈折率下層31が特許請求の範囲に記載の第3高屈折率層に相当し、高屈折率上層32が特許請求の範囲に記載の第4高屈折率層に相当する。
そして、分光領域S1における高屈折率下層31と高屈折率上層32との間には、低屈折率層としての空気層33が介在され、この部分が実際にミラーとして機能する光学多層膜構造の固定ミラーM1となっている。このように、固定ミラーM1は空気層33が介在されたエアミラーとなっている。また、固定ミラーM1は、高屈折率下層31に高屈折率上層32が接してなる連結部C1により、複数個に分割(細分化)されており、各固定ミラーM1は連結部C1によって互いに連結されている。
本実施形態では、固定ミラー構造体30と可動ミラー構造体70とで、各ミラーM1,M2と各連結部C1,C2のレイアウトがそれぞれ一致している。なお、連結部C1は、隣接する固定ミラーM1間において、高屈折率下層31と高屈折率上層32とが接触する部分である。
なお、図4に示す符号34は、固定ミラー構造体30において、固定ミラーM1における空気層33の上面を覆う高屈折率上層32の部分に形成された貫通孔であり、この貫通孔34を介してエッチングすることで、空気層33が形成される。この貫通孔34は、細分化された各ミラーM1にそれぞれ形成されている。
上記した複数の固定ミラーM1は、平面円形状のメンブレンMEMの中央領域に形成された可動ミラーM2に対向して形成されている。また、固定ミラー構造体30において、分光領域S1を除く領域には、少なくとも空隙AG側の高屈折率上層32に、p導電型又はn導電型の不純物が導入されて第1電極35が形成されている。本実施形態では、ポリシリコンからなる高屈折率上層32に硼素(B)がイオン注入されてp導電型の第1電極35が形成されている。
また、メンブレンMEM、すなわち分光領域S1及び周辺領域X1、を除く領域には、高屈折率上層32上にAu/Cr等からなるパッド36が形成されている。このパッド36は、高屈折率上層32に形成された不純物の拡散層よりなる第1電極35とオーミック接触されている。
また、本実施形態では、図2に示すように、分光領域S1を除く領域の高屈折率下層31と高屈折率上層32との間に、低屈折率層37としての二酸化シリコン層が介在されている。分光領域S1を除く領域は、ミラーとしての機能を有さなくとも良いので、高屈折率下層31に高屈折率上層32が接してなる構造を採用することもできる。
この固定ミラー構造体30における高屈折率上層32上の、メンブレンMEMと対向する部分を除く部位には、空隙AGを有する犠牲層50が配置されている。この犠牲層50は、固定ミラー構造体30上に可動ミラー構造体70を支持するとともに、固定ミラー構造体30と可動ミラー構造体70との間に、空隙AGを構成するためのスペーサとしての機能を果たすものである。本実施形態では、犠牲層50が二酸化シリコンからなり、犠牲層50における可動ミラー構造体70のメンブレンMEMに対応する中央部位がくり抜かれて空隙AGとされた構造となっている。また、メンブレンMEMよりも外側の部位にも、パッド36を形成するための開口部51が形成されている。
可動ミラー構造体70は、空気よりも屈折率の高い材料、例えばシリコン及びゲルマニウムの少なくとも一方を含む半導体薄膜からなり、空隙AGを架橋して犠牲層50の表面上に配置された高屈折率下層71と、該高屈折率下層71に同じくシリコンなどの高屈折率材料からなり、高屈折率下層71上に積層された高屈折率上層72とにより構成されている。本実施形態においては、高屈折率層71,72が、ともにポリシリコンからなる。なお、高屈折率下層71が特許請求の範囲に記載の第1高屈折率層に相当し、高屈折率上層72が特許請求の範囲に記載の第2高屈折率層に相当する。
そして、分光領域S1における高屈折率下層71と高屈折率上層72との間には、低屈折率層としての空気層73が介在され、この部分が実際にミラーとして機能する光学多層膜構造の可動ミラーM2となっている。このように、可動ミラーM2も空気層73が介在されたエアミラーとなっている。この可動ミラーM2を構成する高屈折率下層71の空隙AG側表面と、上記した固定ミラーM1を構成する高屈折率上層32の空隙AG側表面とは、電極35,75に電圧が印加されない状態で略平行となっている。
