JP5577222B2 - 制震ダンパー - Google Patents

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Description

本発明は、地震等の外力による震動を減衰させるために建物に用いられる制震ダンパーに関する。
住宅等の建物においては、柱と横架材とから形成されるフレーム内に、粘弾性体を利用した制震ダンパーを設けて、加振時の粘弾性体の剪断変形により震動エネルギーの吸収を図る制震構造がよく用いられる。この制震ダンパーは、例えば特許文献1,2に開示のように、フレーム面と平行な中板と、その中板の厚み方向の前後で所定間隔をおいて平行に配される一対の外板と、中板と外板との間にあって両板との対向面がそれぞれ接着されるエラストマー等の粘弾性体とからなり、中板を上下の横架材の一方に、外板を横架材の他方にそれぞれ連結することでフレーム内に設けられる。すなわち、フレームの変形に伴う中板と外板との相反する面方向への動作により、粘弾性体を剪断変形させて減衰作用を生じさせるものである。
特開2006−349064号公報 特開2002−61706号公報
上記特許文献1,2のような壁型の粘弾性ダンパーは構造がシンプルであって厚みの小さいフレームへも取り付けができるメリットがある。しかし、粘弾性体は温度依存性(温度変化による特性の変移)が大きいため、必要な減衰性能や剛性を得るためにダンパーの数量を増やしたりダンパーを取り付けるボルトやネジの数や強度等を増やしたりする必要が生じ、設計的ロスが大きくなる。また、速度依存性(周波数の変化による特性の変移)も大きいため、特に周波数の小さい風対策のために制震壁を増やしたりする必要が生じる。
そこで、本発明は、壁型によるシンプルな構造を維持しつつ、温度や速度等の条件に対する各種依存性を小さくすることができ、より減衰性能に優れた制震ダンパーを提供することを目的としたものである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、複数の鋼板を厚み方向に所定間隔をおいてそれぞれ平行に配置して、各鋼板の間に形成される複数の板状空間内に、塑性流動抵抗材料を、厚み方向の前後に位置する鋼板の間でそれぞれ収容する一方、各鋼板の左右方向の幅を、厚み方向の前後端に位置する鋼板が長く、当該鋼板に隣接する鋼板が短くなる順序で長鋼板と短鋼板とに交互に設定すると共に、各長鋼板の下端を短鋼板よりも下方へ長く形成して、長鋼板同士の対向面間で左右の側縁側に、間に位置する短鋼板の側縁から所定間隔をおいて対向面間を閉塞する封止材を固定し、長鋼板同士の対向面間で短鋼板よりも下側に、塑性流動抵抗材料を封止する下側封止材を固定して、封止材を、長鋼板同士の対向面間を閉塞する閉塞部と、その閉塞部から板状空間内に延設されて塑性流動抵抗材料の側縁に当接する一対の封止端部とからなる断面コ字状としたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、塑性流動抵抗材料を、前後に位置する鋼板の少なくとも一方に接着固定したことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、塑性流動抵抗材料を収容する各鋼板の表面に、滑動安定処理を施したことを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの構成において、塑性流動抵抗材料を、短鋼板の側縁を越えて長鋼板間で封止材に隣接するまで収容する一方、短鋼板の側縁の横断面形状を、封止材側へ近づくに連れて徐々に厚みが小さくなる低抵抗形状としたことを特徴とするものである。
請求項に記載の発明は、請求項1乃至の何れかの構成において、塑性流動抵抗材料を、ポリオルガノシロキサンを主成分とする可塑度200以上の未加硫ゴムとしたことを特徴とするものである。
請求項に記載の発明は、請求項1乃至の何れかの構成において、封止材及び下側封止材を、幅が長い鋼板同士を互いに連結するボルトによって固定したことを特徴とするものである。
請求項1に記載の発明によれば、壁型によるシンプルな構造を維持しつつ、温度や速度等の条件に対する各種依存性を小さくすることができ、より減衰性能に優れたものとなる。
