JP5577222B2 - 制震ダンパー - Google Patents
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Description
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、塑性流動抵抗材料を、前後に位置する鋼板の少なくとも一方に接着固定したことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、塑性流動抵抗材料を収容する各鋼板の表面に、滑動安定処理を施したことを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの構成において、塑性流動抵抗材料を、短鋼板の側縁を越えて長鋼板間で封止材に隣接するまで収容する一方、短鋼板の側縁の横断面形状を、封止材側へ近づくに連れて徐々に厚みが小さくなる低抵抗形状としたことを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかの構成において、塑性流動抵抗材料を、ポリオルガノシロキサンを主成分とする可塑度200以上の未加硫ゴムとしたことを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れかの構成において、封止材及び下側封止材を、幅が長い鋼板同士を互いに連結するボルトによって固定したことを特徴とするものである。
また、塑性流動抵抗材料を板状空間内で確実に封止することができ、剪断変形を繰り返しても塑性流動抵抗材料による自己押し出し現象が抑えられる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、鋼板間への塑性流動抵抗材料の収容が簡単に行える。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、塑性流動抵抗材料を接着等によって固定しなくても滑動抵抗が安定し、減衰特性に影響を及ぼさない。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかの効果に加えて、加振時には塑性流動抵抗材料との抵抗が少なくなってスムーズな流動状態が得られ、減衰特性に影響を与えることがない。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の何れかの効果に加えて、減衰性能に優れた塑性流動抵抗材料を選択することができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至5の何れかの効果に加えて、鋼板同士の連結と同時に封止材及び下側封止材も固定される合理的な構成となる。
[形態1]
図1〜3に制震ダンパーの一例を示す。この制震ダンパー1Aは、短鋼板としての中板2と、その中板2の厚み方向の前後で所定間隔をおいて平行に配される長鋼板としての一対の外板3,3と、中板2と外板3,3との間に形成される板状空間4,4内に設けられ、中板2と外板3,3との互いの対向面間に収容される塑性流動抵抗材料としての未加硫ゴム5,5(図1〜3の斜線部分)とを備えてなる。
外板3は、左右方向の幅が中板2の上端部6よりもやや小さくなる縦長四角形で、中板2の上端部6の下縁部分から下側部7の全体を覆うように厚み方向の前後に重合されている。フレームへの取付孔9は外板3にも下縁に沿って並設されている。
また、外板3,3同士は、左右の側縁に沿ったそれぞれ上下方向の五箇所と、未加硫ゴム5の上側で左右方向中央の一箇所と、中板2の下側で中板2の下縁に沿った三箇所とにおいて、ボルト11,11・・及びナット12,12・・によって互いに接合されている。中板2における未加硫ゴム5の上側には、ボルト11が貫通する左右方向の長孔13が形成されている。
なお、未加硫ゴム5は、中板2と外板3との少なくとも一方の対向面に対して接着固定してもよい。接着固定すれば板状空間4内への未加硫ゴム5の収容が簡単に行える。これに用いられる接着剤には、例えばアミノ基やビニル基により変性されたシリコーン系プライマーに過酸化物(ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド等)のカバー層を形成したものや、ビニルシリコーン系プライマーに過酸化物を混合したものが使用される。過酸化物は抵抗力を高めるために用いられる。
但し、未加硫ゴム5を接着しない中板2や外板3の表面には、滑動抵抗を安定させて減衰性能に影響を及ぼさないようにするために、滑動安定処理を施すのが望ましい。この滑動安定処理としては、例えばアミノ基やビニル基により変性されたシリコーン系プライマーやグリース等の滑動安定処理材を塗布する等すればよい。