また、可動ミラーM2も、高屈折率下層71に高屈折率上層72が接してなる連結部C2により、図1に示すように、複数個(本実施形態では19個)に分割(細分化)されており、各可動ミラーM2は連結部C2によって互いに連結されている。なお、連結部C2は、隣接する可動ミラーM2間において、高屈折率下層71と高屈折率上層72とが接触する部分である。
なお、図2に示す符号74は、可動ミラー構造体70において、可動ミラーM2における空気層73の上面を覆う高屈折率上層72の部分に形成された貫通孔であり、この貫通孔74を介してエッチングすることで、空気層73が形成される。この貫通孔74は、細分化された各ミラーM2にそれぞれ形成されている。
上記した複数の可動ミラーM2は、連結部C2とともに、メンブレンMEMの中央領域に形成されている。また、可動ミラー構造体70において、分光領域S1を除く領域には、少なくとも空隙AG側の高屈折率下層71に、p導電型又はn導電型の不純物が導入されて第2電極75が形成されている。本実施形態では、ポリシリコンからなる高屈折率下層71に硼素(B)がイオン注入されてp導電型の第2電極75が形成されている。そして、可動ミラーM2及び連結部C2の形成された分光領域と、該分光領域を取り囲む周辺領域X1とにより、上記したメンブレンMEMが構成されている。
また、メンブレンMEM、すなわち分光領域S1及び周辺領域X1、を除く領域には、高屈折率上層72に開口部76が設けられ、この開口部76内であって高屈折率下層72上にAu/Cr等からなるパッド77が形成されている。このパッド77は、高屈折率下層71に形成された不純物の拡散層よりなる第2電極75とオーミック接触されている。
また、図2に示す符号78は、可動ミラー構造体70のメンブレンMEMのうち、可動ミラーM2を除く部分に形成された貫通孔であり、この貫通孔78を介して犠牲層50及び固定ミラーM1の低屈折率層をエッチングする。この貫通孔78は、メンブレンMEMの周辺領域X1だけでなく、分光領域S1における連結部C1にも形成される。
また、本実施形態では、図2に示すように、可動ミラー構造体70のメンブレンMEMのうち、周辺領域X1の一部の高屈折率上層72が除去されて、高屈折率上層72が除去された部分が高屈折率下層71のみの構造となっている。すなわち、メンブレンMEMのうち、周辺領域X1が薄膜化されている。本実施形態では、周辺領域X1のうち、貫通孔78が形成された部分で高屈折率下層71に高屈折率上層72が接しており、貫通孔78が形成された部分を除く部分の殆どで、高屈折率上層72が除去されている。なお、メンブレンMEMを除く領域では、高屈折率下層71に高屈折率上層72が接している。
このように、ミラー構造体30,70を構成する高屈折率層31,32,71,72として、ポリシリコンを採用すると、波長2〜10μm程度の赤外光に対して透明であるので、赤外線ガス検出器の波長選択フィルターとして好適である。なお、ポリシリコン以外にも、ポリゲルマニウムやポリシリコンゲルマニウムなど、シリコン及びゲルマニウムの少なくとも一方を含む半導体薄膜を採用すると、同様の効果を期待することができる。
加えて、上記したように、ミラーM1,M2の低屈折率層として空気層33,73を採用すると、高屈折率層の屈折率nH(例えばSiでは3.45、Geでは4)と低屈折率層の屈折率nL(空気では1)とのn比(nH/nL)を大きく(例えば3.3以上と)して、上記した波長2〜10μm程度の赤外光を選択的に透過させることのできるファブリペロー干渉計100を安価に実現することができる。
次に、上記したファブリペロー干渉計100の製造方法について、図3を用いて説明する。なお、図3では、便宜上、上記したファブリペロー干渉計100を簡略化して図示している。
先ず、図3(a)に示すように、基板10として、単結晶シリコンからなる半導体基板を準備し、基板10の一面側表層のうち、ミラーM1,M2による分光領域S1を除く部分に、硼素(B)などの不純物を導入して吸収領域11を形成する。次いで、基板10の一面全面に、二酸化シリコンなどからなる絶縁膜12を均一に堆積形成する。