また、塑性流動抵抗材料を板状空間内で確実に封止することができ、剪断変形を繰り返しても塑性流動抵抗材料による自己押し出し現象が抑えられる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、鋼板間への塑性流動抵抗材料の収容が簡単に行える。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、塑性流動抵抗材料を接着等によって固定しなくても滑動抵抗が安定し、減衰特性に影響を及ぼさない。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかの効果に加えて、加振時には塑性流動抵抗材料との抵抗が少なくなってスムーズな流動状態が得られ、減衰特性に影響を与えることがない。
請求項に記載の発明によれば、請求項1乃至の何れかの効果に加えて、減衰性能に優れた塑性流動抵抗材料を選択することができる。
請求項に記載の発明によれば、請求項1乃至の何れかの効果に加えて、鋼板同士の連結と同時に封止材及び下側封止材も固定される合理的な構成となる。
形態1の制震ダンパーの説明図で、(A)が正面、(B)が縦断面、(C)が横断面をそれぞれ示す。 形態1の制震ダンパーの説明図で、(A)は中板の正面図、(B)は外板の正面図、(C)は封止材の正面図である。 図1におけるA部詳細図である。 形態1の制震ダンパーの取付状態を示すフレームの正面図である。 形態1の制震ダンパーの変更例を示す説明図で、(A)が縦断面、(B)が端部の拡大断面をそれぞれ示す。 形態2の制震ダンパーの説明図で、(A)が正面、(B)が縦断面、(C)が横断面をそれぞれ示す。 形態2の制震ダンパーの説明図で、(A)は中板の正面図、(B)は外板の正面図、(C)は封止材の正面図である。 図6におけるB部詳細図である。 形態2の制震ダンパーの取付状態を示すフレームの正面図である。 形態2の制震ダンパーの変更例を示す一部断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[形態1]
図1〜3に制震ダンパーの一例を示す。この制震ダンパー1Aは、短鋼板としての中板2と、その中板2の厚み方向の前後で所定間隔をおいて平行に配される長鋼板としての一対の外板3,3と、中板2と外板3,3との間に形成される板状空間4,4内に設けられ、中板2と外板3,3との互いの対向面間に収容される塑性流動抵抗材料としての未加硫ゴム5,5(図1〜3の斜線部分)とを備えてなる。
中板2は、図2にも示すように、上端部6の左右方向の幅が下側部7よりも大きくなる正面視T字状で、下側部7の左右の側縁には、図3に示すように、厚み方向の前後から面取り8,8がそれぞれ形成されて、側縁の横断面を、外側へ行くに従って徐々に厚みが小さくなる二等辺三角形の低抵抗形状としている。上端部6には、上縁に沿ってフレームへの取付孔9,9・・が形成されている。
外板3は、左右方向の幅が中板2の上端部6よりもやや小さくなる縦長四角形で、中板2の上端部6の下縁部分から下側部7の全体を覆うように厚み方向の前後に重合されている。フレームへの取付孔9は外板3にも下縁に沿って並設されている。
未加硫ゴム5は、上下方向では中板2の下側部7の上縁と下縁との間に設けられて板状空間4内で中板2と外板3との間に収容され、左右方向では、板状空間4から下側部7の側縁を越えて外板3,3の間にまで延設される延設部10となっている。延設部10は後述する封止材16と外板3,3とにそれぞれ隣接している。
また、外板3,3同士は、左右の側縁に沿ったそれぞれ上下方向の五箇所と、未加硫ゴム5の上側で左右方向中央の一箇所と、中板2の下側で中板2の下縁に沿った三箇所とにおいて、ボルト11,11・・及びナット12,12・・によって互いに接合されている。中板2における未加硫ゴム5の上側には、ボルト11が貫通する左右方向の長孔13が形成されている。
未加硫ゴム5には、可塑性が高く(好ましくは可塑度が200以上)、弾性が小さい未加硫ゴム、例えばオルガノポリシロキサンを主成分としたシリコーン系の未加硫ゴムや、NR(天然ゴム)、IR(イソプレンゴム)、IIR(ブチルゴム)、BR(ブタジエンゴム)、EPM,EPDM(エチレンプロピレンゴム)をベースとする化合物から選択される未加硫ゴム等が用いられる。
なお、未加硫ゴム5は、中板2と外板3との少なくとも一方の対向面に対して接着固定してもよい。接着固定すれば板状空間4内への未加硫ゴム5の収容が簡単に行える。これに用いられる接着剤には、例えばアミノ基やビニル基により変性されたシリコーン系プライマーに過酸化物(ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド等)のカバー層を形成したものや、ビニルシリコーン系プライマーに過酸化物を混合したものが使用される。過酸化物は抵抗力を高めるために用いられる。