このとき、中板2の側縁が断面四角形状であると、加振に伴う中板2と外板3,3との相対移動の開始時には、未加硫ゴム5の延設部10との抵抗によって変形し始めの荷重が過大になり、減衰特性に影響を与えるが、ここでは中板2の側縁を低抵抗形状にしているため、相対移動の開始時には未加硫ゴム5との抵抗が少なくなってスムーズな流動状態が得られ、過大な荷重が発生しない。
また、塑性流動抵抗材料を、ポリオルガノシロキサンを主成分とする可塑度200以上の未加硫ゴムとしたことで、減衰性能に優れた塑性流動抵抗材料を選択することができる。
さらに、封止材15,16を、外板3,3同士を互いに連結するボルト11によって固定したことで、外板3,3同士の連結と同時に封止材15,16が固定される合理的な構成となる。
さらに、短鋼板も上記形態1の中板のようなT字状に限定するものではなく、縦長長方形としたりしてもよい。但し、上記形態1のようなT字状にすれば、幅の広い上端部によって塑性流動抵抗材料の上側での封止が簡単且つ確実に行え、塑性流動抵抗材料の漏出を好適に防止できる利点がある。
次に、本発明の他の形態を説明する。但し、上記形態1と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
図6〜8に示す制震ダンパー1Bにおいては、中板2が縦長長方形、外板3,3は、左右方向の幅が中板2よりも大きく形成された縦長長方形となって、中板2と外板3,3との間に形成される板状空間4,4内に未加硫ゴム5,5(図6,8の斜線部分)が収容されている。
特にここでは、封止材22を、外板3,3の対向面間を閉塞する閉塞部23と、その閉塞部23から板状空間4内に延設されて未加硫ゴム5の側縁に当接する一対の封止端部24,24とからなる断面コ字状としたことで、未加硫ゴム5を板状空間4内で確実に封止することができ、剪断変形を繰り返しても未加硫ゴム5による自己押し出し現象が抑えられる。
また、この形態2においても、未加硫ゴム5は中板2と外板3との少なくとも一方の対向面に対して接着固定してもよいし、未加硫ゴム5を接着しない中板2や外板3の表面に滑動安定処理を施してもよい。
まず、下側の封止材や側縁の封止材の固定は、ボルトに限らず、接着等の他の固定手段を採用しても差し支えない。
さらに、外板に接着される上側の封止材では、中板との対向面間にグリースを介在させてもよい。但し、この場合は、以下の表1に示すように、封止材とグリースとの親和性の低い組み合わせとするのが望ましい。左欄の封止材にそれぞれ対応する右欄のグリース(特にベース油が異なる)との組み合わせとなる。
さらに、上側を含む全ての封止材には、難燃性ゴムを使用したり硬質セラミック系材料を使用したりすることで耐火性を持たせることもできる。
Claims (6)
- 複数の鋼板を厚み方向に所定間隔をおいてそれぞれ平行に配置して、各鋼板の間に形成される複数の板状空間内に、塑性流動抵抗材料を、厚み方向の前後に位置する前記鋼板の間でそれぞれ収容する一方、
前記各鋼板の左右方向の幅を、厚み方向の前後端に位置する前記鋼板が長く、当該鋼板に隣接する前記鋼板が短くなる順序で長鋼板と短鋼板とに交互に設定すると共に、各前記長鋼板の下端を前記短鋼板よりも下方へ長く形成して、
前記長鋼板同士の対向面間で左右の側縁側に、間に位置する前記短鋼板の側縁から所定間隔をおいて前記対向面間を閉塞する封止材を固定し、前記長鋼板同士の対向面間で前記短鋼板よりも下側に、前記塑性流動抵抗材料を封止する下側封止材を固定して、
前記封止材を、前記長鋼板同士の対向面間を閉塞する閉塞部と、その閉塞部から前記板状空間内に延設されて前記塑性流動抵抗材料の側縁に当接する一対の封止端部とからなる断面コ字状としたことを特徴とする制震ダンパー。 - 前記塑性流動抵抗材料を、前後に位置する前記鋼板の少なくとも一方に接着固定したことを特徴とする請求項1に記載の制震ダンパー。
- 前記塑性流動抵抗材料を収容する前記各鋼板の表面に、滑動安定処理を施したことを特徴とする請求項1又は2に記載の制震ダンパー。
- 前記塑性流動抵抗材料を、前記短鋼板の側縁を越えて前記長鋼板間で前記封止材に隣接するまで収容する一方、前記短鋼板の側縁の横断面形状を、前記封止材側へ近づくに連れて徐々に厚みが小さくなる低抵抗形状としたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の制震ダンパー。
- 前記塑性流動抵抗材料を、ポリオルガノシロキサンを主成分とする可塑度200以上の未加硫ゴムとしたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の制震ダンパー。
- 前記封止材及び前記下側封止材を、前記長鋼板同士を互いに連結するボルトによって固定したことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の制震ダンパー。
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