そして、絶縁膜12上に、ポリシリコンなどからなる高屈折率下層31、二酸化シリコンなどからなる低屈折率層37の順に、堆積形成する。次いで、低屈折率層37の表面にレジストなどからなるマスク(図示略)を形成し、該マスクを介して低屈折率層37をエッチング(例えばRIEなどの異方性のドライエッチング)し、低屈折率層37をパターニングする。このパターニングされた低屈折率層37のうち、分光領域S1の低屈折率層37は、後にエッチングされて、固定ミラーM1の空気層33となる。本実施形態では、分光領域S1を除く領域の殆ど全域に、低屈折率層37を形成する。このため、後に犠牲層50を形成する際に、平坦性を確保しやすくなる。
次に、マスクを除去し、低屈折率層37を覆うように、高屈折率下層31上に、ポリシリコンなどからなる高屈折率上層32を堆積形成する。そして、高屈折率上層32の表面にマスク(図示略)を形成し、該マスクを介して、分光領域S1の低屈折率層37上に位置する高屈折率上層32の一部に、低屈折率層37に達する貫通孔34を形成する。このマスクを除去した後、高屈折率上層32の表面に新たなマスクを形成し、該マスクを介して、少なくとも高屈折率上層32に不純物をイオン注入する。このイオン注入では、固定ミラーM1となる領域に不純物が存在すると、光が不純物によって吸収されることとなるため、分光領域S1を除く領域にのみに選択的に不純物をイオン注入する。このイオン注入により、第1電極35が形成される。
次に、マスクを除去し、図3(b)に示すように、高屈折率膜上層32の表面全面に、例えば二酸化シリコンからなる犠牲層50を堆積形成する。これにより、貫通孔34内にも犠牲層50が配置される。犠牲増50の構成材料としては、電気絶縁材料であれば特に限定されるものではないが、好ましくは低屈折率層37と同一材料とすると良い。犠牲層50の膜厚は、電圧が印加されない初期状態での、固定ミラー構造体30と可動ミラー構造体70(メンブレンMEM)との対向距離と等しい厚さとする。
次いで、必要に応じて、犠牲層50の表面を平坦化処理し、犠牲層50の表面全面に、ポリシリコンなどからなる高屈折率下層71を堆積形成する。この高屈折率下層71の形成が、特許請求の範囲に記載の第1高屈折率層形成工程に相当する。
そして、高屈折率下層71の表面に形成したマスクを介して、高屈折率下層71に不純物をイオン注入する。このイオン注入では、可動ミラーM2となる領域に不純物が存在すると、光が不純物によって吸収されることとなるため、分光領域S1を除く領域にのみに選択的に不純物をイオン注入する。このイオン注入により、第2電極75が形成される。
次いで、二酸化シリコンなどからなる低屈折率層79を堆積形成する。この低屈折率層79が、特許請求の範囲に記載の第1低屈折率層に相当する。そして、低屈折率層79の表面に、レジストなどからなるマスク(図示略)を形成し、該マスクを介して低屈折率層79をエッチングする。これにより、可動ミラーM2となる部分79a(以下、低屈折率層79aと示す)と、周辺領域X1に対応する部分79b(以下、低屈折率層79bと示す)に、低屈折率層79を選択的に残す。低屈折率層79の構成材料としては、電気絶縁材料であれば特に限定されるものではないが、好ましくは犠牲層50と同一材料とすると良い。
次に、マスクを除去後、パターニングされた低屈折率層79を覆うように、高屈折率下層71上に、ポリシリコンなどからなる高屈折率上層72を堆積形成する。この高屈折率上層72の形成が、特許請求の範囲に記載の第2高屈折率層形成工程に相当する。そして、高屈折率上層72の表面に新たなマスクを形成し、図3(c)に示すように、高屈折率層71,72を、エッチングにより選択的に除去する。これにより、高屈折率層71,72を貫通する、犠牲層エッチング用の貫通孔78が形成される。また、低屈折率層79a上における高屈折率上層72の一部に、低屈折率層79aに達する貫通孔74が形成される。また、開口部51の形成部分に開口部51aが形成されるとともに、開口部76も形成される。さらには、低屈折率層79b上における高屈折率上層72の少なくとも一部を、低屈折率層79bをエッチングストッパとして除去し、開口部80を形成する。この高屈折率上層72の除去が、特許請求の範囲に記載の第2高屈折率層除去工程に相当する。
ここで、低屈折率層79b上における高屈折率上層72の除去については、少なくともエッチングにより後工程で低屈折率層79bを除去できる程度、であれば良い。しかしながら、周辺領域X1は分光に寄与しない領域であるので、メンブレンMEMにおける周辺領域X1の薄膜化の観点から、低屈折率層79b上の高屈折率上層72をできる限り除去するほうが良い。本実施形態では、図3(c)に示すように、低屈折率層79b上の高屈折率上層72を殆ど除去する。すなわち、低屈折率層79bとほぼ一致する開口部80を形成する。