但し、未加硫ゴム5を接着しない中板2や外板3の表面には、滑動抵抗を安定させて減衰性能に影響を及ぼさないようにするために、滑動安定処理を施すのが望ましい。この滑動安定処理としては、例えばアミノ基やビニル基により変性されたシリコーン系プライマーやグリース等の滑動安定処理材を塗布する等すればよい。
一方、外板3,3の間で未加硫ゴム5,5の周囲には、封止材14〜16が設けられている。まず封止材14は、未加硫ゴム5の上側で中板2の上端部6と外板3との間に設けられて、外板3の内面に接着される帯状で、板状空間4と同じ厚みで外板3の上縁全長に亘って未加硫ゴム5を封止している。また、封止材15は、未加硫ゴム5の下側で外板3,3の間に介在される帯状で、外板3,3の間隔と同じ厚みで外板3の下縁全長に亘って未加硫ゴム5を封止している。この封止材15は、ボルト11によって外板3,3同士の接合と共に固定される。
そして、封止材16は、図3に示すように、外板3,3同士の間隔と同じ厚みを有して外板3,3の側縁に沿ってボルト11で固定される板状となっている。この封止材16の取付状態では、未加硫ゴム5の延設部10が封止材16に隣接する。この中板2と封止材16との間の距離は、中板2と外板3,3とが相対移動しても中板2が封止材16と当接しないように設定された移動代である。
以上の如く構成された制震ダンパー1Aは、従来のものと同様に、図4に示すように軽量鉄骨構造等の建物のフレーム30内で使用される。すなわち、中板2の上端部6を、上側の梁等の横架材31の下面に接合された上ブラケット33に、接合プレート34を介してボルト35,35・・で固定する一方、外板3,3の下端部を、下側の梁等の横架材32の上面に接合された下ブラケット36にボルト35で固定するもので、これによってフレーム面と平行に且つフレーム厚さ内に収まった状態で組み込まれる。
こうして設置された制震ダンパー1Aは、建物に加振されると、フレーム30の変形に伴う上下の横架材31,32の相反方向への水平移動により、中板2と外板3,3とが水平方向へ相対移動し、未加硫ゴム5,5を剪断変形させて減衰力を発揮する。ここで、未加硫ゴム5は減衰特性の温度依存性が低いので、通常の温度変化の領域で安定した減衰力を発揮することができる。また、速度依存性も低いため、風による低周波数の振動も効果的に減衰可能となる。
このとき、中板2の側縁が断面四角形状であると、加振に伴う中板2と外板3,3との相対移動の開始時には、未加硫ゴム5の延設部10との抵抗によって変形し始めの荷重が過大になり、減衰特性に影響を与えるが、ここでは中板2の側縁を低抵抗形状にしているため、相対移動の開始時には未加硫ゴム5との抵抗が少なくなってスムーズな流動状態が得られ、過大な荷重が発生しない。
このように、上記形態1の制震ダンパー1Aによれば、中板2及び外板3,3を厚み方向に所定間隔をおいてそれぞれ平行に配置して、中板2と外板3との間に形成される板状空間4,4内に、未加硫ゴム5をそれぞれ収容する一方、中板2及び外板3,3の左右方向の幅を、厚み方向の前後端に位置する外板3,3が長く、中板2が短くなる順序で交互に設定して、外板3,3同士の対向面間で左右の側縁側に、間に位置する中板2の側縁から所定間隔をおいて対向面間を閉塞する封止材16を固定したことで、シンプルな構造を維持しつつ、温度や速度等の条件に対する各種依存性を小さくすることができ、より減衰性能に優れたものとなる。
特にここでは、未加硫ゴム5を、中板2の側縁を越えて外板3,3間で封止材16に隣接するまで収容する一方、中板2の下側部7の側縁の横断面形状を、封止材16側へ近づくに連れて徐々に厚みが小さくなる低抵抗形状としているので、加振時には未加硫ゴム5との抵抗が少なくなってスムーズな流動状態が得られ、減衰特性に影響を与えることがない。
また、塑性流動抵抗材料を、ポリオルガノシロキサンを主成分とする可塑度200以上の未加硫ゴムとしたことで、減衰性能に優れた塑性流動抵抗材料を選択することができる。
さらに、封止材15,16を、外板3,3同士を互いに連結するボルト11によって固定したことで、外板3,3同士の連結と同時に封止材15,16が固定される合理的な構成となる。