次いで、図3(d)に示すように、貫通孔78を通じて、犠牲層50における空隙AGを形成すべき部位をエッチングして空隙AGを形成する。このとき、貫通孔34,74を介して、分光領域S1における低屈折率層37及び低屈折率層79aをエッチングし、これら低屈折率層37,79aを除去して空気層33,73を形成する。さらには、開口部80を介して、周辺領域X1における低屈折率層79bをエッチングし、低屈折率層79bを除去する。この低屈折率層79bの除去が、特許請求の範囲に記載の第1低屈折率層除去工程に相当する。これにより、周辺領域X1において、低屈折率層79bを除去した部分の剛性が低くなる。
本実施形態では、これらエッチングが、フッ酸(HF)の気相エッチング乃至液相エッチングにより同一工程で実施される。このエッチングにより、犠牲層50に空隙AGが形成される。また、空気層33,73が形成されてエアミラー構造のミラーM1,M2となる。そして、開口部51、パッド36,77の形成を経て、図3(d)に示すファブリペロー干渉計100を得ることができる。
次に、本実施形態に係るファブリペロー干渉計100の製造方法の特徴部分の効果について説明する。
本実施形態では、メンブレンMEMを有する可動ミラー構造体70の周辺領域X1において、高屈折率層71,72間に低屈折率層79bを介在させた後、低屈折率層79bをエッチングストッパとして低屈折率層79b上の高屈折率上層72を除去する。そして除去してなる高屈折率上層72の開口部80を介して、周辺領域X1の低屈折率層79bを選択的に除去する。したがって、メンブレンMEMの周辺領域X1を、高屈折率上層72と低屈折率層79bの厚さ分除去し、薄膜化することができる。このため、製品ごとの膜厚ばらつきを抑制し、ひいては製品ごとの分解能のばらつきを抑制することができる。
また、低屈折率層79bの除去により、周辺領域X1の低屈折率層79b除去部分を、高屈折率下層71の単層のみが存在する構造、又は、高屈折率下層71と高屈折率上層72との間に空気層が介在された構造とすることができる。したがって、高屈折率層71,72同士が接する従来の構造に比べて、メンブレンMEMにおける周辺領域X1の剛性を低くし、周辺領域X1を変形しやすくすることができる。これにより、分光領域S1の変形を抑制し、分光領域S1をできるだけ平坦としたままメンブレンMEMを変形させることができる。
以上から、本実施形態に示す製造方法によれば、分光領域S1の変形を抑制して分解能を向上することができ、且つ、製品ごとの分解能のばらつきを低減することができる。
また、本実施形態では、第2高屈折率層除去工程において、エッチングにより、周辺領域X1の低屈折率層79b上に位置する高屈折率上層72の少なくとも一部を除去するとともに、犠牲層エッチング用の貫通孔78を形成する。このように、高屈折率上層72の除去(開口部80の形成)と貫通孔78の形成を同時に行うと、製造工程を簡素化することができる。特に本実施形態では、第2高屈折率層除去工程において、エッチングにより、分光領域S1の低屈折率層79a上に位置する高屈折率上層72に、低屈折率層79aエッチング用の貫通孔74も形成する。したがって、製造工程をさらに簡素化することができる。しかしながら、低屈折率層79b上に位置する高屈折率上層72の除去と貫通孔78,74の形成を異なるタイミング(工程)で行うこともできる。
また、本実施形態では、低屈折率層79(低屈折率層79b)と犠牲層50がともに同一材料(二酸化シリコン)からなり、低屈折率層除去工程において、周辺領域X1の低屈折率層79bを除去するとともに、犠牲層50に空隙AGを設けて該空隙AGを架橋する可動ミラー構造体70の部分を可動可能なメンブレンMEMとする。このように、犠牲層50のエッチングと低屈折率層79bの除去を同時に行うと、製造工程を簡素化することができる。
特に本実施形態では、低屈折率層除去工程において、分光領域S1における低屈折率層37,79aも除去し、光学多層膜構造のミラーM1,M2をエアミラーとする。したがって、製造工程をさらに簡素化することができる。また、可動ミラーM2及び固定ミラーM1がエアミラーとなるので、高反射な帯域が広いミラーM1,M2、ひいては分光帯域の広いファブリペロー干渉計100とすることができる。なお、低屈折率層79bの除去と犠牲層50、低屈折率層37,79aの除去を異なるタイミング(工程)で行うこともできる。
なお、本実施形態では、分光領域S1における低屈折率層37及び低屈折率層79aを除去することで、エアミラー構造のミラーM1,M2とする例を示した。しかしながら、二酸化シリコンなどからなる低屈折率層37及び低屈折率層79aを除去せず残して、光学多層膜構造のミラーM1,M2としても良い。
また、本実施形態では、可動ミラー構造体70を構成する高屈折率下層71と高屈折率上層72の膜厚の関係については特に言及しなかった。しかしながら、高屈折率下層71の膜厚を高屈折率上層72の膜厚よりも薄く形成すると、例えば高屈折率層71,72が同じ厚さの場合に比べて、メンブレンMEMにおける周辺領域X1の剛性をより低くすることができる。すなわち、周辺領域X1を変形しやすくすることができる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、メンブレンMEMにおいて、周辺領域X1に低屈折率層79bを形成することで、低屈折率層79b上の高屈折率上層72と該低屈折率層79bを選択的に除去できるようにし、もって周辺領域X1を精度良く薄膜化する例を示した。
これに対し、本実施形態では、低屈折率層79bを形成せずに、周辺領域X1の高屈折率層71,72の一部を変質させ、変質させた部分を選択的にエッチングして除去することで、周辺領域X1の薄膜化を図る点を特徴とする。
図4に示すように、本実施形態に係るファブリペロー干渉計100は、第1実施形態に示したファブリペロー干渉計100とほぼ同じ構造を有している。異なる点は、周辺領域X1において、高屈折率上層72が高屈折率下層71から離反する方向に持ち上がった部分を有さない点である。また、高屈折率層31,32,71,72が、シリコンを含む半導体薄膜(具体的にはポリシリコン)からなる。
次に、本実施形態に係るファブリペロー干渉計100の製造方法について、図5を用いて説明する。なお、図5では、便宜上、上記したファブリペロー干渉計100を簡略化して図示している。
基板10の準備から、高屈折率下層71へのイオン注入(第2電極75形成)までは、第1実施形態と同じである。
次いで、図5(a)に示すように、二酸化シリコンからなる低屈折率層79を堆積形成し、パターニングする。本実施形態では、周辺領域X1には形成せず、可動ミラーM2となる部分のみに低屈折率層79を選択的に残す。したがって、周辺領域X1では、高屈折率下層71に高屈折率上層72が接した構造となる。
次に、パターニングされた低屈折率層79を覆うように、高屈折率下層71上に、ポリシリコンからなる高屈折率上層72を堆積形成する。そして、高屈折率上層72の表面に、シリコン窒化膜などからなる熱酸化用のマスク81を形成し、マスク81の開口部81aから露出する周辺領域X1の部分を熱酸化する。この熱酸化では、図5(b)に示すように、高屈折率下層71及び高屈折率上層72のポリシリコンのうち、高屈折率上層72の露出面から所定深さを二酸化シリコンの部分82とする。例えば、高屈折率上層72の一部のみを二酸化シリコンとしても良いし、高屈折率下層71の一部まで二酸化シリコンとしても良い。本実施形態では、高屈折率下層71は二酸化シリコンとせず、高屈折率上層72を二酸化シリコンとする。
次いで、高屈折率層71,72を、エッチングにより選択的に除去する。これにより、高屈折率層71,72を貫通する、犠牲層エッチング用の貫通孔78が形成される。また、低屈折率層79上における高屈折率上層72の一部に、低屈折率層79に達する貫通孔74が形成される。また、開口部51の形成部分に開口部51aが形成されるとともに、開口部76も形成される。
次いで、図5(c)に示すように、貫通孔78を通じて、犠牲層50における空隙AGを形成すべき部位をエッチングして空隙AGを形成する。このとき、貫通孔34,74を介して、分光領域S1における低屈折率層37及び低屈折率層79をエッチングし、これら低屈折率層37,79を除去して空気層33,73を形成する。さらには、周辺領域X1の二酸化シリコン部分82を、周辺のポリシリコンに対して選択的に除去する。この二酸化シリコン部分82の除去が、特許請求の範囲に記載の二酸化シリコン除去工程に相当する。これにより、周辺領域X1において、二酸化シリコン部分82を除去した部分の剛性が低くなる。