なお、上記形態1では、一枚の中板と一対の外板とを設けているが、これに限らず、例えば図5に示すように、二枚の中板2,2と三枚の外板3,3・・とを交互に重ねて、最外の外板3から左右方向の幅が交互に長短となるように配置して、各中板2の側縁を面取り部8,8による低抵抗形状とした多層構造としてもよい。この場合も各中板2と外板3との間に接着される未加硫ゴム5等の塑性流動抵抗材料を延設して、中板2の側縁を越えた延設部10とすると共に、各外板3,3の間に封止材14〜16をそれぞれ介在させることになる。勿論短鋼板及び長鋼板の数はこれより増やしてもよいが、このような多層構造の場合は外板3,3・・と封止材16とを固定するボルトに高力ボルト17を用いるのが望ましい。
また、短鋼板の側縁の低抵抗形状は前後から面取りを形成した二等辺三角形や正三角形に限らず、前後何れかからのみ面取りを形成した直角三角形や、角部のみを面取りした台形としてもよい。また、面取りによる形状以外にも、角にRを形成した半長円形や半円形、流線形状等、塑性流動抵抗材料との抵抗を緩和できる低抵抗形状であれば適宜変更可能である。
さらに、短鋼板も上記形態1の中板のようなT字状に限定するものではなく、縦長長方形としたりしてもよい。但し、上記形態1のようなT字状にすれば、幅の広い上端部によって塑性流動抵抗材料の上側での封止が簡単且つ確実に行え、塑性流動抵抗材料の漏出を好適に防止できる利点がある。
[形態2]
次に、本発明の他の形態を説明する。但し、上記形態1と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
図6〜8に示す制震ダンパー1Bにおいては、中板2が縦長長方形、外板3,3は、左右方向の幅が中板2よりも大きく形成された縦長長方形となって、中板2と外板3,3との間に形成される板状空間4,4内に未加硫ゴム5,5(図6,8の斜線部分)が収容されている。
一方、外板3,3の間で未加硫ゴム5,5の周囲には、封止材20〜22が設けられている。まず封止材20は、未加硫ゴム5の上側で外板3の内面に接着される帯状で、板状空間4と同じ厚みで外板3の上縁全長に亘って未加硫ゴム5を封止している。また、封止材21は、未加硫ゴム5の下側で外板3,3の間に介在される帯状で、外板3,3の間隔と同じ厚みで外板3の下縁全長に亘って未加硫ゴム5を封止している。この封止材21もボルト11によって外板3,3同士の接合と共に固定される。
そして、封止材22は、図8に示すように、外板3,3同士の間隔と同じ厚みを有して外板3,3の側縁に沿ってボルト11で固定される厚肉の閉塞部23と、その閉塞部23における中板2側の内面から中板2と外板3,3との間にそれぞれ突出して未加硫ゴム5の側縁に当接する一対の封止端部24,24とからなる断面コ字状となっている。この封止材22の取付状態では、封止端部24,24の間に中板2の側縁が途中まで進入し、中板2と閉塞部23との間に空間25が形成される。この空間25は、中板2と外板3,3とが相対移動しても中板2が閉塞部23と当接しないように設定された移動代である。
以上の如く構成された制震ダンパー1Bも、例えば図9に示すフレーム30内で使用される。すなわち、中板2の上端部を、横架材31の下面に接合された上ブラケット33に、接合プレート34を介してボルト35,35・・で固定する一方、外板3,3の下端部を、横架材32の上面に接合された下ブラケット36にボルト35で固定するもので、これによってフレーム面と平行に且つフレーム厚さ内に収まった状態で組み込まれる。
こうして設置された制震ダンパー1Bは、建物に加振されると、フレーム30の変形に伴う上下の横架材31,32の相反方向への水平移動により、中板2と外板3,3とが水平方向へ相対移動し、未加硫ゴム5,5を剪断変形させて減衰力を発揮する。ここで、未加硫ゴム5は減衰特性の温度依存性が低いので、通常の温度変化の領域で安定した減衰力を発揮することができる。また、速度依存性も低いため、風による低周波数の振動も効果的に減衰可能となる。
このように、上記形態2の制震ダンパー1Bにおいても、シンプルな構造を維持しつつ、温度や速度等の条件に対する各種依存性を小さくすることができ、より減衰性能に優れたものとなる。
特にここでは、封止材22を、外板3,3の対向面間を閉塞する閉塞部23と、その閉塞部23から板状空間4内に延設されて未加硫ゴム5の側縁に当接する一対の封止端部24,24とからなる断面コ字状としたことで、未加硫ゴム5を板状空間4内で確実に封止することができ、剪断変形を繰り返しても未加硫ゴム5による自己押し出し現象が抑えられる。