本実施形態では、これらエッチングが、フッ酸(HF)の気相エッチング乃至液相エッチングにより同一工程で実施される。このエッチングにより、犠牲層50に空隙AGが形成される。また、空気層33,73が形成されてエアミラー構造のミラーM1,M2となる。そして、開口部51、パッド36,77の形成を経て、図5(c)に示すファブリペロー干渉計100を得ることができる。
次に、本実施形態に係るファブリペロー干渉計100の製造方法の特徴部分の効果について説明する。
本実施形態では、メンブレンMEMの周辺領域X1のうち、除去したい部分を熱酸化により二酸化シリコン部分82とし、この二酸化シリコン部分82を選択的に除去するため、製品ごとの膜厚ばらつきを抑制し、ひいては製品ごとの分解能のばらつきを抑制することができる。
また、メンブレンMEMの周辺領域X1において、二酸化シリコン部分82が除去された部分の膜厚を薄くすることができるので、高屈折率層71,72が接する従来の構造に比べて、メンブレンMEMにおける周辺領域X1の剛性を低くし、周辺領域X1を変形しやすくすることができる。これにより、分光領域S1の変形を抑制し、分光領域S1をできるだけ平坦としたままメンブレンMEMを変形させることができる。
以上から、本実施形態によれば、分光領域S1の変形を抑制して分解能を向上することができ、且つ、製品ごとの分解能のばらつきを低減することができる。
また、本実施形態によれば、熱酸化の熱量(温度、加熱時間)により、高屈折率上層72の露出面からの二酸化シリコン部分82の深さを制御することができる。したがって、周辺領域X1の膜厚を任意で調整することができる。
また、本実施形態では、二酸化シリコン除去工程において、エッチングにより、周辺領域X1の二酸化シリコン部分82を除去するとともに、犠牲層50に空隙AGを設けて該空隙AGを架橋する可動ミラー構造体70の部分を可動可能なメンブレンMEMとする。このように、熱酸化による二酸化シリコン部分82の除去と犠牲層50のエッチングを同時に行うので、製造工程を簡素化することができる。
なお、本実施形態では、熱酸化する前に、高屈折率上層72の形成後であって熱酸化の前に、周辺領域X1に対し、高屈折率上層72側からイオン注入せず、熱酸化を行う例を示した。しかしながら、図6(a)に示すように、高屈折率上層72の形成後であって熱酸化の前に、高屈折率上層72上にマスク83を形成し、該マスク83の開口部83aから露出する周辺領域X1の部分に不純物を注入して、不純物注入領域84を形成する。そして、不純物注入後、図6(b)に示すように、マスク81の開口部81aから露出する周辺領域X1の部分を熱酸化することもできる。不純物濃度が高いほど、熱酸化による二酸化シリコンの成膜レートが早くなる。すなわち、不純物を注入した部分は、注入しない部分に比べて熱酸化されやすくなる。したがって、図6(a)に示す不純物注入用のマスク83の、分光領域S1を覆う部分の長さL1を、図6(b)に示す熱酸化用のマスク81の、分光領域S1を覆う部分の長さL2よりも長くしても良い。このように、二酸化シリコン部分82とする部分のうち、分光領域S1側の端部から所定の範囲には不純物を注入せず、所定の範囲を除く領域に不純物を注入するようにすると、図6(b)に示すように、熱酸化による二酸化シリコン部分82を、分光領域S1に近い部分82aで薄く、分光領域S1から離れた部分82bで厚くすることができる。したがって、二酸化シリコン部分82を除去した状態で、図6(c)に示すように、メンブレンMEMの周辺領域X1の膜厚を、分光領域S1に近い部分85aで厚く、分光領域S1から離れた部分85bで薄くすることができる。すなわち、周辺領域X1において、分光領域S1から離れるほど膜厚が薄くすることができる。これにより、分光領域S1を平坦としつつメンブレンMEMを撓ませやすくすることができる。
また、本実施形態では、熱酸化により、周辺領域X1のポリシリコンの一部を二酸化シリコンとし、二酸化シリコン部分82を選択的に除去することで、周辺領域X1の薄膜化を図る例を示した。しかしながら、高屈折率上層72の形成後、図7に示すように、高屈折率上層72上にマスク86を形成し、該マスク86の開口部86aから露出する周辺領域X1の部分に不純物を注入して、高屈折率上層72の露出面から所定深さの部分をアモルファス部分87とする。そして、エッチングにより、周辺領域X1のアモルファス部分87を選択的に除去しても良い。なお、アモルファス部分86の形成範囲は、二酸化シリコン部分82と同じである。
このように、メンブレンMEMの周辺領域X1のうち、除去したい部分をイオン注入によりアモルファス部分86とし、このアモルファス部分86を選択的に除去するため、製品ごとの膜厚ばらつきを抑制し、ひいては製品ごとの分解能のばらつきを抑制することができる。また、メンブレンMEMの周辺領域X1において、アモルファス部分86が除去された部分の膜厚を薄くすることができるので、高屈折率層71,72が接する従来の構造に比べて、メンブレンMEMにおける周辺領域X1の剛性を低くし、周辺領域X1を変形しやすくすることができる。これにより、分光領域S1の変形を抑制し、分光領域S1をできるだけ平坦としたままメンブレンMEMを変形させることができる。また、イオン注入の飛程により、アモルファス部分86の深さを制御することができる。したがって、熱酸化同様、周辺領域X1の膜厚を任意で調整することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
本実施形態では、各ミラーM1,M2の平面形状が六角形である例を示した。しかしながら、上記平面形状に特に限定されるものではない。
本実施形態では、各ミラーM1,M2が連結部C1,C2により細分化されている例を示した。しかしながら、ミラーM1,M2を、それぞれ1つのミラーとしても良い。
本実施形態では、基板10として、一面に絶縁膜12の形成された半導体基板の例を示した。しかしながら、基板10としては上記例に限定されるものではなく、ガラスなどの絶縁基板を採用することも可能である。その場合、絶縁膜12を不要とすることができる。
本実施形態では、光学多層膜構造のミラーM1,M2として、低屈折率層37,79(79a)としての二酸化シリコンを除去することで、低屈折率層33,73としての空気層を有するエアミラーの例を示した。しかしながら、ミラーM1,M2の構成は上記例に限定されるものではない。低屈折率層37,79(79a)としての二酸化シリコンを除去せずに、低屈折率層37,79(79a)を有する光学多層膜構造のミラーM1,M2としても良い。なお、第1実施形態に示す構成では、周辺領域X1にも低屈折率層79(79b)を形成し、該低屈折率層79(79b)をエッチングストッパとして高屈折率上層72を除去する。したがって、低屈折率層79としては、高屈折率上層72をエッチングする際のストッパとなり得るものであって、高屈折率上層72のエッチング後、周辺領域X1の低屈折率層79(79b)を選択的に除去できるものであれば採用することができる。固定ミラー構造体30側の低屈折率層については、特に限定されるものではない。また、第2実施形態についても、固定ミラー構造体30及び可動ミラー構造体70で低屈折率層は特に限定されず、空気層33,73に代えて、二酸化シリコンなどの固体、液体、空気以外の気体、ゾル、ゲル、真空などを採用しても良い。
10・・・基板
30・・・固定ミラー構造体
50・・・犠牲層
70・・・可動ミラー構造体
71・・・高屈折率下層(第1高屈折率層)
72・・・高屈折率上層(第2高屈折率層)
79b・・・低屈折率層(第1低屈折率層)
82・・・二酸化シリコン部分
87・・・アモルファス部分
100・・・ファブリペロー干渉計
AG・・・空隙
M1,M2・・・ミラー(固定ミラー,可動ミラー)
MEM・・・メンブレン
S1・・・分光領域
X1・・・周辺領域

Claims (3)

  1. 光学多層膜構造の固定ミラーを分光領域に有する固定ミラー構造体を、基板の一面上に形成する工程と、
    犠牲層を、前記固定ミラー構造体の前記基板と反対の面上に形成する工程と、
    光学多層膜構造の可動ミラーを前記分光領域に有する可動ミラー構造体を、前記犠牲層上に形成する工程と、
    エッチングにより、前記分光領域及び該分光領域の周辺領域に対応する前記犠牲層の部分に、前記固定ミラー構造体と前記可動ミラー構造体とを対向させる空隙を設け、該空隙を架橋する可動ミラー構造体の部分を可動可能なメンブレンとする工程と、備えたファブリペロー干渉計の製造方法であって、
    前記可動ミラー構造体を形成する工程として、