なお、上記形態2では、一枚の中板と一対の外板とが設けられる構造で説明しているが、これに限らず、図10に示すように、例えば二枚の中板2,2と三枚の外板3,3・・とを交互に重ねて、最外の外板3から左右方向の幅が交互に長短となるように配置して、各中板2と外板3との間に未加硫ゴム5等の塑性流動抵抗材料を収容すると共に、各外板3,3の間に封止材22をそれぞれ介在させた多層構造とすることもできる。勿論鋼板の数はこれより増やしてもよい。
また、この形態2においても、未加硫ゴム5は中板2と外板3との少なくとも一方の対向面に対して接着固定してもよいし、未加硫ゴム5を接着しない中板2や外板3の表面に滑動安定処理を施してもよい。
以下、上記形態1,2に共通した変更例を説明する。
まず、下側の封止材や側縁の封止材の固定は、ボルトに限らず、接着等の他の固定手段を採用しても差し支えない。
さらに、外板に接着される上側の封止材では、中板との対向面間にグリースを介在させてもよい。但し、この場合は、以下の表1に示すように、封止材とグリースとの親和性の低い組み合わせとするのが望ましい。左欄の封止材にそれぞれ対応する右欄のグリース(特にベース油が異なる)との組み合わせとなる。
Figure 0005577222
但し、上側の封止材に自己潤滑性ゴムを用いれば、グリースは不要となる。この自己潤滑性ゴムとしては、汎用ゴム系(NR,IR,IIR,BR,EPM,EPDMから選択されるベースポリマーに、不飽和脂肪酸アミドやポリエチレングリコール型界面活性剤等のブリード成分を配合した加硫ゴム)やシリコーンゴム(例えばジメチルシリコーンをベースに、相容性の悪いフェニルシリコーン類を混合しブリードさせる加硫ゴム)が考えられる。
さらに、上側を含む全ての封止材には、難燃性ゴムを使用したり硬質セラミック系材料を使用したりすることで耐火性を持たせることもできる。
その他、フレームへの取付形態も、上下を逆にして中板を下側の横架材に、外板を上側の横架材に接合する等、適宜設計変更可能である。
1A,1B・・制震ダンパー、2・・中板、3・・外板、4・・板状空間、5・・未加硫ゴム、6・・上端部、7・・下側部、8・・面取り、10・・延設部、14〜16,20〜22・・封止材、23・・閉塞部、24・・封止端部、25・・空間、30・・フレーム、31,32・・横架材。

Claims (6)

  1. 複数の鋼板を厚み方向に所定間隔をおいてそれぞれ平行に配置して、各鋼板の間に形成される複数の板状空間内に、塑性流動抵抗材料を、厚み方向の前後に位置する前記鋼板の間でそれぞれ収容する一方、
    前記各鋼板の左右方向の幅を、厚み方向の前後端に位置する前記鋼板が長く、当該鋼板に隣接する前記鋼板が短くなる順序で長鋼板と短鋼板とに交互に設定すると共に、各前記長鋼板の下端を前記短鋼板よりも下方へ長く形成して、
    前記長鋼板同士の対向面間で左右の側縁側に、間に位置する前記短鋼板の側縁から所定間隔をおいて前記対向面間を閉塞する封止材を固定し、前記長鋼板同士の対向面間で前記短鋼板よりも下側に、前記塑性流動抵抗材料を封止する下側封止材を固定して、
    前記封止材を、前記長鋼板同士の対向面間を閉塞する閉塞部と、その閉塞部から前記板状空間内に延設されて前記塑性流動抵抗材料の側縁に当接する一対の封止端部とからなる断面コ字状としたことを特徴とする制震ダンパー。
  2. 前記塑性流動抵抗材料を、前後に位置する前記鋼板の少なくとも一方に接着固定したことを特徴とする請求項1に記載の制震ダンパー。
  3. 前記塑性流動抵抗材料を収容する前記各鋼板の表面に、滑動安定処理を施したことを特徴とする請求項1又は2に記載の制震ダンパー。
  4. 前記塑性流動抵抗材料を、前記短鋼板の側縁を越えて前記長鋼板間で前記封止材に隣接するまで収容する一方、前記短鋼板の側縁の横断面形状を、前記封止材側へ近づくに連れて徐々に厚みが小さくなる低抵抗形状としたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の制震ダンパー。
  5. 前記塑性流動抵抗材料を、ポリオルガノシロキサンを主成分とする可塑度200以上の未加硫ゴムとしたことを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の制震ダンパー。
  6. 前記封止材及び前記下側封止材を、前記長鋼板同士を互いに連結するボルトによって固定したことを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の制震ダンパー。
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