    シリコンを含む半導体薄膜からなる第1高屈折率層を、前記犠牲層上に形成する第1高屈折率層形成工程と、
    前記第1高屈折率層よりも屈折率の低い第1低屈折率層を、前記第1高屈折率層上における、前記分光領域の可動ミラー形成位置に形成する第1低屈折率層形成工程と、
    シリコンを含む半導体薄膜からなり、前記第1低屈折率層よりも屈折率が高い第2高屈折率層を、前記第1低屈折率層を含んで前記第1高屈折率層を覆うように形成し、前記分光領域に前記第1高屈折率層、前記第1低屈折率層、及び前記第2高屈折率層からなる可動ミラーを形成する第2高屈折率層形成工程と、
    前記第2高屈折率層上にマスクを形成し、該マスクの開口部から露出する前記周辺領域の部分を熱酸化して、前記第2高屈折率層の露出面から所定深さのシリコン部分を二酸化シリコンとする熱酸化工程と、
    エッチングにより、前記周辺領域の二酸化シリコンの部分を除去する二酸化シリコン除去工程と、を含み、
    前記第2高屈折率層形成工程後であって前記熱酸化工程の前に、前記第2高屈折率層上にマスクを形成し、該マスクの開口部から露出する前記周辺領域の部分に不純物を注入する注入工程を備え、
    前記注入工程では、前記熱酸化により二酸化シリコンとする周辺領域の部分のうち、前記分光領域側の端部から所定の範囲には前記不純物を注入せず、前記所定の範囲を除く領域に前記不純物を注入して、これにより、前記熱酸化工程で形成される二酸化シリコンの厚みが、前記所定の範囲を除く領域で、前記所定の範囲の領域よりも厚くなるようにし、
    前記二酸化シリコン除去工程では、二酸化シリコンの除去により、前記周辺領域において、前記所定の範囲を除く領域の膜厚を、前記所定の範囲の領域の膜厚よりも薄くすることを特徴とするファブリペロー干渉計の製造方法。
  2. 前記可動ミラー構造体は、前記分光領域及び前記周辺領域の少なくとも一方に、前記第1高屈折率層及び前記第2高屈折率層が互い接してなる接触部分と、該接触部分を貫通する犠牲層エッチング用の貫通孔を有し、
    前記犠牲層は、二酸化シリコンからなり、
    前記第2高屈折率層形成工程後であって前記二酸化シリコン除去工程の前に、前記犠牲層エッチング用の貫通孔を前記接触部分に形成し、
    前記二酸化シリコン除去工程において、前記周辺領域の二酸化シリコンを除去するとともに、前記犠牲層に空隙を設けて該空隙を架橋する可動ミラー構造体の部分を可動可能なメンブレンとすることを特徴とする請求項1に記載のファブリペロー干渉計の製造方法。
  3. 光学多層膜構造の固定ミラーを分光領域に有する固定ミラー構造体を、基板の一面上に形成する工程と、
    犠牲層を、前記固定ミラー構造体の前記基板と反対の面上に形成する工程と、
    光学多層膜構造の可動ミラーを前記分光領域に有する可動ミラー構造体を、前記犠牲層上に形成する工程と、
    エッチングにより、前記分光領域及び該分光領域の周辺領域に対応する前記犠牲層の部分に、前記固定ミラー構造体と前記可動ミラー構造体とを対向させる空隙を設け、該空隙を架橋する可動ミラー構造体の部分を可動可能なメンブレンとする工程と、備えたファブリペロー干渉計の製造方法であって、
    前記可動ミラー構造体を形成する工程として、
    第1高屈折率層を、前記犠牲層上に形成する第1高屈折率層形成工程と、
    前記第1高屈折率層よりも屈折率の低い第1低屈折率層を、前記第1高屈折率層上における、前記分光領域の可動ミラー形成位置に形成する第1低屈折率層形成工程と、
    前記第1低屈折率層よりも屈折率が高い第2高屈折率層を、前記第1低屈折率層を含んで前記第1高屈折率層を覆うように形成し、前記分光領域に前記第1高屈折率層、前記第1低屈折率層、及び前記第2高屈折率層からなる可動ミラーを形成する第2高屈折率層形成工程と、
    前記第2高屈折率層上にマスクを形成し、該マスクの開口部から露出する前記周辺領域の部分に不純物を注入して、前記第2高屈折率層の露出面から所定深さの部分をアモルファスとするアモルファス化工程と、
    エッチングにより、前記周辺領域のアモルファスの部分を除去するアモルファス除去工程と、を含むことを特徴とするファブリペロー干渉計の製造方法。
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